フィラデルフィア管弦楽団 + ネゼ=セガン

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    Musikverein Großer Saal  2018年5月31日 19時30分〜21時50分

    The Philadelphia Orchestra
    指揮 Yannick Nézet-Séquin
    ピアノ Hélène Grimaud

    Johannes Brahms (1833-1897)
     Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 d-Moll, op. 15
    Robert Schumann (1810-1856)
     Symphonie Nr. 4 d-Moll, op. 120
    Richard Strauss (1864-1949)
     Don Juan. Tondichtung, op. 20

    アメリカのオーケストラの公演が続くが
    フィラデルフィア管弦楽団とネゼ=セガンのコンサートは2回。

    まずは初日。
    プログラム構成が面白い。

    だって、普通、リヒャルト・シュトラウスのドンファン
    ブラームスのピアノ協奏曲1番、後半シューマンの交響曲4番
    という感じのプログラム構成に慣れているから。

    最初から超弩級のブラームスのピアノ協奏曲
    しかも私の大好きな1番 (^^)v

    ピアニストはエレーヌ・グリモーで
    私、このピアニスト、久し振りかも。
    ショートカットのヘアに簡素なシャツとパンツの軽装。
    こんなイメージの人だったっけ?
    (だいたい舞台見えない席ばかりだから、アーティスト見てない)
    もっとライオンみたいなワサワサした髪の毛の姉妹・・・
    あっ、すみません、ラベック姉妹と間違えてた ^^;

    交響曲とまごう最初のド派手なオーケストラの出だしは
    目一杯の大音響で、荒々しく響かせて
    途中のオーケストラのピアニッシモのところは
    止まりそうな位に音量を抑えて、ゆっくりしたテンポ。

    この曲、大好きなので
    どんな演奏されてもジーンと来ちゃうのだが
    グリモーのピアノの力強い事。
    堂々としてマッチョでステキ ♡

    オーケストラは最初のマッチョにドッカーンから
    止まりそうな繊細な音まで出していて
    うっとりしながら聴いていたら

    最初のホルンのソロ・・・
    それ、いったいナニ? と言いたいミス続き(笑)

    次のフレーズからは持ち直したものの
    持ち直したのは良いけれど、力一杯の粗さになっちゃって(爆笑)
    まぁ、そういう事もあります、はい。

    アンコールはなし。

    後半、シューマンの交響曲4番。
    実はこれもすご〜く好き ♡

    ネゼ=セガンは指揮棒なし。
    ほとんど拍を取っていなくて
    曲の表情をつける事に集中しているように見える。

    だから時々、結構派手に縦線がズレる。
    ベートーベンの伝統を継ぐ(笑)ドイツ音楽には聴こえない。

    それに、第2楽章のバイオリンのタララ・タララ・タララってところ
    (読者の皆さま、ごめんなさい!)
    3音が聴こえて来なくて
    木管の四分音符+八分音符のターラ・ターラ・ターラに聴こえて来て
    ちょっとビックリした。
    確かにメロディ・ラインは木管に乗っているから
    そういう解釈もありか・・・
    でも、何だかイヤに単純に聴こえてしまう。

    この間のヴェルザー=メストもそうだったけれど
    意外にアゴーギクが派手で
    かっちりした形式というよりは
    ズブズブの感情的なシューマンに聴こえてくる。

    実は授業でシューマンの音楽評論とか読んでいて
    あまりに文学的で(=ドイツ語でも日本語でもわからん)
    ひええええ、ドイツ・ロマン主義って
    色々な意味で凄い、と感服しているところなので

    あのシューマンの書いたものを読んでから
    このネゼ=セガンのズブズブの交響曲を聴くと
    何となくイメージが交差して
    そうか、これもアリかも・・・と思えてくる。

    豪華絢爛なアメリカン・サウンドが爆発したのは
    最後のドンファンである。

    いや、あのブラームスとシューマンを弾いていたオーケストラに聴こえない。
    ほとんど別人オーケストラと化していて
    キラキラの金管の咆哮が実にゴージャス。

    そうか、これで最後を締めて
    ブラボー・コールを狙ったのか(穿ち過ぎかも)

    しかしこのオーケストラの音色
    ヨーロッパのオーケストラとかなり違う。
    しかも、今回のプログラムでは
    3曲とも、全然違う響きを出して来たので
    ちょっと驚いた。

    明日はバーンスタインとチャイコフスキー。
    ネゼ=セガンが、あれだけロマン派の香りを出してくるなら
    両方とも、もっとウエットになって面白いかも、と
    明日が楽しみになっている私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    実は昨日はバレエのジゼルを観に行って
    木本クンのアルブレヒトもマーシャのジゼルも良かったんだけど
    清香ちゃんのミルタが、ま〜、ホントにぴったりで
    えらく感銘を受けたのだが、ブログ書いてる時間がない(涙)
    今日は祝日で1日閉じ篭って仕事してレポートの準備をしていたのだが
    引退してから1年後、何で、こんなにむちゃくちゃ忙しくなっているのか
    自分でもワケわからん・・・

    クリーブランド管弦楽団 + ヴェルザー=メスト

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      Musikverein Großer Saal 2018年5月28日

      The Cleveland Orchestra
      Singverein der Gesellschaft der Musikfreunde in Wien
      指揮 Franz Welser-Möst
      ソプラノ Laura Aikin
      アルト Wiebke Lehmkuhl
      テノール Norbert Ernst
      バス Dashon Burton

      Ludwig van Beethoven (1770-1827)
       Große Fuge B-Dur, op. 133
       Symphonie Nr. 9 d-Moll, op. 125

      フランツ・ヴェルザー=メストとクリーブランド管弦楽団の
      ベートーベン「プロメテウス・プロジェクト」の最終公演。

      普通だったら、交響曲9番だけでプログラムを組みそうだが
      最初に、もともと弦楽四重奏曲の大フーガの
      弦楽オーケストラ版。
      休憩の後に、ベートーベンの交響曲9番。

      さて、大フーガだが・・・

      あらま、この弦のガリガリっぽいマッチョさって
      この間まで、このオーケストラになかったような気がする。

      弦だけのアンサンブルだが
      ともかく元気というか、ガリガリというか
      ひたすらフォルティッシモで弾きまくっている。
      原曲が弦楽四重奏曲とは思えない厚い音響。

      フーガ・・・なんですけどね、確かに。
      ただ、オルガン曲のバッハとかのフーガとは違って
      それはベートーベンだし、後期の曲だし
      とんでもない和声とか対位法が駆使されていて
      腰据えて分析してみたら面白いかも・・・っとっと、じゃなくて(汗)

      何故に今日はこのオーケストラ(の弦)
      むちゃくちゃマッチョで筋肉質で
      しかも低弦も、えらい勢いで響いてくる。

      別人オーケストラ???

