グスタフ・マーラー・ユース・オーケストラ + ハーディング

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    Musikverein Großer Saal 2017年3月31日 19時30分〜21時45分

    Gustav Mahler Jugendorchester
    指揮 Daniel Harding
    バリトン Christian Gerhaher

    Hector Berlioz (1803-1869)
     Les Nuits d’été, op. 7
      für eine Singstimme mit Begleitung von kleiem Orchester
        Villalle
        Le Spectre de la rose
        Sur les Lagunes (Lamento)
        Absence
        Au Chmetière (Clar de Lune)
        L’lle inconnue
    Anton Bruckner (1824-1896)
     Symphonie Nr. 5 B-Dur

    グスタフ・マーラー・ユース・オーケストラの
    イースター公演ツアー。
    ロレンツォ・ヴィオッティとダニエル・ハーディングで
    リサボン、マドリッド、ルクセンブルク
    パリ、バルセロナ、ザラゴザ、フェレーラ、ウィーン
    最後がフランクフルトの公演。

    それぞれにプログラムも指揮者も変わるけれど
    今年のウィーンは
    エクトル・ベルリオーズとブルックナー。

    ・・・・って、いったいどういう組み合わせなんだか(笑)

    スタンダード・プログラムでは
    アルバン・ベルク、シューベルトにブルックナー5番。
    ベルリオーズにはシェーンベルクとシューマンの2番だったみたいなんだけど。

    それはともかくとして
    ゲルハーヘルの歌うのが
    ベルリオーズの、しかも私の全然知らない曲で
    歌うテキストは・・・恐ろしくもフランス語(当たり前)

    題名だってよくわからんが(題名の翻訳はなかった)
    ニュイとか言うのは夜の筈だし
    エテとか言うのは夏だった筈(すみません・・・)

    鉄壁のクラオタの皆さまはご存知かもしれない。
    ウィキの記載はこちら

    で、これが、これが、これが
    むちゃくちゃ素晴らしかった ♡♡♡

    ゲルハーヘルのバリトンの美声もため息モノだが
    この人、ドイツ語を歌わせても、ものすごく言語がキレイなのに
    フランス語のディクションの美しさ
    フランス語のニュアンスを活かした歌い方。

    もう、いったい、何なんですか、この人は。
    言語に対する音楽性の感覚が
    半端じゃなく優れていて
    フランス語全然わからなくても
    その美しさに悶絶しそう。

    しかもオーケストラ伴奏が
    これまた徹底的に繊細で
    何と美しい ♡

    ハーディングの徹底的な室内楽的透明さが
    この上ない美声の美しいフランス語の
    ゲルハーヘルの音楽の語りを
    柔らかく優しく包んで
    声とオーケストラのバランスが絶妙。

    信じられない。
    ベルリオーズって、こんな美しい繊細な曲を書いていたのか。
    これ、録音で聴いてみても
    これだけふくよかな立体感のある演奏を聴いてしまうと
    どれを聴いても、聴き劣りしてしまうだろう。

    あああああ、至福の時間 ♡

    こんなに美しいリートを聴いてから
    後半のブルックナーの交響曲5番なんて
    何か無粋だわ、もう帰ろうかしら。

    いや、でも楽友協会のチケット高いし
    最後まで聴いて行こう・・・と思って聴いたのが

    うおおおおお
    すごいよ、このブルックナー(仰天)

    信じられないピアニッシモのピチカートで
    どの楽章も始まるという
    ざわざわした聴衆とギシギシ鳴る椅子の楽友協会で
    こんな曲、演奏しても大丈夫か・・・という曲なのだが

    さすがハーディング
    しかもユース・オーケストラ(プロのタマゴの優秀なプレイヤー)を
    しっかり手の内にして
    徹底的に室内楽的透明感を持ったブルックナー。

