Junge Künste Orchester Wien

0
    MuTh - Konzertsaal der Wiener Sängerknaben 2019年2月28日 19時30分〜22時10分

    Junge Künste Orchester Wien
    指揮 Tobias Treitner
    バイオリン Moritz Engelich
    チェロ Theresa Strasser
    ピアノ Nazanin Aghakhani
    リコーダー Moritz Reifner
    バリトン Anton Puscha

    Ludwig van Beethoven (1770-1827)
     Ouvertüre zu Coriolan, op. 62

    Anton Bruckner (1824-1896)
     Marsch in d-Moll WAB 96
     Drei Orchesterstücke WAB 97

    Tobias Treitner (*2000)
     Adagio für Cello- und Klavier-Solo und Orchester (2019)
     Klaviertrio „De Vita“ (2018)
     Konzert für Altblockflöte und Orchester (2018)
     Orpheus in der Unterwelt - Orchesterlied (2017/18)

    Franz Schubert (1797-1828)
     Sinfonie Nr 7 in h-Moll „Unvollendete“, D 759

    ウィーン少年合唱団のコンサート・ホール MuTh で
    ウィーン音楽学校の若い生徒たちのコンサート。

    こういうコンサート、基本的に私は行かないのだが
    大学の同級生出演という事で
    かなり早い時期にチケットを買って行った。

    指揮と作曲は18歳のビオラ奏者で
    現在、ウィーン音楽大学入学準備クラス在籍中。

    音楽学校の先生が登場してスピーチ。
    このビオラ奏者は、先生のところに来て
    僕の作品を演奏するためのオーケストラを設立したい
    ・・・と言って、2018年に本当にオーケストラを作ってしまったとの事。
    オーケストラは16歳から20歳までの音楽学校の生徒たち。

    先生曰く
    すごい才能の持ち主で
    その作品は感受性に満ちていて
    いったい、このテルツ・クヴァルトの和声で
    作曲家は何を意図したんだろう、と
    時々、夜中に飛び起きて分析したりしていた、と言う。

    ホールは満杯だが
    だいたい先生のスピーチの呼びかけが
    出演者の、お父さま、お母さま、ご兄弟、ご姉妹の皆さま
    お祖母さま、お祖父さま、その他の親戚の皆さま
    出演者のご友人の皆さま、関係者の皆さま
    ・・・である事からして
    これはまさに内輪のコンサートである事がよくわかる。

    さて、たぶん、そういう内輪のコンサートの来場者の中で
    私はかなり特別な位置にいるし
    (音楽的に云々とは言わない。音楽学生の親戚筋は音楽のプロも多いはず)
    しかも、バレエだったら2回
    コンツェルトハウスなら天井桟敷のチケット買ってもお釣りが来るチケットを
    自腹を切って買っているので
    正直な自分の印象を、自分だけのために・・・

    ・・・書いてみたら
    あまりに正直過ぎる感想になってしまって
    読者の皆さまにお目にかけるようなモノではなくなってしまったので
    このコンサートの印象記は自分だけに留めておく。

    一つだけ書くとすれば
    ウィーンって・・・ 緩いわ、緩すぎる。

    まぁ、そこが良いところではあるのだろうが(笑)
    あまりの緩さに、なま温かく見守る、という気分でもないし。

    という訳で、記録は未発表という事で
    お許し下さいませ(お辞儀)

    ランキングのリンクは貼っておきますので
    気が向いたら1クリックをお恵み下さい。



    ウィーン交響楽団 + アラン・アルティノグル

    0
      Musikverein Großer Saal 2019年2月27日 19時30分〜21時20分

      Wiener Symphoniker
      Singverein der Gesellschaft der Musikfreunde in Wien
      指揮 Alain Altinoglu
      メゾソプラノ Nora Gubisch
      ピアノ Denis Matsuev

      Franz Liszt (1811-1886)
       Von der Wiege bis zum Grabe
         Symphonische Dichtung nach einer Zeichnung von Michael Zichy
       Konzert für Klavier und Orchester Nr. 2 A-Dur

      Sergej Prokofjew (1891-1953)
       Alexander Newskij, Kantate für Mezzosopran, Chor und Orchester, op. 78

      何とも変わったプログラム構成だと思う。
      いや、私が無知なだけかもしれないが、
      フランツ・リストの交響詩、乳母車から墓場まで(って訳すのか?)とか
      プロコフィエフのカンタータ、アレクサンドル・ネフスキーなんて
      今まで数多く行ったコンサートでも一度も聴いた事がないと思う。

      中に挟まれて超有名なのが、リストのピアノ協奏曲2番(笑)
      しかもソリストがデニス・マツエフ。

      さて、フランツ・リストの交響詩は
      70歳の時にハンガリーの画家のスケッチにあった
      乳母車・存在への戦い・墓 というタイトルに触発されたものらしい。
      ピアノ曲として作曲され
      オーケストレーションの時には厚い音響を避けた
      ・・・とプログラムには書いてあったが

      う〜ん、この作品、ちょっと退屈(すみません)
      やっぱりこれは、やりたい放題やって来て
      名声も金も女性も、持てるだけ持って
      僧籍に行った70歳にならないと、この境地にはなれない。
      これはもう、人生そのもののクオリティが違うので
      この曲の境地になれ、と言われても私には無理(断言)

      ピアノ協奏曲2番は
      これは、リストの名人芸・超絶技巧たっぷりの華やかな曲。

      マツエフのピアノが最初からむちゃ凄い。
      オーケストラの後ろの席=ピアノの蓋が開いている反対側で
      最初からオーケストラを圧する音量で聴こえてくるって何?
      どうやったら、グランド・ピアノから
      あれだけの音量が出せるのか
      打鍵の強さだけではないのだろうが
      ともかく、異様に強いピアノ。

      マフィアの親分の、親分より強面の息子が
      大笑いしながら戦車に乗って
      周囲を蹴散らしながら暴走して行くイメージ(褒めてます)

      テクニックあるから
      こういう曲、弾いてて楽しいんだろうなぁ
      ・・・少なくとも、そう見える。
      悩んで内省的になって弾いているようには見えない。
      ヤクザの若頭がドスを振り回しているようにも見える(褒めてます)

      最初はモロ負けしていたオーケストラも
      だんだん、勢いを取り戻して来て
      途中からピアノとオーケストラの丁々発止の勝負になったのも
      仇同士の一騎打ちを見ているような気分になる。

      すみません、今ちょうど、室町時代の時代小説の
      百姓一揆の話を夢中になって読んでいるところなので
      連想するのが、どうしても物騒な方向に行くのはお許し下さい。

      リストとかラフマニノフは
      これから先、私に奇跡が起こって
      ピアノが弾けるようになったとしても
      物理的に演奏が不可能な曲だから
      こういう、むちゃくちゃ強いピアニズムに憧れる。
      どんなに音が大きくても
      一つ一つの音の粒が見事に揃って
      濁らず、宝石のように煌めきながら
      ホールの中に散らばっていく感じが快感。

      最初の地味なリストと対比的。
      それが意図であれば、確かにピアノ協奏曲の華やかさは目立った。

      後半は合唱団が舞台に上り
      (註 私の超貧民席からは舞台は見えません)
      プロコフィエフのカンタータ「アレクサンドル・ネフスキー」
      1938年にボリショイ劇場で大成功を収めた
      エイゼンシュタインの映画の劇伴からのカンタータだそうだ。
      映画音楽そのものは
      1939年のヒットラーとスターリンの独露不可侵条約の時に上演禁止になり
      1941年にドイツが契約を破って攻めて来た時には
      カルト的な映画として、意気高揚のために上演されたそうだが
      終戦後、ドイツでは何年も上演禁止になっていて
      その間に音楽も散乱。
      2003年にプロコフィエフのオリジナル・スコアが発見されて
      ドイツの指揮者フランク・シュトローベルが再構築。
      (この人、映画の音楽の再構築の専門家だと思う)

      カンタータは音楽が散乱する事もなく
      何回か楽友協会でも演奏されて来たらしい。
      (ただ、プログラム記載の最後が1983年であって
       私はまだその頃、オーストリアには住んでいなかった)

      こういう前置きが長いというのは
      曲について、どういう感想を持ったら良いのか
      今ひとつ定かでない時で
      なんだか不思議な曲なのだ。

      プエロコフィエフ自身が
      13世紀の時代の話なので、その頃の音楽的雰囲気を
      現代の聴衆にも伝えられるようなモチーフを、と考えたのはわかるが
      それ、13世紀???ですか
      いや、そりゃ、13世紀のロシア音楽がどういうものだったのかは
      私はわからない(というより、たぶん、誰もわからない)

      1200年代と言ったら
      私が習った限りでは、フランスでアルス・アンティクア
      モダール・ノテーションという
      ワケのわからん記譜法がやっと出て来たあたりの時代。
      (モダールが6種類もある。暗記したけどテストには出なかった(笑))

      だから、なんかやたらに変わった和声やメロディが登場して
      転調はプロコフィエフらしいところが垣間見えるのだが
      ドラマチックなんだけど、ちょっとワケわからん。

      第3曲目のプスコフの十字軍の歌詞は
      ラテン語で、一応、詩篇には出てくるらしいのだが
      意味をなさず
      プロコフィエフがカトリックを揶揄したものではないかと
      プログラムに書いてあった。