      筋肉質マッチョで交響曲9番に繋げようという意図なんだろうな、きっと。
      だって、交響曲9番の演奏が

      最初から最後まで
      かなり大きめの音量で
      しかもテンポが速くて

      テンポが速いのは、昨今、どこのオーケストラでもやるけれど
      この大規模のオーケストラで
      あの音量で、あのテンポで演奏されると
      ある意味、すごい迫力。

      第1楽章の最初の出だしって
      あんなに音量あったかしらん・・・

      ヴェルザー=メストの指揮が、また、すごく大袈裟で
      この指揮者、足が固定されていて上半身だけ動くので
      ちょっとあやつり人形っぽい動きをするのだが
      今日は、その上半身の動きが、むちゃくちゃ大きい。

      前半でガリガリ演奏していた弦は
      後半でも力一杯のガリガリで攻めてくる。

      相変わらずテンポの動きも激しくて
      時々テヌートになったり、拍が詰まって聴こえたり
      まぁ、それだけダイナミックな演奏とも言えるだろう。

      でも、第3楽章、私は最も美しいアダージョの一つだと思うんだけど
      で、確かに誰が演奏しても美しいのだが
      なんかすごく表面的というか、平坦な印象が残る。

      最終楽章が、これまた速いテンポで
      大規模オーケストラ+音量マックス+速いテンポって
      グイグイ押してくる迫力はあるのだけど・・・

      バスの第一声は深い声で音量たっぷりで聴こえて来たけど
      あ〜、その後の音程がちょっと・・・

      コーラスも、音量を絞らずに入って来て
      え〜っ、その音量で始めてしまうと
      後で盛り上がりが辛くないか?と思ったのだが
      更に音量を上げて上げて上げて

      うううううん・・・
      好みの問題ではあるのだけれど
      コーラスと歌手のソロが入ってからの部分って
      なんだか演奏がごちゃごちゃしていて
      解像度ゼロだし
      歌手の音程は悪いし

      バスとテノールのソロなんて
      木管ばっかり響いて来て
      歌手のソロがほとんど聴こえず
      あれ?ここって、木管のソロのパートだったっけ、って感じ。

      カオスな感じの楽章に
      ますます力の入ったメストが押して押して押しまくるので
      だから、迫力はスゴイのだが
      ごめんなさい、何だか「どんちゃん騒ぎ」になってしまって

      まぁ、プロメテウス祭りと思えば
      ああいう「どんちゃん騒ぎ」でも良いのかもしれない。

      音楽評論をやってるつもりは一切ないので
      記憶力の悪い私が
      自分の主観的印象のメモを取っているだけ、というスタンスなので
      専門家の方が、高い席にお座りになって
      どういう評価を下すかは、私には一切関係ないので

      それなりに、ああいう大味な感じのベートーベンがあっても良いと思う。
      あとは、それが好きか嫌いかの好みの問題。

      最後の音が終わるか終わらないかの時に
      でっかい声でブラボーを叫ぶのには適していたような気がする。
      (で、もちろん、待ち構えたようにブラボー叫んだ人もいる)
      私としては、もう少し、残響を楽しみたいんだけど。

      ベートーベンの交響曲9番って
      もともとの作品が、ちょっと超人的なので
      時々、この曲をベートーベンが作曲していなくて
      8番で終わっていたら
      こんなカルト的な扱いをされる作曲家にはならなかったんじゃないか
      とか、ついつい考えてしまう。

      この間のウィーン・フィルとネルソンスの時は
      素直に、あ〜、ベートーベンの交響曲9番ってスゴイ、と思ったのだが
      今回のクリーブランドとヴェルザー=メストの9番は
      力一杯に押して押して押して、押しまくって、という印象が強すぎて
      肩に力が入り過ぎて、ちょっと疲れた。

      どうもこの後、日本公演もあるようで
      まぁ、クリーブランド管弦楽団って
      アメリカのオーケストラの中では非常にヨーロピアンだし

      いつも冷静・沈着で野心満々で
      冷たい目で、マジメにあやつり人形の指揮をするメストが

      唯一、このオーケストラを指揮する時だけは
      時々、ギョッとする程、情熱的になる事があるので

      その意味では、クリーブランド管弦楽団とメストは
      お互いに非常に良い組み合わせだと思う私に
      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



      ブダペスト祝祭管弦楽団 + イヴァン・フィッシャー

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        Wiener Konzerthaus Großer Saal 2018年5月27日 19時30分〜21時10分

        Budapest Festival Orchestra
        Wiener Singakademie
        指揮 Iván Fischer
        ソプラノ Christina Landshamer
        メゾソプラノ Elisabeth Kulman

        Gustav Mahler (1860-1911)
         Symphonie Nr. 2 c-moll für Sopran, Alt, Chor und Orchester
         „Auferstehungs-Symphonie“ (1888-1894)

        グスタフ・マーラーの交響曲2番と言ったら
        オーケストラの人数は多いし、コーラスも多いし
        ソリストも必要なので、演奏される機会は非常に少ない。

        コンツェルトハウスのプログラムで
        イヴァン・フィッシャーが
        自分のブダペスト祝祭管弦楽団とマーラーの交響曲2番を演奏するのを見て
        会員発売開始の日をカレンダーに書き込んで貧民席ゲット。
        18ユーロ以下で、こういうコンサートを聴けちゃうって
        ホント、ウィーンって素敵な都市 ♡

        コンサート開始前に
        コンツェルトハウスの支配人がマイク持って出て来た。
        えっ?もしかしたら、誰かキャンセル?代役?
        それとも歌手が風邪ひいてるから、ひどい声でも我慢しろってアナウンス?

        と思ったら
        「指揮者のイヴァン・フィッシャーの意向で
         第1楽章終了後に、いったん指揮者は引っ込んで、数分の休みを取ります。
         これはスコアに書いてある事で、実際にはあまりやらないのですが
         みなさまは座席に座ったままでお待ち下さい」

        あ、そういうのなら歓迎。
        確かに、あの超弩級の第一楽章の後は数分でも脳に休みが欲しいし。

        イヴァン・フィッシャーという指揮者
        私は以前から、ものすごく好き。

        バルトークの青髭公のコンサート形式公演で
        俳優さんをちょっと使って、面白い演出をしてしまったり
        中国の不思議な役人では
        スコアのト書きを、コンサート・ホールの上の字幕で見せてくれたり
        ブダペストにトゥーランガリア交響曲を聴きに言った時も
        マジャール語だったからさっぱりわからなかったけれど
        コンサート前に、(たぶん)熱くトゥーランガリア交響曲について
        プレトークをしていた。

        イヴァン・フィッシャーの音楽は
        私が今まで聴いた印象では、とてもマジャール(笑)
        熱くて情熱的で、ちょっとクセがあって
        (ブラームスのマジャール風味は今でも忘れられない名演だった)
        そのクセっぽいところが、いちいち、私のツボにハマるのだ。

        今回のマーラーの交響曲2番も
        のっけから、来た〜〜〜っ! って感じ。
        最初から、あの音量で攻めてくるとは・・・

        しかも、低弦の力強さって、いったい何???
        普通にチェロ8本、コントラバス8本だよね???
        何でそんなに力強い音が出ちゃうんですか。

        ものすごいダイナミック・レンジで
        第1楽章の持っている悲劇性が
        ロマンティックでマッチョに締まったクッキリした音で
        各楽器パートの解像度は高いし
        オーケストラのバランス良くて
        時々、ハッとするような表現があって
        あ〜、クリーブランドのベートーベン、袖にして良かった(こらっ!)

