ミヒャエル・シャーデ + マルコルム・マルティヌー

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    Wiener Konzerthaus Mozart-Saal 2017年11月30日 19時30分〜20時50分

    テノール Michael Schade
    ピアノ Malcolm Martineau

    Franz Schubert (1797-1828)
     Winterreise
      Liederzyklus nach Gedichten von Wilhelm Müller D 911 (1827)

    ミヒャエル・シャーデは
    私が以前から追いかけているテノール歌手。

    このブログに移行する前に(記録は無情にも消えた(涙))
    ウィーン劇場で「美しき水車小屋の娘」を聴いて
    そのあまりのオペラちっくな表現にひっくり返ってから
    機会があればリサイタルに足を運んでいる。
    (このブログは2008年からだが、それでも5回記事がある)

    ついでにオペラ座でもよく拝見(笑)

    シャーデは「美しき水車小屋の娘」は何回も歌っているし
    アンコールにも歌ったりするし
    シューベルトやベートーベン、シューマン(これ絶品)
    フーゴ・ヴォルフもレパートリーにしているが

    今回のリサイタル、見つけた時に
    えええええええっ!!!
    シャーデが「冬の旅」を歌うの?!

    確かに今まで歌った事がなくて
    プログラムにも「今回が初めて」と書いてある。

    そりゃそうだよなぁ。
    だって「冬の旅」って暗いじゃないですか。
    (だいたい私はシューベルトが苦手である)
    最初から最後まで
    まさに白黒の世界で
    凍りつくような悲惨さを纏わせ

    このチクルスだけは
    ある程度の年齢になって
    やっぱり「死」を考えるようになってからでないと
    とても聴けないチクルスだと、今でも確信している。

    一方、ミヒャエル・シャーデと言えば
    蕩けるようなソット・ヴォーチェが魅力的で
    聴いている方に体感的な快感(すみません)を感じさせる
    甘い声のチャーミングさで有名なテノール。

    リリック・テノール、しかも甘い声で
    あの、暗い暗い暗い暗い「冬の旅」というのは
    スープレットのソプラノが歌うような違和感があるんじゃないだろうか。

    本日は朝からウィーンは雪(涙)
    途中から雨にはなったけれど
    私の住んでいる郊外では、まだまだ雪景色が残っていて
    寒いし暗いし
    シューベルトの「冬の旅」の悲惨な雰囲気に一役買っている。

    最初の Gute Nacht で椅子からずり落ちそうになった。

    その声量で、その歌、歌うか?!

    ホール中に響き渡る澄んだ甘い高音テノールの
    激しい感情をあらわにした表現・・・

    ・・・と思ったら
    途中でグッと音量落として
    またこれ、とんでもないソット・ヴォーチェ。

    フォルテとピアニッシモの絶え間ない繰り返し。
    しかも低音の部分でシュプレッヒ・シュティメまで出て来た時には
    本気で仰け反った。

    何とまぁ、情熱的で「人間的」な主人公。
    諦観とかよりも
    人生、大変だけど、何とかやっとるわい

    って、え〜っと、え〜っと、イメージと違うぞ。

    ただ、シャーデはアホではない(と思う、時々天然かもしれないが)
    計算してやっているのか
    天才的な天然で本能的にやっているのかはわからないけれど
    この「冬の旅」を、白黒一色にせず
    ドラマチックに、でもパロディになる直前で抑制している。

    だいたい私、もともと短調がむちゃ苦手。
    これだけ短調続きのチクルスは、ゲッソリするのだが
    途中の Frühlingstraum とか Das Wirtshaus とか
    ちょっと温かさを感じてホッとするところの
    シャーデの声が、あぁ、もう、本当に柔らかくてゾクゾクする。

    一方、冷たい冬の厳しい孤独の表現は
    う〜ん、テノール(しかも、ものすごい美声)で
    時々(意識して)リートにあるまじき声量で歌ってしまうと
    孤独とか寒さを嘆くのはわかるのだが
    ある意味「諦観」を感じるよりは
    どちらかと言えば、運命に対する怒り?のようなものが伝わってくる。

    テノールがこのチクルスを歌うのは確かに難しい。
    この孤独と白黒と諦観の世界には
    できれば深いバスかバリトンの方が向いている。
    だいたい、このチクルス、ソプラノだって歌えないだろ。
    ソプラノが歌ったら、ただのヒステリーになってしまう(と思う)

    持ち前のこの上なく美しいソット・ヴォーチェだけでは
    チクルス全体が甘くなり過ぎるという判断があったのかもしれない。
    (そ〜いうのも聴いてみたいような気がするが)
    ただの「ロマンティック」に溺れずに
    この悲惨な雰囲気を出すのに
    ある程度の声量をドラマチックに使う、という方法論だったと思う。

    フォルテッシモとピアニッシモを目まぐるしく使ったシャーデが
    最後の Der Leiermann だけ
    最初から最後まで、一回もフォルテを使わず、歌い上げた。

    ・・・涙が出ました。

    シャーデさん、あれはないよ、ルール違反だよ。
    徹底的にドラマチックに振り回しておいた後
    最後の Der Leiermann で
    そこまで透明な諦観の世界観を
    突然、突きつけられたら
    心臓にグッサリと冷たい孤独が刺さってくる。

    ピアニストのマルコルム・マルティヌーが、素晴らしい。
    「冬の旅」の世界観を
    シャーデの甘いテノールと対極的に
    透明な、硬めの、ペダリングほとんどない演奏で

    シューベルトのリートにおいて
    声とピアノが対等の立場にあって
    補いあいながらも独立した音楽を奏でているのがよくわかる。

    追随するのではなく
    引き立てながらもピアノの音楽の世界観は
    しっかり構築されている、という
    驚くべきピアノだった。

    プログラムの最初のところに小さな文字で
    宮廷歌手のミヒャエル・シャーデは
    このコンサートを弟(か兄)のヨハネス・シャーデの思い出に捧げます
    と書いてあったので
    お身内に不幸があったのだろう、きっと。

    この曲を聴いても
    あまり死者は喜ばないような気がするが(すみません)
    シャーデとしては、死を意識した時点で
    「冬の旅」を歌う、という決心がついたのだろうと推測する。

    シャーデの甘いテノールに合うチクルスではない。
    なのに敢えて、このチクルスに挑戦して
    ドラマチックな世界観に聴衆を溺れさせておいて
    最後に突然、別世界に連れていったルール破り(笑)には敬意を表す。

    ものすご〜く正直に言っちゃうと
    でも、これ1回で勘弁してね
    レパートリーに入れないでね・・・というのはあるんだけど。

    たまたま、今日の音楽史の授業で
    シューベルトが取り上げられて
    この「冬の旅」の音楽的構成への言及もあったのだが

    ウィーンに住んでいる利点というのは
    その気になればシューベルトの生家や死んだ家に
    市電で数駅で行ける事(笑)

    当時のリヒテンタール地区は、地理上、ジメジメした地区だったはずで
    考えてみれば、当時はもちろん電灯も電気も電話もなく
    市電も車もなく
    馬車は貴族の乗り物、あるいは遠距離の時の乗り物で
    日本の江戸時代と同じく、みんな歩いて移動していたと思うのだが
    地面は汚物で一杯で(これは史実らしいぞ)

    しかも当時は人はバタバタと死ぬ時代。
    ちょっと風邪を拗らせたり、怪我して化膿したら、そこで死ぬ。
    (世界最初の抗生物質は1911年のサルバルサン、1928年のペニシリン)
    子供が生まれたら母親はバタバタと産褥熱で死ぬ。
    (院内感染予防のゼンメルヴァイスが院内感染に気がついたのは1847年である)
    乳幼児死亡率も高い。

    死というものが、身近にあって
    電気も電灯もなくて
    当時のリヒテンタール地区は水はけが悪かった事で有名だし
    雪が降って、寒くて暗くて
    メッテルニヒ時代で言論統制があって・・・

    音楽に歴史を聴いてしまう、というのも
    不思議な現象だが
    こと、この苦手な「冬の旅」には
    当時の世相が反映されているような気がする私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    アンコールはなし。
    天然でサービス精神旺盛なシャーデだから
    おふざけでアンコール歌って聴衆をノセるかとも思ったけれど
    さすがに「冬の旅」の後(しかも、あの Der Leiermann の後)では
    アンコールは無理だわ。

