ウィーン交響楽団 + オロスコ=エストラーダ

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    土曜日のダブル・ヘッダーです。
    時系列に読みたい方は こちら からどうぞ。
    下は夜のコンサートの印象記です。

    Musikverein Großer Saal 2017年9月30日 19時30分〜21時35分

    Wiener Symphoniker
    指揮 Andrés Orozco-Estrada
    ピアノ Lilya Zilberstein

    Richard Strauss (1864-1949)
     Don Juan. Tondichtung, op. 20
     Burleske für Klavier und Orchester d-Moll, AV 85
     Macbeth. Tondichtung, op. 23
     Suite aus der Oper “Der Rosenkavalier”, AV 145

    夜は同じ会場でウィーン交響楽団のコンサート。
    もともとは明日のチケットだったのだが
    明日は・・・すみません、またジゼルに行く予定なので (^_^;)
    チケットを代えてもらって駆けつけた。

    オロスコ・エストラーダがトーンキュンストラーの首席指揮者だったのが
    2009年から2015年まで。
    この間、トーンキュンストラーのコンサートは日曜日の定期は
    全部行っているので
    オロスコ・エストラーダの指揮のもとで
    トーンキュンストラーのレベルが格段にアップする段階を
    しっかり観察していた(イヤな客である、すみません)

    オロスコ・エストラーダのもともと持っていた才能も
    どんどん花開いて行って
    ウィーン・フィルの定期の指揮台には立つわ
    (最初は代役だったが、次のシーズンでは正式に招聘されていた)
    ベルリン・フィルもフランス国立管弦楽団、ドレスデンにライプチヒ
    フランクフルト放送交響楽団とヒューストン交響楽団の首席となって
    世界中で大活躍するようになった。

    今回はウィーン交響楽団で
    全リヒャルト・シュトラウスのプログラム。

    で・・・・

    すみません、最初から最後まで
    力一杯の熱演で
    そりゃスゴイんだけど
    なんかもう、力が入り過ぎていて
    コンサート終わった後、ものすごく疲れました m(_ _)m

    ドン・ファンから、もう力いっぱいで、すごい音。
    もともとシンフォニー・オーケストラだから
    交響詩で物語を「語る」というよりは
    ほとんど交響曲的な「音楽」そのもので押し切っちゃった印象。

    うははは、すごいな・・・・

    次のブルレスケだけど
    ピアニストはリーリャ・ジルベルシュテイン。
    プログラムによれば、2015年からウィーン音楽大学での教鞭も取っているとの事。

    ちょっと色々と事情があって
    今のところ「音楽を楽しむ」以外のところに
    ひたすら興味が向かっているので
    音楽そのものを楽しめた・・・というよりは

    すごいなピアノのテクニック
    ・・・とか言うところに目が行ってしまって (^^;;

    その意味では、完璧なテクニックのピアノなんだけど
    だけど、なんか音楽が平坦。
    きっと私の耳と感覚がおかしいのだろうが
    最初から最後まで同じ調子に聴こえて来てしまう。
    すみません、感受性がない人は、これだからダメなんです・・・(反省)

    で、この音楽的平坦さって
    後半になったら、もっと目立って来て
    マクベスって、ものすごくドラマチックな曲だし
    確かにドラマチックに演奏はされているのだが

    あまりに人工的意図的ドラマチックさが見えてしまい
    しかもオロスコ・エストラーダが
    全部の拍を、しっかりしっかり振るので
    動きは確かにモダン・ダンスのようで美しいが

    見ていて疲れる (_ _)

    別に力を抜くなとは言わないし
    若い指揮者で体力あるから
    全部の拍子を振ってもらって構わないのだが
    でも、やっぱりせわしない。

    しかも最初から最後まで、力一杯だし。

    あれだけ指揮者に力が入っていると
    オーケストラも疲れるんじゃないかなぁ(余計なお世話)

    薔薇の騎士組曲も、これまた力が入っていて
    いや、このオペラ、ウィーンのクラオタだったら
    何回も何回も何回もオペラ座で観ているはずで
    (ちなみに「薔薇の騎士」はウィーンのオペラ座の中で
     確か最も上演回数が多い演目だったと思う)
    こんなに力瘤のできるような曲ではなかった・・・はずだ、たぶん。

    聴いてる方も、ついつい身体に力が入ってしまう。
    ともかく、シンフォニックと言えば良いのか
    フッと息抜きができる部分が全くなくて
    ドラマチックに演奏しているのはよ〜くわかるのだが
    遊びがないし余裕がない(ように聴こえる)

    そりゃ、薔薇の騎士ですからね
    しかも最後はワルツだしさ
    ウィーンのオーケストラなら血に染み付いていると思うんだけど
    それにしても
    オペラを演奏する機会の少ないシンフォニー・オーケストラの
    弱点と言ったら失礼な言い方だが
    マジメで力一杯でまっすぐでエネルギッシュな指揮者に
    しっかり応えてしまった最強職人軍団が
    これも力一杯演奏してしまうので

    そりゃ、巧い、むちゃくちゃ巧い。
    (ホルンの首席、すごい人が入った!!!)
    だけど・・・疲れるわ、これ。

    所詮はシロウトの印象記だから
    読者の皆さまはマジメに取らないように(笑)
    ・・・とついつい誤魔化す私に
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    ウィーン・フィル + ズービン・メータ 1回目

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      Musikverein Grosser Saal 2017年9月30日 15時30分〜17時25分

      Wiener Philharmoniker
      指揮 Zubin Mehta
      バイオリン Rainer Honeck
      チェロ Robert Nagy
      オーボエ Martin Gabriel
      ファゴット Sophie Dartigalonque

      Johannes Brahms (1833-1897)
       Tragische Ouvertuere d-Moll, op 81
      Joseph Haydn (1732-1809)
       Sinfonia concertante fuer Violine, Violoncello, Oboe,
        Fagott und Orchester B-Dur, Hob.I:105
      Bela Bartok (1881-1945)
       Konzert fuer Orchester, Sz 116

      秋晴れで気持ち良く晴れた土曜日の午後。
      久し振りの楽友協会のコンサートはチクルス外で
      発売初日に狙ったのだが
      チクルスの人が、貧民席で(比較的)良いところは
      既に押さえているので、まぁ、貧民席の普通の席。

      隣のふくよかなオジサンはよく見るから常連でチクルス持ちだろうが
      身体がはみ出して来る上に加齢臭が凄くて
      でもあんまり人の事は言えないから (^^ゞ

      ウィーン・フィルを楽友協会で聴くと
      いや、本当にこのオーケストラの音色って
      このホールで最も美しくなるなぁ、と納得する。

      ブラームスの悲劇的序曲の音の美しさと言ったら
      メータがものすごくドラマチックに
      ちょっと気恥しくなる位にドラマチックに演奏させたのもあるけれど
      押しつけがましくない、神経に触らない、微妙なバランスの音量で
      何と言う美しい響きを聴かせるんだ、このオーケストラは...

      このホールでこのオーケストラを聴くと
      問答無用で時々失神しそうになる。

      ハイドンの曲はウィーン・フィルのメンバーがソリストになって
      バイオリン、チェロ、オーボエとファゴットがソロのゴキゲンな曲。
      柔らかいオーケストラのチャーミングな音に
      アンサンブルを徹底的に理解しているメンバーの音が乗ると
      あぁ、もう、ちょっとこれ、たまらんです(涎)

      だって、各ソロがオーケストラとのアンサンブルだけじゃなくて
      ソロ楽器同士のアンサンブルを徹底的に合わせてるんだもん。

      もともとハイドンの音楽って
      純粋に楽しむための音楽でもあるけれど
      ものすごく親密な雰囲気で
      大ホールで1500人の聴衆が居るとは思えない。
      ファミリーや知り合いや、お友達が集まって、という温かさ。

      ひたすら楽しいハイドンの後、幕間を挟んで後半は
      バルトークのオーケストラのための協奏曲。
      好きなんですよ、私、この曲 ♡

      出だしの部分だけど
      きゃああああっ、弦の響きが
      しっかりポリフォニー出して
      この音色は・・・ これ、リゲティだったっけ?(・・;)
      いや、何ですかこのバルトーク。
      バルトークって、こんなに現代的な音色を持っていたっけ?