      同じくラテン語(っぽい歌詞)の氷上の戦いは
      戦いの様子を表現していて
      これは最初に凍った湖の見事な音楽的描写から始まるのだが
      カトリックと正教の戦いがどんどん激しくなり
      二・ホ・ヘ(=ドレミで言えば、レ・ミ・ファ)の3音の和音とか
      増四度の和音(悪魔の和音です(笑))とかが登場して
      かなりギョッとする。

      氷上の戦いに続く死の原野のメゾソプラノは
      舞台の上のオルガン・バルコンから歌ったが
      声が全体に響くタイプの
      深い美声のメゾ・ソプラノで
      ロシア系かな?と思ったら、フランス人だった。
      でも、この厚みのある柔らかいメゾ、感動した。
      悪魔の和音とか聴いちゃった後なので、ますますかもしれないが
      激しい争いの後の死者を悼む歌として
      哀れになり過ぎず、感傷に流されず
      温かみのある美声でのソロは、心を癒してくれる。

      最後はプスコフ入場の讃歌の合唱で
      鐘がガンガン鳴り響いて
      楽友協会の音響で、オーケストラに近いと
      かなりうるさい。難聴になりそう(笑)

      耳慣れない曲だったからかもしれないが
      奇妙な感じだったにもかかわらず
      エネルギー溢れる、ロシア正教バンザイの讃歌で
      何回か聴いたら面白いかもしれない。

      楽友協会合唱団って、人数頼みのところがあるにせよ
      ともかく巧いし、ドラマチックにバッチリ聴かせてくれたし
      アルティノグルは、自分でも歌いながら
      最後は感極まって泣きそうになりながら指揮していた。
      (オペラにのめり込みそうなタイプである)

      明日と3月1日に同じコンサートが行われる。
      私はもう行かないが
      いや、ちょっともう1回くらい聴いても良いんじゃないかと
      悪魔が囁いてはいるのだが

      そういう囁きには負けないぞ、と
      何故か全力を尽くして対抗している私に
      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



      風邪はだんだん回復して
      咳き込みも少なくなって来たので
      もうバイキンの塊ではない・・・はずだ、きっと。
      でも、勉強しようとすると頭痛が(それを怠け病と言う)

      エーテボリ管弦楽団 + サントゥ=マティアス・ロウヴァリ

      0
        Wiener Konzerthaus Großer Saal 2019年2月26日 19時30分〜21時50分

        Göteborger Symphoniker
        マルチパーカッション Martin Grubinger
        指揮 Santtu-Matias Rouvali

        Andrea Tarrodi (*1981)
         Liguria (2012)
        Kalevi Aho (*1949)
         Sieidi. Konzert für Schlagzeug und Orcheter (2010)
        Jean Sibelis (1865-1957)
         Symphonie Nr. 5 Es-Dur op. 82 (1915-19)

        さてこのオーケストラ、どういう名称なのか
        サイトを当たってみると
        エーテボリ交響楽団、イェーテボリ交響楽団、ヨーテボリ交響楽団
        ウィキの都市名の記載はヨーテボリ、イェーテボリ、イエテボリ、エーテボリ

        ・・・あ〜、もう知らん(やけっぱち)
        今までヨーテボリと書いて来たのだが
        大勢はエーテボリになったようなので、エーテボリ管弦楽団と書く。

        さて、このエーテボリ管弦楽団
        2007年〜12年にドゥダメルを首席指揮者にした後
        2017年からは、当年33歳のフィンランド出身の指揮者
        サントゥ=マティアス・ロウヴァリが首席指揮者になっている。

        ただ、このコンサートのチクルスは
        実はパーカッシブ・プラネットという名称。

        実際はマルティン・グルービンガーのファンのチクルスであって
        たぶん、このコンサートに来ている人の90%は
        マルティン・グルービンガー目当て。
        (もちろん私もグルービンガーの名前でチケットを買った。
         しかもこのチクルス、ジモッティが多いので、
         安いチケットは売り切れで、結構なお値段の(以下省略))

        最初の曲はストックホルム生まれの女性作曲家
        アンドレア・タロディの曲。
        イタリアのチンクエテッレの旅行の際の印象を音楽にしたもの。

        演奏時間約10分ほどの曲だが
        この曲、すごく素敵。
        海と波のトポスを、絶妙なオーケストラの音響の絨毯の上で繰り広げ
        各島の情景を叙情的に歌い上げて
        音楽で描く絵巻物みたいな感じ。

        録音なので、実際にコンサートで聴く立体感はないが
        2017年プロムスの英国初演の演奏を見つけたので
        ご興味ある方はどうぞ(全部で13分弱で、演奏の動画はなし。音だけです)



        こういう音楽を聴くと
        たぶん、後世に残る現代音楽というのもあるのだろうなぁ、と思う。
        (この曲が残るかどうかはわからないが)
        ちゃんと、聴衆に聴かせる音楽になっている(と思う)。
        私としては、かなり好きな部類に入る。

        さて2曲目で、お待ちかねマルティン・グルービンガー登場。
        もちろん盛大な拍手。

        演奏されたのはカレヴィ・アホの Sieidi という曲で
        コンツェルトハウスでの今までの演奏回数は3回。

        ・・・うち2回は私、ちゃんと行ってるわ(爆笑)
        ウィーン交響楽団とオスモ・ヴァンスカでの初演(2015年6月18日)と
        2018年1月18日にピアノとパーカッションに編曲した同作品を聴いている。

        野生的で原始的なエネルギーに満ち溢れた曲。
        マルティン・グルービンガーはパーカッショニストだけではなく
        優れたパーフォーマーなので
        動作の一つ一つが絵になっていて、カッコいい。
        聴いてよし、見てよし、というパーフォーマンスである。

        舞台上手(かみて)からずらっと並んだ打楽器を
        次から次へと移動しつつ
        オーケストラ内の3人のパーカッショニストとの絶妙な合いの手
        加えてオーケストラの反応がこれまた良い事。

        以前聴いた時には、休みなしの40分が長い上に
        盛り上がっても終わりにならず
        結局はピアニッシモで終わる、と文句つけていたが

        よく見ていれば
        マルティン・グルービンガーは
        舞台上手(かみて)から、各楽器を順に演奏していって
        下手(しもて)の端にある打楽器から
        またもや、今度は上手(かみて)に移動していって
        最後は、最初に叩いた小太鼓で終わる、という順番になっている。
        ちゃんと、右から左、左から右のパーフォーマンスになっているんですね。
        舞台が見えない貧民席だと、それがわからなかったのか・・・(反省)

        天井桟敷でも、一部舞台が見えて
        その移動がわかって鑑賞していると
        オーケストラとパーカッションの兼ね合いとかも面白いし
        横溢するエネルギーもすごい。
        グルービンガーもチャーミングだし
        今回は退屈どころか、最後まで楽しく聴けた。

        アンコールに何やるかと思ったら
        指揮者を巻き込んで、マリンバに3人
        その脇にパーカッション2人で
        実にご機嫌な曲を演奏してくれた。
        (コンツェルトハウスのアンコール・サービスからのお知らせは未だ来ていない)

        指揮者のロウヴァリは、パーカッショニスト2人に囲まれているが
        ちょっと待て、この指揮者、パーカッションやってただろ?!
        途中で隣のグルービンガーの肘まで突っつくという
        細かい芸まで見せて
        マレットの使い方から何からバッチリじゃないの。
        (後で調べてみたら、やっぱりもともとパーカッショ二ストだったらしい。
         そりゃそうだろう、でなければ、いくらアンコールだってあれは無理)

        さて、マルティン・グルービンガーのファンとしては
        前半が終わったら、別に後半のシベリウスの交響曲5番は
        オマケみたいなもので、どうでも良い筈なのだが

        前半で(特に最初の曲で)耳にした
        オーケストラのあまりの巧さに
        ちょっと後半のシベリウスが楽しみになって来た。

        指揮者のロウヴァリ、ふわふわ頭の可愛い男の子。
        遠目だと、何となくベニスに死すの美少年に見えない事もない。
        この美少年(かもしれない指揮者)の動きが素晴らしい。

        珍しく肩から上で振る指揮ぶりで
        ボードブラが綺麗・・・とか言うのは見当違いだが(笑)
        シロウト目で見ていても、指揮の動きが的確なのだ。
        しかも、非常にキレが良い。
        オーケストラも、指揮者の動きに合わせてキレの良い音を出す。

        シベリウスの交響曲5番は
        私にとっては、まだ難解な曲で
        (自閉症的に聴こえて、内部完結しているような印象がある)
        何回聴いても、まだワケわからん曲の一つなのだが

        無駄な力は入っていないのに
        オーケストラの出す透明感がすごい。
        各パートの解像度が抜群なのに
        バラバラではなく、有機的な繋がり感が濃くて
        音にニュアンスがある。

        しかもまぁ、オーケストラの巧い事。
        だいたい客演オーケストラって
        普段聴いている地元のオーケストラより巧く聴こえるのだが
        トゥッティ全員のアンサンブルの揃い方が半端じゃない。
        だからキレの良い音が出るのと同時に
        聴いていて、来るべきところに、ぴったりのタイミングで
        来るべき音が来るので気持ち良い。

        あの曲の最後の部分のトゥッティが
        ぴったり寸分違わぬタイミングで全部演奏された時には
        私もついついブラボー叫びたくなったくらい。

        この美少年(に見える)指揮者、ちょっとタダモノではない。
        若くは見えるが、33歳だそうだから、中堅に入るのか。

        アンコール演奏するかな?とちょっとしつこく座席に居たら
        観客に向かってドイツ語(らしきもの?)を話したけれど
        コンツェルトハウスの大ホールの音響は
        よほど静かでない限り(このタイミングでは観客が動き始めている)
        全く聞こえません(涙)
        シベリウスという単語は聞こえて来たので
        あれかな?と思ったら
        アレでした(笑)

