バンジャマン・ベルネーム + サラ・タイスマン

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    2023年8月19日 16時〜17時55分

    SALZBURGER FESTSPIELE

    Haus für Mozart

    テノール Benjamin Bernheim
    ピアノ Sarah Tysman

    Robert Schumann (1810-1856)
     Dichterliebe op. 48 (1840)

    Henri Duparc (1848-1933)
     L’Invitation au voyage (1870)
     Phidylé (1882)
     La Vie antérieure (1884)

    Ernest Chausson (1855-1899)
     Poème de l’amour et de la mer op. 19 (1893)

    アンコール
    Richard Strauss: Morgen! op. 27/4
    Franz Lehár: Dein ist mein ganzes Herz („Das Land des Lächelns“)
    Jules Massenet: Pourquoi me réveiller, ô souffle du printemps? („Werther“)

    バンジャマン・ベルネームは
    何故か、ほとんどロール・デビューの時に
    ウィーンの国立オペラ座で聴いていて

    今までにロドルフォ2回、エドガルド2回
    全女性の敵、マントヴァ公爵1回。
    (いや、何故、こんなに聴いてるんだ?)

    そのたびに
    その美声に心震わせ
    メロメロになっていた私が
    わざわざ、ザルツブルクに行くのは当然である、えっへん。

    歌うのが「詩人の恋」に
    エルネスト・ショーソンの「愛と海の詩」って
    珍しい組み合わせだが

    会場に行ったら
    プログラムに別紙が挟まっていて

    ショーソンの前に
    アンリ・デュパルクの歌曲3曲が追加されていた。

     ・・・フランス語わからないんだけど
      急な追加で、テキストが載ってない 💦

    前半の「詩人の恋」
    こんな超有名な曲
    私も子供時代から
    ありとあらゆるリート歌いで聴いてるから
    耳逆らいも多い。

    しかしベルネームのハイテノールの美しい事 💘

    抑制を効かせての歌唱は
    前に楽譜を置いてはいるけれど
    ドイツ語のディクションも自然で無理がない。

    張りのある高音も
    ドイツ・リートに相応しい声量に抑えている。
    Die Rose, die Lilie, die Taube, die Sonne は
    リズムに乗る感じではなく
    スムーズにメロディを繋いで行った・・・というより
    ほとんど一息で歌える肺活量って
    (あの部分です、普通は一回、息継ぎを入れる)

    何なんですか、この人 😳
    (息の長さは他の曲でも
     うおおおお、というのがあった。凄いわ)

    ドイツ語のゴツゴツした感じがなくて
    メロディ・ラインが
    この上なく美しく歌われる感じ。

    でもそれが
    Ich grolle nicht で
    主観的に、あれれ?という印象になったのは
    解釈の方法であって良し悪しではないけれど

    普通、あの曲では
    ちょいDV男っぽくなる傾向があるのに(主観です主観)
    あんなにナヨナヨして
    怒っている、とか憤っている、とかじゃなくて

    突然、失恋して
    唖然として戸惑って

    状況を把握しきれずに
    呆然としている・・・という印象。

    怒りは何処に行った?と不思議に思っていたら
    Und wüßten’s die Blumen, die kleinen と
    Das ist ein Flöten und Geigen で
    ほんの少しだけ
    実はちょっと怒ってます・・・

    なんですか、この詩人、
    めちゃくちゃ良い人じゃないですか(いや違う)

    Ein Jüngling liebt ein Mädchen で
    突然、ベルネームが
    手振り身振りを添えて
    まるでピエロが昔話を語っているような解釈したのが新鮮。

    いや、その曲、物語を話しているワケじゃないと思うんだけど
    冷静、客観的に自分の失恋を見ると
    そんなもんなのかなぁ(いや違う)

    その後、夢の中で彼女を見る曲は
    非常に痛ましく
    怒りとかじゃなくて
    もう、ひたすら、どうしようもない悲しみが
    切々と胸を打つ説得力あり。

    もともと声の透明感は卓越したものがあって
    テクニックありの美声のハイテノールだし
    時々、ほとんどアニメの主人公っぽい声に聴こえて(主観です)

    なんかもう、お婆ちゃんの視点から
    かわいいこと、この上ない・・・

    最後の Die alten, bösen Lieder の出だしなんかも
    迫力で出て来る、というよりは
    メロディ・ラインを重視して
    アクセントの少ない歌い方で
    悲しみの方が先に立つという印象。

    超有名曲「詩人の恋」だから
    様々な解釈や歌い方があって良い。

    歌手がみんな
    ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウっぽくなった
    一時の趨勢から脱出して
    それぞれの歌手の持ち味で歌えるようになったのは
    喜ばしい。

    後半のアンリ・デュパルク
    さすがフランス語でフランスの曲になると
    あの美声でのメロディ・ラインの美しさが生きる。

    ベルネームも後半は楽譜を置いていない。

    あああ、悔しいなぁ、フランス語がわからなくて(自業自得)
    (「旅へのいざない」とか有名曲だし
     ライブで聴いた事もあるはずなんだけど
     どうも、まだ耳慣れが今ひとつ)

    ショーソンの「愛と海の詩」は
    実はどうしても(まだ)苦手な曲で
    単純接触効果を狙って
    一時期、ヘビー・ローテーションで聴いていたものの
    未だに、どうしても馴染めない曲なので
    知ったかぶりのコメントは止しておく。

    ピアニストはあちこちの劇場で活躍して来た人で
    確かに、歌手をよ〜く見てる  👀
    歌にピッタリ寄り添うかと思うと
    前奏や後奏では
    ちゃんとピアニストとしての存在も出てくる。

    アンコールの最初に
    まさかリヒャルト・シュトラウスの
    Morgen! が出てくるとは・・・

    だってシューマン、デュパルク、ショーソンで
    アンコールにリヒャルト・シュトラウスって
    違和感バリバリ・・・のはずなのだが

    抑制された美声で
    ものすごく長いボーゲンの息で歌われる
    絶品の Morgen! は、ちょっと凄かった。

    かと思ったら
    レハールの微笑みの国のアリア!!!

    ピアノの前奏が響いた時点で
    後ろの方に陣取っている(と思われる)
    歌大好き(と思われる)観客から
    喜びの声があがる。

    オペラ歌手としてのベルネームの
    本領発揮って感じか。
    突然、縛られた鎖が外れた感じ。

    張りのある、透明感溢れる美声の高音で
    高々と、あんなチャーミングなラブソングを歌うなんて
    何という魅力的なスーチョン💘

    4人の妻が居ても良いじゃないの。
    そう言えば、ベルネームのマントヴァ公爵の時も
    ジルダに限らず
    こりゃ、女性は全員メロメロだわ、と思ったのだった、うん。

    それで最後かな〜と思っていたら
    何と、最後にマスネのオペラ「ウエルテル」のアリア。

    オペラに詳しくないけれど
    あっ、これ、確かウエルテルだ、という確信があって
    コンサート後に調べてみたら大当たりだった \(^o^)/

    いやもう、幸せ過ぎる。
    ベルネーム、魅力的すぎる。
    舞台姿も美しいが
    あのハイテノールの美声と
    抑制を効かせた魅力的な歌唱にメロメロ 😍

    最後は全員がスタンディング・オベーションになったが
    本当に来て良かった。

    ザルツブルクは30℃近い気温だが
    雷雨の危険もなくて
    青空の眩しい晴れの1日。

    ついつい観光客と化して
    写真を撮りまくってしまったアホな私に
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    バンジャマン・ベルネームは38歳。
    男性歌手の声の最盛期は40歳代と言われているので
    まだまだ、素晴らしい美声を楽しめる。

    身体と健康に気をつけて
    長く、あの美声をキープして活躍して欲しいものだ。

    ・・・って、ワタシ、何歳まで生きるつもり?(笑)
    高齢になっても
    せっせとコンサートに通っているような
    恐ろしい予感がするんだけど

    その前に破産していなければだが 🤭
    (いや、笑い話になってないだろそれ)

    マティアス・ゲルネ + アレキサンダー・シュマルツ

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      2023年8月10日 19時30分〜20時45分

      SALZBURGER FESTSPIELE

      Haus für Mozart

      バリトン Matthias Goerne
      ピアノ Alexander Schmalcz

      Franz Schubert (1797-1828)

       Der Wanderer D 489 (1816)
       Der Jüngling und der Tod D 545 (1817)
       Fahrt zum Hades D 526 (1817)
       Schatzgräbers Begehr D 761 (1822)
       Grenzen der Menschheit D 716 (1821)
       Das Heimweh D 851 (1825)
       Gesänge des Harfners aus Wilhelm Meister D 478-480 (1816/1822)
       Wer sich der Einsamkeit ergibt (Harfenspieler I)
       Wer nie sein Brot mit Tränen aß (Harfenspieler II)
       An die Türen will ich schleichen (Harfenspieler III)
       Pilgerweise D 789 (1823)
       Das Fischers Liebesglück D 933 (1827)
       Der Winterabend D 938 (1828)
       Abendstern D 806 (1824)
       Die Sommernacht D 289 (1815)
       Der liebliche Stern D 861 (1825)

