NHK交響楽団 + パーヴォ・ヤルヴィ

Wiener Konzerthaus Großer Saal 2017年3月7日 19時45分〜21時55分

NHK Symphony Orchestra Tokyo
バイオリン Janine Jansen
指揮 Paavo Järvi

Jean Sibelius (1865-1957)
 Konzert für Violine und Orchester d-moll op. 47 (1903-04/05)
Dmitri Schostakowitch (1906-1975)
 Symphonie Nr. 10 e-moll op. 93 (1953)

天下のNHK交響楽団さまに
このブログで文句付けるほど恐ろしい事はないので
書こうかどうしようか散々迷ったのだが

書く程の文句もないので(爆笑)
やっぱり備忘録として書いておく。

高校・大学と
お小遣いなるものは
すべて(専門書籍を除く)
都内の様々なオーケストラの
一番安い学生会員券につぎ込んで来た私だが

NHK交響楽団の定期会員には
最後までなれなかったという苦い思い出がある。

(註 当時はマトモなホールは東京文化会館と
 日比谷ホールくらいだったのである)

お陰で化粧とかお洒落とか女性らしい楽しみを知らずに、あ、いやいやいや(汗)

まぁ、前置きはともかくとして
NHK 交響楽団のヨーロッパ演奏旅行
凄まじいスケジュールで
昨日はロンドン、本日飛んで今日はウィーン
明日はケルンとか言うブラック企業系の詰め込み方(笑)

さてジャニーヌ・ヤンセンの
シベリウスのバイオリン協奏曲。

ものすごく細い線のバイオリンだなぁ、という印象。
オーケストラは
フル・オーケストラなのに
すごく薄めの音がする。

その分、透明感があって
まるで室内オーケストラのような軽さ。
線の細いバイオリンを盛り立てているかのよう。

すごいテクニックだという事は
シロウトでもわかるけれど
加えて内向的というか
誉めていえば哲学的音楽観とか言っちゃえば良いのだろうが

何か聴いていて、息苦しい。

自然に出てくる、というのと正反対の
無理やり絞り出している苦痛みたいなものを感じちゃう。
(そりゃ、お前の精神状態を反映しているだけだろ、という意見もあり)

明るさとか、わき上がるメロディとかと
極端に離れたところにあるシベリウス。
しょせんシロウトですから
ただの印象ですけど。

オーケストラの響きが
あまりに室内楽的で
う〜ん、こういうのアリか、と思いつつ
後半のショスタコーヴィッチへ。

この曲、私は大好きである。
楽友協会の大ホールで演奏されなければ・・・だが。

今回はコンツェルトハウスなので
どんなに大音響でも大丈夫だ、
それ、日本の誇るNHK交響楽団
どんどん大音響で弾けろ〜っ、行け〜っ

という心持ちで聴き始めて
ちょっとひっくり返った。

すみません、N響って
いつから、こんなに「歌う」ようになった???

アンサンブルの揃い方が見事なのは
優等生揃いの日本のオーケストラというので
驚きはしないけれど

最初の悲痛なピアニッシモのところから
メロディが長いボーゲンで語られて
細部まで抑制が効いて
ハッとする程に滑らかで美しい。

丁寧に丁寧に丁寧に歌わせていくパーヴォ・ヤルヴィに
ぴったり付いて
弦の響きがまろやかで

しかもこのオーケストラの木管
何て巧いのよ!!!!

特にファゴットだかバスーンだか
どうせシロウトには判断つきませんが
ともかくファゴットだかバスーンだかのソロ
こんな見事なソロって
この曲にありましたか?(アホですどうせ)

シベリウスの時にも聴こえた
「スッキリ」感がここにもあって
音が押し付けがましくない。

アンサンブル見事に揃って
細かいパッセージも完璧に演奏するのに
ともかく、メロディが見事に歌うのだ。
しかもイタリアっぽいカンタービレじゃなくて
もっと慎ましい感じで

言ってみれば、立てば芍薬、座れば牡丹の
大和撫子風の端正な、慎ましやかな美しさ。

フォルテの部分になると
パーヴォ・ヤルヴィのアゴーギクがかなり派手で
小節線がぼやけたりはしていたけれど
フォルティッシモの激しい部分よりも
メロディを歌わせる部分で
私はひたすらボーッとなっていた。

惜しむらくは
周囲の観客が・・・(いや、いや、仕方ないと言えば仕方ない)
ショスタコーヴィッチって
確かに親しみ難い作曲家で
10番の第1楽章がかなり長いのもわかるけれど

隣でスマホ出して
コンツェルトハウスの写真撮って送ったり
これ見よがしのため息ついたり
バッグの中をゴソゴソやったり
後ろから小声で
ゼルヴス(この場合は、ああああ、みたいな意味)とか
独り言を言わんで欲しかった。

ショスタコーヴィッチって
意外に演奏される機会があると思っていたのだが
ウィーンの聴衆には(特にご年配のお客さま方には)
一般的に「ウケ」るものではないみたい。

だからマーラーの6番を持ってくれば良かったのに。
(すみません、でもマーラーの6番も聴きたかったです(涙))

このショスタコーヴィッチの10番
音楽的にものすごく熟れていて
木管巧いし、弦はキレイだし
ゆっくりの部分のメロディは大和撫子の端正さ
速い速度のガンガン鳴らすところは
迫力あっても、変に厚くならず、スッキリ感はそのまま。

う〜ん、すごいオーケストラである。
世界水準以上のモノがある(身びいきではない)
技術的な水準も凄いけれど
それを、どこかのオーケストラのように
ほら見ろ見ろ見ろ、俺サマたちを聴け、と
ひけらかすような厚かましいところが一切ない。
(バイオリンのピアニッシモの部分の美しさと言ったら気絶モノだった)

コンサート後に
前に座っていた知り合いに
パーヴォさんって必ずアンコール持ってくるよね
シベリウスの「悲しきワルツ」なんて
パーヴォさんの指揮で何回聴いたか・・・

と言ったとたんに
シベリウスの「悲しきワルツ」が演奏されたので
ちょっと笑ってしまった。

この曲、今までパーヴォ・ヤルヴィの指揮で
様々なオーケストラで聴いて来たけれど
(もちろんアンコールである)
NHK 交響楽団も、すっかり手の内になったって感じがする。

あのオーケストラのスッキリ爽やか感と
丸みのある美しい弦の音を活かしながらも
やっぱり、見事に「パーヴォさんの」シベリウスだった(笑)

グラーフェネックでのデュトワとの幻想交響曲も良かったけれど
音楽的に、何かもう一つ、上への階段を昇ったような印象があって
自分とは全く関係なかったのに
何となく、自慢できるような気分になって
コンサート会場を出て帰宅した私に
(もう残業したくな〜い!!!)
どうぞ1クリックをお恵み下さい。


チャイコフスキー記念交響楽団 + フェドセイエフ

Musikverein Großer Saal 2017年3月6日 19時30分〜21時30分

Tschaikowskij-Symphonieorchester Moskau
バイオリン ソロ Mikhail Shetakov
チェロ ソロ Fyodor Zemlerub
ハープ ソロ Emilia Moskvitina
コーラス Singverein der Gesellschaft der Musikfreunde Wien
指揮 Vladimir Fedosejev
ソプラノ Anna Aglatova
テノール Sergei Radchenko
語り手 Peter Matić

Peter Iljitsch Tschikowskij (1840-1893)
Undina - Opernfragment
Rekonstruktion von Alexandra Maximova
mit verbindenden Texten von Konstantin Rytschkow

Peter Iljitsch Tschaikowskij
Suite aus dem Ballett “Schwanensee”, op. 20
zusammengestellt von Vladimir Fedosejev
I. Introduktion
II. Walzer
III. Pas de trois. Intrada. Coda
IV. Pas d’action
V. Tanz der Schwäne (4. Akt, Nr. 27)
VI. Tanz der kleinen Schwäne (2. Akt, Nr. 13)
VII. Mazurka
VIII. Finale

以前のモスクワ放送交響楽団である
チャイコフスキー記念交響楽団は
ウィーン交響楽団をフェドセイエフが仕切っていた際に

あいつはウィーン交響楽団で稼いだ金を
全部チャイコフスキー記念交響楽団につぎ込んでいる

と、かなり嫉妬混じり(笑)の言い方をされていた
ウラジミール・フェドセイエフの手持ちオーケストラでもある。

今回のゲスト公演は本日と明日。
チクルスとしては、実は明日のコンサートのチケットを持っていたのだが
ご存知の通り
我が祖国が世界に誇る日本放送交響楽団のウィーン公演と重なり

