ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 + ゲルギエフ

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    Musikverein Großer Saal 2019年3月31日 19時30分〜21時40分

    Münchner Philharmoniker
    指揮 Valery Gergiev

    Wolfgang Rihm (*1952)
     „Transitus III“ für Orchester (Österreichische Erstaufführung)
    Anton Bruckner (1824-1896)
     Symphonie Nr. 4 Es-Dur, „Romantische“ Fassung 1877-1880

    夜はミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団とゲルギエフの
    2回目のコンサート。

    昨日のコンサートは売り切れだったのに
    今日のコンサート、何故にこんなに空席が????

    クラヲタのウィーンっ子にしてみたら
    現代音楽のリームは聴きたくないし
    (だいたい年配は一部を除いて現代音楽はキライである)
    おらが国のブルックナーを
    近いとはいえ、バイエルンのオーケストラが
    ロシアの指揮者と演奏するなんて・・・・・って言う事かしら(憶測)

    さてヴォルフガング・リームの新曲は
    ミュンヘン・フィルの委嘱作品で
    ついこの間3月22日にミュンヘンのガイスタイクのホールで
    同じメンバーで初演されたばかりの出来立てホヤホヤの曲。

    プログラムには
    いつもプログラムを(小難しく書く)クローネス氏が
    張り切って7ページにわたって曲目解説を書いている。

    舞台見えないからわからないけれど
    解説によれば、木管とトランペット、トロンボーンにパーカッションは
    通常のオーケストラの3倍の人数で
    ホルンは4本、バスチューバ、ハープ
    弦楽器の奏者の数も多くなっているらしい。
    (舞台見えないから、本当のところは不明)

    その後に作品解説が3ページ
    まるでトーンザッツの授業のような
    専門用語をずらずら並べて続くんだけど
    読んでもわからない(自爆)

    ともかくこの耳で聴くしかない。

    大規模オーケストラとは思えない
    比較的薄い音響構築で
    出だしだけ聴くと
    なんかちょっとブーレーズの初期作品みたい。

    でも、音楽がどんどん発展して行く。
    発展して行くのだが
    音響そのもののスリム感はそのまま保持されていて
    しつこさがない。

    2度、トリトノスの4度、7度などの不協和音の中に
    ちゃんと協和音も入って来て
    複雑な和声の構成なのに
    ちゃんと「音楽」に聴こえてくる。

    しかもダイナミックやテンポの変化が絶妙で
    現代音楽にありがちな
    冷たいまでの素っ気なさというのがなくて
    微妙に感情の琴線に触れてくるのだ。

    つたない言葉で無理やり表現しようとすれば
    「有機的」というのがピッタリ来る。
    音楽が生きて蠢めいている感じがする。

    リーム面白いじゃん!
    いや、以前からリーム時々聴いていたけれど
    やっぱりすごい作曲家だと思う。
    30分弱の1楽章構成の曲だけど
    聴き惚れている間にあっと言う間に時間が経った印象。

    後半はブルックナーの4番。
    ブルックナーの交響曲の中では
    最も演奏頻度が高い。

    最初のソロのホルンが
    ものすご〜いピアニッシモで出て来て
    あまりのピアニッシモに音が擦れて
    (裏返った訳ではない)
    ちょっとギョッとして

    こんな感じなら
    おらが村のブルックナー先生は
    やっぱりオーストリアのオーケストラの方が良いじゃないの
    ・・・とか不遜な事を考えつつ聴いていたら

    指揮者もオーケストラも見えないんだけど
    第1楽章で、結構、内声がズレるところがあって
    時々、気持ち悪い・・・

    ゲルギエフの爪楊枝+指と腕ブルブル指揮からは
    どうみても
    出だしはオーケストラ・メンバーの自主性を最大限に尊重します
    って感じで

    自主性を尊重されてもオーケストラは困るだけだろうが
    そこらへん、一流オーケストラは
    そうか、任せてくれるのか
    では、各自で勝手にやってしまおう

    ・・・と思うかどうかはシロウトの私にはわからないが

    第1楽章の後半からズレは全くなくなって
    最後のフォルティッシモのホルンのソロなんか
    も〜、聴き惚れちゃったわ。

    曲が進むにつれ
    ブルックナーの場合は
    演奏している方も、聴いている方も
    だんだん、神がかってくるのだが(笑)

    ゲルギエフ、ロシア的なウエットさも充分に残しつつ
    持ち前のドラマツルギーでブルックナーを構築して来るので
    まるで絵巻物を見ているような気分になってくる。

    バイエルン王家とハプスブルクは親戚だから
    (関係ないか・・・)
    文化的にも近いのもあるかもしれないけれど
    如何にもドイツのオーケストラ
    でも、オーストリアに近いバイエルンなので
    北ドイツのような四角四面のマジメさが先に立つ事もなく
    ちょっと緩い感じのところが
    ブルックナーのオーケストラの和声にピッタリあって

    ブルックナーの4番って
    やっぱり、やっぱり、やっぱり
    ワーグナーだわ・・・じゃなかった
    劇的で神々しくて、でもドラマチック。

    ゲルギエフって、どういう指揮者なんだか
    今ひとつ掴めないところもあるんだけど
    ともかく音楽をオーケストラで語らせたら
    自然に嫌味なくドラマチックにしちゃう人なのね。

    ジモッティが少なかったので
    楽章間拍手とかあるかと思っていたら
    第1楽章の後に1人だけ1回叩いた人がいただけで
    その後は、客席も比較的静かに
    (咳は時々入ったし、私の超貧民席エリアでは
     演奏中に席から立って前に行ったり、席に戻ったりの人はいたけれど)
    全員が集中して、クライマックスまで一気という感じ。

    終わった後の拍手も
    ちゃんと指揮者が力を抜くまでみんな待っていた。
    というより、聴衆全員が
    天国に飛んでいたかもしれない(笑)

    少なくとも、私は天国に飛びました。
    この世ならぬ美しい楽園で
    筋肉隆々の天使と戯れていたような気がする。
    (どういう妄想?!)

    いや〜、ぐったり疲れていたけれど
    このコンサート、来て良かった ♡

    週末、宿題もせず
    遊びまくった私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    今日は天気が良くて太陽燦々で暑いくらいで
    日中の気持ちの良さと行ったら、これも天国でした (^^)v

    ウィーン・フィル + ネルソンス 2回目

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      Musikverein Großer Saal 2019年3月31日 11時〜12時45分

      Wiener Philharmoniker
      指揮 Andris Nelsons

      Ludwig van Beethoven (1770-1827)
       Symphonie Nr. 4, B-Dur, op. 60
       Symphonie Nr. 5, c-Moll, op. 67

      ネルソンスのベートーベン、日曜日定期。
      本日から夏時間で、午前2時が突然3時になって
      睡眠時間が1時間減るのに加えて
      ブログ2つ書いていたら、夜中の2時=3時までかかってしまい
      (他の事もやってた、勉強以外だけど💦)
      ベッドに入ってからもあまり寝られなかったのに
      毎週日曜日朝8時からのご近所さんサウナにはちゃんと行って
      なんかもう、クタクタになって楽友協会へ。

      寝落ち予防にスコアをバッグに突っ込んだものの
      スコア追うだけの体力・気力もなく
      あ〜、歳取ったなぁ、って、自分で言っててどうする。

      今日はオーストリア・ラジオ1番でライブ放送がある。
      そういう時はウィーン・フィルは
      自分たちのプライドにかけて頑張るので期待できる。

      巧い下手とかではなく
      土曜日に比べると、かなり音の焦点が合って来た印象。

      耳につきやすいベートーベンの細かい刻みではなく
      その後ろにさりげなく隠されたメロディ・ラインを
      ネルソンスは巧くバランスを取って出してくる。

      音は強めのモダン・オーケストラで
      かなり厚く聴こえてくるのは変わりないが
      4番のあのロマンティックな表現は
      ベートーベンってロマン派の作曲家だったっけ?と思わせる。

      昨日、楽器の不調で、えっ?というところがあったけれど
      今日はしっかりと楽器の調整もしたようで
      厚めの音響で、いわゆるスッキリしたベートーベンではないけれど
      その分、メロディ・ラインを明確に描き出して
      ああ、やっぱりネルソンスだわ、という気分。