        コンツェルトハウスはジモッティが多いので
        第1楽章後、指揮者が引っ込んでも(アナウンスあったし)とても静か。

        5分ほど、脳を沈静化(笑)させてから
        この上なく繊細な第2楽章。
        ああああ、美しい・・・
        ワルツなんだけど、これは意図的にウィーンのワルツにせず
        3拍目にアクセントを置いて
        ちょっと重めの感じが
        過去と現在の狭間を行ったり来たりしている感じで
        すごくワタシ好み。

        魚に説教するアントニウスは
        (すみません、でも読者はわかりますもんね)
        途中のクラリネットのソロが立って吹いたり
        視覚的にも面白い仕掛けあり。

        クルマンの、この上なく深い美声で歌われる Urlicht に
        涙がジワッと出てくる。

        その後の、あの混乱と悲劇と、そこから天国にいく音楽は
        あああああ、もう、何と言ったら良いのか
        ティンパニ連打のあの部分、すごく好きなのだが
        最初を、デシベル最強近くまで引き上げて
        次を少し落として、という細かいニュアンスの作り方
        いやもう、見事で息を飲む。

        Misterioso のコーラスが、ちょっとイマイチ。
        いや、コーラス人数多いし、巧いんですけど

        ただ、楽友協会のコーラスだったら
        もう少し極端にピアニッシモで入って来ただろうなぁ。
        コンツェルトハウスの音響の関係もあるし
        コーラス板付で、最初の発声がアレ、というのも大変なのはわかるのだが

        でもね、あのアカペラで歌ってソプラノ入った後で
        オーケストラが入って来たら、3分の1くらい音が下がっていた
        というのは、ちょっと(笑)
        (オーケストラ入った時に、ちょっと笑いそうになった・・・)
        さすがにその後のアカペラからオーケストラ入るところはキマったが。

        で、Misterioso なんだけど
        コーラスのメンバー、全員、座ったままで歌ってるんですよ。

        え〜?何で?
        いやそりゃ確かに、立ち上がると音がするから
        その前に立ち上がる雑音を避けるためというのもわかるけれど
        コーラス、立って歌わないと声出ないんじゃないの?

        ・・・と思っていたら

        やられた!!!!!!

        最後のコーラスのところで
        パートごとに
        バスが立ち上がり、テノールが立ち上がり
        メゾが立ち上がり、ソプラノが立ち上がり

        ああああ、これこそ復活・・・

        イヴァン・フィッシャーの演出だったのなら
        もう、脱帽です。

        オーケストラの管のベルアップとかはあるけれど
        このコーラスの時間差での復活
        視覚的に、ものすごい効果で

        それまでもバンダでの管楽器のあまりの巧さや
        空間感覚から不思議な時間感覚に翻弄されて
        現世にいるのか、すでに来世なのか
        時間と空間を飛び回っていた奇妙な感覚はあったんだけど

        最後のコーラスの「復活」で
        じんわり涙が出て来て

        ああああああああ・・・(絶句)

        イヴァン・フィッシャーって
        指揮者として、あるいはオーケストラ・ビルダーとしても
        超一流のすごい人なんだけど
        それに加えて
        音楽を如何に聴衆のところに届けるか、という
        絶え間ない努力をしている人だと思う。

        鳥肌立ったまま、感激に打ち震えて
        呆然状態でホールを去った私に
        どうぞ1クリックをお恵み下さい。


        ウィーン・フィル + エッシェンバッハ 1回目+2回目

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          Musikverein Großer Saal 2018年5月26日 15時30分〜16時40分
          Musikverein Großer Saal 2018年5月27日 11時〜12時10分

          Wiener Philharmoniker
          指揮 Christoph Eschenbach

          Wolfgang Riem (*1952)
           Spiegel und Fluss (Nachspiel und Vorspiel)

          Anton Bruckner (1824-1896)
           Symphonie Nr. 1, c-Moll, WAB 101 (Wiener Fassung, 1891)

          ウィーン・フィルの定期公演。
          土曜日・日曜日分、まとめて書く。

          見てお判りの通り、まぁ、地味なプログラム・・・というより
          あまりにニッチ過ぎるだろうこれは。

          案の定、土曜日はチケットが余っていたらしく
          直前に会った知り合いから
          平土間座らない?と、とんでもない貴賓席のチケットをもらい
          初めてオーケストラが見えるところに座った。

          後で、何故、首が痛いんだろうと思ったら
          そりゃ、平土間だからオーケストラを見上げる位置。
          (貧民席は何も見えないか、見下ろすかしかない)

          さて、土曜日、プログラムを買う時に
          今日は幕間はなしだよ、と言われ

          コンサート開始前に団長が出て来て

          指揮者のエッシェンバッハの意向で
          リームとブルックナーの関連性を強調するため
          幕間はなしとなりました

          というアナウンスがあったのだが

          マイクなしで喋ったため、後ろの人は何も聞こえず
          「聞こえないぞ〜、もっと大きな声で話せ〜」という怒鳴り声(笑)

          日曜日はマイク持って出て来て
          「本日は幕間はありません」

          土曜日のアナウンス(平土間だからばっちり聞こえた)では
          リームとブルックナーの関係、とか言われて
          最初から最後まで
          リームとブルックナーに、いったい何の関係が?と
          頭を悩ませていたのだが、2回聴いても、やっぱりわからん。

          リームの曲は15分ほど。
          木を叩く音が「時間」を表しているとか
          プログラムに書いてあったけれど
          あまりにそれは安易じゃないか?

