フォーサイス、ファン・マネン、キリアーン 3回目

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    Wiener Staatsballett/Wiener Staatsoper
    2019年4月30日 19時30分〜21時45分

    FORSYTHE / VAN MANEN / KYLIÁN

    ARTIFACT SUITE
    振付・舞台・衣装・照明 William Forsythe
    音楽 Johann Sebastian Bach, Partita für Violine solo Nr. 2 d-Moll BWV 2004
    Chaconne; Eva Crossman-Hecht
    ダンサー
    Madisson Young - James Stephens
    Natascha Mair - Davide Dato
    Iulia Tcaciuc
    Elena Bottaro, Marie Breuilles, Natalya Butschko, Laura Cislaghi,
    Venessza Csonka, Sveva Garguilo, Gala Jovanovic, Oxana Kiyanenko,
    Zsófia Laczkó, Ester Ledán, Anita Manolova, Fiona McGee, Katharina Miffek,
    Suzan Opperman, Xi Qu, Joana Reinprecht, Alaia Rogers-Maman,
    Rikako Shibamoto, Flavia Soares, Iulia Tcaciuc, Chiara Uderzo, Madisson Young
    Leonardo Basílio, Giovanni Cusin, Marian Furnica, Andrés Garcia Torres,
    Trevor Hayden, Igor Milos, Gabor Oberegger, Hanno Opperman,
    Kamil Pavelka, Tristan Ridel, Gaetana Signorelli,
    James Stephens, Navrin Turnbull, Arne Vandervelde, Géraud Wielick

    TROIS GNOSSIENNES
    振付・舞台・衣装 Hans van Manen
    音楽 Erik Satie
    衣装 Oliver Haller
    照明 Jan Hofstra
    ピアノ Laurence Lisovich
    ダンサー Liudmila Konovalova - Robert Gabdulin
    Marian Furnica, Andrés Garcia Torres, Hanno Opperman

    SOLO
    振付 Hans van Manen
    音楽 Johann Sebastian Bach, Partita für Violine solo h-Moll BWV 1002,
    Corrente - Double
    舞台・衣装 Keso Dekker
    照明 Joop Gaboort
    ダンサー Richard Szabó, Dumitru Taran*, Arne Vandervelde*

    PSALMENSYMPHONIE
    振付・照明コンセプト Jiří Kylián
    音楽 Igor Strawinski
    舞台 William Katz
    衣装 Joop Stokvis
    ダンサー
    1. Paar: Maria Yakovleva - Andrey Teterin
    2. Paar: Nikisha Fogo - Dumitru Taran
    3. Paar: Kiyoka Hashimoto - Davide Dato
    4. Paar: Ioanna Avraam - Masayu Kimoto
    5. Paar: Nina Tonoli - Navrin Turnbull
    6. Paar: Rikako Shibamoto - Giovanni Cusin
    7. Paar: Anita Manolova - Marian Furnica
    8. Paar: Alaia Rogers-Maman - Tristan Ridel

    途中の公演に行けなかったので3回目の鑑賞だが
    オペラ座では5回目の上演となるモダン・ダンス。

    最後のフォーサイスのアーティファクト・スイートのキャストが
    豪華すぎる!!!!
    マディソンとジェームス、ナターシャとダヴィデのソロって
    どちらのカップルにオペラ・グラス(望遠鏡)の焦点を当てたら良いのか
    2組とも、あまりに素晴らしい。
    そのしなやかさ、優雅さ、音楽性、どれを取ってもベスト。

    マディソンのダンスにおける身体表現の絶妙さには目を剥く。
    バッハの無伴奏組曲だが
    リズミックな部分での表現と
    メロディックな部分での表現が見事に演じ分けられているのは
    あれは、本当に天性の音楽性なんだろうなぁ。

    もちろん本人の努力も尋常ではないだろうが
    ああいう芸術表現は
    もともとの才能がない人が努力しても
    絶対に到達しない領域に属するものだろうと思う。

    このフォーサイスの作品、観れば観るほど好きになる。
    何という美しい作品なんだろう。
    透明な抽象的感覚が、洗練の極みを尽くしていて
    研ぎ澄まされた美的センスが最高に発揮された振付。

    前半部分でのマディソン+ジェームスと
    ナターシャ+ダヴィデのカップルのソロに目を奪われた後
    後半のコールドが中心になるピアノの部分だが

    あれ?マディソンが居る???
    前半で、あのソロを踊って、後半ではコールドの中のソロ???
    なにそれ、続けてあんなハードなダンスを踊って
    全く疲労も感じさせず
    見事な身体の表情で最後まで踊ってしまうって
    ・・・若いとはいえ、どういう体力の持ち主なんだ。
    (ブラック企業?というか(ごめん)ダンサー不足?というか)

    イウリアのソロはちょっと地味。
    全体のコールドのど真ん中を貫く直線みたいな役なので
    できれば多少大柄なダンサーの方が映えたような気がする。
    (以前のオクサーナ好きだった。ガラとかも合いそうな役なのだが・・・)

    ファン・マネンの1つ目はリュドミラとロベルトのカップリング。
    ベテランの2人で、テクニックは完璧で美しい。
    (でもこういうクラシック・モダンって
     フォーサイスの後だと、伝統的に見える。斬新なんだけど)

    「ソロ」はリッチーとドミトルとアルネのコンビ。
    ぷぷぷ・・・ あ、いや、なんだか、すごくコミカル。
    もともと、コミカルな振りもちょっとはあるんだけど
    あんなお笑いの作品だったっけ。

    リッチーのダンスが一番キレが良かった、というのも何だか・・・
    全体的に地味でコミカル要素が目立った印象を残す。
    (そういう作品なのかもしれないけど)

    最後の詩篇交響曲。
    このストラヴィンスキーの曲って
    聴けば聴くほどに味が出て美しさがわかってくるような感じ。
    フォーサイスも、このキリアーンもそうだけど
    何回観ても、いや、観る回数が増えれば増えるほど
    その構成の妙、美しさ、美学が心に響いてくる。

    ラウダチオの部分のダンスと音楽の融合。
    何回観ても、観れば観るほどに
    神聖なものが舞台に宿るような不思議な感覚を覚える。

    残念ながら、今回が最終公演。
    う〜ん、あと数回観たかったなぁ。

    5月はルグリ振付の「海賊」
    とことんクラシックで超絶技巧満載の派手な演目で
    これもせっせとチケットを買ってある私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


    ウィーン交響楽団 + マルッキ Im Klang

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      土曜日のダブル・ヘッダー。
      時系列に読みたい方は、前の記事からどうぞ。

      Wiener Konzerthaus Großer Saal 2019年4月27日 18時30分〜20時45分

      Im Klang

      Wiener Symphoniker
      指揮 Susanna Mälkki
      司会 Ulla Pilz

      Richard Strauss (1864-1949)
       Also sprach Zarathustra
        Tondichtung frei nach Friedrich Nietzsche op. 30 (1896)

      2016年6月11日に始まった、この Im Klang という催物は
      とうとう、大人気になったようで
      チケットも以前は窓口のみだったのが
      インターネットで取れて
      自宅でプリント・アウトできるようになったし
      今日などは、何と2回公演で、16時30分からと18時30分から。

      2回公演で観客が多少はバラけたのか
      (子供連れは16時30分に行ったのか、18時30分は大人ばかりだった)
      ギリギリで会場に入ったけれど、まだ席があった!!!

      今回の狙い目はコントラバスだった。

      コントラバスの後ろに座るボックスはあるものの
      考えてみたら、コントラバスってほとんど立って演奏なので
      譜面台が高くて、ボックスに座っている目線では譜面が見えない!!!

