チャイコフスキー管弦楽団 + フェドセーエフ

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    Musikverein Großer Saal 2018年9月30日 19時30分〜21時45分

    Tschaikowskij-Symphonieorchester Moskau
    Singverein der Gesellschaft der Musikfreunde in Wien
    Wiener Sängerknaben
    ピアノ Elisabeth Leonskaja
    指揮 Vladimir Fedosejev

    Peter Iljitsch Tschaikowskij (1840-1893)
     Konzert für Klavier und Orchester Nr. 2 G-Dur, op. 44
     Orchestersuite Nr. 2 C-Dur, op. 53
     Ouverture solennelle „1812“ Es-Dur, op. 49
      Fassung für Chor (gemischten Chor und Kinderchor) und Orchester
      von Igor Buketoff

    私の大好きな指揮者のフェドセーエフ。
    (註 今までフェドセイエフと表記して来たが
       どうも、定訳ではウラジーミル(ウラディーミル)・フェドセーエフらしい)

    御歳86歳・・・って、そんなになるように見えない。
    立ち姿もスッキリして
    往年のロマンス・グレーの上品なおじさまの雰囲気をたっぷり残している。

    考えてみたらウィーン交響楽団の首席時代(1997-2005) からファンだったので
    お互い、年月を重ねましたね。
    (向こうにしてみれば一緒くたにされたくないだろうが(笑))

    今回のチャイコフスキー管弦楽団とのコンサートは
    昨日と今日と、違うプログラム(オール・チャイコフスキー)で
    実は昨日はリミニのフランチェスカとか交響曲4番を演奏したのだが
    コンツェルトハウスのマーラーの交響曲2番と重なってしまったし

    本当は今日だって
    コンツェルトハウスではウィーン・フィルとブロムシュテット
    国立オペラ座ではオルガさまとローマンとケテヴァンのジゼル

    何回も書いたけれど
    いったいファンとしてはどうしたら良いの(涙)と言う状態。
    でも、フェドセーエフが来るなら、少なくとも1回だけでも行かねば・・・

    でもプログラムが地味・・・

    チャイコフスキーのピアノ協奏曲だって、2番ですよ、2番!!

    1番は名曲アワーでたびたび演奏されるし
    3番は国立バレエの演目で使われたので、何回も聴いたが
    2番って・・・ナマで聴いた事がない
    どころか、録音でも聴いてない(予習しろっ!)

    オーケストラ組曲も1番から3番あるのだが
    私、これ、聴いた事がない(予習しろっ!)
    いや、あのめちゃくちゃ暗い1番は
    エイフマン・バレエでは時々使われているが・・・

    まぁ、まずはピアノ協奏曲2番。
    レオンスカヤ、御歳72歳。
    いやもう、音楽家って、何故みなさん、こんなに元気なの。

    うおおおおお、ちょっと凄いわ、この曲。
    ピアノのカデンツァ・・・というよりは
    第1楽章の3分の1くらいはピアノのソロではないか。

    しかも、そのピアノがまた豪華絢爛な響き。
    ペダルは存分に使っているのに
    音は全く濁らず
    まるでオーケストラなんかに負けないわよ、という
    色彩に満ちた音の洪水。
    (第1楽章、ホントにオーケストラ要らんわ・・・)

    でもって、さすがに年の功と言ったら失礼かもしれないけれど
    レオンスカヤのピアノのこの豪華絢爛さって
    どこにも「見せびらかす」ところがないし、気負いがない。

    あくまでも音楽に寄り添って
    でも、その音楽のきらびやかな潜在性を
    とことん表現する。

    第2楽章はバイオリンの長いソロが入るけれど
    舞台見えない席で聴いていたら
    バイオリンとは思えない音色で
    ずっと「うわ、このビオラ、巧いわ」と思っていた
    (すみません素人で)

    だって、音がキンキンせず、落ち着いていて
    柔らかで自己主張が強過ぎず
    温かみのある音で、本当に家庭的というか
    ウィーン的に言えば、まさにビーダーマイヤー時代というような音。

    しかも、チェロとの絡みの親密感と言ったら
    なんだなんだなんだ、この2人、デキてるのか(あっ、すみません)
    舞台は見えないので
    オーケストラのプレイヤーの誰がどう演奏しているのかは
    さっぱりわからないけれど
    このバイオリンとチェロのソロにピアノが加わってくるところなんて
    背筋ゾクゾク感が半端じゃない。

    華やかな第3楽章も
    ただの表面的な華やかさだけではなくて
    う〜ん、さすがにチャイコフスキーの名を冠したオーケストラ
    「俺たちの音楽だぞ」という確信を持って

    しかもチャイコフスキーの音楽への愛情が
    ダダ漏れしているような印象を受ける。

    そのチャイコフスキー愛のダダ漏れは
    オーケストラ組曲第2番が凄かった。

    すごくチャーミングな曲が続くのだが
    (それ考えると、あのむちゃ暗い1番より良かった。
     まぁ、この選曲は演奏時間の関係だろうけれど)
    フェドセーエフもオーケストラも
    とことん深い、理解に満ちた愛情を持って
    音楽を温かく、この上なく繊細に抱きしめるような演奏。

    あああ、私もこんなに愛されたい(違!)

    最後の1812年は
    大砲だのラ・マルセイエーズだので有名で
    私はこの曲と言われると、ラ・マルセイエーズしか思い出さないのだが
    今回は Igor Buketoff (1915-2001) による合唱版。

    最初のラルゴがウィーン楽友協会合唱団によって歌われるのだが
    極限に音量を絞ったピアニッシモで歌われるラルゴの美しさに
    ちょっと腰が抜けそうになる。

    昨日はマーラーの2番のあのコーラス・ミステリオーソより
    もっとミステリオーソだわ・・・
    楽友協会の音響の良さも手伝って
    ホール全体に柔らかく拡散していくピアニッシモの合唱が
    あまりにあまりに美しすぎる。

    もう、ここでこの曲、終わったら如何です?
    と言いたくなるけれど(こらこら)
    もちろん、そういうワケには行かない。

    途中のロシアの歌の時には
    オルガンの前に立ったウィーン少年合唱団が
    天使の歌声を聴かせてくれて
    これも美しいけれど

    曲はあくまでも勇壮にラ・マルセイエーズを高らかに歌い上げながら
    大砲はなくて太鼓だったけど(笑 そりゃそうだ)
    鐘がガンガン鳴って、難聴になりそうなコーダ。

    まぁ、もともと野外演奏のための曲だし
    プログラム解説によれば
    チャイコフスキーもやっつけ仕事だったようで
    やけっぱちみたいな曲と言えば、そうなんだけど(笑)

    それでも派手に盛り上がったし
    オーケストラ組曲で指揮者とオーケストラが見せた
    「チャイコフスキー愛」は
    ここでもダダ漏れしていて

    最初から最後まで
    プレイヤーの深い尊敬と愛に満ちた
    何とも「温かい」チャイコフスキーの演奏だった。

    ちょっとこういう演奏を聴いてしまうと
    昨日のリミニのフランチェスカとか交響曲4番とか
    ううううううう、きっと素晴らしい演奏だったんだろうな、と
    いやいや、でも、ワタクシ的には
    マーラーの交響曲2番を諦めるワケにはいかなかったし・・・

    今シーズンは夜が空くところは大いに空いているのに
    (最近、楽友協会は予算の関係もあって
     そんなに派手なコンサートをあまりやらないような気がする)
    行きたいものは集中して同じ日にある(涙)

    でも、来週から大学も新学期が始まるし
    多少はお勉強しなければ・・・

    7月〜9月まで今回は遊び呆けてしまった
    とことん怠け者の私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。




    ウィーン交響楽団 + ジンマン

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      Konzerthaus Großer Saal 2018年9月29日 19時30分〜21時15分

      Wiener Symphoniker
      Wiener Singakademie
      ソプラノ Dorothea Röschmann
      メゾソプラノ Jennifer Johnston
      指揮 David Zinman

      Gustav Mahler (1860-1911)
       Symphonie Nr. 2 c-moll für Sopran, Alt, Chor und Orchester
        „Auferstehung-Symphonie“ (1888-94)

      こちらが昨日の本公演。
      コンツェルトハウスの大きな舞台一杯のオーケストラと
      その後ろの合唱団と
      更にコンツェルトハウスのパイプ・オルガンまで総動員。

      ジンマンは昨日と同じく、指揮台に椅子を置いて座って指揮。

      あまりに作品そのものの持っている力が大きくて
      最後は無理やり感動させられた、という感じではあった。
      これ、ホントにマーラーかよ、ワーグナーじゃないの?(笑)

      シロウトが何言うか、と思われるだろうが
      面白い・・・と言うより、ちょっと奇妙な音が時々あって
      多少の傷もあって
      昨日のパートのズレは訂正されていたが
      バンダとオーケストラが、かなりのズレを生じたり
      シロウト耳にも聴こえてくる音程の悪さもあった。

      それに時々、オーケストラの音が薄くなるのは
      意図的なものなのだろうが
      厚くみっしり詰められたマーラーの音楽の中で
      時々、何故か音がスカスカに聴こえて来るというのも不思議な現象。
      (もちろん、指揮者が意図的に弦のプレイヤーの数を抑えて
       全員で弾かせない部分があったからなんだけど)