    ウィーン・フィル + ダニエル・バレンボイム 4回目

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      Wiener Konzerthaus Großer Saal 2017年11月29日 19時30分〜21時50分

      Wiener Philharmoniker
      指揮 Daniel Barenboim
      ピアノ Martha Argerich

      Franz Liszt (1811-1886)
       Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 Es-Dur

      Gustav Mahler (1860-1911)
       Symphonie Nr. 7 e-Moll

      現実逃避しまくっていたせいで
      やっぱり本日の試験、全然歯が立たず
      あ〜、こりゃ1月末に再試験だわ・・・(ーー;)

      これを人は自業自得と言うだろうが
      考えようによっては
      じっくりと練習問題に取り組んで
      テクニックを身につけてから次の段階に進める、という利点はある。

      良いんです、何でもポジティブに考えるから。
      ここで失敗した分、時間をかけて訓練できれば
      後のプロセスがもっと楽になるかも、と考えれば良いのだ、うん。
      (無駄に自分を慰め中・・・・)

      まぁ、それはともかくとして
      ウィーン・フィルとバレンボイムの4回目。
      これが今回のチクルスで最後のコンサートになるが
      会場変わって、楽友協会ではなくコンツェルトハウスの大ホール。

      リストのピアノ協奏曲は
      まぁ、アルゲリッチのお姿を拝見して
      コンツェルトハウスのデッドな音響なのに

      ピアノの打鍵がやっぱり強い・・・

      楽友協会の舞台上ではなく
      コンツェルトハウスの貧民席は
      舞台から遥かに離れているのだが
      そこに秒速340メートルで伝わってくる音波の
      ピアノの響きがクリアで力強くて
      貧民席で仰け反ってしまう。

      で、アンコールが

      また連弾かよ!!!!

      ビゼーの「子供の遊び」から
      今回は「人形」という曲で、これは初聴きだが

      聴衆は別にバレンボイムのピアノを聴きたくて
      このコンサートに来ているわけじゃないんだけど(怒)

      ブロンフマンとのチクルスの時も
      アンコールで連弾やって
      しかもあの時はブロンフマンに譜めくりまでさせていたのだが
      さすがに1歳年上のアルゲリッチと一緒の時は
      自分が譜めくりしていた(でもソプラノ弾いたのはバレンボイムである)

      後半のマーラー、交響曲7番。

      う〜〜〜〜〜〜〜〜っ

      すみません、ちょっと爆発してよろしいですか?
      ウィーン・フィルとバレンボイムのファンの方は
      どうぞここにてお引き取り下さいませ。

      だいたい普通、同じ曲目を何回も演奏している場合
      演奏ごとに良くなっていく筈だと思うのだが

      ・・・何でそんなにズレまくり((^◇^;)

      崩壊しそうな部分は
      まだ崩壊しそうでドキドキするし

      バレンボイム、またスコアに頭突っ込んで
      時々、指揮するの諦めてるし
      というか、リズムの指示が全然出来てない上に
      アヴァンギャルドでないメロディックな部分については
      リズムもキューも適当なのに
      突然、熱くなって
      どうしても読めない指揮棒をブンブン振り回している。

      楽友協会のような大袈裟な残響がないだけに
      演奏のアラが目立って目立って目も当てられない。

      ド・シロートが何言うか、というツッコミは敢えて身に受けよう。
      でも、ド・シロートの印象であっても

      あれは指揮者が悪い(断言)

      もちろん各自の解釈の違いはあるし
      私の持っているこの曲のイメージもあるから
      バレンボイムの7番はこうなんだ、と納得するのが利口だろうが

      あの曲って、あんなに大仰で大袈裟で
      一般受け狙って派手にガンガン鳴らせば良いってものじゃないと思う。

      最初の楽章のテンポがかなり遅く
      まぁ、それは解釈の違いだし
      確かに埋葬行進曲なのだが
      あまりに遅い、遅すぎる。
      埋葬行進が全然進んでいかない。

      既に第1楽章においても
      突然のリズムの変化が多いのだが
      もとの重すぎるテンポから
      早いテンポに乗り切れず
      不自然というよりは、不気味・・・とも言えず
      狙った効果かもしれないけれど
      何だかものすごくパロディに聴こえてくる。

      激しく変化するテンポとリズムを把握しきっていないようで
      全体のバランスが悪く
      どこで崩壊するか、ハラハラ・ドキドキしっぱなしなのに
      更に途中でズレてくるんだもん。

      あ〜、いくらマイナーな曲でも
      最近の聴衆は CD とかレコードとか(いつの話?)を
      数日かかって入手しなくても
      聴こうと思えば、こういう曲なら山ほどインターネットにあるし

      高い水準の演奏を料金出して聴こうと思ったら
      密林というサイトでは CD 買うと
      すぐその場で、サイトのプログラムで CD 到着前に
      ストリーミングで聴けるんですよ。
      聴衆を侮ってはいけない。

      有名オーケストラに有名指揮者だから
      激しくブラボー・コールをする人も居たけれど
      超貧民席のクラオタ(の一部)は
      ズレてたね、と話しながら階段を降りて来ていた。

      表現を誇張するのは良いのだが
      誇張する確かな理由も裏付けもなくて
      ただもう、本能的に
      ここを強調したらウケるだろう(と思っているかはわからないが)
      というような、ちょっとステキなメロディとか和声が出ると
      ひたすら張り切ってガンガン指揮をするので
      ますます曲全体がちぐはぐになってしまうのだ。

      しかも最終楽章の盛り上げ方
      あれ、いったい何ですか???

      そりゃ、人間、大音響であれば
      生理的に自然に興奮するのは
      商業主義でもロックなどによく使われている単純なトリックだけど

      まさか、マーラーの7番で
      音量だけむちゃくちゃ上げて
      カウベルだの鐘だの
      鳴り物を最大限に鳴らして
      (オーケストラのトゥッティを掻き消すレベル)
      クリスマスくじ引き一等賞
      ハワイ海外旅行カップルご招待が当たりました!!!
      とでも言いたいフィナーレに持って来たのは

      わかりません、ワタシ。

      アクが強いというか
      マーラーどっかに行け
      俺はバレンボイムだ、なんか文句あるか

      って、ず〜っと言われているようで
      非常に居心地が悪かった。

      バレンボイム、天才なんだから
      別にマーラーの交響曲7番なんか振らなくても良いじゃないの。
      派手にアピールするなら8番というのもあるが
      8番は人数も資金も必要だから無理だとして
      せめてよく演奏される1番とかにしておけば良かったのに。

      指揮者が1人で、指揮台の上で身悶えしているのは
      見ていて、居たたまれないというのはある。

      しかも、全体に身悶えじゃなくて
      時々、頭まっしろで指揮もできない戸惑いの状態に入り
      古典的フレーズに入ると
      突然張り切って大袈裟に棒を振り回して興奮する、というのは

      ありえん(断言)

      全部で5回あったコンサートの4回を聴いたのだが
      最初から最後までそんな感じで
      どっと疲れた私に
      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



      天下のウィーン・フィルさまと
      天下のバレンボイムさまの悪口を書いてしまったので
      数日間は夜道でグサッと刺されないように気をつけねば(笑)
      ド・シロートの個人的な印象記であって(しかも本当は自分用記録)
      営業妨害でも何でもございません(強調)

      マリー・アントワネット フォルクス・オーパー(バレエ)

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        Volksoper 2017年11月28日 19時〜20時45分

        MARIE ANTOINETTE
        Ballett in zwei Akten von Patrick de Bana

        振付・演出 Patrick de Bana
        音楽 Georg Philipp Teleman, Antonio Vivaldi,
        Wolfgang Amadeus Mozart, Johann Christian Bach,
        Jean-Philippe Rameau, Jean-Féry Rebel
        Carlos Pino-Quintana
        ドラマツルギー Jaime Milás
        舞台 Marcelo Pacheco, Alberto Esteban, Area Espacios Efimeros
        衣装 Agnès Angot