      休憩なしの、約1時間半
      オール・シューベルト・プログラム。

      もともとはマルクス・ヒンターホイザーで
      マーラーとショスタコーヴィッチのプログラムだったが
      ピアニストの健康上の理由によりキャンセル。

      ・・・とりあえず、マティアス・ゲルネが聴けるなら
      ピアニストは誰でも良い。
      (とか思ったけど、やっぱり(以下省略))

      ゲルネの声、モンスター級・・・

      あの声量、あの美しい低音
      あまりに声が美し過ぎて
      手綱をしっかり締めていないと
      暴走しそうな感じがする。

      もともと太めの美声だったが
      ますます深みを増して
      バリトンというよりは
      バスの領域の声の深さも素晴らしい。

      暗めの声質なので
      最初の有名なさすらい人での低音が
      むちゃくちゃ暗く響いて
      どこか、別の世界に連れて行かれそうな気分。

      今回は安い席が取れたので
      驚きの15ユーロなのだが
      上の席は全て閉められて(お客さまが少ない)
      2階席の脇。

      舞台は見えるし
      音響も非常に良いのだが
      椅子が不安定で
      (普通の椅子より高い、バーの椅子みたいになっていて
       下に足が付かない。私の足が短いせいもあるが・・・)
      時々、お尻を動かさないと
      ずり落ちそうになる。

      寝落ち防止には良い席かも(いや違うだろ)

      お隣に座った私と同じくらいの年齢の女性が
      私よりドイツ・リートに詳しそうな方で
      今回のプログラムに取り上げられたシューベルトの曲は
      有名だから全部知ってるわ・・・って
      それは本当にすごい。

      私だって、いくつかは知ってるけど(ミエを張るな!)
      Grenzen der Menschheit なんて
      フーゴ・ヴォルフは知っていたけれど
      シューベルトも作曲していたなんて知らなかった(恥)

      暗くて深い、この上なく美しい低音領域もだけど
      バリトン声域と、その上の
      ソット・ヴォーチェも素晴らしい。

      軽めの声質ではないし
      もともとの声量が凄そうなので
      それを抑えて
      あの高音の美しさを
      細くならず、低音と同じ太めのラインで
      歌ってしまう抑制にはびっくりする。

      相変わらず
      大柄な身体を左右に揺らしながらの歌唱だが
      以前ほど、声の方向性が気にならなくなって来た。
      全身に響くような声になったからか
      ホールの音響が良いからかはわからないが。

      しかし・・・
      これ、途中で1回、休みを入れて欲しかった・・・

      ずっと集中力を保ったまま
      1時間半のシューベルトは
      歌ったり、ピアノ弾いたりしている方も大変だと思うが
      聴いている方も結構キツイ。

      (歳も歳なので体力が・・・
       というより、コンサートの前に
       友人とイタリアン・レストランで
       アンティパスティとピザを
       腹一杯食した私もどうかと思うけど💦)

      バリエーションに富んだ曲の選択というよりは
      比較的同じようなドラマを描くものが多く
      単純で楽しい、民謡風のシュトローフェンリートなどが
      全く挟まれていなかったのも疲れる原因の一つ。

      ゲルネの太くて厚くて深い美声での
      表現力の凄まじさに
      時々、椅子からずり落ちそうになる。
      (椅子が悪いせいもある(笑))

      同じような色合いの曲が続いて
      しかもシリアスで重い曲ばかりなんだけど
      声の色の多様性にクラクラする。

      本当にゲルネの声って
      モンスターというか、荒馬というか
      コントロールが効かないと
      どこまで破天荒になるんだろう、と思ってしまう。
      (よって、あの抑制はすごい。
       あの天性の声を与えられた人って
       どうやって折り合って行くんだろう。
       ある意味、幸運でもあり残酷でもある)

      あの声では
      軽めに流す、能天気風なシューベルトは合わないだろうなぁ。
      ゲルネが今回選んだ
      暗めの曲でこそ、あの声が活きるのかもしれない。

      ジャンプ・インしたピアニストは
      自己主張が少なくて
      ゲルネの歌にぴったり寄り添って
      声を充分に活かすピアノ。

      その意味では
      歌手が最も歌いやすい伴奏だったのかもしれないが
      歌手とピアニストの拮抗がほとんどなくて
      無難なピアノが聴こえて来た、という印象は否めない。

      アンコール1曲。
      私でも知っている有名な曲ではあったのだが
      すみません、タイトル思い浮かびません(ごめんなさい)

      ゲルネの声が深くて厚みがあるだけに
      ドイツ語のディクションはかすみがち。
      ドイツ語の歌詞そのものが
      もにゃもにゃして聞こえて来ないのだが
      (子音の強調もほとんどない)

      それは以前からゲルネの特徴だったし
      鋭いドイツ語の歌詞を前に出すより
      声の表情で
      音楽(とテキスト)の雰囲気を
      存分に表現しているので

      昨今の、ドイツ語テキストが
      クリアでなくちゃダメ、という趨勢からは
      極端に遠ざかってはいるものの
      美声(と、その暗い雰囲気)を堪能できる点からは
      ゲルネが、その声を最も巧く使うための
      最適な方法だったのだろう。

      事前のイタリアンのアンティパスティやピザで
      お腹いっぱいで行ったコンサートだったが
      コンサートそのものでも
      またお腹いっぱいになって
      ドミトリーに帰って
      即、寝てしまった私に
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      ドミトリーは8人部屋だったけれど
      私の他には
      台湾からのカップルが居ただけで
      すごく静かで非常に快適。

      午前、早い列車で到着してから
      ザルツブルク大学図書館に閉じこもったのだが

      天気は良いし、気温は低めで
      爽やかで、静かで
      スペースたくさんあって
      窓が開いて彩光も空気も素晴らしく
      大学図書館って天国か、と思うほどに幸福⭐️

      16時の閉館の後に外に出たら
      ザルツブルク市内は観光客で溢れていた 😩

      クリスティアン・ゲルハーヘル + ゲロルド・フーバー

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        2023年8月1日 20時〜22時

        SALZBURGER FESTSPIELE

        Haus für Mozart
        バリトン Christian Gerhaher
        ピアノ Gerold Huber

        Robert Schumann (1810-1856)

        Fünf Lieder op. 40 (1840)
         Märzveilchen
         Muttertraum
         Der Soldat
         Der Spielmann
         Verratene Liebe

        Liederkreis nach Gedichten von
        Joseph von Eichendorff op. 39 (1840)
         In der Fremde
         Intermezzo
         Waldesgespräch
         Die Stille
         Mondnacht
         Schöne Fremde
         Auf einer Burg
         In der Fremde
         Wehmut
         Zwielicht
         Im Walde
         Frühlingsnacht

        Drei Gesänge op. 83 (1850)
         Resignation
         Die Blume der Ergebung
         Der Einsiedler

        Romanzen und Balladen III op. 53 (1840)
         Blondels Lied
         Loreley
         Der arme Peter
          I. Der Hans und die Grete
          II. In meiner Brust, da sitzt ein Weh
          III. Der arme Peter wankt vorbei

        Sechs Gedichte von
        Nikolaus Lenau und Requiem op. 90 (1850)
         Lied eines Schmiedes
         Meine Rose
         Kommen und Scheiden
         Die Sennin
         Einsamkeit
         Der schwere Abend
         Requiem

        アンコール
        Tragödie, op. 64 Nr. 3

        アンコールはもう1曲あったけれど
        タイトルのアナウンスがなかったので失念。

        いやもう、めちゃくちゃ疲れた。
        すみません、こんな書き出しで・・・

        ゲルハーヘルの研ぎ澄まされた
        子音一つたりとも疎かにしない
        緻密な表現に
        ゲロルド・フーバーのピアノが
        ますます精密度を増して

        ものすごい集中力の必要なコンサート。

        しかも、内容が暗いものが多くて
        まぁ、この時代
        失恋だの死ぬだの孤独だの
        そんなに自己憐憫して楽しいですか
        と言う
        その時代の趨勢ではあろうが
        まぁ、暗いこと、この上ない。

        ワタシが人生の悩みを知らない
        パッパラパーである事はさて置いて(墓穴)

        ゲルハーヘルは
        シューマンのリート全曲(299曲!)を録音して
        CDにしているので
        今回のコンサートの曲も
        かなりマイナーなものが中心。

        さすがに、最初のアンデルソンの5曲と
        アイヒェンドルフは知ってるし
        時々、1曲ごとに知っているものもあるが。

        ゲルハーヘルの表現の細かさは
        ともかく凄い。
        極端なピアニッシモでの
        子音の扱いの見事や
        それによって描き出される
        ドイツ語の単語の情景のニュアンスには驚愕する。

        加えて、バラードなどでは
        フォルテも多用して
        ドラマチックな表現にも事欠かず

        持っている美声を充分に聴かせながら
        美声だけによらない
        リートの内容の表現に重点を置いていて

        ・・・本当に疲れる 😓
        (いや、それは素晴らしい事なんだけど)