        パーヴォ・ヤルヴィのアンコールの定番「悲しきワルツ」
        当然、パーヴォ・ヤルヴィの演奏が私のスタンダードになっているのだが
        (あれだけ頻繁に聴かされるとね(笑))

        ロウヴァリの「悲しきワルツ」・・・すごいわ。
        細かい部分の処理によるニュアンスの深さ
        音楽的なラインの美しさ
        パーヴォさんの解釈がどうのこうのじゃないけれど
        パーヴォ・ヤルヴィとは全く違った印象で聴こえてくる。

        グルービンガー目当てで行ったコンサートなのに
        思いがけない拾い物をした気分(すみません「拾い物」で 💦)
        この指揮者、ちょっと注目に値するかも。

        若い指揮者の活躍は楽しい。
        彼らが「巨匠」と呼ばれるようになるまで
        私は生きていないだろうが(笑)

        とか言う人に限って
        意外に100歳過ぎまで生きるかも・・・と
        ちょっと希望(え?)も持っている
        厚かましい私に
        どうぞ1クリックをお恵み下さい。



        白鳥の湖 今シーズン3回目

        0
          Wiener Staatsballett/Wiener Staatsoper 2019年2月25日 19時〜21時10分
          (途中退場)

          SCHWANENSEE
          Balett in vier Akten
          振付 Rudolf Nurejew nach Marius Petipa und Lew Iwanow
          音楽 Peter Iljitsch Tschaikowski
          舞台・衣装 Luisa Spinatelli
          照明 Marion Hewlett
          指揮 Paul Connelly

          ジークフリート王子 Roman Lazik
          オデット・オディール Liudmila Konovalova
          ロットバルト Andrey Teterin
          王子の母 Oxana Kiyanenko
          王子の友人たち Anita Manolova, Rikako Shibamoto*
          Scott McKenzie*, Richard Szabó
          王子の教育係 Christoph Wenzl
          侍従長 Gabor Oberegger
          第一幕
          ワルツ Adele Fiocchi, Eszter Ledán, Fiona McGee*, Isabella lucia Severi*,
          Tristan Ridel, James Stephens, Alexandru Tcacenco, Géraud Wielick
          Elena Bottaro, Sveva Gargiulo, Zsófia Laczkó, Suzan Opperman, Xi Qu,
          Alaia Rogers-Maman, Iulia Tcaciuc, Céline Janou Weder
          Nicola Barbarossa*, Giovanni Cusin, Marian Furnica, Trevor Hayden,
          Igor Milos, Hanno Opperman, Gaetano Signorelli, Zsolt Török
          女王の付き添い Marie Breuilles, Laura Cislaghi, Vanessza Csonka,
          Emily Hetterich, Katharina Miffek, Beate Wiedner
          第二幕・第四幕
          大きな白鳥 Adele Fiocchi, Gala Jovanovic, Oxana Kiyanenko, Katharina Miffek
          小さな白鳥 Alice Firenze, Eszter Ledán, Rikako Shibamoto, Nina Tonoli
          白鳥 Tea Bajc, Emilia Baranowicz, Elena Bottaro, Marie Breuilles, Aoi Choji,
          Laura Cislaghi, Sveva Gargiulo, Alena Klochkova, Zsófia Laczkó, Anita Manolova,
          Fiona McGee, Suzan Opperman, Olivia Poropat, Xi Qu, Joana Reinprecht,
          Alaia Rogers-Maman, Isabella Lucia Severi, Iulia Tcaciuc, Oksana Timoshenko,
          Chiara Uderzo, Céline Janou Weder, Beata Wiedner, Madison Young
          第三幕
          貴族の娘たち Elena Bottaro, Adele Fiocchi, Eszter Ledán
          Suzan Opperman, Xi Qu, Rikako Shibamoto
          スペインのダンス Zsófia Laczó, Alaia Rogers-Maman,
          Alexis Forabosco, Kamil Pavelka
          ナポリのダンス Anita Manolova, Richard Szabó
          Aoi Choji Sveva Gargiulo, Fiona McGee, Joana Reinprecht,
          Isabella Lucia Severi, Oksana Timoshenko
          ポーランドのダンス Alena Klochkova, Alexandru Tcacenco
          Emilia Baranowicz, Céline Janou Weder, Beata Wiedner,
          Marat Davletshin, Trevor Hayden, András Lukács
          ハンガリーのダンス Alice Firenze, Géraud Wielick
          Tea Bajc, Marie Breuilles, Laura Cislaghi, Vanessza Csonka,
          Katharina Miffek, Oliva Poropat, Iulia Tcaciuc, Chiara Uderzo
          Giovanni Cusin, Marian Furnica, Igor Milos, Hanno Opperman,
          Tristan Ridel, Gaetano Signorelli, Zsolt Török, Navrin Turnbull

          Wiener Staatsballett
          Ballettakademie der Wiener Staatsoper
          Jugendkompanie der Ballettakademie der Wiener Staatsoper
          Orchester der Wiener Staatsoper

          ニナ(ポラコヴァ)とデニスの白鳥は
          他のコンサートその他と重なったので行けず
          リュドミラとローマンの組み合わせの初日で

          何故かこの日、発売同時に入ったものの
          超貧民席が全くなくて、ギャラリーの横の1列目。

          舞台は見えるのだが、乗り出さないと見えないので
          オペラ・グラス(望遠鏡)を使おうとすると
          肘が邪魔になって、望遠鏡は使えない・・・(涙)

          その上、金曜日にうつされた風邪が大いに悪化した。
          1月終わりから2月初旬の風邪がやっと治ったと思っていたら
          今回の風邪はもっと酷い。

          自分が病原菌のカタマリである事は自覚しているのだが
          こちら、覆面禁止法でマスクするわけにいかないし
          ともかく、咳する時はティッシュペーパー使用して
          ティッシュはできるだけ取り替えて捨てて
          周囲にバイキンを撒き散らかさないように注意はしたものの

          しんどいので
          あ〜、もう、第3幕終わったら帰ろう・・・と
          本当に途中退場して来た(すみません)

          リュドミラの白鳥、かなり何回も見てるし
          ローマンのジークフリートは珍しいけれど、昔はよく踊ってたし
          ベテラン同士の、落ち着いた素晴らしい舞台になる事は予想がつく。
          で、リュドミラが一番輝くのは、オディールである事も知ってる(笑)

          オペラ・グラスが使えないので
          表情が見えないから
          どうしても身体の表現に目が行く。

          ローマンのジークフリートの安定感ってすごいな。
          派手ではないのに、一つ一つのパを確実にこなして
          ジャンプの着地に音のないしなやかなジークフリート。

          多少年増だけど(笑)現代ではモラトリウム王子も居るだろうから
          アラサーで花嫁探しに困っていても
          それはそれでリアル・・・かもしれない。

          安定感があるから、ノーブルさも半端じゃない。
          ナヨナヨしているけれど、優しい。
          甘やかされて育った世間知らずの王子さまの雰囲気がバッチリ。
          アピールがすごい訳ではないけれど
          それはお育ちの良さなので、この役作り、ローマンに合ってる。

          リュドミラは・・・やっぱり美しい。
          ちょっとたくましく見えてしまうのだが
          リュドミラの持っている華やかさって、天性のものだ。

          技術的にはリュドミラはほとんど完璧なので
          ローマンと同じで、安定感があって安心して見ていられるし
          バレエの緩急も、王女さま+白鳥によって変えているのがわかるし
          オデットの悲しみも

          あ〜、オデットの悲しみね〜、う〜ん・・・

          いや、これはこちらの妄想なのだが
          リュドミラのオデットって
          あ〜、また王子さまが来たわ
          ここで引っ掛けて、今度こそは、私を救ってもらわないと・・・

          ・・・だから妄想なんだけど
          オデットの何回かの試みのうちの5回目、みたいな感じがする。
          また来たわ、こんどこそ!という迫真の演技力。
          いや、違うんだけど、ワタクシ的妄想ではそう見えちゃうんです。

          だからこそ(いや違うけど)リュドミラのオディールは
          掛け値なく素晴らしい。
          オディールに関して言えば
          私はリュドミラが一番好きかもしれない。

          あの黒い衣装でオディールだけが舞台に立つ時の
          あの威圧感というか
          広い舞台を一人だけの魅力で制御してしまうオーラ。
          オディールが登場するだけで
          舞台の雰囲気がガラッと変わる。

          色気ムンムンというか
          いや、色気だけじゃなくて
          もっと人間に根源的なエネルギーの発露。

          正のエネルギーだけじゃなくて
          負のエネルギー含めて
          輝くようなオーラがあって
          負のエネルギーというのも
          人間のオーラには必要なのだなぁ、と思わせる。
          (すみません、妄想爆発してます)

          しかも、あの有名なフェッテ・・・
          しょっぱなから
          え?ドゥーブル・・・じゃなくてトリプル?
          しかも連続で????
          リュドミラのドゥーブルは見た事あるけど
          何と更に技術的にレベルを上げて来た???