      もちろん元気いっぱいの押せ押せなので
      推進力もすごいし
      ガンガン押して来て
      かなり強い音が楽友協会に響き渡る。

      これだけ音量を上げるんだったら
      意外にコンツェルトハウスで演奏した方が
      響きとしてはバランス良く聴こえるんじゃないだろうか。

      楽友協会は残響たっぷりの
      ほとんどお風呂の世界なので(笑)
      音の出し方によっては
      デッドな音響のコンツェルトハウスの方が良かったりするのだ。

      今日、改めて聴いてみると
      やっぱりベートーベン、良いなぁ、とか思ってしまったのは
      睡眠不足のなせる技だけではないと思いたい。

      ネルソンスは続けて
      ウィーン・フィルで来週、ベートーベンの交響曲1番と2番。
      でもこの2曲だけだと1時間足らずで終わってしまうので
      トリプル・コンツェルト付きで
      土曜日15時30分、日曜日11時からのコンサートを振る。

      ・・・でも、この2つのコンサートは
      ウィーン・フィル主催じゃないんですよ!!!
      何と楽友協会主催のコンサートである。
      (チケットが高い・・・・)

      1番と2番を
      今日の4番と5番のように
      ロマンティックに劇的に厚い音で演奏されたら
      もしかしたら、ちょっと辟易するかも・・・

      とは思いつつ、怖いもの見たさ(聴きたさ)に
      ちゃんと来週のチケットも確保してある私に
      どうぞ1クリックをお恵み下さい。


      ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 + ゲルギエフ

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        Musikverein Großer Saal 2019年3月30日 19時30分〜21時40分

        Münchner Philharmoniker
        指揮 Valery Gergiev
        ピアノ Rudolf Buchbinder

        Peter Iljitsch Tschaikowskij (1840-1893)
         Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 b-Moll, op. 23
        Dmitrij Schostakowitsch (1906-1975)
         Symphonie Nr. 5, op. 47

        ベートーベンの交響曲の後は
        ゲルギエフ率いるミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団で
        ロシアの名曲アワー(笑)

        チャイコフスキーの超有名なピアノ協奏曲に
        ショスタコーヴィッチの超有名な5番という
        超弩級な組み合わせ。もちろんチケットは完売。

        チャイコフスキーのピアノ協奏曲1番。
        ピアノはルドルフ・ブフビンダー。
        もう70歳を過ぎていらっしゃるはずだが
        強靭でクリアなピアノのタッチには全く衰えがない。

        オーケストラは容赦なく鳴らしてくるのに
        そこに埋もれず
        ピアノの蓋と反対側の私の超貧民席にも
        強い明確なタッチが響いて来る。

        男性的・・・というと、昨今のジェンダー・スタディからは
        一斉にブーが出そうだが
        豪快で雄大で、マッチョなのに質実剛健。

        チャイコフスキーの音楽って
        時々、ズブズブに感傷的でロマンチックになるのに
        そのロマンチックを飲み込むほどの明晰さ。

        なのに、冷徹にはならず
        清濁併せ呑むという感じのスケールの大きさで
        感情に溺れず、なのに、しっかりエモーションはある。

        ピアニストとして長いキャリアを持って
        ある程度の年齢にならんと、あれは無理だろう。
        浄化されたエモーションの純粋な形、みたいな香りがする。

        良い意味での男の色気というか(穿ち過ぎ?)
        いや、私がババアになったので
        70歳過ぎの人に魅力を感じるから・・・かもしれない(ウソ)

        後半はショスタコーヴィッチの交響曲5番。
        イメージとしては
        共産主義バンザイ、スターリン・バンザイ的な曲に思われがち。
        たしかに、あの問題作、ムチェンスク郡のマクベス夫人の後に
        この交響曲で救われた、というイワク付きの曲だけど

        ゲルギエフのこの交響曲へのアプローチって
        まぁ、見事・・・
        こういうのって、ロシア人しか出来ないかも、と
        ついつい思ってしまう。

        相変わらず指をブルブルと震わせて
        右手の人差し指と親指の間には爪楊枝様のものは見えるけれど
        それ以外の中指・薬指・小指は絶えず震わせていて
        加えて左手は全部の指が絶え間なく震えているという
        常人には真似できない指揮法(イヤミは言ってません)

        この5番という交響曲
        勇壮に元気良く
        ひたすら共産主義バンザイでも演奏できてしまうと思うのだが
        ゲルギエフは、この曲を、とことん歌わせる。

        爆発するべきところで、無駄に爆発しない。
        感情的ではあるのに、抑えた感情を、ひたすら溜めて
        普通だったら、フォルティッシモの部分で爆発させるのに

        ゲルギエフの爆発は
        耐えきれずに「泣き叫ぶ」のである。

        慟哭、という単語が最も当てはまると思う。
        時々、むずがった赤ちゃんかも、と思えるほどに
        心の深いところから
        抑えきれずに出てきてしまう
        あの、言語に出来ない「やり切れなさ」の焦燥感。

        やり切れなさの焦燥感は
        バイオリンがユニソノで力一杯慟哭しても
        その後のカタルシスはない。

        一見(一聴?)元気で勇壮な曲なのだが
        そのカラ元気の後ろに、恐ろしい程の闇がある。

        個人として何もできない、厚く、大きな壁を
        叩いても、打ち破ろうとしても不可能で
        喚き、泣き叫び、そして諦められないままに
        また仮面に戻って、あくまでも元気さを装うという
        なんだかもう、聴いていて、やるせない。

        第3楽章の、あの慟哭の後の美しいメロディは
        本来なら天国なのだろうが
        天国と見せかけた地獄なのかもしれない。
        ゲルギエフとミュンヘン・フィルのこの第3楽章、
        稀に見る(聴く)名演だったと思う。

        私も感極まって悶絶していたが
        いつも見かけるモグリのお姉ちゃんなんか
        前で立って泣いてたもんなぁ・・・
        (コンタクト・レンズにゴミが入っただけという可能性もあるが)

        この曲、実は私にとっては謎の曲で
        マイケル・ティルソン=トーマスが
        キーピング・スコアのシリーズで
        この曲の終わり、長調で押して来て
        でも、最後の終わり方に何か感じませんか?という
        問題提起をしているのだが

        確かに、短調で演奏されて来て
        最後に長調に転調するものの

        最後の和音って・・・実質的には一音だけなんですよ。
        最後の転調でニ長調に持って来て
        盛り上げて盛り上げて・・・と思うと
        最後の最後で、ものすご〜〜〜い肩すかしを喰らう。

        その辺を別に深く考えずに
        盛り上げて盛り上げてスターリン万歳で終わる演奏も多いし
        それはそれで、元気な5番の側面を出しているので
        まぁ、そういうものか、とも思うけれど。

        ショスタコーヴィッチの曲は
        基本的には、嘆いて悲しんで、泣き喚いて諦めてという
        割に典型的ロシアの
        ウエットで、果てしなく嘆き悲しむタイプの曲が多いと思う。

        本当は嘆いて嘆いて、また泣いて、という曲ばかり
        作曲したかったんじゃないかと思うのだが(偏見です)
        スターリンのせいで
        時々は勇壮な曲を書かないと
        自分も逮捕される、という不安があったんじゃないですかね。

        まぁ、恣意的な推測に過ぎないけれど
        ゲルギエフのこの「勇壮な」5番の演奏を聴いていると
        全く「勇壮」ではなく
        めそめそ嘆き悲しんで
        焦燥感に手足をバタバタさせて泣き喚いている面が
        非常に強く聴いている方に伝わってくる。

        しかしまぁ、あのブルブル指揮法で
        よくオーケストラがアインザッツを理解する事ができるものだ。
        というか、アインザッツなんかほとんど見えないじゃん。

        ほんの少しのズレはあったにせよ
        あのブルブルでアンサンブルをピッタリ揃えたミュンヘン・フィルって
        実に優秀である。
        (フルート首席、むちゃ巧かった。あの長い息は常人じゃないわ)

        ゲルギエフだと、ついついマリイインスキー・オーケストラと思ってしまうが
        本日はミュンヘン・フィルだったので
        泥臭さがなく、温かみのある洗練されたオーケストラの音だった。
        (まぁ、実は時々マリイインスキー的に響いた部分もあったけど(笑))