        マリー・アントワネット Natascha Mair
        ルイ16世 Jakob Feyferlik
        マダム・エリザベート Zsófia Laczkó *
        運命 Géraud Wielick
        アントワネットの影 Nikisha Fogo
        アクセル・フォン・フェルゼン Alexandru Tcacenco
        マリア・テレジア Gala Jovanovic *
        名前なき者 Zsolt Török
        革命家 Marie Breuilles, Sveva Gargiulo, Anita Manolova, Fiona McGee,
        Katharina Miffik *, Suzan Opperman, Xi Qu, Alaia Rogers-Maman
        Nicola Barbarossa *, Marat Davletshin, Martin Dempc, Marian Furnica,
        Andrés Garcia-Torres, Trevor Hayden, Tristan Ridel, Anne Vadervelde

        普通の神経の人なら
        試験日前にバレエなんか見に行かないと思うのだが
        でもワタシは行くのである。もうやけっぱちの開き直りだもんね。

        ウィーン国立バレエ団監督のパートナーのバナが振り付けた
        マリー・アントワネットという作品は
        2010年12月12日に1度鑑賞して、あ〜、や〜めた、と行かなくなり

        2016年5月に改訂版が出て
        これが、最初の振付より、ずっと良くなっていて驚いたが
        その後、ナターシャとヤコブの公演は日時が合わずに鑑賞できず

        やっと本日、ナターシャとヤコブのカップリングでの公演!!!

        キャスト表を見て
        あれ〜、おかしいなぁ
        指揮者の名前が書いていない、と指揮者名を探しまくって数分
        あっ、これ、オーケストラなしじゃん
        テープでの公演だった、と思い出したのは
        本当にボケ始めた可能性がある (・・;)

        今回の大発見。

        あのキュートで小悪魔的にチャーミングなナターシャが
        舞台で悩んでいると
        何と、その雰囲気が・・・

        あの悲劇の女王、オルガさまにそっくり!!!!

        舞台から遠い超貧民席だったからかもしれないが
        この演目、後半には市民からイジメられ
        落ち込んでボロボロになっていくシーンがあって

        その時の雰囲気が本当にオルガさまソックリで
        一瞬、あれ?舞台の上にいるのはオルガさま?と思ってしまった位。

        ヤコブは、あんな上着バロック下半身ナマ足という
        とんでもなくヘンテコな衣装を着けていても
        それがまた実に絵になっていて
        その美しさと言ったら、あぁ、もう、もう、もう。

        ダメだ、悶絶してしまう。

        だいたいヤコブとナターシャって
        見た目の美しさと技術の確かさに加えて
        いったいそれはどういう魔法?という演技力があって

        ヤコブがナターシャを見つめる
        苦渋に満ちた表情の迫真的な事と言ったら(以下省略)

        技術はあっても演技が出来ないダンサーも多いから
        (それはたぶん、天性の問題でもある)
        その意味では、容姿・技術・演技力を備えた
        この2人の将来がものすご〜く楽しみ。

        アントワネットの影のニキーシャとジェラールのデュエットは
        キレキレで見事。
        アクロバットが多いのだが、さすがに技術抜群のカップル。

        ガラのマリア・テレジアが、役デビューとあったが
        まぁ、ガラが堂々としていてすごい。
        大柄で手足が長くて、このダンサー、本当に舞台で映える。
        貴族っぽい品があって
        娘を心配する堂々とした母、という雰囲気もある。
        いや、良いわ、ガラちゃん(隠れファン)

        しかし今回の大発見は
        マダム・エリザベートのソフィアだろう。
        (ソフィアって読むのかどうかはわからんが・・・)
        今回、役のデビューとあったが
        超美少女だ〜〜〜〜 (^o^)

        ヤコブと並んで登場したら
        美少女ぶりが華やかで
        ナターシャとモロに張り合ってるじゃないの。

        アレキサンドルのフェルゼンもなかなか良かったし
        私の初恋の君によ〜く似ているコールドのダンサーは
        群舞の時に真ん中にいて
        ジャニーズ系の可愛らしさに悶えてしまう。

        バレエ作品としての出来は
        改訂版になってから悪くないとは思うのだが
        (クラシックとモダンのミックスがなかなかチャーミング)
        史実をもとにしてはいるけれど
        ベルサイユの薔薇もマッサオという
        妄想大爆発のストーリーなので
        観ていて、ちょっとあはは、と思うところはあるが

        ナターシャとヤコブの
        見た目最高(バレエの技術を含む)
        演技力抜群の主人公に加えて
        脇役までばっちり揃った公演を楽しんで
        明日の試験の準備は何もしていない、という
        アホな私に
        どうぞ1クリックをお恵み下さい。



        かなり以前のものだが
        オルガさまとヤコブの公演の時のクリップがあったので貼っておきます。


        バイエルン放送交響楽団 + マリス・ヤンソンス

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          Musikverein Großer Saal 2017年11月27日 19時30分〜21時

          Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
          指揮 Mariss Jansons

          Anton Bruckner (1824-1896)
           Symphonie Nr. 8 c-Moll, Zweite Fassung (1890)

          え〜っと、だからブログなんて書いてる時間はないんだろう
          ・・・と読者からツッコミ入りそうだが

          睡眠時間3時間でも
          仕事している時は
          そういう状況が数週間続いて
          自宅でシャワー浴びる事が出来ず
          (夜中に使うと近所に聞こえるので迷惑なの)
          会社にタオル持って行って
          夜中の2時過ぎに会社のシャワー・ルームを使ったりしていて
          仕事だから当然の事に
          失敗したら大きな責任がかかってくるという時期もあったので

          今回は失敗しても
          自分が痛い目にあうだけだし
          一応、1月に敗者復活戦もあるし
          ・・・と言い訳しつつ f^_^;)

          ブルックナーの交響曲8番だけのプログラムだし
          ブルックナーの後にさすがにアンコールは演奏しないだろうから
          早めに帰れるコンサートだ、え〜い、行っちまえ。

          バイエルン放送交響楽団は
          昨日書いた通り、基本、マッチョなオーケストラだと思う。

          しかもヤンソンスが、ともかくオーケストラを鳴らす。
          鳴らし過ぎで
          楽友協会のえらく残響の長いホールに響き過ぎてしまい
          どこでそうなるのかは不明だが
          時々、不思議な音響(人の話し声に聞こえる)が混じっていたのが
          面白いと言えば面白い現象ではあった。

          そうか、あのホール、鳴らし過ぎで
          しかもブルックナーみたいに和声が複雑だと
          ああいう不思議な増幅があるんだなぁ、と
          音響工学的にえらく感心していたのだが
          (カッコ良く書いたつもりで、思い切り滑っているのはお許し下さい)

          音が大き過ぎて
          あまりにマッチョ、というか
          時々、暴力男性に化していたのはともかくとして

          ブルックナーって、こういう曲だったのね
          と、ストンと納得できる
          圧倒的な1時間半だった。

          プロコフィエフの5番の時もそうだったけれど
          厚みのある響きで
          ブルックナーのオーケストラの音の重なりを聴いて
          それがホール一杯に広がっていくと

          やっぱり、これは別世界。

          ヨーロッパのキリスト教文化と
          教会でのオルガンの音、という基本があるにしても
          それを越えたところで
          ブルックナーの8番って
          本当に巨大な大伽藍のような作品。

          別世界に飛ぶような恍惚のフォルテ部分と
          親密でこの上なく美しいフレーズが
          交互にやってきて
          あああああ、悶える、悶えてしまう・・・

          本気でヘン○イと化してはいるが
          周囲のクラオタ全員、ヘ○タイに変身して
          全員、どこかに飛んでいっている。

          それは良い事なのだが
          隣の若いカップル
          男性がクラオタのようで
          曲を知っているらしい。

          身体を動かすのも、ちゃんとフォルテ来るぞ、というところで
          全身を緊張させて、集中して聴いているのを
          隣の彼女が気に喰わないらしく

          手を握ろうとしたり、もたれ掛かったり
          挙句の果てに演奏中に彼氏に話しかけようとして
          彼氏からたしなめられて
          不貞腐れてスマホ見てたけど
          (その間も彼氏は音楽にひたすら集中)