慌てて同じプログラムの本日のチケットを追加で買ったのだが

チャイコフスキーのオペラのフラグメントで
歌手が入るし
フェドセイエフさまだし
え〜い、いつもより良いチケット買っちゃえ

・・・こういうのが、ますます財政を圧迫するのだ
(とわかっているけど止められない)

さて、このウンディーナ(オンディーヌ)というオペラは
ご存知ドイツの小節ウンディーネを基にした
チャイコフスキー28歳の時の2番目のオペラ。

だが、作曲したのに上演を断られて
楽譜は放棄されてしまった・・・のが
ちょっとだけ見つかって
物好きな人たちが・・・いや、あの、その
そういう事に興味のある人たちが
再構成したもの。

もっとも、それでも全く失われた2楽章というのは
構築できていないので、最初と最後だけ。

一部のメロディは他の作品に使われている。
最後で突然、白鳥の湖のメロディが
アリアで歌われたのには、仰け反った。

交響曲第一番より後の作品で
如何にもチャイコフスキーらしい ♡

最初のインストルメンタルが
色彩感に満ちて
特に木管の使い方が巧くてチャーミング。

オンディーヌのアリア
ソプラノの声がキレイ。
価格の高い席は、やっぱり歌手が入ると響きが違う。
多少音程が不安定な部分はあったけれど
あれだけ澄んだ声で
可愛らしくオンディーヌを歌ってくれたら、すごく満足。

嵐の情景とかのオーケストレーションが素晴らしい。
本当にこれ、初期作品か?
怒濤のコーラスは、音量が大きすぎて
オーケストラと一緒になると
ほとんど団子状態で、全く解像度ゼロだったが
その分、出てくるエネルギーの凄さが圧倒的。

後半に入ってくる騎士フルブラントのテノールは
あくまでもオペラ的歌手で
テノールの泣き節がオペラ好きにはウケそう。
(オペラ嫌いなのでちょっと冷淡)

フォルティッシモのコーラスと一緒に歌っても
きちんとテノールで響いてくる声量は
オペラ向きかもしれない。

書いた通り、最後がバッチリ
白鳥の湖のメロディになるので
これがオペラとしてアリアで歌われるのを聴くって
非常に不思議で不可思議な体験だったけれど
違和感なく収まって、素晴らしかった。

フェドセイエフって
いつも、本当に珍しいモノを持ってくる。
手垢のついた名曲だけではないのが
さすが老練な指揮者の見識だ。

後半の白鳥の湖も
指揮者フェドセイエフ自身が選んで並べたもの。

こちらは幕間に木管が練習しているのを聴きながら
ああああ、オルガさま、と独り悶絶していたのだが
(すみません、バレエ・ファンの方には分かる筈)

蓋を開けてみれば
最初からジークフリートが独り悩んで踊るソロで
オデットは出て来ない。
(目の前にデニスが浮かんだ時には椅子から転げるかと思った)

その後、突然、ロットバルトが現れてギョッとする。
(いや、ロットバルトって最初にチラッと出るんだっけ?
 でも通常は最終幕で活躍するんだよね?)

その後のワルツが
これ、バレエでは群舞のシーンの筈なんだけど
これが、何か異様に長いんですが・・・
バレエの時って、あんなに繰り返し多くなかったと思うんだけど
そりゃ美しいメロディだが
あそこまで繰り返しが多いと単調でちょっとお腹いっぱい。

不思議な事に
その後のパ・ド・トロワと、パ・ダクションの2曲は
聴いた事がない。
ウィーンで上演されるヌレエフ版にはない曲なのかしら。

最終幕の白鳥たちのコールドが
一糸乱れぬ群舞を繰り広げる幻想的なシーン。

うわああああっ
ハープのソロが何ですかこれ、すごい、凄すぎる。
こんなハープのソロ、聴いた事がない。
豊かな音色で、ものすごいニュアンスがあって
多少、アピールする派手目な印象のすごく華やかなソロ。
(これ、ウィーンのバレエの白鳥の湖と、楽譜違うよね?)

バイオリンのソロは
まぁ、すみませんね
一応ウィーン・フィルの歴代のコンマス色々と聴いてるもんで
(ああ、イヤな言い方)

最終シーンだってオデットよりは群舞のシーンが中心で
その後、何故か、その前の第2幕の
4羽の小さな白鳥たちが
目にも止まらぬ速さでタカタカ出て来て
(あのテンポではどんなバレエ・ダンサーも踊れません!)

その後のマズルカって何だったっけ(既に記憶にない)
で、フィナーレだが
ううううん、ヌレエフ版では
ここは王子が波に巻き込まれて
地上でバタバタしている後ろを
ロットバルトにリフトされたオデットが
薄い幕の向こうに、微かに見えながら遠ざかっていくシーン。

オデットの出番が少ないじゃないかっ!(怒)

いや、もちろん、これ、コンサートであって
バレエではないので
本当は純粋に「音楽」として聴くべき、というのは理解しているが
クラシック・オタクにバレエ・オタクが混じっている身としては
オディールが無視されているのはともかく
オデットの出番が少ないのはちょっと・・・

しかし面白い組み方で、新鮮ではある。
音は、やっぱり団子になるけれど
これは、きっといつもより高級な席の特徴なのかも。

何回も出たり入ったりするよりも
早めにアンコール1曲。
まぁ、元気でノリの良い曲を
コンサート全部終わった後に、よくぞまた演奏した。

と思ったら
何とアンコールもう1曲。
こちらは帰る準備を始めていて外に出たら
会場がシンとしたので
いかん、と、いつもの席に飛び込んで
あの高級席じゃなくて、いつもの貧民席から
最後のアンコールを聴いた。

快速ロマンス・グレーのフェドセイエフさまの
面目躍如っていう感じ。
若々しくてエネルギーに溢れていて
でも乱暴にならず
音楽への愛がジワジワと伝わってくる ♡

フェドセイエフも84歳。
指揮台への上り下りがちょっと足元がフラフラするところもあったが
まだまだ、指揮姿もお元気そうで
永遠の美中年、あ、いや失礼
若々しいエネルギーが横溢した音楽を聴かせてくれる。

まだまだご活躍下さいね、と
心から祈って感謝して会場を後にした私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



バレエ・オタク的には
5月・6月には
国立オペラ座で、また白鳥の湖が予定されている ♡
オルガさまはまだ観られないけれど
できる限り追い掛けます。
(とは言え、5月・6月ってコンサートの数も凄いので
 結構バッティングしていて頭が痛い)

ウィーン交響楽団 + フィリップ・ジョルダン

Wiener Konzerthaus Großer Saal 2017年3月5日 15時30分〜18時05分

Wiener Symphoniker
指揮 Philippe Jordan
ビオラ・ダ・ガンバ Christophe Coin, Lucas Schurig-Breuß, Elisabeth Wiesbauer
ガンバ Hubert Hoffmann
オルガン Reinhard Führer
チェンバロ Johannes Maria Bogner
コーラス Wiener Singakademie
エヴァンゲリスト Werner Güra
キリスト Adrian Eröd
ソプラノ Genia Kühmeier
アルト Elisabeth Kulman
テノール Daniel Behle
バスバリトン Florian Boesch

Johann Sebastian Bach (1685-1750)
 Johannespassion BWV 245 (vor 1724)

宗教曲は好みではないのだが
クラシック・ファンを自称する身としては
年に1回だけ聴かねばならないものに
バッハの受難曲がある。
(まぁ人によってはワーグナーのパルシファルという人もいるだろうが)

ウィーン交響楽団がフィリップ・ジョルダンで
ヨハネの受難曲を演奏する、というのも珍しい。
普通、受難曲と言えば
古楽器の小編成アンサンブルで
それこそ、コンツェントゥス・ムジクスとか
ヴィーナー・アカデミーあたりのお得意曲だと思うのだが。

オーケストラは小編成。
よく見れば、フルート奏者はトラヴェルソ持ってるし
真ん中にチェンバロ、その横にオルガン
後半になれば、ビオラ・ダ・ガンバが揃って
モダン・オーケストラなのに
見事に古楽器オーケストラに化している。

こういう芸当、トーマス・コープマンが登場してから
このオーケストラ、完璧に出来るようになったのは凄いな。

一般的にはマタイの受難曲の方が有名で
演奏される機会も多いのだが
マタイの受難曲は・・・ともかく長いので
ちょっと短いヨハネの受難曲の方が有り難い(笑)