      慌てて他の席を探したら
      チェロとコントラバスの間に、ポツンと置いてあるボックスを発見。

      左手はコントラバス
      目の前の譜面台にはチェロの楽譜が置いてあって
      プレイヤーの間に比較的距離があって、チェロの譜面は見られそう (^^)v
      右側のチェリストのボーゲンが当たるか当たらないか
      ギリギリのところ。
      (ちゃんと、大丈夫?って声かけて、10センチほど動いた)

      プレイヤーにとっては、オーケストラの間に入った聴衆なんて
      邪魔者でしかないわけだが(笑)
      それでも、こういう催物をしてくれるウィーン交響楽団
      さすが職業音楽軍団である。
      (しかも続けて2回・・・)

      指揮者のマルッキ登場。
      まずはオープニングのテーマから。
      トランペットは舞台の方向の、私から見て右前方の後ろに居たので
      耳を塞がなくても大丈夫。

      最初のあの低音のトレモロが、お腹の底に響く。
      こういうの好き。

      (このコントラバスの最初の音って C のはずなのだが
       トランペットが c で吹き出すと
       どうしてもコントラバスの C とトランペットの c が
       別の音に聴こえるって、何なんだろう?
       コンサートの時にも、う〜ん、と思ったのだが
       私の耳がヘンなんだろうなぁ・・・。
       この曲の最後も H-Dur でチェロとコントラバスが C を演奏するのだが
       ここも私の耳は音程を正確に把握していないという・・・
       あ〜、才能なにもなくて、感受性もなくて
       ついでに音感もない、という三重苦の自分が情けない)

      テーマの後に司会者登場。
      いつからこの催物が
      曲目解説的な様相を帯びてきたのかは定かでないが
      みなさん、このテーマはご存知ですね
      映画2001年宇宙の旅とか・・・というのから始まって

      ツァラトストラというのが、どういう人で
      ゾロアスター教の教義はなんたらで、今でも信者がいて
      ニーチェが、ツァラトストラに語らせる形式での本を書いて
      リヒャルト・シュトラウスが
      ・・・・という解説が続く。

      ここに来ているオタクの90%は
      そんなの知ってるぜ、という人たちだと思うのだが
      時々、こういう解説を聞くのも、まぁオツなものだ(と考えよう)

      オルガンについての言及で
      コンツェルトハウスのオルガンはヨーロッパ(大陸)で
      最大のオルガン、というのは、私も知らなかった。

      リヒャルト・シュトラウスは
      「学問について」の最初の部分で
      対位法をバカにしている・・・って
      それ、どこかに例証あります?(とは言わない、もしかしたらあるのかも)

      ツァラトストラがワルツを踊るところだけの演奏とか
      解説と一緒に、モチーフの断片の演奏もある。
      (ライトモチーフの解説とかもあった。これは本当に要らない(笑))

      コンサート・マスターにインタビュー。
      30年もコンサート・マスターを勤められて
      バイオリンのソロを演奏される事も多いのですが
      ストレスではありませんか
      とかワケのわからん質問に

      ソロを弾く時には、一緒に心配してくれたり
      支えてくれたりする同僚の助けが必要です、って
      台本あるのか、当たり障りのない答え。
      (まぁ、これで当たり障りがあったらタイヘンだけど(笑))

      指揮者のマルッキにもインタビュー。
      マルッキ曰く、指揮者は作曲家の代弁者。

      今日のような360度に散らばったオーケストラは
      メンバーとの距離が遠くて大変・・・というのは
      どの指揮者でも言う事なので、目新しくはない。

      演奏されると、もちろん私の席には
      チェロとコントラバスが響いて
      反対側のビオラ首席のソロは美しく響いてくる。

      バイオリン・ソロは、観客の壁がちょっとある。

      木管は遥か遠いところに居るので
      音楽はズレズレになるが

      音速は1秒で(通常の気温の場合)約340メートルなので
      ズレズレに聞こえてくるのは想定済み。

      これはコンサートではなく
      あくまでもオーケストラの中で
      別の音響を聴きましょうという催物。
      (以前のブログに34メートルと間違って記載したんだけど
       誰からのツッコミもなかった(笑)もう訂正してありますが)

      解説は多少うざいけれど
      最後には、ちゃんと通してツァラトストラを聴かせてくれたので満足。

      チェロの楽譜が目の前で
      あ〜〜っ、チェロって3部に分かれてるのっ?!
      (確かに後でスコアみたら、1. Pult / 2. Pult / 3. Pult と
       分かれているところがある)

      楽譜には3つのパートが全部書いてあったので
      何で弾いてないんだろう?と思ったら
      左手前方から聞こえてきたりして
      なかなか面白い体験だった。
      (バイオリンもビオラも分かれているところがある。
       いや〜、リヒャルト・シュトラウスって、こういう楽譜を書くのね)

      左後ろからはコントラバスの腹の底に響く音
      前と右横、左前方からはチェロの音色
      反対側からはビオラで、右手奥からはオルガンとトランペット。
      バイオリンや木管は遠い。

      あ〜、面白い。むちゃくちゃ楽しい。
      恐るべき音感のない私が
      オーケストラの中に入って
      まるで一員であるかのように(妄想)聴けるチャンスの
      この Im Klang
      オーケストラ・メンバーも指揮者もタイヘンだと思うのだが
      これからも続けて欲しい。
      ウィーン交響楽団さん、コンツェルトハウスさん、ありがとう!!

      日本は GW が始まったけれど
      私はイースター休みが終わって
      月曜日から、また大学が始まるので
      山積みになった課題を前に
      (休み中にやれば良いのに、はい、わかってます・・・(涙))
      ちょっと焦っている(でもコンサートは行く)私に
      どうぞ1クリックをお恵み下さい。


      ウィーン・フィル + ティーレマン 1回目

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        Musikverein Großer Saal 2019年4月27日 15時30分〜17時30分

        Wiener Philharmoniker
        指揮 Christian Thielemann

        Christian Mason (*1984)
         Eternity in an hour
        Anton Bruckner (1824-1896)
         Symphonie Nr. 2 in c-Moll, WAB 102 (2. Fassung 1877, hg. William Carragan)

        ウィーン・フィルの土曜日定期。
        プログラムの最初の作品が
        Eternity in an hour
        とあって、私は仰け反った。

        あ、でも、楽友協会のサイトには
        予定終了時間17時30分とあったし
        後半のブルックナーの交響曲2番も
        だいたい1時間くらいの演奏時間の曲だから

        この「1時間の永遠」と題された曲の演奏時間は
        間違いなく1時間以下に違いない。

        英国の作曲家にウィーン・フィルが委嘱したもので
        初演だそうだ。
        なんだかプログラムには色々と解説があったが
        途中で
        「1時間の永遠」というタイトルだが、演奏時間は約15分
        という記述を発見したので、あとは省略。
        (明日、気が向いたら詳細を書く)

        最初の弦が特殊奏法ばかりで
        でもトナールである。
        その上、ほとんど伝統的な三和音を使用している。
        特殊奏法の音響効果は面白いけれど
        これって、もしかしたらシンセサイザーでもできるんじゃない?
        (↑というような失礼な事を考えてはいけない(反省))

        オーケストラの色彩を出すのが目的か?
        和声にかなり厚みがあるのは
        次に演奏されるブルックナーと関係があるようだ。
        (とある事情で、今、プログラムが手元にないので(笑))

        聴きやすいと言えば非常に伝統的で違和感は(あまり)ない。
        その分、ちょっと映画音楽っぽい。
        映画音楽がクラシックに比べて聴き劣りするものとは思っていないので
        これだけ、脳内視覚に訴えてくるのだったら
        それはそれで楽しい。

        しかも演奏時間15分って、割に理想的じゃない?
        飽きる前に終わるし
        こういう「現代曲」が苦手でも、15分の我慢はできる。
        (これだけ伝統的手法で書かれていたら
         いわゆる、ワケのわからん「現代音楽」っぽくはない。
         ただ、その分、目新しさはないし、冒険もしていないような感じ)

        幕間があって、後半はブルックナーの交響曲2番。
        第2稿のキャラガンの改訂譜での演奏。

        客席が静かになるのをジッと待つティーレマン。
        もちろん、楽友協会の客席が、シンと静まるなんて
        まずはあり得ないわけで

        あまりに長いと、反対に客席がザワザワし出す。
        (舞台が見えない席も多いので)

        何故か突然鳴り出す携帯電話の呼び出し音・・・
        それが終わって、指揮棒を、というタイミングで
        すごい音量でのすごい咳。

        わっはっはっはっは
        ティーレマンさま、楽友協会の客層はよくご存知なのにね(笑)

        何とか始まった演奏だが
        そこまで待って、できるだけ完璧な静けさで始めたかったのが
        何故だか理解できない普通の音量ではないか。

        ただ、演奏は、うううううううん・・・
        これはもう、ウィーン・フィルの独壇場と言うか
        ウィーン・フィル以外で、こんな演奏できないだろう(断言)

        ちょっともう、あまりに美しすぎて悶絶する。
        音の焦点のあった、重厚なブルックナーの和音。
        これこそブルックナーだぁ、と叫びたくなるほどの高揚感。

        ティーレマン節もワーグナーやブルックナーでは映える。
        ティーレマンでなくても
        ウィーン・フィルって、こういう演奏しただろうと思っちゃうんだけど
        音楽に純粋な「美」というものがあるのだったら
        これこそがそれじゃないか、とか思ってしまう。

        楽友協会に収録用のライティングがあったので
        もしかしたらテレビ放映とか DVD になるのかも。
        録音では、この美しさは半減してしまうだろうから
        明日、もう1回、聴けるチャンスがあるのは嬉しい。

        コンサート後に知り合いとお喋りしてから
        コンツェルトハウスに向かった私に
        どうぞ1クリックをお恵み下さい。



        ロイヤル・フランダース・バレエ団 シェルカウイ

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          Festspielhaus St. Pölten 2019年4月26日 19時30分〜21時20分

          Ballet Vlaanderen
          Tonkünstler-Orchester Niederösterreich

          L’Oiseau de Feu
          振付 Sidi Larbi Cherkaoui
          舞台・照明 Willy Cessa
          衣装 Tim Van Steenbergen
          ダンス Vlaanderen Ballet
          音楽 Igor Strawinski (L’Oiseau de Feu)
          指揮 Yannis Pouspourikas
          オーケストラ Tonkünstler-Orchester Niederösterreich