        平土間の後ろの席で(ちょっとお高い)
        天井が被さっていたので
        音響に難ありか、と思っていたが
        響きは悪くなくて
        テキストの聴き取りにも問題なし。
        良いホールだね、ここは。

        シューマンの「美しい音楽」と言うよりは
        1840年の幸せな時代に作られてはいても
        その後の悲劇的エンドを暗示するような
        暗い内面が徹底的に表現されていた印象。

        個人的な悲劇的心情を
        全面に出してくる1800年代に対し
        現代は政治的問題を憂える
        あるいは反対する心情?を表現する
        「芸術」って
        人間の心の複雑さを表しているようで

        芸術を、ただただ楽しみたい、とか思ったら
        非文化的人間、とか思われそう・・・

        根が単純で
        人間性に深みがなく
        ついでに悩みもなく
        のほほんと過ごしているワタクシは
        芸術を鑑賞する資格がない可能性は大いにある(自爆)

        疲れるコンサートだったけれど
        芸術的には完璧。
        (Waldgespräch で
         ピアノの前奏の後に入り損ねて
         ピアニストがリピートして
         すご〜く心配そうに歌手を見た、という
         レアな情景を体験してしまった。
         ゲルハーヘルみたいな完璧主義者でも
         そう言う事があると言う
         舞台は魔物の世界)

        ザルツブルクは既に20℃を切って
        夏は終わったのね、と言う感じだが

        ドミトリー6人部屋も
        2人しかいなくて
        快適に過ごせた苦労のない私に
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        ウィリアム・ケントリッジ「シビル」

        0
          2023年6月21日 20時〜21時45分

          MuseumsQuartier Halle E

          William Kentridge
          SIBYL

          コンセプト・演出 William Kentridge
          出演
          Kyle Shepherd (ピアノ)
          Nhlanhla Mahlangu, Xolisile Bongwana, Thulani Chauke,
          Teresa Phuti Mojela, Thandazile „Sonia“ Radebe,
          Ayanda Nhlangothi, Zandile Hlatshwayo,
          Siphiwe Nkabinde, S’busiso Shozi
          コーラス作曲・演出助手 Nhlanhla Mahlangu
          作曲・音楽監督 Kyle Shepherd
          衣装 Greta Goiris
          舞台 Sabine Theunissen
          照明 Urs Schönebaum
          音響 Gavan Eckhart
          キネマトグラフィー Duško Marović
          カメラ Kim Gunning

          他にもテクニカル・スタッフやクリエイティブ・スタッフが
          山ほど居るんだけど、すみません、省略しちゃいました。
          プログラムに興味ある方は こちら からDLできます。

          ウィーン芸術週間の最終公演。
          実は私も最初は見逃していて

          えっ、ウィリアム・ケントリッジのプロダクションがある 😳

          と気づいてから、すぐに購入したから良かったものの
          会場満杯で、ウィーン芸術週間のサイトによれば
          すごい人数のウェイティング・リストがあったようだ。

          いつまで見られるかは不明だが
          40秒ちょっとのトレイラーがあるので
          ご興味ある方は こちら をどうぞ。

          ウィリアム・ケントリッジと言えば
          2013年に、
          ダダ・マシロのカンパニーとの共同制作が
          ともかく、はちゃめちゃで素晴らしかった。

          動くアニメーション、と言ってしまうと
          なんだか軽率な感じに聞こえるけど

          ケントリッジの場合は
          伝統的な技法での
          手を使って、刷毛やペンキを使って
          本当に描いていく「絵画」に
          デジタル技法をプラスして

          アナログでもあり
          デジタルでもある、という
          ノスタルジーに満ちた
          すごくチャーミングな世界を創ってしまう。

          今回のテーマは古代の預言者シビル。

          最初に20分のショート・フィルムで
          ケントリッジのアトリエと
          その作品
          (もちろん描いているところも
           不思議な動きをするところもある)
          でも、既に、このフィルム上演の時に
          ピアニストが演奏し
          4名のパーフォーマーが
          歌を歌う。

          短い休憩の後
          ケントリッジのプロダクションらしい
          なんでもありのパーフォーマンス。
          ピアノだけじゃなくて
          パーカッションもあるし
          歌もあるし

          ダンサーの後ろの壁に
          シャドーが投影されるんだけど
          同じスクリーンにビデオも映って
          ダンサーの動きと
          ビデオの画面が融合して
          すごく面白い。

          いくつかのパートに分かれていて
          バントゥー語の様々な方言での
          朗読があって
          その英語翻訳は
          バラバラの紙に書いてあって
          後ろのスクリーンのあちこちに投影される。

          もちろん、バントゥー語なんて
          さっぱりわからないけれど
          英語がアフォリズムみたいな感じで
          (シビルの預言なのだろうが)
          これが
          シンプルなんだけど
          人生の本質を余すところなく表現している感じ。

          それに音楽が心地良い。
          シビルの預言のアフォリズムも
          ほら、古代、と言う前提だから
          小難しい、現代社会の問題とかじゃなくて
          もっと抽象的な言葉が多いし

          まぁ、私の感受性欠乏もあるのだが
          「底抜けに明るい」のである。

          ただのエンターテイメント、と言うわけではなく
          ちゃんと「芸術作品」になってはいるし
          色々な要素が同時に進行して
          はちゃめちゃで、やりたい事をやっている感じではあっても
          不思議な統一感もあるし

          デジタルとアナログが
          絶妙にお互いを引き立てながら
          作品を創っているのが凄い。

          でも、本当に
          この作品の醸し出す
          楽観的なオーラって
          現代芸術には非常に珍しい。

          人によっては
          アフリカ文化の搾取
          と言う印象を持つ人もいるかもしれないが
          多くの文化のクロスオーバーと考えれば
          素直に、その明るさを楽しめるような気がする。

          私も明るく生きよう🔆
          と、ウキウキした気分になりつつ
          これ以上、明るくなってどうする?と
          セルフ・つっこみしたくなる私に
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          クリストフ・プレガルディエン + ジュリアス・ドレイク + ウド・ザーメル

          0
            2023年6月14日 19時30分〜21時20分

            Wiener Konzerthaus - Mozart Saal
            テノール Christoph Prégardien
            ピアノ Julius Drake
            朗読 Udo Samel

            »­Liebe & Verlust«. Gedichte und Texte von
            Johann Wolfgang von Goethe


              Johann Wolfgang von Goethe (1749-1832)
               Gott grüß’ euch, Brüder (aus: Zahme Xenien, 1815-20)
             
            Franz Schubert (1797-1828)
             Der König von Thule D 367 (vermutlich 1816)

              Johann Wolfgang von Goethe
               Geistes-Gruß (1774)

            Franz Liszt (1811-1886)
             Es war ein König in Thule S 278/2 (1856)

            Franz Schubert
             An Schwager Kronos D 369 (1816)

              Johann Wolfgang von Goethe
               Selige Sehnsucht (aus: West-östlicher Divan,
               Buch des Sängers, 1814-27)

            Hugo Wolf (1860-1903)
             Anakreons Grab (Goethe-Lieder Nr. 29) (1888)

              Johann Wolfgang von Goethe
               Zwiespalt (aus: West-östlicher Divan,
               Buch des Sängers, 1814-27)

            Hugo Wolf
             Ganymed (Goethe-Lieder Nr. 50) (1889)

              Johann Wolfgang von Goethe
               An ein goldenes Herz, das er am Halse trug
               (vermutlich 1775/76)

            Ludwig van Beethoven (1770-1827)
             Wonne der Wehmut op. 83/1 (1810)

              Johann Wolfgang von Goethe
               Holde Lili, warst so lang (1775)

            Franz Schubert
             Erster Verlust D 226 (1815)

              Johann Wolfgang von Goethe
               Liebchen, ach! im starren Bande (aus: West-östlicher
               Divan, Buch der Liebe, 1814-27)

            Ludwig van Beethoven
             Maigesang op. 52/4 (spätestens 1795/96)

              Johann Wolfgang von Goethe
               Das Leben ist ein Gänsespiel (aus: West-östlicher
               Divan, Buch der Betrachtungen, 1814-27)

            Franz Schubert
             Rastlose Liebe D 138 (1815)

              Johann Wolfgang von Goethe
               aus den Briefen an Charlotte von Stein (1775-88)

            Edvard Grieg (1843-1907)
             Zur Rosenzeit „I Rosentiden“ op. 48/5 (1889)

              Johann Wolfgang von Goethe
               Das Veilchen (1774)

            Franz Schubert
             Heidenröslein D 257 (1815)

            Carl Loewe (1796-1869)
             Erlkönig op. 1/3 (ca. 1818)

            *** Pause ***

              Johann Wolfgang von Goethe
               Holde Lili, warst so lang (aus einem Brief an Carl August
               von Hardenberg vom 23.-26. Dezember 1775)

            Franz Schubert
             Jägers Abendlied D 368 (1816?)