    こういうブルックナー、どこかで聴いた事があるぞ、と思ったら
    ロビン・ティチアーティで聴いたブルックナーと
    非常に印象が似ている。

    でもティチアーティよりハーディングの方が老練だ。
    ドラマチックになる部分は
    透明性を保ちながら、しっかり攻めてくる。

    ただ、どの和音にも、どのフレーズにも
    全く濁りがない。
    途中で弱音になる部分では
    聴こえるか聴こえないかくらいまで落として
    音楽が空気に溶けて
    天上に向かって立ち昇って行くかのような音響を醸し出す。

    重力のないブルックナー。
    荘厳というよりは、徹底的に美しい。
    最終楽章の金管の鋭い部分のソロも
    鋭いというよりは、際立って透明のまま客席に飛んでくる印象。

    金管のアンサンブルのソロも、あまりに美しく響いて
    もうその音響だけで失神しそうな気分。

    久し振りにブルックナーを聴くと
    やっぱり凄いなぁ、と、ついつい胸が熱くなってしまう。
    聴いている者をねじ伏せるような力があるのだが
    ハーディングの手にかかると
    力でねじ伏せられるというよりは
    気がついたら、床に組み伏されてました、しまった(笑)

    変に力の入った劇的な演奏ではなく
    かと言って、淡々と演奏しているのではなく
    そこら辺のバランス感覚が絶妙。

    ハーディングって
    まだ背広に細いネクタイで
    指揮台に立っても
    ただの普通のお兄ちゃん、という感じで
    全くカリスマとか威厳を感じないのだが(好みです好み)

    ちょっと頭の中で
    フィリップ・ジョルダンみたいに
    コンサートには必ず美しい燕尾服を着て
    しっかり蝶ネクタイ付けてくるハーディングを思い描いたら

    ・・・・合わない(ボソ)

    というより、ハーディングがあの燕尾服の格好をしたら
    ちょっとコワイかも(みなさまも想像してみて下さい)

    しかし、どう見ても普通のそこら辺のお坊ちゃんという感じのハーディングが
    徹底的に透明感に拘ったブルックナーの
    隠れた迫力と言ったら、もうタダモノではない。

    コンサートの後
    何だかフラフラになりながら
    会場を後にした私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


    シモン・ボリバル交響楽団 + グスターボ・ドゥダメル

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      Musikverein Großer Saal 2017年3月30日 19時30分〜20時50分

      Simón Bolívar Symphony Orchestra of Venezuela
      指揮 Gustavo Dudamel
      コーラス Singverein der Gesellschaft der Musikfreunde Wien
      ソプラノ Julianna Di Giacomo
      メゾソプラノ Tamara Mumford
      テノール Joshua Guerrero
      バス Soloman Howard

      Ludwig van Beethoven (1770-1827)
       Symphonie Nr. 9 d-Moll, op. 125

      シモン・ボリバル交響楽団とドゥダメル
      ベートーベン・チクルス最終日。

      スコア持ち込んでいつもの席に座ったものの
      春眠暁を覚えずとやらで
      夕方になると眠くて眠くて仕方がない(涙)

      スコア見ながら寝込んだら
      これこそ本当のアホなので
      (しかも手元から滑ったスコアが床に落ちれば
       楽友協会ではホール全体の顰蹙を買う騒音と化す)
      最初はドゥダメルの指揮姿を拝見。

      日曜日のコンサートは
      新聞評がこぞって
      トラディショナルでおとなしくて
      (つまらん、とは書いていなかったが)
      ・・・と、かなり何だこりゃ、という感じだったのを
      オーケストラと指揮者が読んだかどうかは不明だが

      第1楽章から、そんな大きな音で始めてしまって良いんでしょうか?

      最初は静かに始まるものだ、と思い込んでいると
      かなりギョッとする。
      あの音量で、クレッシェンドにするかと思うと
      気が遠くなりそうだったのだが

      しっかりクレッシェンドで持って行って
      いやはや、初日の交響曲でのおとなしい演奏は何だったんですか?という
      すごい音量と速めのテンポで
      グイグイ押してくる。

      最初の楽章から
      ううううん、音楽って
      ある程度の大音響と速いテンポだと
      みんな生理的に乗せられてしまうんだなぁ、と実感。

      面白い事に
      短調の部分は割に平坦なのだが
      長調になると急に音楽が活き活きするのは
      オーケストラとドゥダメルの資質によるものなんだろうか。