          Exhibition
          振付 Sidi Larbi Cherkaoui
          舞台・照明 Tim Van Steenbergen
          照明デザイン Fabiana Piccioli
          ドラマツルギー Koen Bollen
          ダンス Ballet Vlaanderen
          音楽 Modest Mussorgski, Maurice Ravel (Picture at an Exhibition)
          指揮 Yannis Pouspourikas
          オーケストラ Tonkünstler-Orchester Niederösterreich

          Ballet Vlaanderen:
          芸術監督 Sidi Larbi Cherkaoui
          マネージャー Kiki Vervloessem
          バレーマスター Joëlle Auspert, Gabor Kapin, Olivier Patey

          シディ・ラルビ・シェルカウイとロイヤル・フランダース・バレエ団。
          こういうのは、ウィーンでは観られないので
          サンクト・ペルテン祝祭劇場が招聘してくれるのが嬉しい。

          今日の午後は、同会場で2019〜20年のプログラムのプレゼンテーションがあって
          それに参加した人も多かった模様。
          (私はプレゼンテーションに参加する前に
           来期のダンスのチケット(行ける公演だけだが)は既に購入済み)

          2015年に初演されたシェルカウイ振付の「火の鳥」
          ストラヴィンスキーの「火の鳥」は様々な振付師が
          特色ある振付を競っている。
          (フォルクス・オーパーでもやったよね。
           スーパー・マーケット・バージョンで
           木本クンが鶏の着ぐるみを着て登場した作品だった。
           今のところ再演の見通しはなし(笑))

          でもこのシェルカウイの振付は
          バレエ版火の鳥全曲じゃなくて、組曲を使っている。
          (よって、全体の上演時間は30分に満たない)

          鏡付きの大きな衝立を使ったり
          最初のシーンの女性が、すごい衣だったり
          男性ダンサーの衣装が面白かったりするんだけど

          これ、ストーリー・・・ないよね?
          いや、私が見えていないだけか?
          確かに、最初に鳥の羽を渡すシーンはあるし
          その後、例の鳥の音楽で
          女性ダンサーが群舞で飛んだり跳ねたりはするけれど

          王子さまって誰?
          カスチェイはどこ?
          ツァレブナ王女は?

          私の鑑賞方法が悪くて
          (あるいは超貧民席なので、舞台が遠すぎて)
          役を理解しきれなかったのかもしれないし
          よく考えてみると
          最初のシーンの若いダンサーは王子さま?
          群舞から出てソロを踊っていた
          むちゃくちゃ巧い、ちょっと丸顔の
          ベテランだけどキュートな女性ダンサーが王女さま?
          大柄な男性がカスチェイだったのかしら???

          でも、ストーリーがよくわからない。
          群舞が多くて
          そこからソロのカップルが出てくる事もあるが
          カップルの周囲では、ずっと他のダンサーも踊っているので
          オペラ・グラスでソロのカップルだけを観ているわけにいかない。

          モダンな舞台と、不思議な衣装ではあるけれど
          踊っているダンスそのものは
          かなりモダン・クラシックに見える。

          クラシックに典型的なソロとか、ジャンプとか
          ピルエットとかのソロの見どころは
          あるんだけど、コールドが一緒に踊っているので埋もれてしまう。

          超絶技巧のリフトとかもあるのに
          全員が同じリフトをやったりするので
          あまり超絶技巧に見えて来ない。

          なんだか、クラシックなダンスだし
          だったら、クラシックっぽく、ちゃんとソロの見どころを
          ソロだけで踊って欲しい(ソロならオペラ・グラスで見られるから)

          しかも組曲だから短いし・・・
          ちょっと燃焼不足なまま幕間に入り
          後半はムソルグスキー(ラヴェル編曲版)の「展覧会の絵」
          2018年5月に初演された作品。

          舞台には額縁がたくさん置いてあって
          女性ダンサーは長い丸スカート。
          あれ?足元見えないけど大丈夫なのか?

          ピアニストが、途中のプロムナードを奏で出す。
          あれ? と思ったら
          オーケストラが、輝かしいプロムナードを演奏し出す。

          この作品、音楽の「展覧会の絵」の「絵」とは全く関係がない。
          具体的な絵をバレエにしたのではなく
          あくまでも音楽が醸し出すリズムとメロディを
          ダンサーの身体で綴った感じ。

          額縁は大道具として扱われて
          ダンサーが移動させたり、立てたり、くぐったり
          時々は大きい額縁の中にダンサーが入ったまま静止して
          本当の絵画のようにもなる。

          最初のシーンの長いラウンド・スカートの女性ダンサーたちの動きが
          まるでマトリョーシカが床を滑っていくみたいで
          ちょっとロシアっぽいし、人形みたいで、何だかキュート。
          そうか、この衣装、そういう動きを目指したものだったのか。
          (衣装替えは途中である)

          チュイルリーとか、雛の踊りの時に
          ダンサーが全員揃って、上半身(腕)だけで繰り広げる踊りは
          音楽と合っていて、しかもユーモアたっぷりで
          ものすごく面白かった。

          ソロやデュエットも多くて
          しかも、どうやったらそんなソロが?という
          超絶技巧で、ほとんど新体操みたいなダンスもあって
          見応えたっぷり。

          クラシックの基本がなければ踊れないけれど
          それだけでは踊れないモダンという
          まぁ、今のダンサーって、どこまで様々なテクニックを
          完璧に身につけなければならないんだろう、と思うと
          現代のプロの世界の凄まじさにゾッとする。

          その分、贅沢に慣れた観客は
          どんどん鑑賞眼が肥えて、うるさくなるし(自爆)

          音楽はオーケストラ・バージョンの忠実な順番通りの演奏ではなく
          時々、ピアノのソロ(オリジナル・バージョン)が入る。
          最後のシーンでは、薄いカーテンの向こう側に
          ピアニストが見える。

          そうなんですよ、この作品、最後のキエフの門で
          華やかに終わるのか、と思いきや
          その後に、ピアノのソロで古城のテーマが入ってきて
          何とも言えぬ風情を残して終わるのだ。

          ムソルグスキーの「絵画」に直接的に結びつくものではないので
          その分、観ている方も、自由に妄想を爆発させる事が出来るし
          すごいテクニックや
          身体の美しさ、動きの美しさも堪能できる。
          それに時々、何とも言えないユーモアがあって
          シェルカウイの優しい目線、みたいなものを感じて楽しい。

          オーケストラにも盛んにブラボー・コールが叫ばれていて
          トーンキュンストラー、おらが村のオーケストラって感じで
          地元の人から愛されているんだなぁ、というのが伝わってくる。
          (演奏そのものについてのコメントは自粛。
           よく頑張っていたと思う。)

          前半ではクラシックの枠組みの中から飛び出す感じがなくて
          あれ?と思ったけれど
          後半の作品は、シェルカウイらしさが出て来た印象があって
          とても楽しかった。

          サンクト・ペルテン祝祭劇場がアップしてくれた動画を貼っておく。
          最初が展覧会の絵、その後が火の鳥になっている。
          (音楽聴けばすぐにわかるけど、念の為)



          国立オペラ座やフォルクス・オーパーでのバレエも楽しいけれど
          モダンなら、サンクト・ペルテンの祝祭劇場は外れがなくて素晴らしい。
          (ウィーンにもダンス・クォーター(タンツ・クヴァルティーア)というのがあって
           もっぱら現代のダンス・カンパニーの公演をやっているが
           時々、あまりに前衛的でワケのわからんものもあるので)

          帰りにいつもの高速道路じゃなくて
          久し振りに西高速道路に乗ったら
          意外に早く到着してしまって、ちょっとビックリした私に
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          ウィーン交響楽団 + スザンネ・マルッキ

          0
            Wiener Konzerthaus Großer Saal 2019年4月25日 19時30分〜21時30分

            Wiener Symphoniker
            指揮 Susanna Mälkki
            ピアノ Andreas Haefliger

            Richard Wagner (1813-1883)
             Karfreitagszauber (Parsifal) (1877-82)

            Béla Bartók (1881-1945)
             Konzert für Klavier und Orchester Nr. 3 Sz 119 (1945)

            Richard Strauss (1864-1949)
             Also sprach Zarathustra
              Tondichtung frei nach Friedrich Nietzsche op. 30 (1896)

            最近、楽友協会にはとんとご無沙汰で
            コンツェルトハウスに入り浸っている感じだが
            ウィーン交響楽団のチクルスの一環。
            スザンナ・マルッキの指揮でアンドレアス・ヘフリガーがピアノ。

            午後に大学の同級生と発表の打ち合わせした後
            何を聴きに行くの?と問われて
            ウィーン交響楽団とマルッキだけど
            え〜っと、あれ?何を演奏するんだっけ?
            とか言っちゃった私は