              Johann Wolfgang von Goethe
               An den Mond (1778)

            Franz Schubert
             An den Mond D 259 (1815)

              Johann Wolfgang von Goethe
               Vanitas! Vanitatum vanitas! (1806)

            Franz Schubert
             Der Musensohn D 764 (1822)

              Johann Wolfgang von Goethe
               Brief an die Gräfin Auguste zu Stolberg vom 17. Juli 1777

            Carl Loewe
             Wandrers Nachtlied II op. 9/1 Nr. 4 (1828)

            Franz Liszt
             Der du von dem Himmel bist S 279/1 (Erste Fassung) (1842)

              Johann Wolfgang von Goethe
               Nord und West und Süd zersplittern (aus: West-östlicher
               Divan, Buch des Sängers, 1814-27)

            Robert Schumann (1810-1856)
             Freisinn op. 25/2 (1840)

              Johann Wolfgang von Goethe
               Ein Gleiches (1780)

            Franz Schubert
             Wandrers Nachtlied D 768 (1824)

            アンコール
            Carl Loewe: Lynceus, der Türmer, auf Faust's Sternwarte singend
            op. 9, Heft 8, Nr. 3
            Johann Abraham Peter Schulz: Der Mond ist aufgegangen

            プレガルディエンは
            私の知っている限り
            ほとんどウィーンで歌ってくれなくて
            (ご子息が歌ったのは
             今年4月1日と2日に聴いた)
            調べてみたら
            私が最後に聴いたのは
            2012年11月17日だった・・・

            その時もプログラム構成の妙に唸ったものだが
            今回はゲーテの詩の朗読と
            ゲーテの詩を歌詞にしたドイツ・リート。

            プログラム小冊子には
            リートの歌詞の記載はあるが
            ゲーテの朗読のテキストは載っていない。

            聴いていればわかるから・・・なんだろうけど
            ゲーテ時代のドイツ語って
            今のドイツ語と語彙がかなり違うから(言い訳)

            よって、ゲーテのテキストの朗読については書かない。
            (途中、一回だけメモしておかねばならない箇所はあるけど)

            最初にシューベルトのトゥーレの王
            ゲーテのテキストを挟んで
            同じ歌詞のトゥーレの王でリストの曲。

            シューベルトが、
            劇的な動きはあっても
            あくまでもシュトローフェン・リートに対し
            リストのドラマチックでテアトリカルな音楽が面白い。
            プレガルエィエンも歌い方を変えるし
            もちろんピアノ伴奏も違う。

            連想させる風景は歌詞から来るんだけど
            舞台装置が違うって言うか(すみません謎発言で)
            プレガルディエンの歌い方も
            シューベルトは抑えて悲劇と繊細な感情を表現し
            リストでは、鮮やかな色彩の劇的な側面を出してくる。

            続けて「馭者クロノスに」も超有名曲。
            ゲーテの詩の後に

            フーゴ・ヴォルフの
            「アナクレオンの墓」😂

            滅多にライブで聴かない曲なのだが
            この透明な美しさ
            死の後の静謐な詩人の墓の
            生に満ちた自然の情景が
            ヴォルフの繊細なピアノと歌で
            ・・・あああああ、好きです、この曲。

            なんと続いてヴォルフの「ガニメード」きゃ〜っ
            シューベルトの方じゃなくて
            ヴォルフというのがミソ。(シューベルトも好きだけど)

            ヴォルフの音楽で紡ぎ出される
            ほとんどエロティックと言える恍惚感。

            ・・・一曲ごとに書いていたら
            それでなくても、いつも長いのに、記録が終わらん💦

            グリーグの曲はドイツ語歌詞で
            これだけ異色なのだが、何て美しい曲なんだ ☺️

            で、ゲーテの詩の朗読が
            「すみれ」なんですよ。
            モーツァルトで有名な、あのスミレなのだが

            続けて歌われたのは
            シューベルトの「野バラ」!!!!

            ・・・ジェンダー・チェンジ(いや、そういう問題では)

            すごいドラマツルギー(笑)

            カール・レーヴェ(シューベルトでないところが良い)の
            魔王で前半を締めて

            後半はミューズの子を除くと
            静かな曲調で纏めると同時に
            晩年のゲーテの、ますます精力的なテキストが挟まって

            いや〜、ゲーテって
            真正のカンチガイすけべじじい
            裕福でロマンティックなロマンス・グレー。
            まぁ、男性の場合は
            かなり高齢まで生殖能力の衰えはないとしても
            感情の起伏の豊かな人だったんだろうなぁ。

            高齢になっても
            あの恋愛のドキドキを体験できる、という体質は
            実に羨ましい。

            せっかく若い学生に囲まれているのに
            全然ドキドキの感情が起こらないワタシ(違!)

            シューベルトの「月に寄す」って
            本当に本当に本当に好き ♡
            あのメロディ、心にじわじわ効いて来る。
            シュトローフェン・リートではあるんだけど
            すべてのシュトローフェンが
            少しづつ違って
            描き出す情景の暖かさが、たまらない。

             異性にドキドキする事はなくなっても
             こういう曲には充分にドキドキするって
             ワタシだって充分に情熱的
             (何故に言い訳してるの? ← 無駄に負けず嫌い

            最後は旅人の夜の歌。
            ・・・やっと「枯れて」くれたって言うワケじゃないけど
            自然との一体感の美しさが沁みる。

            プレガルディエンの
            多彩な声の使い方と
            絶対に爆発しない正統的なドイツ・リートの
            正確なディクションによる
            慎み深さと暖かさに、ジンジンする。

            それにジュリアス・ドレイクのピアノがまた巧いの。

            歌手の声にピッタリ寄り添って
            声高な主張はしないのに
            ちゃんと、ピアノの存在感がある。
            存在感がある、という事を意識させない、と言う
            とんでもなくプロフェッショナルなピアニスト。

            朗読をしたザーメルは
            俳優としてだけではなく
            オペラの演出家としても活躍しているらしい。
            さすが俳優さんで
            ちゃんと一つ一つの詩が
            演技になっているのが楽しい。
            (時に、一幕のお芝居を見ているような気分になる)

            年配の観客が多いのはいつもだが
            今日は珍しく
            一回も携帯電話が鳴らなかった 🙌
            
ちょっと気になるマナー違反で
            時々イライラしたのはあるけれど
            まぁ、そう言う客は何処にでも居る。
            (観光客らしい、まぁ、仕方がない)

            プレガルディエン、もっとウィーンで歌ってくれないかなぁ。
            68歳という年齢だけど
            声の衰えは全くないし
            経験に裏打ちされた、ドイツ・リートの聴かせ方を
            熟知していて
            プログラムもドラマツルギーも素晴らしいし。

            最後の最後に
            3人が揃って立って
            プレガルディエンが、ちょい拍手待って🫸 って身振りをして
            何と、3人で
            Der Mond ist aufgegangen を歌い出し

            会場の聴衆も全員歌い出して
            大コーラスになった(爆笑)→ ちゃんと全員、歌えているのが凄い。
            (私は口を開けずに小声でボルドゥーンやってました(笑))

            隣の大ホールでは
            アルカーディ・ヴォロドスのリサイタルをしていて
            スクリャービンとか弾きまくっていたようだが

            プレガルディエンの美声を
            モーツァルト・ホールで聴けて
            心の中にポッと🔥が灯った感じで
            ウキウキと帰宅した私に
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            ユートピア室内楽アンサンブル + クルレンツィス

            0
              2023年6月10日 19時30分〜21時30分

              Wiener Konzerthaus - Mozart Saal

              Utopia Kammermusikensemble
              声 Katia Dondukova
              バイオリン Stephanie Baubin, Rimma Benyumova, Nikita Boriso-Glebsky,
              Alexandr Dimcevski, Michael Dinnebier, Fedor Rudin,
              Anastasia Strelnikova, Olga Volkova
              ビオラ Nail Bakiev, Natanael Ferreira, Mikhail Kovalkov, Rikka Papo
              チェロ Miriam Prandi, Lev Sivkov
              コントラバス Joaquin Arrabal, Hugh Kluger, Antal Rascz
              フルート Clement Dufour, Fanny Morel, Alexis Roman
              クラリネット Sergey Eletskiy, Manuel Martinez, Spyros Mourikis, Nikita Vaganov
              ファゴット Igor Ahss, Ulrich Frieder Kircheis
              ホルン Maciej Baranowski, Horst Ziegler
              トランペット Thomas Hammes
              トロンボーン Tal Ben Ray
              ハープ Marion Ravot, Anaelle Tourret
              ピアノ Selim Mazari
              キーボード Vladimir Magalashvili, Selim Mazari
              パーカッション Giacomo Bacchio, Ulf Breuer
              Rosa Montanes, Marcel Morikawa
              指揮 Teodor Currentzis

              Edison Denisov (1929-1996)
               Sonate für Klarinette (1972)

              Francesco Filidei (*1973)
               Toccata for piano (1995)

              Giacinto Scelsi (1905-1988)
               Pranam II (1973)

              Iannis Xenakis (1922-2001)
               Rebonds b (1987-89)

              Heinrich Wilhelm Ernst (1814-1865)
               Grand Caprice nach Schuberts „Der Erlkönig“ op. 26
               für Violine solo (1854)

