バランシン・ノイマイヤー・ロビンス 今シーズン2回目と3回目

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    Wiener Staatsballett 2018年3月23日 19時30分〜21時45分
    Wiener Staatsballett 2018年3月26日 19時30分〜21時45分

    BLANCINE / NEUMEIER / ROBBINS
    指揮 Simon Hewett

    STRAVINSKY VIOLIN CONCERTO
    振付 George Balancine
    音楽 Igor Strawinski, Konzert in D für Violine und Orchester
    照明 Ronald Bates
    バイオリン・ソロ Rainer Honeck
    Olga Seina, Nina Polákova
    Roman Lazik, Masayu Kimoto

    THEMA UND VARIATION
    振付 George Balancine
    音楽 Peter Iljitsch Tschaikowski, Orchestersuite Nr. 3 G-Dur op. 55, 4. Satz
    衣装 Christian Lacroix
    Kiyoka Hashimoto, Jakob Feyferlik
    Elena Bottaro, Adele Fiocchi, Anita Manolova, Rikako Shibamoto

    BACH SUITE III
    振付・衣装 John Neumeier
    音楽 Johann Sebastian Bach, Orchestersuite Nr. 3 D-Dur BMW 1068
    Olga Esina - Vladimir Shishov
    Fiona McGee - Richard Szabó

    THE CONCERT OR, THE PERILS OF EVERYBODY
    振付 Jerome Robbins
    音楽 Frédéric Chopin, Polonaise A-Dur Nr. 1 op. 40,
    Berceuse Des-Dur op. 57, Prélude f-Moll Nr. 18 und
    Prélude b-Moll Nr. 16 op. 28, False e-Moll Nr. 14, Prélude A-Dur Nr. 7 op. 28
    Mazurka G-Dur Nr. 50, Prélude e-Moll Nr. 4 op. 28,
    Ballade As-Dur Nr. 3 op. 47
    オーケストレーション Clare Grundman
    舞台 Saul Steinberg
    衣装 Holly Hynes nach Irene Sharaff
    照明 Ronald Bates
    ピアノ Igor Zapravdin
    バレリーナ Maria Yakovleva
    既婚男性 Eno Peci
    既婚女性 Franziska Wallner-Hollinek
    恥ずかしがりの若い男性 Arne Vandervelde
    エネルギッシュな女性 Fiona McGee
    男性 Igor Milos
    2人目の男性 Gabor Oberegger
    2人の若い女性 Natalya Butchko, Anna Shepelyeva
    案内人 Marcin Dempc

    Wiener Staatsballett
    Studierende der Ballettakademie der Wiener Staatsoper
    Orchester der Wiener Staatsoper

    すみません、手抜きしてます (^_^;)

    実は3月23日と26日、両方行っているのだが
    ワキのダンサーに多少の変更があったかもしれないが
    メインのダンサーは同じなので
    まとめて1つの記事にする事にした。

    でないと私も繰り返しばかりになっちゃうし
    読者も退屈するだろうし・・・

    このプログラムは今シーズン
    あと2回上演が予定されていて
    うっふっふ、あと2回分もチケットは確保している (^^)v

    今回のストラヴィンスキー・バイオリン・コンチェルトのソロは
    ホーネックさん。

    音が透き通って美しい上に
    リズムの確かさとボウイングの安定さが抜群で
    このネオ・クラシックの不思議なリズムの曲が素晴らしい。

    バランシンにしてはモダンな作品なので
    一般ウケはあまりしないと思うが。

    今回はオルガさまとローマン
    ニナ(ポラコヴァ)と木本クンという
    プリンシパル・ダンサーがソリストに立った。
    (他にもダンサー出るけど、面倒なので書き出すのは止めた。ごめんなさい)

    オルガさまのサドっぽい目つきに加えて
    オルガさまの海老反りが観られる演目なんて
    これしかありません!!!

    いやもう、すごいです、あの海老反り移動は。
    読者諸氏は想像がつかないだろうが
    背中アーチのまま横に移動するシーンがあるのだ。

    しかもまぁ、その動きの美しさと言ったら・・・
    あんな動き、普通の人じゃ出来ないし
    出来たとしても無様な動きになるだろう。

    バレエ・ダンサーってスゴイな・・・

    ニナ(ポラコヴァ)はモダンが巧い。
    活き活きしているのもあるけれど
    まとわりつくような柔軟な身体のラインが美しい。

    で、ニナ(ポラコヴァ)のパートナーの木本クンが
    これまた柔らかで優雅な動きを
    抜群の安定性で見せてくれるので、客席で悶絶する。

    テーマとヴァリエーションには
    清香ちゃんとヤコブの登場。
    ヤコブの役デビューは3月23日。

    清香ちゃんの完璧なクラシックのテクニックには魅了される。
    上品なスタイルに見事なバランスで、美しい。

    ヤコブの身体のライン、もう、本当にキレイでうっとりする。
    ピルエットの多少の不安定感も
    2回目のパーフォーマンスではぐっと良くなって来ていて
    超絶技巧の技にも、少しづつ余裕が見えて来たのが嬉しい。

    バッハ組曲はオルガさまとシショフ
    リッチーと新人のフィオーナの組み合わせ。

    オルガさまとシショフのカップリングの2楽章の素晴らしさを
    何と言って良いのか、よくわからん。
    日本だと G線上のアリアで知られるメロディに乗せて
    2人のダンサーの動きや絡みの美しさが
    ううううう、スゴイんですよ、これ。

    多少アクロバチックな動きも多いのだが
    アクロバットに感じさせない。
    一つ一つの動きに、深く秘められた意味が見えて
    ノイマイヤーの作品の魅力爆発。

    音楽と舞踏というコミュニケーション表現が
    それぞれの特徴を最大限に発揮しているって感じかなぁ。
    抽象的表現も多いのだが
    ダンスという表現そのものが
    言語化せず、直接語りかけてくるという不思議な体験が出来る。

    最後の THE CONCERT は
    何回観ても面白い! 面白すぎる!!

    エノの演技がコミカルで爆笑できるし
    マーシャのバレリーナが実にキュート。

    気弱な男性とバレリーナとのパ・ド・ドゥは
    コミカルに見せなければならない分
    不安定でかなり難しいと思うのだが
    それを感じさせない面白さで、モロに笑える。

    この気弱な男性が
    エノの奥さん(フランツィスカがやっていて、むちゃすごい演技力!)に
    ギロッと睨まれて、椅子を移動していくシーン。
    言語化できないのがもどかしいのだが
    (バレエの筋力で持って、椅子を乗り越えるのである!)
    も〜、カワイイの何のって、胸キュン。

    フランツィスカの怖い奥さんが
    またスゴイ存在感で
    この、スゴイ怖い奥さんがリアルに演技される事で
    実はスケベ・オヤジだが恐妻家というエノの役どころが活きる。

    いつ観ても面白くて笑える、という演目があるのは楽しい。
    何回観ても、いつも爆笑してしまう。

    というワケで目一杯楽しんだ演目で
    あとはイースター後までナイト・ライフはない・・・予定(笑)

    ちょっとサボりが続くけれど
    またイースター後は
    コンサートやバレエやその他に頑張ろうと思っている私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    プリンシパルのローマンのプロモーション・ビデオがアップされたが
    3分の間に、ローマンが踊ったほとんどの演目が出ている!!!
    (マイヤーリンクの迫真の演技もあり!!!)
    ローマンのファンとしては嬉しい。
    シーンの上に、作品名と振付師の名前が出るのも親切!!!
    ぜひご覧あれ!!! ❤





    魔笛 シェーンブルン宮廷劇場(ウィーン音大)

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      Schönbrunner Schlosstheater 2018年3月24日 19時〜21時50分

      Die Zauberflöte
      W.A. Mozart
      指揮 Peter Marschik
      演出 Beverly Blankenship
      舞台 Erich Uiberlacker
      衣装 Gertrude Rindler-Schanti
      オーケストラ Webern Symphonie Orchester

      タミーノ Martin Lechleitner
      パミーナ Minami Matsubara/Anna Quadrátvá
      パパゲーノ Jonathan Scheckner
      パパゲーナ Julia Johanna Duscher
      ザラストロ Ricardo Martinez Bojorquez
      夜の女王 Midori Uematxu
      3人の侍女 Yuhyun Jeon, Mila Janevska, Nefeli Kotseli
      3人の少年 Marina Margaritta Auer, Mirna Markovic, Therese Troyer
      語り手 Davío Ólafsson
      モノスタートス Vladimir Cabak
      門番 Changyun Jeong, Valention Voith
      3人の奴隷 Marie-Sophie Janke, Miriam Kutrowatz, Tabea Mitterbauer