その代わりに、やっぱりマタイと比べると
音楽的にはストイックな感じがする。

エヴァンゲリストのヴェルナー・ギューラは
以前もエヴァンゲリストで聴いたけれど
体つきに全く似合わない
本当に繊細で美しい、透明で濁りのない高音を出す。

あまりに声が美しすぎて
しかも甲高い声をすごい声量で張り上げるのではなく
本当にバロック的に
まるで教会か小さな貴族のホールで聴いているような
声量を感じさせない声なのに
貧民席のギャラリーの後ろまで
見事に響いて来て、神経に障らず
聴き惚れちゃいました。

ただ、その分、あまりドラマチックにはならない。
あくまでも語り手としての端正さがある。
(ただ、一ヶ所だけコロコロと激情に駆られる部分は凄かった)

エレードのイエスは
これまた、見事にマジメ、むちゃマジメでクソ真面目。

いや、そりゃ、真面目に歌うパートである事はわかるが
エレードの声の質って
バリトンよりはテノールに近いから
マジメなんだけど、あまり威厳はない。

鬼才のフローリアン・ベッシュが
とんでもないピラトスを歌うんじゃないか、と
ちょっと期待していたのだが
これは声の質から言って
堂々として、でも迷いがあってというピラトス像で
とんでもない、というワケではなかった(こらっ)

キューマイヤーのソプラノも澄んだキュートな声だし
もう1人のテノールのダニエル・ベーレも
はっきりしたドイツ語で、美しい声で歌ってくれて

う〜ん、全体的に非常にこじんまりと纏まった感じの
ヨハネの受難曲になった。

出来は非常によろしい。
古楽器オーケストラ的なヨロヨロもあって
それに
コーラスがすごく巧くて

そりゃ、これ聴いたら
ユダヤ人って何だ、という
結構な憎悪に駆られるわよね。

一番活き活きしていたのが
ユダヤ人たちの情景を描いたコーラスだったりして(笑)

しかし毎回バッハの受難曲を聴くたびに
その斬新でドラマチックな音楽に圧倒される。
あの時代の、あの音楽技法の枠組みの中で
あんな近代的で前衛的な音楽技法が出来るという事に
いつも打ちのめされてしまう。

ほら、バッハって
何となく、あのピアノのインヴェンションとかのイメージが
強いじゃないですか。
ピアノの先生と赤鉛筆持って
ここのモチーフが、こちらに来て云々というのが
たぶん、私の記憶にある最初の音楽分析だったと思うのだが
(ちなみに、13歳くらいの時で、それ以降は何もやってません)

クソ面倒な数学的音楽を書く人、というイメージが強いのに
こういう曲を聴くと
(まぁ、ロ短調ミサなんかもそうなんだけど)
ドラマチックな構成に
ひっくり返りそうになる。

コラールは美しいし
その間のストーリーは劇的な展開だし
まぁ、一種の宗教オペラというか(言い過ぎ)

とまれ、今年もちゃんと受難曲聴いて来ましたので
キリスト教の神さまも
どうぞ私をお見捨てなく、よろしくお願いします・・・って
ワタシ、多神教だから、何人神さまが居ても気にしないので
(あっ、キリスト教信者の皆さま、ごめんなさい)

今年の義務が終わったような気がするコンサートというのも
まぁ、珍しいかもしれないけれど
何となくスッキリした気分で
会場を後にした私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



くだらない話だが
以前、何かの折りに
「ヨハネの情熱」という翻訳を見た事があって爆笑した。
確かに Passion はパッションだけどね。

オネーギン 6回目

Wiener Staatsballett 2017年3月4日 19時30分〜22時

ONEGIN
Balett in drei Akten von John Cranko
nach dem Roman in Versen EUGEN ONEGIN von Alexander Puschkin

振付・演出 John Cranko
音楽 Peter Ilijitsch Tschaikowski
編曲・オーケストラ編曲 Kurt-Heinz Stolze
舞台 Elisabeth Dalton
照明 Steen Bjarke
指揮 Guillermo García Calvo

オネーギン Eno Peci
レンスキー Denys Cherevychko
マダム・ラリーナ Erika Kováčová
タチアナ Maria Yakovleva
オルガ Natascha Mair
乳母 Franziska Wallner-Hollinek
グレーミン侯爵 Alexandru Tcacenco

友人、農民、サンクトペテルブルク社会の人たち
Abigail Baker, Elena Bottaro, Marie Breuilles, Natalya Butchko,
Iliana Chivarova, Adele Fiocchi, Erika Kováčová, Zsófia Laczkó
Kathalina Miffek, Andrea Némethová, Suzan Opperman,
Alaia Rogers-Maman, Carolina Sangalli, Anna Shepelyeva,
Rikako Shibamoto, Céline Janou Weder
Leonardo Basílio, Marat Davletshin, Marcin Dempc, Alexis Foraboxdo,
Trevor Hayden, Igor Milos, Gabor Oberegger, Kamil Pavelka,
Tristan Ridel, James Stephens, Richard Szabó, Dumitru Taran
Zsolt Török, Arne Vandervelde, Jaimy van Ovreen, Géraud Wielick

先日予告した通り
今シーズン2回目のオネーギンが同じキャストだったので
ヨハネの受難曲は知り合い(犠牲者とも言う)に押し付けて
国立オペラ座に向かう。

今回のオネーギン、何故か売り切れ公演なのだが
実は数週間前に
常連の皆さま、オネーギンのチケット半額で買えます
というメールが入って来て

くそ、全公演、もうチケット持ってるわよっ!

ワタシの場合、こういうケースが非常に多い。
でも、持ってるチケットが貧民席だから
半額になったとしても数ユーロの違いだし(自爆)

2回目だけど
やっぱりマーシャとナターシャに悶絶。

ナターシャがキュートというのは
もう読者は耳タコだろうけれど
ただの可愛さだけでは
あれだけ舞台の上では光らない。

もちろん優れた技術を持っているのだが
それ以上に身体から滲み出る表現力が凄いのだ。
ちょっとした身体の向き、手の使い方などに
オルガという役としての無邪気さが表現されている。

だから、バレエなんだけど
ストーリーがリアルに見えてしまう。

デニスとのパ・ド・ドゥで
リフトが、もう涎が出そうに見事で優雅で
ナターシャのボードブラ、何という表情のある腕なんだ!!!

デニスのレンスキーも素晴らしい。
貴族のおぼっちゃまで
優しそうな男性が
オネーギンと、悪戯心だったにしても
ちょっと揶揄いに度が過ぎちゃったオルガに対して
怒りに任せてオネーギンとの決闘を突きつけた後

決闘前に踊るソロが
何と言う複雑な心境を現している事。

自分のプライドを守るために
何かとんでもない事をしでかしてしまった
という心情もチラチラ見えるし
これでこの世からおさらばかもしれない、という
ほんの少しの恐怖心とためらい。

ええ、バレエですからね
激しいピルエット繰り返して
すごいジャンプ何回もして、というのが
実際に舞台から我々に見えている情景で

それに心理ストーリーを足しちゃうというのは
鑑賞している側の勝手な思い込みに過ぎないのは
よ〜くわかっているのだが

クランコの振付とチャイコフスキーの音楽
そしてダンサーの身体が
否応なく観客に訴えかけてくるのだ。

そうなると、我々は魔法にかかったように
ストーリーの中に引き入れられてしまう。

第3幕のマーシャの演技の凄まじさについては
この間も延々と書いたけれど

グレーミンとのパ・ド・ドゥの
あの凍り付いたような表情が
その前に絶望して出てくるオネーギンの表情と
すっぽり重なってくる。

マーシャの冷たい、というよりは
何もない、諦め切った空虚な表情と
グレーミンに見せる、演技っぽい上っ面だけの薄い微笑みに
背筋がゾクッとする。
グレーミンは惚れているのに
タチヤナはグレーミンには何の情熱も持っていない。

エノのオネーギン
この間より役作りが深くなった。

というより、私は第一幕から
エノはウルリヒじゃない
カレーニンだ!(それも違うがまぁ、イメージとして)
と言い聞かせていた事もあって

マーシャのパートナーとして、素晴らしかった ♡
いやもう、今回のエノは
申し訳ないけれど、マーシャの引き立て役に徹した感じだな。

それ位、マーシャの踊りと役作りが素晴らしい・・・

さてこの演目、
次は3月22日で
これがマリアとローマン(!!!)のカップリング予定。
・・・私、出張なので観に行けない(号泣)