          ブルックナーの8番だもん。
          もう彼女とか彼氏とか
          世俗のエロスの世界からは遥か彼方に遠ざかって
          深い(かどうかはわからんが)精神世界にどっぷり浸かっていて
          可愛い彼女の自己主張に付き合っている余裕はないでしょう。

          きっと
          え?貴方、クラシックが好きなの?
          ワタシもよ。だからコンサートに連れていってちょうだい
          ・・・とか言うやり取りがあったかと思うのだが(笑)

          でもさすがヨーロッパ男性というか
          最後の盛り上がる直前に
          彼女の太ももを感極まって掴んでいたから(爆笑)
          彼女の機嫌もそこで治ったようだ。
          (・・・コンサート中に何見てる、というツッコミは却下)

          マッチョで男性的で音量のどでかい演奏だったので
          無駄な残響がヘンな音を混ぜて来たり
          多少、粗く聴こえる部分も結構あったんだけど

          やっぱりヤンソンスの曲との距離感が絶妙で
          のめり込みの度合いのバランスがものすごく良くて
          う〜ん、やっぱりこの指揮者
          とことん職人的なところがあるなぁ。
          それがまたチャーミングなんだけど。

          普通、ブルックナーが演奏されると
          指揮者もオーケストラも
          どんどん神がかっていって

          指揮者によっては
          演奏後、なかなか指揮棒を下ろさずに固まってしまい
          (慣れた)聴衆も、さすがにブルックナーなので
          なかなか拍手せず、という状況がよくあるのだが

          ヤンソンスはそこらへんも割り切っている感じで
          見せつけるようなわざとらしい静止のポーズは取らず
          すぐに身体の力を抜いてくれたのも好感。

          ブルックナーの交響曲8番については
          様々な忘れ難い名演を聴いて来たけれど
          (ティーレマンとか、ああ、そう言えば
           あのジョルジュ・プレートルとウィーン交響楽団の演奏は
           今でも忘れられない)
          今日の演奏も忘れられないものになりそう。

          マーラーにプロコフィエフに
          ブルックナーの8番まで
          こんなタイヘンな時にコンサートが重なって

          タイヘンだけど
          コンサートだけは何があっても行っちゃうもんね
          という原則を
          仕事している時から貫いていた
          底抜けにアホな私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。



          これからカデンツの
          ブルックナーの3原則(「家庭薬」Hausmittel とも言う(笑))を
          少しお勉強したら寝ます (-_-)zzz

          ちなみにブルックナーの3原則と言うのは(知ってる方、ごめん)

          同じ音はそのまま
          移動する時は最短距離
          バスとソプラノの移動の方向は反対

          ・・・というものですが
          確かに考えてみればブルックナーは
          ウィーン大学の和声学の教授でした(笑)

          ・・・って言うか、こんな偉そうな事を書いていて
          不合格だったらどうしよう (ーー;)
          ↑ ブログなんか書いてる暇に勉強しろって事です(自爆)

          バイエルン放送交響楽団 + マリス・ヤンソンス

          0
            Musikverein Großer Saal 2017年11月26日 19時30分〜21時30分

            Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
            指揮 Mariss Jansons
            ピアノ Yefim Bronfman

            Ludwig van Beethoven (1770-1827)
             Konzert für Klavier und Orchester Nr. 4 G-Dur, op. 58

            Sergej Prokofjew (1891-1953)
             Symphonie Nr. 5 B-Dur, op. 100

            いやブログなんか書いてる場合じゃないだろ
            というのは、自分でも良くわかってはいるのだが
            (現実逃避・・・以下省略)

            バイエルン放送交響楽団とマリス・ヤンソンスの
            楽友協会でのコンサートは2日間で別プログラム。

            アルゲリッチの打鍵の強さを書いた時に
            同じような打鍵の強いピアニストの1人として
            ブロンフマンの名前を挙げたら
            ご本人が夜のコンサートに出演していたのでびっくりした。
            (偶然です)

            ベートーベンのピアノ協奏曲
            確かに5番とかだったら強く弾いて映える曲だが
            何故か4番(笑)

            強いとかいう派手さが目立つ曲ではないが
            ブロンフマンのピアノの音色が美しい。
            オーケストラは硬めのところと柔らかいところが
            音響に混在していて
            これも各所で、そこに合う響きを的確に演奏してくれて

            オーケストラとピアノの
            あの親密な語り合いがこの上なく美しい第2楽章で
            携帯電話を(メロディ付きで)鳴らした奴は
            殴ってやりたい。
            (と、会場に居る全員が思っただろう)

            何故、携帯電話、フライト・モードにしておかないかね?
            それとも旅行会社の社員か?
            (註 ええ、我々、緊急連絡先ですから、本当に場合によっては
               携帯電話をスイッチ・オフできない場合がある。
               私は無情に切ってましたが。
               だって緊急連絡については(残業もだけど)一切支払いなかったし)

            しかもアンコールがシューマンのアラベスク!!!
            うわああああ、何と美しい滑らかな響き ♡

            でも私のお目当ては
            読者の皆さまご推測の通り
            プロコフィエフの交響曲5番!!!!

            好きなんです、この曲。
            ただ、本当に滅多に演奏されない曲の一つ。

            ベートーベンとかブルックナーとか
            マーラー(2番・3番・7番・8番を除く)とか
            チャイコフスキーとかブラームスとかドボルジャークとか
            コンサート通いをしている中で
            へええええ、また同じ曲かよ、という
            もう何回聴いたか、という曲もあるのに

            プロコフィエフの交響曲に関しては
            最近、やっと少し1番(古典交響曲)はプログラムに載るのに
            この大傑作の素晴らしい5番は
            ウィーンのオーケストラ、どこも演奏してくれない(涙)

            結構長い交響曲なのだが
            プロコフィエフらしい転調やモチーフと共に
            マーラーの7番のように
            まるでカレイドスコープのように
            色とりどりのおもちゃみたいな宝石みたいなモチーフが
            次から次に現れるチャーミングな曲。

            これをヤンソンスが見事に振った。
            テンポ、緩急、音響の扱い方
            そして、これ大事なんだけど
            入れ込み過ぎず、かと言って突き放すワケでなく
            理想的に程よい、曲に対する距離感が心地よい。

            最初から最後まで緊張の緩む時がないのに
            あの複雑な曲を
            観衆を疲れさせる事なく
            分断したメロディも、すべて美しく纏めて一体にして

            ああ、いったいどういう魔法を使ったら
            ああいう演奏が出来るんだろう。

            オーケストラの音響が、この曲に合ってる。
            ある程度の強さとワイルドさに加えて
            時々、ハッとするようなチャーミングで柔らかい響き。

            基本的にはマッチョなオーケストラだと思うのだが
            音響的な色のパレットが多彩で
            プロコフィエフの交響曲の楽しかった事。
            一瞬、一瞬の音響を愛しむように宝石のように
            大事に愛撫しつつ、心に染み込ませました。
            (ああああ、どうせここまでやるのはオタクです。
             でも本当にこの曲、ライブで聴かないんだもん!!!)