              Alexander Knaifel (*1943)
               A silly horse. Fifteen Tales for a singer and a pianist (1981)
               II. The Chest

              Eugène Ysaÿe (1858-1931)
               Sonate-Ballade op. 27/3 für Violine Solo (1924)

              Franz Schubert (1797-1828)
               Oktett F-Dur D 803 (1824)
               2. Satz: Adagio

              André Jolivet (1905-1974)
               Aux fenérailles du chef - pour obtenir la protection de
               son âme. Incantation Nr. 5 (Cinq Incantations) (1936/37)

              Johann Sebastian Bach (1685-1750)
               Suite Nr. 1 G-Dur BWV 1007 für Violoncello solo (1717-23)

              Ludwig van Beethoven (1770-1827)
               Große Fuge B-Dur op. 133 für Streichquartett (1825-26)

              Benjamin Britten (1913-1976)
               Suite C-Dur op. 83 für Harfe (Auszüge) (1969)

              Marko Nikodijevic (*1980)
               gesualdo dub / raum mit gelöschter figur.
               Musik für piano and ensemble (2012)

              テオドール・クルレンツィスの
              国境を越えたプロジェクト、ユートピアの
              精鋭メンバーたちの
              室内楽コンサート。

              ザルツブルク音楽祭には
              ヘンリー・パーセルのオペラ(コンサート式上演)と
              モーツァルトのハ長調ミサで出演するのだが
              もちろん、チケットはすべて売り切れ。
              (私も行きません、悪しからず)

              ただ、来シーズン(2023年9月〜2024年6月)に
              ウィーンのコンツェルトハウスでの出演予定はない。

              ムジカ・エテルナの後援団体が
              🐻のプーさんと関係ある、という話が出て
              コンツェルトハウス支配人にもあらぬ疑いがかかったり

              クルレンツィスがロシア国籍で
              政治的な発言を一切していない事で
              EU内での活躍に支障をきたしているのは事実。
              オーストリアの日刊新聞 Der Standard の記事はこちら(ドイツ語)

              私はクルレンツィスの才能は高く評価しているので
              ウィーンでクルレンツィスを、当分、聴けなくなるのは悲しい。

              そんな時、コンツェルトハウスから
              正規料金から50%割引ってお知らせが来て
              (何故だ?売れてなかったのか?)
              急いで予定を変更して行って来た。
              (予定変更でご迷惑をお掛けした皆さま、ごめんなさい)

              プログラムの記載がウエブ上にもなく
              プログラムを貰ったら
              そこにも曲目は書かれていない。

              「今日はサプライズなの」

              ・・・そうですか。

              (ところで、コンツェルトハウスのプログラムが
               無料の時には
               係員は必ず、無料とは言わず
               「貴方が払おうと思う金額で」って言うんですよ。
               まぁ、払うけど(1ユーロとか)
               あれはちょっと・・・)

              直前までホールは開かず
              真っ暗な舞台の上にはオーケストラのメンバーが座っている。
              ホールも真っ暗になると
              舞台真っ暗なまま
              クラリネットのソロが響く。

              4分の1音も使われていて
              まるで尺八のような息遣いもある。
              構成はしっかりしていて、面白い曲だが
              あれ、クラリネット奏者は
              真っ暗な中で暗譜で演奏してるんだよね。

              すぐに続けて
              ピアニストに照明が当たり
              え?プリペアド・ピアノ?
              全く楽音がなくて
              ピアノ本体を叩く音と
              指とピアノの木材の擦過音が聴こえて来る。

              ・・・なにこれ、面白いけど
              いったい、どういう特殊奏法を使ってるの?

              次の曲はアンサンブルで
              真っ暗な中に居たクルレンツィスが指揮して
              これも現代曲に聴こえる。
              というより、アジアっぽい響きというか
              なんかこう、空間がゆらゆら揺れているような印象。

              次は後ろのパーカッショニストのソロ。
              ミニマル・ミュージックとは言わないけれど
              モチーフのリピートに音の高低があって
              途中で他の音色とリズムが入って来て
              すごく素敵 ♡

              ただ、パーカッショニストの後ろに居た
              他の楽器のプレイヤーが
              耳を押さえていたのが可哀想で・・・
              耳栓くらい用意しておけば良かったのに。
              (音響計測の時に、山ほど耳栓買ったので
               ウチには大量にある(笑))

              舞台前の上手(かみて)に照明が移り
              なんとバイオリニストがソロで弾き出したのが
              紛れもないシューベルトの「魔王」
              ・・・のバイオリン編曲、超絶技巧版。

              こういうのってオリジナルを超える事はないのだが
              ものすごく激しいボウの使い方で
              ピアノのあの伴奏をちゃんと再現した上
              ギリギリだが、メロディも奏でていて
              しかも、だんだんキーが上がっていく様子が
              バイオリンだと、むちゃくちゃリアルで緊張感。

              (あとでプログラム見て驚いたのだが
               この編曲、1854年に出来ている。
               家庭音楽で再現しよう、という当時の風潮だろうが
               これを弾きこなせるアマチュアのバイオリニストって
               当時は存在したのか?プロだって大変そうだが)

              中央のピアノに光が当たり
              その横にはソプラノ歌手。
              すごく静かな
              それまでの熱を冷ますような不思議な歌曲。

              舞台下手(しもて)にバイオリニストが立ち
              今度は超絶技巧のバイオリン・ソロだが
              たぶん、イザイだろ、と思っていたら当たった(🥳)

              ピアノと弦楽四重奏で次に演奏されたのはシューベルト。
              曲は知らないけれど(室内楽苦手)
              シューベルトっぽさは充分にわかる。

              次は、また舞台が真っ暗になった中で
              響き渡るフルートのソロ。
              現代曲っぽいけど、誰の曲だかはわからない。

              いやプログラムがないと
              必死になって、聴いている音楽から
              音楽史的に見て、どの時代のものだろう、と
              頭の中から色々と探るんだけど
              知識が足りていないから、わからないんですよ(涙)
              (アンドレ・ジョリヴェの Incantation 呪術ですか・・・
               知らなかった・・・)

              舞台の前の上手(かみて)でチェロの独奏。
              はいはいはいっ!これは知ってる 😀
              誰でも知ってるヨハン・セバスティアン・バッハ。

              なんかこう
              現代曲の合間にシューベルトとかバッハが入ると
              会場の温度がちょっと上がって
              ホッとするような感じがする(どうせ保守的ですよワタシ)

              照明が下手(しもて)に移り
              弦楽四重奏が演奏したのは
              曲そのものの記憶はないけれど
              間違いなくベートーベンだろう(笑)← 当たり 😆

              その後はハープのソロで
              最後に、またアンサンブルとピアノでの曲。

              この最後の曲、すごく好き。
              時々入るピアノの思いがけない和声が
              ものすごく効いていて
              プーランクのカルメル会修道院の
              最後のギロチンを連想させる。

              セルビア出身の作曲家の曲だが
              ピアノの鋭い音に
              アンサンブルの倍音が加わって
              (ついでにピアノにコラージュ部分もあって)
              いや、楽しいです、これ。
              聴いてみたいと思う方、こちらにあります。

              録音ではあまり聴こえないんだけど
              ピアノの単音の後にフルートが入るところがあって
              まるで、星が尻尾を持って疾走するような感じで
              こういうイメージ ★彡 の音響が
              もう、音響オタクにはたまらなかった。

              録音を聴く物好きな方、
              突然、ピアノのドン!っていう音が入って
              ドキッとするので、心臓の弱い方はご注意下さい(笑)

              プログラムを事前に渡さず
              音楽に浸って下さい、という意図だったとは思うのだが

              音楽史的に、必死に音響から情報を探るのと
              どの音楽が、どの順番で演奏されたかを
              記憶するのに必死で
              (暗闇だし、曲と曲の間に、咳をする間もなく
               すぐに次の曲が始まるのでメモが出来ない)

              最後に曲目リストをくれるのだったら
              それを最初に言って欲しかった・・・😂

              休憩なしのバッチリ2時間。
              音楽のバリエーションが多彩で
              (途中で出ていく観客も居たけれど)
              無駄な咳き込みとかほとんどなくて
              ものすごく集中して鑑賞できて
              (だって、曲ごとに、ずっと考えていたから)

              非常に面白い試みのコンサートだった。
              (クルレンツィスが指揮したのは
               アンサンブルで演奏された2曲だけだが
               別にそれはどうでも良い)

              明日のマーラー交響曲3番の
              2回目のコンサートに行けないのはちょっと残念だが
              2時間の濃い時間を
              存分に楽しめて満足な私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。

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              コンサートの途中で
              曲目とか作曲家とかを推測しながら
              一応、私だって
              音楽学学者のタマゴ(えっへん)だよね
              って考えたんだけど

              これから生まれて育つタマゴじゃなくて
              既にスクランブル・エッグになっていて
              中にはタマネギとかハムとか入っていそう・・・
              ・・・とんでもないタマゴじゃん(笑)

              2017年からの学生ライフで
              一緒に始めた同僚が
              どんどんマスターを卒業して行くけれど

              あまりに興味の範囲が広すぎて
              未だに海原に入れず
              波打ち際でチャプチャプしてます 😅
              (単位だけは溜まっていく・・・(笑))