          前半はセクンドとクヴァルトの連続で
          ただ、マイクロトナールは使っていないし
          途中でテルツやクイントもかなり出てくるし
          聴きやすい、と言えば聴きやすいんだけど

          盛り上がらないし、テンポ遅めでほとんど変化がないし
          しかもトナールで、平坦に上がったり下がったりって
          全然面白くない(すみません感受性ゼロで)

          曲のタイトルが「鏡と流れ、ないしは前奏と後奏」だから
          前奏と後奏だけで、メインがない、と考えれば良いのだろうか。

          15分我慢して(すみません)聴いてから
          指揮者はいったん出入りはするけれど
          幕間なしでブルックナーの交響曲1番。

          ・・・ブルックナーですね、どこを取っても。
          はい、だから?という感じなんだけど

          日曜日は昨日のクリーブランドの音が頭に残っていたので
          (日曜日はいつもの超貧民席だったが、常連がほとんど来ていなかった)
          ウィーン・フィルの弦って
          柔らかいなりに、ちゃんと芯が通っていて
          音そのものが、一つの焦点にまとまっているなぁ、と
          つくづく思う事になった。

          で、ブルックナーを演奏させたら
          (どの交響曲であっても(笑))
          やっぱり、ウィーン・フィルはむちゃくちゃ張り切る (^o^)

          平土間で舞台見ていた時にも思ったけれど
          誰1人として、サボってない。
          弦のボーイングも全員がガリガリやっていて
          (それでも音響はあくまでもノーブル)
          管楽器も最高に巧い。

          やっぱりウィーンのオーケストラにとって
          ブルックナーって特別なんだろうなぁ。

          幕間なしで、1時間ちょっとのコンサートというのも
          そう悪くはない(オーケストラ・プレイヤーにも聴衆にも(笑))

          ウィーン・フィルはこの後
          5月31日に恒例のシェーンブルン宮殿の庭でのオープン・エア・コンサート
          (入場無料、詳細は ここ ゲルギエフ指揮でネトレプコが歌う)
          そして、6月3日にサンクト・ブローリアン修道院で
          ブルックナー1番を演奏する。

          ウィーン・フィルのウエブ・サイトには
          6月3日のサンクト・フローリアン修道院では
          リームとブルックナー(今回の定期と同じ)と書いてあって
          サンクト・フローリアン修道院のプログラムには
          リームじゃなくてヘルベルト・ヴィリの作品になっている(笑)

          もっともチケット取り扱いのサイトではリームになっていたので
          ヘルベルト・ヴィリの作品の演奏はないだろう。

          ブルックナーの聖地、サンクト・フローリアン修道院のコンサートって
          行ってみたい気もするけれど
          私はこの日はウィーン交響楽団とジョルダンに行く予定(笑)

          ついでだけれど
          シェーンブルン宮殿のウィーン・フィルとネトレプコにも行きませんので
          どうぞ悪しからず・・・という私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。



          土曜日も日曜日も太陽燦々と輝く晴天で
          コンサートに行かず、太陽を浴びにいった人が多かったんだと思う。

          クリーブランド管弦楽団 + ヴェルザー=メスト

          0
            Musikerein Großer Saal  2018年5月26日 19時30分〜21時15分

            Ludwig van Beethoven (1770-1827)
             Ouvertüre zum Trauerspiel „Coriolan“ c-Moll, op. 62
             Symphonie Nr. 8 F-Dur, op. 93
             Symphonie Nr. 5 c-Moll, op. 67

            クリーブランド管弦楽団とヴェルザー=メストの
            ベートーベン「プロメテウス」プロジェクト3日目。

            このオーケストラ、最初からずっと
            とても「柔らかい」という印象があるのだけれど
            今日のベートーベンも、何だか非常に「柔らかい」

            コリオランは、まぁ、ダイナミックでなければいけない曲だから
            多少は弾けてはいたけれど
            しかし、何ともお行儀が良いオーケストラではある(あくまでも印象です)

            今日は正しいスコアを持って来たので
            8番はスコアに頭を突っ込んでみた。

            で・・・
            8番って・・・・

            こんなに響きが厚かったっけ???

            弦が柔らかいのは、最初からわかっていたけれど
            低弦があまり響いて来ないし
            私の偏見上、頭にイメージとして入っている
            比較的古典的クラシックな、すっきりした音楽というよりは

            厚みのある音響で
            しかもテンポが前のめり・前のめりで
            ガンガン押して来て
            ダンス音楽・・・になっているのは別に構わないんだけど

            6番でもあった
            小節最後の拍が微妙に短くなる(=前のめり)ので
            最後の拍だけ潰れてしまって
            船酔いみたいなグラグラ感。

            スコア見ていて
            何でここで、普通に聴いていたら目立たない
            木管だけが目立ってるんだろう、という箇所があって
            後で舞台が見えるところに座っていた友人に聞いたら
            木管の人数を2倍にしていたそうだ。

            ふ〜ん・・・

            大学の同僚も来ていたが
            幕間に感想を聞いてみたら
            お行儀良すぎ、とか言っていた。

            スコア見ていると、やっぱり音楽そのもに集中できないかも、と
            5番は音楽だけに集中してみたが

            やっぱり弦が何だか柔らかすぎて
            そこに、むちゃ巧い木管・金管が乗る、という感じ。

            しかも、あの5番でも
            メストの前のめりの不安定なテンポで
            ワタクシ的には、ベートーベンはガッチリと固まっているはずのものが
            伸びたり縮んだりが激しくて

            あれ〜、そこでアッチェルランドかける?
            と、椅子からずり落ちそうになるところも結構あった。

            ヴェルザー=メストの特色なんだろうか。
            意図的にやっているのはわかるから
            解釈の問題だし、良い悪いという事ではないし

            変人好きだから、一風変わったベートーベンって
            嫌いじゃないんだけど
            あの船酔い感覚は、ちょっといただけない・・・

            明日はベートーベンはお休みして
            マーラーだから、ちょっと頭をスイッチしよう。

            最終日の9番はチクルスで持っているので
            やっぱり船酔いするか
            ちょっと怖いもの見たさ(聴きたさ?)で
            楽しみな私に
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。


            クリーブランド管弦楽団 + ヴェルザー=メスト

            0
              Musikverein Großer Saal 2018年5月25日 19時30分〜21時30分

              The Cleveland Orchestra
              指揮 Franz Welser-Möst

              Ludwig van Beethoven (1770-1827)
               Symphonie Nr. 2 D-Dur, op. 36
               Symphonie Nr. 6 F-Dur, op. 68 „Sinfonia pastorale“
               Leonoren-Ouvertüre Nr. 3, op. 72a

              クリーブランド管弦楽団2日目。
              1日目のプレッセの評は(有料記事)私が感じたのと同じような印象で
              かなり好意的な記事。
              まぁ、フランツ・ヴェルザー=メストと言えば
              久し振りのオーストリア人指揮者なので
              あまり悪い事は書かないだろう・・・という贔屓目はあるだろうが(笑)

              突然話が飛ぶが(すみません)
              今日は朝から図書館に閉じ籠ろうと思っていたら
              仕事のメールがバンバン入って
              結局、午前中ずっと自宅で仕事。