4月に入るとニナ(ポラコヴァ)とローマンの組み合わせで
この時は木本クンがレンスキーを踊る ♡

先シーズンのクリップだが
ローマンとニナ(ポラコヴァ)、デニスのビデオをどうぞ。



う〜ん、ローマンってやっぱりカッコいいわ・・・(ため息)
背は高いし、身体の均整が取れていて実に優雅だし
ボロボロになる役がピッタリだし。

観て幸せになる、という演目ではないのだが
別世界に連れられていって
女性が空を飛んで(まるで天使だ)
複雑な人間の感情の深さに触れられて

オネーギンって、いつも
何でタチヤナが
最後のところで
縋るオネーギンを踏みつけて
アホかお前は! とか
苛めないんだろう・・・と
(私だったら間違いなくやるね)
不思議に思っていたのだが

グレーミンを愛してないからなのね、と
マーシャのバレエを見て、ストンと納得した私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



3月3日はひたすら残業していて
ひな祭りとか考えてもいなかったので
このバナーを貼っておく
・・・と、こういう事やってるから行き遅れになったんだわ(涙)

オネーギン 5回目

Wiener Staatsballett 2017年3月1日 19時30分〜22時

ONEGIN
Balett in drei Akten von John Cranko
nach dem Roman in Versen EUGEN ONEGIN von Alexander Buschkin

振付・演出 John Cranko
音楽 Peter Ilijitsch Tschaikowski
編曲・オーケストラ編曲 Kurt-Heinz Stolze
舞台 Elisabeth Dalton
照明 Steen Bjarke
指揮 Guillermo García Calvo

オネーギン Eno Peci
レンスキー Denys Cherevychko
マダム・ラリーナ Erika Kováčová
タチアナ Maria Yakovleva *
オルガ Natascha Mair
乳母 Franziska Wallner-Hollinek
グレーミン侯爵 Alexandru Tcacenco *

友人、農民、サンクトペテルブルク社会の人たち
Abigail Baker*, Elena Bottaro, Marie Breuilles*, Natalya Butchko*,
Iliana Chivarova, Adele Fiocchi, Erika Kováčová, Zsófia Laczkó*
Kathalina Miffek*, Andrea Némethová, Suzan Opperman,
Alaia Rogers-Maman, Carolina Sangalli*, Anna Shepelyeva,
Rikako Shibamoto*, Céline Janou Weder
Leonardo Basílio, Marat Davletshin, Marcin Dempc, Alexis Foraboxdo,
Trevor Hayden, Igor Milos, Gabor Oberegger, Kamil Pavelka,
Tristan Ridel, James Stephens, Richard Szabó, Dumitru Taran
Zsolt Török*, Arne Vandervelde*, Jaimy van Ovreen, Géraud Wielick

1年振りのオネーギン。
今回のキャストを見て、キャーッと叫んだのは
私だけではない筈。

プリンシパルのマーシャのタチヤナ役デビュー ♡

マーシャって、タチヤナ踊った事、なかったんだっけ?
確かに先シーズンはケテヴァンやイリーナが踊ってたけど。

相手役がエノ。
レンスキーがデニスでオルガがナターシャ。

開演前から涎が出そうなキャスティング。

マーシャのタチアナ、凄かった。

よく「入魂の」とか言うけれど
あれだけ技術的に困難な役なのに
一つもひけらかすところがなく
完璧に演技の中に組み込まれた自然さで

しかも演技と思えない演技。
深い部分まで心理を追求して役作りしていて
最初から最後まで
ストーリーとして観ても、不自然な部分が全くない。

マジメでインテリな田舎娘のタチヤナが
物憂げで洗練されたオネーギンに
引きつけられていく様子が
あああ、こういう惚れ方ってあるよね・・・
(↑ 多少、青春の恥を思い出したりして(笑))

その物憂げなオネーギンのエノは
2日前に意地悪婆さんシモーヌを踊っていた。
昨年、この役を踊ったとしても
リハーサルの時間とか、あんまりなかったんだろうなぁ。

最初のソロが、ちょっと
え〜っと、カウント取って踊ってるよね
役作りと言うより、ちょっと体操になっちゃって
第一幕ではデニス・ナターシャのカップルに
マーシャのタチヤナとあっては
エノのオネーギンだけが、ちょっと浮いている印象。

デニスとナターシャのカップルは
もう、何か、コミックでも見ているかのように
とことんキュート、むちゃくちゃカワイイ。

ほら、ウエディング・ケーキの上に乗せる
ウエディング・カップルのお人形があるじゃないですか。
あれの、ものすごくキュートな版としか思えず
あの2人のフィギュアとか作ったら
考えもせず100個くらい買ってしまいそうだ。

ナターシャのバレエって
以前からキュートだったけど
デニスとのパ・ド・ドゥが、実に素晴らしい。

最近の演目では
ほら、見て、私、カワイイでしょ?というところが
鼻につきかけたところもあったのだが

今回のオルガ役は
あくまでもキュートなオルガに徹して
ナターシャそのもののキュートさというより
オルガ役としての無邪気さやシンプルさが
ばっちり前面に出て来ていて好感が持てる。

デニスがこれまたチャーミング ♡
テクニックは鉄壁だし
ピルエット一ヶ所で完璧に廻れるし
ジャンプが高いし
小柄なところが、また上品さになって
貴族のお坊ちゃまっぽいところがまた良いの。

デニスのサポートが巧い上に
ナターシャのテクニックも完璧なので
この2人が踊ると
ナターシャが宙に舞っているように見える。
(デニスのリフトの上げ方、下ろし方が優雅なのだ)

ナターシャのオルガがパーティで
オネーギンにちょっかい出されて
ついつい若人の傍若無人さで
レンスキーを無視して笑って遊んでしまうところもリアル。

ナターシャのオルガだったら、あれ、やるよねぇ、と納得する。
だって、ちょっと小悪魔だもん(笑)

マーシャのタチヤナとエノのオネーギンの
最初の幕のデュエットも、ため息モノで

エノのオネーギンは、田舎の別荘に登場する時は
シリアスな顔をしているのだが
このシーンはタチヤナの妄想なので
タチヤナに惚れている表情が

・・・ちょっと待て。

何かそれって、ただニコニコ、ニヤニヤしているように見えて
あまり惚れているようには・・・(いや、偏見・独断)

ただ、エノのオネーギンのリフトは完璧。
マーシャのバランスも完璧。
あのアクロバットなシーンが、ものすごくロマンティックになる。

クランコがこの振付で
女性が空に浮くような、というイメージがあったようだが
マーシャは、まるで体重のない天使のように
本当に空を舞う感じ(夢の中というのが異様にリアル)

手紙を渡して破られるタチアナの表情がまた良い。
ここでは、タチヤナは、まだ、田舎娘で
成熟した女性ではなく
恋に恋したところを、冷たく拒絶された、という悲しみ。
だから、ここで泣くところは
マーシャは、ものすごくキュートに泣く。

打って変わって第三幕。
グレーミンの妻になったタチヤナ。

グレーミンとのパ・ド・ドゥでは
幸せそうには見えない。

いや、充分に一般的に「幸せ」ではあるのだが
グレーミンには惚れてません、というのが如実に出ている。
妻としては尊敬してます、って感じか。

オネーギンからの手紙をもらって動揺して
グレーミンが去るところに
行かないで、と縋るのに対して
グレーミンが(ほら、惚れられてないから)
一体どうしたんだ?と当惑するのも
その前のパ・ド・ドゥで
タチヤナがグレーミンに「惚れて」はいない事が
よく分かるからこそ、ストンと落ちるシーン。

現れるオネーギン。

うっ・・・・(沈黙)

エノは段々役にハマって来て
素晴らしいのだが、だが、だが、だが、だが

エノがメイクして口ひげ生やすと
こうもりのウルリヒにしか見えない(涙)

ごめん、エノ!!!
だって、あのウルリヒは絶品だったんだもん。

そのコミカルなウルリヒが
タチヤナに縋っても
ダメだ、私、どうしてもちょっと・・・

対するマーシャのタチヤナが凄まじい。

最初は夫に操を立てて
冷たい表情で、何ですか、アナタは、と
キッパリ拒絶しているのだが

実はグレーミンよりオネーギンの方が好きなので
(まぁ、愛してるとは言わんけど(笑))
理性的な部分が吹っ飛んで
どんどん引きつけられていって

とうとうオネーギンの胸に飛び込んで
理性がぶっ飛ぶ様子なんて
こちらまで、完璧にその心理にズブズブ嵌ってしまう。

ここでは、最初のキュートな田舎娘ではない。
成熟した女性の、本当の愛が見え隠れする。

それを無理やり理性で抑え込んで
手紙を破り捨てて拒絶しなければならないシーン。

タチヤナが、どんなに自分を抑制しているか
震えが来るほどにリアルに演じ上げる。

オネーギンが去った後の号泣。
これは、田舎娘が手紙を破かれた時の涙とは全く違う。

マーシャ、本当に泣いてた。

ついでに、こっちも泣きました。

あまりにタチヤナの気持ちが分かり過ぎた。
バレエでここまで心理的に同調してしまうなんて。
(まぁ、オペラだと絶対同調しないけど
 バレエって、アクロバットにならず
 納得いく演技でやられるとね・・・・)