      メータがポリフォニーをこれでもか、と効かせて来て
      各パートの音がバランス良く、すべてが鳴るので
      その現代性が際立って聴こえてくるのに
      さすがのオーケストラの音色は
      絶対に鋭くならないという魔法。

      ブラームスで聴かせた演歌はどうした、という位
      感傷に溺れないポリフォニーで演奏してくれて
      エレジーのところも、お涙頂戴になっていなかったのは凄い。
      (あれはズブズブにも出来そうなフレーズだし・・・)

      すべてのパートがクリアに聴こえてくるのに
      全体としてのバランスが取れていて
      音色に透明感があって、柔らかくホールに広がって
      あぁ、こういうの聴いてると、正に身体的快感(どうせヘ〇タイです)

      例のウィーンのオペレッタの部分なんだけど
      聴いてひっくり返りそうになったのは
      これ、ただのウィーンへの感傷や懐かしさじゃないよね?

      だって、オペレッタの後に
      ウィーンっ子たちの、あの極端に皮肉で秘密主義の
      嘲り声が入ってるじゃないの・・・
      (いや、そんな事、今まで気づかなかった私も悪いが)

      何か色々とバルトークの晩年に思いを馳せてしまって
      ついでに自分も歳取ったなぁ、とか思って
      ちょっと切なくなったり胸が熱くなったり

      演奏終わって舞台を見たら
      ハイドンでソロしていたメンバーが全員オーケストラに入って
      しっかり演奏しているのを見て
      ぶったまげた(まぁ、ウィーン・フィル、いつもそうだけど(笑))私に
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      ジゼル 今シーズン4回目

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        Wiener Staatsoper 2017年9月28日 19時30分〜21時15分

        GISELLE
        Phantastisches Ballett in zwei Akten von Théophile Gautier,
        Jules-Henri Vernoy de Saint-Georges und Jean Coralli
        nach Heinrich Heine

        振付と演出 Elena Tschernischova nach Jean Coralli, Jules Perrot, Jarius Petipa
        音楽 Adolphe Adam
        舞台 Ingold Brunn
        衣装 Clarisse Praun-Maylunas
        指揮 Valery Ovsyanikov

        ジゼル Nina Poláková
        アルブレヒト Masayu Kimoto *
        ヒラリオン Andrey Kaydanovskiy
        ジゼルの母 Franziska Wallner-Hollinek
        ヴィルフリート Jaimy van Overeem
        クルランドの公爵 Kamil Pavelka *
        バチルデ Vanessza Csonka *
        農民のカップル Alice Firenze *, Leonardo Basílio *
        ジゼルの友人たち Elena Bottaro, Sveva Garguilo, Fiona McGee,
        Xi Qu, Rikako Shibamoto, Céline Janou Weder
        ミルタ Rebecca Horner
        2人のウィリー Rikako Shibamoto, Elena Bottaro

        読者諸氏から、あああああ・・・とため息が聞こえて来そうなのだが
        私だって、そろそろオーケストラのコンサートに行きたい・・・
        やっと週末から楽友協会のコンサートが始まるのが楽しみ。

        木本クンとカップリング予定だったマリアが降板してしまった(涙)
        で、ずっとニナ(ポラコヴァ)がジゼルを踊る事になった。

        リュドミラのジゼルを観た後で
        ニナのジゼルを観ると

        上品・・・・

        まぁ、リュドミラが下品というものではないのだが
        彼女の持っている雰囲気は(以下省略)

        ニナのジゼル、おとなしくて、控え目で、前半は病弱で
        そりゃもう上品でクラシカルなのだが

        木本クンは、踊らせたら誰よりも品があって巧い!!!(断言)
        スタイルもヨーロッパ男性だって滅多にない、というスタイルである。

        だけど、この演目、ダンスよりマイムが圧倒的に多いのだ。
        そりゃ、木本クンも一生懸命演技はしている。
        笑顔も多少引きつってるけど可愛いと言えない事もない。
        踊らせたら身体のラインは美しくてノーブルだけど
        マイムの時には

        えらく地味・・・・

        で、ニナと木本クンが組むと
        非常にクラシカルなんだけど
        この華のなさは何なんだろう (~_~;)

        いや木本クン、ステキなのよ。
        だけど、オレ様のオーラが全く欠けているというか
        凛々しいんだけど、モテ男っぽい狡さがないから
        ジゼルが惚れるのがよくわからん。

        アルブレヒトがマジメで誠実で、見た目は地味だけど
        長期間付き合うと、謙虚さや控え目なところに温かい気分で魅了される
        ・・・って、アルブレヒト、そういうキャラじゃないよね?!

        農民カップルにはアリーチェとレオナルドがデビュー。
        アリーチェはベテラン中堅でキュートで
        何でも踊れてしまうので安心してニコニコ観ていられる。

        レオナルドが頑張ってる!!!
        もともと大柄で手足長いから大きな技が映えるし
        ちょっと体操になってはいるけれど
        ザンレールもしっかりキマったし
        テクニック的には素晴らしいし
        元気いっぱい、頑張るぞ、張り切ってるぞ、というのが
        微笑ましくて可愛い (^^)

        レベッカのミルタは相変わらずエネルギーが横溢しているが
        あれは彼女の持ち味だからなぁ、ミルタの静けさには合わない。

        2人のウィリーの梨花子ちゃんとエレーナ。
        梨花子ちゃん、相変わらず頑張ってるし
        ラインも美しくキュートで表情も透明感があって良いんだけど
        ちょっと気負いが出過ぎちゃってるというか・・・
        頑張ってます、ほら、すごいでしょ、観て観て感が伝わって来ちゃう。

        あまり頑張り過ぎの観て観て感が出ちゃうと
        リュドミラになっちゃうので・・・
        そこまで頑張って張り切って野心的でなくても
        充分にキュートだから大丈夫なのに、と
        オバサンは観ながらちょっと心配になる。

        エレーナがどんどん良くなって来ている。
        このダンサー、以前は群舞の中でも別に目立つというタイプじゃなかったのに
        スタイル良いし、頭小さいし、腕も足も長くてポードブラがキレイで
        身体の捻り方もよく計算されていてしっかり観客にアピールするし
        表情が自然で気負っていないので
        踊っている時の無心なウィリーと
        カーテンコールの時の素直な笑顔がキュート。

        この演目のチケット発売が始まったのが5月だったので
        キャスト未定の状態でチケットを買い漁ったんだけど

        う〜ん・・・正直言って
        プリンシパルが欠けた状態でのジゼルは、かなりキツイわ。
        だいたいウィーンの国立バレエ団で
        演技抜群でジゼルを踊れるダンサーと言えば
        イリーナかオルガか(オルガはミルタの方が良いかも)
        ケテヴァンくらいだろう。
        清香ちゃんもクール・ビューティだからジゼルの役どころは合いそう。
        (全員産休中である)

        マリアは今回、出演しないけれど
        マリアは演技はすごく出来るけれど
        ジゼルのキャラクターに合うか、と言ったらちょっと・・・

        プリンシパル7人のうちの4人が産休中って
        まぁ、仕方ないと言えばそうなんだけど
        観客側からすると、かなり悲惨(涙)

        有名な演目だから、チケットは売れているから
        良いと言えばそれでも良いんだけど。

        今年の最終公演ではイオアンナがジゼルに抜擢されているのだが
        ちょっと色々な事情があって
        この日だけ行けない。
        (というより、行けるようになった時点でチケットは売り切れだった)

        まぁ、人生、すべてが思い通りに行く訳ではないし
        と言いつつ、結構、自分の好き勝手にやっている私に
        どうぞ1クリックをお恵み下さい。



        バナーが焼き芋だと言うのには別に何の意味もございません・・・

        ジゼル 今シーズン3回目

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          Wiener Staatsoper 2017年9月26日 19時30分〜21時45分

          GISELLE
          Phantastisches Ballett in zwei Akten von Théophile Gautier,
          Jules-Henri Vernoy de Saint-Georges und Jean Coralli
          nach Heinrich Heine