        明日のゲルギエフとミュンヘン交響楽団は
        リームのオーストリア初演曲とブルックナー。
        また楽しませてもらおう (^^)v

        コンツェルトハウスも楽友協会も
        来シーズンのプログラムが発表になって
        できれば(金があれば(笑))全部買い占めたいという
        欲望と戦いつつ
        銀行口座の残金を見てため息をつく私に
        どうぞ1クリックをお恵み下さい。


        ウィーン・フィル + アンドリス・ネルソンス 1回目

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          Musikverein Großer Saal 2019年3月30日 15時30分〜17時15分

          Wiener Philharmoniker
          指揮 Andris Nelsons

          Ludwig van Beethoven (1770-1827)
           Symphonie Nr. 4, B-Dur, op. 60
           Symphonie Nr. 5, c-Moll, op. 67

          指揮者にとってベートーベンの交響曲というのは
          たぶん、永遠の課題だろうし
          ベートーベンの交響曲のコンサートだったら
          チケットも売り切れになるから
          主催者もウハウハだろうと思うが

          かなりの数でウィーンに生息する
          コンサート・フリークとしてみると
          ネルソンス、お前もか・・・って感じは否めない。

          実は金曜日にも行こうとチケットを確保していて
          その後にコンツェルトハウスのラフマニノフとプロコフィエフにしたのだが
          考えてみたら、この4番と5番
          今日、土曜日の定期、明日の日曜日の定期に加えて
          4月4日のコンツェルトハウスでも聴く予定になっている(自分でもビックリした)

          また一回り大きくなったような気がするネルソンス。
          (大きく=物理的な意味です)
          ウィーン・フィルのウエブ・サイトの写真って何年前の奴?(笑)
          髪型も体躯の幅も全然違うじゃないの(爆笑)

          ゆ〜っくりなテンポで始める4番。
          モダン・オーケストラ奏法で、かなり音に厚みがある。
          アレグロ・ヴィヴァーチェに入ったところでも
          厚めの音の残響がかなり聴こえて
          あまり軽さがない代わりにエネルギッシュに聴こえる。
          私の席が悪いのは重々承知だが
          音の核があまり見えないというか、あまり焦点が合っていないような印象。

          ただ以前のやんちゃ坊主の面影は消えて
          メロディ・ラインの繋がりを意識しながら
          ただエネルギーだけにならないように
          細心の注意を払っているのはわかる。

          ・・・だからと言って、目新しいとか
          目からウロコとかの気分にはならないけれど
          ベートーベン解釈って、昨今、出尽くした感があるから
          それ以上に「革新的」に演奏するワケにはいかんだろう。

          第2楽章のリズムの刻みはあまり明確に出して来ない。
          たぶん、それが意図なのかもしれないが
          メロディ・ラインは綺麗に乗るのだが
          背景のあのリズムの躍動感が個人的にはもう少し欲しいかなぁって感じ。
          (うるさい観客ですみません、指揮も演奏もできませんが)

          ただ、何ともロマンティックなのである。
          ロマン派後期の香りまで漂ってくる
          愛のメロディというか
          ともかく、こんなにこの章ってロマンティックだったっけ?

          第3楽章。
          譜面にはアレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェとしか記載がなくて
          ただ、私は長い間、この楽章を
          スケルツォだとばかり思い込んでいたのだが
          これって、メヌエットでした???

          いや、テンポはアレグロ・ヴィヴァーチェなんだけど
          スケルツォの鋭さや皮肉より
          もっと柔らかい感じで、本当にメヌエットっぽく聴こえる。
          私の感じ方が変なのかもしれないが
          そこまでメロディ・ラインに拘った、という事かもしれない。

          最終楽章もテンポよく厚みのある音で
          やっぱり、ほんの少し焦点がボケる印象がある。
          最近、ピリオド奏法で少人数のオーケストラで
          ちまちま演奏されるベートーベンが流行なので
          その軽さと比べると、モダン・オーケストラは、やっぱり重い。
          どう演奏されようと、ベートーベンはベートーベンなんだけど(笑)

          後半の超有名な誰でも知っている交響曲5番は
          単純に偏見一杯で言っちゃうと
          モチーフの繰り返しだけを
          まぁ見事に構築した、という曲なんだけど
          (色々と誤解があったらお許し下さい)
          早すぎず、遅すぎず、奇を衒う事なく
          かなり古典的で正統的な感じ。

          こういう演奏だったら
          別にネルソンスでなくても
          誰でも振れるような気がする・・・と
          恐ろしいシロウトは考えたりしてしまうワケだが
          たぶん、ネルソンス独自の解釈や考慮があるのだろう。
          私にはまだ不明だが・・・

          以前の「やんちゃ坊主」の「いたずら小僧」で
          音楽好き好き好き好きオーラ出しっぱなしの
          カワイイ男の子、というイメージから
          だんだん熟練指揮者、将来の巨匠に向けての路線を
          ベートーベンで歩み出したっていう感じなのかもしれない。

          まぁ、これから否が応でも、あと2回は
          同じプログラムを聴く事になっているし
          最終回は全く音響の違うコンツェルトハウスなので
          また印象が変わってくるだろう。

          友人とコーヒー飲んでお喋りした後
          また楽友協会に足を運んだ私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。


          ウィーン交響楽団 + ヴァルチュハ Im Klang

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            Wiener Konzerthaus Großer Saal 2019年3月28日 18時30分〜20時

            „Im Klang“
            Wiener Symphoniker
            指揮 Juraj Valčuha
            ピアノ Alexander Gavrylyk
            司会 Theresa Vogl

            Sergej Rachmaninoff (1873-1943)
             Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 fis-moll op. 1
            Sergej Prokofiew (1891-1953)
             Symphonische Suite aus der Oper
             „Die Liebe zu den drei Orangen“ op. 33b (1919; Suite 1924)

            コンツェルトハウス大ホールの平土間の椅子を全部取っ払って
            指揮者の周り360度全方向にオーケストラを配置して
            オーケストラのメンバーの間にダンボールのボックスを置いて
            そこに観客が座る、という
            まぁ、オーケストラと指揮者には悪夢みたいな(笑)催物の
            „Im Klang“
            直訳すると「響きに入って」という感じかな。

            最初の公演から、これが行われると毎回行って居るのだが
            最初は(知られていなかったので)少なかった観客が
            回を重ねる毎に、どんどん増えて行って
            とうとう、現在では
            オーケストラ・メンバーの人数の2倍から3倍の観客が
            オーケストラの中に座っている・・・という感じで
            (実際はそんなに居ないのかもしれないが、そう見える)

            コンツェルトハウス、ちょっと、これ
            人数制限してくれませんか???(本気)

            最初の頃はホールに入って
            係の人に「ビオラって何処ですか?」と聞いてから席を選んでいたが
            今や、ホールが空いたとたんに
            ど〜んと駆け込み、迷う時間など与えられずに
            適当に席に陣取らないと、あっという間に座るところがなくなる。

            いや、なくなりはしないんだけど(人数分のボックスはある筈)
            指揮者から、ものすご〜く遠いところとか
            トランペットの前とか、ホルンの後ろとか・・・(以下省略)

            内声楽器のところに座りたい私としては
            ビオラか第2バイオリンの真ん中が理想なのだが
            今回は、指揮者にもピアニストにも近いところの
            チェロの首席の後ろに陣取る事にした。

            目の前に指揮台もあるし
            目の前にピアノも(鍵盤ばっちり見える)あるし
            目の前にチェロの首席の背中もあるし(笑)
            後ろはチェロの2番手の2人だし
            まぁ、ステキな席 ♡

            めっちゃ疲れていたのだが
            まさかオーケストラの間に陣取って寝落ちする訳にいかんし
            大丈夫か、と自分でも心配だったのだが

            チェロの譜面がプレイヤー2人の間から、しっかり見える!!!