カーテンコールで姿を見せたマーシャは
まだ泣いていて
全然、現実の世界に戻って来ていない。

小悪魔的で、キュートで、お姫さまで
ほら、ワタシ、カワイイのよ、という印象だったマーシャだが

その小悪魔的な部分は
最初から最後まで、全く一つも見せずに
タチヤナという役になりきって
その複雑な心理を見事に舞台に乗せたのは圧巻。

次の公演は土曜日3月4日で
実はコンツェルトハウスのヨハネの受難曲のチケットも持っていて(汗)

だって、オペラ座のチケット発売って2ヶ月前なんですもん。
その時に、まだキャストの発表がないから
もし、この日のキャストがむにゃむにゃむにゃなら
ヨハネの受難曲に行こうと思っていたのです。

でも、3月4日のキャストは本日と同じ予定。
もちろん、ヨハネの受難曲は袖にして
オペラ座に行くわ、という私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



ご心配なく。
ヨハネの受難曲の方は
日曜日のチケットも買ってあります(爆笑)

フローリアン・ベッシュ + マルコルム・マルチヌー

Wiener Konzerthaus Mozart Saal 2017年2月28日 19時30分〜21時15分

バリトン Florian Boesch
ピアノ Malcolm Martineau

Franz Schubert (1797-1828)
 Die schöne Müllerin D 795 (1823)

この間の日曜日から
ほとんど日を空けずに
またバリトンでの「美しき水車小屋の娘」

フローリアン・ベッシュについては
何回か書いてもいるし
この深いバリトンの
ゾッとするようなシューベルトの「冬の旅」は
ナマでも何回か聴いた。

けど、今度は水車小屋の娘?
なんか、あのバリトンの声質のイメージに合わないんだけど・・・

登場したベッシュ
歌う前に突然

今日は自殺はないです

って・・・わっはっは、そういう解釈か。
歌った後に、この解釈についての解説があるとの事で
その説明は聞かずに
まずはベッシュがあの声で
美しき水車小屋の娘を、どう落とすか(こらっ)お手並み拝見。

最初から、えらく元気な青年(というかガキだな)登場(笑)

でも、すでに Das Wandern で
節ごとの表現が素晴らしい。
どの歌手も、どのピアニストもやるけれど
ピアノの音の重さとタッチを変えて自在に音を操るピアニストと
元気な声から、しっとりしたところまで
これも変幻自在のバリトンの表現に心を奪われる。

落ち着いた色調のリートの後
Am Feierabend で登場した親方が
どう見てもベテランの落語家にしか聞こえず(すみませんっ!)
いや、堂々としていて、実に良いのであるが
その後の娘のセリフ
最初を本当に(バリトンかお前は!)ソット・ヴォーチェでやった後
繰り返しを力強く歌ったので

あっ、この2回目の Allen eine gute Nacht の繰り返し
この若者の心の中のリピートで
なにぃ、みんなに良い夜をだって?!
ボクだけじゃないのか、ふざけるな(妄想)

Ungeduld あたりは
何か、怒っているように聴こえる程のエネルギーで
そんなコワイような声で
ボクの心はキミのもの、とか叫ばれても
・・・ちょっと困惑するだろ、これは(汗)

Des Müllers Blumen あたりは甘い声でゾクゾク。
その後の Tränenregen は後の解説で大きな役割を果たす事になる。

Der Jäger から Eifersucht und Stolz を
ドラマチックに歌い上げた後の
Die liebe Farbe の空虚さの対比に鳥肌が立つ。

しかもピアノがまたドラマチックで惚れるわ ♡
バリトンだからかもしれないけれど
低音がバッチリ効いていて(低音好き)

さて、最後の子守唄
自殺じゃない、と最初から言ってたから
もっと明るく歌うのかな?と思っていたけれど
ドラマチックではあっても、別にむちゃ明るい訳ではなくて
割に普通に歌った、という印象だった。

しかしまぁ、一風変わった水車小屋の娘ではある。
我々がディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウあたりで
聴き慣れた「キレイな」リーダー・クライスと全く違って

オペラ・・・とは言わない
オペラちっくな表現はない
けれど
ドイツ・リートの持っている劇的な部分を
これでもか、これでもか、とばかりに聴かせてくれた感じ。

さて、解説の時間です(笑)

ベッシュ曰く
「僕は、この「美しき水車小屋の娘」が
 どうしてもわかりませんでした」

私の乏しいドイツ語理解力で分かった、という部分だけだし
何らかの私の偏見や誤解が入っているかもしれないが

これは青年と小川の対話です。
で、私は、小川というのは、いったい何だ?と
ずっと疑問に思って来ました。

・・・で、どっか一ヶ所に
小川が語りかける部分が、という話があったのだが
いったい何処だったっけ?(記憶力ゼロ(恥))

その深い小川の哲学的語りかけに応えたのが
最後の曲だそうで
自殺ではなく、もっと心理的に深い部分に入っていく象徴
・・・とか何とか(もう混乱しているワタシ)

ただ、面白かったのが
観客からの質問で

あなたの歌は、愛してる、と歌いながら
怒っているように聴こえたのですが

これ、かなり鋭い質問で
ベッシュも、おお、よくぞ聞いてくれた、とばかりに

Tränenregen の話になった。

この「涙の雨」という曲
確かに、このチクルスの中で
唯一、青年と娘が会話する曲なんだけど

ご存知の通り
2人で小川のほとりで、小川に2人が写っていて
青年の涙が小川に落ちると
娘が、あら、雨だわ、私、帰るね・・・という曲で

ベッシュ曰く
小川に2人が写っていると言う状況は
こうやって座って、乗り出して
2人で小川の上に顔を出している状態で

そこに落ちた涙を
雨と思って、じゃぁ、帰るね、という
この娘は、青年の感受性を全く理解できていない。

・・・まぁ、女性ってそういうモンでしょう。
男性が女性に期待し過ぎだ(爆笑)
ベッシュは、ここで
ずいぶん娘をバカにした振りをしていたけれど
プラグマチズムの強い女性は、だいたい、そんな感じだと思うよ?

その後の Mein ! で怒っているように聴こえるのは
そういう感受性を理解しない
要は世界観として、全く青年と別個な世界に生きている
俗物の女性を愛している、という状況に
青年が自分で自分を強制的に追い込んでいるから

・・・何となくわかるぞ、これ。

そうなんだよね
この「美しき水車小屋の娘」というチクルス聴いていると
私には、どうしても、この娘が
一時でも、この青年を愛したとは思えず

せいぜい、感受性の強いインテリな男の子が
何か、必死に縋ってくるから
ちょっと、手を出しちゃおうかなぁ
程度にしか聴こえない。

だいたい小川のほとりで2人で居る時に
小川の上に乗り出して、2人で小川に写る自分たちを見てるか?
普通だったら、小川見るんじゃなくて
お互いに見合ってイチャイチャだろう!!!

だから、確かにこのストーリーは
ラブストーリーでも、失恋物語でもなく
世界観が違う男女がくっつくのは無理・・・じゃなくて(冷汗)
見た目の美しさに夢中になって
知能程度の低い女性にひっかかっちゃダメよ・・・じゃなくて(冷汗)

何なんだ、このストーリー???
よく考えてみれば
最初から最後まで、青年の空回りだよね?