            私が好きな作曲家で
            ウィーンで滅多に演奏されないのは
            プロコフィエフ(交響曲ね)、サン=サーンス(ピアノ協奏曲とか)
            それに、チェコの作曲家、マルチヌーなんだけど
            (マルチヌーはウィーン放送響がシリーズで演奏したが
             残念ながら全部は行けなかった(涙))

            ウィーンのオーケストラも
            ベートーベンやブラームスやモーツァルトやハイドンだけじゃなくて
            他の曲も演奏して下さ〜い、と
            切望する私に
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。


            ウィーン・フィル + ダニエル・バレンボイム 3回目

            0
              Musikverein Großer Saal 2017年11月26日 11時〜13時20分

              Wiener Philharmoniker
              指揮 Daniel Barenboim
              ピアノ Martha Argerich

              Franz Liszt (1811-1886)
               Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 Es-Dur

              Gustav Mahler (1860-1911)
               Symphonie Nr. 7 e-Moll

              当然、こんなブログなんて書いている暇はない筈なのだが
              (人はそれを「現実逃避」と呼ぶ)
              同じコンサートの3回目。

              リストについては見事なものなので
              もう言う事はない。

              アンコールは私の微かな記憶だと
              たしか1日目に弾いた曲と同じ。
              やはりビゼーの「子供の遊び」からの連弾。

              舞台は見えないから
              どちらがどのパートを弾いたのかは不明だが。

              だいたい、舞台を見たいんだったら
              もっと値段の高い席を買えば良いのに
              この「聴くだけ」の超貧民席に来る連中も
              有名なピアニストが出て来ると
              一斉に立って見ようとするので、邪魔くさくて仕方がない。
              まるでソリスト=珍獣じゃないの。
              パンダじゃあるまいし・・・

              興味津々、マーラーの交響曲7番の出来(← 根性悪だから(笑))

              こちらの耳慣れもあると思うのだが
              バレンボイムもやっとスコアが頭に定着して来たようで
              確かにスコアを見ている部分もかなりあったけれど
              昨日みたいに、スコアに潜り込んでオーケストラを失念、という事はなく
              ちゃんと振っていて
              それに合わせてオーケストラも
              時々、確かに崩壊寸前まで行く事はあっても
              (まぁ、マーラーの7番ってそういう曲だからね)
              全体的に落ち着いた演奏になって来たのは喜ばしい。

              というより
              最初と2回目だけ聴いた聴衆って
              コンサートのチケットの値段同じなのに
              (楽友協会主催の方はウィーン・フィルの定期よりずっと高い)
              アホみたいじゃないの。
              ・・・だから、同じプログラムのコンサートの時には
              できれば後の方に行くべし(あるいは全部聴くとか)

              来週火曜日にウィーン・フィルのソワレでも同じプログラムだが
              今回のソワレ会員は得だわ・・・
              (私はソワレは行かない。その日はナターシャとヤコブを見に行く)

              音楽的に落ち着いて来て
              バレンボイムのこの曲の解釈が意識の表面に上がってくると

              ううう、なんてロマン派的な解釈なんだ・・・

              マーラーの交響曲7番は
              私が好きな交響曲ベスト3には入る曲で
              (もしかしたら1位かもしれない)
              私にとっては
              いわゆる伝統音楽の一番後ろで
              伝統的なトナールの害のなさそうな仮面を被っているくせに
              実は底では現代音楽に究極的に近づいている、という
              ほとんど現代音楽的実験のテンコ盛りの曲という印象がある。

              例えばサイモン・ラトルあたりの指揮だと
              この曲の現代性が
              すっきりしたクリアな演奏で表面上に浮かび上がってくるのだが

              バレンボイムは極端に現代性を捨て去って
              ベートーベンかブラームスか
              いや、もっと後のフランツ・リストとかワーグナーとか
              ねっとりしたロマンの濃厚な香りを漂わせるのである。

              だから私の持っている偏見とは
              対極的なところにある演奏で
              好みとしては、あまりに大時代過ぎて
              大袈裟でドラマチック過ぎて、ちょっと辟易するのだが
              現代的解釈ばかり聴いていた耳には
              まぁ、ちょっと珍しい響きに聴こえる(好みの問題だ)

              遅めのテンポに、ずっしりした低音
              すべてが大仰な表現で、ロマン派古典的ワーグナー的音響。

              目立ったミスはなかったけれど
              ただ、時々、前のめりで入っちゃったりとか
              弦のトゥッティで1人とんでもない音を弾いた奴とか
              まぁ、ありそうな傷はあって
              ・・・って、超一流オーケストラだから
              もしかしたら、私の耳がおかしいのかもしれないので
              営業妨害ではございません。お許し下さいまし。

              最後のカウベルの、出血サービスの、ものすごい響きで
              あれ?なんでクリスマスのイメージが頭の中に出てくるんだろう?
              と思ったら

              歳末大安売り会場のくじ引き大会で
              出ました一等賞、おめでとうございます
              カンカンカ〜ン!!!

              ・・・すみません。

              それから、1回目・2回目で
              バレンボイムがラ〜ラ〜ラ〜と大声で歌っている、と書いたけれど
              あれ、面白い事に、指揮者の「歌」ではありませんでした。

              オーケストラの何かの楽器(パーカッションかもしれない)が
              ラ〜の音のフォルマートにぴったり合う音をぶちかますので
              それが何か他の楽器と共鳴して
              器楽の音ではなく、人間の歌声のように聴こえる現象だった。
              耳での感覚は当てにならない。
              (お前だけだ、と言われれば言葉もないが)

              そんな訳で現実逃避しながら
              (まぁ、今回ダメなら1月がある)
              あと数日、何とか詰め込めるだけ詰め込もうと
              必死に老化した脳を酷使している私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。


              ウィーン・フィル + ダニエル・バレンボイム 2回目

              0
                Musikverein Großer Saal 2017年11月25日 15時30分〜17時55分

                Wiener Philharmoniker
                指揮 Daniel Barenboim
                ピアノ Martha Argerich

                Franz Liszt (1811-1886)
                 Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 Es-Dur

                Gustav Mahler (1860-1911)
                 Symphonie Nr. 7 e-Moll

                今度はウィーン・フィルの定期コンサート。
                明け方4時に何書いてんだ、と自分で突っ込みたくなるけれど
                (アップの時間は意図的に変更してあります)
                簡単に書いておきたい。

                アルゲリッチのリストのピアノ協奏曲は
                やっぱり圧巻である。
                あのマッチョで強くて絢爛豪華なのに俗にならない気品は
                やっぱり才能と努力と
                ある程度の年齢がなせる技なのだろう。

                アンコールはバレンボイムのアナウンスでは
                ジョルジュ・ビゼーの連弾曲「子供の遊び」で
                青のページだそうで
                昨日のアンコールとは曲が違った。
                コンサートごとに違う曲を弾いてくれるんだったら楽しみだわ。

                さて、後半のマーラー、交響曲7番。

                さすがに昨日のようなミスは一つもない。

                だいたい、今日の楽友協会ホール
                煌々と照明が付いていて
                あぁ、フィデリオあたりでライブか
                録音・録画で CD や DVD で売り出そうって腹か。

                そういう時に指揮者を見るのは
                本当は良くないのだが
                (指揮者がビデオを意識して、わざと「美しい指揮」をする可能性がある)
                眠いし、立っていた方が寝落ちしないだろうという判断。
                (リストでは座ってましたが、あれは寝落ちできません(笑))

                珍しい事にバレンボイムが前にスコアを置いてる。
                いや、置いているのは別に構わないのだが

                スコアをジッと見ている時間が・・・意外に長い。
                しかも、その間、指揮棒は完全に留守になっている。

                頭の中に入っているフォルテの部分は
                元気に指揮棒を振るのだけれど

                うわあああ、あの指揮
                プレイヤーにはものすごくわかり難いんじゃないだろうか。
                ド・シロートが見ていたって
                フォルテとピアノの区別くらいは推測できるものの
                あの複雑怪奇な曲で、菅にほとんどキュー出ししてないし

                しかも、時々、キュー出しを間違えているような印象。
                (いや、そんな事はないはずだ、だってあの人、天才だし)

                これって
                各プレイヤーが全員、絶対に間違えないようにカウントして
                指揮者のキューを期待せずに
                全部、自分の責任で演奏しましょうって事?!