          すごい・・・・(絶句)

          最後の方で「え〜い、もう一丁サービス」(妄想)と
          またもやドゥーブル入れてくる技術・・・

          ダンサーって、年齢と共に
          運動能力も下がっていくと思うのだが
          リュドミラが、ベテランの年齢で
          しかも、あれだけ技術的に完璧なレベルの人が
          更に高みを目指して努力して
          それを結実させてしまう、というのは
          涙が出るくらいに感動する。

          いつもリュドミラ姐さんとか言っていてごめんなさい。
          リュドミラの、あの高い技術を更に磨くという努力と野心
          ものすごく尊敬します!!!!!

          私は、病原菌のカタマリなので
          このオディール見た後、幕が降りたら即引退。
          帰ってスープ飲んで即ベッド。

          この演目、確かに女性ダンサーばかり酷使されて
          ちょっとかわいそうなのだが
          今日は見なかったけれど
          第4幕の白鳥の群舞って
          本当にため息が出るほど美しいのだ(観客からは)
          ジークフリートがオデットを探しに来て
          白鳥を立たせていくシーンなんて
          もう、あまりの美しさに頭がボーッとするくらい。

          3月のあと3回の公演は
          しっかり風邪は治して、ちゃんと見るぞ!
          と堅く決心している私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。



          しかし風邪って、ど〜やったら治るんでしょうか?
          だいたい風邪で病欠した事がない人生だったので
          (会社に行って夢中で仕事していたら自然に治った)
          家でじっとしているのが何とも苦痛で・・・

          ピノキオ フォルクス・オーパー

          0
            Volksoper 2019年2月24日 16時30分〜18時15分

            PINNOCHIO
            Oper in zwei Akten
            Text von Paolo Madron
            nach Le avventure di Pinocchio von Carlo Collodi
            Musik von Pierangelo Valtinoni
            Deutsche Fassung von Hanna Francesconi

            指揮 Guide Mancusi
            演出 Philipp M. Krenn
            舞台 Nikolaus Webern
            ビデオ Andreas Ivancsics
            衣装 Julia Schnittger
            振付 Bohdana Szivacz
            児童合唱団・青年合唱団指導 Brigitte Lehr

            ピノキオ Juliette Khalil
            ジェペット Daniel Ohlenschläger
            雄猫 Elvira Soukop
            狐 Jakob Semotan
            マンジアフオッコ Maximilian Klakow
            ルチノーロ Paloma Siblik+
            マンジアフォッコのアシスタント Markus Schiefer++, Leonid Sushon++
            コロンビーナ・かたつむり Sarah Weidinger++
            プルチネラ・屋台のおやじ Anton Puschka++
            医者 Antonia Ullreich++, Anna Grobauer++
            魚 Antonia Deuter++

            Orchester der Volksoper Wien
            + Mitglied der Kinderchor der Volksoper Wien
            ++ Mitglied der Jugendchor der Volksoper Wien

            2017年11月に初演された、フォルクス・オーパーの
            子供向けオペラ「ピノキオ」
            子供向けだから、観客のほとんどは子供で
            それに両親やジジババが付き添ってくる感じ。

            子供もいない私が、なぜ、この演目に出かけたかと言うと
            大学の同僚が出演しているから。
            将来、オペラ歌手を目指しているキュートな子で
            ともかく、むちゃくちゃ可愛い。

            子供向きオペラなので
            出演者もフォルクス・オーパーの児童合唱団と
            青年(女性もちろん含む)合唱団が中心になっている。

            いや〜、なんか、こう
            孫の活躍を観に、いそいそと出かけるおばあちゃんという役割だわ。
            (あの年齢だと、子供と言うより孫だわよ)

            どこで歌っているのかと思ったら
            結構、大きな役をもらって
            演技しっかりしてるし
            ダンスできるし(ポイント高い!(笑))
            背が高くて可愛いので舞台で目立つし
            声は美しいし(まぁ、マイク付きなので声量は不明)
            うはうはうはうは
            いや、はしたない、心の声がダダ漏れになった ^^;

            1回の休憩入れて1時間45分の演目。
            意外や意外に、音楽はずっと歌いっぱなしで
            ほとんどセリフはない。

            けれど、音楽が、すごくゴキゲンである。
            作曲家のピエランジェロ・ヴァルティノーニは60歳。
            イタリアのヴィツェンツァ近くに生まれ
            オルガン、合唱、作曲をボローニャ、ベニス、パドゥアで修め
            現在はヴィツェンツァの音楽大学の副学長とプログラムに記載がある。

            ピノキオは2001年に1幕ものとして作曲されて大成功。
            2006年に2幕にして、ドイツのコーミッシェ・オーパーにて初演。
            ハンブルク、香港、マドリッド、ミュンヒェン、モスクワ等でも上演されている。

            ピノキオの話は有名だが
            オペラは、その中からいくつかのエピソードを中心に
            子供の関心を逸らさないように
            コンパクトに、また、目を引くように作られていて
            これは大人が見ても楽しい ♡

            オーケストラは最初、舞台と同じ高さにあって
            だんだんオーケストラ・ピットに下がっていく。
            ピノキオ誕生の話から
            サーカス団でのストーリー
            街の中でバッグを奪われて
            鳥に連れられて冬の真っ只中
            カタツムリの家に入れてもらおうとするけれど
            カタツムリはのろまなので
            なかなか入れてくれないうちに
            ピノキオはゆきだるまになって休憩。

            鳥に連れられていく場面がビデオである。
            このビデオが、もう、ものすごく魅力的。

            フォルクス・オーパーのサイトには
            演出家や歌手、アニメーターが説明しているビデオがあるのだが
            なにせ、この演目、ジモッティがターゲットなので
            すべてドイツ語で・・・

            ピノキオ役が、自分のアバターと一緒に出ているフィルムがあるので
            貼っておく。
            アニメーションもちょっと出てくるし
            ドイツ語わかる方はお楽しみ下さい。



            妖精によって人間になったピノキオは
            学校に行きたくなくて
            冒険して危険な目にもあって
            凍えて病院に入るけれど
            妖精が薬を飲めと言うのに、嘘をついて飲まないので
            鼻が伸びてしまい
            抜け出したら、つかまって大砲で打たれて
            海の中に落ちて
            最後はパパを助けるためにクジラのお腹の中に入って
            というストーリー。

            エネルギーに満ちて、学校キライで
            頑固で冒険好きで
            誰にも止められない魅力的なピノキオ。
            アバターはワシに乗ったり、宇宙に行ったり
            水の中に行ったりするけれど

            この水の中のタコがむちゃくちゃ可愛くて萌えた。
            だって、まばたきするんですよ、このタコ。
            しかもビデオと同時に
            ちゃんと子供たちが魚になって下に出てきて
            何とも不思議な一体感。

            (タコのアニメーションに興味がある方は
             ビデオ担当のクリップがあるのでどうぞ。
             昨今の技術ってすごいよねぇ。)



            いやぁ、楽しいわ。
            子供による子供のためのオペラというスタンスだが
            出てくる児童合唱団や青年合唱団のメンバー
            みんな芸達者だし、歌上手いし
            楽しんでやっているのが見えるし

            子供あんまり好きじゃないんだけど
            こういうの見ちゃうと、子供が可愛いとか思えるのは
            私が歳を取った証拠なのであろう。

            ロングランの演目になっていて
            子供はジッとしていられない子も多いので
            結構ざわざわ煩かったりするけれど
            (私の周囲は静かだった)
            全然気になりませ〜ん (^^)v

            ドイツ語わからなくても
            たぶん、ストーリーは追えるし
            場面が楽しいし、ビデオが楽しい。
            出てくる子供たちも可愛い。
            大人の歌手もチャーミングで役柄にぴったり。
            ピノキオも魅力的だったけれど
            妖精役の女性が妖艶で、ちょっとマリリンみたいで素敵(笑)

            若い子供たちや若い歌手たちも
            踊って歌って大活躍。
            何回も見たい、とは思わないけれど
            子供時代のはちゃめちゃを思い出したくなった時には
            大人にも充分に楽しめる演目。

            先週末にコンサートの際
            どうも隣の人から風邪をうつされたらしく
            せっかく先週、やっと治ったと思っていた風邪が
            今度は咳じゃなくて
            鼻と喉に来ていて
            来週1週間、まだ大学休みで良かった・・・と
            ゼイゼイ言いながら
            しっかり休むつもりの私に
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            大学は3月からだけど
            来週はほとんど毎日、ナイト・ライフだけはある・・・

            ウィーン・フィル + アダム・フィッシャー 1回目と2回目

            0
              Musikverein Großer Saal 2019年2月23日 15時30分〜17時45分
              Musikverein Großer Saal 2019年2月24日 11時〜13時15分

              Wiener Philharmoniker
              指揮 Ádám Fischer
              バイオリン Leonidas Kavakos

              Joseph Haydn (1732-1809)
               Symphonie C-Dur, Hob.I:97
              Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
               Konzert für Violine und Orchester A-Dur, KV 219
               Symphonie C-Dur, KV 551, „Jupiter-Symphonie“

              ウィーン・フィルの定期公演でチケット持ってるから行くけど
              読者諸氏がご推察通り、このプログラムは
              私が飛び上がってホイホイして軽やかにステップ踏みながら
              楽友協会にウキウキと駆けつけるプログラムの対極にある。

              ハイドンはともかく、モーツァルト・・・(げっそり)

              で、そういう、な〜んにも期待していない時に限って
              奇跡が起こるのだ。

              ハイドンのロンドン・チクルスは
              どの曲を取っても、めったやたらとイタズラが多くて
              予習だの何だのクソ面倒な事は不要
              というより、かえってやらない方が新鮮。

              アダム・フィッシャーはハイドンは例の偉業がある。
              (もちろん CD33枚、持ってます (^^)v)
              ご本人曰く、今だったら違う演奏にするだろう、というところもある
              という話だが
              ハイドンの交響曲と言えばアダム・フィッシャーと言われるくらい
              手中に収めた感がある。

              で、ハイドンの交響曲97番。
              うわあああああああっ!!!!