ベッシュに言わせると
この曲はロマンチックにキレイに歌おうとすれば
それなりに歌えてしまうし
今まで、ずっと、そのように歌われて来たけれど
実は違うんじゃないか。

15年前だったら、こういう歌い方は出来なかった
と言っていたけれど

それだけ、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウの
呪いというものは強力だったのだ。

本当にや〜っとここ数年
その呪縛から解放された才能ある歌手たちが
あの世代の歌手には思いもかけなかったような
新鮮な切り口でドイツ・リートを歌うようになってきて

オバサンの私も、やっと呪縛から解放されたような気がする。

もちろん、ベッシュが強調して言っていたけれど
歌い手にも聴き手にも
それぞれの解釈があって
ベッシュの解釈が唯一正しいものではない。

ただ、音楽的なアプローチではなく
テキストからの分析、という意味では
非常に面白い30分だった。

こういう実力のある歌手が
心理的に深い部分での考察や分析を重ねて
全く違う世界を聴かせてくれた時間は
睡眠不足だろうが
仕事が溜っていようが
行って良かった!!!と思わせる
充実した時間だった。

と、感覚的にも理性的にも
充分に満足して
オフィスに残業しに帰った私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



いや、でも去年の2月・3月に比べたら
地獄と天国くらいの差はある(と思わないとやって行けない(笑))
何とか3月が過ぎてしまえば(え〜い、無事に過ぎろ!)
その後は、ぐっと楽になる(はず)

リーズの結婚 11回目

Wiener Staatsoper/Staatsballett 2017年2月27日 19時30分〜21時40分

LA FILLE MAL GARDÉE
Ballett in zwei Akten nach einem Libretto von Jean Dauberval
振付 Frederick Ashton
音楽 Ferdinand Hérold, frei bearbeitet und eingerichtet von
John Lanchbery nach der Fassung von 1828
舞台・衣装 Osbert Lancaster
指揮 Simon Hewett

未亡人シモーヌ Eno Peci
リーズ Liudmila Konovalova
コラ Jakob Feyferlik
トーマス Gabor Oberegger
アラン Richard Szabó
村の公証人 Wendelin Viehweider
書記 Robert Weithas
オンドリ Marian Furnica
メンドリ Abigail Baker, Marie Breuilles, Joanna Reinprecht, Carolina Sangalli
リーズの友人 Elena Bottaro, Iliana Chivarova, Adele Fiocchi, Eszter Ledán,
Anita Manolova, Anna Shepelyeva, Franziska Wallner-Hollinek
村の住人たち Natalya Butchko, Vanessz Csonka, Adele Fiocchi, Sveva Garguilo
Oxana Kiyanenko, Erika Kovánová, Zsòfia Laczkó, Katharina Miffek,
Andrea Némethová, Suzan Opperman, Alaia Rogers-Maman,
Rikako Shibamoto, Céline Janou Weder
Leonardo Basílio, Marat Davletshin, Alexis Forabosco, Trevor Hayden,
Igor Milos, Tristan Ridel, James Stephens,
Alexandru Tcacenco, Zsolt Török, Arne Vandervelde,
Jaimy van Overeem, Géraud Wielick

どうせ11回目ですが、それが何か?(開き直り)

2月のリーズの結婚は
リュドミラがリーズにキャストされていたので
あまり期待せずにチケットを買ったのだが
(すごく売れていて、ちと高い席を・・・(汗))

蓋を開けてみたら
相手役にヤコブ!!! ♡
シモーヌ役がエノって
これは期待できそう。

で、期待に違わずの出来。
リュドミラは若いのに、ちょっと年増に見えるので
あまり望遠鏡で覗かないようにして
ヤコブとかエノをしっかり見ていた。

リュドミラはテクニック的には鉄壁なので
遠目から見ていれば、素晴らしいのである。

ヤコブの可愛らしさ
手足の長さ
足をあげてジャンプする時の空間の掴み方

もう、なんて美しい体型なんでしょう、このダンサーは。
しかもまだ20歳って
末恐ろしいわ。
本当の王子さまだわ 😍

ヤコブを望遠鏡で見ながら悶えまくっていたが
それを越えて、ともかく凄かったのが
エノのシモーヌである!!!!

いやもう、あはあはあは
そんな演技ってあったか?というような
細かいところの振りや
表情が、むちゃくちゃ可笑しいの。

最後のシーンで
コラ(=ヤコブ)がリーズ(=リュドミラ)を
お姫さま抱っこした時に
その後ろで、エノが誰かをお姫さま抱っこしていたのには
ひっくり返りそうになった。
(望遠鏡でヤコブばかり見ていたので
 後ろのエノが誰を抱っこしたのか
 確認できなかったのは残念だ)

ともかくエノの演技が面白すぎる。
ローマンもアンドレイも、それなりにキャラ立っていて
コミカルなんだけど
エノのあのキャラの可笑しさって
いったい何処から出てくるわけ??

リッチーのアランもなかなか奮闘 ♡
可愛らしくて無邪気でアホで
観客からも大いに笑いを取った。

今回はちょっと高い席だったので
周囲の観客がお上品(笑)
開演前に

「今日の出し物、何だった?」

と聞かれて、椅子からずり落ちそうになったのだが
アボと言われる
色々な演目を詰めた幕の内弁当みたいな
シーズン・チケットを持っていらっしゃるそうだ。

お隣の年配のご婦人に
この演目見た事ある?と聞かれて
はい、11回目です(向こうは目を剥いていた(笑))

見どころなどを熱く語っているうちに
前に座っていたアボの年配の男性も
君はバレエの専門家かね?みたいに会話に加わって来て
その後、いらした奥さまも会話に加わって

いやぁ、久し振りに熱くバレエを語ってしまった(アホ)

でもこの演目、みんな幸せな気分になれる。
ニコニコしながら
楽しかったね〜 ♡ と声を掛け合いながら
劇場を出て行く事が出来るのは、とても貴重。

久し振りに観たけれど
やっぱり、楽しいし面白いし
舞台の色がキレイで
すごくリラックスできる。

そうよ、仕事の合間に行くんだったら
こういう演目に限るわ。
田舎のおとぎ話のラブストーリーって
実に良い気分転換になる。

でも、ヤコブとリュドミラのカップルが観られるとは。
(もともと確かミハイルが配役だった筈だ)
ヤコブが観られたのは、本当にラッキー ❤️

ヤコブとナターシャやニナ(トノリ)だったら
悶えまくって失神しそうになって
その後、仕事をする気にはなれなかっただろうから
鉄壁テクニックで
ほら、私、キレイでしょ?というお姉さんリュドミラで良かったかも。

いやしかし
藁の上でのラブシーンで
リュドミラとヤコブ、マジ、本当に
かなり熱いディープ・キッスをしていた時には

こら〜〜〜っ!!! 😾

海千山千の年増が
若いキュートで擦れていない男の子を
誘惑するな、堕落させるな
手を出すなっ!!!
え〜い、リュドミラ、ヤコブから離れろ!!!

と、かなり嫉妬混じりの激情に駆られていたのだが。
(だからね、やっぱり、すごく羨ましいわけですよ、うん)

かと言って、若い男の子に手を出すだけの
魅力も財力も自信もないので

やっぱり遠くからオペラ・グラスならぬ
望遠鏡で覗くくらいが、ちょうど良いわ ♡
と思っている(かもしれない)私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。


ウィーン交響楽団 + フィリップ・ジョルダン

久し振り?に
日曜日のダブルヘッダーです。
時系列に読みたい方は、まず こちら からどうぞ。
下は夜のコンサートです。

Musikverein Großer Saal 2017年2月26日 19時30分〜21時20分

Wiener Symphoniker
指揮 Philippe Jordan

Ludwig van Beethoven (1770-1827)
 Symphonie Nr. 1 C-Dur, op. 21
 Symphonie Nr. 3 Es-Dur, op. 55 “Eroica”

実はこのコンサート
昨日の土曜日と今日の日曜日にあって
本当は2回行く予定にしていたのである。

1週間に1回、週末にチケットを纏めてバッグに入れるのだが
あれ? 土曜日のコンサートのチケットがなくて
日曜日のコンサートのチケットが2枚???

げげげげげ〜っ 😱

私、カレンダーに間違えた日付を書いて
土曜日のコンサートじゃなくて
日曜日のコンサートのチケットをダブルで買っちゃったのか。

時、既に遅し
土曜日のコンサートのチケットは売り切れ。

日曜日の2枚目を楽友協会にリセールで持っていった時に
土曜日のチケット、まだないかなぁ、と聞いたら
申し訳なさそうに、売り切れなのよね、と言われてしまった(涙)

何故にウィーン交響楽団のコンサートが
2回続けて売り切れなんだっ!!!
(いや、すみません、失礼な言動を・・・)

さて、2回目のコンサートになる本日のベートーベン。
フィリップ・ジョルダンが
ウィーン交響楽団と、これから行なう
ベートーベン・チクルスの1回目。
(ウィーン・フィルとティーレマンみたいに
 チクルスにはなっていないが)