                どう見ても
                指揮者がこの曲を暗譜に近いところまで
                頭の中に入れているようには見えない。

                まだら覚えかよ・・・・

                例のテンポが落ちて崩壊しそうになるところも
                指揮者がスコアを見ていて
                全然指揮棒を動かしていないのだ。
                そりゃ、オーケストラ、崩壊しそうになるわ。

                オペラとかウィーン古典派のクラシックな曲とか
                ブルックナーとかシューマンとか
                レパートリーでいつも演奏しているような曲ならともかく
                (マーラーの交響曲でも、1番とかならまだしも)

                マーラーの交響曲7番って
                たぶん、私の記憶の中でも
                複雑なスコアのナンバー・ワンに近い。

                それを、あの指揮で
                今日はミスもなく
                よくぞオーケストラが崩壊せず
                しかも指揮者の、あの恣意的なテンポ設定で
                最後までしっかり演奏したものだ、と思う。

                ただ指揮者も大物の有名人だし
                天才だから、昨日と今日でまだら覚えだとしても
                明日以降、頭の中に叩き込んでくる可能性はある。

                しかし、あのスコア参照、指揮棒お留守の
                なんじゃこりゃ、という指揮姿が
                DVD になるのだったら
                私、欲しいかもしれない。
                (バレンボイムもよくやるわ、ホントに大物だわ、こういうところ)

                指揮者がフォルテとピアノに
                テンポだけの指示だったので
                全体的な交響曲のニュアンスが
                かなり平坦になってしまって
                モチーフの繰り返しとかが割に退屈に響いてしまったのは
                まぁ、仕方がないか。

                もともとこういう曲って
                ウィーン・フィルに合う曲だとは思えないし。
                (こういう曲はウィーン放送交響楽団とかに演奏させたら
                 すごい演奏しそうな気がする)

                ミスはなくなったけれど
                全体的に締まりのないダラダラした印象が残った。
                まだ同じプログラムを2回聴く予定なので

                どう変わっていくか
                (あるいは変わらないのか)
                ちょっと楽しみな気分になっている
                根性悪の私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                実は数日前にも
                今日のコンサートの後にも
                ものすごく面白い現代音楽のコンサートに行っていたのだけれど
                来週水曜日が終わるまでは
                ちょっと余裕がない・・・・(涙)
                時間できたら書きます。
                現代音楽ファンのみなさま(いないかもしれないが)ごめんなさい。

                ウィーン・フィル + ダニエル・バレンボイム 1回目

                0
                  Musikverein Großer Saal 2017年11月24日 19時30分〜21時55分

                  Wiener Philharmoniker
                  指揮 Daniel Barenboim
                  ピアノ Martha Argerich

                  Franz Liszt (1811-1886)
                   Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 Es-Dur

                  Gustav Mahler (1860-1911)
                   Symphonie Nr. 7 e-Moll

                  ウィーン・フィルのコンサートだが
                  この日は楽友協会主催。

                  アルゲリッチの高名は以前から知ってはいたけれど
                  ソリストにあんまり興味がなかったし
                  昨日、3時間くらいしか寝てなくて
                  リストのピアノ協奏曲は、最初から寝落ち覚悟で行った。

                  が・・・・

                  アルゲリッチって、舞台何にも見えないからわからないけれど
                  本当に76歳?????

                  ピアノの打鍵の強さが凄まじいのだ。
                  ピアノにマイクロフォンでも付いてるんじゃないか
                  と思える程の強さで
                  あのリストの豪華絢爛、超絶技巧満載のピアノを
                  すごいマッチョにダイナミックに綴って行く。

                  あまりにピアノの音量が凄いので
                  オーケストラも負けじとばかりに音量を上げて
                  ウィーン・フィルとは思えない
                  低音がむちゃくちゃ効いた
                  ずっしり重い音がして
                  ウィーン・フィルのいつもの上品さをかなぐり捨てて
                  ちょっと荒いか、と思える程のエネルギッシュな音。

                  途中でバレンボイムの歌声まで聴こえてくるし(笑)

                  いやもう、あまりにピアノが凄すぎて
                  せっかく寝ようと思って目を閉じていたのだが
                  全然眠れません・・・

                  リストって、こういう感じで
                  上品な奥さま、お嬢さま方が
                  きゃあああああっ!とか言いつつ
                  コンサート会場で失神したのか、って
                  なんだかストンとわかってしまう。

                  鳴り止まない拍手に応えて
                  アンコール・・・と思ったら
                  (舞台見えないからわからないけれど)
                  バレンボイムが
                  僕たち、ピアノの連弾をします。
                  曲目は「子供の遊び」です・・・

                  知らない曲だけどシューマンか何かかしら。
                  で、子供用だからそりゃプロ2人はアレなんだが
                  リハーサル本当にした?(いやそりゃ失礼だろう・・・)

                  マーラーの交響曲7番目当てで来たのに
                  リストで目を剥いて仰け反って悶えるとは思わなかった。

                  後半、マーラーの交響曲7番。

                  うわあああ
                  第1楽章から、低音が重い。
                  テンポも遅くて、ともかく重い。
                  低弦って、この曲、こんなにリズム刻んでたっけ
                  というほど、刻みがまざまざと聴こえて来る。

                  確かに埋葬行進曲と考えれば
                  よたってよたって、重くヨロヨロと歩くのは
                  わからんわけではないが
                  この曲って、こんなに陰鬱で重たかったっけ?

                  で、第2楽章の始めのホルンの掛け合いが
                  ああああああ・・・

                  客席の後ろから失笑が漏れてたもんなぁ。
                  いや、ホルンって難しい楽器だから
                  そ〜いう事もある、というより
                  その後のフレーズもあちゃ〜っというのがあったので
                  あれは楽器の不調だったんじゃないだろうか。

                  いやでもしかし、ここの掛け合いであれやられるとね(苦笑)

                  この楽章のコールレーニョも
                  バレンボイムの好みなのだろうが
                  まるで、それは打楽器ですか、という激しさで演奏される。

                  マーラーの交響曲は指揮者によって
                  ポリフォニーの重点が違うので
                  聴くたびに違う曲みたいに聴こえてくるのはわかるのだが

                  バレンボイムの指揮だと
                  どの部分も同じようにあくまでクリアに出しているので
                  メロディ・ラインが続かず、時々、非常に不思議な
                  しかも、こんなオーケストレーション薄かったっけ?という音に聴こえてくる。

                  第3楽章から金管の不調も治って
                  低音を思い切り強調して
                  ・・・うわあああ、これも重い。

                  で、ここ、弦がブワッと上に上がっていくフレーズがあるじゃないですか。
                  (すみません、シロウトなので・・・でもわかりますよね?)
                  もう少し、キレが良く上に上るんじゃないかと思っていたけれど
                  この部分のキレが全くなくて
                  なんか、ふにゃ〜っと上っていくバイオリンって初めて聴いた。

                  第4楽章が、私の頭の中のテンポと一致したので
                  あ、やっとワタクシ的にはまともになった、と
                  安心して聴いていたら

                  途中の部分で、どんどんテンポが遅くなって
                  ええええっ? ちょっと待って
                  これ・・・崩壊寸前かも
                  という位、本気でドキドキした。
                  7番は断片の繋ぎ合わせのような性格があるので
                  次のフレーズに入るところで持ち直してホッとしたが。

                  最終楽章のロンドではテンポをアップして
                  ワイルドにオーケストラを鳴らせたのは良いんだけど
                  あまりにワイルド過ぎて
                  あああ、また金管のアンサンブルに乱れが・・・

                  2楽章の時のカウベルも
                  お〜い、そんなにガラガラ鳴らして良いんですか?
                  という、派手なカウベルだったが

                  最終楽章になったら
                  もうカウベルが、バケツを数個ひっくり返して叩いているような
                  豪華絢爛、大盛り大サービスな響きである。

                  しかも途中でバレンボイムが
                  大声で、ラ〜ラ〜ラ〜 と歌ってるし(涙)
                  歌う指揮者は結構多いんだけど
                  オーケストラ聴いている時に
                  指揮者の歌声が入ると、ちょっと気が散るんですワタシ。

                  マーラーの交響曲7番って
                  ウィーン・フィルは2013年にラトルと録音しているし
                  決して馴染みのない曲ではないと思うのだが

                  なんか、すご〜くヘン。
                  もともとヘンな曲と言ってしまえば、それまでなので
                  様々な解釈があり得る曲ではあるのだが
                  重いはウエットだわ、ロマン派的部分の強調がある上に
                  オーケストラの不調もちょっと加わって

                  う〜ん (ーー;)

                  同じプログラムで何回もコンサートをするウィーン・フィルは
                  明日と明後日、土曜日・日曜日の定期公演
                  その後、火曜日のソワレ公演(これは私は行きません)
                  水曜日にはコンツェルトハウスで
                  総計5回コンサートをするので

                  きっと、明日・明後日は
                  全然違う演奏になっているんだろうなぁ。

                  いやでも、あの演奏で
                  終わったとたんに熱狂的なブラボー・コールって

                  有名なオーケストラと
                  有名な指揮者は(以下省略)

                  曲の解釈とかテンポについては
                  私はド・シロートなので、好みの問題と思うが
                  技術的に多少の問題があったのは確かで
                  それは、明日以降は間違いなく治っていると思う。