            まずはプロコフィエフの3つのオレンジの恋の
            一番有名な曲の断片を演奏してから
            司会者が出て来て、指揮者にインタビューしたりして
            ラフマニノフのピアノ協奏曲。
            有名な2番とか3番じゃなくて
            17歳の時に作曲した1番(マイナーな曲だ)

            ピアニストのガヴリリュク・・・って
            発音しにくい名前だなぁ(笑)
            16歳で浜松国際ピアノ・コンクールで優勝した経歴の持ち主なので
            日本でもよく公演をしているピアニストのようだ。
            以前、一度だけ聴いた記憶がある。
            若いのに、ちょっと頭髪が寂しい男性だが
            何だか可愛らしい風貌で

            なのに、弾きだすと、これがスゴイ。
            テクニックは完璧、強いピアノのタッチで
            こういうのをヴィルトゥーゾというのか、という感じ。
            かと言って、テクニックのひけらかしだけではなくて
            タッチやペダリングの細かいところまで徹底的に拘っている。

            チェロの譜面は見ていて面白いし
            チェロの首席が時々右肩から
            後ろのチェリストを気にしているのがわかる(笑)
            目を横に向ければ
            目にも止まらない速さで(手の残像が目に残る)
            ピアニストがガンガン弾いてるし
            その横では、指揮者のヴァルチュハが激しく動いている。

            更に他の観客席を見ると
            目をキラキラさせて指揮者を見つめている男性もいて
            あ〜、そういう事ね、とか勝手に腐女子的に納得したり(笑)

            もちろん、オーケストラは空間的にもバラバラで
            これだけプレイヤーの間の距離があくと
            所詮、音速は1秒340メートルぽっちの遅さなので
            ある程度の音のズレはどうしても生じてしまう。

            けれど、別にそういう事は関係ない。
            だいたい、チェリストの中に陣取っているので
            聴こえてくるのはチェロの音が中心である。

            いやん、でも、これ、すごく楽しい(笑)
            普段聴衆として、客席でオーケストラを見ているだけなので
            中に入ると、全く別の体験である。

            プロコフィエフの3つのオレンジの恋については
            ストーリーの説明とともに、各曲の断片が演奏された。
            ストーリーはむちゃくちゃだそうで(プロコフィエフが書いたらしい)
            実はこのオペラ、フォルクス・オーパーで1度鑑賞した事がある筈だが
            歌手が直前病気キャンセルで
            脇でジャンプ・インした歌手が譜面台見ながら歌っていた、という記憶しかない。

            ストーリーを断片演奏とともに聞いて
            コンサート・マスターが途中の曲の特殊奏法について説明して
            (こういうのが、シロウトの私には面白いのである)
            その後、通しの演奏で約15分。
            これも、チェロの楽譜が目の前で
            楽譜を追っていると、ともかく面白い。

            オーケストラは360度に散らばっているので
            思いがけないところから
            木管や金管が聴こえてくる(もちろん微妙にズレて(笑))のが
            普通のコンサートでは聴けない醍醐味である。
            (プレイヤーは悪くない、音が秒速34メートルなのが悪い)

            次の日、3月29日も
            @Friday という、コンサート終わった後
            ロビーで別のコンサートという催物に行ったのだが
            ちょっとその前に、ものすごく集中した3時間を過ごしたので
            すみません、このコンサートの間は
            ほとんど気絶してました。
            (@Friday って、チケット結構高かったのに・・・)

            でも „Im Klang“ で
            オーケストラに混じって聴いた音楽がとても楽しかったので
            貧民席(それでも高かった)から舞台を見ても
            ちょっと親しみが湧いたりしていたので
            それで良いか・・・と自分を納得させている私に
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。


            フランス国立管弦楽団 + アラン・アルティノグル

            0
              Musikverein Großer Saal 2019年3月27日 19時30分〜21時40分

              Orchestre National de France
              指揮 Alain Altinoglu
              ピアノ Katia Labèque, Marielle Labèque

              Pascal Dusapin (*1955)
               Uncut. Solo Nr. 7 für Orchester

              Max Bruch (1838-1920)
               Konzert für zwei Klaviere und Orchester, op. 88a

              George Bizet (1838-1875)
               L’Arlésienne. Suite Nr. 2
                1. Pastrale. Andante sostenuto assai - Andantino
                2. Intermezzo. Andante moderato
                3. Menuett. Andantino quasi allegretto
                4. Farandole. Allegro deciso - Allegro vivo e deciso

              Albert Roussel (1869-1937)
               Bacchus et Ariane. Suite Nr. 2 aus der Ballettmusik op. 43

              またもや遅れ遅れの印象記アップでごめんなさい。
              (アップ時間は変えてあるけれど、もう3日くらい過ぎてる・・・(汗))

              フランス国立管弦楽団とアラン・アルティノグルのコンサートは
              前日の3月26日はレヴィットのピアノでベートーベンのピアノ協奏曲4番。
              ラヴェルのマ・メール・ロワに、ストラヴィンスキーの火の鳥組曲。

              で、今日27日のプログラムが
              パスカル・デュサパン、マックス・ブルッフ、ビゼーに
              アルベール・ルセールって
              ・・・通好みとも言えようが、前日に比べると、あまりに地味(絶句)

              当然、ベートーベン・ラヴェル・ストラヴィンスキーには負けて
              会場の空席もそこそこあるし、立見席もそんなに混んでいない。
              貧民席はカジュアルな観光客の写真スポットと化す。

              パスカル・デュサパンの曲は、それ程長くはないが
              それなりに面白かった。
              (聴きながら色々と考えたと思うのだが、3日経つと覚えていない)

              マックス・ブルッフの2台のピアノのための協奏曲は
              ラベック姉妹登場。
              2人とも黒のレースのドレスで
              色っぽい・・・のだろうか、何だか魔女みたい(すみません)

              だいたいピアノ2台の協奏曲って
              たぶん、音楽史上、そんなにレパートリーがないんじゃないか。
              マックス・ブルッフはこの曲はオルガン用に作曲したらしいのだが
              アメリカに帰るピアニストのために、ピアノ2台に編曲したらしい。
              (プログラムに書いてあったけれどうろ覚え)

              ・・・ごめんなさい、退屈です(涙)
              そりゃ、超一流オーケストラで才能ある新進指揮者(もう中堅か)が
              世界的に有名なピアノのデュオと演奏しているのだから
              演奏が悪いはずはないのだが

              マックス・ブルッフって
              バイオリン協奏曲は時々演奏されるけれど
              他の曲って、あまり聴かないし
              マジメな、如何にもドイツ人、ドイツ音楽
              伝統的作曲技法バンザイという感じで(偏見です)
              古臭いと言うイメージが拭いきれない。

              アンコール1曲、これはまだサイトには記載されていない。

              休憩時間に何人が帰った人も居る。
              (楽友協会一応見て写真撮ったから気が済んだ人たちかも)

              幕間の後の最初が
              唯一「有名」なビゼーの「アルルの女」
              この曲、こちらのコンサートでは滅多に聴かないのだが
              私の小学校だか中学校だかの音楽の授業で
              必ず鑑賞させられた曲で(何故、この選択なのか謎である)
              子供の頃から親しんでいるのに加えて

              バレエで「アルルの女」っていうのがあるの!
              (ローラン・プティ振付で2012年〜14年の間に10回観た!)
              よって、この音楽を聴くと
              キリルのフレデリとか、マーシャのヴィヴェットの
              自動的な脳内再生が開始されるのである。

              このフランス国立管弦楽団の音って面白い。
              もちろん、会場も違うし席も違うので
              ホールの音響の影響が充分ある事は承知の上で
              私が偏見として持っている
              いわゆる、ゆるふわの「おフランスの音」ではなくて
              もっと鋭い、輪郭のはっきりした
              インターナショナルな明るい音色を持っている(ような気がする)

              でも、時々、フォルティッシモのところで
              フッと一瞬、おフランスの香りが出てくるところもあって
              なかなか油断がならないオーケストラではある(笑)

              最後がルセールなんですけどね。
              プログラムの組み方にちょっと文句つけたい。
              ルセールの音楽って
              まぁ、ちょっと現代的な不思議な和声はあったとしても
              やっぱり伝統的な音楽で
              しかも、ルセールの音楽って
              本当に本当に本当にウィーンでは滅多に演奏されない。

              だから、幕間の後、最初にルセールやって
              最後にビゼーやったら、割に聴衆もノッたと思うんですけどね。

              それは主催者の意向とか指揮者の芸術的意図があるのだろうから
              まぁ、良いんですけど・・・(ぶちぶち)