      第2楽章はテンポに乗れば
      カッコ良く聴こえるので
      これはリズム感抜群の指揮者には楽勝でしょう。
      オーケストラもよく付いて来ていたし
      キリッと締まった小気味良い演奏になった。
      (しかもテンポ速いからあっという間に終わる)

      ところが、緩徐楽章になると
      う〜ん、丁寧に丁寧に
      ものすごく長いボーゲンで音楽を描いているのだが
      ドイツ語で言うところのプラカティーフ。

      このプラカティーフって、よく見る単語で
      まるでポスター(プラカート)のような、と言う
      まぁ、褒め言葉ではなく(ポスターが悪いとは言ってません)
      強いて日本語に訳せば
      表面的、二次元的、よく出来ているけれど大量生産的、平面的
      と言うのが、すべて混ざった感じの言葉。

      ゆっくり目のテンポで
      丁寧に歌わせてはいるのだが
      音楽が平面的で
      音が立ち上って来ないのである。

      だから聴いていて、ちょっと退屈。
      ついつい立ったまま眠りこけそうになったのはここ。

      立ったままも疲れるし
      立ったまま寝るとガクンと来るし
      いくら高校大学時代に立ったまま眠る特技を身につけたとしても
      ここで寝てどうする?!というのがあったので

      最終楽章は、持って来たスコアとにらめっこ。

      第3楽章から最終楽章にアタッカで繋げる指揮者もいるが
      ドゥダメルは各楽章ごとに、しっかり休んでいたので
      バッグからスコアを出して準備万端。

      で、この最終楽章が
      もう笑っちゃうほどに力任せの
      ほとんどヤケッパチかこれは、という音量とテンポ。
      (註 むちゃくちゃテンポが速いし、音が大きい)

      良いのかこれで。
      スコア見てると、恐ろしい数の音符が飛びまくっているのだが
      これ、本当に全員、全部弾いてる?
      (シロウトだからわかりません)

      何せテンポが速いので、どんどん進む。
      スコアも捲って捲って捲って状態で
      あれよあれよと言う間に音楽が進んでいって

      バスのソロ

      すごい声量でビックリ。
      ホールに響き渡る見事な美声の大音響のバス

      ・・・・は良いんだけど
      音程が不安定で、どんどんズレてますが(汗)

      それに楽譜見てると
      その音で歌ってないじゃん、というところがあって
      でも、今までの経験でも
      しっかり全部の音を音程外さず歌ったバスは
      いなかったような気がするが、どうなんでしょうね、あれは。

      だいたい、ベートーベンは
      これが実際に人の声で歌えるか、なんて考えてなかっただろ、たぶん。

      テノールは甘い声で声量もあって
      この人の音程は安定していて
      かなりのテクニックの持ち主。

      ソプラノが、声は伸びるんだけど
      やっぱり多少音程がフラフラしていてアセアセ。

      4重唱になると
      高音の h をものすごく甲高いフォルテで出すので
      (しかも時々ずり下がる)
      4人の歌手の怒鳴り合い状態になっている。

      ・・・でも、これはよくある事なので(わはは)

      このコーラスのソプラノも、何回か h があるんだけど
      さすが楽友協会合唱団で
      合唱団の方がソリストより音程がしっかりしてる(爆笑)

      すごい速度の、すごい音量で
      最初から最後まで
      超高速運転でぶっ飛ばした最終楽章。

      音が団子状にならずに
      かなりしっかりまとまって聴こえては来ていたが
      弦のあの音符の多さって・・・・すごいですね(感心)
      本当に全部あれを弦楽器奏者って弾いてるんだろうか(邪推)
      (まぁ、オクターブが飛ぶところなんかは
       ピアノと違ってボウで処理できるんだろうけど)

      あそこまでトゥッティの全員が力任せの
      大音響の演奏だと
      各パートが本当にちゃんと演奏しているかなんて
      ド・シロウトの私の耳にはわからないし