              なんですかこれは。
              このダイナミックス、躍動感、一瞬一瞬の音の煌めき。

              古典奏法ではなく、ちゃんとモダン・オーケストラ(小編成)なのに
              古典の枠組みとコンヴェンションは、しっかりと守ったまま
              パパ・ハイドンが
              うふふふふ、とか笑いながら
              これ、聴衆のみんなに楽しんでもらえるかな〜ってイメージが
              そのまま楽友協会の音響の中に、キラキラしながら散らばって行く。

              ハイドンが退屈な音楽家と思ってはいけない。
              特に後期のロンドン・チクルスは
              持てる作曲技法を最大限に使って
              聴く方を楽しませよう、という
              エンターテインメント作曲家の才能が爆発している。

              今現在、こんなに音楽様式が多様化している時代に聴いても
              そのエンターテインメント性は全く劣るものではない。

              ・・・・指揮者とオーケストラが巧ければの話だが。

              フィッシャーの指揮姿も、ともかくイキイキしている。
              この人、むちゃ、音楽好きだよね?
              音楽家も作曲家も、スコアも音符も
              演奏される音楽も、聴いている聴衆もひっくるめて
              ともかく、ひたすら好き・好き・好きっていう感じの
              大きな愛情がダダ漏れ。

              ハイドンから引き出されるダイナミクス。
              古典的な音の透明感。
              ご存知第2楽章のスル・ポンティチェロの音の
              あの空間距離感というか、むちゃくちゃ不思議な異次元の世界。

              一部をノンビブラートで注意深く音響構築をしているが
              基本的にはモダンの、輝くような色合いで
              跳ね回るリズム、爆発するダイナミクス
              (あ〜、これがバロックなのよ!・・・とついつい書いたら
               学識のある方からバロックじゃない、古典派、とご指摘をいただいた。
               確かにバロックではない、けれど、限りなくバロック的音響の印象)

              フィッシャーの的確な指揮は無駄がない。
              楽章間では、土曜日には次の曲のテンポ指示を出していたけれど
              日曜日はもう大丈夫と思ったのか、楽章間のテンポ指示は省略していた。

              指揮姿を見ていても
              なんかもう、指揮できるのが嬉しい、嬉しい、嬉しいというのが
              一つ一つの動作から伝わって来る。

              では、昔のネルソンスみたいじゃないか、と言われると
              いや、そこに、しっかりと良い意味での円熟と老獪さがあるのが
              アダム・フィッシャーである。
              (でも、好き好き好きで来ちゃった子供みたいな純真さがある)

              こういう、生命感溢れたハイドン聴いちゃうと
              派手にアピールしたク○○(以下省略)という指揮者を思い出す。
              いや、ご存知の通り、私はク○○氏の大ファンで
              ウィーン・デビューから、ずっと追いかけてはいるのだが
              アダム・フィッシャーって、ク○○に全く負けてないじゃん。

              古典の教養をしっかり持ち
              時代背景や楽曲の知識も備えた上で
              モダン・オーケストラを節度を持って
              しかもエンターテインメントに聴かせるという技。
              指揮者ご本人も、どっぷりと音楽の魔力に浸かっている(ように見える)

              そうだ、アダム・フィッシャーを魔法使いと呼ぼう(笑)

              ハイドンの興奮の後にモーツァルトのバイオリン協奏曲。
              ここで何に驚いたかと言うと

              カヴァコスがスーツ着てる!!!!!

              肉体労働者ご愛用の青いシャツというのが
              カヴァコスについて回るイメージなんだけど
              スーツ??? スーツ???? 普通のスーツ???
              (すみません、混乱しておりまして)

              あ〜、驚いた。
              舞台見えない席なので一瞬見えただけだが。

              カヴァコスのバイオリンは・・・何でこんなに巧いんですか?!
              私は感受性ゼロで無教養で、楽器は一切弾けないから
              バイオリンの良し悪しなんて、全くわからないシロウトだが
              カヴァコスの音の美しさ、安定感、伸びる音響の豊かさ
              メロディのつなぎ方の絶妙な滑らかさは
              現代の巧いバイオリニストの中でも群を抜いているだろう。

              土曜日は何だかちょっと遠慮がちで
              バイオリンがあまり前面に出て来なかったし
              途中でカヴァコスではありえないえっ?というのがあって
              本当にえっ?と思ったけれど

              日曜日は、ちょっと緊張が解けて来た感じで
              のびのびと美しく
              ああああ、この人のバイオリンの音色って
              何でこんなに美しいのだろう。

              見た目との乖離が・・・とか言ってはいけない(見えないし)
              見た目がまずいとかではなくて
              見た目、ただのギリシア人のサラサラのロング黒髪の
              気取らない普通のお兄ちゃんにしか(あ、墓穴掘るからやめる)

              土・日ともにバッハのパルティータのアンコール。
              例の有名なパルティータ3番のガボット。

              うおおおお、絶品 💘
              全く無理のない、クリアなダブル・トリプル・ボーゲン。
              まるでバイオリン2台が慈しみながら掛け合いしているよう。

              それだけでも天国なのに
              後半の、その装飾音(呆気)
              あんな美しい揃った装飾音(もちろん楽譜外)を
              こんなの当然というか
              ほら、これキレイだよね、って感じで
              嫌味なく弾けちゃうなんて。

              しかもカヴァコスのバイオリンって
              オレ様意識や、優越感一杯みたいな部分が全くない。
              あれだけ巧くても、サーカスにならない。
              あくまでも中心は「音楽」にある。
              (註 昔時々アンコールで弾いていたアルハンブラは
                 あれはサーカスだったけど(笑))

              後半も苦手なモーツァルト。
              しかも最後の交響曲、ジュピター。
              この曲、楽しく退屈せずに聴いた事ってあったっけ?
              (まず99%寝落ちしている、っていうのはあるけど)

              ここでまた、私は雄叫びをあげそうだ(笑)
              だって、ハイドンで見せた
              古典としてのノーブルさを保ちながら
              そのダイナミックと音色の輝きで
              え?モーツァルトって、こんなに凄かったっけ?

              モダン・オーケストラでモーツァルトを演奏するというのは
              昨今、ピリオド奏法が流行っていたりして
              非常に難しいと思うし
              どんなに後期の名曲であれ
              モーツァルトって、ちょっとでもダイナミックを間違えると
              ひたすら退屈になってしまう恐ろしい曲だと思うのだが
              もー、信じられないくらい
              輝かしく、一瞬たりとも退屈させず
              音の動き一つ一つが生命に満ちて輝いているような気分。

              だいたいジュピター程度の名曲になれば
              否が応でもどこかで何回も聴いていて頭の中に薄く記憶されているが
              こんなに活き活きした演奏を
              モダン・オーケストラで聴く事になるなんて
              コンサートに行く前は考えても見なかった。
              カヴァコスのスーツ姿以上に驚いた。
              もちろん、一瞬たりとも寝落ちしてません(笑)

              アダム・フィッシャーの、あれはお人柄なんだろうか
              ともかく、音楽好き好き好きオーラのダダ漏れの
              演奏後に、プレイヤーに感謝し、聴衆に感謝し
              自分のハッピー度数を最高にして、またそのオーラを撒き散らす
              むちゃくちゃなチャーミングさには脱帽。

              あれだけ音楽好き好きの指揮者だと
              実は裏では意外に怖いかも(敵には回したくない)という気もするが
              ともかく、苦手で逃げていた
              ウィーン古典派の作品を
              狐に騙されたような不思議な気分で
              むちゃくちゃ楽しく聴いてしまった私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。


              ウィーン劇場 エリヤ(メンデルスゾーン)

              0
                Theater an der Wien 2019年2月23日 19時〜21時30分

                ELIAS
                Oratorium in zwei Teilen (1846)
                Musik von Felix Mendelssohn Bartholdy
                Text nach Worten des alten Testaments

                指揮 Jukka-Pekka Saraste
                演出 Calixto Bieito
                舞台 Rebecca Ringst
                衣装 Ingo Krügler
                照明 Michael Bauer
                ビデオ Sarah Derendinger
                ドラマツルギー Bettina Auer

                エリヤ Christian Gerhaher
                未亡人 Maria Bengstsson
                天使 Kai Rüütel
                オバデヤ Maximilian Schmitt
                王女 Ann-Beth Solvang
                サラフ Carolina Lippo
                失踪人 Florian Köfler
                待つ人 Anna Marshania
                アハブ Michael J. Scott
                求める人 Antonio Gonzales
                祈る人 Marcell Krokovay
                若者 ウィーン少年合唱団メンバー

                ORF Radio-Symphonieorchester Wien
                Arnold Schoenberg Chor

                ウィーン劇場のプロダクションに
                クリスティアン・ゲルハーヘルが出演というので
                慌ててチケットを買って
                安い席とは言え、舞台が(一部)見えると50ユーロ近い。

                ただ、演目がメンデルスゾーンのオラトリオの「エリヤ」・・・
                いや、ウィーン劇場、以前はヘンデルのメシアで
                見事なオペラのプロダクションを作った事もあるから
                今回もオペラ仕立てのエリヤがどうなるのか、ちょっと楽しみ。

                結果・・・ 惨敗(爆)

                いや、だいたい内容的にツッコミどころが多すぎて
                それはまぁ、旧約聖書の話ですし
                (偽)神道信者の私としては、どちらかと言えば
                多神教のバールの方に共感してしまうので
                何故にエリヤが1人で怒って独り相撲しているのか
                ちょっとワケわからん、と言うのもあるんだけど

                ただ、それよりも何よりも
                これ、オラトリオだよね(しかも長い・・・)
                少年を生き返らせるとか
                雨を降らせる(本当に上から水を振りまいた)とか
                その程度の事はあったとしても
                それ以外の、いわゆるストーリー的なものって・・・???