              ただ、アルティノグルは最後に
              舞台から観客に向かって大きな声でユーモア交えてのスピーチ。
              バレエ音楽を演奏したので
              アンコールにやっぱりバレエ音楽、でもフランスじゃなくて
              ロシアの作曲家の曲を演奏します。

              アンコール「火の鳥」でした(笑)
              前日にコンサートで演奏してるじゃん。
              使い回しですか。

              と思って、前日の26日のアンコール見たら
              ビゼーのアルルの女のファランドールだった(爆笑)

              見事な使い回しで非常にエコ(指揮者にもオーケストラにも)
              これは、なかなかクレバーである(本気)

              早く感想を書いておかないと
              時間とともに新鮮な記憶が遠ざかって行くのだが
              今学期は火曜日・水曜日・木曜日の3日が
              うわああああ、と悲鳴をあげたい程に
              それぞれ「頭を使う」授業なのである。
              (今まで使ってなかったかと言われればそれも戸惑うけど)

              いや、すみません、ここで愚痴ってどうする?
              好きでやっているのに・・・ ^^;

              という訳でやっと書きました。
              これから、28日・29日の分もまとめて書くぞ、と
              堅く決心している私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。


              アルミードの館 ル・サクレ 7回目(今シーズン2回目で私には最後(涙))

              0
                Wiener Staatsballett/Wiener Staatsoper
                2019年3月26日 19時30分〜22時

                LE PAVILLON D’ARMIDE
                LE SACRE

                LE PAVILLON D’ARMIDE
                指揮 Michael Boder
                音楽 Nikolai Tscherpnin
                振付・舞台・衣装 John Neumeier

                ヴァスラフ・ニジンスキー Jakob Feyferlik
                ロモラ・ニジンスキー Nina Poláková
                医者 Roman Lazik
                看護人 Gala Jovanovic, Oxana Kiyanenko, Alene Klochkova
                Alexis Forabosco, Kamil Pavelka
                散歩している人たち
                Elena Bottaro, Marie Breuilles, Katharina Miffek, Anna Shepelyeva,
                Céline Janou Weder
                András Lukács, Igor Milos, Gabor Oberegger, Tristan Ridel,
                Andrey Teterin
                Aoi Choji*, Emely Hetterich, Olive Poropat, Isabella Lucia Severi
                Sergiy Golovin, Alecsandar Orlic, Lance Posternak, Yarden Zana
                過去
                アルミード Nina Poláková
                シャムのダンサー Davide Dato
                タマラ・カルサウィナ Maria Yakovleva
                アレキサンドラ・バルディーナ Natascha Mair
                ヴァスラフ・ニジンスキー Denys Cherevychko
                セルゲイ・ディアギレフ Roman Lazik
                ニジンスキーの子供時代 Richard Szabó
                ニジンスキーのクラス・メート Leonardo Basílio, Marian Furnica,
                Trevor Heyden, Gaetano Signorelli, James Stephens
                バレエ・リュス Natalya Butchko, Eszter Ledán, Anita Manolova,
                Suzan Opperman, Alaia Rogers-Maman, Rikako Shibamoto, Madison Young
                Leonardo Basílio, Trevor Hayden, Scott McKenzie, Gaetano Signorelli
                James Stephens, Richard Szabó, Narvin Turnbull

                LE SACRE
                振付・舞台・演出・照明・衣装 John Neumeier
                音楽 Igor Strawinsky
                指揮 Michael Boder

                Tänzerin 1 Ketevan Papava
                Pas de deux Sveva Gargiulo - Géraud Wielick
                Tänzerin 2 Fiona McGee
                Tänzerin 3 Estzer Ledán
                Tänzer 1 Zsolt Török
                Tänzer 2 Dumitru Taran
                Ensemble

                今シーズンは28日の最終公演の日に
                ちょっと浮気しちゃうので
                この公演が私にとっては最終公演になる。

                ダンサーの皆さま、どうぞウワキをお許し下さい。
                もっとも、この公演、ばっちり売り切れになってる。

                今回はヤコブとニナ(ポラコヴァ)
                ローマンにマーシャ、ナターシャにダヴィデという
                主要登場人物全員がプリンシパルという
                考えてみれば、ものすごく贅沢な舞台。

                ヤコブのニジンスキー
                こういう演技力が必要な演目だと、ヤコブの演技の巧みさが目立つ。
                背が高くてスタイル良くて、しかもイケメンなので
                王子さまももちろん良いんだけど
                ヤコブの良さはモダン(ペール・ギュントとか、ニジンスキーとか)で
                最大限に活きてくる印象が強い。

                腐女子ドキドキのディアギレフとのパ・ド・ドゥでも
                ローマンとミーシャだと、ちょっと汗臭い感じになるのに
                ヤコブとローマンの組み合わせだと
                正に腐女子悶絶死の数分になってしまうのだ。

                その後の男性だけ4人のシーンなんか、もう、もう、もう・・・
                ローマン、ヤコブ、デニス、ダヴィデの組み合わせですよ、みなさん。
                これで悶絶しない人はいない(と思う)

                ダヴィデのシャムのダンサーの赤い衣装の似合う事。
                しかも、ダヴィデのダンスが、もう色っぽいというか
                背徳的デカダンス、妖しげな秘密に満ちたバレエ・リュスの
                なんとも言えない雰囲気を漂わせて
                しかもダンスのキレは良いしジャンプ高いし
                手の動きの色っぽさには心臓がバクバクする。

                ローマンは、最初のシーンの医者のところから
                もう妖しい雰囲気を纏っていて
                なんだかもう、この演目、腐女子のための演目じゃないのか?

                バレエ・リュスのダンサーとして登場する
                マーシャとナターシャが、これまた素晴らしい。
                ナターシャのあの流し目、久し振りに堪能。
                プリンシパルになっても、むちゃくちゃ可愛い💖
                ナターシャってデビューの頃から観ているけれど
                あのキュートさが全然変わらないのはスゴイ。

                このメンバーで公演すると
                デニスのダンスの凄さもわかる。
                ともかくピルエットで身体の軸のズレが全くない。

                最後のシーン、以前のシーズンでは
                ニジンスキー役が衣装を脱いで立っているところで
                拍手のフライングがよく起こったのだが
                今回は、間を置かず、すぐにルルベになって動くので
                そのままの緊張感で、最後の彫刻のような美しい動きに
                春の祭典の最初のソロ・ファゴット(テープ)が被るのが
                非常に印象的なシーンになっていて、私は嬉しい。

                ヤコブの身体・・・美しい・・・
                男性のヌード見て喜ぶ歳じゃないんだけど
                それでも、鍛え抜かれて磨き抜かれた肉体の美しさには感嘆する。

                後半の春の祭典は
                あ〜、もう別に観なくても良いか・・・とは思ったんだけど
                そのまま残ったら
                ロジェの1列目の女性2人は、パーフォーマンスの途中で
                席を立って帰っちゃった(笑)

                ジェローのソロは美しくて素敵だけど
                ケテヴァンの最後のソロは
                あまりに抑えすぎというか
                レベッカの野生味を知っていると
                やっぱりかなり物足りない。
                (というか、ケテヴァン、ちょっとコワイ)
                春を呼び込む野生の性のエネルギー的なものは
                全く感じられなくて
                何だか怒っているような不思議な感じがする。

                オーケストラは、かなり良くなったと思うけれど
                ロジェの後ろは音響的には最悪なので
                感想を書くのは止めておく。

                次のバレエはフォーサイス、ファン・マネンとキリアンの3本立て。
                5月にはルグリ版の「海賊」が再登場。

                まだまだダンサーには活躍してもらいますよ、と
                勝手に決めているイヤな観客の私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                アルミードの館の音楽は、ロシアの作曲家の
                バレエ・リュスのために作曲したオリジナルだが
                この音楽が美しくてステキ(特にワルツのところ、すごく好き❤)

                ロメオとジュリエット ボンバーナ版バレエ フォルクス・オーパー

                0
                  Volksoper/Wiener Staatsballett 2019年3月23日 19時30分〜21時35分

                  Roméo et Juliette
                  Ballett in zwei Teilen
                  振付 Davide Bombana
                  音楽 Hector Berlioz
                  舞台・衣装・照明 rosalie
                  指揮 Gerrit Prießnitz
                  コーラス指導 Thomas Böttcher