      第2楽章の出だしのテンポが非常に遅くて
      まぁ、ワルツではなく、レンドラーだから、という理解だと思うが
      時々、ヘンに間抜けに聴こえてしまう(すみません、独断・偏見です)

      第2楽章以降は、ずっとアタッカだったので
      演奏中に、くしゃみ、咳、飴のガサガサ音が多かったのは
      まぁ、仕方ない事ではあるけれど
      それでも比較的静かに全員が集中して聴いていたのは
      さすがにジモッティの多いコンツェルトハウスならではか。

      マーラーのポリフォニーの扱い方は
      それこそ指揮者によって千差万別なので
      マーラー聴くたびに新しい発見があるのだが

      しかし、この交響曲、数年前に
      同じホールのほとんど同じ位置の席で
      ベルリン・フィルとラトルの
      ものすごく緻密で正確無比な演奏を聴いちゃっていて
      もちろん、妄想もあるだろうが
      (過去の思い出は時とともに、どんどん美しくなる(笑))
      あの時に比べるとオーケストラが
      頑張っているんだけれど、やっぱり粗い。

      途中のフルートのソロは素晴らしかった。
      (クラムバウアーさんである。ホント、この人のフルート素晴らしい)

      コーラスも良かった。
      あれだけ大人数だと、それだけでも圧倒的だが。

      昨日も聴いた美声のメゾソプラノの原光。
      (あぁ、やっと静かな環境で聴けた(笑))
      ううう、やっぱり美しい・・・

      レッシュマンのソプラノがコーラスの中から
      浮かび上がってくる瞬間の
      背中がゾクゾクするような、えも言われぬ快感って
      マーラーの醍醐味だよね。

      読者からの罵倒を覚悟の上で
      正直に言ってしまうと
      人間って、自動的に大音響に反応するから
      あの途中のパーカッションの爆発や
      最後の圧倒的大音響(パイプ・オルガン付き)には
      ある意味、生理的に圧倒されてしまう、というのはある。

      でも、身体全体で感じて何が悪い?(開き直り)
      こういう大音響のベストの効果は
      やっぱりコンツェルトハウスならではだし
      バンダが多少ズレてしまったところがあるとしても
      バンダとオーケストラのバランスは抜群に良くて
      音響空間の広がりが大きくて

      ・・・結局、なんだかんだ言ってるけど
      感激してるじゃん(汗)

      ウィーン交響楽団って、同じプログラムで数回のコンサートをするのが常なのだが
      (ウィーン・フィルほど回数は重ねないが)
      今回のコンサートは、昨日の一部演奏と本日だけ。
      (人数も多いし、コストもかかるんだろう、きっと)
      これ、もう1回コンサートしたら、もっと演奏良くなってたと思うので
      その意味では2回目がなかったのは、ちょっと残念。

      理性で感激するというよりは
      もっと体感的なものだったような気はするが
      それはそれで良いんじゃないだろうか。

      と、勝手に自分に良いように解釈してしまうワタクシに
      どうぞ1クリックをお恵み下さい。


      ウィーン交響楽団 + ジンマン @Friday

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        Konzerthaus Großer Saal 2018年9月28日 19時30分〜21時

        Wiener Symphoniker
        ソプラノ Dorothea Röschmann
        メゾソプラノ Jennifer Johnston
        指揮 David Zinman

        Symphonikerblås
        トランペット・フリューゲルホルン Andreas Gruber, Christian Löw
        トランペット・フリューゲルホルン・ピッコロトランペット Heinrich Bruckner
        バス・フリューゲルホルン、トロンボーン Reinhard Hofbauer, Wolfgang Pfistermüller
        チューバ Franz Winkler
        パーカッション Thomas Schindl

        Gustav Mahler (1860-1911)
         Symphonie Nr. 2 c-moll für Sopran, Alt, Chor und Orchester
          1. und 2. Satz

         Ich bin der Welt abhanden gekommen (1901)
         Rheinlegendchen (1893)
         Wo die schönen Trompeten blasen (1898)
         Das irdische Leben (1893)
         Um Mitternacht (1901)

        ウィーン交響楽団の@Friday公演。
        超貧民席のチケットがなかったので(ギャラリーの一番後ろ)
        ちょっと高い席を買ったのだが
        行ってみたら、ギャラリーがら空きで
        始まる前に「席を移動しても良いわよ」と
        大量の民族移動があったのだが
        私はそのまま自分の席をキープ。
        (だっていつもの貧民席よりカテゴリー上だし・・・)

        明日の本公演の前のフライデー公演は
        一部の曲を幕間なしに通しで演奏した後
        コンツェルトハウスのロビーを使っての
        気楽なコンサート、というコンセプト。

        さて、話は変わるが
        コンツェルトハウスは今シーズンからロゴを変えて
        カラフルで現代的なデザインになったのは良いのだが

        プログラム3ユーロ80セント????
        急激に値上げしたな。

        しかも、紙が以前より厚めになっていて(重い)
        今まで、同じようなコンサート(フライデーと本公演)は
        共通のプログラムにしていたのに(しかも2ユーロ30セントとかだった)
        紙が厚いので厚さは同じでページ数がぐっと減って
        このコンサート「だけ」のプログラムになっている。

        ちっ・・・コンツェルトハウスもせこいぞ(超貧乏人には辛い)

        本筋に戻って、本日のプログラム。
        マーラーの交響曲2番の1楽章・2楽章の後
        明日は演奏しないマーラーの歌曲を
        リュッケルトと角笛から5曲 ♡

        舞台一杯のオーケストラに
        椅子を用意した指揮者のジンマン。
        ジンマンは滅多にウィーンに来ないので、楽しみ。

        だけど・・・
        いや、音はむっちゃ出ていて
        鋭い切り口なのだが
        あちこちで音がズレてますが・・・(汗)

        いやいや、まだ明日の本公演がある。
        あのズレも本公演の時には修正されているはずだ。

        ジンマンの指揮って
        何だかやたらと腕を振り回しているのに
        あんまりキューが出ている感じじゃないなぁ。
        まぁ、本職の、しかも超高名な指揮に文句つける筋合いはないが。

        後半はレッシュマンとジェニファー・ジョンストンでマーラーの歌曲。
        最初の Ich bin der Welt abhanden gekommen と
        最後の Um Mitternacht はメゾソプラノのジョンストン
        真ん中の角笛はレッシュマン。

        ジョンストンの暗めの声の低音が美しい。
        その分、高音になると、声が厚いせいか
        多少張り上げ気味に聴こえて来る事がある。

        Ich bin der Welt abhanden gekommen って
        今まで男声でしか聴いた事がなかったけれど
        あれだけ艶のある低音だったら、女声でも違和感はない。

        レッシュマンのソプラノ、キレイというよりキュート ♡
        声量があるようには聴こえないのだが
        (それはあくまでもドイツ・リートなので正しい)
        オーケストラの壁を破って
        しっかり弱音でもギャラリーまで聴こえてくる。
        Rheinlegendchen が、あまりにキュートで萌えた。

        しかもレッシュマンって表情が豊かだわ。
        丸いキュートな顔立ちで
        大きな口で
        表情で演技しながら歌ってる。

        う〜ん・・・やっぱり歌手って
        顔と口が大きくないとダメなんだろうなぁ。

        昨年から再開した「お歌」(笑)の個人レッスンで
        歳も歳だし、全然進歩しなくて
        先生も困っているらしく

        歌手をよく見て、どういう喉の位置か
        どういう身体の姿勢を保っているか
        息継ぎをどうしているか、観察しなさい、と言われているので

        ついつい、喉とか口とか胸とか
        あ〜、2人とも、胸が何て大きいの・・・とか
        そんなところばかり見ていると
        マーラーの音楽に感激する感情的な部分まで音が届かない(自爆)
        (一応、マジメ人間だし、安からぬ授業料を払っているので
         先生の言う事は、マジメに遂行してしまうのである(ウソ))

        いやいや、プロの歌手の体型って
        やっぱり違うよ。
        あんなに立派な胸郭と、大きな顔と、大きな口と
        スイカのように大きい2つのおっ(以下省略)

        マーラーの交響曲2番については
        明日の本公演を楽しみにしつつ
        20時ちょっと過ぎに終わったホールでの公演後は
        ロビーに移動。

        ロビーのベートーベン像の前に仮設舞台が作られて
        あちこちにスタンド・テーブルが置かれて、バーが出来て
        みんな、ワイン片手にテーブルの周りに立って
        友人同士でのお喋りに専念する。

        このフライデー公演、何回か来ているので
        いったい、どこに陣取ったら良いのか、いつも考えるのだが
        今回は階段の横のところの手すりの端に立ってみた。

        柱が邪魔で、舞台は上手(かみて)の4分の1くらいしか見えない。
        いや、別に見えなくても構わないんだけど
        私の横に来た人たちが
        あら、ここからじゃ見えないわ、とかずっと喋っているし
        (もちろん演奏中も!)