                  でもリストのピアノ協奏曲は
                  実に素晴らしかったので
                  あれを、あと3回聴けると思うと
                  ちょっと嬉しい私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  で、ここまで貶しておいて申し訳ないのだが
                  今週末のコンサート(土曜日・日曜日ともに2回、ヤンソンスとバイエルン放送響来るし)
                  もしかしたらブログ記事書けないかも・・・
                  水曜日の夕方には、まぁ、良いか悪いかはともかくとして
                  いったんは落ち着く予定なので
                  もしアップがなかったら
                  あああ、はっぱも苦労しておるのう・・・と思って下さい m(__)m

                  クラング・フォールム + エミリオ・ポマリコ

                  0
                    Wiener Konzerthaus Mozart Saal 2017年11月22日 19時30分〜21時45分

                    ERSTE BANK KOMPOSITIONSPREIS

                    Hannes Kerschbaumer
                     shurf I für Violine solo (2017 UA)

                    Beat Furrer
                     Kaleidoscopic Memories für Kontrabass und Elektronik (2016 OEA)

                    Hannes Kerschbaumer
                     schraffur für Vierteltonalakkordeon und Ensemble (2017 OEA)

                    Gérard Grisey
                     Quatre chants pour franchir le seuil
                      für Sopran und Ensemble (1997-1998)

                    Klangforum Wien
                    指揮 Emilio Pomàrico
                    ソプラノ Katrien Baerts
                    コントラバス Uli Fussenegger
                    バイオリン Sophie Schafleitner
                    アコーデオン Krassimir Sterev

                    オーストリアの銀行が毎年ウィーン・モデルンで作曲賞を出すのだが
                    今年は Hannes Kerschbaumer が受賞。

                    南チロル(イタリア領だがドイツ語とイタリア語の2ヶ国語圏)に生まれ
                    錚々たる作曲家に師事して
                    あちこちで賞を取って
                    ザルツブルクのモーツァルテウムで現代音楽の講座を持っていたようで
                    現在はインスブルック在住とウエブ・サイトに出ている。

                    この間 mumok で演奏された時は
                    へ?という感じだったので
                    (はい、シロウトでアホですから高尚な芸術はわかりません)
                    今回はどうだろう、というので来てみたら

                    遅刻しました (^^;;
                    ただ、既に演奏が始まっているのに
                    こっそりと後ろのドアから入れてくれたので
                    舞台は見えなかったけれど、音楽だけは聴く事ができた。

                    バイオリン・ソロの曲だが
                    1台のバイオリンとは思えない多彩な音色。

                    ・・・なんですけどね。
                    これって、子供がバイオリンをおもちゃにしている
                    って感じで、あまりまとまりがなくて
                    (いやきっと難しいセオリーがあるのだろうが)

                    ほら、現代芸術全般について
                    そんなのワタシでもできるわ
                    というような作品だったりする事があるじゃないですか。

                    大抵の場合は大いなる勘違いだという事は理解しているし
                    いわゆる専門教育を受けていない人たちの生み出す作品だって
                    凄い芸術作品になる場合もあるし

                    え〜い、何が言いたいか段々混乱して来たけれど
                    それは本当に作曲家が意図した「雑音」だったのだろうか?
                    (それとも特殊奏法の展示会とか・・・)

                    よくわかりません、ごめんなさい。

                    次の曲はコントラバスのソロとライブ・エレクトロニック。
                    これは舞台が見える席に座れたので
                    しっかりコントラバス奏者が見えて

                    信じられないような細かいボーゲンの扱い方。
                    普通の人なら
                    そんなに右手の振動は出来ませんが・・・
                    いや、そういうのが出来ないと弦楽器のプレイヤーにはなれないのか。
                    大昔、人間技とは思えないボーゲンの速さで
                    現代音楽を作曲したバイオリニストが居たなぁ。
                    (あれは人間離れした速度でボウを動かすのが目的みたいな曲だった)

                    ただ、凄い高音のところで弦を押さえて
                    すごいバイブレーションかけて右手でボウを動かして出てくる
                    不思議な音響に加えて
                    時々、その弓を見えないような速度で他の4つの弦に滑らせて
                    そこで出てくる音響を
                    ライブ・エレクトロニクスでループして聴かせたりとか
                    8分の曲だが
                    コントラバス奏者の身体の妙技と
                    コントラバスとは思えない高音に
                    コントラバスらしい低音の組み合わせと
                    背景として扱われる震えるようなビブラートに
                    メイン・メロディ?のオーナメントみたいな音が
                    ライブ・エレクトロニクスで繰り返されるのが面白い。

                    次は賞授与の対象になった曲で
                    アンサンブルで約14分。

                    指揮者は私が大好きなポマリコ。
                    何年も前から、指揮台にあがる時は
                    いつも紺色のセーター(上着じゃないぞセーターだ!)を着ていて
                    これもトレード・マークなんだろうな(笑)

                    ポマリコの指揮が好きなのは
                    主観的なものなのだが

                    こんなに感情的に現代音楽を指揮する人って
                    かなり珍しいと思う。
                    (非常に良い意味で言ってます)

                    だいたいが現代音楽の指揮の場合は
                    たぶんこの世のものとも思われない複雑至極天国地獄のような
                    奇妙奇天烈なリズムが書いてあると思われるので
                    指揮者はリズムをプレイヤーに指示するだけで精一杯というケースが多い。

                    ところがポマリコは、さすがに現代音楽に慣れているというか
                    複雑怪奇なリズムのキューも明確に出すと同時に
                    いわゆるクラシック音楽のような
                    しかもウィーン楽派からロマン派にかけての
                    大いに感情的にアプローチして良い(と思われる)曲と同じく
                    えらくチャーミングで可愛い。

                    割に強弱の激しい曲だったので
                    指揮者にしてはかなりの上背のある
                    スタイルの良い指揮者が
                    いわゆるクラシック音楽っぽく指揮しているのに
                    出てくるのが不思議なアトナールないしは不協和音たっぷりの
                    しかも雑音要素もたっぷりの現代音楽なんだもん。
                    その格差だけでもちょっと楽しい。

                    この作曲家、主観的に捉えると
                    「息」に拘りのある人なのかなぁ。
                    音というよりは(この間もそうだったけれど)
                    「呼吸音」的な要素が強いような気がする。

                    休憩の後はグリゼーの「限界を超えるための4つの歌」
                    スペクトル派の初期の作品だけど
                    かなり明確にメロディっぽいものが感じられる。
                    パーカッションが色々と使われていて
                    伝統的なリズム感っぽいものもあって
                    音響だけの作品ではなく
                    かなり「伝統的」要素が聴こえてくるので聴きやすい。

                    ソプラノが巧くて、美声で美人でスタイル良くて
                    ドレスがまた洒落ていて(見てるのそこかい!)
                    歌詞はフランス語なので一切わからないけれど
                    声と楽器のコンビネーションが見事。

                    ・・・と言っても
                    たぶん、相当部分は寝落ちしていたかと思う f^_^;)
                    (すみません、昨日、ずっと悪夢を見ていて・・・)

                    いつまで続くんだ、現代音楽 (ーー;) と思われている事は推測がつくが
                    あと、本当にもう少しなので
                    どうぞ我慢して下さいませ。

                    週末からはバレンボイムとアルゲリッチの4回戦とか(何だそれ)
                    ヤンソンスとバイエルン放送交響楽団のブルックナー8番とか
                    そこら辺は抜け目なくチケットを押さえているので

                    どうか本日も1クリックをお恵みいただけますよう
                    心からお願い申し上げます。


                    Theatro delle Allucinazioni + Yalda Zamani

                    0
                      Reaktor 2017年11月21日 19時30分〜20時45分

                      THEATRO DELLE ALLUCINAZIONI
                      フルート Alexander Wagendristel
                      オーボエ Sebastian Skocic
                      クラリネット Anna Koch
                      ファゴット Leonard Eröd
                      ピアノ Kaori Nishii
                      アコーデオン Alfred Melichar
                      バイオリン Bojidara Kouzmanova-Vladár, Julia Maly
                      ビオラ Daniel Moser
                      チェロ Maria Frodl
                      コントラバス Damián Posse
                      音響技術 Linda Steiger
                      指揮 Yalda Zamani