                  ジュリア Maria Yakovleva
                  ロメオ Arne Vandervelde
                  マブ女王 Ketevan Papava
                  ロレンツォ神父 Zsolt Török
                  マキューシオ Alexander Kaden
                  ティボルト Martin Winter
                  ベンヴォーリオ Gleb Shilov
                  マブ女王のダブル Tainá Ferreira Luiz, Suzanne Kertész
                  Dominika Kovacis-Galavics, Mila Schmidt
                  アンサンブル Marie-Sarah Drugowitch, Kristina Ermolenok,
                  Tainá Ferreira Luiz, Dominika Kovacs-Galavics, Zuzana Kvassoyava,
                  Elena Li, Tessa Magda, Natalie Salazar, Mila Schmidt, Una Zubović,
                  Lázló Benedek, Roman Chistyakov, Samuel Colombet, Patrik Hullman,
                  Dragos Musat, Keisuke Nejime, Lorenzo Salvi, Felipe Vieira, Robert Weithas
                  ソロ歌手 アルト Annely Peebo
                  ソロ歌手 テノール Alexander Pinderak
                  ソロ歌手 バス Yasushi Hirano

                  Wiener Staatsballett
                  Orchester der Volksoper Wien
                  Chor und Zusatzchor der Volksoper Wien

                  2017年の12月に4回観たボンバーナ振付のロメオとジュリエットは
                  音楽はベルリオーズで、歌詞はフランス語。
                  合唱団が舞台上でダンスのような動きを見せたり
                  背景っぽくなったり衣装を変えたり
                  バレエ作品というよりは
                  劇場作品と言った方が良いんじゃないか、と思うくらいに
                  音楽とバレエが(比較的)対等な位置にある。

                  今回の公演(何回かある)は
                  ベテラン・ダンサーと若手を組ませようという意図なのか
                  ジュリエットがマーシャで
                  対するロメオが新人アルネ。
                  マブ役をケテヴァンが踊って
                  ロレンツォ神父(最後に大きなソロあり)にゾルトが入った。

                  ティーボルト役のマルティン・ヴィンターは
                  悪役にぴったりで、キレキレのダンスだし
                  マキューシオ役のダンサーが、キュートで
                  死ぬ時の演技も細かくて(ちゃんと白目剥いてた(笑))
                  かなりリアルで素晴らしかった。

                  主人公はジュリエットとロメオと
                  ベルリオーズの場合は最後にロレンツォ神父の3人と言える。

                  マーシャのジュリエット、うわああ、何て可愛いの。
                  いや、ただキュートというのと違う。
                  最初の登場が街の不良娘(死語)のような
                  黒いレザーの、ちょっとこまっしゃくれた
                  背伸びして大人っぽく見せている感じの衣装とヘア・スタイルで
                  これがまた、マーシャに合っていて
                  不良娘(死語)がぴったりなのに

                  その後、ロメオと恋に堕ちるところで見せる
                  輝くような笑顔の美しさ、純粋さ・・・

                  わ〜い、若い男の子捕まえちゃった
                  ・・・というのも、ないとは言わないが
                  (いいじゃん、若い男の子に慕われるって←嫉妬ではありません💧)

                  ロメオを踊った新人アルネが意外に良くて驚いた。
                  まぁ、これは若手のダンサーに向く役で
                  これまでも、新人が踊って来たのだが
                  アルネ、ダンス巧いし、初々しくてチャーミングなロメオになっている。
                  マーシャとの息も合っていて、なかなかロマンティック。

                  この演目、ちょっとラブシーンがしつこいのである。
                  いや、それが良い、という人も居るのだけれど
                  前半で、延々とラブシーンのデュエットが続く。

                  パターンとしては、くっつく、離れる、
                  ジュリエットがロメオに飛び込んでリフト
                  くっつく、離れる、飛び込みリフト
                  ・・・の際限ない繰り返し(に見える)

                  あの長さのデュエット、体力的によく踊れるな、と驚くし
                  リフトのバリエーションはまるでリフト展示会みたいだが
                  他人のラブシーンを10分以上観ていてもあまり嬉しくない(すみません)

                  それ考えると、こういう演目は
                  踊る方にも観る方にも若さが必要なんだろうな。
                  ラブシーンも素敵だと思うが
                  あそこまでダラダラ踊られると、ちょっとね(気恥ずかしい)

                  マーキューシオの死とロメオのティーボルト殺しの
                  激しいシーンの直後に
                  ジュリエットが薬を飲んで前半終了。
                  ラブシーン長かったのに、ここら辺のストーリーは短縮(笑)

                  後半はジュリエットの死体運搬から
                  コーラス・メンバー揃ってのお葬式のシーンが
                  これまた長くて・・・
                  その間、ずっとつま先ばっちり伸びて
                  寝ているだけではなくて
                  運ばれて、頭を下にして延々と持ち上げられるマーシャ。
                  ・・・いや、ダンサーって本当に大変。

                  以前にも書いたと思うけれど
                  このボンバーナ振付のロメオとジュリエットは
                  グノーのオペラと同じく
                  ロメオが毒を飲んだ後、まだ生きている時に
                  ジュリエットが目覚める、という設定になっている。

                  これ、本当にかわいそうだと思いません?
                  だって、ジュリエットは目覚めたらロメオが居て
                  やったわ〜〜〜 ♡♡♡ と大はしゃぎするのに
                  ロメオはその時点では毒を飲んでいて、もう助からない。
                  ロメオだって焦ったでしょう、自分の早とちりのアホさ加減に。
                  ジュリエットだって、ロメオの早とちりに驚いたに違いない。

                  少なくとも、ジュリエットが目覚めた時に
                  ロメオが死んでいた、というのであれば
                  少なくともロメオは、天国でジュリエットに会えると思って
                  死んでいったわけで

                  天国に行ったら、ジュリエットが居なくて
                  あれ?おかしいな・・・と思っていたら
                  ロメオのアホさ加減に怒り狂っているジュリエットが
                  天国に登場、という事になるわけか。

                  このベルリオーズ+ボンバーナ版に登場する
                  マブの女王と言うのは
                  人間の悪意の象徴と言うよりも
                  運命の象徴でしょうね。
                  かなり気味の悪い動きをするので
                  ケテヴァンが踊ると、ちょっと、いや、かなり怖い。

                  ロメオにティーボルトを刺すためのナイフを渡したり
                  ジュリエットに自殺用ナイフを渡したりする役で
                  中腰での地面を這うようなダンスは、ものすごく目立つ。

                  この演目、最後のシーンで
                  長いバリトンのアリアがあって
                  バリトン歌手の横で、ロレンツォ神父がバレエを踊る。

                  平野さん、カッコいいなぁ・・・
                  存在感あって、堂々としていて、美声で
                  横で踊るロレンツォ神父なんか要らん、という気分になってしまうが
                  ゾルトのソロ、かなり良くて、見応えあった。

                  この演目、イースター時期にもう一度行く予定だけど
                  もう、それで打ち止めにしよう。

                  ブログ書くのが延々と遅れていて
                  自分でも焦っているのだけれど
                  今学期も、なんだかんだと興味の趣くままに
                  演習やゼミを齧っているので(宿題が山ほど出る)
                  どうぞお許し下さい、と
                  みなさまにお詫びする私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                  ウィーン交響楽団 + グスターボ・ヒメノ 1回目と2回目

                  0
                    Musikverein Großer Saal 2019年3月22日 19時30分〜21時30分
                    Musikverein Großer Saal 2019年3月24日 19時30分〜21時30分

                    Wiener Symphoniker
                    指揮 Gustavo Gimeno
                    チェロ Harrit Krijgh

                    Henri Dutilleux (1916-2013)
                     Métaboles
                    Camille Saint-Saëns (1835-1921)
                     Konzert für Violoncello und Orchester Nr. 1 a-Moll, op. 33
                    Robert Schumann (1810-1856)
                     Symphonie Nr. 2 C-Dur, op. 61

                    すみません、すみません、すみません。
                    以前は根性でその日のうちにブログ書いていたのだが
                    最近、体力・気力その他の衰えで(その他=知力・・・)
                    いや、そんなの言い訳だけど 💦

                    金曜日と日曜日に行ったウィーン交響楽団のコンサート、
                    2回分、まとめて自分用にメモっておく。

                    ウィーン交響楽団とグスターボ・ヒメノのコンサートに
                    2回も行った理由は
                    デュティユーのメタボールのナマ・オーケストラ演奏!!!