            オペラ座のチクルスで来ていて
            会場に到着してから
            さて、今日は何のオペラ(あるいはバレエ)かな?
            と話し合う、年配のご夫妻と似たようなもんじゃないか・・・(汗)

            始まりは、この季節だからパルジファルから(笑)
            (ところでオーストリア人は、みんな、パルシファルと言うので
             私もついつい s を濁らず発音してしまう・・・)

            ワーグナーらしい音とは言え
            う〜ん・・・ウィーン交響楽団って
            やっぱりオペラを演奏するオーケストラじゃないわ。
            オペラの一部というよりは、どう聴いても交響詩に聴こえる。
            ウィーン・フィルのようなオペラっぽい緩さがないというか
            色気とか頽廃とか背徳とかを全く感じさせない。

            あ、パルジファルはリングと違って頽廃はなくて良いのか 💦

            マルッキの指揮は明確で動きが的確で
            見ていて気持ち良いけれど
            残念ながら私の貧民席からは、チラッとしか見えない。
            しかも今日はオペラ・グラス(望遠鏡)を忘れて来た(涙)

            バルトークのピアノ協奏曲3番。
            最後のピアノ協奏曲で
            最後の部分のオーケストレーションは未完だったものを
            弟子が追補したもの。

            うわああ、このピアニストのピアノの透明感、すごい。
            特に第2楽章のピアノの音の美しさと言ったら・・・

            テクニック的に超絶技巧というのではないのに
            弦との絡みが息を飲むほどの美しさ。
            ウィーン交響楽団の弦も
            ピアノと同じくらいの透明感がひたひたと迫って来て
            何だか、すごく感激。

            ピアニストはアンコールなし。

            後半はリヒャルト・シュトラウスのツァラトストラはかく語りき。
            最初のあのモチーフを
            マルッキはオーケストラに最大限の音量で演奏させた。
            このデッドな音響のコンツェルトハウスでも
            耳を塞ぎたくなるような音量って、珍しい。

            その後のピアニッシモが
            前の音があまりに音量大き過ぎて
            聴こえにくい・・・ような印象があったくらい。
            (確か人間の聴覚って、爆発音の後に自衛して
             聴こえなくなる、という現象があったはず)

            オーケストラの解像度が良い。
            各パートの透明感が素晴らしいのだが
            低音の柔らかな響きの時に
            容赦ない咳をする観客が何人か居て
            ほんの少し、興ざめ。
            (イースターの時に気温が上がって
             その後の火曜日に、また雨で急降下したので
             風邪をひいた人も多かったようで)

            最後のピアニッシモの時に
            マリンバの携帯電話の呼び出し音が
            会場一杯に響き渡ったのも、かなり興ざめ。

            ほんと、携帯電話は何とかならんのかね。
            コンツェルトハウスでは
            携帯電話やタブレットの画面は
            周囲の観客や舞台上のアーティストの邪魔になりますので
            消して下さい、とまでアナウンスが入るのだが
            (楽友協会と違って、コンサート中は観客席はちょっと暗くなる)
            コンサートの途中で
            スマホで観光案内やライン(こちらではワッツアップだが)を見てる人もいる。

            まぁ、これは仕方ないのかもしれないし
            静かにしていてくれれば
            それで満足しなければならないのだろうが・・・

            ツァラトストラは非常に面白かった。
            バイオリンのソロが、何ともウィーン的というか
            わっはっは、そのポルタメント、何ですか。

            甘さと、これこそ世紀末の頽廃?みたいな部分が結構あった。
            オーケストラのもともと持っているものなのか
            マルッキが意図的に出したものなのかはわからないが。

            しかしこれ、楽しい曲だな。
            リヒャルト・シュトラウスらしい
            艶やかなオーケストレーションが見事だし
            ストーリー的にも、何となく妄想がフツフツと湧く。

            まるで絵巻物語のような
            豪華絢爛なオーケストラの楽器の饗宴。

            今週末、ウィーン交響楽団は
            また Im Klang という
            オーケストラの中に観客が入る、という催物をするのだが
            (しかも、たぶん、この催物、人気が出て来たのか
             16時30分からと18時30分からの2回公演)
            Im Klang では、このツァラトストラを演奏する事になっている。

            私は18時30分からの公演のチケットを持っているのだが
            ツァラトストラを2回続けて演奏しなければならない
            オーケストラ、特に管楽器はタイヘンなんじゃないだろうか・・・

            ツァラトストラの演奏のオーケストラの中に入るんだったら
            やっぱり座る場所の狙い目は
            絶対にコントラバスだ!!!

            と、固く決心している私に
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            なぜ18時30分からのチケットか、というと
            その前にウィーン・フィル+ティーレマンがあるのだ。
            ブルックナーの2番という地味なプログラムだが。

            ついでに余計な事を書けば
            同じ日の19時30分からオペラ座では
            例のモダン4公演のバレエがある。
            18時30分の Im Klang の後に行こうか、とも考えたのだが
            宿題もあるし、発表の準備もあるので
            大人しく帰宅してお勉強します(ほんとにするかは疑問だが(汗))
            ・・・しかしまぁ、重なる時には徹底的に重なるものだ。

            ユリアン・ラックリン + デニス・マツエフ

            0
              Wiener Konzerthaus Großer Saal 2019年4月23日 19時30分〜21時40分

              バイオリン・ビオラ Julian Rachlin
              ピアノ Denis Matsuev

              Dmitri Schostakowitsch (1906-1975)
               Sonate op. 147 für Viola und Klavier (1975)

              Johannes Brahms (1833-1897)
               Sonate A-Dur op. 100 für Violine und Klavier (1886)
               Sonate d-moll op. 108 für Violine und Klavier (1886-1888)

              アンコール
              Fritz Kreisler: Liebesleid
              Dmitri Schostakowitsch: Polka (Das goldene Zeitalter, Ballett op. 22)
              Jascha Heifetz: Estrellita
              Camille Saint-Saëns: Introduction et Rondo capriccioso a-moll op. 28 für Violine und Orchester

              熱心な読者はご存知の通り
              私が食指を動かすのはオーケストラであって
              ソロは(ドイツ・リートの男性歌手除いて)まず行かない。

              その上、バイオリンかビオラとピアノという組み合わせ
              予備の知識も音楽的知識もゼロなのだが
              コンツェルトハウスのチクルスに入っていて
              あっ、これ、オーケストラじゃない、というのは
              会場に入ってから気がついた(舞台にピアノしかなかった)

              まぁ会場入っちゃったし・・・
              それにしてもギャラリー(貧民席)入りが悪いぞ。
              チクルスなので、周囲の人はほとんど常連のはずだが
              その常連さんが、ごっそり欠けている。

              裏切り者・・・(意味不明発言)

              前半はドミトリー・ショスタコーヴィッチの
              ビオラとピアノのためのソナタ。

              ・・・暗いっ!!!!

              イースターの時は天気良くて春☀って感じだったのに
              曇りで雨降って、急に冬に戻って寒くなった今日
              こんな暗い曲を舞台で演奏されると
              うわあああ、寒くて暗くて救いのないロシア人メンタリティ(偏見)

              ショスタコーヴィッチって
              共産主義バンザイのプロパガンダ曲やら
              リアルなセック○顔負けの舞台音楽まで作曲しているのに
              根本は、むちゃむちゃ暗い人だと思う。
              何なんですか、この救いのなさは・・・
              (そう言えば、バイオリン協奏曲もそういう感じだった)

              晩年の作品で、ともかく死に対する恐れがあった
              みたいな書き方がプログラムでされていたけれど
              恐ろしく暗くて
              かと言って、交響曲15番みたいな不気味さはないけれど
              嘆き悲しんでいる、というワケでもなさそうなのに
              ドロドロと暗い。

              最後にベートーベンのピアノソナタの引用が出てくるけれど
              (月光である、もろにわかる)
              それでも、明るく終わるわけじゃないし・・・
              こんな天気の日に、これ弾かれたら、ちょっと落ち込む。

              ビオラの音って落ち着いた感じで美しいなぁ。
              ラックリンのビオラ、すごく好きかも。
              丁寧で一つ一つの音に拘って
              温かみのある鋭くなりすぎないクリアな音が伝わってくる。

              この間、音響分析の課題で
              バイオリンとビオラの音比べをしたばかりなので。
              ついつい、頭の中には図表が浮かぶ。
              読者の皆様にも公開してしまおう。





              どちらがビオラで、どちらがバイオリンか
              一目瞭然でしょ。

              後半のブラームスはバイオリンとピアノ。
              最初の曲で、やっと太陽が射して来た、バンザイ。
              会場の気温もちょっと上がったような感じで
              あ〜、春が来たっていう気分。

              しかしこうやって聴いてみると
              ブラームスってピアニストだったんだなぁ・・・
              ピアノのアレンジメントの美しさが尋常じゃなくて
              なんか時々
              これ、バイオリン要らないんじゃ?とか思ってしまう。
              (バイオリン・ソナタじゃないもんね。
               バイオリンとピアノのためのソナタだから楽器は対等だ)