          振付と演出 Elena Tschernischova nach Jean Coralli, Jules Perrot, Jarius Petipa
          音楽 Adolphe Adam
          舞台 Ingold Brunn
          衣装 Clarisse Praun-Maylunas
          指揮 Valery Ovsyanikov

          ジゼル Liudmila Konovalova
          アルブレヒト Robert Gabdullin
          ヒラリオン Andrey Kaydanovskiy *
          ジゼルの母 Franziska Wallner-Hollinek
          ヴィルフリート Marcin Dempc
          クルランドの公爵 Igor Milos
          バチルデ Oxana Kiyanenko
          農民のカップル Nikisha Fogo, Richard Szabó
          ジゼルの友人たち Elena Bottaro, Sveva Garguilo, Fiona McGee,
          Xi Qu, Rikako Shibamoto, Céline Janou Weder
          ミルタ Gala Jovanovic
          2人のウィリー Rikako Shibamoto, Elena Bottaro

          またジゼルかよ、と呆れられそうだが
          バレエ追っかけで、今シーズンから
          とうとうファンの集まりのバレエ・クラブにまで入会した身なので
          ジゼルは見逃す訳に行かない。

          よって読者の都合は無視する(笑)

          今日、その当該のバレエ・クラブから
          ジゼルを踊る予定だったマリアが
          結局、全公演から降板というメールが入って来た。

          9月28日・10月1日公演は
          木本クンとニナ(ポラコヴァ)の組み合わせ。

          ・・・ちょっと、いや、かなりショックかも 😱

          まぁ、それはさて置いて
          本日のジゼルはリュドミラ姐さん(あら失礼)
          アルブレヒトは王子さまタイプのローベルト。
          この間の土曜日に見逃したカップルである。

          で、これが意外に良くてビックリした。

          リュドミラは何と言っても「華」があるのだ。
          どんなにアクが強いタイプでも
          年増の姐御に見えても(ごめん!)
          舞台に出てくれば、やっぱりそこだけ光が当たるような華やかさがある。

          ニナ(ポラコヴァ)もテクニック凄いし安定していて
          演技も巧くて素晴らしいのだが
          今ひとつ、バレエに観客が期待する華やかさには欠ける。
          地味で真面目なんですよ、全体的に。

          リュドミラの「小娘役」はリーズの結婚があって
          これはかなり浮きまくっていたが
          リーズは若手ダンサーも踊ったので
          別にリュドミラじゃなくて良いだろ、というのがあった。

          ジゼルだって前半は「小娘」役である。
          リュドミラ姐さんは、どう見ても「小娘」には見えず
          カマトトを気取っている海千山千
          ・・・・あっ、言い過ぎた、ごめんなさい (^^;;

          堂々としていてテクニックは鉄壁だし
          華やかだし、綺麗だし、見ていて何となく明るい気分にはなる。

          ローベルトとのラブシーンで
          リュドミラが拗ねたりすると、かなりわざとらしさがあるけれど
          ローベルトがひたすらマジメに愛情の篭った表情を見せるのが
          なかなか可愛くて
          おお、若手ダンサー、頑張っとるな、というおばさんの気分 (^o^)

          アンドレイはヒラリオンの役デビュー。
          このダンサーも演技派だから、細かい部分でのマイムが巧み。

          アルブレヒトに失恋してからのジゼルの狂乱の場は
          ニナの方が惨めったらしいリアルな感じだった。

          リュドミラの表情も、なかなか虚ろで良いのだが
          ニナのように髪振り乱して、という惨めさはない。

          まぁ、こういう狂乱というのは難しい。
          ダンスのテクニックだけでは表現しきれないし
          かと言って、演技がリアルって
          だいたい、失恋したからショックで死ぬっていうのが
          あり得ないシチュエーションだから、リアルもなにも・・・
          (ドニゼッティとか言い出す人がいると思うけど
           あれはコロラチューラを聴かせるためのだけの狂乱だ)

          農民カップルはニキーシャとリッチー。
          ニキーシャ、かなりキュートで魅力的。
          ナターシャみたいな小悪魔的な魅力ではなく
          素直でエネルギーの横溢している健康で若い農民ガール。
          細かいパの処理が見事で魅入られたし
          リッチーも、小粒でピリリという感じが嵌っていた。

          今回はガラがミルタ役。
          ガラは2011年にフォルクス・オーパーで
          ベジャールのル・コンクールを上演していた時から
          目を付けていたダンサー。

          大柄でスタイル良いから舞台で映える。
          腕が長いからポードブラがすごく綺麗に見えるし
          身体の軸がしっかりしていて安定感がある。

          しなやかさから言えばレベッカの勝ちかも。
          ただ、ミルタの冷酷さ、冷たさみたいな感じは
          ガラのダンスにはよく出ていたし
          ジゼルと対峙するところでも
          リュドミラ姐さんのオーラに
          堂々とボス的キャラでやりあっていたのは素敵。

          ウィリーたちって、まぁ、本当にキレイだな。
          この白いダンスの美しさは
          白鳥の湖の美しさにも匹敵する。

          エレナと芝本梨花子ちゃんの2人のウィリーも美しい。
          男性に恨みを持っている処女の幽霊とかには見えない(笑)
          もっと何か純粋な、感情のないような彼岸の透明感。
          恨みだのの世俗的な感情からは距離を置いている印象。

          さて、ウィリーとなったリュドミラだが
          男性を恨む幽霊になっても
          リュドミラの持っている華やかさは消えない(笑)
          本当にこのダンサー、出てくるだけで舞台が明るくなる。
          やっぱりキレイなのよ、多少年増に見えても。

          しかもウィリーになったジゼルは
          アルブレヒトを庇うという重要な役目はあるけれど

          基本的にはアルブレヒトは無視して(もともと死人なんだし)
          自分の世界で自己憐憫に浸りながら踊ってキマる役柄だから

          リュドミラ姐さんの
          ほら、見て見て、キレイな私を見て、のオーラが
          ばんばん舞台に飛んで来ても
          それはそれで絵になっちゃうのである!!!!

          ローベルトはもちろんパ・ド・ドゥのパートナーではあるけれど
          リュドミラ姐さんにしてみれば
          しっかり支えてなさいよ、程度の存在でしかない(極論)

          まぁ、このジゼルのウィリーがピカピカに舞台映えする。
          見事なド迫力。さすがプリンシパルのベテラン。

          アンドレイのヒラリオンは、これも迫力。
          エノよりちょっとダンスが不安定な分
          ウィリーたちに殺されるリアルさがある(不安定というのも演技かも?)

          ローベルトのアルブレヒトだが
          前半も演技はバッチリ決まってたし
          (愛の目付きがジゼルに無視されているというのはまぁ・・・)
          後半も、もの哀しげにジゼルのサポートをしていて
          ソロも頑張ってバッチリ決まったんだけど

          デニスの踊っていた最後の見事なソロって
          ローベルト、踊ってない・・・・?????

          踊れないから省略って・・・
          そういう事もあるのか。
          まぁ、海賊の時もローベルトとデニスのジャンプ違ってたし。

          マリアの降板に従って
          国立オペラ座のサイトの写真も
          マリアのジゼルからローベルトとリュドミラに変わったが
          残り公演は、最終日のイオアンナのジゼルを除いては
          全てニナ(ポラコヴァ)が踊る事になったのに

          国立オペラ座のプロモーションの動画が
          イリーナがジゼルで、エノがアルブレヒトで
          ミルタがオルガさま、というとんでもないキャストで残っている。
          (イリーナもオルガさまも産休中)
          ちょっと、いや、かなり悔しい気分なのだが
          木本クンのアルブレヒトに期待が高まる私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。



          ウィーン交響楽団 + トマーシュ・ネトピル

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            久し振りに日曜日のダブル・ヘッダー。
            時系列に読みたい方は こちら からどうぞ。
            下は夜のコンサートの勝手な印象記です。

            Wiener Konzerthaus Großer Saal 2017年9月24日 19時30分〜21時30分

            Wiener Symphoniker
            指揮 Tomáš Netopil
            ソプラノ Simona Šaturová
            バスバリトン Adam Blachetka
            コーラス Wiener Singakademie