                    だいたいフランス音楽の演奏が少ないウィーンで
                    現代音楽コンサートでもないところに
                    しかもシューマンとのコンビネーションでデュティユーが出てくるなんて(感涙)

                    このメタボールって傑作だと思う。
                    リズムやメロディの変化が多く、多様性に目、いや、耳を奪われるので
                    一瞬たりとも飽きる事なく聴いてしまうという見事な作曲の手腕。
                    基本的には4度の繰り返しのバリエーションなのだが
                    その中でメロディもリズムも絶えず変化していく。

                    アトナールっぽい部分もあるけれど
                    かなり明確なトナール部分も多くて
                    現代曲(近代曲?)にしては、非常にエモーショナルで
                    まるで後期ロマン派の音楽を聴いているような
                    ワクワク感があるのだ。

                    一言で言い表すと、むちゃ「カッコイイ」のである(笑)
                    リズムやスペクトルの変化がすごい。
                    スペクトルの色彩感がすごい。

                    こういう曲って、もっとちゃんとスコア読んで
                    それなりにパーツに分けて分析したら
                    実はもっと面白いんじゃないかしら・・・
                    ↑ 確かに毒されているんだけど
                    最近、耳からの刺激で感情に触るという音楽以外に
                    目から入って頭に入る、というものがある事に気がついてしまって(わはは)

                    第一、この曲だって、ほとんどソナタ形式というか
                    ロンド形式というか(どちらだ?(笑))
                    比較的古典的な様式を使っているのは
                    最後のあたりでよ〜くわかるのだ。

                    各パートのソロも良いし
                    ヒメノの指揮は輪郭がはっきりして
                    音楽の中の要素をしっかり引っ張って出してくる。

                    あ〜、カッコイイわ、悶えるわ。

                    周囲の観客の反応は知らない(笑)
                    ただ、次のサンサーンスのチェロ協奏曲が始まったら
                    ホッとしている人が周囲に数人(爆笑)

                    ハリエット・クリーフのチェロ、初聴きではないと思うが
                    サンサーンスのチェロ協奏曲、最初からオーケストラ+ソロで
                    チェロがオーケストラに埋もれず
                    埋もれないのに、ちゃんと独立して聴こえて来る。

                    しかも、この人の音、厚みがあって
                    透明な音で、音量かなりあるのに、出しゃばりもせず
                    かと言ってオーケストラにも埋もれず
                    まるで美声のバリトンのように歌う。

                    金曜日の方がソロは響いていて
                    日曜日はちょっと埋もれがちだったけれど
                    私の聴く耳の問題かもしれない。

                    アンコールの前に2日間ともに
                    とてもキュートな声で(アニメ声だよあれは!)
                    ウィーンの楽友協会で弾くのは、いつもとても嬉しい体験です。
                    子供の頃にウィーンで暮らした時代の思い出に、バッハのシャコンヌ
                    ・・・というような挨拶。
                    (ご存知、声は前に飛んで来ないので聞き取りにくいのだが
                     割に周波数が高かったので、ある程度は聞き取れた)

                    嫌味のない素直に歌うチェロのバッハ。
                    う〜ん、ヨハン・セバスティアン・バッハの作品の和声も
                    実はスゴイんだよね・・・というか
                    ほんと、この作曲家の作品って、何でもありだわ。

                    後半、シューマンの交響曲2番。
                    まぁ、名曲だし、こういうスタンダードな曲は
                    誰が振っても似たような感じになる(というか、ならないと困る(笑))

                    第1楽章後に大きな拍手。
                    第2楽章後にも大きな拍手。
                    何と、金曜日は第3楽章の後にも拍手(さすがに日曜日は第3楽章の後はなかった)

                    指揮者が苦笑いしていたけれど
                    最近、私、楽章間拍手に関しては見解を変えた。

                    それだけ、クラシック音楽を聴いた事のない人たちが
                    ウィーン音楽の都、やっぱり楽友協会には行かなくちゃ、と
                    予習もなにもなく、クラシックを聴いた事もなく
                    楽友協会(なりオペラ座なり)に入って
                    頑張って20分の現代音楽を聴いて

                    (途中でスマホやってる人も貧民席では多いが
                     まぁ、お喋りさえしなければ。
                     ピアニッシモのところでペットボトルを音を立てて開けて
                     水をゴクゴク飲んだ人もいるけれど
                     きっと、病気や体調の関係で、あのタイミングで飲まないと
                     身体が持たないのだ、と理解することにする)

                    サンサーンスで美人のチェリストを聴いて
                    シューマンの交響曲聴いて
                    あ、これ、すごく良いかも、と、ようつべなり何なりで
                    ちょっと自宅でも聴いてみようかな・・・ってなったら

                    もしかしたら、そこからクラシック音楽に目覚めて
                    ハマる人も出てくるかもしれないではないか。
                    誰だって最初のコンサート、という体験はあるので
                    それが早いか遅いかは、関係ないし。

                    だから、舞台のオーケストラや指揮者も
                    そういう未来の層=自分たちのメシのタネが
                    今、楽章間拍手をしている人たちの中に居るかもしれない、というのを
                    ちゃんと意識して、きちんと演奏しましょう (^^)

                    初心者でもベテランでも
                    たぶん、演奏の良し悪しって、それなりに直感的にわかると思うの。
                    もちろん、批評のプロとか
                    コンサート通いのオタクとかと聴き方は多少違うかもしれないけれど
                    でも、誰でも鑑賞眼(あ、耳か?)はあるし
                    これから好きになって聴く人には
                    まだまだ素晴らしい世界が広がってるし (^^)v

                    シューマンの交響曲2番の第3楽章の管楽器のソロが
                    それぞれ素晴らしくて、座席で悶えまくってた。
                    惜しむらくはウィーン交響楽団って
                    第一バ(以下省略)・・・ いや、ちょっと時々、音が鋭すぎて。

                    シューマンのこの曲は
                    最後にどっか〜ん!と盛り上げて終わるので
                    聴いていて、ともかく元気になる曲だし
                    時々、聴きたくなる曲の一つで
                    ともかく、元気になった私に
                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                    楽章間拍手については
                    楽友協会の人が、他のオーケストラのコンサートの時は
                    もっとスゴイよ、と笑いながら話してくれたが
                    まぁ、楽友協会だからね・・・(笑)
                    コンツェルトハウスは比較的ジモッティの常連が多いから少ないかもしれない。

                    サイモン・キーンリサイド + マルコルム・マルティヌー

                    0
                      Wiener Konzerthaus Mozart Saal 2019年3月21日 19時30分〜21時40分

                      バリトン Simon Keenlyside
                      ピアノ Malcolm Martineau

                      Franz Schubert (1797-1828)
                       Liebesbotschaft D 957/1 (Schwanengesang, 1. Buch) (1828)
                       Kriegers Ahnung D 957/2 (Schwanengesang, 1. Buch) (1828)
                       Der Atlas D 957/8 (Schwanengesang, 2. Buch) (1828)
                       Am Meer D 957/12 (Schwanengesang, 2. Buch) (1828)
                       Freiwilliges Versinken D 700 (1820)
                       Ständchen D 957/4 (Schwanengesang, 1. Buch) (1828)
                       Der Jüngling an der Quelle D 300 (ca. 1817)
                       Das Fischermädchen D 957/10 (Schwanengesang, 2. Buch) (1828)
                       Ganymed D 544 (1817)

                      Francis Poulenc (1899-1963)
                       Le traveil du peintre S 161 (1956)
                        Pablo Picasso
                        Marc Chagall
                        Georges Braque
                        Juan Gris
                        Paul Klee
                        Joan Miló
                        Jaques Villon

                      Ralph Vaughan Williams (1872-1958)
                      aus: Songs of travel (1904)
                       Nr. 1: The vagabond
                       Nr. 4: Youth and love
                       Nr. 6: The infinite shining heavens