              マツエフのピアノが個性的で目立つ、というのもある。
              まぁ、バイオリンに比べたら、ピアノの多重音響は絶対に有利だし
              それを、マツエフの重量のある
              まるでブルドーザーみたいなピアノで演奏されたら
              ちょっとバイオリンがお気の毒。
              いや、ラックリン巧いですよ。
              それに2人の息もピッタリだし
              でも、マツエフ、ガタイもでかいし
              見た目も出てくる音楽もブルドーザーなので
              ・・・あ、書けば書くほど、自分の馬脚を現すので止めておく。

              アンコールにフリッツ・クライスラー
              多少細めのバイオリンの音だが
              こういうものを弾かせると
              ラックリンの持っている文化が
              ウィーンに根付いているのがちょっとわかる(ような気がする)

              アンコール2曲目
              ラックリンが「ショスタコーヴィッチですがポルカです」とアナウンス。
              バレエ音楽の一部なので、これは、そんなに暗くはない。

              もう終わりかと思ったら
              3曲目のアンコール、ハイフェッツと情報にはあったが
              ポピュラー曲っぽい有名な曲で
              ラックリンのバイオリンの音色の甘い事と言ったら
              これは惚れます ♡
              こういう曲はブルドーザーより華麗な花束でしょう(謎発言)

              最後にサンサーンスの華やかな曲で締めて
              最後まで残った聴衆は大喜び。

              室内楽は基本的には行かないけれど
              時々なら悪くはないかも・・・と
              ついつい思ってしまった私に
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              パウダー・ハー・フェイス 3回目

              0
                Kasino am Schwarzenbergplatz (Volksoper)
                2019年4月22日 20時〜22時20分

                Thomas Adès (*1971)
                Powder Her Face
                Kammeroper in zwei Akten
                Libretto von Philip Hensher

                指揮 Wolfram-Maria Märtig
                演出 Martin G. Berger
                舞台 Sarah/Katharina Karl
                衣装 Alexander Djurkov Hotter
                ビデオ Anna Hirschmann
                振付 Florian Hurtler
                ドラマツルギー Magdalena Hoisbauer

                Die Herzogin: Ursula Pfitzner
                Zimmermädchen, Vertraute, Kellnerin, Geliebte,
                Gafferin, Gesellschaftsjournalistin> Morgane Heyse
                Elektriker, Salonlöwe, Kellner, Gaffer, Lieferjunge: David Sitka
                Hotelmanager, der Herzog, Menschen im Hotel, Richter: Bart Driessen
                Statisterie: Robin Koppensteiner, Bernadette Leitner,
                Anna Barbara Banatto, Irina Mocnik, Katharina Schmirl

                Orchester der Volksoper Wien
                コンサート・ミストレス Vesna Stanković, Anne Harvey-Nagl
                第二バイオリン Ursula Greif, Natalija Isakovic
                ビオラ Aurore Nozomi Cany, Peter Sagaischek
                チェロ Roland Lindenthal
                コントラバス Gerhard Muthspiel
                クラリネット・サクソフォン Barbara Brunner, Harald Haslinger, Hadi Nabavi
                ホルン Raphael Stöffelmayr, Michael Stückler
                トランペット Lorenz Raab, Michael Schwaighofer, Daniel Neumann,
                Raphael Pouget
                トロンボーン Christian Masser, Christian Eisenhut
                パーカッション Manfred Redner, Lucal Salaun
                ハープ Gabriela Mossyrsch
                アコーデオン Ingrid Eder
                ピアノ Chie Ishimoto

                笑って下さって結構です。
                3回目ですよ、3回目。

                もっとも、この演目全部で10回あるから
                凝り性の私としては皆勤賞を狙っても良かったかも
                ・・・という感じなのだが

                別にそれは私がセッ◯スが好きとか
                女性が惜しげもなくさらす醜態が好きとか
                そういうワケではございません(たぶん)

                しかしまぁ、本当に良く出来た舞台だ。
                何回目かになるのだろうけれど
                オーケストラの音楽も
                指揮も、歌手も、全く緩む事がなくて
                ベストの状態で、素晴らしい舞台を見せてくれる。

                歌手がむちゃくちゃ張り切っている感じで
                もともとホールが小さいから音は響くのだが
                すごい音量で、力一杯歌うので
                ちょっと辟易したほどの力強さ。

                オーケストラの音楽は
                力強すぎて、少し平坦に聴こえた歌手とはまた違って
                16人で出しているとは思えないフルの音響から
                ピアニッシモの徹底的に繊細な音色まで描き出す。

                歌手の捨て身の演技も素晴らしいし
                背景のビデオも好き。
                (特に花の咲く場面のエロチックさがたまらん。
                 直裁的な表現じゃなくて、ああいう奥ゆかしい?表現って好みだわ)

                加えて、場面転換での素早い衣装替え
                次から次に出てくる小道具の手配など
                小道具・大道具、衣装係やメイク・アップの係などの
                密な連携プレイがバッチリ決まっているのにも感嘆する。

                新聞評では
                やり過ぎ、みたいな事が書いてあったけれど
                3回目を見ると
                その「やり過ぎ」感が
                リアリティとパロディの見事な融合を目指しているのがわかる。

                あそこまでリアルにセッ◯スの餓えや
                堕ちていく伯爵夫人の絶望的な孤独感を描きながら
                どこかしらリアルではないパロディの世界を感じさせて
                あまり生臭くなり過ぎない。

                (今日なんか、裁判官の場面や
                 歳取った伯爵夫人のインタビュー・シーンで
                 結構、客席から笑いが出ていた。
                 ここら辺の演出をリアルにやり過ぎてしまうと
                 あの笑いは出て来ないし、シリアスになり過ぎる。)

                だから、3回見ても、全く辟易しないし、飽きない。
                この演目を何回か見る人って少ないかもしれないけれど
                アホな私は、同じ演目を何回か見て
                やっと納得したり、自分の中で消化できたりするので
                その意味では
                1回目は面白いけれど
                2回目・3回目で飽きが来たり、げっそりしたりするものと違って
                この演目が如何に見事に構築されているのかがわかる。

                アデスのドラマツルギーが素晴らしいと思ったのは
                最後のシーン。

                ホテルを追い出される惨めな老婦人が倒れる
                という場面で終わってしまっても、違和感はないのだが
                その後の短いエピローグで
                最初の場面に戻って来て(音楽も)
                今回の演出では、本当に最初の4人で絡まる場面に戻り
                そこに俳優さん4人がかぶさるという
                見事なラスト・シーンになっている。

                倒れたままの終わりだと
                どうしても、どんより暗くなって
                気分も落ち込んだままだが
                最初のシーンのフラッシュ・バックで
                とことん堕ちても不死鳥のように蘇る伯爵夫人
                (本当かどうかは知らん)
                という、原始的な生命力を感じさせるのだ。

                しかしまぁ、アデスの音楽的パロディの迫力。
                タンゴやジャズや
                1930年代・1950年代・1970年代の
                それぞれの時代のポピュラー音楽の引用も素晴らしいが
                リヒャルト・シュトラウスの引用が
                私の耳には一番目立って入ってくるのが楽しい。

                ・・・ところで、何故にリヒャルト・シュトラウスなんだろう?
                (たぶん調べたらアデス自身が何か言ってると思うのだが)

                もともとオペラは苦手なのに
                現代オペラって良いなぁ・・・
                (オペラが苦手なのはストーリーが荒唐無稽な事が多いのと
                 上演時間が長いのと
                 主人公がなかなか死なず、ずっと死ぬ、死ぬと
                 すごい声量で力一杯歌っているのに疲れるからである)

                アリベルト・ライマンのメデアも良かったし
                アデスのテンペストはなかなかチケットが入手できず
                1回きりしか観ていないのが本当に残念。
                (ザルツブルク音楽祭も行きたかったのだが
                 チケット高過ぎ+入手不可能の二重苦だった・・・
                 無理しても行けば良かった(涙))

                その分、今回は3回も行けて
                本当にラッキー ♡

                24・25・27・28日と、あと4回の公演がある。
                後半戦は色々あって私は参加できないけれど
                最後まで素晴らしい公演になるよう祈りつつ
                気分良くイースター・マンディを楽しんだ私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                新聞評はいくつか読んだけれど
                その中に、指揮者はテンポを取っているだけ、みたいな書き方があったのを見て
                あのオペラでテンポ取って、歌手にキュー出しできるって
                どれだけの才能と習熟が必要か
                この記者、わかってないだろ・・・と
                ついつい思ってしまったのはワタクシです。

                ヨーロピアン・ユニオン・ユース・オーケストラ + ヴァシリー・ペトレンコ

                0
                  Schloss Grafenegg Auditorium 2019年4月21日 18時30分〜20時50分

                  European Union Youth Orchestra
                  指揮 Vasily Petrenko
                  テノール Michael Schade