バッグにスコアを突っ込んで
会場に到着してからも
スコア見ようか、指揮者をガン見しようか悩んだのだが
まず1番はスコアとにらめっこ。

うわ〜、すごいぞ、この1番。
弦のニュアンスが豊かな事。
しかもアンサンブルがピッタリ揃って
何とも混じりっけのない、すごく透明な音色なのに

何てベートーベンらしいというか
この曲そのものは
まだモーツァルトやハイドンの影響が強いとは言え
そんな伝統的な作りの中でも

ベートーベンらしいワイルドな破天荒さが
あちこちに顔を出して
悪戯っ子がニヤニヤしながら
あちこちを元気一杯で駆け回っているような印象。

ティンパニを強めに出して
速めテンポのノリの良い演奏なのだが
一点の曇りもない揃った弦の透明な美しさに
茶目っ気のある木管や金管が大暴れして

ひえ〜っ、これはたまらん!!!
何か身体中をくすぐられている感じがする。

ちょっと笑っちゃうというか
スコア見ていても面白いんだけど
繰り返しの時はスコアから目を離して
音に集中すると、もっと跳ね返りで面白いし。

スコア見ながら
時々、天井を虚ろな目つきで見上げながら
ニヤニヤ独りで笑っているアジア人というのも
かなり不気味な存在かもしれない(すみません)

イケメンのジョルダンのお姿も拝見したいが
スコアを手に
目から耳から、という
身悶えする程の快感も捨て難く
(どうせヘン○イです)

後半のエロイカも
スコアに頭を突っ込む事にした。

第一楽章のダカーポの前で
グッとテンポを落とすというアゴーギクは珍しかったが
アクセントの付け方が絶妙で
息をつく暇もないほど
駆け足で全身を持って行かれる気分。

何と言うダイナミズム。
モダン・オーケストラでの演奏なのに
ピリオドの小編成のごとくにスッキリ軽く
イヤミがなくて華やかで

あぁ、ベートーベンって
当時のヒットメーカーだったんだよなぁ、って
ひたすらエンターテイメントと納得してしまう。

第2楽章の埋葬行進曲も
ちょっとあれ?と思う程に
思い込みだの、重たい精神性だのがない。
純粋に音楽として
丁寧で、軽く、モダンなのに大袈裟感がない。

何とも言えず、爽やかなのだ。
こんなベートーベンってあったっけ?
聴き慣れた曲なのに、何て新鮮に響くだんろう。

第3楽章からはスコアを閉じて
イケメン指揮者を拝見。
(あの楽章、速すぎてスコア見てもついていけないだろうし(笑))

正に疾走、小気味が良い。
しっかり丁寧に歌わせているのに
出てくるエネルギーの量が半端じゃなくて

1番もそうだったけれど
ちょっと笑っちゃうほどに
ベートーベンのイタズラ風味や
うはは、とニヤニヤ笑いながら
あちこちに翻弄するトリックを仕掛けているのが聴こえて来る。

例のホルンのパッセージの見事だった事。
惚れ惚れするわ。
ウィーン交響楽団、もともと管は名人揃いだし
それに、今回みたいに鉄壁のアンサンブルの弦が加わると
このオーケストラも時々、異様に無敵になる(笑)

この曲のハチャメチャな最終楽章
実は大好き ♡
ベートーベン得意のバリエーションが
これも息をつく暇もなく
次から次へと
まるでヤケッパチみたいに華やかに
極彩色の紙芝居でも見ているかのよう。

今さらベートーベン?と思っていたけれど
やっぱりベートーベンって凄い。

というより
これだけ手垢のついた古典作品を
ウィーン交響楽団とフィリップ・ジョルダンが
手垢を擦り落として
ピカピカの新鮮な状態で
でも、根本的な部分の音響の美しさとか構成は
そのままのオリジナルな形で
見事に聴かせてくれたのがむちゃ嬉しい。

それだけに昨日、聴き損ねたのが残念(涙)

アンコールにプロメテウスが演奏されて
これもモダン・オーケストラなのに
すっきりした音を響かせてくれて
ものすごくお得な気分で
楽友協会を後にした私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。


マティアス・ヘルム + デュオ・ハザード

Gemäldegalerie / Akademie der bildenden Künste Wien
2017年2月26日 11時〜12時20分

バリトン Matthias Helm
ギター Duo Hasard / Stephan Buchegger, Guntram Zauner

Franz Schubert (1797-1828)
 Die schöne Müllerin D 795 op. 25

名だたる歌手のコンサートに出掛けている私なので
このバリトンはいったい誰だ?と思う人もいるだろう。

オーストリアのバリトンで
公式ウエブ・サイトは ここ

ツィッターで私をフォローしている人は
記憶にあるかもしれないけれど

ブラームスの「4つの厳粛な歌」を
現代曲にしてオーケストラにしたという作品を
ウィーン・フィルが演奏した時に
オリジナルを Youtube で探していて

その中で見つけたクリップが
あまりに巧かったので
いったいこれ誰?と調べたのが
この歌手だった。

よろしければ、私が一発で参った当該の曲をどうぞ ♡



公式サイトにこのコンサートの告知があったのだが
会場になる造形美術アカデミーには何も記載がない。
電話して、このコンサート、あるんですか?と確かめて
更にメールで1枚チケットを予約した。

チケット30ユーロというのは
ワタクシ的には、かなり高い 😓
でも美術館が会場だし、客席もそんなにないだろうし・・・

で、いくら Youtube でスゴイとか思っても
実際に聴いてみたら、声量がないとか
これだけ歌える人が、中央舞台に飛び出して来ないのには
何か理由があるかもしれないし。

こんなプロモーションされていないコンサート
集まって来るのは関係者ばかりじゃないか、と
ちょっとドキドキしていたのだが

会場に到着してみれば
結構な数の人が来ていて、ほとんど空き席のない状態。
(とは言え、窓口でダレダレさんがどうのこうのと
 料金払わずにチケットもらった人もいたから
 やっぱり半分以上は関係者だろうという疑惑はある)

会場は造形美術アカデミー・ギャラリーのイタリア絵画の部屋。
かなり狭いし、狭いだけに音が響く。
最初の担当者のスピーチの時に
うっ、これ、響き過ぎでヤバイかも、という懸念はあった。

ギター伴奏の「美しき水車小屋の娘」と言えば
私の世代だと、ペーター・シュライヤーを思い出す。
楽友協会のブラームス・ホールでナマでも聴いた。
(確かピアノとチェンバロとギターで
 続けざまにリサイタルした時だ。何年前かは忘れたが)

今回はギター2本。
ギターの音量は、こういう小さいホールだとキレイに聴こえる。
が、やっぱり歌手の声がデカイ。
響き過ぎるのだが
だからと言って、声楽で出せる声を抑えるというのは
大変な腹筋が必要なので(あ、話がズレる・・・)

時々、音が飛ぶ時の音程が不安定に聴こえて来たり
ほんの少し、下から上にポルタメントがかかったりするが
(でもこれ、他の歌手でもよくあるので、そういう曲なのか?)

ドイツ語は明確に聴こえてくるし
リート内容の表情も、かなり出ている。

Am Feierabend の、娘さんの挨拶は
やっぱりバリトンだとちょっと無理がある(笑)

音程が本当に不安定なのかは
Der Jäger を聴けば一発でわかるはず。

で、その Der Jäger が

ドラマチック ♡ むちゃくちゃ良いっ!!!

ナニこの人、凄いじゃないの。
それ以前は、ちょっとぬるま湯的な緩さがあったのに
ライバルが出現してからの劇的な変貌と
その怒りの語り口が実にリアル。

怒りから悲しみになり
慟哭から諦観に至る後半の部分が
切々と心に迫ってくる。

若かりし頃の私は
前半の恋にウキウキの方が好きで
後半はちっ、軟弱者め、とか思っていたのだが
歳取ると、後半の方が響いてくるのか(いや違うかも)

嫉妬と怒りの部分の声量は大きいけれど
そろそろホールの音響に耳慣れもしてくるし

その後の、声を張り上げない悲しみの部分は
ギターの音色と相まって
内省的で親密で、しっとりしていて

うわああああ、参った、参りました。
これこそシューベルトだわ。

ギター伴奏は2本なので
ピアノ伴奏の取り残しの音符はない。
ほんの少しの傷はあったけれど
それは想定内。

加えてドイツ語が美しい 😍
   ↑これ重要!!!

ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウで育った私は
ドイツ・リートの美しさというのは
80%以上がドイツ語の美しさだと確信しているから
これだけ美しい明確なドイツ語が聴こえてくると
それだけでメロメロになる。

あの Der Jäger にしてからが
あのテンポの、どう考えても歌手苛めのドイツ語早口言葉を
目にもつかぬ速さで、しかも一言も疎かにせずに歌い切った 👏

シューベルト時代のホーム・コンサートというか
(まぁ、ホーム・コンサートと言い切るには
 バリトンの声量がプロだから(笑))
良いよね、こういう、何ともファミリー的な雰囲気 ♡

コンサートの後、アンコール1曲あって
外でシャンパンやオレンジ・ジュースが用意されていた。

知り合いとかと行けば
そこでしっかり料金のモトを取るのだが(こらっ)
1人でシャンパン飲んでも面白くないし(イジイジ)

朝8時からのサウナの後だし
最近また偏頭痛がチラチラ顔を出しているので

久し振りに造形美術アカデミーの絵画ギャラリーを廻って
レンブラントにドキドキして
ボッシュの祭壇画にドキドキして
入り口のシャンパンが供されている場所に戻ったら

まだ、ほとんどの人が残っていてシャンパン飲んでる(笑)

更にチラッと見たら
ギタリスト2人と歌手も混じってる(笑)

入場券売り場に CD がある、と言うので買って
チラッとバリトンと目があったら

歌手の方から、こんにちは!と声をかけて握手して来た(驚愕)

な、な、何なんですか、この気取らない雰囲気???
(どこかのオーケストラが友の会のリハーサル後に
 やっぱりシャンパン供するけど
 私、オーケストラのメンバーに挨拶なんかされた事ないよ?)

邪推=歌手とギタリストの知り合いばかりなのに
知り合いではないアジア人の女性が来てるけど、これ誰?

CD にサインしてもらって
実はね、Youtube のブラームスで見つけたので
・・・と言ったら、うわ〜、そういうプロモーションの効果が
と歌手自身が驚いていたみたい。

でも、このマティアス・ヘルム
またドイツ・リートのリサイタルをやるのなら
追い掛けてみたい。
できれば、もう少し広めのホールで
リートに適した音響のところで。

まだまだ知られていない
才能豊かなドイツ・リートの歌い手を発見して
ちょっと嬉しい私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



努力しないで出世する方法 フォルクス・オーパー

Volksoper 2017年2月23日 19時〜22時

Wie man Karriere macht, ohne sich anzustrengen
(How to Succeed in Business Without Really Trying)
Musical in zwei Akten
Buch von Abe Burrows, Jack Weinstock und Willie Gilbert
Musik und Gesangstexte von Frank Loesser
Koproduktion mit der Staatsoper Hannover

指揮 Joseph R. Olefirowicz
演出 Matthias Davids
舞台 Mathias Fischer-Dieskau
衣装 Judith Peter
照明 Michael Grundner
振付 Melissa King

J. Pierrepont Finch : Mathias Schlung
Rosemary : Lisa Antoni
J.B. Biggley : Robert Meyer
Bud Frunp : Marco Di Sapia
Hedy LaRue : Ines Hengl-Pirker
Smitty : Julia Koci
Miss Jones : Regula Rosin
Bratt : Jeffrey Treganza
Twimble/Womper : Axel Herrig
Miss Krumholtz : Sulie Girardi
Gatch/Toynbee : Nicolaus Hagg
Johnson/Wilkington/Fernsehmoderator : Gernot Kranner
Jenkins : Maximilian Klakow
Tackaberry : Marian Olszewski
Peterson : Pascal Jacque Comoth
Stimme des Buches : Christoph Wagner-Trenkwitz
Orchester der Volksoper Wien
Wiener Staatsballett

フランク・レッサー作曲のミュージカル
「努力しないで出世する方法」が
フォルクス・オーパーで上演されるというポスターが
あちこちに貼ってあって

しがないサラリー・ウーマンとしては
興味あるじゃないですか(こらっ!)

実は本日はプレミエ前の公演で
いわゆる昔で言う最終リハーサル。

昔はこのプレミエ前公演、チケット安かったのに
今は普通のチケット料金で売っている。
(註 一番安い天井桟敷が25ユーロです)

今、またもや仕事がむちゃくちゃな状態になっているところで
オフィスに仕事をたっぷり残して
(昨日は午前1時まで仕事してた)
フォルクス・オーパーの終演時間22時というのを見て
ちょっと気が遠くなったんだけど
25ユーロも払ってるから、意地でも観る(ケチ)

ストーリーについては
ちょっと調べれば、有名なミュージカルだし
映画化もされているからわかるので、書きません。

で、これ、すごく芸達者の出演者が揃っていて
しかも、あちこちに出てくるサラリーマンが
全部、バレエ・ダンサー(笑)

序曲からポリフォニーが結構使われていて
意外に音楽的には面白い ♡

主人公のフィンチを演じた Mathias Schlung が
すごくカワイイ。
小柄で、別にハンサムでも何でもないのに
表情の豊かさがスゴイし
バレエ・ダンサーに混じって
見事なダンスを見せてくれる。

フィンチが何か出世のチャンスを掴む度に
あっ💡 という表情で
そこにパッと照明がついて
ニコッという表情が固定するのが
コミックみたいで、実に楽しい。

社長のビグリーは
フォルクス・オーパーの総監督
ローベルト・マイヤー御大がじきじきに登場。

この人は出てくると
他の出演者を喰っちゃうのだが
今回は他にも芸達者が揃っていて
1人だけ浮くという事がない。

セリフだけじゃなくて
何曲か歌うナンバーもあるし
もちろんダンスもある(ご立派!!!)

縁故採用の怠け者で悪者のバドを演じた
マルコ・ディ・サピア!!!
この人、スゴイ。
オペラとかオペレッタにも出演していて
最初はなんだコイツ、と思っていたけれど
コミカルな役を、本当にコミカルに演じて
身体は軽いわ、踊るは、おフザケも立派にやって
オペラに出るより、こういう三枚目やった方が良いんじゃないの?
と、真剣に思ったくらい。
役としては、悪者なのが、ちょっと可哀相になる程の良い出来だった。

ローズマリーはチャーミングだけど
フィンチに惚れるところが
あまり情熱的ではないので
何となく違和感がある。
演技力の問題か、演出の問題かもしれない。

ヘディ役は・・・これは難しいな。
めちゃくちゃ高い声で
ひたすらバービーちゃんみたいにやっていたけれど
ああいうキャラは、やっぱり1960年代にしかウケないだろう。

ワタクシ的な問題は・・・

あのね、今日、私はオフィスに仕事を
ガンガン残して来ちゃってるの。
なのに、フォルクス・オーパーに来たら
舞台の上で見るのは会社の風景で
(しかもキャリアの男性たち、仕事してなくて暇そう)
何だか、全然、別世界に飛ばないし
会社の内部を見ていても、リラックスできないよ・・・(涙)

背景はビデオで
アメリカの高層ビルなどが見えるようになっている。
舞台は1960年代なので
若い人は知らない黒い電話が机の上に置いてあって
黒電話のリンリン音が鳴る。
(鳴るたびに、私はリアル・オフィスを思い出す・・・)

キャリアの経営陣は全員男性で
秘書は全員、チャーミングなお人形さんみたいな女性って
ううううう、やっぱり1960年代だ。

社員役のバレエ・ダンサーたちは
机を動かしたりするのが主な役目(笑)

でも、途中でダンスもあるし
後半のテレビ・ショーのところでは
割に派手なバレエ・シーンもあった。

ストーリーは言ってみれば
アメリカン・ドリームのおとぎ話ですから(爆笑)

爆発的に人気が出そうな演目じゃなさそう。
子供が見ても全然わからないだろうし
私のような虐げられたサラリー(ウー)マンが見たら
身につまされるというより
出てくる経営陣が全く仕事していない事にちょっと腹が立つし
管理職の女性が見たら
女性蔑視だ!と怒るかもしれない。

まぁ、おとぎ話だからね。
社長の隠れた趣味とか
オーナーの隠された過去とか
ちょっと類型的ではあっても
笑えるシーンはかなりある。

ジモッティ用の演目だから
全部ドイツ語で、字幕もない。
(セリフは全部きっちり聞こえてくる。
 全員マイク使用)

でもフィンチ役の魅力は麻薬的ではある。
あのクルクル変わる表情には魅せられる。
あれ見るために、もう1回くらい、言っても良いかも。

ちなみに、この演目見ても
皆さまの出世の役には立ちません(爆笑)

仕事残してミュージカルとかオペレッタに行くなら
やっぱりリアルな会社とは関係ない演目の方が
切り替えできて楽しいなぁ、と真剣に思いました、はい。

この後、プレミエで
どんな評判になるか
ちょっと楽しみな私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



え? でその後、オフィスに帰ったんですか? って
もちろんオフィスに戻りましたとも!!!!
で、夜中過ぎまで仕事してました。
3月が終われば楽になる筈だから
ちょっと頑張らなくちゃ 😀
記事アップの時間は変更してあるけれど
実は今、明け方4時。3時間寝たらまた出社(笑)


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