        後ろのテーブルのところには
        ワイン持った人たちが立って
        音楽聴いてるのか、聴いていないのか
        ずっと(普通の声で)お喋りしている。

        そのお喋りの声、ワインを開けたり、サービスしたりする音が
        すべて、ロビーの素晴らしい音響効果が加わって
        非常に柔らかい雑音でホールを満たしている(嬉しくない)

        今回の後公演はブラス=金管なので
        雑音満杯のロビーでも大丈夫だろう、と楽観していたのだが

        最初に
        「ホールでマーラーの1楽章・2楽章を演奏したので
         メゾソプラノを迎えて、同じ曲の「原光」を
         金管編曲版で歌ってもらいます」
        と言われた時には、ひっくり返った。

        で、本当に Urlicht を歌ったんです、メゾ・ソプラノが。
        しかもマイクなしだったけれど
        本当に深い美声で
        金管が入ってくる部分の美しさと言ったら

        周囲の雑音が酷過ぎて、イライラするだけだわ、これ!!!

        ウォークマンの第一世代の私だが
        幼稚園児のグループが乗っている地下鉄の車内で
        ノイズ・キャンセラーまったくなしで
        マーラーの Urlicht を聴きたくないです・・・

        その後のブラスらしいお祭りの音楽は
        下の方ではワイン持って踊っている人もいたし
        多少の雑音は気にならないけれど
        まぁ、あの雑音の中で
        クラシックを聴く気分にはならないわ。

        あの名曲「トランペッターの祝日」も
        ものすごい超高速での演奏で
        あの素晴らしいトランペットの輝かしい音も
        あの雑音の中では、あまり聴こえて来ない。
        (それとも、私、耳が遠くなってる???)

        フライデー公演の後に出てくる
        ウィーン交響楽団のメンバーも
        もうちょっと、クラシックから離れて
        ポピュラーな曲を演奏しましょうよ(涙)

        さて、今までは明日のコンサートのプログラムは
        フライデーと同じプログラム小冊子だったので
        買わずに済んだのだが
        明日のコンサート、またプログラムを買わねばならないのか。

        次のフライデー・コンサートは11月23日だが
        うふふふふ、この時期はワタクシは
        現代音楽にどっぷり浸かるウィーン・モデルンのコンサートがある。
        (しかも、この日はアルディッティの2発連続コンサート!!!)

        面白い事に
        この間はボストンとネルソンス、南西ドイツとクルレンツィスが
        続けてマーラーの交響曲3番を演奏したが
        今回のマーラーの交響曲2番も、11月26日・27日に
        楽友協会でチェコ・フィルがビシュコフと演奏する。

        重なる時には重なるという不思議な現象に
        いつも、ちょっとビックリしてしまう私に
        どうぞ1クリックをお恵み下さい。



        お歌のレッスンだけじゃなくて
        ピアノも相変わらずボツボツやっているのだが
        この間、ピアノの先生に
        「貴女みたいに嬉しそうに弾く人初めて」と言われた。
        そう言えば、歌の伴奏の人からも
        「楽しそうに歌ってますね」って言われたけれど
        褒めるところがないと、そう言うしか方法がないんだなぁ、と
        改めて思ったワタクシです。
        (人に聴かせる気は、ま〜〜〜ったくないのでご安心下さい)


        ラジオ・ブラス

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          ORF Radiokulturhaus Großer Sendesaal 2018年9月27日 19時30分〜21時30分

          Radiiobras
          トランペット Johann Plank, Christian Hollensteiner
          ホルン Peter Keserü
          トロンボーン Sascha Hois
          チューバ Rainer Huss

          Victor Ewald (1860-1935)
          Quintett in Des-Dur Op. 7

          Vivaldi/Bach
          Concerto (arr. David Baldwin (1984))

          Christer Danielsson (1942-1989)
          Konzertante Suite - für Tuba und vier Blechbläser

          Enrique Crespo (*1942)
          Suite Americana No. 1

          Charles Ives (1874-1954)
          Four Songs
          On the Counter
          The Side Show
          Slow March
          Tarrant Moss

          Allen Vizutti (*1952)
          Prelude and Presto (1989)

          ウィーン放送交響楽団の金管メンバーによる室内楽グループの
          ラジオ・ブラスのコンサート・シリーズ1回目。

          普段、室内楽とか行かないので、ワタクシ的には珍しいコンサートだが
          知り合いから声をかけられて
          たまたま1日だけ夜が空いていたのでチケット買って行ってみた。

          インターネットのチケット・セールが
          席を選べず、3列目とかになってしまって
          ええええええっ??? 金管楽器だけのコンサートで3列目?
          コンサート終わった後に難聴になるんじゃないか
          ・・・と、ちょっと恐れていたのだが

          これだけ全員が巧いと
          全然うるさくない!!!!

          金管だけの曲というのは近代以降しかない(筈な)ので
          曲のバリエーションに偏りがあるかと思っていたけれど
          ばっちりクラシックで、様々な音楽があって、面白い。

          最初の曲は、歴史的に
          ほとんど初めて、金管アンサンブル用に作曲された作品だそうだ。

          普段、金管楽器ってソロ部分以外は
          オーケストラに埋もれていて
          時々、ブッ・・・とか入るだけで意識に上らないんだけど
          (すみません、金管さま・・・)
          5人のアンサンブルだと
          各楽器のパートが美しく聴こえて来て面白い。

          2番目の曲、プログラムには
          バッハ・ヴィヴァルディ・・・って何なんだ?と思っていたら
          解説者曰く
          最初にヴィヴァルディが作曲し、バッハが別の楽器に編曲し
          その後、ボルドヴィンが金管用に編曲したという
          ヴィヴァルディの曲が、色々な編成で演奏される有名な曲。

          これがまぁ、名人技連発(笑)
          バロックなので、タカタカタカタカという細かい音型が続くんだけど
          友人の解説では、あれは全てタンギングで処理しているらしく
          金管だと、むちゃくちゃ難しいそうだ。
          (いや、そんな難しい曲、練習しなくても、と思うのは
           シロウト感覚で
           そういう、この楽器では困難です、というのをマスターするのが
           名人には楽しいんだろうか?よくわからない)

          でも、バロック曲の金管バージョン、響きが面白い上に
          バロックらしい華やかさがある。
          そう言えば、ヘンデルも、水上の音楽とか
          金管を豪華に使用した派手な曲を作曲してたよね。

          ダニエルソンはスウェーデンの人で
          自身がトロンボーン奏者で、オーケストラで演奏していたとの事。
          で、このダニエルソンの作品、チューバの協奏曲っぽくて
          ええええ? あのジミーな楽器のチューバが大活躍。

          チューバって、あんなに美しい音が出るんですか?
          しかも、どこまで小回りが効くの?(プレイヤーが巧い)
          ドラマチックで盛り上がりたっぷりの
          まるで映画音楽のようなカッコよさ。
          チューバ、ステキ ♡ 惚れるわ、あれは(誰に?)

          幕間の後のクレスポの曲は
          題名の通り、ラグタイム、ボサノヴァ、ペルーのワルツ
          ズンバにメキシコの歌、という、ゴキゲンな曲。
          でも、ポピュラーのノリというよりは
          あくまでもクラシックの端正さがある。
          (だから、あんまり弾けない(笑)
           ワタクシ的には弾けてもらっても(爆笑))

          チャールズ・アイヴスは
          もちろん、金管だけの曲は書いていないけれど
          数多く残っているリートから、金管に編曲。

          歌を金管?と思ったけれど
          これがまた、巧く編曲してあって
          しかもとことん丁寧に美しい音で演奏されると
          メロディックでロマンチック。

          金管アンサンブル用に作曲された
          華やかなプレリュードとプレストで終わってから
          アンコールには、トランペット・プレイヤーの息子さんが作曲したという
          ちょっとオーストリア民謡っぽいチャーミングな曲。

          オーケストラだけ聴いていると
          時々、ヒマそうに座っている(すみません)金管だけど
          トランペットとかホルンのソロはよくあるけれど
          トロンボーンの柔らかな音とか
          チューバの落ち着いた低音とか
          ちょっと驚くくらいキレイでびっくりしてしまった。

          地味な楽器とか思っていて、ごめんなさい(お辞儀)
          いや、今回は、特にトロンボーンとチューバに惚れたわ。

          メンバーは全員男性。
          金管プレイヤー、もちろん女性もいるけれど
          肺活量の問題なのか、あるいは楽器のイメージの問題なのか
          オーケストラを見ていても、金管は比較的男性が多いような気がする。

          その意味では、3列目で
          いつものウィーン放送交響楽団らしい、真っ黒な服を着て
          イケメン揃いが、嬉しそうに楽器を演奏しているのを見るのも
          意外に眼福で楽しかった。

          しかし金管プレイヤーって
          あんなに長く、ずっと演奏しているって、すごいな。
          だいたい、金管楽器が
          唇を震わせて演奏するなんて
          つい最近まで知らなかった私としては
          (だって音楽の勉強してないも〜ん、というより
           学校でも教わらなかったような気がする・・・)
          プロってやっぱりスゴイ、と感心しきり。