                  Richard Strauss (1864-1949)
                   „Mondschein-Musik“ aus der Oper „Capriccio“ op. 85 (1942)
                   Zuneigung op. 10/1 (1885)
                   Cäcilie op. 27/2 (1894)
                   Morgen ! op. 27/4 (1894)
                   Liebesghymnus op. 32/3 (1896)
                   Befreit op. 39/4 (1898)

                  Anton Bruckner (1824-1896)
                   Symphonie Nr. 4 Es-Dur „Romantische“ (1878/80)

                  グラーフェネックのイースター・コンサート
                  今年はミヒャエル・シャーデがリヒャルト・シュトラウスを歌うし
                  後半もブルックナーの4番だし
                  チケット、最貧民席で10ユーロ(カード割引後)だったので
                  即買ったために
                  他の予定が変わって、バレエ公演を逃したりしたが(笑)

                  今年のイースターは太陽燦々、気温も優に20度を越えて
                  久し振りにグラーフェネックまで、快適なドライブ。

                  グラーフェネック城ではイースター・マーケットを開催していて
                  家族連れも多く
                  今日の本コンサート前のプレリュードは
                  低地オーストリア州のジュニア・オーケストラの演奏だったので
                  両親・兄弟・姉妹・祖父・祖母・友人等で
                  ホールはごった返したに違いない。
                  (私が到着した時に、ジュニア・オケのコンサートが終わったらしく
                   家族連れで車で帰る人も結構いた)

                  7月には野外音楽堂でのコンサートが中心になるが
                  イースター・コンサートはさすがにまだホールの中。
                  根性で取ったチケットなので
                  舞台からはかなり離れていて、音響は良いはず。

                  最初は私の大・大・大・大好きな
                  リヒャルト・シュトラウスの「カプリッチオ」の間奏曲。
                  ご存知、ホルンの妙なるソロが聴けるところ。

                  このユース・オケのホルン・グループ
                  半数が女性だ ♡
                  トランペットにも女性が居るし
                  金管の女性って、なんか、カッコいい(偏見)

                  全体のメンバーの数から言うと
                  ほとんど男女で半々くらいの比率で
                  ほんの心持ち女性が多いくらい。

                  ホルンのソロを吹いた女性ホルニスト(の卵)が巧かった。
                  音はキレイでレガートも美しく
                  欲を言えば、ちょっと平坦で
                  ニュアンスとか色気に欠けているけれど
                  まだまだ、これからの人材だし(何せユース・オーケストラである!)

                  ユース・オーケストラとは言え
                  ヨーロッパ連合内の国からの
                  音楽大学(これはヨーロッパでは職業訓練校!)の学生が
                  オーディションを受けて作っているオーケストラなので
                  シロウトではない。
                  (ユース・オケはたぶん、ヨーロッパ内では
                   グスタフ・マーラー・ユーゲントが最高峰だろうが
                   このヨーロピアン・ユニオン・ユースも頑張っている)

                  ミヒャエル・シャーデ登場。
                  リヒャルト・シュトラウスのオーケストラ伴奏のリート。
                  やっぱり全盛期に比べると、声の響き方が違って来たなぁ。
                  もともと声量むちゃくちゃある、というタイプではなかったが
                  声が細くなって来た、というか、痩せてきた?感じ。

                  でも、この人、本当にとことんテノールなので
                  実にテノールっぽい声は健在。
                  多少、張り上げているような印象で、ちょっとキツイ。
                  必死に声を出している感が強すぎて
                  リヒャルト・シュトラウスの輝くような色気が少なくなってる。
                  ただ、さすがベテランなので
                  聴かせどころはしっかり押さえてくる感じ。

                  で・・・
                  もちろん一曲ごとの拍手が・・・
                  良いんですけど
                  ここに来ている聴衆の90%くらいは
                  ドイツ・リートの夕べとか行った事がない人たち。
                  一部、しっかり拍手せず呆れている人たちも居る。
                  たぶん、私みたいに、歌われた全曲、知ってます、という人もいる。
                  様々な人たちが集うのもコンサートというものなので
                  もう、リートごとの拍手に関しては、私は何も言わない。

                  アンコールに同じくリヒャルト・シュトラウスの
                  Ich liebe dich を歌ったけれど
                  この曲、ピアノ伴奏でしか聴いた事がなかったので
                  オーケストラ伴奏だと、かなり違って聴こえるので
                  途中まで、気がつかなかった私は、かなりのアホである。

                  後半、ブルックナーの交響曲4番。
                  ユース・オーケストラの「一生懸命感」がスゴイ。

                  もちろん弦は大編成で
                  全員、親の仇をここで打つ!みたいな悲壮感で
                  すごい勢いで揃ったボウイングしてくるし
                  身体の動かし方も、振付してる人が居るのか?と
                  思わせるほどに揃っていて
                  なんだか音楽を聴いてるというよりは
                  団体戦の体操競技を見ているような気分。
                  (あ〜、失礼だったらごめんなさい)

                  この名曲は名だたるオーケストラの
                  名指揮者であちこちで聴いているだけに
                  どうしても粗さとか
                  表面的な元気さだけが
                  ユース・オーケストラだと目立ってしまうのは仕方がない。

                  でも、その体操競技的な元気さが良いところでもある。
                  あまり哲学的に構えなくても
                  音楽として純粋に楽しめる。
                  青春映画っぽく楽しめる(そんな楽しみ方でごめんなさい)。
                  多少のカウントのズレも
                  あ〜、頑張ったんだなぁ、と思わせる。
                  プロなら、うま〜く誤魔化すようなところだが。

                  第1楽章演奏直後に
                  誰かがブラボーと叫んで
                  フライングの拍手が盛大に出たけれど
                  第2楽章の後は静まって
                  (2人ほど拍手し出したが、空気読んで止めた)
                  あの華やかな第3楽章の後は
                  フライング拍手はなくなった。

                  でも、演奏途中で、サイレントにしていた携帯電話の
                  低い音でのブーブーブーというのが
                  かなり大きく聞こえて来たし
                  (サイレントにしていても
                   バイブレーションはかなり大きな音が出ます!(怒))
                  更に、あの懐かしのノキアの名曲が
                  チャイムっぽく編曲されていたものの
                  ピアニッシモの後のゲネラル・パウゼで
                  会場中に響き渡ったのは、ちょっと許せん・・・(超怒)
                  あれは、はっきり言って
                  一生懸命演奏している舞台の若い音楽家たちに失礼だ。

                  アンコールに、たぶん、ワーグナーの「パルシファル」から
                  (すみません、ワーグナー聴き込んでない・・・)
                  その後、指揮者が退場してから
                  華やかにオーケストラだけでジャズで盛り上げて
                  若いって良いなぁ
                  ブルックナーの後でもワーグナーの後でも
                  体力余ってる・・・(笑)

                  外に出てみれば
                  庭ではイースター・ファイアー 🔥

                  毎年だけど
                  季節の変わり目
                  またこれから緑が元気一杯に出て来て
                  生命力溢れた春と夏が来て
                  暗くて寒い冬が終わる喜びの季節。

                  マンネリと言えばそうなんだけど
                  それ言ったら、自然だって、壮大なマンネリだよね?
                  ・・・とか余計な事を考えてしまう私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  ウィーン交響楽団 + ラハブ・シャニ

                  0
                    Wiener Konzerthaus Großer Saal 2019年4月20日 19時30分〜21時40分

                    Wiener Symphoniker
                    指揮 Lahav Shani
                    バイオリン Renaud Capuçon

                    >>Frühling in Wien<<
                    Das TV-Osterkonzert der Wiener Symphoniker

                    Paul Dukas (1865-1935)
                     L’apprenti sorcier „Die Zauberlehrling“.
                      Symphonische Scherzo nach Johann Wolfgang von Goethe (1897)

                    Maurice Ravel (1875-1937)
                     Tzigane. Rapsodie de concert für Violine und Orchester (1924)

                     Daphnis et Chloé
                      Fragments symphoniques, deuxième série (1913)

                    Ernest Chausson (1855-1899)
                     Poème op. 25 für Violine und Orchester (1896)

                    Maurice Ravel
                     La Valse. Poème choréographique pour orchestre (1919/20)
                      Mouvement de Valse viennoise

                    アンコール
                    Jules Massenet: Méditation (Thaïs)
                    Johann Strauß (Sohn): Frühlingsstimmenwalzer op. 410
                    Johann Strauß (Sohn): Furioso-Polka op. 260

                    昨日の金曜日はカール・フライタークで
                    イエス・キリストが十字架上でお亡くなりになり
                    よって、夜はコンサートもオペラも劇も何もない。

                    本日土曜日は、ユダヤ教では安息日なので
                    墓の中のイエス・キリストが
                    せっせと活動停止した細胞を(たぶん)再生している(と思われる)日で
                    そんな日にコンサートしちゃって良いのか・・・とは思うのだが

                    まぁ、世の中、ビジネスですから(笑)
                    ウィーン交響楽団の「ウィーンの春」コンサートは
                    テレビ中継があるので
                    舞台に花が飾られている。
                    (さすがにコンツェルトハウスのホールは広いので
                     ニューイヤー・コンサートの楽友協会みたいな華やかさはない)
                    明日4月21日のコンサートはフィデリオでライブ
                    オーストリア国営放送テレビ3番では20時15分から開始。
                    カッティングした「ベスト・オブ」は22日の朝10時45分から放映予定。

                    という事は、本日はゲネプロかい(笑)→ テレビ・カメラは入っている。
                    しかも、このコンサートのチケット
                    最貧民席で40ユーロを越えるという強気設定。
                    同じ日に国立オペラ座でバレエがあったので
                    そっちの方がコスト的には助かったかも。
                    (しかも今日のキャスト、ちょっと涎モノだったのだ、くっ・・・)

                    まぁ、買っちゃったものは仕方ない(苦笑)
                    しかも、ウィーンらしからぬ、フランス一色プログラムで
                    ポール・デュカスの「魔法使いの弟子」
                    ラヴェルの「ツィガーヌ」に「ダフニスとクロエ」
                    休憩の後はショーソンの「詩曲」
                    最後にラヴェルの「ラ・ヴァルス」

                    ・・・こんなプログラム構成、誰も反対しなかったんかい?!