      ともかくすごい速さの大音響に巻き込まれて
      あれよ、あれよと言う間に終わり・・・・

      そりゃブラボー・コールが飛び交うわ。
      人間って、生理的に大音響に反応しちゃうもん。

      言ってみれば、ロックンロールというか
      ハードロックというかヘヴィメタルと言うか
      聴衆もオーケストラもコーラスも
      大音響の中で、ひたすら陶酔、という印象。

      う〜ん、ベートーベンって
      やっぱりヘヴィメタルだったんだなぁ(違うかも)

      何と言うか、洗脳されてしまうのだよ。
      楽譜見ながらひぇ〜、と思っていた
      比較的いつも冷静(ホント?)な私にしてからが
      圧倒的な音量のエネルギーにすっ飛ばされそうになったし
      これ、一歩間違えば
      集団洗脳のプロパガンダ音楽になりかねない危険性のある曲だね。

      カトリック教会も
      キリエ・イレイソンとかミサ曲を聴かせる代わりに
      このベートーベンの交響曲9番をミサで聴かせていたら
      もっと布教できたかも(すみません(汗)極論です)

      だいたい私はこの曲にあまり良い思い出がないし
      (ごめんなさい、ここで書けない職業上の理由です)
      この曲はウィーンでの演奏回数はかなり少ない。

      今まで聴いたなかで印象に残っているのは
      ティーレマンとウィーン・フィルのベートーベン・チクルスの
      やっぱり全員が火の玉となって
      浮かされたような(ついでにミスもあった)
      色々な意味でとんでもないコンサートと

      ウィーン交響楽団がコープマンと
      見事にピリオド奏法で演奏したコンツェルトハウスの
      年末のコンサートと

      ベルリン・フィルとラトルのベートーベン全曲の時の
      パリでのテロの次の日に演奏された
      これもまた
      何かに憑かれたような、まるで祈りのような演奏くらい。

      (あら、こうやって書くと、結構聴いてるのか・・・)

      これを聴くたびに
      良いか悪いかはともかくとして
      ベートーベンって、まぁすごい曲を書いたんだなぁ、と

      音楽の持つ恐ろしい力に
      ちょっと、いや、かなりコワイ思いをしてしまう私に
      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



      ウィーンの日中の温度が突然20℃を越えたりすると
      やっぱり体調おかしくなります。
      夜は寝られないのに日中が眠くて眠くて
      (仕事したくないだけだろ、という意見もある(自爆))

      ニューヨーク・フィルハーモニック + アラン・ギルバート

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        Wiener Konzerthaus Großer Saal 2017年3月29日 19時30分〜21時40分

        New York Philharmonic
        指揮 Alan Gilbert
        ソプラノ Christina Landshamer

        Béla Bartók (1881-1945)
         Musik für Saiteninstrumente, Schlagzeug und Celesta Sz 106 (1936)
        Gustav Mahler (1860-1911)
         Symphonie Nr. 4 G-Dur für großes Orchester und Sopran-Solo (1899-1901)

        楽友協会ではカリスマのドゥダメルが
        ベートーベンの交響曲7番と8番を演奏しているが
        こちらはコンツェルトハウスで
        ニューヨーク・フィルハーモニックとアラン・ギルバートの指揮のコンサート。

        数日続けて楽友協会の音響に耳が馴らされてしまうと
        コンツェルトハウスのかなりデッドな音響が異質に響いてはくるが

        コンツェルトハウスのこのデッドな音響は
        その分、オーケストラの細かい部分の音を
        容赦なく聴衆に届けて来て
        楽友協会のように、多少の難は隠してくれるような優しさはない(笑)

        バルトークの弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽。
        舞台にビッシリ並んだ弦楽器の群れ。

        見事に揃ったアンサンブル
        ビオラの最初の出だしから、腰が抜けそう。

        弦で丁寧に丁寧にカノンのように登場するメロディの重なり。
        一分の隙もないアンサンブルが
        ドライな音色で響いて来る。

        ギルバートの指揮は熱くならない。
        精密に音楽を描いていくけれど
        音符をそのまま舞台から観客に届けているような
        誠実さを感じる。
        その意味では、ドラマチックとは言い難くて
        何とも洗練された
        現代音楽のような風味の緻密な演奏に聴こえる。

        いやでも、このオーケストラ、巧いね(今さら何を)

        チェレスタがほとんど聴こえて来なかったけど
        (ピアノはよく聴こえて来た)
        これって、そういう曲だったっけ(って私、寝てた?)