            Johannes Brahms (1833-1897)
             Tragische Ouverture d-moll op. 81 (1880)
            Antonín Dvořák (1841-1904)
             Te Deum op. 103 für Sopran, Bass, Chor und Orchester (1892)
             Symphonie Nr. 6 D-Dur op. 60 (1880)

            日曜日の朝8時から
            自宅地下でご近所さんサウナに入って
            11時からバレエを見て
            午後に少しお昼寝しよう・・・とか思っていたのに

            料理して仕事して、その他色々やっていたら(秘密)
            お昼寝している暇もなく
            10分のうたた寝で、そのままコンツェルトハウスへ。

            ウィーン交響楽団のチクルス初日。
            コンツェルトハウスのスタッフはかなり変わって
            以前の人たちは年金生活に入ったんだろうなぁ。

            迎えた指揮者はトマーシュ・ネトピル。
            ビエロフラーベック亡き後を継ぐ若手のチェコの指揮者の1人。

            意外にチェコって指揮者を輩出しているんだなぁ。
            ヤクブ・フルシャも活躍しているし。

            でもチェコの若手指揮者がオーストリアに登場すると
            何故かこぞってチェコの作曲家のプログラム。

            まぁ、歴史的にチェコはオーストリアと対立してますし(笑)

            最初はブラームスの悲劇的序曲。
            あ〜、久し振りにウィーンのオーケストラを
            コンツェルトハウスで聴くという快感・・・
            外国のオーケストラの様々に違う音響ではなくて
            聴き慣れた、ある意味、安心できるホームグラウンドの音。

            ウィーン交響楽団の明るい音って
            やっぱりコンツェルトハウスの大ホールにすごく合う。
            ブラームスの「悲劇的」なのに
            割に冷静でズブズブの感傷にならないのに
            ブラームスらしい和声は充分に歌わせるという芸当をやってのける。

            ドボルジャークのテ・デウムなんて初聴き。
            (教会音楽苦手で逃げているせいもある)

            プログラム読んだら
            ブラームスがこの作品にコメントして曰く
            ボヘミアによる、ウィーンとベルリンの破壊を祝って演奏される曲
            ・・・と書いてあったが

            きゃ〜〜っ、ブラームス天才(笑)
            出だしを聴いた途端に
            えっ?これ本当にドボルジャーク?ヤナーチェックじゃないの?
            と思わせる程に
            ボヘミアのリズムや民族的なエレメントが精一杯詰め込まれていて
            宗教曲って感じじゃないわ、これは。

            それも道理で、元々はアメリカのスポンサーから
            コロンブスのアメリカ発見400年記念のための
            世俗的カンタータを作曲する依頼があって
            その「世俗的カンタータ」のテキストが長過ぎたので
            このテ・デウムを作曲したらしい。

            4部(=4楽章)に分かれてアタッカで続く
            交響曲のような構成を持った20分くらいの曲。

            ティンパニの刻むリズムが面白くて舞台を見ていたら
            隣のパーカッション2人のうち
            1人はシンバル
            もう1人は右手で大太鼓を叩いて、同時に左手でトライアングルやってた。
            (右手・左手は違うリズムである)
            手品を見てるみたいで、ちょっと目が離せなかった(何を見てるんだワタシ)

            宗教曲は苦手なのだが
            純粋にボヘミアがウィーンとベルリンをなぎ倒す音楽として聴けば
            すごく楽しい(ちょっと誤解があるけど、それはまぁ、さて置いて)

            後半には楽しみにしていたドボルジャークの交響曲6番。
            田園的な交響曲だし
            チェコのダンスの要素たっぷりの
            ともかくチェコ・チェコした曲で

            ネトピル、ウィーンに喧嘩売ってんのかい?(ウソウソ)

            この曲がもう見事に良くて、うっとり (⌒⌒)
            オーケストラの音色に透明感があって
            スッキリ爽やかな秋晴れの気分。
            (ちなみに外は曇りで寒い)

            金管楽器・木管楽器、最高!!!!
            ウィーンの音で、柔らかくチャーミングに
            抜けるようなクリアさと爽やかさで
            ちょっと泥臭い(はずの)チェコではなくて
            チェコの音楽なんだけど
            ウィーンで水に洗われて洗練されて都会的になった感じ。

            リズムはバッチリ決まっているし
            弦のアンサンブル、あれだけ細かい部分が多いのに
            音符を全く潰さずに、ぴったり揃ってのアンサンブルを聴かせてくれる。

            ああああ、やっぱりウィーンのオーケストラ、素敵!!!
            これだけチェコっぽいものを演奏させても
            絶対に泥くさくならないエリート臭が漂うところが
            ほとんどイヤミっぽくて、実はこういうところ、すごく好き(笑)

            しかも今日の演奏、全体のバランスが理想的で
            これは指揮者の腕なんだろうか。

            最後にオーケストラ、むちゃくちゃ煽られてたけれど
            微動だにせず、バッチリ付いて行った気迫が凄まじかった。

            トランペットもホルンも金切り声にならず
            オーボエもアニメ声にならず
            品があって奥行きがあって
            この爽快感、すごいわ。

            ドボルジャークって、新世界よりばっかり演奏されるキライがあるけれど
            他の交響曲、素敵なものがたくさんあるので
            もっとナマで聴きたいわ、と
            切望する私に
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。


            ジゼル 今シーズン2回目

            0
              Wiener Staatsoper 2017年9月24日 11時〜13時15分

              GISELLE
              Phantastisches Ballett in zwei Akten von Théophile Gautier,
              Jules-Henri Vernoy de Saint-Georges und Jean Coralli
              nach Heinrich Heine

              振付と演出 Elena Tschernischova nach Jean Coralli, Jules Perrot, Jarius Petipa
              音楽 Adolphe Adam
              舞台 Ingold Brunn
              衣装 Clarisse Praun-Maylunas
              指揮 Valery Ovsyanikov

              ジゼル Nina Poláková
              アルブレヒト Denys Cherevychko
              ヒラリオン Eno Peci
              ジゼルの母 Franziska Wallner-Hollinek
              ヴィルフリート Marcin Dempc
              クルランドの公爵 Igor Milos
              バチルデ Oxana Kiyanenko
              農民のカップル Natascha Mair, Dumitru Taran
              ジゼルの友人たち Elena Bottaro, Sveva Garguilo, Fiona McGee,
              Xi Qu, Rikako Shibamoto, Céline Janou Weder
              ミルタ Rebecca Horner
              2人のウィリー Rikako Shibamoto, Elena Bottaro

              9月22日に鑑賞した時とキャストは同じ。
              まぁ、普通の感覚なら、何回も観ないのだろうが
              舞台なんて、全く同じものは一つもないので(含む音楽)
              その場の一瞬でしかない芸術を
              最貧民席10ユーロで観られるのは
              ウィーンならではの楽しみ。

              まぁ、10ユーロの席は
              運が良ければ、立てば見える(席によっては多少舞台が欠ける)という
              だったら立ち見席に行けば・・・・と
              数年にわたって思ってはいるのだが(笑)
              ↑どうせ立っているので同じだし、立ち見席の方が視界は良い。

              今回のジゼル公演だが
              驚くべき事にオーケストラがなかなか見事で
              いや、そりゃウィーン・フィルのメンバー様たちだから
              オーケストラは素晴らしい筈なんだけど
              バレエの時って、ちょっとあのその、あちゃーって言う事も時々あるのだが

              今回の音楽は非常に落ち着いている。
              コンマスはこの間と同じくダナイローヴァ女史。
              バイオリンのソロも素晴らしいけれど
              後半のヴィオラのソロが・・・・いやもうこれ絶品です ( ̄  ̄)

              群舞もかなり落ち着いて来た感じで
              それぞれのダンサーがしっかり踊っていて安心感がある。
              多少バラバラなのは
              これはもうウィーンの個性なので
              お人形さんみたいにきっちり揃っているよりも人間っぽくて良い(笑)

              ニナ(ポラコヴァ)の鉄壁のテクニックと
              自分を如何にして見せるかを周知したダンスは素晴らしい。
              雰囲気がちょっと暗いタイプなので
              裏切りの後からウィリーの後半がぴったりハマって
              悲劇のオーラがバンバン飛ぶ。

              いや、このジゼルというストーリー
              熱心な読者はご存知の通り、ダダ・マシロが
              コンテンポラリーで読み替えをしていて
              何回かブログにも載せた。

              もとがハインリヒ・ハイネが紹介したウィリー伝説で
              ウィキで調べると
              結婚を目前にして亡くなった娘たちの亡霊が
              迷い込んで来た男性を殺す、という言い伝え。
              更に、結婚直前で男性に裏切られたというのが加わるようで

              男性に恨みを抱いた怨霊・・・・って
              ちょっと、いや、かなりコワイ。
              日本でも居るよね、お岩さんとか。

              日本の場合は美人の幽霊というよりは
              恨み辛みの、しかも汚れの文化があるからだろうが
              見た目も崩れてしまって
              若い美人でなくなるのは何だか残念な気がするが
              そこらへんで対照文化論とか出来ませんかね?