              さて、どうせ何も見えない席だから
              昨日と同じようにスコアに頭を突っ込もうと
              スコア入れて大学に行って
              ワケわからん19世紀の音楽批評関係の文献で
              どこを取ってもベートーベン万歳で、げっそり。

              で、楽友協会に入ってプログラム買ったら
              え?今日って2番と6番???
              焦って違う日のプログラムを見ていたらしく
              私のバッグに入っているのは5番と8番。

              何のためにスコア持って来たんだか・・・
              むちゃくちゃショックを受けて臨んだコンサート。

              ただ、クリーブランド管弦楽団って
              他のアメリカのオーケストラと違って
              開演前の舞台での各自の音出しが、ほとんどない。
              (あったのかもしれないが、神経に触らない)

              他のアメリカのオーケストラだと
              廊下に居ても、不協和音と現代音楽のフラグメントが
              大音量で聴こえるので非常に不愉快なのだが
              その意味では、このオーケストラ、アメリカのオーケストラの中では例外的。

              2番は、昨日に比べると、ちょっとワイルド味が増して
              速めテンポでグイグイ押してくる。

              こういうのを聴くと
              あ〜、ベートーベンって、やっぱり基本、ダンス音楽だなぁ、というか
              ロックだよ、ロック(断言)
              身体が音楽に合わせて踊りたくなる。

              今回はしっかりリピートあり。
              昨日3番で最初のリピート省略したので
              (3番ではよく省略される)
              今日も省略するかと思っていたんだけど
              でも2番のリピート、そんなに長いフレーズじゃないし
              緊張感保ったままだったので満足。

              ああ、でもスコア見たかったな。
              何故、私がスコアを持ち込むかと言うと
              カクテル・パーティ現象に似たような現象で
              スコア見てると、普段聴き逃すようなフレーズが
              目と耳から入ってくる事があって、これが面白いから。

              特に、6番なんて
              基本的には同じパターンの繰り返しだから
              スコア見てないと、ちょっと退屈するんですよ(こらこらこら)

              後半の6番、これもリピート全部あり。
              だけど、最初のフレーズで
              弦の最後のところのアンサンブルとテンポが乱れがち。

              きっちり構成されたベートーベンを
              もっとメロディっぽく長いフレーズで演奏しようという意図かもしれないが
              あのパターンの最後のところを
              だら〜っと演奏されると、実は気持ち悪い。

              船酔いになりそうな気分。
              (田園で船酔いって・・・止めてくれ・・・)
              最初のパートの繰り返し部分が終わる位まで
              ちょっと、本気で気持ち悪かったが

              その後は耳が慣れたのか
              それともアンサンブルが直ったのか
              だんだんパターンもクリアになって来て落ち着いた(ホッ)

              で、この6番で特筆すべきは
              木管・金管の巧さ!!!
              まぁ、一流オーケストラ、どこでも木管・金管は巧いのだが
              オーケストラ内でのバランスも見事だし
              柔らかい女性的な弦と仲良くしつつも
              主張するところはバッチリ外に出て来て
              見事なソロを聴かせてくれる、というのに惚れた。

              昨日の柔らかい演奏のチャーミングさも残しながら
              モダン・オーケストラで
              すっきりした透明感のある音を
              細かい部分まで拘っているのに大袈裟にならない
              ノーブルで洗練されたクールなニュアンスで聴かせてくれる。

              いや〜、手垢のバリバリ付いたベートーベンの交響曲
              最近の指揮者は手を変え、品を変え
              様々な解釈で聴かせてくれるじゃないの。

              というより、ベートーベンの交響曲って
              それだけ、解釈の幅が広いんだろうか。
              スコア見ていても、それほどむちゃくちゃ複雑ってワケでもないと思うんだが。
              (ちなみに、ベートーベンのスコアは私のようなド・シロウトでも
               何とか読めます)

              変に大袈裟に勇壮でもなく
              柔らかさと緊張感のバランス
              マッチョなところ・・・は少ないけれど
              古典的な輪郭と、ロマンティスム漂うチャーミングな部分が
              ベストのバランスで溶け合っている感じ。

              人によっては柔らか過ぎるという印象もあるだろうが。
              (ベルリン・フィルとラトルは、もっとマッチョだった。
               ウィーン交響楽団とジョルダンも
               今回のクリーブランドと比べると、もっとダイナミックだった)

              最後にレオノーレ。
              うはははは、プログラムの組み方が巧い。

              6番って、あんまり「ブラボー」で終わらないから
              最後にレオノーレで、ばっちり明るくして
              速めテンポと音量上げて
              (でもバランスは良いし、うるさくならないのはヴェルザー=メストの腕か)
              聴衆をノセて、盛り上げて終了という
              見事なドラマツルギーではある。

              新聞評では、フランツ・ヴェルザー=メストが
              哲学的に解釈したベートーベンとか書いてあったような気がするが

              音楽が哲学的・・・って
              私みたいなアホには、よくわからん。
              (カントは音楽は主観、と言っていたんじゃなかったっけ?)

              最近、色々と音楽について考える機会があって
              (まぁ、ヘンな学問に足を突っ込んでいるのもあるが)
              根本的に自分の感受性がおかしいんじゃないかと
              前から思っていたけれど、ますます確信を得るようになって

              音楽=哲学とか、美学だとか芸術だとか聞くと
              ちょっと蕁麻疹が出そうな状態に陥っている私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。



              だから、もともと感受性ゼロで
              スペクトル楽派の「音響」だけ、いや極端に言えば
              場合によっては雑音だけで快感に悶える私が
              「音響」じゃなくて「音楽」を扱うところに
              足を踏み込んだのが基本的な間違いだったのではないかと・・・

              クリーブランド管弦楽団 + ヴェルザー=メスト

              0
                Musikverein Großer Saal 2018年5月24日 19時30分〜21時15分

                The Cleveland Orchestra
                指揮 Franz Welser-Möst

                Ludwig van Beethoven (1770-1827)
                 Ouvertüre zur Ballettmusik „Die Geschöpfe des Prometheus“, op. 43
                 Symphonie Nr. 1 C-Dur, op. 21
                 Symphonie Nr. 3 Es-Cur, op. 55, „Eroica“

                クリーブランド管弦楽団とフランツ・ヴェルザー=メストによる
                「プロメテウス・プロジェクト」と銘打った
                5回のコンサートでベートーベンの交響曲全曲演奏。

                5月27日だけ行けない(4番と7番にエグモント・・・ちょっと残念)

                だって、同日、ブダペスト祝祭管弦楽団が
                グスタフ・マーラーの交響曲2番をコンツェルトハウスで演奏するんだもん。
                (ついでに同じ日に国立オペラ座では「カプリッチオ」だ。
                 何故、こういうものが重なるわけ?(号泣))