                      Arthur Somevell (1863-1937)
                       There pass the carelss people (A Shropshire lad Nr. 3) (1904)

                      John Irland (1879-1962)
                       The three ravens (1920)

                      Peter Warlock (1894-1930)
                       My own country (1926)
                       Cradle song (1927)
                       Piggésnie (1922)

                      John Ireland (1879-1962)
                       Sea fever (1913)

                      Hugo Wolf (1860-1903)
                      aus: Mörike-Lieder (1888)
                       Nr. 2: Der Knabe und das Immlein
                       Nr. 32: An die Geliebte
                       Nr. 31: Wo find’ ich Trost?
                       Nr. 23: Auf ein altes Bild
                       Nr. 46: Gesang Weylas
                       Nr. 38: Lied vom Winde

                      アンコール
                      Franz Schubert: Im Abendrot D 799
                      Franz Schubert: Der Einsame D 800
                      Peter Warlock: The Night
                      Percy Grainger: A Spring of Thyme

                      サイモン・キーンリサイドのリサイタル。
                      ピアノはマルコルム・マルチヌーで
                      プログラムが・・・ 実に面白い構成になっている。

                      シューベルトの白鳥の歌を中心に歌ってから
                      プーランクの歌曲集「画家の仕事」
                      ・・・って、これ、私、知らなかった!!!

                      キーンリサイド登場、普通のジャケットだが
                      シャツの胸元は開けて
                      登場したら、結構な拍手が鳴り止まず
                      本人も拍手の多さにドギマギしたのか
                      あっち行ったりこっち行ったり
                      何だか落ち着きがなくて
                      ちょっとコミカルな感じが・・・

                      うううううん、このバリトン
                      こんなコミカルなキャラで売ってたっけ???
                      (いや確かに大昔に歌詞ど忘れ事件があったのは覚えているが)

                      最初のシューベルトの歌
                      下向いて、しかも、ピアノの周辺を
                      あちこち動きながら
                      すごい声量で歌っていて

                      声量あるのはわかるんだけど
                      ここ、モーツァルト・ホールだから
                      あんまり大きな声を出しても意味ないし
                      第一、歌ってるのはシューベルトのリートだよね。
                      オペラじゃないよね。

                      低音は倍音たっぷりの美しさで
                      下向きだけど
                      もしかしたら上向いて歌ったら
                      ただウルサイだけになってしまう可能性があるから良いけれど
                      ピアニッシモに抑えるところで
                      ・・・声、掠れてますが(絶句)

                      本人も、弱音で歌うと声が掠れるのに気がついたのだろうか
                      力一杯の声量で歌ってくるので
                      強弱なくて、強だけで押しまくり
                      かなり大味の、しかも、力だけで歌っている感じになる。

                      どうしても弱音・・・というところでは
                      突然、声の支えがなくなってしまう(涙)
                      こういうのって、風邪をひいたり、声が疲れている時の症状なんだけど
                      大丈夫なのか、キーンリサイド・・・

                      アトラスなんか、どう聴いたって
                      オペラのアリアにしか聴こえなかったし
                      (まるでヴェルディだった)
                      ピアニストが、またそれに合わせて
                      シューベルトとは思えぬドラマチックな
                      色彩感たっぷりの伴奏を付けるので
                      (これはある意味、素晴らしかった♡)
                      どうしてもシューベルトを聞いた気分にならない。

                      しかも、キーンリサイドが歌いながら、むちゃくちゃ動く。
                      リート歌ってる時に動くな、とは言わないが
                      舞台のあちこちに移動するし、手は上げるし
                      どう観ても、それはオペラを歌っている・・・としか見えないです(涙)

                      プーランクの「画家の仕事」
                      うわあああ、これ、むちゃ面白いではないか。

                      ピカソ、シャガール、ブラック、クレー、ミロは知っているが
                      うわあああ、不勉強な私は
                      フアン・グリスとジャック・ヴィヨンの作品は鑑賞した事がない(汗)

                      ピカソとブラックの作品の見分けはつくか、と言われたら
                      かなり不安なんだけど(ブラックの作品の方が色は地味だと思う)
                      フランス語+ドイツ語訳がプログラムにある詩も
                      各画家たちの特徴や人柄をユーモアに満ちて綴っていて楽しい。

                      面白い歌曲集があるものだ。
                      絵画を音楽で表現する試みは
                      昔から様々な作曲家がやっているが
                      キュービスムまで、その方法での曲があるとは思わなかった。
                      (現代ではデュフールがやってたな。この間の現代音楽祭で聴いた記憶がある)

                      さて後半、声は大丈夫なのか、と心配だったが
                      舞台の上に水を置いて
                      多少、声も持ち直して来た感じ。

                      最初のイギリス歌曲のテーマが「旅」
                      内容的にも音楽的にも、非常にすっきりしたまとまりになっていて
                      様式的にもイギリスやスコットランドのエレメントが
                      時々、耳新しく、でも、何となく中世っぽい響きまで出て来て
                      ドイツ歌曲、フランス歌曲の後に、ヨーロッパ大陸から離れた
                      英語圏の歌が入ると、バリエーションが増す。

                      途中で1回だけ、やっぱり歌詞ミスで
                      最初から繰り返しがあったけれど
                      割に最初のところだったし
                      まぁ、そういう事もあります。

                      最後がフーゴ・ヴォルフのメリケ歌曲集。
                      やっと、ここら辺で、声量でごまかしていた声のコントロールが効いたようで
                      (いや、そりゃ、ヴォルフでコントロールなかったら困る)
                      ドイツ語のクリアなディクションに
                      軽く声を乗せて、という最初の曲から
                      それこそ、弱音出なかったら最悪だったという
                      Auf ein altes Bild や
                      これは得意だろうメロディックなワイラの歌
                      最後の Lied vom Winde で
                      ものすごくキュートに Kindlein, Ade ! をキメた。

                      キーンリサイド、後半でも動きまくり。
                      まぁ、ゲルネのように身体クネクネのたびに
                      違う方向に声が飛ぶ、というタイプではないけれど
                      如何にもオペラちっくな舞台。

                      しかもキャラが何だかコミカル。
                      この人、いつからコミカル・キャラに変えたのかしら。

                      アンコールの前にスピーチして
                      なんちゃらという有名なバリトン歌手が
                      死の床で、夕陽に向かって歌ってから亡くなった
                      とかいう内容(だと思われる、よくわからなかった貧民席だから)を話して
                      平土間のお金持ち席には音響的に聞こえたであろう
                      何かジョークをかましてから、シューベルトの Im Abendrot
                      その後出て来た時に
                      英語の歌を歌おうと思ったけれど
                      シューベルトの後に英語の歌を歌う切り替えが難しくて出来ない
                      という前置きで、もう1曲シューベルト。
                      最後の最後に、あと2曲だけ、今度は英語の歌ね、と
                      続けて2曲のイギリス歌曲。

                      確かに器用な歌い手で
                      ドイツ語もフランス語も英語も
                      美しいディクションで歌ってしまうけれど

                      バリトンとしては、かなり低い声域になっているし
                      (歳と共に声域が下がるのは普通だから構わないけど)
                      力を入れれば声量はあるのだけれど
                      リートに必要な弱音のコントロールが
                      最初全くダメだった事を考えると
                      ちょっと残念。

                      愛されるコミカル・キャラを演じていれば
                      ファンの人たちは集まるだろうが
                      しかしウィーンの、特にリートを聴く(ほとんどが年配の)聴衆って
                      オペラに行って声量のでかいスター歌手にきゃ〜っていう聴衆と一味違うよ。

                      私も正直言うと
                      ゲルハーヘルとかベッシュは
                      またリサイタルやったら行きたいと思うけれど
                      今日の状態だと、キーンリサイドはちょっと・・・と思うもん(すみません)

                      確かに多彩なプログラムで
                      テーマもあり、曲の音楽の統一性も違和感はないし
                      客を絶対に飽きさせない構成は見事だと思うが。

                      今年60歳になるけれど
                      もしかしたら、歌いすぎ?
                      あの声量で力任せに歌えるなら
                      まだオペラではイケるかもしれないけれど
                      それでも、ちょっと心配な私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。


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