              ヒラリオンなんか、ジゼルを愛していて
              君の恋人は君を騙してるだけだよ、とアドバイスしただけなのに
              取り憑かれて殺されちゃうし
              女性の怨霊って、見境なしか。
              (でもヨーロッパではそのコワイ怨霊がみんな美人・・・)

              だいたい、こういう伝説は男性目線で作られているケースが多く
              見境なしの若い娘の怨霊という幻想は
              古今東西、男性が女性を裏切ると
              後がコワイぞ、という警告・・・というのは深読みし過ぎか。

              しかもジゼルがアルブレヒトを庇って
              永遠の愛を・・・・っていうのは
              これは間違いなく男性の都合の良い妄想であろう。

              でも男性目線の後半のジゼルの
              あの静謐さ、純粋さ、この世のものではない存在の透明さはすごい。
              ニナ(ポラコヴァ)のウィリーのジゼルの美しさは
              静けさ、たおやかさ、透明さを兼ね備えて、本当に美しい。

              デニスのアルブレヒト
              ともかくテクニックが抜群で
              回転技の軸がま〜ったくズレないデニスの持ち味に
              大きなジャンプで身長を感じさせないし
              「モテ男」のオーラが中途半端じゃなく出ていて
              デニス、実生活でもモテモテなんだろうなぁ、とか
              ついつい下賤な邪推を・・・・(あっ、ごめんなさい)

              エノのヒラリオンは前半はマイムだけなのだが
              エノのマイムが巧いのだ (^o^)
              舞台中央で仁王立ちしているだけで絵になるんだもんなぁ。

              後半の呪い殺されるところでは
              あまりに均整の取れた美しいジャンプとピルエットを
              次から次へと苦もなく踊ってくれてしまうので
              あんまり呪い殺されるというハードなシーンに見えない。
              テクニックと体力のあるダンサーの意外な弱点?(笑)

              レベッカのミルタは、ダンスは完璧で
              安定していて滑らかでこの上なく美しく
              ため息が出るほど素晴らしいのだが

              私の偏見、というより先入観で
              春の祭典やヨゼフの伝説の時のイメージが強過ぎて
              どうしても芯から冷たい死者のボス、というよりは
              活き活きとした熱い心を隠している芯が強い女性に見えちゃう。
              (この間も書いた通り、こういうエネルギーのダンサー、私は好き)

              ジゼル役は今回の一連の公演では
              ニナ(ポラコヴァ)とデニスのカップリングの他に
              リュドミラとローベルト(もう今から想像がつく)
              マリアと木本クンの公演が(現時点では)2回あって
              10月の最終公演ではイオアンナがジゼルのデビュー。

              欲を言えば
              私、どうしても将来、ケテヴァンのジゼルが見たい!!!
              あのケテヴァンのすごい演技力とオーラでジゼル踊ったら
              (エイフマンの「赤いジゼル」の時、凄かったし)
              特に後半のウィリーのシーン
              この間プロイエットで見せてくれた
              あの女性らしい透明感に溢れるジゼルになるんじゃないかと・・・
              監督、お願いします!!!

              肝心なケテヴァンは産休中なのに
              今から勝手に配役決めちゃうという
              恥知らずバレエ・オタクの私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。


              美しきエレーヌ コーミッシェ・オーパー・ベルリン

              0
                Festspielhaus St. Pölten Großer Saal 2017年9月23日 18時〜21時20分

                Komische Oper Berlin
                DIE SCHÖNE HELENA
                Opéra bouffe in drei Akten von Jacques Offenbach
                Libretto von Henri Meihac und Ludwic Halévy

                指揮 Stefan Soltesz
                演出 Barrie Kosky
                振付 Otto Pichler
                舞台 Rufus Didwiszus
                衣装 Buki Shiff
                ドラマツルギー Johanna Wall
                照明 Diego Leetz

                エレーヌ(ヘレナ) Nicole Chevalier
                パリス Tansel Akzeybek
                メネラウス Peter Renz
                カルカス Stefan Sevenich
                アガメムノン Dominik Köninger
                オレスト Maria Fiselier
                アジャックス I Tom Erik Lie
                アジャックス II Philipp Meierhöfer
                アキレウス Uwe Schönbeck
                侍従 Karlheinz Oettel
                アコーディオン Yuri Tarasenok

                ダンサー Zoltan Fekete, Paul Gerritsen, Hunter Jaques
                Christoph Jonas, Michael Fernandez, Lorenzo Soragni

                オーケストラ Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
                コーラス Chorsolistinnen und Chorsolisten der Komischen Oper Berlin
                コーラス指導 David Cavelius

                国立オペラ座のジゼル2回目のチケットは確保済みだったのだが
                サンクト・ペルテン祝祭劇場で
                ドイツ・ベルリンのコーミッシェ・オーパーの公演があると聞いて
                飛びついた。

                だって、以前の「魔笛」があまりに良過ぎて・・・
                あんなのウィーンのカンパニーだったら絶対にやらないし。

                今回はジャック・オッフェンバックのオペレッタ
                美しきエレーヌ

                オッフェンバックの「地獄のオルフェ」と「パリの生活」は
                フォルクス・オーパーで上演した事があって
                地獄のオルフェの方は大笑いできる素晴らしさだったが
                この美しきエレーヌは観た事がない。

                オーケストラ・ピットの前にも花道みたいなものが作ってあって
                この狭い花道を効果的に使っているのだけれど

                あの狭いところに大人数がドッと押し寄せたり
                ローラースケートの登場人物やダンサーたちが走っていると
                数ミリのミスでオーケストラ・ボックスに落ちそうでコワイ。

                筋書きはかなり手が入っている(ように見える)し
                プログラムの筋書きも詳しくない上に
                セリフもドイツ的ドイツ語でちょっと分かり難くて
                (ええ、ここオーストリアですし。だから何?)
                歌の内容のドイツ語なんか、全くわからん。

                幕間に隣の年配女性が
                「凄いわね。でも私、ストーリーが全然わからないんだけど
                 あなた、お分かりになって?」
                「いや、私もストーリーわからないけれど、でも楽しいじゃございませんの」
                ・・・という会話をしていたので
                あぁ、これは別に私のドイツ語能力だけの問題ではないのか、と納得。

                途中でちょこちょこフランス語が入るので
                フランス語わかったらもっと面白かったのかも。

                エレーヌ(ヘレナ)の登場がうははははは・・・
                男性ダンサーに持ち上げられたり、凄い格好で歌っている上に
                この女性歌手、声を自由自在に使って
                ネコみたいな叫び声はあげるわ
                もちろんオペラのベルカントは抜群なんだけど
                その他にも色々な声を音色を持っていてビックリする。

                しかし、もっと凄いのが神官カルカス!!!
                神官なのに何故かカトリックの神父の格好をして
                十字架かけて出て来るのにはビックリするが

                たまごっちの体型で
                (いや、あれ、腹のところは何か詰め物をしているだろう)
                身体が柔らかくてバレエの素養があって
                歌いながらピルエットはするわ
                ローラースケートでダンスはするわ
                何ですかこの芸達者な歌手は・・・・

                芸達者と言えば、アガメムノンもローラースケート履いて
                他のダンサーと一緒にばっちりダンスする。

                いやアガメムノンが名乗る時に
                リヒャルト・シュトラウスのエレクトラのメロディが(爆笑)

                カルカスが蓄音機でレコードを聴く場面なんか
                蓄音機から奏でられるのはリヒャルト・ワーグナーです ^o^

                更に・・・
                ビーナスの使いが手紙を届けにくるところって
                マーラーの交響曲6番で手紙が届くのだ。
                (オーケストラが開演前の音出しでマーラー吹いていたので
                 何じゃこりゃ、と思ったら、ちゃんとここで演奏が・・・!!!)