      記録を書くのが遅れてしまったが
      シェーンブルン宮殿の宮廷劇場でのオペラ鑑賞。

      シェーンブルン宮殿宮廷劇場は
      正門入って右手、建物沿いに歩いて角のところにある劇場で
      マリア・テレジア時代に
      ハプスブルク家の子供たちが演劇や音楽を披露した場所。

      一時、夏のオペラやオペレッタを上演していたが
      (で、夏はものすご〜〜〜く中が暑かった・・・)
      現在はウィーン音楽大学の管轄下にある。

      泣く子も黙るウィーン音楽大学(笑)
      世界中から才能溢れた音楽家の卵たちが
      難しい入学試験を受けに大挙してやってくる中で
      ものすご〜く難しい入学試験にパスして入学し
      ほとんど半分プロの活動をしながら学んでいる人たちの
      オペラ上演である。

      学生オペラと侮るなかれ。
      チケットはもちろん無料ではない。
      出演する学生の関係者が多いとは言え
      それでもほとんどチケットは売り切れである。
      (もちろん、宮廷劇場のキャパシティはそれほど大きくはないが)

      たまたま、何かの告知で見て
      あら、空いてるわ。
      楽しそうだし、あの宮廷劇場、小ぶりで実は好き。

      開演前にキャスト変更だか何だかのアナウンスが入ったけれど
      すみません、あまり明確にはわかりませんでした(汗)
      プログラムは買ったけれど
      主要な役は全部トリプル・キャストになっていて
      日によって出演者が違う。

      タミーナなんだけど
      この日に出演する予定のヨーロッパの歌い手じゃなくて
      絶対に日本人ないしはアジア人の
      小柄で演技力抜群で、しかも見事なドラマチック・ソプラノが歌ったので
      上記の書き出しには2人とも名前を書いておいた(よくわからないので)
      他にも変更とかあるかもしれない。

      舞台は簡素だがモダン。
      衣装は、女性陣はかなり派手。
      パパゲーノのコスチュームはコミックから抜け出たみたいで可愛い。
      タミーノは、灰色の地味な背広っぽい衣装。
      ザラストロや、その部下の語り手は
      白い長いマントを着て
      何だか非常に妖しげな医者っぽい雰囲気。

      ザラストロの聖なる場所には
      胸のところにバッテンつけて
      顔も腕も傷だらけの奴隷が何人もいるし。

      吸血鬼を模して、口から血を垂らした
      黒いドレスの3人の侍女は、パッと目立ってチャーミング。
      吸血鬼なので、ちょっとコワイ。

      タミーノは・・・
      灰色の背広っぽい衣装で
      しかも背が高くてヒョロっとした感じの「お坊っちゃま」
      うはははは、お坊っちゃまの王子さまか。
      でも最初から蛇に負ける情けない役だから、タイプは合ってる。

      3人の侍女に比べると
      群を抜いて背が高かったタミーノも

      従者(語り手)とザラストロの2人が
      ・・・背が高すぎる!!!
      舞台の配置の関係かなんかで、錯覚させられているのか
      と思わせるほどに
      語り手とザラストロの背が高い。
      1メートル90センチくらいに見える。
      しかも太ってない。

      その規格外に大きな2人が並んで
      朗々としたバスとバリトンでアリア歌われると
      白いマントと黒のヒゲのメイクもあって
      その圧迫感が中途半端じゃない。

      しかもザラストロの宮殿内では
      奴隷やモノスタートスに、毎日暴力が振るわれているんじゃないだろうか
      ・・・という事を感じさせる演出。

      夜の女王は、伝統的に夜の女王らしい衣装に
      おどろおどろしいカツラで登場。

      いや〜、コロラチューラの聴かせどころは見事なのだが
      歌ってる時に、夜の女王に照明当てようよ〜。
      せっかく、あんなド目立つアリアを歌いながら
      舞台にスポット照明がなくて
      姿が埋もれているのは、非常に残念。

      いやしかし、演出家が意図したものかどうかは不明だが
      ザラストロ・エリアの暴力性が
      かなりスゴイ事になっている。

      ザラストロが正義の味方・・・とはどうしても思えない。
      妖しげな新興宗教の教祖に見える。

      だいたいこのストーリー
      他人の娘を勝手に攫って来て教育しようという
      どう考えても犯罪的なスケベ・おやぢの話じゃないのか。
      (誤解があったらお許し下さい)

      キュートなパパゲーノがむちゃ可愛くて
      マジメなタミーノは
      マジメだけど、マジメなだけ、という
      くそつまらん人格になっていて

      タミーナは暴力ザラストロにいたぶられる
      いたいけな少女にしか見えない。

      なんかこう、自分の中の妖しげな被虐性に
      ガンガン刺激が入ってくる恐ろしい演出である(誤解あり)

      ハッピー・エンドなんだか、よくわからない。
      ストーリーの核のところを
      とんでもなく奇妙にやってしまう、という
      奇を衒った演出ではなく
      それなりにストーリーを生かしながらの演出なのだが

      やっぱり、なんかこの歌芝居
      異様な妖しさがあって
      もろに○ドに見えるザラストロが、なんともコワイ。

      若い歌手(すでに舞台で活躍している人も多い)と
      若いオーケストラと
      素晴らしい熱気+雰囲気で
      モーツァルトなのに寝落ちする事もなく
      最初から最後まで
      その、あまりの妖しげなところに夢中になりながら鑑賞してしまった。

      次の公演は7月12日〜15日だが
      演目がコシ・ファン・トゥッテ。
      芸術監督がミヒャエル・シャーデとあるので
      ちょっとギョッとしたが
      いや、シャーデが芸術監督でも
      歌わないんだったら別に興味ないし・・・(すみません)
      コシ・ファン・トゥッテ、無駄に長いしなぁ・・・

      でも、このウィーン音楽大学の催物
      他にも無料のリーダー・アーベントとかもあるし
      (詳細は ここ)
      時間が合ったら、時々行こうかしら

      無料でも楽しめるものがある、と考えると
      ちょっとワクワクしてしまう
      貧乏性の私に
      どうぞ1クリックをお恵み下さい。


      ウィーン交響楽団 + ヤクブ・フルシャ

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        Musikverein Großer Saal 2018年3月22日 19時30分〜21時50分

        Wiener Symphoniker
        指揮 Jakub Hrůša
        ピアノ Leif Ove Andsnes

        Felix Mendelssohn Bartholdy (1809-1847)
         Ouvertüre „Meeresstille und glückliche Fahrt“, op. 27

        Benjamin Britten (1913-1976)
         Konzert für Klavier und Orchester D-Dur, op. 13

        Johannes Brahms (1833-1897)
         Symphonie Nr. 4 e-Moll, op. 98

        ヤクブ・フルシャが指揮台に立って
        アンスネスがブリテンのピアノ協奏曲。
        しかも後半はブラームスの交響曲4番。

        実は何も期待していなかった(すみません)
        ベンジャミン・ブリテンの音楽に関しては
        まだワタクシ的には扉が開き切っておらず
        どうも、あんまり好きというワケではないし

        若い指揮者で何を好き好んで
        ブラームス晩年の名曲、交響曲4番を・・・
        という偏見たっぷりのワタシ。

        昨日のコンサートのチケットを
        本日のコンサートの同じクラスのチケットに代えてもらったのだが
        私の愛用席ではなくて、違う席になった。

        ちょっと理由ありでギリギリに飛び込んだら
        あれ、私の席に身なりの汚いオヂサンが座ってる。

        ・・・けど、超貧民席ガラガラだから
        なら、いつもの席に近いところに座ろう(笑)

        さて36歳の若きチェコの指揮者だが
        メガネ男子のイケメン (^^)

        アタッシュケースとか持って歩いていたら
        どこかの銀行とか、官僚の超エリートにしか見えない。

        最初のメンデルスゾーンから
        細かい部分まで拘って鳴らしているな、という感じ。

        で、ブリテンのピアノ協奏曲って
        初めて聴きます(すみません無知で・・・)

        バルトークやストラヴィンスキー、あるいはショスタコーヴィッチの影響を受けた
        パーカッシブな25歳の頃の初期作品で
        作曲家自身がピアノを弾いて1938年に BBC Proms の前身のコンサートで初演。

        ピアニストのアンスネスも
        ウィーンではあまり頻繁には聴かないピアニストだし
        1度以前に聴いた時には、そんなに強烈な印象はなかったので
        本当に何も期待していなかった・・・・のに

        何これ びっくり
        すごい作品だし、面白いし、大衆ウケの要素がバッチリ入ってる。
        ブラボーのギャランティあり、という感じのヴィルトゥオーゾ的作品。

        それに・・・アンスネスの音って、あんなに「立って」たの?!
        オーケストラに沈まず、バリバリ出てくるし
        タッチが美しくて
        ピアノという楽器の持っている多様性が
        余すところなく鮮やかな音色で出てくるし

        第一、この曲、どこまでカッコいい曲!!!
        メロディのバリエーションが豊かで
        全然飽きさせないし、ウケにウケるイタズラ心が一杯で
        いや〜ん、こういう名曲
        何でウィーンで滅多に演奏されないの?!