        何か久し振りにこの曲を聴いたような気がする。
        確かに有名なのだが、あまり演奏されない曲だしなぁ。

        後半はマーラーの交響曲4番。

        久し振りにナマで聴くけれど
        すごい皮肉に満ちた曲で
        美しい曲想に酔っていると
        突然、激しいビンタで引っ叩かれるような曲だな。

        コンツェルトハウスのデッドな音響もあるけれど
        徹底的に室内楽的。
        細かい部分まで実に精密に
        感情任せにせずに
        徹底的にアンサンブルを揃えたという印象がある。

        天井桟敷の貧民席は
        ホルンの位置によっては
        この楽器だけ突出して聴こえて来る時があって
        今日も、かなり飛び出してはいたのだが

        ホルンの首席、スゴイですこの人。
        弱音でかなり長く伸ばしている部分があるのだが
        まぁ、よくぞ見事にあの音を、あの弱音で・・・(驚嘆)

        ここまで精密に演奏されると
        曲そのものの持つ不気味な力が際立ってくる。
        何も特殊な奇を衒った事はしていないのに
        第1楽章からして、相当不気味である。

        第2楽章は、これは本当に不気味にやろうとしたら
        かなり気味悪い演奏になる事もあるのだが
        そこは、オーケストラとギルバートは
        比較的あっさりと持って来た。
        マーラーの底なしの病的暗さではなく
        あくまでも踊るメロディを届けて来た感じで
        かなり現代的な透明な色感で
        まるでガラスで出来た建築物か何かを見ているような印象。

        遅めテンポで丁寧に丁寧に描かれる第3楽章。
        ここまで遅めだと、ウエットになる事も多いのだが
        あくまでもドライな印象を保ちつつ
        不思議な別世界に観客を誘って行く。

        最終楽章のソプラノがまた良くて・・・
        楽友協会の音響とは全く違うから
        楽友協会で同じ曲を聴いたら、また印象が全く変わるのだろうが
        ものすごくキュートな声で
        あまりマーラーっぽい皮肉とかは感じなかったけれど
        ともかく、むちゃくちゃカワイイ。

        終わってみたら
        すっぽりと、現実という名に開いている穴に
        落ち込んでしまっていて
        現実に全然戻れない・・・

        何も特別な変わった演奏ではなかったのに
        (しかも、ドラマチックとか鬱病になりそうな暗さもなかったのに)
        全く違う別世界に飛ばされてしまったような不思議な気分。

        ヒットメーカーのベートーベンを続けて聴いた後に
        マーラーの曲を聴くって
        ある意味、非常に危険だと思う。
        ベートーベンなら
        1800年代のウィーンにすっ飛ぶ事はあっても
        あくまでも「現実」の上に立っていられるのだが
        マーラーは、近代という、今に近い時間軸にあるくせに
        とんでもない病んだ不思議な世界に
        知らない間に連れられて行ってしまう事がある。

        ニューヨーク・フィルハーモニックの設立は
        ウィーン・フィルの設立と同じ年なのだそうで
        ニューヨークでは、その展覧会も行なわれているようだ。

        同じ年に出来たとは言え
        全く違う音色を持つオーケストラだよね(笑)

        明日はまたベートーベンに戻るけれど
        マーラーを息抜き、あるいは箸休めと思って聴きに行って
        違う世界に飛んでしまった私に
        どうぞ1クリックをお恵み下さい。



        風は強かったものの
        日中22℃まで上がって
        急に春が来た、という感じ。
        (もっとも4月の天気は気まぐれだからまだわからない・・・)