                ドラマチック場面ではベートーベンの「運命」が鳴り響くし。

                実は演出家、色々と弄っていて
                だいたい、プログラムのキャスト表を見た時
                アコーディオンって何だ? そんな役があるのか? と思ったら
                後半の出だしは
                アコーディオン伴奏によるエレーヌの歌う
                エディット・ピアフですから
                (しかも Non, je ne regrette rien だよ、わっはっは)

                シャンソンはもう一曲、メラネウスも歌うんだけど
                これは誰のだろう?

                パリスを演じたテノールがまたチャーミング ♡
                本当にテノールらしい高い声で(ほとんどファルセットか)
                声の使い方も素晴らしいし伸びるし
                でも、うるさいヘルデン・テノールじゃなくて
                あくまでもリリックで、ヤサ男。

                それにこの人も演技できるし踊れるし
                ちょっと勘違いヤロウのパリスがすごくコミカル。

                エレーヌとのラブシーンがもう爆笑モノで。
                夢だから良いのね、夢だから良いのよ、と
                どんどんエスカレートするのがかなりリアルなんだけど
                まぁ、周囲にお子ちゃまはいなかった(と思う)のでオッケー(笑)

                お子ちゃまいたらヤバかったシーンもかなりあって
                最初からダンサーのドレスが
                魅力的なお尻を隠さずのヨダレものドレスで(あっ (^◇^;)

                弱っちいメネラウスは車椅子で登場するのだが
                後半では怒りと欲望で立ち上がってエレーヌがビックリしたりして
                このテノールがまた、何とも弱いヤサ男の中年の(歌手は若い)
                美しい奥方に振り回される弱い老年男性の悲壮がなかなか見もの。

                演出、ダンスの振付がともかく見事。
                (ちょっとミスしたらオーケストラ・ピットに落ちる)

                いや、確かにちょっとヤリ過ぎか、と言う程に
                楽しませようというサービス精神が全体に弾けていて
                しかも弾け方が半端じゃない。

                前半は2時間近くで、かなり長かったのに
                長さを全く感じさせず
                中だるみもなくて素晴らしかった。

                休憩含めて3時間半の上演時間はかなり長いし
                舞台の変換もなくて
                せいぜいソファくらいが舞台装置で出て来るだけで
                ビデオ投影とかも全くないあの舞台で

                よくぞ、衣装とドラマツルギーと歌と踊り(!)で
                あれだけの物を作り上げたものだと驚嘆続き。

                いや〜ん、これ、もう1度観たい・・・
                明日9月23日の18時からもう一度公演があるんだけど
                (しかもチケットまだあるし(高いけどベストの席だって60ユーロ以下だ))
                でも明日の夜はコンツェルトハウスでウィーン交響楽団のコンサートだし
                ・・・・と、実はまだまだ迷っている私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                サンクト・ペルテンのトレイラーがあまり良くなかったので探したら
                2014年のドイツのテレビ番組(評論番組)に出ていた方がよくわかるので貼っておきます。
                このオペレッタのクリップは6分40秒あたりから。





                ジゼル 今シーズン1回目

                0
                  Wiener Staatsoper 2017年9月22日 19時30分〜21時45分

                  GISELLE
                  Phantastisches Ballett in zwei Akten von Théophile Gautier,
                  Jules-Henri Vernoy de Saint-Georges und Jean Coralli
                  nach Heinrich Heine

                  振付と演出 Elena Tschernischova nach Jean Coralli, Jules Perrot, Jarius Petipa
                  音楽 Adolphe Adam
                  舞台 Ingold Brunn
                  衣装 Clarisse Praun-Maylunas
                  指揮 Valery Ovsyanikov

                  ジゼル Nina Poláková
                  アルブレヒト Denys Cherevychko
                  ヒラリオン Eno Peci
                  ジゼルの母 Franziska Wallner-Hollinek
                  ヴィルフリート Marcin Dempc
                  クルランドの公爵 Igor Milos
                  バチルデ Oxana Kiyanenko
                  農民のカップル Natascha Mair, Dumitru Taran
                  ジゼルの友人たち Elena Bottaro, Sveva Garguilo, Fiona McGee,
                  Xi Qu, Rikako Shibamoto, Céline Janou Weder
                  ミルタ Rebecca Horner
                  2人のウィリー Rikako Shibamoto, Elena Bottaro

                  実は他にも農民とかワイン屋さんの従業員とか
                  もちろん、あの有名なシーンのウィリーたちもたっぷり登場して
                  ウィリーやワイン屋さんには丁子蒼さんも入っているし
                  男性ダンサーの中には私の注目株も何人か入っているのだけれど
                  全員書き出すのが異様に面倒なので、どうぞご勘弁を。

                  フォルクス・オーパーではバレエは
                  例のストラヴィンスキー3部作がもう始まっているが
                  (すみません、もう充分に観たのでちょっと・・・・)
                  オペラ座では、このジゼルにてシーズン開幕。

                  上記にワザと * を付けなかったのは(* は役デビュー)
                  ほとんどのダンサーに * が付いていたから・・・

                  そう言えば、ジゼルっていつ最後に観たんだっけ?
                  と、この記録の中をサーチしてみたら

                  2011年の6月14日と16日。
                  うわああああ、6年前ですか。

                  しかも2011年の6月14日はイリーナがジゼル踊ってるし
                  農民のカップルは橋本清香嬢と木本全優クンだし
                  更に、ミルタはオルガさまだし ♡

                  イリーナもオルガさまも清香ちゃんも、ケテヴァンまで
                  全員、現在産休中。

                  プリンシパル女性ダンサーで残っているのは
                  マリアとリュドミラとニナ(ポラコヴァ)だけ。

                  土曜日に踊る筈だったマリアが病気というので
                  土曜日にリュドミラが入り
                  リュドミラだった予定の日曜日はニナが入り
                  ・・・というように、どんどんズレて配役が変わるので油断がならん。

                  さて本日はニナ(ポラコヴァ)とデニスのカップリング。
                  ヒラリオンはエノ。

                  ニナは演技派だし、身体のラインが美しい・・・けれど
                  ううううう
                  やっぱり前半では
                  どう見ても「田舎の純粋な少女」には見えない。
                  身体が弱い、ちょっと年増のお姉さんに見える。

                  農民少女たちが、たぶん、バレエ学校のメンバーも含んでいたので
                  若々しくて初々しいので
                  ニナの落ち着きぶりがますます目立っちゃったかも。

                  ヒラリオンのエノも演技派だし
                  エノこそ「大人」だし
                  身体の芯がしっかりしていて安定した演技とダンスを見せてくれて
                  ものすごく魅力的なヒラリオンだわ。
                  ジゼル、なんでヒラリオンを袖にしてアルブレヒトに行くの?