                舞台には、何故か床に敷く金属の格子のプレート。
                これが2重構造になっていて、上のプレートが上がったり
                上からプレート落ちて来たり
                舞台の真ん中で壁になったりするんだけど

                ただの工事現場にしか見えませんが・・・
                どこに山があって海があるのだ、どこにもないじゃないか。

                しかも、第2部で神が現れ云々というシーンで
                後ろの壁に投影されるビデオで、飛んでいるのは
                大型の鳥(ワシ?)で、これ、神さまなんですか?

                エリヤの衣装も、どこの労働者が舞台に上がったのかしら的な
                中流階級以下の肉体労働者が着るような服で
                (違うのだろうが、そう見える)
                コーラスのメンバーも、それぞれに、様々な日常着で登場。

                まぁ、昔のイスラエルの衣装を再現するワケには行かないだろうし
                あまり予算もないのだろう(公演は売り切れだった)

                始まって30分くらいで、突然、幕が下りて
                「技術的問題発生のため中断します」と20分くらい待たされたのだが
                金属格子のプレートが、どこかに引っかかったんだろうなぁ、きっと。
                怪我人が出なくて幸いです。

                ウィーン劇場のサイトから写真拝借。


                @Werner Kmetitsch
                クリックで拡大します。

                ダンボールと木枠で出来ている教会をぶっ壊したり
                (このダンボールを民衆が色々と使う)
                ゲルハーヘル演じるエリヤが
                コーラス(バール教の異教徒ですね)の首を切っていったり
                (一応倒れるが、それでは歌えないため、すぐに生き返る)
                天使が羽つきで出て来て、色々と歌ったり
                (この天使、ものすごい美人だった、スタイルも抜群だったし)
                雨が降ったり
                真っ青な顔で身体中に怪我をしている子供が生き返ったり
                そこらへんで、民衆が倒れていたり
                倒れた民をエリヤが蹴っ飛ばしたり

                最後はエリヤにガソリンを撒いて
                (もちろん中身はガソリンではないが、ゲルハーヘルずぶ濡れである)
                エリヤがオイル・ライターを持って
                更には、それに火をつけて、身体のあちこちを恍惚として照らすという

                全然ワケわかりませんが・・・

                後ろのスクリーンにはゲルハーヘルの白目剥いた写真の投影もあったようだが
                天井桟敷貧民席からは、後ろのビデオは見えませんでした。
                ある意味、見えなくて幸いだったと(以下省略)

                実はこんなに悪口書いているプロダクションだが
                音楽的には最高だったのだ。
                まぁ、ゲルハーヘル目当てで来ている人がほとんどと思うけれど
                ゲルハーヘルの節度を保った滑らかで深いエリヤの声に加えて
                出演しているソロの歌手が、全員、むちゃくちゃ巧い。

                これはウィーン劇場の規模にもよるが
                大型の国立オペラ座とは違い
                小規模なので、あまり声を張り上げる必要がなくて
                その分、ドイツ語のディクションやニュアンス
                音楽のダイナミックスを表現できる幅が広いのだ。

                ウィーン劇場、チケット高いしインフラ最悪だが
                (ただトイレは改装されて、1階の女性トイレの個室が3つ増えていた\(^^)/)
                ただ、ここに出演する歌手って
                いつでも本当に優秀で、ビックリする。
                演目ごとにオーディションでもやっているのだろうか。
                テノールもメゾもソプラノも
                役柄を(演技と声と両方で)しっかり手中にしていて
                見た目も美しく、スタイルも良い。
                (まぁ、衣装が衣装なので、一部、薄汚れた労働者にしか見えないが(笑))

                ウィーン放送交響楽団が、これまた優秀。
                いや、オーケストラが巧いのは知っているけれど
                芯の通った、かっちりと構築された音楽を
                歌手の声とのバランスも絶妙に取って、素晴らしい。
                これは、たぶん、指揮者のバランス感覚も優れているのだ。

                アーノルド・シェーンベルク合唱団は、相変わらずバカウマである(褒めてます)
                演技もできるし、コーラスとしての声の質の高さは
                やっぱりプロの合唱団。

                ウィーン少年合唱団のソプラノ君の美しく伸びる声には聞き惚れた。
                (この役も、かなりの演技力が必要だが、巧い。
                 ああいう子も一種のアンファン・テリブルだわね。将来が楽しみ)

                だからこそ、と言ったら、本当に失礼なのだが
                あんな、ともかくヘンな無理やりオペラにせずに
                普通にコンサート形式でオラトリオとして聴きたかったわ。

                もっともコンサートだったら、全部で6回も公演する事はあり得ないから
                その意味では、何とかカレンダーの空きがあって
                (本当は白鳥の湖に行こうかとも考えてはいた)
                ゲルハーヘルの美声を堪能する事が出来たので
                いちおう、よしとしておこう。

                日刊プレッセの評は、かなり好意的。
                ゲルハーヘルと合唱団、及びオーケストラを絶賛。

                オペラ仕立てにする事によって
                エリヤの奇蹟を目に見える表現にしようとする努力はわかるが
                音楽を超えて、あるいは音楽と相まって
                感動を伝える・・・という感じになっていなかったのは残念。

                あ〜、もっとも、それって
                ただ、私が異教徒だから、という理由かもしれない、と
                30年以上、ウィーンに暮らしながら
                同化されていない、けしからん私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                午後にウィーン・フィルの定期公演にも行ったけれど
                これはまとめて日曜日の定期の後に書く予定。

                ウィーン交響楽団 + ニコライ・シェプス=ズナイダー

                0
                  Wiener Konzerthaus Großer Saal 2019年2月22日 19時30分〜21時40分

                  Wiener Symphoniker
                  バイオリン・指揮 Nikolaj Szeps-Znaider

                  Ludwig van Beethoven (1770-1827)
                   Konzert für Violine und Orchester D-Dur op. 61 (1806)

                  Johannes Brahms (1833-1897)
                   Symphonie Nr. 2 D-Dur op. 73 (1877)

                  ウィーン交響楽団のコンサートだが
                  バイオリンと指揮がニコライ・シェプス=ズナイダー???
                  (最近、ダブルネームになったのは何故なんだろう・・・)

                  プログラムによれば、最近、指揮者として目覚めた?らしく
                  シカゴ、ニューヨーク、ロンドン、デトロイト等で指揮をして
                  ドレスデンのセンパー・オーパーやハンブルクの国立歌劇場でのデビューが
                  決定しているらしい。

                  う〜ん・・・

                  いや、ソリストが指揮をやりたい、という気持ちはわかる。
                  で、実際にやってるソリストも居る(結果は様々だが)

                  言ってはいけない事なのだろうが
                  ソリストとして第一線に立てるだけの才能があって
                  更に加えて、ソリストになる才能には欠けるかもしれない人でも
                  もしかしたらなれるかもしれない指揮者という領域に
                  踏み込んで来なくても良いじゃないか(ただの嫉妬)

                  最近、「天は二物を与えず」とか言う諺は
                  ま〜ったく当たっていない、と、つくづく思うので
                  多くの天才・秀才たちは
                  二物どころか、十物以上、平気で所有しているのだ。
                  で、二物どころか一物もない私のような(以下省略)

                  バイオリン協奏曲のソロを勤めながら
                  ついでに指揮しちゃおう、というのは
                  指揮者のギャラも、ソリストのギャラに加えて、僕に頂戴
                  ・・・という感じなんだろうか。
                  何だか、本日はかなり僻みっぽい気分(すみません)

                  だけど、ベートーベンのバイオリン協奏曲だよ?
                  まぁ、オーケストラのメンバーには周知の名曲だろうが
                  それにしても、指揮者なしで大丈夫なんだろうか。

                  ブッフビンダーがベートーベンのピアノ協奏曲を
                  指揮者なしでウィーン・フィルと演奏した事もあるが・・・

                  結果的には、オーケストラ、よくやった・・・という印象。

                  だって、ズナイダー、ソロが始まっちゃうと
                  もう自分の世界だけに閉じこもってしまって
                  キューとか目配せとか、どうでも良くなってる感じだし。

                  しかも本日の超貧民席には
                  クラシック・コンサートというものに生まれて初めて来た
                  としか思えない若い観光客の方々がいらして
                  最初のドイツ語・英語のアナウンスなどは全く聞かず

                  スマホで写真撮りまくり、ビデオ撮りまくり(途中で飽きてやめる)
                  もちろん演奏中にヒソヒソ声で笑ったりキスしたりしてるし
                  まぁ、キスするとか、もたれ掛かるとかはともかくとして
                  お喋りだけはあまりに酷いので
                  途中で「静かにお願い」と注意はしたが

                  10分とたたないうちに、またもや始まる小声でのお喋りで
                  じっとしていられないようなご病気を患っていらっしゃるのかもしれないので
                  もう諦めて、雑音は心から締め出して音楽に集中。

                  で、こういう時には、もちろん出る「楽章間拍手」

                  ベートーベンのバイオリン協奏曲の第一楽章の後の拍手で
                  平土間の人が、ズナイダーに何か言ったらしく
                  ズナイダーが「僕も」とドイツ語で答えているのが聞こえて来たが
                  何に反応したのかは不明。

                  で、続く第2楽章。
                  おおおおおおい、ズナイダーど〜した???
                  なんだか音程がずり上がってる。

                  集中力を切らしたような感じ。
                  もちろん、本人も気がついて体勢を立て直して
                  途中から不安定感はなくなったが

                  この第2楽章、ちょっとちょっと
                  これ、指揮者なしで合わせるって
                  オーケストラがむちゃくちゃ大変なんじゃないの???