                      Shahriyar Farshid (*1990)
                       AMORPHEN IX for piano and string quartet (2015)

                      Alexander Kaiser (*1985)
                       Choke for four musicians (2016)

                      Grzegorz Pieniek (*1982)
                       Idyll fur six instruments (2014)

                      Anna Korsun (*1986) / Sergey Khimatov (*1983)
                       Rock. Scissoirs. Paper, children game for five musicians (2010 EA)

                      Yoav Chorev (*1988)
                       ahimsa for piano (2015-2017, UA)

                      Antonio Agostini (*1969)
                       Scene dal Teatro delle Allucinazioni per ensemble (2016, EA)

                      ちょっと郊外にある
                      外観も中も、半分破壊されたような
                      倉庫?ではないけれど
                      コンクリート打ちっ放し(しかもあちこちが剥がれてシミになっている)の
                      まぁ、すごい建物(昔の芝居小屋だったらしい)で
                      以前は ensemble reconsil という名前で活動していたグループが
                      新しい指揮者を迎えて
                      新しい名前で再出発。

                      最初に
                      曲はすべて続けて演奏されて(途中の拍手はなしって事)
                      途中にはインプロヴィゼーションが入り
                      会場の移動もある、とのスピーチ。

                      ウィーン・モデルン現代音楽祭の一環なので
                      結構な観客が入っている。
                      (しかし現代音楽祭の観客の4分の3以上が年配っていうのも
                       なんだかよくわからんわ・・・)

                      ドアを開けるとすぐに会場になっていて
                      外は雨で寒いし
                      当然ながら、会場内も、ものすご〜く寒い。
                      もちろん全員コート着たままで
                      (音楽家も一部コートを着ていた)
                      それでも寒い。

                      そんな寒い貧乏ったらしい(すみません)会場に
                      コンサート前にさりげなく入って来たのは

                      あ〜、今度ウィーン・フィルを指揮する予定の
                      大物指揮者ではないか・・・

                      ウィーン・モデルンのインテンダントが
                      この音楽祭は云々と説明をしている。

                      作曲家だか誰だかわからないが
                      前列に座っていた若い男性が飛んでいって
                      直前まで何か話し込んでいたが

                      そりゃプロの音楽家としては
                      名前を売っておきたいだろう・・・(笑)

                      来ている観客も、そこそこ気がついている人もいたようだが
                      そこらへん、ウィーンってすごいな、と思うのは
                      誰もサインをねだりに行かないし
                      プライベートで来ているんだからそっとしておこうという
                      暗黙の了解。
                      (日本だったら大変な事になっているかもしれない(笑))

                      作曲家については
                      生まれ年から見ると若い作曲家ばかり。
                      (たぶん、カタログ見れば詳細情報は載っていると思うけれど
                       いま、それを調べている時間がない ← ただの言い訳 ^^; )

                      この間みたいに
                      作曲家と音楽家の自己満足作品かなぁ、と思っていたら
                      これが意外に意外で面白かった(まぁ、自己満足は程度にかかわらずあるけど)

                      最初の作品は弦がトリラーで細かい音を出している中に
                      時々ピアノが入る、という
                      音響的にとても面白い作品。
                      ピアノの音が多少「浮いた」印象はあるけれど
                      ピアノがあるからこそ、弦のトリラー続きが退屈にならない効果もあった。

                      次の2つの作品は
                      既に記憶の彼方(すみません)なんだけど
                      トナールとは言わないが
                      親しみ易いフレーズがあったりして
                      ふ〜ん、これ現代音楽とは言え、楽しいじゃん、という印象はある。

                      会場のスペース変更。
                      次の間に行って、全員立ったまま
                      前で繰り広げられたのは

                      音楽家4人が
                      指揮者の指示とパート楽譜とで
                      紙を破ったり、擦ったり、揺らしたり
                      ハサミで切ったり、ハサミを音を立てて開け閉めしたり
                      1,5リットルのミネラルウォーターのペットボトルを揺らしたり

                      もちろんプレイヤーの前にはマイクがある。
                      (でなければ、そんな微かな音は聞こえない。
                       会場そのものはコンクリート打ちっ放しだから
                       音響効果は悪くないと思うのだが
                       来ている100人以上の客が
                       全員、コートを羽織ったままである)

                      面白い、というより
                      そういう事を、きちんと譜を見ながら
                      至極マジメにやっている音楽家(どこで音楽と関わりが?)たちが
                      何だか可愛い(アホみたいで)

                      しかし、この作品、何回リハーサルしたんだろ?
                      リハーサルのたびに大量の紙が屑になったんだろうなぁ。
                      まぁ、リズムだけの曲だから
                      リズム感のあるプレイヤーたちなら1回で済んだだろうが。
                      (なんて下世話な考え・・・いや、やっぱり生活費って(以下省略))

                      立っていた会場から
                      また椅子のある会場に戻る。
                      何人かは、なかなか戻って来ず
                      戻ってくる時も、他の人は全員座っているのに
                      ゆ〜っくりゆ〜っくり歩いて来るという
                      いや、本当に変わった人も結構いるもんですね。
                      (まぁ、そういう変わった人たちが多いのもウィーン)

                      なお、例の大物は会場移動の頃から
                      ひっそりと居なくなっていた(笑)
                      ・・・忙しい人だからね。
                      でも、この人、時々楽友協会の VIP 席に座っていたりするの。
                      プロの音楽家って、滅多に他の人のコンサートとか行かないのだが
                      この大人物だけは例外かもしれない。

                      ピアノの曲だが、これが一番長くて15分くらいだったのだが
                      これ、ピアノを鍵盤楽器として使っていない。

                      指揮者とピアニストが2人で蓋を開けたグランド・ピアノの
                      弦を弾いて音を出している。

                      しかもガムラン音楽かよ、みたいな音程から始まるし。
                      もちろん、これも音が小さ過ぎるので
                      マイクをピアノに突っ込んである。

                      う〜ん (ーー;)
                      こういうのはちょっと・・・
                      だって、あの音楽を、もっと音楽的に表現できる楽器だったら
                      何もピアノの弦を無理やり掻き鳴らさなくても
                      ハープでもギターでも
                      チターかハックブレットか
                      それにふさわしい音響を出す楽器があったように思えて
                      何も無理やりピアノを使わなくても、という印象。

                      最後はアンサンブルで
                      バイオリン、ビオラ、チェロに
                      フルート、クラリネット、ファゴット、オーボエが加わった作品。
                      (他にも楽器があったかもしれないが)

                      いや、すみません、これも楽しく聴けた作品なんですが
                      ファゴットを演奏していたプレイヤーが
                      たぶん、名前を見ておわかりの通り
                      親戚関係だろうと強く推測できるんだけど

                      国立オペラ座で歌っている誰かと
                      見た目が、ソックリの瓜二つで、区別つかない!!!!
                      しかも髪型まで一緒だ!!!!
                      (調べても親戚筋の言及は一つもないが
                       ↑という事は本人がそれを嫌がっている可能性が高い
                       ウィーン放送交響楽団のファゴティストだそうで
                       ううう、こうなってみると、舞台が見えない席が恨めしい)

                      すごく失礼な事だと理解はしているのだが
                      ファゴティストから目が離せなくて
                      (だって本当に本当に瓜二つ・・・)
                      曲の方は全然記憶に残っていない(ごめんなさい)

                      各作品が短かったというのはあるけれど
                      それにしても、この間の mumok での作品も短かったが
                      あの時よりも、ずっとバラエティに富んでいて
                      楽器奏法も、スタイルも、色々あって
                      全然退屈しなかった。

                      その意味では聴衆も楽しめる工夫が
                      多少なりとも凝らされていた、と言えるかもしれない。

                      ついでだが
                      指揮者が女性で
                      アルジェリア生まれのイラン人だそうだが
                      キュートだし
                      スタイル抜群に良くて
                      しかも着ている服が黒なんだけど
                      スタイルの良さと相まって
                      実に絵になる美しい指揮者だった。

                      美人を見ると
                      ついついオヤジに化してしまう
                      オバサンの私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



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