                    いや、オーケストラの色彩という意味では
                    徹底的に楽しめる構成ではある (^^)
                    有名曲ばっかりだし。

                    デュカスの魔法使いの弟子は
                    木管のソロの楽しさが爆発する。
                    かなり解像度を上げて
                    こういう曲を、解像度を上げると
                    コンツェルトハウスのホールの音響にはぴったりハマる。

                    ラヴェルのツィガーヌはルノー・カピュソンが登場。
                    名人芸の最初の長いソロが素晴らしい。

                    コンサート・マスター、ソロの間、目を瞑っていたのは
                    聴き惚れていたのか、居眠りしていたのかわからないが。

                    ラヴェルという作曲家、本当に引き出しが多い。
                    エキゾチックな曲を書いても
                    ジプシー音楽を、しっかり自分の枠内に取り込んで
                    しかも冒険的な試みも多くて、ホントにワケわからん作曲家だ。

                    続いてラヴェルのダフニスとクロエ第2組曲。
                    あれは出だしが非常に難しいのだが

                    シャニは徹底的に分析的に出して来た。
                    オーケストラの色彩感というよりは
                    緻密に編まれた、音の絨毯の一つ一つの糸を提示してくる感じ。
                    ラヴェルのスコアを、とことん解剖して
                    パーツに分けて、それをまた精密に編み込んだ印象。

                    その分、あまり、いや、全然、色気がない。
                    分析的・理論的アプローチであって
                    時々、すごく元気良くボリュームを上げるんだけど
                    リズムが時々、跳ね上がってしまって
                    クロエは、そんな元気なキャピキャピ女子じゃないわい
                    ・・・というのは、私の偏見だが

                    まぁ、若いカップルの話なので
                    元気が良いのは良い事だ(ってワケわかりませんが)

                    調子良く終わる曲なので
                    聴衆もノリノリで幕間に行く。こういう構成、好きだな。

                    ショーソンの「詩曲」については
                    私は不勉強なので何も言わない。
                    (ショーソン、なかなか私には響いて来なくて
                     愛と海の詩だけは聴き込んだ事があるけれど
                     どうも、ちょっと苦手)
                    カピュソンのバイオリンはよく響くし美しい。

                    さて、ここでカピュソンのアンコール・・・と思ったら
                    シャニも指揮台に乗って
                    演奏されたのがタイスの瞑想曲って
                    正に名曲アワーではないか。

                    しかし、やっぱりフル・オーケストラで聴いてみると
                    (ほとんどの部分が弦で、第一バイオリンのパートは
                     カピュソンがソロで弾いている感じだが)
                    名曲ではあるなぁ。

                    最後はラヴェルの問題作「ラ・ヴァルス」
                    ウインナー・ワルツ・・・ではあるのだろうが
                    まるで死の舞踏だし
                    アポテーゼなのかアンチテーゼなのか
                    いつもわからなくなってしまう曲。

                    多少大きめのボリュームで
                    やはりパート同士の解像度が抜群に良い。
                    良すぎて、オーケストラの音のミックスによる色彩感には
                    多少欠けるような気がするし
                    時々、リズムを叩きつけるような感じで振るので
                    エネルギッシュではあるけれど
                    またもや、ワルツを踊っている人がジャンプしているような感じ。

                    ほとんどタメがなくて
                    (これはダフニスとクロエの時も)
                    音楽の流れとしては中断せずに続いていく感じはするが
                    あまりワルツっぽくないし
                    中間の、あの蕩けるような甘いメロディも
                    比較的分析的に冷静に響く。

                    しかしウィーン交響楽団の木管と金管って優秀だなぁ。
                    新人メンバーも結構いたが、すごく巧かった。

                    それに比べ耳鳴りのような(以下省略)

                    これで終わりかと思ったら
                    シャニが指揮台に立って

                    おおおおおおおっ
                    ヨハン・シュトラウス2世の「春の声」とは・・・
                    「春のコンサート」と銘打っているから
                    これは納得できる選択なのだが

                    何故、そんなにズレまくるんですかっ!!!(涙)

                    ド・シロートの根拠ない憶測としては
                    ウィーンっぽくウィーンのオーケストラっぽく
                    弾きなれたタイミングで弾いちゃったプレイヤーと
                    指揮者の意図とアインザッツをしっかり守ろうとしたメンバーで
                    あれ、という部分が・・・

                    いや、これ、絶対に明日のライブ放送の時には治ってるから。

                    こういう、ちょっとズレたワルツって
                    まぁ、ウィーンらしい、と言えば
                    こんなにウィーンらしい緩さも、滅多にコンサートでは聴けないので
                    その意味、貴重だったかも(でもやっぱりあれだけズレると気持ち悪い)

                    それで終わりかと思っていたら
                    最後にド派手なポルカを一発噛ませて(笑)
                    元気なシャニには結構楽しかったんじゃないだろうか、この曲。

                    チケット高かったけど
                    舞台の花代?かもしれないし

                    イースター休暇時期に仕事しなければならない
                    オーケストラ・メンバーの割増料金だったかもしれないし
                    (そういうモノがあるのかは私は知らない)

                    テレビで放映して下さい、と
                    オーケストラがテレビ局に袖の下を払った・・・とは思えないし

                    ルノー・カピュソンのギャラが高かったからなのか
                    あるいは、コンツェルトハウスが
                    観光客狙いで、このチケット料金でも
                    観光客が買うだろうという(年末・年始の第九と同じ)目論見だったのか

                    割にギャラリーの貧民席は空いていたので
                    高いチケットの方が売れたのかなぁ、と
                    無駄な事をついつい考えてしまう私に
                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                    土曜日なので買い物に行ったのだが
                    気温は25度まで上がり
                    夜のコンサート終了後も20度くらいで
                    コートをクロークに預けなくて済んだ。
                    これで1ユーロ50セント得した・・・って
                    どこまでケチや(セルフツッコミ)

                    ラルフ・ベナツキー「妹と私」オペレッタ

                    0
                      Volksoper 2019年4月18日 19時〜21時45分

                      Meine Schwester und ich
                      Musikalische Komödie in zwei Akten mit Vor- und Nachspiel
                      Text von Robert Blum und Ralph Benatzky
                      nach Ma soeur et moi von Georges Berr und Louis Veneuil
                      Musik von Ralph Benatzky
                      Musikalische Einrichtung von Guido Mancusi

                      指揮 Guido Mancusi
                      演出 Robert Mayer
                      舞台・衣装 Christof Cremer
                      振付 Andrea Heil

                      ドリー サン・ラビッシュの城主 Lisa Habermann
                      ロジェ・フルリオ博士 Lukas Perman
                      レイシ・ド・ナジファルディ伯爵 Carsten Süss
                      (アテレコ Robert Mayer)
                      アンリエッテ Julia Koci
                      執事・裁判官 Nicolaus Hagg
                      イルマ 靴屋の売り子 Johanna Arrouas
                      フィロセル 靴屋のオーナー Herbert Steinböck
                      ムシュー・カマンベール 靴屋の客 Georg Wacks
                      陪審・召使い・レビューのダンサー Mitglieder des Jugendchores der Volksoper

                      今シーズンのフォルクス・オーパーの新プロダクション
                      ラルフ・ベナツキーのオペレッタ
                      タイトルは訳すとすれば「妹と私」って感じなのかなぁ。

                      滅多にオペレッタとか行かない私が誘惑されたのは
                      例のイースター時期のキャンペーン
                      4枚買えば50%割引(こういうのに弱い)に釣られたのだが
                      これ、確かに明るくて楽しい出来になっている。

                      踊れて、歌えて、演技ができる
                      見目麗しい役者(=歌手)が揃っている
                      フォルクス・オーパーならではの作品。