                さて、そのプロジェクト初日は
                プロジェクト名称通りのプロメテウスと
                交響曲1番に3番。

                最初のプロメテウスにビックリ。
                え〜〜〜〜??? 音が柔らかい。

                通常、アメリカのオーケストラでベートーベンとか言うと
                もっと無駄に力強い、楽友協会にふさわしくない音をイメージしてしまうが

                だいたい、このオーケストラ
                始まる前に舞台で音出ししている、その音がうるさくない。

                (愛読者の方はご存知の通り、アメリカのオーケストラって
                 コンサート始まる前に、全員が舞台の上で
                 好き勝手なところを音出ししているので
                 うるさいし、ポリフォニーの不協和音の現代音楽で
                 まるでゴミだらけの台所を見ているような気分になって不愉快なのだ)

                プロメテウスの音楽も、あくまでも音が澄んでいて
                輪郭ははっきりしているのに、ノーブルで柔らかい。

                続く交響曲1番。
                輪郭だけしっかり出して
                同じような柔らかい響きで
                ほとんど女性的と言っても良いほどに
                まるで羽のような軽さでのチャーミングな演奏。

                あれあれあれ
                ベートーベンって、もっとマッチョでゴツいイメージだったのだが
                この優しさ・・・というより
                ノーブルで軽くてチャーミングで洗練された演奏って
                ものすごく魅力的じゃないの。

                いやしかし、この音色で
                後半の3番を演奏したら
                偏見はないんだけど、オネエになってしまうではないか・・・

                大丈夫でした(笑)

                音色はあくまでも柔らかくチャーミングだが
                (これ、もともとのオーケストラの持っている色なんだろうか?)
                大袈裟になり過ぎない節度を持ったダイナミックさで

                あくまでも冷静な、この上なく美学的な
                すっきりしたエロイカ。

                一部のリピートは省略していたので
                締まりの良い、ハキハキした演奏になっていた。
                (リピート全部やると、エロイカは確かに冗長になる)

                しかもさすが超一流オーケストラの一つ。
                各楽器のソロがむちゃくちゃ巧い。
                どんなに速度が速くても、正確に美しい音色で
                楽友協会ホールの音響の中で
                最も美しく響く音量で演奏されるので、腰が抜けた。

                コンサート行く前は
                あああああ、またベートーベンだ(げっそり)と思っていたのだが

                私の持っている堅苦しいベートーベンの偏見を
                軽く殴りつけて、全部ぶっ壊して

                あくまでもスマートに
                ノーブルな洗練を持って
                ほら見たか・・・って感じで
                さりげなさ満杯で演奏して
                聴衆を自分たちのフィールドに取り込んだ感じかなぁ。
                気がついたらやられてました、という印象。

                これからのコンサートが俄然楽しみになって来た私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                ウィーン交響楽団 + レオニダス・カヴァコス

                0
                  Musikverein Großer Saal 2018年5月22日 19時30分〜21時50分

                  Wiener Symphoniker
                  指揮・バイオリン Leonidas Kavakos

                  Johann Sebastian Bach (1685-1750)
                   Konzert für Violine, Streicher und Basso continuo d-Moll
                    Rekonstruktion nach dem Cembalokonzert BWV 1052

                  Anton Bruckner (1824-1896)
                   Symphonie Nr. 4 Es-Dur, „Romantische“
                    Fassung 1878-1880

                  すみません、本日は辛口・・・というより
                  私が疲れていて、まともに音楽を受容していなかった可能性もあるし
                  好みという事もあるかもしれないので
                  ともかく、読者の皆さまはまともに取らないように、という注意書きで

                  久し振りに凄まじいコンサートだった。

                  ウィーン交響楽団にレオニダス・カヴァコス。
                  前半はヨハン・セバスティアン・バッハの
                  チェンバロ協奏曲をレコンストレーションして
                  バイオリンのソロ+室内オーケストラ用に作ったもの。

                  おおお、カヴァコスが、金色っぽい光る素材の
                  襟のところがカッコいい上着に黒の細身のパンツ。

                  いつもの労働者的ブルーカラーから脱出(笑)

                  カヴァコスはバイオリンは巧い。

                  音は美しいし、正確だし、超絶技巧だし
                  オーケストラと一緒に演奏する時にはオーケストラに溶け込み
                  ソロになったら、もう、見事な音を紡ぎ出して
                  本当にこの人のバイオリン、素晴らしい。
                  アンコールのバッハの無伴奏も素晴らしい。

                  だからカヴァコス、悪いけどバイオリン弾くだけにしてくれ・・・

                  後半がブルックナーの交響曲4番「ロマンティック」
                  何となくイヤな予感はしていたのだが

                  指揮台の上に譜面なし。
                  おおおお、カヴァコス、暗譜で指揮か。すごいな。

                  ・・・・沈黙

                  カヴァコス・ファンの方は
                  どうぞここにてお引き取り下さい(本気)

                  私のような、ワケわからん素人に言われたくないだろうが

                  いったい、どこのシロウトが指揮台に乗ってるの?

                  カヴァコスが指揮法を勉強していないとは思えないのだが
                  上下に指揮棒振るだけなら、誰でも出来るぞ(出来ないかもしれない)
                  余計な部分でヘンにオーケストラに念押ししたりしてウザいし
                  拍子は完璧無視(上下に動かす指揮棒、時々、ちょっと横の動きも)

                  アインザッツもほとんど見えず
                  オーケストラの入りが乱れるし
                  アゴーギクもよくわからんので、オーケストラはますます乱れる。

                  まぁ、そこらへんウィーン交響楽団はプロ集団だから
                  どんな指揮であろうが、何とか曲はまとめてしまうワケで
                  一応、曲にはなっているけれど
                  ニュアンスも何もないし
                  (強弱は時々ある(笑))
                  アンサンブルが粗いし

                  第一、最初から最後まで
                  オーケストラ、緩みっぱなしじゃないの。
                  緊張感のカケラもない。
                  最初から最後まで、ヘンに空虚。

                  ホルンも頑張ってはいるけれど音外しがかなりあって
                  時々、いや、煩雑に
                  まとまらないオーケストラの音が拡散してしまう。

                  もうやだ、こんな悲惨なブルックナー(涙)

                  バイオリニストでもチェリストでも
                  あるいはピアノ、木管・金管、様々なプレイヤーで
                  その後、指揮者に転向する人は居るから
                  一概に転向はダメ、とは言わないけれど

                  カヴァコスはバイオリンがあまりに素晴らしいだけに
                  バイオリンに専念して欲しい(切望!!!)