          これからオーケストラの演奏を聴きに行く時も
          もう少し、チューバとトロンボーンに注目してみよう
          (ちょっとへんな方向に考えが・・・)
          と固く決心したものの
          私の行くほとんどのコンサートの超貧民席は
          舞台(=オーケストラ)が全く見えない席だった事に思い至って
          あはははは・・・(イケメンが見えない)と
          脱力している私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。


          国立バレエ ジゼル 今シーズン5回目

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            Wiener Staatsballett/Wiener Staatsoper 2018年9月26日 19時30分〜21時45分

            GISELLE
            Phantastisches Ballett in zwei Akten von Théophile Gautier,
            Jules-Henri Vernoy de Saint-Georges und Jean Coralli nach Heinrich Heine
            振付・演出 Elena Tschernischova nach Jean Coralli, Jules Perrot, Marius Petipa
            音楽 Adolphe Adam
            舞台 Ingolf Brunn
            衣装 Clarisse Praun-Maylunas
            指揮 Ermanno Florio

            ジゼル Olga Esina *
            アルブレヒト Roman Lazik
            ヒラリオン Alexandru Tcacenco
            ジゼルの母ベルタ Franziska Wallner-Hollinek
            ヴィルフリード Marcin Dempc
            クルランドの大公 Igor Milos
            バチルデ Oxana Kiyanenko
            農民のカップル Rikako Shibamoto, Tristan Ridel *
            ジゼルの友人たち Elena Bottaro, Adele Fiocchi, Sveva Gargiulo, Anita Manolova, Fiona McGee, Xi Qu
            ミルタ Ketevan Papava
            2人のウィリー Madison Young *, Eszter Ledán *

            Wiener Staatsballett
            Orchester der Wiener Staatsoper

            何せこの間、スミルノワとチュージンの
            もう格が違います、みたいなジゼルとアルブレヒトを観てしまったので
            これ以上、ジゼルはもう良いかも・・・と本気で思っていたのだが

            うわあああ、蓋を開けてみたら
            オルガ(エシナ)とローマン、ミルタ役にはケテヴァン!!!
            演技達者の超ステキなダンサーが3人勢揃い!!!!!!!

            配役表を見てビックリ。
            あれ?オルガ(エシナ)ってジゼル、まだ踊ってなかったっけ???

            フォルクス・オーパーでのエイフマンの「赤いジゼル」のタイトルロールを
            長く踊っていたので
            ついつい本家のジゼルも踊っているだろうと思っていたのだが
            確かに記憶を辿ってみると
            オルガ(エシナ)のミルタは観た事があるけれど
            ジゼルはなかった。

            さて、そのジゼル役のオルガさま
            もう出てきた時からキュートで愛らしくて胸キュン。
            ほんと、オルガさまって王女さまとか妖精にピッタリの雰囲気。
            (オルガ、とか呼びつけに出来ないです。
             やっぱりオルガ「さま」なんですよ、うん)

            ローマンのアルブレヒト、実に優雅。
            このダンサーも演技力抜群。
            (特に、ヨレヨレになる役が上手い(笑))

            ジゼルを口説くシーンだが
            あれ〜、オルガさま、本気で嫌がってるけど(表情が)

            何だか、中年の勘違い青年が
            若い美女に手を出しているような印象だわよ?!

            オルガさまの美しい縦じわ、悲劇のオーラも素晴らしいけれど
            最初から悲劇にしないでクダサイ(笑)

            アルブレヒトの愛情にほだされて
            ジゼルもアルブレヒトを愛するようになった後の
            デュエットの優雅な事。
            何てキュートなカップル。
            (まぁ、ローマン多少歳いってるけど、
             いわゆる「やさ男」なので、若く見える)

            アルブレヒトのソロも見事。
            ローマンって、もともと足音のしない着地を軽々とこなす人で
            それだけ身体が柔軟で、足首の力が強いのに
            スタイルはクラシック・ダンサーのノーブルさを持っていて
            筋肉のつき方がムキムキしていなくて、本当に美しい。

            ローマン、見事なジャンプをこなすじゃないの。
            確か、それ程若くないと思うんだけど
            (もともと、ブラティスラヴァからの移籍だし
             マラーホフがいた頃からバレエ団にいたと思う)
            若いバリバリの筋肉のダンサーに負けないジャンプに
            優雅さが加わって、パが一つ一つ丁寧だし
            動きが本当に自然で、さりげなく美しい。

            オルガさまのジゼル狂乱の場。
            うわあああ、やっぱり演技できるオルガさまって凄い。
            (赤いジゼルをあれだけ踊りこなしたんだから
             きっと、あれも参考になっているだろう)

            ばっちり目が据わってるし
            いつもの美しい縦じわの悲劇感がますます活きている上

            自殺するのを止めたヒラリオンに向かって
            凄い迫力で大笑いするんですよ!!!

            いや、鳥肌立った。
            何なんですか、あのジゼルの表現は・・・
            あんなジゼル初めて観た。

            ボロボロになっていくローマンがまたステキ。
            ちょっと被虐性を逆なでするな、このダンサー(こらこらこらっ!)

            農民カップルのトリスタンも、この役デビュー。
            結構超絶技巧のあるソロなのだが
            頑張った、という感じはしたけれど
            見事に技巧をこなして、凄く良い感じ。
            見た目もイケメンで、スタイルもノーブルだし
            これから伸びて来るダンサーかもしれない。

            梨花子ちゃんもキュート。
            ちょっとまだ荒い感じがして、バタバタしている印象だが
            エネルギッシュに踊っている感じは悪くない。

            前半で既に、オルガさまの虜と化した私だが
            後半のミルタが、ああああああっ、ケテヴァンだ〜〜~っ!!!

            足音がしない!!!!
            普通は明るいオーラを華やかに舞台で見せるケテヴァンが
            その明るさを封じ込めて
            ものすごい冷徹感のある静けさで
            しかも、足音立てずに踊るミルタって

            ああああ、今まで観てきたミルタって何だったんだろう。
            (いや、皆さん、ちゃんとは踊ってたけど(以下省略))

            ケテヴァンの足先の使い方、柔らかいジャンプと着地
            足音のない移動と、全くブレない体幹
            ポードブラの美しさと言ったら、悶絶もの。

            で、そのケテヴァンが
            墓のオルガさまを(ウィリーとして)生き返らせるシーン。
            きゃああああ、悶えるわ、これ。

            オルガさまの透明感は、この後半で抜群に活きて来る。
            ケテヴァンのミルタの、ある意味ほとんど残虐なまでの冷徹さに対して
            オルガの透明感は、既にこの世のものでない霊的な存在を舞台に表出する。

            アルブレヒトを庇うジゼルの凛とした美しさにも悶絶。

            ローマンのアルブレヒトが
            後半で、ホントに情けなくて(笑)← これこそローマンの持ち味
            その情けないオトコが、ジゼルとのパ・ド・ドゥで
            ああ、愛してるよ、許しておくれ・・・って感じが、もうたまらん。

            あの美し過ぎる、この世のものとは思えないパ・ド・ドゥは
            会場全体が、咳払い一つなく、息を飲んで集中してた。

            オルガさまのソロ。
            この世のものでない存在が空中を飛ぶ印象。

            ケテヴァンのミルタも足音しなかったけれど
            オルガさまのジゼルも足音がしない。

            本当にダンサーが舞台に居るのかしら、と
            疑わしくなるくらい
            舞台にいるのは「霊的存在」という「おとぎ話」が
            リアルさを帯びるというのは、こういう事かもしれない。

            アルブレヒトのソロも限りなく優雅で
            同じく「幽玄の世界」にふさわしい足音のなさ。

            アントルシャ・シスは、チュージンはダブルでやっていたけれど
            ローマンはシングル。
            でも全然かまいません、というより
            ダブルの超絶技巧を華やかに見せるよりは
            しっかりシングルで飛んでもらってから
            ミルタに許しを乞う演技がむちゃくちゃリアルだったので
            こちらの方も好感度が高い。

            最後のシーンのアルブレヒトは
            演技力「だけ」のシーンなのだが
            ローマンのアルブレヒト、ボロボロになっていて

              ああ、ジゼル、愛してるよ
              何故、僕を死から救ってしまったんだ?
              何故、そちらに連れて行ってくれないんだ?