                      上演前に、貧民席からは見えないものの
                      よくご存知、フォルクス・オーパーの支配人の
                      ローベルト・マイヤーが登場。

                       公演前に誰かが出てくると、公演のキャスト変更で
                       今回も例外ではありません。
                       残念ながら、カルステン・ズュースが咽喉炎で
                       医者から、話す事も歌う事も禁止されました。

                       ただ、カルステン・ズュースは舞台に登場します。
                       皆さまはズュースを舞台で見る事ができますが、聞く事はできません。

                       私が譜面台を持って横に立ち、
                       合わせて喋ったり歌ったりします。

                       どうか、舞台では私を見ずに、ズュースを見て下さいね。
                       観客から見られると非常に緊張するので(ここで観客から爆笑)

                      さすがマイヤーというか、まぁ見事にアナウンスをキメてくれた。

                      しかも、カルステン・ズュースは、ちゃんと演技はしているので
                      口は動かしているのである。
                      そのセリフの口の動きと、ほとんどズレなく
                      喋って歌ったマイヤーって、スゴイ。
                      口パクで全く声を出さず、あの迫真の演技をしたズュースもスゴイ。

                      演技達者というか、芸達者というか、さすがプロというか
                      いやもう、あんなに違和感のない口パクのアテレコ、初めて見た(聞いた)。

                      さて、前半では離婚裁判のシーンから始まり
                      個人の図書館で司書として雇われたロジェが
                      仕事が終わらない、とバタバタしているのだが

                      邪魔が入るたびに
                      本を放り出す演出って何なんだ!!!(怒)

                      数冊持ってハシゴを上がったとたんに
                      何かの邪魔が入って、本を床に数冊、すごい勢いで落とす
                      ・・・というのが、何回かあって

                      本が投げ出されるというのは
                      私は、ものすご〜〜〜〜〜〜くイヤなの!!!!

                      ページが捲れたり、綴じが取れたり、背表紙が傷んだり
                      学生時代、図書館に閉じこもって
                      本を大事に読んでいた私は
                      あんなに無神経に本を投げる、落とす、というシーンが続くと
                      いたたまれない・・・というより、精神的な苦痛が大き過ぎる。

                      ドリーはロジェに惚れているので
                      せっかくロジェが片付けた本をめちゃくちゃにしたりしている。

                      ロジェはロジェで
                      2ヶ月前にナンシーでの教職が決定して
                      今日の夜の列車でナンシーに向かう予定なのに
                      司書を辞める事をドリーに言う事ができず
                      しかも、仕事が終わっていないので
                      ギャラを貰えないんじゃないか、と悩んでいる。

                      2ヶ月前に転職が決まっていて
                      それを、辞めるその日まで雇い主に言う勇気がないって
                      それ、社会人として失格でしょうが!!!!(怒)
                      (しかも設定が音楽学の博士なのよ。
                       ウィーン大学の音楽学の博士号を持った教授の中には
                       こんな社会人失格で、ウジウジしたワケのわからんタイプは居ない!)

                      メイドのアンリエッテが、大丈夫よ、ギャラは5000フラン
                      ちゃんと貰えるわよ、と歌い
                      それにデュエットして、5000フランなんて大金、スゴイぞ、と
                      大喜びするロジェに

                      ドリーが無造作に小切手を切るのは
                      5000フランどころか10000フラン。

                      ロジェも、こんなに頂けません、とか口先では言うくせに
                      ダンス・シーンでダンサーたちの間を小切手が飛び交い
                      (これもワタクシ的には許せないシーンで
                       現金と同じ価値の小切手を、あんなに乱暴に扱うなんて!!!)
                      最後はメイドが胸の合間に入れたのを
                      結局、ロジェが取り戻して、ちゃっかり貰ってしまう。

                      後半の靴屋さんのシーンでも
                      靴の箱の取り落としが何回もあって、心が痛む。

                      モノは大切に扱いましょうって
                      家庭で躾されませんでした?(涙)

                      さて、そのロジェだが、ドリーは惚れているのだが
                      ロジェはプリンセスというだけで萎縮しまくりで
                      前半では、嫌がっている男性に
                      しつこく纏わり付く女性という
                      何だか、あまり共感が持てない。

                      ナンシーに行く、と聞いて
                      シャンパンとキャビアで、ロジェの労をいたわりつつ
                      ナンシーには、文学者と結婚して離婚して
                      靴屋で働く妹が居るから、そこに荷物を届けて欲しいと
                      ウソをつくドリー。

                      ドリー役のリザ・ハーバーマンは見た目が美しく
                      スタイル抜群で、プリンセスの気品もある。
                      表情がかなりせわしく変化して、演技も巧い。
                      (表情がくるくる変わるのが、時々、大げさ過ぎるけれど)

                      声は細いけれど、澄んだ高音も出すしスープレットだし
                      マイクはつけているから声量関係なく
                      ハマり役ではある。

                      ロジェは張り切って、明日、その靴屋に行きます、と言いだすので
                      慌てるドリー。

                      後半は、その靴屋さんでのシーン。
                      イルマ役のヨハンナ・アロウアスは
                      歌って踊れるフォルクス・オーパーの看板歌手の1人だから
                      歌も巧いけれど、ともかく動きが見事。
                      多少はしたない動きも、見事に見せてしまう。
                      キャピキャピした、舞台に憧れる若い浮ついた女性役にぴったり。

                      ドリーは突然現れて雇ってくれ、と迫るが
                      断られそうになって
                      雇ってくれたら、1日につき1000フラン払うわ、と
                      カネにモノを言わせて無理やり雇ってもらう。
                      (前金ね、はい10000フラン、と渡すので
                       フィロセルは大喜びである)

                      イルマに、あなたの着ている服を頂戴、と言って断られると
                      またもや、じゃぁ、あなたの服に3000フラン払うわ、と
                      これまた、すべてお金で解決。

                      アメリカあたりの資本主義をおちょくっているのかもしれないが
                      そういう毒は全く感じられない演出で
                      そこまでやって、ロジェをモノにしたいのか、っていう感じ。

                      やって来た客の扱いも、あまりに酷いし・・・(苦笑)
                      カネをもらった靴屋のオーナーのフィロセルは
                      ドリーの失敗も何のその、庇って甘やかせて、という
                      あ〜、世の中、金があれば何でもありかよ・・・(唖然)

                      やって来たロジェが、ドリーの妹(と偽っている)に
                      一目惚れするのも、何だかなぁ。
                      まぁ、このシーンは演技もダンスも歌もなかなか良くて
                      ちゃんと、恋におちた2人、というハッピー・シーンで
                      見ていて、可愛いし、リアルにも見える。

                      もともとドリーに惚れていて
                      追いかけて来たナジファルディ伯爵は
                      ハンガリーの男は惚れっぽい、という役割で
                      イルマに惚れてしまい
                      イルマはイルマで、お金持ってるオトコ、大好き!と
                      すぐにお金になびいてしまうという

                      ・・・やっぱりこれ、ラブよりはマネーというオペレッタなのか?

                      ハッピー・エンドで終わるかと思いきや
                      最初の離婚裁判のシーンに戻り
                      ロジェが、結婚はしてみたものの
                      貴族の生活に耐えられない・・・と延々と語る。

                      このドリーってお姫さまもアホだね。
                      研究者なんて、贅沢な生活よりは
                      豊富な研究資料と共に
                      図書館に閉じ込めておけば
                      ハッピーな生活が出来るタイプなのに。

                      あ〜、でも、このプリンセス
                      研究者の、一瞬でもヒマがあったら論文読みたい
                      みたいな欲求を理解できるタイプではなさそうだ(独断・偏見)

                      その意味では、身分違いの恋というより
                      人生観が違うって感じで、歩み寄れないとは思うのだが
                      それは、私があまりにリアリストだから、という理由もある(すみません)

                      舞台は明るいし
                      衣装も、明るい原色を多用したカラフルな洒落た衣装だし
                      歌って踊れて、という芸達者の出演者が
                      本当に歌って、踊ってを繰り広げてくれるので
                      音楽的に深いとか言うものではないけれど
                      カネの事とか、モノの粗末な扱い方とか
                      研究者とプリンセスとか、考えなければ
                      まぁ、ラブコメとして見るなら、水準はかなり高い。

                      何回も繰り返し出てくる
                      フロイライン、ワインを一杯、飲みに行きませんか、というメロディは
                      後々まで記憶に残るので
                      若い(あるいは中年の)カップルは
                      この後、少なくとも、ちょっと気が効いた男性なら
                      連れの女性を、あのソングを歌って
                      ワイン一杯に誘うんじゃないかなぁ。

                      色々と心が痛む場面(本の放り出しや、世の中なんでもカネ)もあるけれど
                      まぁ、オペレッタだから・・・と納得すべきであろう、きっと。

                      作品としての出来は非常に良いので
                      あまり深く考えずに楽しめるのであれば
                      見て損はない、と思う私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。


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