                  ブルックナーでウィーンのオーケストラが
                  やる気ゼロの緩みきった
                  やっつけ感漂う演奏をするって
                  滅多に聴けるものではない(が、全然嬉しくない)

                  指揮台で、シロウト丸出し感の強い姿は
                  ちょっとコミカルで最初は、え?と思うものの
                  最初から最後まで同じ動きを延々と繰り返されると
                  指揮姿を拝見しても、モロに飽きてくる。

                  それに加えて
                  第2楽章始める前の、あの長い長い幕間や
                  (もったいぶってる?)
                  最終楽章が終わった後
                  指揮棒を挙げたまま、かなり長い間、下ろさずに
                  観客に静寂を強いたりとか

                  ヘタクソなのに偉そう。

                  カンチガイ感があまりに強過ぎて・・・

                  第1楽章でビックリして
                  第2楽章あたりから、だんだん飽きて来て
                  最後まで聴いたら、やっぱり良かったとか思うんじゃないか、と
                  最後まで聴いたけれど

                  最後まで聴いて、あまりの虚しさに愕然。

                  バイオリニストとしてのカヴァコスは大好きなので
                  こんな失礼な感想記を書いちゃうのも良心の呵責があるのだが
                  だからこそ、バイオリンに専念して欲しいと
                  心の底から思った私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  ・・・まぁ、ある意味、滅多に聴けないブルックナーではあったのだが
                  でも、でも、でも、やっぱり嬉しくない (ー ー;)



                  カプリッチオ 国立オペラ座

                  0
                    Wiener Staatsoper 2018年5月20日 19時〜21時30分

                    Richard Strauss
                    CAPRICCIO
                    Konversationsstück für Musik
                    Text von Richard Strauss und Clemens Krauss

                    指揮 Michael Boder
                    演出・舞台・照明 Marco Arturo Marelli
                    衣装 Dagmar Niefind
                    振付 Lukas Gaudernak

                    伯爵夫人 Anna Gabler
                    伯爵 Morten Frank Larsen
                    フラマン Michael Schade
                    オリヴィエ Adrian Eröd
                    ラ・ロッシュ Wolfgang Bankl
                    クレロン Angelika Kirchschlager
                    ムッシュ・トープ Peter Jelosits
                    イタリアの女性歌手 Daniela Fally
                    イタリアの男性歌手 Pavel Kolgatin
                    若い女性ダンサー Natalie Salazar
                    若い男性ダンサー Samuel Colombet
                    執事 Marcus Pelz
                    召使い Franz Gruber, Michael Wilder, Martin Müller, Hermann Thyringer
                    Wataru Sano, Oleg Zalytskiy, Burkhard Höft, Jens Musger
                    Orchester der Wiener Staatsoper
                    Wiener Staatsballett
                    トリオ バイオリン Daniel Froschauer チェロ Raphael Flieder
                    チェンバロ Kristin Okerlund

                    2日続けてのオペラ座でのオペラ鑑賞となったが
                    私が40年以上愛し続ける(笑)オペラ、カプリッチオ。
                    今シーズンも何回か上演されるのだが
                    残念ながら、他のものと重なってしまって
                    今回は今日の公演だけ。

                    オペラ座の無料の雑誌の中で
                    ミヒャエル・シャーデのインタビューがあったけれど
                    そこで、この演出の初演が2008年で、10年前、と言うのを読んで

                    ひええええええ
                    確かに10年前だわ・・・

                    このブログの前が消えてしまって記録がないのだが
                    2008年10月2日に5回目を鑑賞していて
                    全部数えると、今回が13回目。
                    オペラ座での上演回数が今回で16回だから
                    まぁ、ほとんど観て来た(皆勤賞ではないが(笑))事になる。

                    キャストはほとんど変わっていない。
                    オペラ座でのマドレーヌ役は、ずっとフレミングが歌って来て
                    今シーズンはミュンヒェン出身のアンナ・ガーブラーに変わった。

                    伯爵はマルクス・アイヒェが予定されていたのだが
                    病気でのキャンセルで、モルテン・フランク・ラルセンがジャンプ・イン。
                    (プログラムに別刷りの紙が入っていたので、本当に直前だったんだと思う)

                    さて、マドレーヌ役だが
                    う〜ん・・・・・・ (ーー;)

                    いや、この役、ともかく難しいので
                    一応、ドイツ語は比較的クリアに発音していて
                    音程も合っている、というだけで
                    満足すべきなのかもしれないけれど

                    華がない・・・

                    貴族の伯爵令嬢で
                    しかも若い未亡人で
                    作曲家と詩人に熱烈に片思いされている超美人
                    ・・・という役柄なんだけど

                    顔が怖くて、いつも睨まれているような感じ、というのはともかく
                    声の艶が今一つなくて
                    最後のモノローグ、いや、確かにものすごく大変なのはわかるけれど

                    ほとんど息切れしていて
                    1ワードごとに息継ぎしていたり、フレーズが切れたり
                    マジメにドイツ語の完璧な発音を目指して
                    一生懸命に歌っているのはわかる。
                    わかるんだけど、それがあまりに真剣で余裕がなくて
                    聴いていて
                    うわああああ、頑張ってるな、というのがミエミエで
                    ちょっと手に汗を握ってしまったりする。

                    ジャンプ・インしたラルセンは
                    ワタクシ的にイケメン・ナンバーワンの筈が
                    何ですか、そのメイクは・・・というメイクで
                    イケメンが完全に隠されてしまって
                    ワケのわからんコミカルなおじさんになっていたのが
                    実に残念(個人の好みですが)
                    以前にも歌っていた事があるし
                    コミカルな演技も
                    クレロン口説きもなかなかキマっていて
                    同時に、自分を色男と思っている
                    徹底的にスベった貴族のカンチガイお坊ちゃまの感じは良く出ていた。

                    シャーデとエロードは
                    ずっと歌いこんで来た常連メンバーなので
                    まぁ、この2人は、現時点では最高のフラマンとオリヴィエだろう。

                    キルヒシュラーガーのクレロンも
                    ツンケンのプライドの高さと
                    伯爵を手玉に取ろうとするズル賢さと
                    色気たっぷりの、実にイヤな女優を演じていて
                    この歌手も、10年経っても、全然変わらんな(笑)

                    ただ、今回、何がビックリして感激したかと言って

                    バンクルが歌ったラ・ロッシュ!!!!!!