            ・・・というセリフが聞こえてきそう(妄想)

            現世に残ったアルブレヒトの立場を考えると
            婚約者のバチルデに浮気がバレて
            でも、貴族の常として、それでもバチルデと結婚せざるを得ず

            オクサーナだったら、プライド高いから
            浮気はあって無しが如し、とばかりに
            無視して普通の仮面夫婦になるだろうし

            アレーナだったら、結婚した後
            事あるごとに、冷たくチクチク言うだろうから

            アルブレヒトは結局、現世では
            そんなに幸せになれない筈である。
            (まぁ、アルブレヒトという性格は
             バチルデに嫌味言われようが仮面夫婦になろうが
             結局は、また、どこかで若くてキレイな女の子に手を出しそうではあるが)

            そういう未来を決定事項としてしまったアルブレヒトとしては
            ヒラリオンみたいに、ジゼルとミルタに
            あっちの世界に連れて行ってもらって
            ミルタは無視して(笑)ジゼルと幸せになった方が
            良かったんじゃないか・・・

            などと、アホな妄想の世界に
            ついつい迷い込んでしまう私に
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            このベスト・キャストの公演
            9月30日にもあるのだが、この日は

            楽友協会ではチャイコフスキー交響楽団にフェドセイエフ
            コンツェルトハウスではウィーン・フィルにブロムシュテット
            で、オペラ座では、このベスト・キャストでジゼルって
            ちょっとひどくないですか?(涙)身体、3つ欲しいです・・・

            しかし、ウチの(笑)バレエ団も
            トップを揃えると、ボリショイのスターにもヒケを取らんな、うん(自慢(笑))

            南西ドイツ放送交響楽団 + クルレンツィス

            0
              Konzerthaus Großer Saal 2018年9月25日 19時30分〜21時15分

              SWR Symphonieorchester
              コーラス Damen der Wiener Singakademie
              児童合唱 Wiener Sängerknaben
              アルト Gerhild Romberg
              指揮 Teodor Currentzis

              Gustav Mahler (1860-1911)
               Symphonie Nr. 3 d-moll

              コンツェルトハウスのチケット売り場のところで
              「チケット探してます」のメモを掲げて
              何人もが立っているというシーンは
              非常に珍しい。

              クルレンツィス人気は現在爆発中かもしれない。
              ザルツブルク音楽祭のベートーベン・シリーズも
              マスコミにかなり派手に取り上げられていたし。

              クルレンツィスがウィーンに、ほとんど無名でデビューした時には
              あまりに奇抜な演奏のために
              途中で帰った人もかなり居たのだが
              今回のコンサートは、少なくともぎっしり埋まった貧民席は
              いったい、クルレンツィスが、今度は何をやらかすか、と
              ドキドキ・ワクワクの聴衆で占められていたと思う。

              最初から、期待を裏切らず、
              おおおおお・・・と驚く演奏で
              アクセントの付け方が徹底的に鋭い。
              パーカッションが強調されて、弦がかき消されている。

              もちろん、ダイナミックも極端なピアニッシモから
              コンツェルトハウスの大ホールでもうるさいと感じる
              ものすごい音量のフォルティッシモまで
              全体に鋭いアクセントが全体に行き渡って
              もちろん、マーラーのポリフォニーの処理も
              えっ、そこを強調するの?と驚くような解釈で進む。

              確かに目新しい音響ではある。
              こんな演奏、他の指揮者では聴けないだろう。
              クルレンツィスの面目躍如というところか。

              クルレンツィスの指揮の動きがまた面白い。
              あの細い身体が、卓越したリズム感に溢れて
              キリッとした動きをするところは
              ある意味、非常に完成されたダンスを見ているかのようだ。

              ただ・・・
              だからと言って感激するかどうかは別の問題。

              クルレンツィスの特異なリズム感や
              スコアを読み解く力
              それをオーケストラに演奏させる能力に対しては
              感嘆するしかない。
              何回も書いている通り
              現在のクラシック界の鬼才ではある。

              ただ、これだけ目新しい解釈の演奏を
              今までも含めて、次から次に聴かされると
              聴衆としては
              こいつ、次に何やるだろう、という
              ある意味、サーカス的な興味の的になってしまう危険性は避けられない。

              ははは、何だか、かなり大昔の
              アーノンクールが出て来た頃の事を思い出してしまう。
              (アーノンクールも、次にいったい何するか、というワクワク感があった)

              言葉は悪いけれど
              クルレンツィス・ブランドと言う感じの
              一つの「ブランディング」が確立した、という印象。

              しかも、他の誰かと違って(すみません)
              変わった解釈の法則が透けて見える訳ではなく
              クルレンツィスって
              次の演奏で、何をやり出すのか、想像がつかない(笑)
              (そこらへんもアーノンクールと似てると言えば似てる)

              うちの大学のめちゃくちゃ優秀な教授は
              クルレンツィスは奇抜な解釈で売ってるだけ、と
              かなり批判的な発言を
              授業中に(無意識に)ポロッとこぼした事があるが

              マスコミにセンセーショナルに取り上げられる前から
              その鬼才ぶりに魅了されて追いかけていた自分としては

              今日の、ある意味、奇抜な演奏を聴きながら
              う〜ん、奇抜だけど、ものすごい説得力はある・・・
              だから凄まじい才能の指揮者だと思うし
              奇抜だけど、もしかしたら、これがオーソドックスかしら
              (この感情って、ホーネックのマーラーにもある・・・)

              ただ、聴き慣れたマーラーの交響曲3番が
              こんな不思議なアクセントとリズムとポリフォニーで演奏されると
              その「変わった部分」の不思議な音響ばかりに気を取られてしまい
              音楽に感情的に入り込んで
              最終楽章で涙が出てくる程の感激には至らない。

              ある意味、あまりに奇妙なので
              そちらに理性が働いてしまう。

              マスコミの寵児と言って良いのか
              ともかく現代で、非常にわかりやすいセンセーショナルな指揮者という
              クルレンツィス・ブランドに魅せられた(乗せられた?)聴衆が
              最終楽章が終わった後
              間髪を入れずブラボーを叫んで
              (あああああ、あの最終楽章の残響が・・・(涙))
              何故か、みんなスタンディング・オベーション。

              うううううん・・・よくわからん。

              ヘンに人気が爆発すると
              かえって醒めてしまう私のメンタリティが悪いんだけど
              この奇妙奇抜な演奏方法、クルレンツィス、いつまで続けるんだろう。
              どこかで、いわゆる「普通の演奏」に回帰する事はないんだろうか。

              というより、ここまで「奇抜なブランド」として確立してしまうと
              もう、聴衆の方が、いわゆる「普通の演奏」を許さないんじゃないの?

              それはそれで、ものすごいプレッシャーだと思うんだけど。
              大袈裟に言ってしまえば、クルレンツィスというブランドの呪詛かも。

              まぁ、それはクルレンツィスの問題であって
              私の問題じゃないからどうでも良いが(こらこら)
              (だって、自分の確信を持って、そういう解釈で売って
               華やかに世界の中心に躍り出たんだもんね)

              ただ、この「奇抜さ」に飽きる事はまだない。
              その奇妙さ、奇抜さに、いちいち説得力があって
              しかも、曲ごとに、不思議な部分を変えてくる。

              私自身も、クルレンツィス、次にナニやらかすか、という
              サーカス的興味でコンサートに通ってしまう。
              まんまと指揮者の手のひらで転がされているのかもしれない。

              ありがたい事に、この鬼才に比較的早くから目をつけた
              コンツェルトハウスが
              引き続き、クルレンツィスのチクルスのコンサートを開催していて
              私はシーズン全体でチクルスを購入しているので
              (しかも、貧民席だがベストの席!!!
               最初のチクルスの時に座席の希望を出して通ったので
               そのまま次のシーズンもキープしている。うっふっふ)

              今シーズンも、またこの不思議な
              頭髪に剃りの入ったお兄ちゃんとの付き合いが続くのは
              ちょっとワクワク感がある私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。



              南西ドイツ放送交響楽団は優秀。
              超一流名人揃いとは言わないけれど
              解釈もしっかりこなしていたし
              あの指揮者に「ついていける」というのも凄いと思う。
              (どこかのオーケストラだと造反者がいそうだし(笑))

              国立バレエ ジゼル 今シーズン4回目

              0
                Wiener Staatsballett/Wiener Staatsoper 2018年9月24日 19時30分〜21時45分

                GISELLE
                Phantastisches Ballett in zwei Akten von Théophile Gautier,
                Jules-Henri Vernoy de Saint-Georges und Jean Coralli nach Heinrich Heine
                振付・演出 Elena Tschernischova nach Jean Coralli, Jules Perrot, Marius Petipa
                音楽 Adolphe Adam
                舞台 Ingolf Brunn
                衣装 Clarisse Praun-Maylunas
                指揮 Ermanno Florio

                ジゼル Olga Smirnova
                アルブレヒト Semyon Chudin
                ヒラリオン Eno Peci
                ジゼルの母ベルタ Franziska Wallner-Hollinek
                ヴィルフリード Marcin Dempc
                クルランドの大公 Zsolt Török
                バチルデ Alena Klochkova
                農民のカップル Natascha Mair, Scott McKenzie
                ジゼルの友人たち Elena Bottaro, Sveva Gargiulo, Anita Manolova, Fiona McGee, Xi Qu, Rikako Shibamoto
                ミルタ Oxana Kiyanenko
                2人のウィリー Sveva Garguilo, Anita Manolova

                Wiener Staatsballett
                Orchester der Wiener Staatsoper

                配役が配役である。
                一応、いつもの貧民席は押さえたものの
                やっぱりこのカップルなら、と
                100ユーロ近い席を買ってしまって
                ロジェの1列目という、清水の舞台から飛び降りて
                今、地面にへばりついてペッタンコになっているのだが

                あああ、贅沢な席、買って良かった 😂

                ボリショイのスター・ダンサーの2人が舞台に登場すると
                もう、そこだけ空気が違うの(うっとり)
                アルブレヒトに呼ばれてジゼルが登場するところのソロの可憐さ
                その後、アルブレヒトから愛の告白をされて
                戸惑い、喜びを隠せない、でも、ちょっと照れているジゼルの
                可愛いと言うかキュートと言うか(同じだろ?)