        席は変わっても超貧民席だから
        イケメンと言われるピアニストのお姿は拝見できないが
        いや、もう、驚いたの何の。

        で、こういう超弩級のプログラムで腰が抜けた後
        後半がブラームスの交響曲4番。
        よりにもよって名曲アワー、しかも若い指揮者。

        全然期待してませんでした(こらこらこら)

        フルシャ、指揮台に乗って
        指揮棒を振ろうともせずに
        会場が静かになるのを待っている。

        ・・・あのあの、ここ、日本じゃないですから。
        楽友協会が完璧に静かになるって、絶対有り得ない。

        誰かが必ず椅子を軋ませるし、すごい音でガッタンと動かすし
        (椅子はかなりの場所で固定されていない)
        5秒から10秒の間に
        (大)声を伴った咳込みが、少なくとも複数人数であるし。

        まぁ、ある程度のところで諦めたみたいで
        振り下ろした指揮棒で出たオーケストラの音。

        何、この厚みのある音は・・・・

        いや、ブラームス、オーケストラの音符の数は非常に多いのだが
        こんなに音符の数、多かったっけ?というくらい
        ゴージャスなオーケストレーションに聴こえてくる。

        だからと言って、ぼってり感があったり
        音が濁って団子になっているわけではなく

        ちゃんと全部の音は鳴っているのに
        焦点は合ってるし
        厚みのある音響を、かなりの音量で演奏しているのに
        バランスが抜群に良い。

        それに何だか
        オーケストラが本気になって演奏してる(ような気がする)
        いや、いつも本気ではあるんだろうけれど
        指揮者や曲によっては、かなり緩んだ音がする事のある
        ウィーン交響楽団が、なんか、マジに本気出してる。

        劇的なドラマツルギーで
        枯れた晩年のブラームスとかの憂鬱さは全く感じない。
        だからと言って、変に空回りの元気というのではない。

        う〜、この指揮者、ものすごいスコア・リーディングしてないか?
        出したい音のイメージが、ものすごくクリアに入っているような印象。

        だから音に迷いがない。
        ドラマツルギーに、有無を言わせない説得力がある。

        第2楽章の最初のホルンのソロ!!!!!
        ああああああああああっ、何と美しい!!!!
        悶絶モノの美しさ。
        絡まってくる木管の音も
        ドラマチックで美しく、弦のピチカートも素晴らしい。

        第1楽章と同じようにドラマチックな音楽を聴かせるけれど
        それが大袈裟にならず
        ウケ狙いの奇抜さも全くなく
        あくまでも誠実にクラシックの伝統を守っているのに
        オーケストラの織りなすダイナミックが、ものすごく魅力的。

        ここまでドラマチックにやると
        第3楽章が重くなったらイヤだな、と思っていたら
        これは徹底的に重くしないで演奏した。
        う〜ん、この指揮者、只者じゃないぞ。

        最終楽章の始まる前に
        やっぱり指揮台で、ず〜っと会場が静かになるのを待っていて
        あまりに静かにならないので、ちょっと振り返ったりしていたが

        だから楽友協会で会場の静寂なんてあり得ませんから!!!

        案の定、あまりに音楽が始まらないので
        今度はあちこちで、ご年配の方々が
        あら、どうしたんでしょうね?とか、ヒソヒソ声で喋り出すし・・・

        それでもまぁ、ある程度のところで指揮棒を振り上げる。
        最終楽章の冒頭なんて、別にピアニッシモじゃないんだから
        多少の会場の雑音(椅子のガタガタ+咳き込み)は我慢して下さいませ。

        いやぁ、この最終楽章も見事なドラマツルギー。

        この曲聴きながら
        アドルノの絶対音楽と音楽の自律性の話を思い出していたのだが
        ブラームス(絶対音楽)対 ワーグナー(プログラム音楽)って
        全く意味のない分類じゃないのだろうか?

        ブラームスの交響曲を
        ここまでストーリーを持った劇的な音楽として演奏してしまうと
        ワーグナーばりのプログラムが聴衆に見えてしまう。

        具体的なストーリーではないにせよ
        自然の営みとか、風とか水面とか、山々とか天気とか
        場合によっては家の中の暖かさとか
        脳内妄想には違いないが
        音楽から、しっかりストーリーとして読み取れる。

        これのどこが絶対音楽だって???
        アドルノってアホじゃないの(とは言いません、口が裂けても(笑))

        いやまぁ、見事にブラームスのドラマを
        この上ない説得力を持って描いたものだ。

        そりゃ、まだ若いだけに
        晩年の枯れた哲学的な諦観は見えないけれど
        だいたい、音楽に哲学的諦観がある、なんて考える方がヘン○イなのだ。
        (私は精神性とか、全くわからない人間なので
         よほどの事がない限りは、演奏の深みとか感じません)

        こんな「名曲」を
        ここまで徹底的にドラマにして
        スレた聴衆を飽きさせないなんて・・・
        あ〜、びっくりした。

        期待値ゼロだっただけに(すみません)
        ちょっと・・・いや、ものすごく驚いた。
        オーケストラが本気だったのも好感が持てたし
        あそこまで劇的に演奏しても
        やけっぱちになっていなかったというのも刮目に値する。

        3月に夏学期が始まったばかりの大学は
        来週はイースター休暇で2週間休み。

        とんでもないゼミを取ってしまったので
        19世紀の古い文献を山ほど読むチャンスに恵まれ
        (註 すみません、まだ読んでません・・・(冷汗))

        もともと文学系じゃないので(外国語学部の言語学専攻)
        この機会に、文学系をばっちりマスターしてしまおうと
        他の人から見たら
        完全に無意味で無駄な決心をしている私に
        どうぞ1クリックをお恵み下さい。



        この間のゼミ発表で選んだ文献が
        昔のドイツ語の亀の子文字で、解読にえらく苦労したのだが

        その後の文献を調べていたら
        それ以降の発表のテーマの文献って

        ・・・全部、普通の文字じゃないの!!!!

        何が悲しゅうて、亀の子文字と10日間格闘したんだか・・・(ため息)

        バランシン・ノイマイヤー・ロビンス 今シーズン1回目

        0
          Wiener Staatsballett 2018年3月21日 19時30分〜21時45分

          BLANCINE / NEUMEIER / ROBBINS
          指揮 Simon Hewett

          STRAVINSKY VIOLIN CONCERTO
          振付 George Balancine
          音楽 Igor Strawinski, Konzert in D für Violine und Orchester
          照明 Ronald Bates
          バイオリン・ソロ Albena Danailova
          Ketevan Papava, Liudmila Konovalova
          Eno Peci, Mihail Sosnovschi
          Natalya Butschko, Sveva Gargiulo, Anita Manolova, Fiona McGee,
          Isabella Lucia Severi, Anna Shepelyeva, Franziska Wallner-Hollinek,
          Beater Wiedner ; Nicola Barbarossa, Marat Davletshin, Martin Dempc,
          Trevor Hayden, Richard Szabó, Dumitru Taran, Arne Vandervelde,
          Jaimy van Ovreen