              アンサンブル・ペレグリーナ

              0
                2023年6月1日 18時〜19時

                Franziskanerkloster/Franziskanerkirche
                Franziskanerplatz 4, 1010 Wien

                Mobility, Mission, Music:
                The Franciscans in the Global Middle Agens

                Konzert:
                Filia praeclara
                Musik aus Franziskaner- und Klarissenklöstern des 13. und 14. Jahrhunderts

                Gaude celi ierarchia (Deutschland, Sequenz, 15. Jh.)
                Alleluia. O virgo clarens (Polen, Alleluia, 13. Jh.)
                Ad veniam perveniam/TAMQUAM (Polen/Frankreich, Conductus-Motette, 13. Jh.)
                Clara Dei famula (Deutschland, Sequenz, 15. Jh.)
                Clara Dei famula (Rondellus, 13. Jh.)
                Ave mater gracie (Polen/Tschechien, Sequenz, 13. Jh.)
                [Stella naufragantium] et via regens devium (Polen, Benedicamus-Lied, 14. Jh.)
                Omnia beneficia (Polen, Conductus, 13. Jh.)
                Alleluia. Fulgens luce claritatis (Tschechien, Alleluia, 14. Jh.)
                O felix haec novitas (Polen, Sequenz, 13. Jh.)
                Manere/MANERE (Polen/Frankreich, Motette, 13. Jh.)
                Serena virginum/MANERE (Frankreich, Conductus-Motette, 13. Jh.)
                Alleluia. Ave benedicta Maria (Polen, tropiertes Alleluia, Anfang 14. Jh.)
                In paupertatis predio (Frankreich, conductus für Hl. Franziskus, 13. Jh.)
                Decus morum (Italien, Hymnus für Hl. Franziskus, Mitte des 13. Jh.)
                Jube domne benedicere/Una cunctis leticie (Polen, tropierte Lectio, Anf. 14. Jh.)
                Benedicamus Domino (Polen, 13. Jh.)

                ensemble Peregrina (Basel)
                Gesang:
                Lorenza Donadini, Hanna Järveläinen, Grace Newcombe

                実は夜19時からの
                フォルクス・オーパーのバレエのチケットは
                既に購入していたのだが
                急遽、予定を変更。

                今学期、「中世音楽のグローバル的歴史」の
                研究ゼミに申し込んでしまい
                (いや、以前、ルネサンス音楽のリズム感覚、という
                 演習をやって(コロナでオンライン授業)
                 その時の先生が担当で
                 この演習がむちゃくちゃ面白かったので)

                1回出てみて、え?これ、私の興味と全く違う 😯
                とは思ったものの

                先生の出す資料が面白すぎて
                ついつい、そのまま居続けている(軟弱者)

                その先生がウィーンのフランシスコ会修道院で
                他の大学の先生や
                ウィーン大学の古語研究所の教授を呼んで
                ゼミをして、その後コンサート、というので
                ワクワクしながら行ってみた。

                ウィーン市内にあるフランシスコ会修道院の中の一室で
                コーデックス・クマニクスを中心に
                (ウィキに25言語あるのに日本語がない😤)
                ゼミの先生が発表。

                その後、休憩を挟んで
                ビザンチン・中世ギリシャ専門の学術院の教授
                中世ラテン語を専門とする教授
                フィンランドの歴史学の教授の短い発表と
                ラウンド・テーブル・ディスカッション。

                最後に教会に移動して
                見てお分かりの通り
                13世紀〜15世紀の教会音楽を
                女性3名のヴォーカル・アンサンブルで聴いた。

                うはははは・・・ すごく幸せ(単純なんですワタシ)

                参加者は、と言うと
                ウィーン大学の音楽学から
                中世音楽の専門家が全員来てる。
                他の参加者含めて、10人くらい。

                もちろん、今回の担当のフランシスコ会の修道僧も居て
                この方も、数十年前に、アジアでのフランシスコ会の
                宣教運動についての論文で修士を取った方だそうだ。

                非常に専門的な分野ではあるけれど
                研究所のあちこちで告知していたのに
                学生がほとんど来ていなかったのは残念。
                クラスメイトが1人来てくれたので
                ぼっちにはなってない(笑)

                13世紀・14世紀の音楽は
                もちろん教会旋法を使っているし
                現代の我々の耳には
                非常に素朴に響く。

                ヨーロッパ人だったら
                郷愁を感じるのかもしれない。
                残念ながら、私の子供時代の文化圏は違う。

                素朴に響く、とは言え
                音楽そのものは、ちゃんと構造を備えているし
                意外や意外に
                こういう曲って覚え難い・・・と思う。

                我々の感覚で言うメロディの塊がないし
                リズムの感じ方も別だから。

                でもポリフォニーの芽生えが聴こえたり
                (フランスでは12〜13世紀にペロタンやレオニンが居るけど)
                メリスマが技巧的だったり
                聴いていて、心が洗われるようだし、落ち着く。

                現代に残された楽譜を
                学者や音楽家が読み解いて
                たぶん、こんな風に歌っていたんだろう
                ・・・という結果だから

                13世紀や14世紀に
                演奏された音楽を
                そのままオリジナルで聴いているわけではないし
                ピッチだって発声法だって、現代と違うだろうし
                第一、平均律じゃないし

                いやいやいや
                違うであろう事だけを取り上げても意味がない。
                専門家でもない
                私のような一聴衆が聴くのだから

                きっと、うん、たぶん、だいたい
                こんな感じで当時の人の耳に
                届いていたんだろうな
                ・・・程度で充分。

                当時の人の聴き方だって違っていただろうからな。
                今みたいな音楽はなかったわけだし
                周囲の雑音(いわゆるサウンド・スケープね)も違うし。

                ついでだが
                教会で演奏されているので
                残響が長くて
                ものすごく音響が美しく

                あ〜、こういう残響のある場所での
                音楽だったら
                そりゃ、不協和音は注意深く避けるわ・・・と
                なんだか1人で納得していたんだけど

                よく考えてみれば
                この教会、1607年にゴシックの様式を含んだ
                ルネサンス様式で建築され
                内部は1720年にバロック化されている。

                13世紀や14世紀の音響とは
                きっと、かなり違う。

                でも、そんな賢しらな事を言っても意味ないし
                こういう音楽、滅多に聴くチャンスはないし
                市内のオアシスのような
                修道院付属の教会で
                こういう音楽が聴けたのは
                もう単純に嬉しい ☺️

                休憩中にコーデックス・クマニクスの話を
                クラスメイトとしていて
                (歴史学の教授が言っていたけれど
                 当時、宣教師は現地で奴隷を購入して
                 ラテン語を教えていたらしい)

                言葉がわからなければ
                殺されてしまう可能性だってあったのにね・・・
                (オーストリアにもコロマンという
                 言葉が出来ないので殺されてしまった宣教師が居る)

                それでも宣教に出たのは
                ビジネス上の大きな利権が(あっ、ごめんなさい 🙇)

                天気は良いし☀️
                急に夏になったみたいで気持ち良いし
                だけど、課題(他の授業のです)が終わっていないので💦

                天上の音楽を聴いたのに
                捻くれた事ばかり考える
                世俗に塗れた罪びとのワタクシに
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                ミヒャエル・シャーデ + マルコルム・マルティヌー

                0
                  2023年5月11日 19時30分〜21時15分

                  Musikverein - Großer Saal
                  テノール Michael Schade
                  ピアノ Malcolm Martineau

                  Carl Friedrich Zelter (1758-1832)
                   Wanderers Nachtlied
                   Erster Verlust
                   Rastlose Liebe

                  Franz Schubert (1797-1828)
                   Nähe des Geliebten, D 162
                   An die Entfernte, D 765
                   Wanderers Nachtlied, D 224
                   Rastlose Liebe, D 138

                  Benedict Randhartinger (1802-1893)
                   An die Entfernte
                   Erster Verlust
                   Wonne der Wehmut
                   Über allen Gipfeln ist Ruh

                  Franz Schubert
                   Auf de See, D 543
                   Ganymed, D 544
                   Erster Verlust, D 226
                   Der Musensohn, D 764

                  Pause

                  Alexander Zemlinsky (1871-1942)
                   Es war ein alter König
                   Wandl’ ich im Wald des Abends
                   Frühlingslied
                   Die schlanke Wasserlilie

                  Alban Berg (1885-1935)
                   Vielgeliebte schöne Frau
                   Sehnsucht II

                  Alma Mahler (1879-1964)
                   Ich wandle unter Blumen

                  Hans Pfitzner (1869-1949)
                   Warum sind deine Augen denn so nass, op. 3/1
                   Es fasst mich wieder der alte Mut, op. 4/4
                   Mailied, op. 26/5

                  Gustav Mahler (1860-1911)
                   Rückert-Lieder
                    Ich atmet’ einen linden Duft
                    Blicke mir nicht in die Lieder!
                    Um Mitternacht
                    Liebst du um Schönheit
                    Ich bin der Welt abhanden gekommen