                  だって弦全員のピチカートとかあるじゃないですか。
                  チェロのプレイヤーが
                  ソリストに邪魔されて見えないコンマスを
                  何とか脇から覗き込もうと必死になってたのまで見えるし。

                  ズナイダーは自分のソロに夢中になってる。
                  いや、確かに、このバイオリニスト、ものすごく巧い。
                  音も太く細くを自由自在に使い分けて
                  クールなところと、清純なところと、甘えん坊的音を繰り出してくるし
                  そりゃ、バイオリン・ソロとして聴いていれば
                  素晴らしいとは思う。

                  だんだんテンポが遅くなってくるオーケストラが
                  いつ止まるんだろう・・・とか、ついつい考えてしまわなければだが。

                  オーケストラ、さすがにプロだから
                  ぴったりバイオリンにつけたけれど
                  (各パートのトップが大活躍、コンマス大活躍)
                  しかし、何ともスリルたっぷりで
                  心臓に悪い!!!
                  (何も考えずに聴いていれば良いのは確かなんだけど
                   ついつい・・・)

                  ハラハラ・ドキドキのベートーベンとか
                  スリリングではあるんだけど、できれば避けたい。

                  ズナイダーが
                  今日は全部二長調の曲なので、ニ短調の曲を、と
                  バッハのパルティータのアンコール。

                  後半はブラームスの交響曲2番(もちろんズナイダー指揮で暗譜だった)
                  有名な1番とか4番じゃなくて、2番というところが好感だが(笑)

                  あああああ・・・
                  いや、この曲も結構有名なので
                  オーケストラは指揮者なしでも演奏しちゃうと思うのだが

                  最初のホルンのアンサンブルで
                  音を外すのは・・・
                  いや、ウインナー・ホルンって難しいのは知ってはいる。
                  ただ、この冒頭で蹴つまずくのは・・・

                  でもって、やっぱりアインザッツが甘い。
                  ベートーベンの時も甘かったが
                  ブラームスだともっと目立つ。

                  だってズナイダーのアインザッツ
                  シロウト目だって見えないもん。

                  暗譜で指揮している意気込みは買うけれど
                  ただ腕を振り回していれば良いというものでは・・・(極論)

                  ウィーン交響楽団がスタンダードに演奏できるブラームス
                  という感じで、それ以上のものは感じられなかった。

                  それにオーケストラのメンバーも
                  お金持ち(才能持ち?)のおぼっちゃまに
                  ちょっと付き合ってやるわい、やれやれ
                  みたいな感じが漂っていたような・・・(主観的印象です!)

                  まぁ、プロだから、恥ずかしい演奏はしていないのだが
                  (ホルンの首席は、最初の2回ほどのミスの後に立ち直った)
                  オーケストラのバランスとしては
                  弦だけが良くて
                  後は無視されていたので
                  時々、ボコボコになって響いてくる。

                  ワタクシ的な印象を言えば
                  趣味で指揮するのは構わないけれど
                  指揮者として聴きたいか、と言われれば微妙。
                  やっぱりバイオリンだけ弾いていて欲しい・・・という感じだった。

                  よくソリストが、その楽器を弾けなくなったら指揮、というパターンがあるが
                  (ご存知、超有名歌手がオペラ振って
                   オーケストラ全員が苦笑い、というのも過去にあった)
                  指揮って、かなり長い時間を、絶え間なく踊り続けねばならないので
                  途中、ちょこちょこ休めるソリストよりも
                  もっと体力的にハードな職業だと思うんですけどね。

                  同じコンサートは日曜日の午前11時からも行われるが
                  私は同時刻に別のコンサートがあるので
                  今日のチケットを買って行ったのだが

                  ズナイダーのバイオリンは美しかったので
                  まぁ、良かった事にしよう(笑)

                  長々と逃げていた論文を一つ書き上げて
                  多少はさっぱりした気分になって
                  さて、週末は遊びまくるぞ、とワクワクしている私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  ちなみに、ブラームスの交響曲2番でも
                  楽章間拍手は盛大に起こっていたし
                  ビデオ撮影、小声のお喋り、イチャイチャもあり。
                  ただ、前に若いカップル2組いたけれど
                  1組の方は、途中からお喋りやめて
                  割に真剣に聴いていたのが、ちょっと嬉しかったりして(笑)

                  ロンドン交響楽団 + サイモン・ラトル 第二夜

                  0
                    Musikverein Großer Saal 2019年2月20日 19時30分〜21時30分

                    London Symphony Orchestra
                    指揮 Sir Simon Rattle

                    Béla Bartók (1881-1945)
                     Musik für Saiteninstrumente, Schlagzeug und Celesta
                    Anton Bruckner (1824-1896)
                     Symphonie Nr. 6 A-Dur

                    ラトルと LSO の客演2日目。
                    昨日とは全く違う傾向のプログラムで
                    ブルックナーの交響曲6番って、それだけでプログラムにする指揮者も多いのに
                    このオーケストラとラトルは
                    前半にバルトークの弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽もサービス。

                    タイトルが長いので、日本では弦チェレと短縮されるこの曲
                    バルトークのオーケストラのための協奏曲と並んで演奏頻度が多いが
                    いや〜、ホントに名曲だわ。ものすごく楽しい。
                    第3楽章の、あの木琴の連打が、拍子木のようで
                    不思議な静寂はほとんどアジアっぽい世界なのだが
                    ゾッとするようなこの世のものでない風景まで入って来て
                    バルトークの青髭公に繋がる出口も聴こえてくるような気がする。
                    第2楽章と第4楽章の早いテンポの緊張感も抜群で
                    現代物を得意とするラトルの面目躍如ってところかもしれない。

                    さて、後半はブルックナーの交響曲6番。
                    えええ?ってくらい、第1楽章のテンポが早めで
                    その分、あの、ちょっとおふざけか、と思われるテーマは
                    ウキウキと楽しく響いては来る。

                    けれど、何だ、このあっさり感は・・・?
                    ブルックナーって、もうちょっとしつこいんじゃなかったっけ。

                    オーケストラは巧い。
                    聴き惚れる程に、どの楽器も巧くて
                    第一バイオリンのピアニッシモの美しさには唸る。
                    でも、全体的なあっさり感が、全くオーストリア(ドイツ語圏)っぽくなくて
                    ブルックナーに聴こえがちな田舎風景感も全くなく
                    かと言って、むちゃスタイリステイッシュかと言うと
                    そこまでは行ってなくて
                    中立性の強い、教科書の模範演奏みたいに聴こえてくる(主観です!主観!!!)

                    第2楽章は、ともかく・・・美しい。
                    むちゃくちゃ美しい。
                    本当に美しい。
                    のに、では荘重(feierlich)か、と聞かれれば、いや、と答えるしかない。
                    重さがなくて、第1楽章もそうだったんだけど
                    ブルックナーにしては、驚くほど軽い。
                    ダイナミック・レンジに欠けて、表情があまりなくて
                    クセもアクもない中立性は
                    ラトルが目指したものなのだろうが
                    クセの強いブルックナーに耳慣れしていると不思議な印象を受ける。

                    第3楽章・第4楽章も早めのテンポ。
                    オーケストラの名人芸を聴くには格好の演奏で
                    非常に楽しい・・・んだけど
                    ブルックナーって、こんなに「楽しい」だけの曲で良かったんだっけ。

                    ブルックナーって、演奏している方も
                    聴いている方も、だんだん、神がかっていくような傾向があるのだが
                    (少なくとも、そういう雰囲気のコンサートが多い印象がある)
                    今回の LSO とラトルの演奏には
                    宗教的なものは一切感じられず
                    音楽として、変なクセのない
                    雑菌や汚れのない、まるで蒸留水のような純粋な演奏っぽかったというか
                    所詮はド・シロートなので受けた個人的な印象しか書けないけれど
                    ドイツ語圏のオーケストラだったら
                    こんなに「あっさり感」のあるブルックナーの演奏って
                    たぶん無理じゃないかなぁ、と思わせる(偏見です、偏見)

                    まぁ、それだけブルックナーに対する事前の思い込みが
                    聴衆の側にも深く刻み込まれているわけで
                    アクの強い、神さまバンザイの演奏を聴く機会の多いウィーンで
                    あれだけ「純粋に音楽」をやった LSO とラトルって
                    勇気がある、というか、すごいというか(笑)

                    すご〜〜〜く正直に書いてしまうと
                    かなり退屈なブルックナーだったんだよね・・・(自爆)