          THEMA UND VARIATION
          振付 George Balancine
          音楽 Peter Iljitsch Tschaikowski, Orchestersuite Nr. 3 G-Dur op. 55, 4. Satz
          衣装 Christian Lacroix
          Kiyoka Hashimoto, Masayu Kimoto
          Elena Bottaro, Adele Fiocchi, Anita Manolova, Rikako Shibamoto
          Leonardo Basílio, Francesco Costa, Marcin Dempc, Andrey Teterin
          Vanessza Csonka, Gala Jovanovic, Oxana Kiyanenko, Zsófia Laczkó,
          Katharina Miffek, Suzan Oppermann, Xi Qu, Iulia Tcaciuc,
          Marat Davletshin, Marian Furnica, Trevor Hayden, Igor Milos,
          Hanno Operman, Kamil Pavelka, Zsolt Török, Arne Vandervelde

          BACH SUITE III
          振付・衣装 John Neumeier
          音楽 Johann Sebastian Bach, Orchestersuite Nr. 3 D-Dur BMW 1068
          Maria Yakovleva - Roman Lazik
          Nikisha Fogo - Richard Szabó
          Ioanna Avraam - Leonardo Basílio, Alice Firenze - Dumitru Taran
          Anita Manolova - Francesco Costa

          THE CONCERT OR, THE PERILS OF EVERYBODY
          振付 Jerome Robbins
          音楽 Frédéric Chopin, Polonaise A-Dur Nr. 1 op. 40,
          Berceuse Des-Dur op. 57, Prélude f-Moll Nr. 18 und
          Prélude b-Moll Nr. 16 op. 28, False e-Moll Nr. 14, Prélude A-Dur Nr. 7 op. 28
          Mazurka G-Dur Nr. 50, Prélude e-Moll Nr. 4 op. 28,
          Ballade As-Dur Nr. 3 op. 47
          オーケストレーション Clare Grundman
          舞台 Saul Steinberg
          衣装 Holly Hynes nach Irene Sharaff
          照明 Ronald Bates
          ピアノ Igor Zapravdin
          バレリーナ Maria Yakovleva
          既婚男性 Eno Peci
          既婚女性 Franziska Wallner-Hollinek
          恥ずかしがりの若い男性 Arne Vandervelde
          エネルギッシュな女性 Fiona McGee
          男性 Igor Milos
          2人目の男性 Gabor Oberegger
          2人の若い女性 Natalya Butchko, Anna Shepelyeva
          案内人 Marcin Dempc
          Elena Bottaro, Marie Breuilles, Sveva Gargiulo, Xi Qu,
          Alaia Rogers-Maman, Nicola Barbarossa, Marat Devletshin,
          Trevor Hayden, Kamil Pavelka, Zsolt Török, Jaimy van Ovreem

          Wiener Staatsballett
          Studierende der Ballettakademie der Wiener Staatsoper
          Orchester der Wiener Staatsoper

          バランシン・ノイマイヤー・ロビンスは
          今回が6回目の公演。
          今シーズン1回目の先週の公演は
          ミュンヒェン・フィルとバッティングして行けなかった。

          バランシン・ロビンスのコンビネーションは2012年に4回見たが
          バランシン・ノイマイヤー・ロビンスは仲々行けなかったので
          1回しか鑑賞していないようだ。
          同じく2012年の話である。

          ううう、やっと6年後に2回目鑑賞・・・

          まずは動画をご覧下さい(プロモーション・ビデオ)



          実はロビンスの THE CONCERT が好き過ぎて困っている。
          だって、本当に面白いんだも〜ん。
          ギャグはわかっているけれど、何回見ても爆笑できる。

          ストラヴィンスキーのバイオリン・コンチェルトは
          コンサート・ミストレスのダナイローヴァのソロで
          これ、ワタクシ的には大好きな曲なのだが

          ずっと客席で(あるいは後ろの立ち見席か)
          ヒソヒソ声で喋っている人が何人も居る。
          こらっ!!!バレエだからと言って喋るんじゃないっ!!!
          しっかり国立歌劇場管弦楽団
          つまりは、ウィーン・フィルさまさまが直々に演奏なさっているのに。

          バランシンの作品の中でも
          モダンの傾向が強い作品で
          もちろんストーリーはないが
          ソロのリュドミラとミーシャ、ケテヴァンとエノの
          素晴らしいダンスに
          コールドの見事なフォーメーションが見られるのに。

          ケテヴァンとエノも、もちろん抜群の相性だが
          リュドミラとミーシャのソロが、まぁ、見事。

          しかし・・・・おしゃべりがうるさい!!!

          テーマとヴァリエーションは
          同じくバランシンだが、これはクラシック色が強い。

          清香ちゃんと木本クン!!!!!!!!!
          クラシック・バリエーションを踊らせたら
          このバレエ団の中でも、最強の2人。

          清香ちゃんのバレエは
          最近、どんどん良くなって
          完璧な技術の上に、芸術表現が乗って
          純粋で明るいオーラがバッチリ飛んでくるし

          木本クンの身体のラインの美しい事と言ったら
          本当に、あんなにノーブルなダンスを踊る
          八頭身で、バランスの良い身体を持ったダンサー
          ヨーロッパだって珍しい。

          ノイマイヤーのバッハ組曲は
          唖然とする程に美しい作品。
          これもアブストラクトだけれど
          簡素な舞台と衣装での表現の美しさは筆舌に尽くしがたい。

          マリアとローマンの美しいカップルに加えて
          ニキーシャとリッチーのセカンド・カップルが素晴らしい。

          ニキーシャはモダンを踊らせると
          抜群のバランス感覚で見事だし
          リッチーのキレのあるダンスも爽快。

          ノイマイヤーにかかると
          バッハの音楽の音符がダンサーと化し
          しかも雄弁に語りかけてくるのだが
          その語りは、バレエ以外の手段で表現できない語りなので
          もう、この作品については
          見て下さい、という他に何も言えないのだ。

          最後の大・大・大・大好きなロビンスのコンサート。
          ピアニストのイゴールは芝居っけタップリで
          徹底的に笑わせてくれるし

          既婚男性役のエノのコミカルな演技は
          何回見ても、むちゃ面白い。

          バレリーナを演じたマリアが
          これまた、こまっしゃくれて可愛くて
          演技が巧くて、悶絶する。

          実は今日の公演、鑑賞予定はもともとなくて
          チクルスで持っていた楽友協会のコンサートに行く予定だったのだが
          先週の公演を逃した事もあって
          楽友協会のコンサートは、何とか次の日のチケットに代えてもらい

          でも、この公演のチケットは
          いつもの超貧民席は当然の事ながら、とっくに売り切れで

          しかたなくギャラリーの
          比較的値段の高い、舞台が見える席を買ったのだが

          まさか最初から最後まで
          ず〜〜〜っとお喋りしている人が何人も居るとは思ってなかった(涙)
          (いや、最後のロビンスで笑うと言うのはわかるのでかまわないけれど
           ストラヴィンスキーとチャイコフスキーとバッハで
           ずっと後ろからヒソヒソ声が絶え間なく聞こえて来るというのは
           拷問に近い・・・・)

          それでなくても、最初の1時間くらいは
          座席から乗り出している人が何人か居て
          (後ろの席の人は何も見えなくなる)
          ま〜、いったい、こういう人たちって
          どんな教育を受けて居るんだろう (ぷんぷん)

          この演目、あと4公演あって
          これは超貧民席は押さえてあるから
          少なくとも、お喋り声には煩わせられる事はない、と思うと
          ちょっと嬉しい私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。


          ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー + パーヴォ・ヤルヴィ

          0
            Musikverein Grosser Saal 2018年3月20日 19時30分〜21時40分

            Die Deutsche Kammerphilharmonie Bremen
            指揮 Paavo Jarvi
            バイオリン Christian Tetzlaff

            Franz Schubert (1797-1828)
             Symphonie Nr. 5 B-Dur, D 485

            Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
             Konzert fuer Violine und Orchester D-Dur, KV 211

            Joseph Haydn (1732-1809)
             Symphonie G-Dur, Hob.I:100 "Militaer-Symphonie"

            アンコール Wolfgang Amadeus Mozart : Rondo C-Dur, KV 373
            Hugo Alfven

            楽友協会のアンコールのところに
            最後にオーケストラが演奏した
            ものすごく楽しい曲が記載されている・・・のに
            何故かデザインの関係で、作曲者名だけ読めて
            曲名が読めない(涙)

            色々と理由があって
            感想を書くのが遅れてしまったが
            パーヴォ・ヤルヴィと DKP の2日目。
            (考えてみれば省略して3文字で書けば文字数が節約できる(^^)v)