                  とは言え、アルブレヒトのデニスもまた魅力的。
                  こいつ、いつからこんな「俺さま」のオーラを纏ったんだろ?
                  モテ男のちょっとバジルみたいな感じで
                  婚約者が居るのに村娘にちょっかい出すチャラ男という感じ。
                  それがまた、ちょっとやんちゃな感じで合っているのだ、わっはっは。

                  農民カップルのナターシャとドミトル。
                  ナターシャは・・・あああああ、もうもうもう
                  ますますそのキュート振りに磨きがかかって
                  テクニックの抜群の安定感で
                  しかもあんなキュートな表情で踊られたら
                  ハートに直撃、以外に何も言えないわ。

                  対するドミトルは、まだちょっと不安定・・・というより
                  テクニック追い掛けるのに精一杯というイメージ。
                  でも、しっかり踊れてはいるから慣れてくれば余裕が出るだろう。

                  マイムばかりで踊るところはないのだが
                  公爵役のイゴールが
                  重厚で素敵な衣装にぴったり嵌って
                  えらく魅力的だった ♡

                  バチルデのオクサーナも堂々としていて気品があってステキ。
                  演技力もニナに劣らず、ニナとバチルデの丁々発止を
                  貴族的優雅さでこなしていたのは持って生まれた気品だなぁ。

                  最初にデニス、いやアルブレヒトに言い寄られる時
                  ニナ、いや、ジゼルはイヤイヤをするんだけど

                  え〜っと、ニナ、その表情、本当に嫌がってるように見えるけど(笑)
                  昔だったら
                  いやよいやよも好きのうち
                  ・・・とか言っていられるが
                  今の時勢でそんな事言ったら、女性の人権無視で訴えられるからね。

                  でもデニスの「オレさまはモテる」オーラに引き込まれて
                  楽しいダンスを踊ったり
                  ちょっとシャイなチャーミングさが
                  ニナの大人っぽさと多少ちぐはぐなのだが、まぁ、それは言うまい。

                  ニナが凄いのは
                  デニス、あ、いや、アルブレヒトに
                  騙されていた事がわかった後のシーンである。

                  私が好きじゃないオペラと同じように
                  失恋して死んじゃう女主人公なんだけど
                  その前のニナの、「体が弱いんです」の演技がしっかり効いていて
                  髪の毛を乱して
                  狂乱・・・というより「混乱」して息絶えるところがリアル。
                  また、あの部分を、ヘンに大袈裟な狂乱にしなかったのは見事。

                  後半はウィリーですよ〜〜〜、白いダンスです〜〜〜 \(^o^)
                  いやもう、これこそ古典バレエの醍醐味だろう。

                  レベッカのミルタが、ものすごく優雅でしなやか。
                  ミルタって、もっと冷たい冷たい硬いイメージなんだけど
                  レベッカって、出てくるだけで生命力に溢れていて
                  舞台に出た時のオーラがすごいので
                  どんなにミルタ(=死人だよね一応)っぽくしても
                  その静けさの中に横溢する生命力のオーラを宿して
                  私、こういうダンサー、すごく好きだわ。

                  しかも生命力の強いしなやかなミルタと対照的に
                  ニナの幽霊っぷりが目立って来る。

                  たおやか・・・というのは、こういうのを言うのか(驚嘆)

                  この世のものではない幽玄なジゼルの
                  息もしていないような静けさが
                  たおやかに、高雅に、舞台でニナによって踊られる。

                  前半の村娘に多少の無理があっただけに
                  後半のジゼルの静けさに驚嘆してしまう。
                  テクニックがあるし
                  スタイルが良いから
                  一つ一つのポーズが、見事に静止してキマる。

                  ニナってジゼルを踊るのは初めて(役デビュー)なんだけど
                  バッチリ役柄に合ってるじゃないの・・・

                  デニスのテクニックは抜群だし
                  エノは唯一の見どころのヒラリオンのソロの技巧を
                  もう楽々、軽々と見せてくれちゃうし

                  デニスとニナのデュエットの時の
                  ビオラのソロが・・・・うわああああ、これは絶品!!!!
                  (ついつい舞台じゃなくてオーケストラ見そうになった)

                  芝本梨花子ちゃんの復活もバンザイ!!!
                  前半のジゼルの友人たちの群舞の後
                  後半では2人のウィリーのうちの1人を踊って
                  ボードブラがしなやかで実に美しくて
                  静けさを秘めたウィリーの可憐さに胸キュンだった。

                  ウィリーのアラベスクでの移動も美しかったし
                  群舞がちょっとバタバタしていたのはあるけれど
                  シーズン・オープニングの鑑賞に充分に堪える舞台だった。

                  1回だけどうしても行けない日があるけれど
                  それ以外は、これから超貧民席にて
                  ジゼルを追いかける予定の私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  サロメ 国立オペラ座

                  0
                    Wiener Staatsoper 2017年9月21日 20時〜21時45分

                    Richard Strauss
                    SALOME
                    Musikdrama in einem Akt, Text von Oscar Wilde
                    指揮 Simone Young
                    演出 Boleslaw Barlog
                    舞台・衣装 Jürgen Rose

                    ヘロデ Wolfang Ablinger-Sperrhacke
                    ヘロディアス Iris Vermillon
                    サロメ Gun-Brit Barkmin
                    ヨカナーン Željko Lučić
                    ナラボート Carlos Osuna
                    侍従 Ulrike Helzel
                    ユダヤ人 Thomas Ebenstein, Peter Jelosits, Jinxu Xiahou,
                    Benedikt Kobel, Ryan Speedo Green
                    ナザレ人 Alexandru Moisiuc Rafael Fingerlos
                    兵士 Wolfgang Bankl, Sorin Coliban
                    カッパドキア人 Jens Musger
                    奴隷 Alejandro Piazarro-Enriquez
                    Orchester der Wiener Staatsoper

                    オペラは滅多に行かないのだが
                    ちょっと嬉しいお誘いがあって
                    持つべきものは良き友人(またぜひよろしく(笑))

                    オペラ座の字幕システムが変わった事については
                    既にオペラ座のオープン・ディの際に呟いているが
                    画面が大きくなって
                    最初にドイツ語か英語かを選ぶと
                    その演目についてのキャスト表やあらすじなどが入っている。

                    ・・・で字幕はどうなってるんだろう???と思っていたら
                    直前に字幕が入ります、というダイアローグ・ボックスが出て
                    直前の字幕に6ヶ国語(だと思う)が入っている。

                    すかさずもちろん「日本語」をプッシュ。
                    何せ本当に直前なので
                    何語が入っているかなんてチェックしている時間もなかったが
                    英語・ドイツ語・日本語の他にフランス語もあったみたい。

                    ちなみに、日本語字幕を選ぶところは
                    ちゃんと日本語で「日本語」と書いてあって
                    ジャパニーズとか書いていないので、パッと目立つからご心配なく。

                    画面が大きくなった分
                    字も結構大きく、しかもかなりハッキリと表示されるので
                    非常に読みやすいし
                    日本語の翻訳、実に優秀 ♡
                    ちゃんとしっかりした意図を汲んだ日本語の翻訳になっていて
                    これはわかりやすい。

                    日本語は漢字とひらがな・カタカナのシステムで
                    パッと見たらすぐに読めるので、舞台もちゃんと見ながら鑑賞できる。
                    (ドイツ語だと、一つ一つアルファベット読むので
                     どうしてもそちらに気を取られて舞台を見るのが疎かになるのだ)

                    サロメは・・・うははは、私にしては
                    2013年・2014年に行ってる(同じ舞台の同じ演出)
                    2014年はグン・ブリット・バルクミンがサロメ役でデビューした公演。
                    この時はイリス・ヴァーミリオンも役デビューだった。

                    ・・・で、恥を忍んで告白すると
                    最近(いや前からだけど)生活が乱れていて
                    食事の後に眠ってしまう、というイヤな老人になってしまい
                    オペラの前に簡単にファースト・フードで食したのがアダになって
                    もう眠くて眠くて眠くて死にそうに眠くて
                    (K子さん、ごめんなさい!!!!)