                  お隣の大ホールでは
                  イゴール・レヴィットがピアノ・リサイタルをしているが
                  私はブラームス・ホールの
                  ミヒャエル・シャーデのコンサート 😄

                  脇の空き席が目立つので
                  コンサート前に民族大移動が起こるが
                  私はそのまま貧民席。
                  (だって、正面は音響が良いのだ。
                   脇の席は実はちょっと難がある(高いけど))

                  面白いプログラムの組み方で
                  見てお分かりの通り
                  同じテキストで違う作曲家のリートを取り上げて
                  前半がビーダーマイヤー時代
                  後半が世紀末のツェムリンスキーのサロン。

                  何故かハンス・プフィッツナーが入っているけれど
                  マーラー配下のウィーン宮廷歌劇場で
                  オペラ上演があったという関係?
                  (プフィッツナーの政治的立場から言うと
                   ツェムリンスキーとかマーラーと並べるのも
                   ちょっと危ないかなって感じはするが
                   たぶん、シャーデ、そこまで考えてないような気がする)

                  シャーデは40代から追い掛けていて
                  現在58歳だが

                  何と美しいソット・ヴォーチェ(うっとり)😍
                  歳なんか全然感じさせないし
                  声の明るさはそのままに
                  リリック・テノールは多いけれど
                  こんなに美しいピアニッシモを聴かせてくれるのは
                  シャーデ以外に私は知らない。
                  (知ってる人がいたら教えて下さい)

                  ツェルターの Erster Verlust で
                  Glück から次のフレーズの Ach! への
                  あまりに美しいピアニッシモの囁きには
                  鳥肌が立ったし
                  背筋がゾクゾクする。

                  あんな美しい囁き声
                  世の中に存在して良いのか・・・
                  奇跡みたいなものだ(もう夢中)

                  シューベルトの有名歌曲
                  Nähe des Geliebten なんて
                  最初から最後までピアニッシモの美声で
                  ああああ、もうダメ(と貧民席で隠れて悶える)

                  ソット・ヴォーチェも美しいが
                  フォルテになった時の声が
                  ちょっとキュートで(笑)
                  時々、子供みたいな無邪気さもある。
                  しかも、声が明るい色で
                  あの歳で、何故にあの声をキープできるんだろう。

                  同じ歌詞で、違う作曲家のリートを聴いていると
                  テキストの関係上
                  似たような音符の動きになるところも多い。
                  (モロにそれ、真似だよね?って言うのもあって
                   音楽家の著作権という概念がそろそろ出て来た時代だが
                   数音が同じというだけでは盗作にはならない(笑))
                  詩の内容をもとにした音楽だから
                  雰囲気も似ている中で
                  各作曲家が個性を出しているのが面白い。

                  後半はシャーデが
                  世紀末のツェムリンスキーのサークルです、と
                  短いプレトークをしたので
                  アルマ・マーラーまで拍手のフライングなし。
                  楽友協会ブラームス・ホールで
                  リートを聴きにくる聴衆は、そこらへん、さすが。

                  ツェムリンスキーがむちゃロマンチックというのはわかるが
                  ベルクも、まぁ、ロマンチック 😆
                  ベルクは12音技法とは言えど
                  最後のところでは調性を完全に否定はしていないと
                  私には思われるので
                  こういうロマンチックな曲を書いているのも納得。

                  アルマ・マーラーの曲では
                  シャーデは、歌ったのか何なのか
                  途中で歌いながら引っ込んだんだけど
                  間違いなく、演出だとは思うが・・・う〜ん 😕

                  プフィッツナーの後の
                  グスタフ・マーラーのリュッケルト歌曲集。

                  ピアニッシモで長い息のボーゲンで
                  ため息の出るような Ich atmet’ einen linden Duft

                  その後の Blicke mir nicht in die Lieder! での
                  シャーデの解釈(歌い方)が
                  おおおお、そう来たか 🤣
                  だって歌詞の内容その通りを
                  ものすごく素直にユーモアで表現していて
                  アッケラカンと明るいのだ、あ〜驚いた。あれアリかい。

                  (ワタクシ的な解釈としては
                   これは、作品作成の時は見るな、とか言っているくせに
                   本当は、出来上がり作品を楽しんでいる君らには
                   わからないだろうけど
                   作品作成の時に苦労しているんだよ、と
                   恩着せがましく言っている・・・いや、勝手な深読みですが)

                  Um Mitternacht のピアニッシモとフォルティッシモの
                  深い世界の素晴らしい対比。
                  (できるんですよ、シャーデは。
                   たまに頭カラッポに見えるけど(すみません))

                  最後の Ich bin der Welt abhanden gekommen の
                  素晴らしく深く、圧倒的な歌の最後で

                  それは起こった・・・・



                  (音感ないので、音程というか、音の高さは違うかも)

                  前の席の年配カップルの男性から
                  華やかに会場に響き渡る携帯電話のメロディ・・・

                  最後の Ich bin der Welt … の
                  最後の最後の、あの敬虔な
                  内なる高揚を静かに味わっている時に 💢

                  その上、
                  すぐに携帯電話を出して止めれば良いのに
                  何故かパニックになって
                  携帯電話を鳴らしたまま
                  会場の二重ドアを
                  凄まじい音を立てて開けて

                  出て行った・・・と思いきや
                  二重ドアの真ん中に居るようで
                  (2つ目のドアを開けずに)
                  まだ会場に響いているんですけど。

                  その間、我々は
                  上記のメロディが鳴り響いている中
                  あの、透明な世界観に溢れた
                  マーラーのピアノの最後の演奏を聴かされたワケで

                  悪気はないのはわかるし
                  パニックになったのも理解できるけれど
                  これは、ほとんど犯罪だろう 🤬

                  ご本人は、その後
                  素知らぬ顔で悪びれずにまた入場して
                  アンコール2曲を聴いていたが・・・
                  (恥を知る日本人だったらとても無理)

                  最後の最後でのハプニングには
                  私も腹が立ったけれど

                  ミヒャエル・シャーデが元気で
                  ますます、声に磨きが掛かって
                  テキストの誤魔化し(シャーデのお得意(笑))も健在で
                  ソット・ヴォーチェの魅力や
                  お茶目なところもそのままで

                  ますますシャーデの魅力にハマっている私に
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                  携帯電話事件のカップルだけど
                  (すぐ近くにいた)
                  コンサート前に、男性の方が
                  女性に向かって
                  どこどこでシャーデを聴いて云々の
                  盛大な自慢話(聴いたの1回だけ?!)をしていて

                  ああ、こういうのも
                  ダニング=クルーガー効果なのかなぁ
                  と、ついつい考えた(違!)

                  アンコールはシューベルトの
                  Wanderers Nachtlied II と
                  あと1曲・・・ 後で調べよう。
                  (楽友協会は最近、アンコールを書いてくれない)

                  イグーデスマン&ジュー「さてそれではラフマニノフ」(笑)

                  0
                    2023年5月2日 19時30分〜21時10分

                    Wiener Konzerthaus - Mozart Saal

                    バイオリン、演劇、歌、その他 Alexey Igudesman
                    ピアノ、演劇、歌、その他 Hyung-ki Joo

                    „And Now Rachmaninoff“

                    ご存知、イグーデスマンとジューの
                    ジョーク音楽の夕べ・・・って言うか
                    音楽とコメディのチクルスの一環。

                    このカップルも私のファンの歴史は非常に長い。
                    2011年の記載の時には
                    既に数年前から追い掛けていた事が書かれているので
                    このペアが手持ちにしているジョークは
                    ほとんど知っている。
                    ・・・すみません、擦れた観客で 🙇

                    ラフマニノフを取り上げるなら
                    あれはやるだろう、と思っていたジョークも出たし。
                    (ただ、あれは、実は他のコメディアンから
                     俺のジョークを堂々とやっている、と
                     一時期 Youtube で散々に言われていたものだが
                     本当に真似をしたのか
                     たまたま同じジョークになったのかは不明)

                    イグーデスマンのアナウンス。

                     本日いらしているお客さまは
                     きっと、ジョークとユーモアに満ちた
                     楽しい夕べを期待なさっていると思いますが

                     ラフマニノフは不幸な作曲家で
                     不幸な人で
                     笑っている写真が全然ありません。

                    あら、確かに調べると仏頂面ばっかり(笑)

                    今年はラフマニノフ生誕150年。
                    ついでにイグーデスマンもジューも
                    今年50歳だそうだ。

                    きゃ〜〜〜っ
                    本当に年月の流れが早過ぎる・・・

                    (ところで、音楽之友社のウエブ・サイトでは
                     ラフマニノフの特集を組んでいるので
                     興味のある方はぜひどうぞ。回し者ではございません)

                    ラフマニノフの音楽だけじゃなくて
                    色々と取り混ぜて
                    クライスラーの作品とか
                    (「クライスラーは知ってますよね?
                      と観客が頷いたところで
                     「良い車ですもんね」(爆笑))

                    「音楽警察」のギャグは秀抜だった。
                    ジューがピアノを弾いていると
                    警官の服装のイグーデスマンが登場し
                    キミキミ、ピアノの免許は持っているのかね?
                    それはピアノのスピード違反じゃないのか?