            シューベルトの交響曲5番。
            昨日の6番より感情的には抑え気味ではあったものの
            やっぱり、いわゆる「イジイジ・メソメソ」のシューベルトのイメージから遠い。
            まぁ、5番はかなり爽やか系ではあるのだが
            しかしシューベルトらしからぬ元気の良さ。

            でも、これ、指揮者の意図だろうと思う。
            それに、ともかく聴いていて
            エモーショナルなのでむちゃ楽しい。

            モーツァルトは・・・(沈黙)

            テツラフのバイオリンの音って
            やっぱり現代的というか
            哭きがなくてウエットなところがなくて
            ワタクシ的には、こういうザッハリッヒな感じは好き。
            (「即物的」とか書くと反対の声が出そうなので、わざとドイツ語で)
            聴いていて、イヤミがないから。

            アンコールはオーケストラと一緒に
            モーツァルトのロンド。
            良い選択だけど、モーツァルトは・・・(もう言わない)

            ちょっと体力的にヤバイと思ったので
            後半のハイドンは寝落ち計画で
            本当に寝ていた。
            (音楽家の方々、ごめんなさい。
             本当はしっかり聴いていなければならないけれど
             でも、寝ながら視覚を遮断して、音だけに集中という意図で
             たまたま、それやっているうちに白昼夢というのも(言い訳))

            友人によれば
            途中で赤い衣装を着た、ト〇コ人の恰好のパーカッショニストが
            舞台に入って来たらしいのだが
            ウィーンの聴衆、おとなしいので、誰も笑わなかったらしい。

            ハイドンはね〜
            もう、曲そのものが悪戯だから
            ウケ狙いが可愛くて。うふふふふ。

            アンコールで演奏した曲が
            作曲家は Hugo Alfven で
            たしかこれ、エストニアの作曲家だと思うんだけど
            まぁ、元気な曲で楽しい。

            舞台みたら、やっぱり室内オーケストラで
            人数は少ないのに
            オーケストラ・メンバーがみんなノリノリで
            (コンサート・マスターだけじゃなかった(笑))
            かなりの音量を出すし
            音が底抜けに明るくて、キレがある。

            寝てたくせに聴いてるんだな、とか
            自分でもちょっと呆れてはいるものの
            今週はちょっと大変で
            でも仕事で大変というのではないので
            誰も同情してくれない私に
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー + パーヴォ・ヤルヴィ

            0
              Musikverein Großer Saal 2018年3月19日 19時30分〜21時40分

              Die Deutsche Kammerphilharmonie Bremen
              指揮 Paavo Järvi
              バイオリン Christian Tetzlaff

              Joseph Haydn (1732-1809)
               Symphonie Es-Dur, Hob. I : 103 „Symphonie mit dem Paukenwirbel“

              Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
               Konzert für Violine und Orchester B-Dur, KV 207

              Franz Schubert (1797-1828)
               Symphonie Nr. 4 c-Moll, D 417, „Tragische“

              ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団
              ・・・って長い名前だなぁ(笑)

              日本のマスコミにも露出度の高いパーヴォ・ヤルヴィの指揮で
              2日間のゲスト公演。

              パーヴォ・ヤルヴィと言えば
              数少ない私の(以前の)イメージでは
              音の解像度抜群で、モダンでシンプルな音楽作りをする指揮者。

              あ?
              客席のざわざわが収まるのを待たず
              ティンパニのソロが

              ・・・こんなに長いソロだったっけ?
              普通はドロドロドロって静かに連打で1小節
              その後に低弦でのテーマが入って来るんじゃなかったっけ?

              ちょっと何だか違うような気もするが
              でも曲想は間違いなく103番だから、ま、良いか(笑)
              ある意味バロック時代だからね、何でもアリでしょう。

              これまた、底抜けに明るいハイドン。
              その上、劇的で
              私の席からは舞台は見えないけれど
              ほんの少しだけ見えるコンサート・マスターの仕草が
              芝居がかっているというか
              身体は揺らすわ、視線は時々彷徨うし
              ボウは肘を客席にバッチリ伸ばして動かすし

              指揮者よりコンサート・マスターから目がそらせません。
              (まぁ、そういう事はコンサートではままある)
              ソロで派手に音が外れていたけれど
              あれはハイドンはそう書いてるんでしょうかね。
              (いやハイドンの事だから、本当にそれが正しい場合もある)

              パーヴォ・ヤルヴィの指揮の動きも派手だが
              それに輪をかけてコンマスが派手だ(爆笑)

              こういうコンマス、実はすご〜〜く好き 😊

              休憩なしでテツラフのバイオリン・ソロによる
              モーツァルトのバイオリン協奏曲。

              (沈黙)

              しかしテツラフのバイオリンの音って
              強靭で素直で、一本背筋が通っているような
              ものすごい爽快感のある音。

              通常のバイオリンの「泣き」のイメージが全くなくて
              現代的と言ったら失礼なのかもしれないが
              バランスの取れた爽やかスポーツ青年みたいな音。
              (この間のヒラリー・ハーンは深窓の令嬢の音だった)
              哲学的とか思想的に深いという暗いイメージではなくて
              音楽的ではあるのだが、あくまでも外向きの明るさ。
              こういう音、眠っていて 聴いていて、気持ちが良い。

              ハイドンでひっくり返っていたけれど
              後半のシューベルトになったら

              あれあれあれあれ・・・

              さすがにシューベルトの交響曲だから
              楽譜そのものを弄ってはいないけれど

              何ですか、その劇的表現は?!

              いやシューベルトって
              歴史的に言えば、ウィーン会議の後の
              メッテルニヒの秘密警察が跋扈していた頃

              まだ電気がなくて、ろうそくとか油のランプで
              じめじめしたリヒテンタール地区に
              シューベルトのお仲間が集まって
              ちまちまと家庭音楽をやっていた
              ビーダーマイヤー時代のしみたれた音楽・・・

              (あ、かなり妄想入ってますので ^^;)

              しかもシューベルトって
              何だか気難しそうで神経質で
              しかも曲は信じられないような展開を次から次に
              本能の赴くままにメロディが湧き出て
              時々、あっ、こりゃダメだ、元に戻さねば・・・と
              何だか無理やり主題のテーマに持ってくるイメージ(だから妄想です)

              交響曲だって、その意味では
              ワタクシ的には、あくまでもチマチマと
              家庭内で収まるような奥ゆかしさで演奏されるイメージが

              ああああ、ガラガラと音をたてて崩れていく・・・

              だって、これ、シューベルトだけどシューベルトじゃない。
              とことん明るくて(題は「悲劇的」だけど)
              明るいというのは「喜劇的」という意味じゃなくて
              シューベルトの持っている内向的な部分が徹底的になくなって
              時代は下ってリストとショパンとワーグナーになりました
              ・・・という印象が強い(妄想ですってば!)

              徹底的に感情表現マックスの
              まるで映画音楽でも聴いているような気分。
              劇的だから、当然、聴いている方の感情を
              直接、手で心臓を掴まれる感じがあって

              いや従来のクラシックのシューベルトというイメージと
              全然違うよ、これ 💦

              パーヴォ・ヤルヴィならアンコール演奏するぞ、と思ったのは大当たりで
              うわああああ
              ものすご〜〜〜〜く久し振りに
              パーヴォ・ヤルヴィの名刺みたいな
              シベリウスの「悲しきワルツ」

              ・・・・・ますます強力にバージョン・アップしてる!!!