                ううう、ジゼルって、こういうキャラクターなのよね、というのが
                如何にも自然に伝わって来て
                演技というよりは、それを超えたところで
                本当にジゼルがアルブレヒトに恋しているように見える。
                (いや、普通はそう見えなければいけないのだが
                 ダンサーによっては・・・あのあのあの(以下省略))

                農民の女の子(ナターシャ)とジゼル
                農民の男の子(スコット)とアルブレヒトのパ・ド・キャトルがあるのだが
                ナターシャは、芸達者で技術的に完璧でキュート
                でも、オルガ・スミルノワのジゼルと一緒に踊ると
                その差が歴然とする。
                (いや、それはそれで、普通の女の子に対する主人公ジゼルという
                 やっぱりそこで差がつかなければおかしいのだ。
                 今までのキャストだと・・・いやいや、もう言うのは止めよう)

                アレーナのバチルデ、すごく美人だし
                頭小さくて、スタイル抜群で見た目はとてもステキなんだけど
                やっぱりちょっと演技が・・・
                ジゼルの顔を上げて、あら、可愛い子じゃない、というところなんか
                もう少しタメが欲しいよ。
                台本にそう書いてあるから、そうしてますけどって言うのがわかってしまう。

                オルガ・スミルノワに比べると
                ウィーン国立バレエ団のダンサーの演技の稚拙さが目立つ。
                もう少し、演技の技術が欲しい(切実)
                キャラクター・ダンサーって、ちょっとした仕草で
                全体が全く違って来ちゃうんだから。

                前半の恋する場面のキュートなジゼルにドキドキするが
                もちろん、前半の見せ所はジゼル狂乱の場である。

                うううう・・・(沈黙)

                オルガ・スミルノワ、マジに目が据わってるし・・・

                リュドミラとかのように、大袈裟な動きはほとんどなくて
                いや、ないように見えるのだが
                ほんの少しの細かい動きや身体の向き
                目の据わった虚ろな表情で

                ちょっとこれ、かなりヤバイ。
                今まで見て来たジゼルの公演で
                この狂乱の場で、ジゼルの悲しみに共感する事になるとは・・・
                (だって、あの場って、何でそこで狂乱するかね?と
                 どちらかと言えば、ワタクシ的には、ちとシラケるシーンだったのに)

                前半のオーケストラが・・・ちょっとツッコミどころ多過ぎて
                テンポふらふらで、うわああああ、大丈夫か、というところや
                何故に、そこでパート同士がズレる?というところがあって
                時々、冷や汗かきながら聴いていたが
                まぁ、それでも後半は持ち直したし
                最後に観客から大きな拍手とブラボー・コール(納得いかん)

                後半の幽玄なシーンもジゼルの見どころ。
                ミルタを踊ったオクサーナ。
                いや、このボリショイの黄金カップルに対して
                誰がミルタにキャストされるか、ちょっとドキドキものだったのだが
                (この間の清香ちゃんは、残念ながら完璧にオルガに喰われてた)
                オクサーナはデミ・ソリストである。

                ソリストやプリンシパル、逃げたな・・・(邪推)

                でもオクサーナ、頑張った。
                割に存在感のある大柄なダンサーなのだが
                足音が極限まで抑えられていて
                最初の時のバランスに多少の危うさはあったが
                (後の方になったら安定して来た)
                ものすごく練習したね、と言うのがわかるミルタだった。
                頑張ったよ、すごい、褒めてあげよう(と偉そうに言う(笑))

                ただ、もう、後半こそ
                オルガ・スミルノワとセミョーン・チュージンが踊ると
                そこだけ、空気が違ってしまって

                あ〜、すみません、背景いりません。
                (ごめんなさい、私、ウィーン国立バレエ団のファンですけど
                 でも、ここまで格が違っちゃうと、比べ物にならないんです・・・)

                ジゼルとアルブレヒトが
                本当に愛し合っていた事が、もろにパ・ド・ドゥで伝わって来ちゃうし
                リアルにジゼルとアルブレヒトが
                愛し合うカップルに見える。
                (いや、あの、その、どう見たってリュドミラとローベルトを
                 愛し合うカップルとしてみたら、かなりの不自然感が・・・)

                もちろん完璧なテクニック。
                キミン・キムのように空中に浮かんでいる訳ではないが
                (まぁ、あの人は、一種特殊だよね(笑))
                チュージンのジャンプは高いし、優雅で高雅で
                本当にプリンスだし

                オルガがまた、後半では、本当に体重がないみたい。
                羽のように軽やかで足音がせず
                ソロの時の斜めジャンプなんて
                うわ、さすが死人(すみません)

                アルブレヒトを庇うところの肩甲骨の美しさと言ったら・・・
                (わかる人にはわかる表現だと思うけど)

                ジゼルのソロの美しさはため息もの。
                (リュドミラだと、ソロの後、もう一度出てくるのだが
                 オルガ・スミルノワは出て来なかったので
                 すぐにアルブレヒトのソロになった)

                セミョーン・チュージンのソロ、素晴らしい。
                いやもう、優雅の一言。
                連続アントルシャの安定感と持続感が見事で
                あの連続アントルシャって他のダンサーもやってたっけ?(すみません)

                最後にジゼルの墓に倒れこむシーンも
                チュージン、完璧にアルブレヒトになってる。
                演技の素晴らしさもあるのだが
                観客からは、アルブレヒトが真っ赤な目をして
                泣いているような印象を持つのだ。

                ああああ、もう見た目も技術も完璧。
                ビジュアル的に、徹底的に美学が真ん中に鎮座してるし
                しかも、あんなアホらしいおとぎ話なのに
                何故か、不思議なリアルさが垣間見えるというか
                セミョーン・チュージンとオルガ・スミルノワって
                本当にプライベートでもカップルなんだろうか。
                っていうか、ジゼルを観ていると
                そうとしか思えなくなって来る。

                もう、この黄金カップル観ちゃったら
                他のジゼルのキャストはどうでも良い気分ではあるのだが
                次はオルガ(エシナ)とローマンのカップリング。
                ニナ(ポラコヴァ)とデニス
                マリアとダヴィデ
                残念ながら、マリアと木本クンの時には行けないけれど
                すみません、もう少し、お付き合い下さいませ。

                もっとも、こんな良い席は
                もう買えません(笑)という私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                真夏の夜の夢(バレエ)今シーズン2回目

                0
                  Volksoper / Wiener Staatsballett 2018年9月23日 18時〜20時10分

                  EIN SOMMERNACHTSTRAUM
                  Ballett in zwei Akten vom Jorma Elo
                  nach der Komödie von William Shakespeare

                  振付 Jorma Elo
                  音楽 Felix Mendelssohn Bartholdy
                  Ein Sommernachtstraum
                  Ouvertüre E-Dur, op 21, Musik op. 61
                  Ouvertüre c-Moll op. 95 (Ruy Blas)
                  Symphonie Nr. 4 A-Dur, op. 90
                  Konzert für Violine und Orchester e-Moll, op. 64, 2. und 3. Satz
                  舞台・衣装 Sandra Woodall
                  照明 Linus Fellbom
                  指揮 Andreas Schüller

                  オベロン Vladimir Shishov
                  ティターニア Ketevan Papava
                  パック Richard Szabó
                  シーシアス Andrey Teterin
                  ヒポリタ Gala Jovanovic
                  ハーミア Natascha Mair
                  ライサンダー Scott McKenzie
                  ヘレナ Alice Firenze
                  ディミートリアス Dumitru Taran
                  イジーアス Igor Milos
                  職人たち Gabor Oberegger, Alexis Forabosco, Andrés Garcia Torres
                  Nicola Barbarossa, Marat Davletshin, Trevor Hayden
                  アテネのカップル Madison Young, Marian Furnica
                  Katharina Miffek, Zsolt Török
                  妖精・アテネの住人たち
                  Natalya Butchko, Venessza Csonka, Zsófia Laczkó, Katharina Miffek,
                  Flavia Soares, Iulia Tcaciuc, Céline Janou Weder, Madison Young,
                  Marcin Dempc, Marian Furnica, András Lukács, Hanno Opperman,
                  Tristan Ridel, Zsolt Török, Arne Vandervelde, Géraud Wielick
                  ソロ歌手 Manuela Leonhartsberger, Birgid Steinberger

                  Wiener Staatsballett
                  Orchester der Volksoper Wien
                  バイオリン・ソロ Vesna Stanković
                  Jugendchor der Volksoper Wien

                  何回観たら気が済むか、と言うと
                  何回観ても気が済まないと言う(笑)
                  ともかく、この演目、何回観ても楽しい。

                  今回の配役、パック役がミーシャからリッチーに変更。
                  ライサンダーは可愛い可愛いスコットが登場。
                  もちろん、私の初恋の君に似た(妄想あり)マリアンもばっちり。