                    キミの能力を試験しなければ
                    と、とんでもない超絶技巧フレーズを
                    次から次に弾かせるという
                    (最初は音階から始まって
                     ポリフォニーになり、ポリリズムになり
                     超絶技巧のフレーズ、例えば
                     ラフマニノフのピアノ協奏曲の
                     最終楽章のフィナーレとかを弾かせるのだ)
                    ジューの超絶技巧をとことん楽しめる
                    絶妙なスケッチ。

                    こういう観客ウケの良いギャグを
                    さりげなくやってくれるのはさすが。

                    ラフマニノフのスタイルが流行遅れだった
                    と言うテーマも
                    様々な作曲家のフラグメントの演奏で
                    シュトックハウゼンやら
                    ブーレーズや、クセナキスとかの後に
                    フィリップ・グラスと
                    スティーブ・ライヒと
                    ジョン・アダムスが登場したのは爆笑。
                    (ミニマル・ミュージックなので
                     ずっと同じメロディを弾いている。
                     まぁ、本当のところは違うんだけど)

                    もちろんジョン・ケージも登場 🤣

                    ジューのラフマニノフをテーマにした歌曲も
                    ジャズ風でキュート。
                    3人で弾く(女性ピアニスト1人登場)ラフマニノフも
                    ナンパしたり、バラの花が入ったりで
                    以前のエマニュエル・アックスとの3人プレイより
                    難易度は下がってはいるけれど面白い。

                    おふざけ度も下品にならず
                    ピアノもバイオリンも
                    むちゃくちゃ弄るが
                    (イグーデスマンがピアノをぶっ壊すのが
                     爆笑モノである。よく準備したなあれは)
                    でも、今回の作品はバランスが良くて
                    程よいユーモアに満ちている。
                    ・・・まぁ、歳を取った
                    いや、成熟した、と言えるのかも(笑)

                    新作ネタもあったし
                    1時間40分にわたって
                    休憩なしに
                    素晴らしいピアノとバイオリン
                    名曲のアレンジに
                    ライト・クラシックを
                    楽しく提供してくれたプログラムだった。

                    後でプログラム見たら
                    コンサートの後、CDのサイン会をします
                    ・・・と書いてあったのだが

                    もっぱらストリーミングになった私は
                    CDは(場所塞ぎだし)もう購入してないのだ
                    ごめんなさい。

                    それよりも
                    午前中にウィーン国立オペラ座の
                    9月・10月分のチケットが一斉発売になって
                    そこそこの数のチケットを買って
                    銀行口座の残高が・・・
                    と言う理由の方が大きいかもしれない私に
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                    昔はこの2人
                    もっぱら英語でショーをしていたけれど
                    最近はドイツ語圏でのパーフォーマンスも多くなって
                    とうとう、全部ドイツ語になったのはありがたい 😅

                    アンサンブル・レゾナンツ、コパチンスカヤ、プロハスカ

                    0
                      2023年4月22日 19時30分〜21時20分

                      Wiener Konzerthaus - Mozart Saal
                      Ensemble Resonanz
                      バイオリン Patricia Kopatchinskaja
                      ソプラノ Anna Prohaska

                      Maria Mater Meretrix

                      Gustav Holst (1874-1934)
                       Jesu sweet, now ill I sing op. 35/1 (Vier Lieder) (1916-17)

                      Walther von der Vogelweide (um 1170 - um 1230)
                       Nû alrêst lebe ich mir werde „Palästinalied“ (um 1220)

                      George Crumb (1929-2022)
                       III. Return: God-music (Black angels for electric quartet.
                       Thirteen images from the dank land) (1970)

                      Anonymus
                       Ave maris stella

                      Frank Martin (1890-1974)
                       Ave Maria (Maria-Triptychon Nr. 1) (1967-68)

                      Tomás Luis de Victoria (1548-1611)
                       Ave Maria

                      György Kurtág (*1926)
                       Berceuse I (Kafka-Fragmente op. 24 für Sopran und Violine) (1985-86)

                      Anonymus
                       Maria durch ein’ Dornwald ging

                      Frank Martin
                       Magnificat (Maria-Triptychon Nr. 2) (1967-68)

                      Antonio Lotti (ca. 1667-1740)
                       Crucifixus

                      Lili Boulanger (1893-1918)
                       Pie Jesu (1918)

                      ***** Pause *****

                      Hildegard von Bingen (um 1098-1179)
                       O rubor sanguinis. Antiphon für St. Ursula
                       und die 11.000 Jungfrauen

                      Joseph Haydn (1732-1809)
                       Sonata III: Mulier, ecce filius tuus, et tu ecce mater tua!
                       (Die Sieben letzten Worte unseres Erlösers am Kreuz Hob.XX/2)
                       (1795-96)

                      György Kurtág
                       Wiederum, wiederum
                       (Kafka-Fragmente op. 24 für Sopran und Violine) (1985-86)

                      Frank Martin
                       Stabat mater (Maria-Triptychon Nr. 3) (1967-68)

                      Hanns Eisler (1898-1962)
                       Kuppellied (Die Rundköpfe und die Spitzköpfe oder Reich und reich
                       gesellt sich gern op. 45) (1934-36)

                      György Kurtág
                       Der Coitus als Bestrafung (Canticulum Mariae Magdalena)
                       (Kafka-Fragmente op. 24 für Sopran und Violine) (1985-86)

                      PatKop (*1977)
                       Danse macabre (2019)

                      Joseph Hayden (1732-1809)
                       Il terremoto (Die Sieben letzten Worte unseres Erlösers
                       am Kreuz Hob.XX/2) (1795-96)

                      Antonio Caldara (1670-1736)
                       Per il mar del pianto mio
                       (Arie der Maddalena aus „Maddalena ai piedi di Cristo“) (um 1698)

                      いや〜、見て下さい、このプログラム ❤️
                      ヒルデガルト・フォン・ビンゲンに
                      ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデ

                      フランク・マルタンから
                      ジョージ・クラムにクルタークのカフカ・フラグメンテ
                      ハイドンにリリー・ブーランジェ

                      で、PatKop って誰なんだよ、と思ったら
                      パトリシア・コパチンスカヤ(爆笑)

                      プログラムの曲目を書き出すだけでタイヘン 😅

                      ソプラノのアンナ・プロハスカは
                      バロック風の衣装で登場。

                      アンサンブル・レゾナンツは普通に黒い衣装。
                      古楽とは言え、テオルベとかの目立った楽器はない。
                      コパチンスカヤも普通の黒い衣装(もちろん素足)で
                      ちゃんとソプラノを盛り立てているのはさすが。

                      来ている観客は
                      たぶん、99%くらいがコパチンスカヤのファンで
                      曲の間の拍手のフライングももちろんなかったけれど
                      それ以上に、曲と曲の繋ぎ方が巧い。

                      テーマはタイトルが示す通り
                      マリアなんだけど
                      もちろん、マリア・マグダレーナも居る。
                      (Meretrix ってラテン語知らずに調べてみて笑った)

                      全体のコンサートの印象なんて
                      一言で書けないほどに
                      ものすごい多彩さなんだけど
                      何故か、不思議に統一感があるのは凄い。

                      フランク・マルタンの
                      スタバート・マーテル、良い曲だなぁ。
                      後でもう一度、聴いてみよう。

                      ソプラノのアンナ・プロハスカは
                      見た目麗しく、立ち姿も美しく
                      声はあくまでも澄んで
                      教会なんかで歌ったら、天使の声に聴こえるだろう。

                      朗読も入るのだが
                      クラシックの発声法が
                      完璧に身についているので
                      ちょっと「美し過ぎ」の感は否めないが

                      ケイト・リンゼイみたいに(ウリッセの帰還!)
                      「美し過ぎないように歌う技術」は
                      なかなかモノに出来るものではない。

                      ところで、このプログラム、CDにもなっていて
                      (全部が一緒の曲目ではないが)
                      コンサートの後、CD買ったらサインも貰えたらしい。

                      ・・・いや、すみません、ごめんなさい
                      だって、 Spotify 入ってます。
                      (サブスク持ってるし)



                      しかし、すごいCDカバーだな(笑)

                      しかも、CDにはコパチンスカヤの
                      Danse macabre は収録されてない(涙)
                      (この曲、ぶっ飛んでいて凄かったのだ)

                      こういうプログラムは
                      CDや Spotify で聴くものではなくて
                      本当に実際のコンサートに行かないと
                      楽しくなさそうだけど。

                      モーツァルト・ホールのギャラリーの後ろだけど
                      あのホールは小さいので
                      居心地も良いし
                      音響も良くて
                      こういう、仲良しクラブと言うか
                      コパチンスカヤ・ファン・クラブ(笑)とかの
                      親密な感じが、
                      大ホールでは味わえない温かさ。

                      室内楽・・・と言えるのかは微妙だが
                      (だってあの編成なら
                       ハイドン時代は立派なオーケストラである(笑))
                      いや〜、楽しかった 😃 と
                      至極満足な私に
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