              テンポは揺れるわ、時々分断するわ
              フォルティッシモかと思うと
              ピアニッシモなんて、本当に本当に本当に
              私のようにオーケストラに近いところに居た聴衆には聴こえたけれど
              それだって、ものすごく微かだった。
              さすがにこの部分は、楽友協会ではあり得ない静寂が支配したが。

              こんな大袈裟で大仰で
              聖なるクラシックを演奏してしまって良いのか
              ・・・・・と年寄りなら言いそうな感じ。
              私も、実は半分くらいは呆れかえっていたんだけれど
              (だってもう、本当にマジにそこまでやる?って思ったもん)

              今や話題沸騰のクルレンツィスに続いて
              パーヴォさん、アナタもですか、とついつい言いそうになったものの
              この手のエンターテインメント路線って
              実はキライじゃなかったりする(笑)

              パーヴォ・ヤルヴィが指揮者として立ったコンサートは
              このブログに引っ越してから、13回行っているのだが
              こんな印象を持ったコンサート、初めてだ。
              パーヴォ・ヤルヴィの印象がガラッと変わった。

              明日は別のプログラムで
              最初にシューベルトの交響曲5番。
              (↑あんまり感情爆発でドロドロには演奏して欲しくない)
              テツラフのモーツァルトで、たぶんまた寝落ちして
              ハイドンの軍隊交響曲。
              ハイドンの洒落っ気とパーヴォ・ヤルヴィのチャーミングさが
              どこまで聴衆の我々に届くか
              楽しみな私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。



              バナーですが季節を間違えたのではございません。
              ウィーン、雪降ってます。
              気温はマイナス3℃で、体感温度はマイナス7℃。
              今週末から夏時間になるのに、何だこの冬への逆戻り感(涙)

              ウィーン交響楽団 + フェドセイエフ 2回目

              0
                Musikverein Großer Saal 2018年3月17日 19時30分〜21時50分

                Wiener Symphoniker
                指揮 Vladimir Fedosejev
                ピアノ Elisabeth Leonskaja

                Frédéric Chopin (1810-1849)
                 Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 e-Moll, op. 11

                Dmitrij Schostakowitsch (1906-1975)
                 Symphonie Nr. 10 e-Moll, op. 93

                何故かウィーン交響楽団なのに
                このコンサート、ほとんど売り切れって
                レオンスカヤ人気かフェドセイエフ人気か、と
                不思議に思っていたのだが

                周囲の観客見ると、ほとんど一見さんで
                超貧民席は、相変わらず
                コンサートの間中、みんなスマホを見ているような有り様。

                楽友協会はコンサートが始まっても
                照明は落ちないので
                隣のスマホの光がチラチラするのは
                多少気になる程度なので
                もう諦めてます。

                (これが、会場が暗くなるオペラ座だったら注意するが。
                 だってオペラ座で開演中にスマホの画面って
                 バッチリ全員から、その光は見えるのだ)

                ショパンのピアノ協奏曲1番。
                出だしのオーケストラからギョッ・・・

                オーケストラの音が焦点を結んでいない。

                とんでもなく、ぐっちゃりした音で
                (解像度云々なんて言っていられない)
                しかも
                シューッという息の音が盛大に聴こえるのは
                フェドセイエフがシューッ・シューッと言っているのか
                (指揮者にはありがち)
                ピアニストのレオンスカヤがシューッと叫ぶのは聴いた事がないので
                たぶん、指揮者の唸り声か荒い息だと思うんだけど
                何だか異様な雰囲気の音楽になってる。

                ピアノのレオンスカヤは御歳72歳だが
                技術的に歳を感じさせるテクニカルな弱点はない。

                ただ、昨今の若いピアニストに比べると
                前時代のヴィルトゥオーゾという感じはする。
                弾き方というか、音響の出し方が非常に伝統的。

                目が醒めるようなギョッとする音色も
                テクニックが弾けて星になって会場に散らばるという
                (あくまでも妄想です)
                派手なシーンもないけれど

                その代わり、メカニカルと対極に位置する
                血の通った人間が音楽してる、という温かさが伝わってくる。

                ちょっと時々、あっ?!という部分はあったとしても
                昨今の技術ばかり目立ってドライな演奏をするピアニストとは
                一線を画するし
                こういうピアニストが舞台で活躍してくれるのは嬉しい。
                有機的な「人間」とか「生命」を音楽から感じさせてくれる。

                ただ、私が昨日聴いてノックアウトされて
                楽しみにしていたのはショスタコーヴィッチの交響曲10番。

                フェドセイエフの指揮姿を拝見。
                指揮棒はなし。
                以前は老眼鏡もお辞儀の時には外していたのだが
                今はメガネのままで
                スコアを前に

                かなりスコアを見ながら
                豊かな表情の手でオーケストラに語りかける。

                でも最初の出だしのキューが
                ぜ〜んぜんわかりません(所詮シロウトですから)
                あれ、オーケストラのメンバーにもわからないんじゃないか?

                それでも阿吽の呼吸というのはあるようだ。
                フェドセイエフってウィーン交響楽団には、かなり愛されているらしい。
                (愛されている指揮者と言えばプレートルもそうだったなぁ・・・)

                動きは昔ほど大きくはない。
                身体全体ではなく、両手の部分を使って
                特に手の表情がすごく豊かになった。

                スコアを見ながらも
                ここ、というところでは
                小さい動きながら、的確なキューを出してくるし

                スコアに記載されている
                どんな細かい音楽的要素も逃すまいと言う気迫が
                恐ろしいほどに伝わってくる。

                とことん音楽に対して真摯で誠実。
                記載されている音符から紡ぎ出す音は
                ノテーションから完璧に解放されて
                とんでもない巨大な構築をホールを満たして
                その真の姿を現わすという印象を受ける。

                こんなに真摯に誠実に演奏されると
                この曲、迫力はそのままに残しながら
                表面的な派手さではなく
                どこまで深くなるのか。

                見てはいけない世界を垣間見たような
                現世であって現世でない「何か」を提示されたようで
                背筋がゾクゾクする。

                ウラジミール・フェドセイエフは85歳。
                1997年〜2005年のウィーン交響楽団の首席だった頃から
                ファンだったんだけど
                え〜?考えてみれば1997年って今から20年以上前?!

                音楽一筋に、真摯に向かい合って
                音楽そのものを愛して来た指揮者が到達した
                とんでもない境地だと思う。
                (以前のチャイコフスキーの時も背筋が凍る思いをして
                 コンサート後にトイレで号泣してしまったが・・・)

                昨日、ボロボロに崩れかけそうだった第2楽章は
                今日はオーケストラがぴったり縦線を押さえて来たし
                (ちと木管の高音が上がりきってなかったけど、まぁ、それはご愛嬌)
                第3楽章でのホルンのソロは
                舌を巻くほど巧かった。
                音外しゼロで、Aの音の美しさと言ったら悶絶モノ。

                あの若いホルンのお兄ちゃん
                ウィーン交響楽団にずっと居てね、お願い。
                (ウィーン交響楽団の優秀なプレイヤーは
                 時々、ウィーン・フィルがお買い上げになってしまう)

                オーボエ、フルートも良かったけれど
                ファゴットのソロが絶品だったわ。

                退屈してスマホ弄って、ため息つきながら
                最後まで居た若い男性
                (地図調べていたしパスポート出していたから
                 間違いなく観光客)
                ちょっとかわいそうだった。

                クラシック初心者が初めて聴く曲が
                ショスタコーヴィッチの10番って
                ちょっとハードルが高すぎる。

                自称クラオタの私だって
                ショスタコーヴィッチはかなり噛み応えがあって
                まともに聴けるようになるまでに
                かなり長い時間が必要だった。

                でも、自己妄想かもしれないけれど
                多少なりともショスタコーヴィッチを聴く耳があって
                フェドセイエフのこの演奏を聴けて
                本当に忘れられないゾクッとする思い出になったのが
                嬉しい・・・とは単純に言い難い
                心理的にまだ暗闇の中にいるような気分の私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                今週末から夏時間開始なのに
                今日の気温、マイナス1℃とかで
                しかも昨日、雪が降ったから道路は凍ってる・・・
                お〜い、春よ、早く来い・・・(涙)

                ウィーン交響楽団 + フェドセイエフ 1回目

                0
                  Musikverein Großer Saal 2018年3月17日 19時30分〜21時50分

                  Wiener Symphoniker
                  指揮 Vladimir Fedosejev
                  ピアノ Elisabeth Leonskaja

                  Frédéric Chopin (1810-1849)
                   Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 e-Moll, op. 11

                  Dmitrij Schostakowitsch (1906-1975)
                   Symphonie Nr. 10 e-Moll, op. 93

                  フェドセイエフがウィーン交響楽団の指揮台に立つと言ったら
                  仕事が溜まっていようが
                  授業の発表の準備が全然出来ていなくても
                  実は明日、同じコンサートがあってチケットを持っていても

                  とりあえず、聴ける日は2日間とも行く

                  ・・・というのが、正しいファンのあり方。
                  (現実逃避しているだけ(←陰の声))

                  ショパンのピアノ協奏曲第1番。

                  ショパンが苦手なのは
                  あまりの繊細さに加えて
                  どうやったって手の大きさの前提が違うだろ!という
                  理由のない逆恨みと
                  女性を喰いものにして養ってもらって
                  あ〜、羨ましい、という根拠のない妬みがあるからだが