                    もともとバンクルの声量って、ものすごいものがあって
                    他を圧倒するのだけれど

                    10年前にバンクルのラ・ロッシュを聴いた時には
                    まだ声が若くて
                    老練な劇場支配人の貫禄に追いついていなかったのが

                    今回は、ラ・ロッシュそのもの!!!
                    理想的なラ・ロッシュって、これじゃないか、という位
                    全体の中で圧倒的な存在感。

                    私の大好きなラ・ロッシュの
                    ものすごく長いモノローグの見事さと言ったら
                    ソプラノ歌手でなくても感激して泣きたくなる程で

                    いやもう、こんなラ・ロッシュを舞台で聴けるなんて
                    ああああ、生きてて良かった・・・(感涙)

                    10年待って声が熟した感じ。
                    圧倒的な声量に加えて、ラ・ロッシュの老獪さが滲み出ていて
                    あ〜、ラ・ロッシュ、本当に好き!!! ♡
                    若造の作曲家や詩人なんか、束になっても
                    この魅力にはかなわないわ(偏見)

                    間奏曲のホルンのソロも抜群。
                    最後のホルンのソロも抜群。

                    もちろん最初の室内楽部分も妙なる美しさ。
                    舞台上のトリオも実に素晴らしい。

                    同時にミヒャエル・ボーダーの指揮がものすごく巧かった。
                    この作品、8重唱とか
                    イタリア歌手のアリアの後に
                    被せて始まるというものすごく難しい部分とか
                    気を抜いていてちょっとでもズレると
                    完璧に音楽崩壊になる恐ろしい作品なのだが

                    ズレそうになっても
                    慌てず騒がず、巧くオーケストラを操ったのは大したものだ。

                    伯爵令嬢マドレーヌに色気がなかったのは残念だが
                    (その意味では、フレミングはドイツ語は酷かったけれど
                     貴族令嬢、しかも若い未亡人という雰囲気と
                     ムンムンする色気はあった)
                    キャストはしっかりしているし
                    音楽的にもしっかりまとまっていて
                    久し振りのカプリッチオ、堪能した。

                    2時間30分休憩なしというのは
                    トイレの近い女性(特に私みたいな年配女性)には
                    ちょっと辛いんだけど

                    ラ・ロッシュが圧倒的だし
                    (退場時のウンチクと、退場のシーンの演出がニクい程、キマっている。
                     大昔に一度だけ装置が動かなかった事はあったけれど
                     今日はタイミングまでバッチリだった)
                    オーケストラ、こういう曲だと張り切って
                    艶っぽい音色でバッチリ聴かせてくれるし
                    主要歌手はドイツ語もクリアで
                    聴いていて、本当に楽しい。

                    字幕は日本語もあって
                    まぁ、8重唱の時は字幕に全部出すのは無理だけど
                    (ドイツ語だって一部しか出てない)
                    ちゃんとストーリーもわかる、という話なので
                    このインテリな、オペラを廻るメタフィジカルなオペラ
                    絶対にオススメ。

                    難しいと思われる演出も
                    舞台も実に巧く作ってあるので
                    時間さえ合えば、何回でも観たいのだが

                    5月24日も27日も
                    夜は別の予定が入っているし

                    来シーズンはカプリッチオの上演はないので
                    また、当分の間、観られないと思うと
                    ものすごく残念なような
                    もうこれ以上観なくても良いだろう、と思う気持ちと
                    複雑に絡み合っている私に
                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                    ドン・パスクワーレ

                    0
                      Wiener Staatsoper 2018年5月19日 19時30分〜22時

                      Gaetano Donizetti
                      DON PASQUALE
                      Dramma buffo in drei Akten
                      Text von Giovanni Ruffini und Gaetano Donizetti

                      指揮 Frédéric Chaslin
                      演出 Irina Brook
                      舞台 Noëlle Ginefri-Corbel
                      衣装 Sylvie Martin-Hyszka
                      照明 Arnaud Jung
                      振付 Martin Buczko

                      ドン・パスクワーレ Roberto De Candia
                      エルネスト Antonio Siragusa
                      マラテスタ Adam Plachetka
                      ノリーナ Danielle de Niese
                      公証人 Wolfram Igor Derntl
                      バトラー Eduard Wesener, Tobias Huemer
                      家政婦 Waltraud Barton

                      Orchester der Wiener Staatsoper
                      Chor der Wiener Staatsoper
                      Bühnenorchester der Wiener Staatsoper
                      トランペット Gerhard Berndl

                      滅多にオペラには行かない私だが
                      友人もウィーンに来た事だし
                      ドン・パスクワーレなら愉快な筈だし
                      舞台半分見えないけれど、まぁ、それ程高くない席もあったので
                      久し振りにバレエ以外の演目でオペラ座に行った。

                      オーケストラ・ピットを見たら
                      管楽器が、いつもと反対側の上手(かみて)に居て
                      安い席なので、下手(しもて)は見えないが
                      どうも下手(しもて)には弦楽器があったらしい。

                      さてドニゼッティのドン・パスクワーレ。
                      序曲の時から舞台は開いていて
                      舞台上にはバーのレイアウト。

                      ドン・パスクワーレのロベルト・ディ・カンディアは
                      日本でも歌っているようだ。
                      プロフィールの写真に載っているよりも
                      若々しくて
                      (いや、本当はあの役、70歳だから若くてはいけないのだが)
                      コミカルな演技がとても巧い。

                      バリトンの声はよく通って
                      あまり低めではないので
                      本来はこういう年寄り役向きではないのかもしれないが
                      さりげない演技が巧くて、よく役にハマっていた。

                      ノリーナのダニエル・デ・ニース
                      オーストラリア出身のエキゾチックな容姿のソプラノ歌手。

                      まぁ、この人が魅力的 ♡
                      コロコロ変わる表情と、軽い動きとフットワークで
                      修道院出の清らかな乙女が
                      悪女に豹変するのが、これまたキュート。

                      悪妻になったノリーナの後半部分は
                      舞台装置は変わっていないのだが
                      椅子や床や、バーのカウンターの上の置物とか
                      全部、ショッキング・ピンクになっている。

                      バーカウンターのショッキング・ピンクの馬の置物、可愛い(笑)
                      いったい何処で、ああいう悪趣味な・・・
                      いや、ちょっと変わった小物を見つけてくるんだろ。

                      エルネスト役のシラグーサも、ちゃんと声は出ているし
                      高音が一部弱いところはあっても
                      見た目もイケメンだし、役に合ってるし
                      演技も出来るし、ちゃんと声も出ていて素晴らしい。

                      まぁ、こういう演目だから
                      演出が極端にコミカルで
                      類型的に漫画っぽくて
                      良い意味でも悪い意味でも
                      場末の芝居小屋・・・みたいな安っぽい感じがするのは否めないが

                      でもこのドン・パスクワーレって
                      そこまで極端に芝居小屋っぽい演出にしないと
                      ストーリーがあまりに残酷すぎるというのはある。
                      (70歳老人に詐欺を働く話だからな・・・)

                      でもイタリア語の早口言葉の応酬みたいな
                      楽しいデュエットもあったし
                      ドニゼッティってやっぱり面白い。

                      たまに、こういうオペラ・ブッフォを観に行くのも
                      悪くないな、と思っている私に
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