                  いや面白いのは
                  リッチーのパック役が、ミーシャとは全く違う印象を与える事。
                  ミーシャの場合は、ともかくその存在感が半端じゃないから
                  この演目の主人公は間違いなくパックになってしまうのだが

                  リッチーはその意味では、悪目立ちせず
                  あくまでも脇役に徹して
                  ただ、技術的には・・・すごいです、このダンサー。

                  小柄だからミーシャよりも小回りが効いて
                  ピルエットなんかのキレがものすごく良い。
                  本当にシェークスピアのパックらしく
                  いたずら小僧で、ちょっと間が抜けていて
                  あちこちに神出鬼没に出てくる役にぴったり。

                  それに、リッチーの身体って
                  何て美しい筋肉のつき方・・・

                  いやあのね、ダンサーでも色々あって
                  筋肉ムキムキのタイプとか
                  どこに筋肉が?というナヨナヨっぽい王子様タイプとか
                  それぞれに特徴があるじゃないですか。
                  何を見てる、というツッコミもあるだろうけれど
                  美しいダンサーの身体をしみじみ見て何が悪い(開き直り)
                  (正しい日本語では「しみじみ」ではなく「じろじろ」ではあるが
                   ここは何となく「しみじみ」見たいんです(謎))

                  パック役は上半身は何も着けず、下半身はタイツだが
                  リッチーの体型って、ホント、理想的。
                  ムキムキでもなく、無駄な外側の筋肉が見えなくて
                  かと言って、弱々しい感じではなく
                  実にバランスのとれた、私でも惚れそうな身体つき。
                  ちょっと触ってみたくなる(逆痴漢になるから妄想に留めておく)

                  シショフは夏休みに少し体重を増やしたような感じで
                  またちょっと、その、あの、腹部が少し前に出てるというか
                  いや、そりゃダンサーだから前に出てるワケないんだけど
                  スクッと立った時のバランスが、多少前方にある感じ。

                  いや、これ、別に今回が初めてじゃなくて
                  時々、怪我の後とか休みの後とかに起こり得る事だし
                  数週間で元に戻るのはわかっているから心配していない。

                  村人たちのダンスって
                  愉快だし、すごく楽しいのだが
                  よく見れば、すごい技術が必要なダンス・シーンが多い。
                  クラシックっぽくなくて
                  普通のダンスに見えてしまうので
                  クラシックの技として、おおおおお、とは思わないのだが
                  よく見れば、回転技もスゴイのが入っていて

                  それをキャラクター・ダンサーのガボールが
                  ものすごく見事に、たいした事ないよ、これ、って感じで
                  踊ってしまうのに気がついて、ちょっとビックリした。
                  (今まで気づかなかったんかいっ!)

                  日曜日の、しかも18時からの公演とあって
                  家族連れの子供たちや、若い人たちで満席。
                  (子供と若い人たちのチケットは安いのだ)
                  ギャラリーの貧民席では
                  空いていそう、というので席を移った人もいたようで
                  もともとの客が入ってくると、そこでバタバタというシーンも。
                  (公演始まってからのバタバタは避けて欲しいんですけどね(笑))

                  オーケストラが、何だか異様に元気な演奏。
                  元気なのか、やけっぱちなのかはわからないけれど
                  すごい音で、親の仇、みたいな感じで演奏してくれて
                  それはそれで面白い(笑)

                  ライサンダー役のスコットが、本当にカワイイ。
                  ナターシャと同じくらいの背しかないので
                  カワイイ役ならピッタリだが
                  これからダンサーとして、どういう役を踊って行くんだろう。
                  でも、今の時期のスコットは
                  技術的にも、演技も、ものすごく伸びて来ている。

                  ナターシャと組むと
                  まるで砂糖菓子のようなカップル。
                  あまりにキュート過ぎて悶絶する。

                  いやあ、楽しかった。
                  この演目、まだ何回か上演があって
                  9月28日と10月7日はヤコブがオベロンを踊る。
                  (ティターニアがリュドミラ・・・って
                   ヤコブはリュドミラにくっつけって事?う〜ん・・・)

                  全部は行けないけれど
                  それでも楽しみな私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  午前中のウィーン・フィルの定期公演は
                  基本的には土曜日と同じ感想。
                  ともかく、あんな美しい音色で
                  あんなに情熱的にダイナミックに演奏されたら
                  楽友協会の音の洪水に巻き込まれてグウの音も出ません。

                  アコスタ・ダンツァ A Celebration

                  0
                    Festspielhaus St. Pölten 2018年9月22日 19時30分〜22時10分

                    Acosta Danza. Tonkünstler-Orchester
                    Carlos Acosta - A Celebration

                    De Punta a Cabo
                    振付 Alexis Fernández
                    衣装 Vladimir Cuenca
                    照明 Adam Carée, Pedro Benítes
                    音楽 Kumar, Kike Wolf (The Beautiful Cuban Girl von José White),
                    Omar Sosa

                    Fauno
                    振付 Sidi Larbi Cherkaoui
                    衣装 Hussein Chalayan
                    照明 Adam Carée
                    音楽 Claude Debussy (Prélude à l’après-midi d’un Faune) mit
                    ergänzender Musik von Nitin Sawhney
                    ダンサー Carlos Luis Blanco, Zeleidy Crespo

                    Rooster
                    振付 Christopher Bruce
                    衣装 Marian Bruce
                    照明デザイン Tina MacHugh
                    照明 Christina R. Giannelli
                    音楽 The Rolling Stones (Little Red Rooster, Lady Jane, Not Fade Away,
                    Point it Black, Ruby Tuesday, Play With Fire, Sympathy for the Devil)

                    Carmen
                    振付 Carlos Acosta
                    舞台と衣装 Tim Hatley
                    照明 Peter Mumfort
                    音楽 Georges Bizet (Carmen), Rodión Shchedrin (Carmen Suite), Martin Yates

                    ダンサー Carlos Acosta, Carlos Luis Blanco, Zeleidy Crespo,
                    Enrique Corrales, Yasser Domínguez, Mario Sergio Elías,
                    Yanelis Godoy, Dayana Hardy, Julio León, Gabriela Lugo,
                    Marta Ortega, Juan Carlos Osma, Jayron Pérez, Raúl Reinoso,
                    Laura Rodrígues, Javier Rojas, Déborah Sánchez, Alejandro Silva,
                    Leticia Silva, Laura Treto, Brian Gonzáles Trull

                    オーケストラ Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
                    指揮 Paul Murphy

                    カルロス・アコスタと言えば
                    一世を風靡したロイヤル・バレエのソリストで
                    タマラ・ロホとの名場面が頭に思い浮かぶが
                    2015年にロイヤル・バレエを去ってから
                    故郷のキューバで立ち上げたカンパニーが
                    このアコスタ・ダンツァ。

                    昨年もサンクト・ペルテン祝祭劇場で公演を行なったが
                    今年も来てくれたのは嬉しい。

                    このカンパニー、クラシックのみならず
                    ヒップホップ、フラメンコ、キューバの民族舞踏など
                    ともかくダンスであれば何でもレパートリーにしてしまうし
                    世界各国の振付師と協力している。

                    今回は前半に3作品。
                    De Punta a Cabo は背景にキューバの海岸線とダンサーのビデオを使い
                    ダンサーのグループが、キューバの「現代」を踊るという
                    アレクシス・フェルナンデスが、このグループのために作った作品。

                    Fauno は牧神の午後への前奏曲。
                    シディ・ラルビ・シェルカウイが
                    ロンドンのサドラースウェルズ劇場の
                    In the Spirit of Diaghilev という演目のために振り付けたもの。
                    ドビュッシーの牧神の午後への前奏曲の途中に
                    ニティン・ソーニーの音楽が入る。

                    牧神の午後への前奏曲そのものが
                    既に決まったイメージやストーリーを持っているので
                    男性のダンサー(牧神)と、女性(ニンフ)が絡まる構成になるのは
                    どの振付でも同じ。
                    動きも、どんな作品でも不思議に似て来てしまう。
                    ドビュッシーだと思っていると
                    突然、他の音楽が混ざってくるのでビックリするが
                    森の背景の前で
                    ロマンティックな牧神とニンフの絡みが素敵だった。

                    Rooster はローリング・ストーンズの音楽とともに
                    当時の社会を表すようなダンス作品。
                    ロカビリーっぽい、しゃれたお兄ちゃんと
                    女性のラブストーリーが、あちこちで交差する。
                    いやまぁ、これに登場する「男の子たち」が
                    何とも60年代の粋がまざまざと表現されていて楽しい。

                    このカンパニーのダンサーたちって
                    しっかり演技が出来るなぁ・・・

                    後半は、ロンドンのロイヤル・バレエのために
                    カルロス・アコスタが振付して
                    2015年10月26日にドン・ホセを踊って引退公演にした演目との事。
                    今日はカルロス・アコスタはエスカミーリオを踊る。

                    音楽はビゼー・・・というより
                    最初からロディオン・シチェドリンのカルメン組曲じゃないの(笑)
                    トーンキュンストラーが頑張ってる (^^)v

                    カルメンの死のシーンから始まって
                    雄牛のツノをつけた筋肉ムキムキのダンサーが出てくる。
                    あああ、雄牛と言えば
                    昔、フォルクス・オーパーでバレエのカルメンを上演した時
                    (誰が振付だったのかは失念したけれど)
                    エスカミーリオが雄牛になっていて
                    グレゴール・ハタラが踊ったんだっけ。

                    ・・・とか関係ない事を考えてしまったが
                    雄牛の格好したムキムキ・ダンサー
                    どう見てもアコスタじゃないから、これはエスカミーリオではない筈。

                    この作品に出てくるカルメン役の女性ダンサー
                    す・ご・い !!!!!