                  繊細でナヨナヨしているイメージと違って
                  実は意外にショパンの音楽は(時々)勇壮。

                  あまり好きな作曲家ではないので
                  おおおお、素晴らしい、とか感激はしないのだが
                  (ショパン・ファンの皆さま、ごめんなさい)
                  緩徐楽章の美しさには胸を打たれる。

                  若い頃はテンポが速くて派手な楽章に惹かれたが
                  最近、いやに緩徐楽章に感激するというのは
                  歳を取って来たからかなぁ。
                  自分ではいつまでも若いつもりで要るんだけど (^^;;

                  後半はショスタコーヴィッチの交響曲10番。

                  昔からず〜っと
                  頼むから、この交響曲、楽友協会では演奏しないでくれ、と
                  切実に望む曲。

                  コンツェルトハウスなら何も言わないが
                  この交響曲を楽友協会で演奏されると
                  残響の良さが災いして
                  とてもじゃないけど、耐えられない音量になる上

                  この曲、周波数が高い音が多くて(ピッコロとか)
                  難聴になりそう・・・

                  楽友協会の音響を知り尽くした
                  ウィーン交響楽団とフェドセイエフでも
                  やっぱりある程度の(高い音を含めた)音量は
                  この曲の演奏には、どうしても必要なので
                  演奏中、耳を押さえたくなる時も、実は何回か・・・

                  まぁ、それは曲そのものの持っている特徴だし
                  だったら超貧民席を避けて
                  大音響でも大丈夫という
                  バルコンやギャラリーの高い席を買えば良いだけの話なので
                  貧乏なワタシが悪い。

                  ゆっくりのテンポのピアニッシモの低弦から
                  何か不気味なものが近づいてくる予感。

                  この曲、傑作だと思うし、昔から結構聴いていた曲だけど
                  久し振りに聴いてみると
                  その構築の巨大さに目が眩むような感じがする。

                  速いテンポの愉快なフレーズも多くあるので
                  若い頃は、え〜いっ!という感じで楽しく聴いていたけれど

                  でも基本的にショスタコーヴィッチって
                  ロシア的にズブズブにウエットで暗い。

                  しかしまぁ、ウィーン交響楽団の管楽器軍団って
                  何て巧いんだ・・・
                  特に本日の木管パートのプレイヤーの音色には唸った。
                  (後で舞台を見たら、やっぱりベスト・プレイヤーが勢ぞろいだった)

                  第2楽章が、ちょっと、いや、かなりボロボロで
                  ひっくり返りそうになったんだけど
                  まぁ、短い章だから、合わせるところは合わせて
                  なんとか辻褄つけたけれど
                  聴いてる方はヒヤヒヤした。
                  (確かにちょっと異様なテンポではあった)
                  まぁ、その分、やけっぱちによるエネルギーの爆発は
                  稀にみる効果を出してはいたけれど(笑)

                  第3楽章の不気味さが素晴らしい。
                  ここらへんからオーケストラが安定して来て
                  ホルンのソロも(最初だけちょっとアレだった以外)素晴らしく音が延びて
                  表面上の「音楽」だけではない・・・というより
                  「音楽」が秘めた、何かもう、ドロドロとした
                  言いようもない「モノ」が立ち昇ってくる。

                  最終楽章の冒頭部分
                  オーボエ・フルート・ファゴットの掛け合いには
                  鳥肌がたって背筋がゾクゾクした。
                  ウィーン交響楽団のプレイヤーたちが本気を出すと
                  時々、こういうとんでもない瞬間がある。

                  ファゴットから入る速いテンポの部分も
                  ただ調子に乗って、だけではなくて
                  その前の軍隊調マーチの残照があって
                  せめぎ合うオーケストラの戦いみたいになって
                  ただ、わ〜い調子が良いぞ、と聴いてはいられない。
                  何だかもっと不気味なものが潜んでいるような印象を受ける。

                  フェドセイエフという指揮者は
                  音楽があくまでも前に出る人なので
                  思想とか時代背景とかを音楽で語ろうとはしていないはずだが

                  それでも、音楽だけで
                  ここまで、言語化できない気味悪さとか
                  あるいは繰り返される D-Es-C-H の音型に籠められた恨みとか
                  (すみません、別に恨みじゃないかもしれないけれど
                   どうしても私には、スターリン時代の恨みに聴こえるんです)

                  作品そのものが潜在的に持っていて
                  聴く側によって様々に受け取る事のできる深い内容を
                  徹底的に明確に
                  しかも解釈は受け手に任せて演奏する指揮者は珍しい。
                  (フェドセイエフは、あくまでも中立なのが、またニクい)

                  ショスタコーヴィッチの曲は
                  取っ付き易いものではないと思う。
                  トナールだし
                  当時のソビエト連邦が共産主義のもとに
                  わかりやすくて勇壮な曲を求めていたのに呼応しているにもかかわらず
                  私自身も、ショスタコーヴィッチの扉が開くまでに
                  かなり長い時間を要した。

                  だから、ピアニッシモの時に派手な咳き込みがあっても
                  途中で会場を出ていっても
                  退屈してスマホを見ながら小声で喋っていても
                  スマホを落として演奏中(だいたいピアニッシモ時)に派手な音を立てても
                  わからないワケではないし

                  まぁ、楽章間拍手よりはマシか、と
                  自分を納得させている私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  ミュンヒェン・フィル + ゲルギエフ

                  0
                    Musikverein Großer Saal 2018年3月16日 19時30分〜21時30分

                    Münchner Philharmoniker
                    指揮 Valery Gergiev

                    Ludwig van Beethoven (1770-1827)
                     Symphonie Nr. 7 A-Dur, op. 92

                    Igor Strawinsky (1882-1971)
                     „Funeral Song“ für großes Orchester, op. 5
                     Le Sacre du Printemps

                    このチクルスのチケット、持っていなくて
                    (全部のチクルスを買う財力はない)
                    会員発売初日に買ったのは
                    ストラヴィンスキーの「葬送の歌」がプログラムにあったから
                    ・・・だと思うが、定かではない(笑)

                    楽譜が見つかった時には
                    クラオタの中では大騒ぎで
                    誰が聴いたかを競うような傾向まであって
                    財力・体力・知力その他で劣る私は
                    指を咥えて見ているだけだったので

                    この作品がウィーンで演奏されるの初めてだと思うのだが
                    (プログラムには書いてない)
                    その演奏、しかも、指揮者がゲルギエフというのを聴けるのは嬉しい。

                    超貧民席の、しかもチクルスじゃないから
                    舞台も指揮者もともかく何も見えないが
                    それだけ聴覚に集中できるから良いの(負け惜しみ)

                    ベートーベンの交響曲7番。
                    ミュンヒェン・フィルの音が柔らかい・・・

                    出だしのオーボエのソロが
                    ちょっと、いや、あの、かなり残念でギョッとしたが
                    あれはきっと楽器かリードの不調。
                    その後の曲の途中では、しっかり回復して美しい音色だった。

                    このオーケストラ、かなり以前に
                    弦のアンサンブルの音響が、ものすごく柔らかかった記憶があるのだが
                    あ〜、あの記憶って間違いじゃなかったのね。

                    フルートの音色が美しい。
                    いや〜、やっぱりヨーロッパのオーケストラの木管って良いわ。
                    (偏見かもしれない・・・(汗))
                    オーボエも最初の不調を吹き飛ばすような音色だったし。

                    不要なリピートは全部省略して演奏したので
                    中だるみがなくて、疾走感溢れたスピーディな演奏だが
                    オーケストラの音色が柔らかいので
                    スポーティにならず
                    エモーショナル・・・というよりは
                    非常に良く考えられたドラマツルギーで
                    語られるストーリーに巻き込まれる。

                    一見、感情任せにエネルギッシュにやっているような感じだが
                    よく聴いてみると、細かい計算や構築があって
                    好き勝手に演奏しているだけではない事がよくわかる。

                    今までゲルギエフと言ったら
                    爪楊枝か焼き鳥の串か、とか
                    そういうくだらん事ばっかり見ていたので

                    視覚遮断して
                    あの、手がヒラヒラの指揮に気を取られず
                    出てくる音楽だけ聴いていたら

                    ・・・・あああ、やっぱりこの指揮者、只者じゃないわ(当たり前)

                    後半の最初が
                    楽しみにしていた「葬送の歌」

                    弦のトレモロが・・・なに、この美しさ。
                    それに乗る管が、また、とことん繊細で
                    あんなピアニッシモの、澄んだ美しいトランペット
                    聴いた事がない(ような気がする)