                    でも、しっかり聴いてはいるし
                    時々意識が飛ぶけれど、日本語の字幕も舞台も見てるし(言い訳)

                    コンサート・マスターはシュトイデさんで
                    あんまりオーケストラ見えないけれど
                    チェロにはショモダリさんも居たようだ(だからあまり見えない)

                    このオーケストラ、リヒャルト・シュトラウスとか演奏させると
                    何でこんなに色っぽいというか巧いというか
                    背筋がゾクッとする程、魅力的でちょっと怖くてエロっぽい音を出す。

                    誰が指揮しても、これはあんまり変わらないんじゃないかと思う。
                    (すみません、別にシモーネ・ヤングを腐すつもりはございません)

                    で、やっぱりバークミンがもう圧倒的。
                    舞台上のフィギュアも絵になっているし
                    ちょっと小柄で
                    子供なんだけど、ませた子供で
                    いや、子供から大人になる時期の精神的不安定さと
                    ガキなのに自分では意識していない背徳的な色っぽさが
                    この役の中に様々な要素を溶け込ませて
                    すごい人物造形になっている。

                    ヨカナーンの首はあまりリアルではなくて、ちょっとホッとした。
                    (それとも私が反対側の髪の毛ばかり見える席だったからかなぁ)
                    あまり象徴的過ぎても迫力ないし、この生首は難しいところだが
                    演劇的側面からは巧く処理していたと思う。

                    ヘロデのテノールも素晴らしかった。
                    この人も見た目、絵になる体型の人で
                    ヴァーミリオンは背が高いのでノミの夫婦にはなるんだけど
                    サロメに踊りを強要するところや
                    ヨカナーンの首を要求されて右往左往する困惑のところなど
                    とてもリアルだし
                    声が透き通った美声で、声量も適切、ドイツ語のディクションも良い。

                    ヴァーミリオンの声量は・・・相変わらずでかい(笑)

                    しかし、こういう演目をやらせると
                    オペラ座の「普段」のレベルの高さがはっきり見える。
                    歌手のアンサンブルも安定していて
                    飛び出たり、引っ込んだりするバランスの悪さは一切なく
                    全体的に声量も音楽も声も演技も、高いレベルでバッチリ決まっていて
                    そこに入ってくるオーケストラの
                    これも色気たっぷりの背徳的な音色が、もうたまらない。

                    何とか生活を立て直して
                    ちゃんと起きていられるようにしなければ・・・(汗)

                    サロメはスタンダードなプログラムなのに
                    比較的売れていないのは何故だかわからないのだが
                    話がコワイとか
                    (まぁ、子供向きではないが、オペラってある意味愛憎劇だから大人用だよね)
                    演目が短いとか
                    (幕間なし2時間弱は、ワーグナーよりも楽だと思うけど)
                    そんな理由なんだろうか・・・

                    音楽はものすごく良いんだけどなぁ。
                    無駄な序曲とかなくてすぐに始まるしサクサク進むし
                    死ぬ死ぬ(はよ死ね)もないし(笑)

                    機会があったら、是非、ウィーンの「サロメ」を観て下さい。
                    また機会があったら行こう、と
                    ちょっと考えている私に
                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                    いやちょっとココでこういうバナー入れると
                    やばいかもしれないが(ヨカナーン!)
                    サロメとかナオミとかマノンとか
                    実はワタシ、すごく好きなんですよ。
                    イタリア・オペラで失恋で死んじゃう女性とかより
                    自己主張の強いヘン⚪イの女性の個性に憧れます。
                    ・・・・自分は(たぶん)違うので誤解なきよう f^_^;

                    RAI国立交響楽団 + セミヨン・ビシュコフ

                    0
                      Wiener Konzerthaus Großer Saal 2017年9月20日 19時30分〜21時40分

                      Orchestra Sinfonica Nazionale della Rai
                      指揮 Semyon Bychkov
                      ピアノ Kirill Gerstein

                      Sergej Rachmaninoff (1873-1943)
                       Konzert für Klavier und Orchester Nr. 2 c-moll op. 18 (1900/01)
                      Peter Iljitsch Tschaikowsky (1840-1893)
                       Symphonie Nr. 4 f-moll op. 36 (1877/78)

                      RAI国立交響楽団はイタリアのトリノを本拠地とする放送オーケストラ。
                      インターナショナル・オーケストラ・チクルスの一環で
                      先シーズンから2つほど席をずらしてもらったのだが
                      気難しい年配女性二人の、もろ前になっちゃって(涙)

                      端の席なのでピアニスト見たいな、とちょっと身体をずらした途端
                      後ろから「まっすぐに座りなさい」と怒られたのだが
                      当該の女性は音楽が始まった途端
                      シャカシャカすごい音を立てて飴を剥いてる(涙)

                      弱い外国人のワタシは、恐ろしい年配女性に逆らう気はないので
                      まっすぐ座ったら、もう見事に何も見えない。
                      ・・・・まぁ、良いけど。
                      音楽を聴きに来ているので舞台はどうでも(悔し紛れ)

                      ピアニストのキリル・ゲルシュタインは
                      調べてみたらこのサイトにお引越ししてから
                      5回も(!)聴いているピアニストで
                      そのうち2回はセミヨン・ビシュコフの指揮だった。

                      プログラムは見た通り
                      完璧に名曲アワーになっていて

                      何が悲しくて
                      イタリアのオーケストラで
                      ロシアものを聴かねばならないのか・・・

                      できればレスピーギとか・・・(無駄な願望)

                      ラフマニノフのピアノ協奏曲2番といったら
                      クラシック・ファンでなくても知ってる名曲で

                      第一楽章が、なんかちぐはぐな印象。
                      ゲルシュタインのピアノの部分のアクセントが
                      かなり特殊な感じなので、聴こえて来る音がかなり違う印象になるのと
                      テンポが・・・

                      いや、開始前に後ろからワケのわからん注意をされて
                      しかも飴の包み紙で頭に来てたというのはあるんだけど

                      ピアニストが超絶技巧を楽々と弾いて
                      テンポを上げて上げて上げて
                      人間技とは思えないテンポで弾きまくるのに
                      オーケストラが何だか付いて行けなくて微妙にずれる感覚。

                      すごいわ、このピアニスト、オーケストラを煽ってる
                      ・・・かどうかはともかく
                      そういう風に聴こえて来てしまう。
                      (オーケストラがモタモタしてるって感じ・・・すみません)

                      第2楽章では落ち着いて
                      最終楽章ではピアニストもオーケストラも
                      全速力で走り抜けました・・・みたいな感じか。

                      ゲルシュタインのピアノって
                      割にスカッとする感じで、比較的アッサリ目の
                      ウエットなロマンチック部分があまりない。
                      ビシュコフが時々、ヘンにロシア風ウエットなセンチメンタリズムになるのと
                      対照的な感じで掛け合いとしては面白い。

                      アンコールがチャイコフスキーの
                      Médetation D-Dur op. 72/5 (18 mouceaux)

                      私が知ってた訳ではなく
                      コンツェルトハウスは嬉しい事に
                      アンコール情報サービスというのがあって
                      コンサート後に携帯電話のショートメッセージに
                      曲目が入って来るのである。何て素敵なサービス (^^)

                      これも比較的アッサリと弾いてくれて
                      こういうちょっとドライな感じ、すごく好き。

                      さて名曲アワーの後半は
                      チャイコフスキーの交響曲4番。

                      最初のホルンの音が違う・・・ (o_o)
                      鋭いというか明るいと言うのか
                      ウィーンのオーケストラだと
                      もうちょっと厚みのあるホルンの音がする筈。

                      オーボエがまたこれがアニメ声というか
                      スープレットのソプラノみたいな音だし。
                      吹いているのは頭髪のないオジサンなんだけど(関係ないが)

                      全体的な音の色が何だかとても明るくて
                      ビシュコフのチャイコフスキーという事で
                      ウエットで暗くてドラマチックを期待していたら(偏見です)
                      悩みのない明るい音色で聴こえてくるので仰け反った。

                      ある意味、ものすごく面白い。
                      まぁ、偏見・独断なんだけど
                      ロシアの指揮者がイタリアのオーケストラに挑んで
                      音色で負けたという感じがする。
                      (独断・偏見・思い込み・先入観のてんこ盛りなので
                       賢明なる読者の皆さまは私の言う事を信じてはいけません)

                      アンコールはエルガーのエニグマからニムロッド。
                      (始まった途端、後ろから「あっ、これ知ってる、何だっけ」
                       と言う声があちこちで聞こえたが
                       この曲、最初はピアニッシモなので
                       いくら知ったかぶりしたくても演奏始まったら喋らないで欲しい(涙))

                      ビシュコフ、この曲、あちこちのオーケストラで
                      現在、練習中ですか(爆笑)

                      エニグマだったら、私、他にもっと好きな曲あるんだけど
                      何でアンコールはニムロッドに決まっているのか
                      (で、これをもって、本当に名曲アワーになっちゃったし)
                      ちょっと不満もある私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。


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