                    ほとんど出ずっぱりで、ずっと激しいダンスを踊っていて
                    リフトも半端じゃないし
                    しかも、演技力がもうスゴイの。

                    女性同士の喧嘩で捕まって
                    牢の中で、鎖を使ってドン・ホセを誘惑するシーンの迫力と言ったら
                    艶やかな動き、捕まえておけない奔放さとワイルドさ
                    しかも妖艶な微笑みから撒き散らされるフェロモン。

                    ドン・ホセは、良いところのお坊ちゃんという感じで
                    線が細い弱々しさを巧く演じていて
                    マジメなので最初は誘惑されても抵抗しているのに
                    どんどんカルメンに魅せられていくのが手に取るようにわかる。

                    カルメンは、誘惑して落とす事そのものに暗い喜びを見出していて
                    ドン・ホセがカルメンに求婚する場面でも
                    あ〜、こいつ落としちゃったけど
                    よく見ればあんまり魅力ないじゃん、という感じで
                    カルメン自体はホセに全然惚れていない。

                    そして、エスカミーリオの登場。
                    うわああああ、カルロス・アコスタのエスカミーリオ!!!!
                    カルロス・アコスタ今年45歳だが
                    姿も技術も全然衰えていないじゃないの!!!

                    ワイルドさに加わった、何とも言えない品の良さ。
                    クラシックで培われた鉄壁の技術で
                    ピルエットもジャンプも
                    身体の中心がビクともしない。

                    実に優雅にクラシックの大技をこなし
                    とんでもなく魅力的なエスカミーリオ。

                    いや、カルメンでなくても惚れるね、これは(勝手に納得)
                    だって、ドン・ホセと(役柄から)えらい違いだもん。
                    あまりにエスカミーリオがカッコ良すぎだ。

                    ここら辺のカルメンの心情が
                    ダンスと演技で余すところなく描かれるのだが
                    このカルメン役のダンサー、何という魅力的なダンサーなの。
                    身体のバランス、動きに加えて
                    目に力があって、表情が豊かで、美人で目立って華がある。
                    奔放なジプシーの女性の魅力とフェロモンにクラクラする。

                    カルメンの心変わりを知ってすがりつくドン・ホセ。
                    最初にナイフを出して脅すシーンでは
                    カルメンに大笑いされて
                    ナイフなんか出して来て、困った子ね
                    ふん、やるならやったらどう?アンタに出来る訳ないじゃない
                    というセリフが聞こえて来そうなリアル感。

                    次のシーンでも同じように挑発するが
                    それに対してのホセの目が据わって
                    一瞬の間にカルメンを刺すところのリアルさと言ったら
                    不自然さが一つもなくて心理的に完璧に追えて
                    ドキドキものなのに、そのシーンがまた美しい(ため息)

                    こういう演目を見てしまうと
                    ウィーン国立バレエ団のダンサーの演技力の欠如が気になる。
                    バレエそのものの水準は高いのに
                    演技できるダンサーが少ないのが残念。

                    ほら、演技って
                    いくら「その人物になりきって」とか心理的に努力しても
                    それを外に出して人にわからせる、というのは
                    やはり技術が必要だし。

                    カルロス・アコスタ、45歳。
                    まだまだ衰えていないし
                    見た目の優雅さと
                    素晴らしい技術の、体幹がビクともしないパの一つ一つが
                    丁寧で美しくて、本当に魅力的 ♡

                    普通、サンクト・ペルテンのダンス公演は
                    1時間とか1時間半で終わってしまうのだが
                    今回はたっぷり22時過ぎまでダンスを堪能して
                    ウキウキしながら、夜の高速道路をドライブして帰って来た私に
                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                    ウィーン・フィル + ブロムシュテット 1回目

                    0
                      Musikverein Großer Saal 2018年9月22日 15時30分〜17時15分

                      Wiener Philharmoniker
                      指揮 Herbert Blomstedt

                      Franz Berwald (1796-1868)
                       Symphonie Nr. 3, C-Dur „Sinfonie Singulière“
                      Antonín Dvořák (1841-1904)
                       Symphonie Nr. 7, d-Moll, op. 70

                      やっとシーズン開始で
                      ウィーン・フィルの定期公演1回目。

                      前半のフランツ・ベルワルドの交響曲は初めて聴く。
                      ストックホルム生まれのスウェーデン人で
                      時代的には、ベートーベン後期、ブラームス初期の時代の作曲家。
                      音楽家の家系ではあったが
                      ベルリンに留学し、生活のために整形外科の器具などを考案していたらしい。
                      その後、ウィーンで結婚し、多少の成功はおさめたものの
                      かなり変わった人物だったらしく
                      作曲技法も独自の道を行っていて
                      なかなか理解されるところまでいかなかったようだ。

                      今回の交響曲3番「風変わりな交響曲」も20世紀まで初演されなかったらしい。
                      (ウィキペディアの情報による)

                      第1楽章の最初の弦の響きが
                      あああああ、やっとシーズン始まった
                      何て美しいウィーン・フィルの弦・・・(うっとり)
                      バイオリンとビオラのメロディの途中で
                      入ってくるチェロとコントラバスの低音が
                      くっきり美しく聴こえて来て
                      全体的にウィーン・フィルらしいノーブルさに満ちている。

                      いくら独自路線を突っ走った人でも
                      時代的にはブラームスやメンデルスゾーンなので
                      音の響きが楽友協会の柔らかい残響にとても合う。

                      結構、この曲、悶絶モノかもしれない。
                      前期ロマン派的とは言っても
                      思いがけなく不思議な和声があちこちに散りばめられているし
                      ベートーベン的な繰り返しもあるので
                      テーマは頭に残って、楽しく聴ける。

                      ブロムシュテットもアメリカ生まれとは言え
                      スウェーデン人だから
                      自分の国の(知られていない)作曲家を取り上げてくれて感謝。
                      指揮の譜面台にスコアは置いてあるものの
                      開く事もなく、ずっと嬉しそうに指揮をしている様が
                      音楽に対する深い愛に満ちている(ような気がする)

                      さて、後半はドボルジャークの交響曲7番。

                      ・・・やられたっ!!!

                      冷血の異名を持つ(←妄想だが)私は
                      滅多に音楽で感情を動かされる事はない(筈な)のだが
                      気をつけないと
                      時々、ナイフのように感情に刺さってくる音楽があって
                      それはもっぱら2人の作曲家によるもので
                      一人がチャイコフスキーなら
                      もう一人はドボルジャークなのだ(何故かはわからない)

                      前半の控えめノーブル、ひたすら美しいオーケストラは
                      いったい何処に行った?と頭を抱えるほどに
                      最初から、何ですか、この激しさは????

                      特にチェロとコントラバスの響きが強く
                      切り込んでくるかのような鋭角的な鋭さ。

                      メリハリが効いて・・・なんて生易しいものじゃなくて
                      何という躍動感と若々しさ。
                      ほとんどワイルドな印象まで与えつつ
                      スラブ系の土臭さまで、とことん洗練されて
                      徹底的なダイナミックで迫ってくる。

                      自分の持つ感情の全てを引きずり出されて
                      音楽にがっしり両肩を掴まれて
                      ユサユサと揺すぶられているような気がする。

                      良いんですか、そこまで聴衆の感情を鷲掴みにして・・・

                      というより
                      ブロムシュテットって、今、91歳だよね?
                      矍鑠として、指揮姿にも歳を感じさせないのはともかくとして
                      この躍動感に満ちたダイナミックな演奏って
                      あまりに若々し過ぎる。
                      音楽として枯れたところが全くない。

                      いや別に年齢を重ねたから枯れろ、というんじゃないけれど
                      あれだけの溢れる若さを
                      老練な完璧さで演奏されたら
                      向かうところ敵なし、というか

                      あんなにワイルドな音がウィーン・フィルから出るなんて・・・

                      ちょっと感情的にむちゃくちゃ揺すぶられてしまって
                      あ〜、明日、日曜日にもう一回、同じプログラムがあるんだけど
                      平常心で聴けるかしら。

                      本当は30日にもコンツェルトハウスで同じプログラムがあって
                      チケットは持っていたのだが
                      チャイコフスキー交響楽団とフェドセイエフのコンサートと
                      バッティングするので、チケットを返したんだけど

                      ううううううううん・・・
                      フェドセイエフのコンサートにも行きたいが(チケット確保済み)
                      この同じプログラム、コンツェルトハウスでも聴きたい(涙)
                      身体が2つないのが、かなり悔しい欲張りな私に
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