                    曲そのものは
                    「火の鳥」の直前の作品らしく
                    リムスキー=コルサコフの葬儀に際して作曲されたものだから
                    コラール的要素や、悲しさの表現も多いけれど
                    それ以上に、後期のストラヴィンスキーの
                    溢れるような原色の饗宴を予感させる色合い。

                    なんだこれ、すごい傑作じゃないの。
                    話題になったのにも理由があったんだわ。

                    最後は「春の祭典」
                    あ〜、春の祭典ね、はいはい
                    国立オペラ座のバレエで
                    先シーズン2017年3月に
                    ノイマイヤーのバレエで
                    アルミードの館+ル・サクレという演目で

                    皆勤賞で5回全公演観たので
                    (あ〜、それでも足りなかった。アルミードの館、大好き♡)
                    国立オペラ座管弦楽団=ウィーン・フィルのメンバーで
                    少なくとも5回は、この「春の祭典」を聴いている。

                    けど・・・

                    曲を始める前に
                    指揮者はゆったりと時間を取って
                    会場の静寂がマックスになると
                    (まぁ、完璧に静寂ってワケにはいかないです楽友協会は)

                    うおおおお、ファゴットのソロが巧い。
                    いや、このソロ、ファゴティストはみんな巧いのだが
                    このソロ、大袈裟にしていないのに
                    えも言われぬニュアンスがあって
                    原始的なエロスが
                    抑えたエネルギーと摑みどころのない不気味さで
                    立ち上ってくる。

                    オーケストラのトゥッティでの
                    かの有名なフレーズも
                    芸のない指揮者だったら、フォルテッシモでガンガン弾かせて
                    それでもウケちゃう部分だと思うのだが

                    ゲルギエフは、ここの音量を抑えて
                    音の大きさで勝負せず
                    純粋にリズムのワイルド感だけで聴かせてしまう。

                    こんなワイルドでエネルギーに満ちた曲を
                    極限まで骨格に絞って
                    オーケストラの音の厚みと温かさを活かしながら
                    ものすごいドラマツルギーで物語を構築してる。

                    この曲、大袈裟にして
                    ガンガン鳴らせば、それだけで一応、形にはなる曲ではないかと思うが
                    楽友協会にふさわしい音量で
                    (一回も耳が痛くならなかった!)
                    アンサンブルもリズムも全く乱れがなく
                    出てくるソロの美しさは絶品だし
                    スッキリしているのにドラマチック。

                    うわ〜、ちょっと悶えっぱなし。
                    この曲って、こんなすごい曲だったっけ。

                    いやちょっと私、ゲルギエフを見損なっていたかもしれない。
                    ついついあの手のヒラヒラばかり気になっていたが
                    ドラマの構成力が卓越している・・・(呆然)

                    ライオンのタテガミのような
                    コンサートマスターもお元気そうだったし
                    ミュンヒェン・フィルとゲルギエフって
                    かなり良い組み合わせかもしれない。

                    ものすごくバランスの取れた
                    感情に流されないドラマチックな演奏って
                    ツボにハマるんだなぁ、と思った私に
                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                    ヒューストン交響楽団 + オロスコ=エストラーダ

                    0
                      Wiener Konzerthaus Großer Saal 2018年3月15日 19時30分〜22時

                      Houston Symphony
                      バイオリン Hilary Hahn
                      指揮 Andrés Orozco-Estrada

                      Leonard Bernstein (1918-1990)

                      Three dance episodes (On the Town) (1945)
                      The great lover displays himself. Allegro persante
                      Lonely twon : Pas de deux. Andante
                      Times Square : 1994. Allegro

                      Serenade (1954)
                      Phaidros - Pausanias. Lento - Allegro marcato
                      Aristophanes. Allegretto
                      Eryximachos. Presto
                      Agathon. Adagio
                      Sokrates - Alkibiades. Molto tenuto - Allegro molto vivace

                      Dmitri Schostakowitsch (1906-1975)

                      Symphonie Nr. 5 d-moll op. 47 (1937)

                      アンコール
                      Johann Sebastian Bach : Partita Nr.1 h-moll BWV 1002
                      für Violine solo (5. Satz : Sarabande)
                      Edward Elgar : Variations on an original theme „Enigma“ op. 36
                      Variation IX : Nimrod

                      お久し振りのオロスコ=エストラーダが
                      2014年から音楽監督を務めている
                      ヒューストン交響楽団とゲスト公演。

                      アメリカのオーケストラ、時々客演で来るけれど
                      ヒューストン交響楽団は初めて。

                      アメリカ音楽のバーンスタインと
                      ソビエト連邦(当時)のショスタコーヴィッチの組み合わせとはね(笑)

                      最初は、バーンスタインのミュージカル「オン・ザ・タウン」からのダンス3曲。

                      あああああ、ばんざ〜い!!!!
                      本日は楽章間拍手がない(感涙)

                      小作品だが(全体で約10分ほど)
                      金管のリズム感が笑っちゃうほど素晴らしい。
                      いや、こういうのって
                      本当にアメリカのオーケストラがお得意とするところなんだろうなぁ。

                      指揮者のオロスコ=エストラーダのリズム感も抜群だし
                      この指揮者は、リズムの指示が非常に巧みなので
                      こういう曲、むちゃくちゃ聴かせるわ。

                      2曲目で黒に銀のドレスで登場したヒラリー・ハーン。
                      お腹が大きい・・・
                      あら、いつ赤ちゃんが・・・

                      マタニティ・ドレスでも美しい。
                      本当にこのバイオリニスト、お人形さんみたいに綺麗。

                      バイオリンの音が
                      澄んでいる、というより
                      溢れ出る清潔感。
                      汚れたものが一切ない純粋感。

                      ヒラリー・ハーンの音って
                      正に貴族の深窓の令嬢、という気品がある。
                      混じり気なしの純粋さの印象がものすごく強い。

                      バーンスタインとは言え
                      割に正当なクラシック曲で
                      プログラムによればエロスを表現する・・・らしいのだが
                      ヒラリー・ハーンの澄んだ音色だと
                      エロスというより、天上のソフィアかアガペだわ、これは。

                      チェロのソロとの絡みが、ものすごく美しかった。
                      けれど、指揮者、曲の後でチェロのプレイヤーを立たすの
                      忘れていて、ちょっとかわいそう。
                      (意図的なものではなく、たぶん、本当に忘れていただけだと思う)

                      アンコールのバッハの無伴奏バイオリンのパルティータが
                      うわあああああ、素晴らしい。
                      ここでも、あの透き通った純粋さが際立って
                      鳥肌が立つくらいの天上の美しさ ♡

                      ヒラリー・ハーン聴いただけで
                      もう大満足 (^^)v

                      後半はショスタコーヴィッチの交響曲5番。

                      ご存知共産主義万歳の景気の良い曲・・・と言って良いのか
                      ショスタコーヴィッチって、当時の政府に迎合するために
                      景気の良いフレーズを大いに使ってはいるのだが
                      基本的には、ロシア的な鬱の人だと思う。

                      オロスコ=エストラーダは
                      この曲の思想的な部分とかはさて置いて
                      音楽的な美しいメロディ・ラインを歌わせる。

                      だから大袈裟にならず
                      あくまでも音楽としてのラインが提示されるので
                      無駄な力がかからず
                      端正な音楽が、程よい感情を伴って聴衆に届く。

                      何も目立つ事はしていないのに
                      見事に音楽になっているのに驚嘆する。

                      バーンスタインでむちゃ巧かった金管が
                      あれ?という部分は多少見受けられたんだけど(笑)
                      冷戦時代は遠くなりにけりだから
                      ソビエトの作曲家だから、という偏見はないと思う(爆笑)

                      時の運というものはあるけれど
                      オロスコ=エストラーダの指揮者としての
                      抜群の才能と実力というのは
                      間違いなく光っている。

                      アンコールが
                      エルガーのエニグマからのニムロッド。

                      これがまた素晴らしい音で
                      ホールを柔らかく満たす天国のような
                      平和を希求するような
                      愛情に満ちた音響が広がって

                      うわあああ、ニムロッドって
                      久し振りに聴くと
                      しかも、これだけ柔らかいバランスの取れた丸い音響で聴くと
                      やっぱり名曲だったんだわ、と

                      アンコールに感激して
                      友人とビール飲みながら
                      真夜中近くまで盛り上がった私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。


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