                    解釈、受容については主観的なものが大きいから
                    (客観的に語れる程の知識はございません(汗))
                    書きたい放題に書いてはいるけれど
                    これ、個人的印象の自分用メモなので
                    これを読んでいる皆さまは、信じてはダメです(笑)

                    謎の指揮者ラトル、ますます謎で(笑)
                    だからこそ、ついつい機会があれば聴いてしまう、という私に
                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                    今日はオペラ座では「白鳥の湖」が上演されていて
                    チケットも確保していたんだけど(ただのアホです)
                    音楽的には、バレエでダレる事の多い、とある超有名オケの白鳥よりは
                    こちらのコンサートの方が色々な意味で面白かったというのは確か。
                    チケットを譲った同僚が、どういう感想を送ってくるか、楽しみ。

                    ロンドン交響楽団 + サイモン・ラトル 第一夜

                    0
                      Musikverein Großer Saal 2019年2月19日 19時30分〜21時50分

                      London Symphonie Orchestra
                      ピアノ Daniil Trifonov
                      指揮 Sir Simon Rattle

                      Jean-Philippe Rameau (1683-1764)
                       Suite aus „Les indes galantes“
                        Air pour les esclaves africains
                        Contredance
                        Air pour l’adoration du soleil
                        Air pour les sauvages
                        Chaconne

                      Maurice Ravel (1875-1937)
                       Konzert für Klavier und Orchester G-Dur

                      Claude Debussy (1862-1918)
                       Images für Orchester
                        Gigues
                        Rondes de printemps
                        Ibéria
                         I. Par les rues et par les chmins
                         II. Les parfums de la nuit
                         III. Le matin d’un jour de fête

                      Maurice Ravel
                       La Valse

                      ロンドン交響楽団、略して LSO の客演は本日と明日。
                      今日は上のプログラム構成でおわかりの通りフランスもの
                      明日はバルトークの弦チェレとブルックナーの6番。

                      さて、LSO の GMD に就任したサイモン・ラトルだが
                      この指揮者、私にとっては「謎の指揮者」である。
                      初めてベルリン・フィルとの客演でラトルを楽友協会で見た時から
                      現在に至るまで、こんなカメレオンのような指揮者を私は他に知らない。

                      ラトルの指揮姿を見たければ
                      ベルリン・フィルのデジタル・コンサート・ホールに行けば
                      イヤという程、見られるが
                      曲によって、指揮法も全く違う。

                      だいたい、ド・シロートの思い込みではあるけれど
                      この人が振ったら、この曲はこ〜いう感じになるかなぁ、という
                      それぞれの指揮者の個性なるものがあるような気がするのだが

                      こと、サイモン・ラトルに関しては
                      曲によって、全く違うので、ビックリするのである。
                      よって、謎の指揮者、別名カメレオン、ないしは多重人格者と思うのだが
                      だからこそ、その多様性と、曲に寄り添う力は
                      他の指揮者の追随を許さないと思う。

                      さて、本日のフランス・プログラム。
                      最初のラモーで観客の度肝を抜いた。

                      な、な、なんですかこれは。
                      ヨーロッパ外の異文化をテーマに置いたものだから
                      不思議な響きなのは予想がつくのだが
                      最初から、鎖?の音がジャラジャラと派手にホール中に響き渡り
                      私の隣の若いドイツ人らしい学生グループが
                      声を上げて笑ってるんですけど・・・

                      迫力あるパーカッションを強調して
                      ものすごくワイルドなサウンドで
                      ともかく、むちゃ楽しい。
                      音楽はもともとオペラ・バレの「優雅なインドの国々」という
                      インド=外ヨーロッパのエキゾチックな国々という意味らしく
                      たぶん、当時の人には耳新しい不思議な和声も使っているが
                      いや、もう、この音楽、面白いじゃないの。

                      バレエだから、当然、音楽を聴いていると
                      視覚的に脳内にダンスが発生してくるし
                      (ただし、私は振付はできないのでダンサーがバラバラである(笑))
                      王さまのファンファーレが優雅に華々しく演奏されたり
                      流麗で高雅でエキゾティックで楽しくて
                      あ〜、音楽って聴いて楽しいものなのだなぁ・・・と
                      ついつい18世紀の貴族のごとく、ただ純粋に楽しむ事が出来る。

                      スタインウェイのグランド・ピアノが登場して
                      ダニイル・トリフォノフのソロで、ラヴェルのピアノ協奏曲ト長調。

                      この曲、好きなんですよ、ワタシ。
                      最初の鞭が鳴るところから
                      打楽器的なピアノの取り扱いや
                      退廃的な憂鬱をチラチラ挟みながら
                      無理やり、自分の勇気を鼓舞しているような
                      皮肉に満ちていながら、あくまでも論理的な冷静さのあるラヴェルの曲。

                      叙情性に満ちた第2楽章のピアノのソロ。
                      簡単に聴こえるだけに、ピアニストにとっては難しいと思うのだが
                      感情的にならず、淡々と紡ぐメロディ・ラインが美しい。

                      でピアノに入ってくるフルートのソロに打ちのめされた!
                      何て巧いの、このフルート!!!!!
                      透明感に満ちている上に陰影があって
                      こういうのを「音楽性」と言うのかしら・・・
                      フルートからオーボエ、クラリネットに手渡されるメロディ・ラインも
                      音の色彩の違いはあっても、全く音楽的な途切れがなくて
                      あ〜、もう、いかん、悶えてしまうわ、このオーケストラ。

                      LSO が巧いオーケストラだというのは
                      数ある全集モノの録音で知ってはいるけれど
                      このオーケストラの巧さというのは
                      ベルリン・フィルとは違って
                      ほら、僕たち巧いでしょ?と見せつけるものではなく
                      良い意味での職人芸的な中庸さを持つ巧さで
                      出しゃばる事なく、自分の義務は完璧にこなし
                      それを自慢する事もない中立で正統的な音を出す。

                      惚れるわ、こういうオーケストラ。

                      トリフォノフのアンコール曲
                      かなり長い大曲で、あれは何だったんだろう。
                      音の多重性から考えると、リストっぽいんだけど
                      すごいダイナミックと色彩の洪水で
                      ピアノだけでオーケストラの音響を出しているような
                      ものすごく聴きごたえのある曲。
                      (追記 ラフマニノフ op. 35 鐘の第一楽章からトリフォノフ編曲)

                      通常、私はオーケストラのコンサートにしか行かないが
                      ああいう曲を聴いてしまうと
                      時々はピアノのリサイタルに行っても良いかも、と思ってしまう位
                      魅力的な曲だった。

                      後半のドビュッシーの「管弦楽のための映像」
                      イベリアは独立して聴く機会も多いのだが
                      全曲を演奏すると、結構長いのだな。

                      これがまた、確かに「映像」で
                      脳内妄想喚起力がめちゃくちゃ高い。

                      時々現れるダンスっぽいモチーフは
                      最初に演奏されたラモーと通じるところがあるような気がする。

                      最後はラヴェルのラ・ヴァルス。
                      ウインナー・ワルツになってしまってもいけないし
                      交響詩ワルツの残骸になってしまってもいけないという
                      ワタクシ的には非常に難しい曲で、実は大好きな曲。

                      うはははは、ラトルの多重人格が爆発した(ような気がする)
                      あの気味の悪い、世界の終末のような
                      地獄を予想させるかのような低音の迫力ある不気味な響き。
                      なのに、途中から華やかなワルツに変身
                      ・・・したかと思うと

                      後半の部分でテンポを落として
                      え?そこまでする?という弦のポルタメントで
                      あざとい程に、腐敗の甘やかな背徳的な香りのエロス。
                      ・・・なんだこれ、ラヴェルってこんな色っぽかったか?

                      かと思うと、冷徹なまでに分析的なパートの処理。
                      めくるめくような様相の変化を自由自在に操りながら

                      最後のコーダを超高速テンポで
                      他の指揮者がタメタメするところを
                      ティンパニを強調して、すごい力で押し切って爆発させた。

                      よって、最後のダダダダダン、というところが
                      全く強調されずに、その前の部分と一体化して
                      その前の部分から
                      まるで大砲が連続して打たれて
                      銃撃戦が激しく繰り広げられる戦争状態に翻弄される。

                      いや〜ん、こわい。

                      ・・・カマトトぶってるんじゃないぞ、とか
                      読者の皆さまからぶっ飛ばされそうだが
                      このラ・ヴァルス、なんとも薄気味悪い(褒めてます)

                      こんな不気味なラ・ヴァルスを演奏させる指揮者と
                      最初のひたすら明るくて楽しいラモーを演奏させる指揮者が
                      同一人物だ、という事が信じられない。

                      今回の演奏を聴く限りにおいては
                      ラトルはしっかり LSO を把握している感じだし
                      超プロ職人団体のオーケストラも
                      しっかり指揮者に反応しているし

                      これは明日のバルトークとブルックナーも楽しみだわ
                      とワクワクしている私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                      calendar
                           12
                      3456789
                      10111213141516
                      17181920212223
                      2425262728  
                      << February 2019 >>
                      PR
                      ★コンタクト・メイル★
                      メイルはこちらへ
                      ブログランキングに1クリックお願いします
                      selected entries
                      categories
                      archives
                      recent comment
                      recommend
                      links
                      profile
                      search this site.
                      others
                      mobile
                      qrcode
                      powered
                      無料ブログ作成サービス JUGEM