        シモン・ボリバル交響楽団 + グスターボ・ドゥダメル

        0
          Musikverein Großer Saal 2017年3月28日 19時30分〜21時20分

          Simón Bolívar Symphony Orchestra of Venezuela
          指揮 Gustavo Dudamel

          Ludwig van Beethoven (1770-1827)
           Symphonie Nr. 5 c-Moll, op. 67
           Symphonie Nr. 6 F-Dur, op. 68 “Sinfonia pastorale”

          唐突で申し訳ないが
          ワタシはアホである。
          もう救いようのないアホで
          もしかしたら、既にアルツハイマー入ってるかも(涙)

          3月26日のコンサートを聴いて
          よし、月曜日と火曜日も行こう、と即決心。

          売り切れとは書いてあったが
          舞台上に席を作ったようで
          慌てて幕間と帰りの地下鉄の中で
          スマホでインターネットに入ってチケットを買って
          自宅の PC からプリント・アウトして

          本日夕方18時過ぎに
          さぁ、今日も舞台上だ、とチケットを取り出してみたら

          日付が違う・・・・(茫然自失 😱)

          慌ててウエブに入ったものの
          「当日残券は窓口にて」と書いてあるだけ。

          えええええっ
          だって、持ってるこのチケットのコンサートの日って
          私、行けない日だし

          しかも今日はベートーベンの交響曲の中でも
          最もポピュラーな5番と6番。

          行けないチケットを戻さねばならないし
          (再販できなかったらもう仕方ない)
          それで今日のチケットがなかったら
          仕方ないから、帰宅してフテ寝しよう、と
          悲愴な決心で向かう楽友協会。

          結果的にはチケットあったんですけど
          その後の事はあまり書きたくない・・・

          何でこの席、45ユーロもするんですか(涙)
          しかも
          できるだけオーケストラから離れたところで、と言ったのに
          座ってみれば一番近いところ。
          (席の並びがいつもと違って不規則だった)
          コントラバスが目の前で
          左手にはホルンが朝顔をワタシに向けて座っている。

          周囲に日本人らしき何人かがチラホラしていたし
          これ書いたら顔バレするんじゃないか、と思ったが
          わはは、私、それほど有名じゃないから大丈夫だろうきっと。

          妙齢の美人のコントラバス奏者が
          美しい筋肉質の腕を晒し出して前に居るのは良いのだが
          (お前はオジサンかっ)
          もちろん、このプレイヤーがしっかりと視界を遮っていて
          指揮者なんか全く見えない。

          オーケストラ・スコアをバッグの中に忍ばせているのだが
          観客からバッチリ見える席で
          スコア広げて見るだけの勇気はない(涙)
          (あぁ、せめて2列目か3列目かだったら良かったのに。
           見えないのは同じなのだし・・・)

          よって、ベートーベンの交響曲5番は
          コントラバスの音と
          時々入るホルンの咆哮と
          何故かその前に座っている木管が響いて来て

          例によって例のごとく
          (あの席はそういう席なのである)
          楽譜の裏返し状態。

          オーケストラの中に入って音を楽しむ
          あの Im Klang と思って開き直るしかないわ、もう。
          Im Klang だってチケットの値段はけっこうするし(やけっぱち)

          ある意味、現代音楽を聴いているようなもの(言い過ぎ)
          最初から最後まで
          コントラバスと(いや面白かった。6本ありました)
          ホルンと木管ばっかり聴いていた。

          音の響きとしては、ものすごく面白かったのだが
          これこそ、ベートーベンの5番には聴こえません。
          (席のせいです)

          本当に会場は満杯状態だった。
          でも、
          あのホルンの朝顔しっかりコッチに向いてます状態で
          パストラーレの農民の騒ぎとか聴いちゃったら
          難聴になりそうだったので
          何とか逃げて来た。
          (周囲の人は、あ、帰った、と思っただろう)

          交響曲6番「田園」は
          この間もウィーン・フィルで3回
          ウィーン交響楽団で1回聴いたばかりなのだが

          う〜ん、唸るよ、この曲。
          タッタカ・タッタカの繰り返しとか思っていたけれど
          この構成の妙と
          楽器の使い方の絶妙さに圧倒されるばかり。

          無駄な音が一切なくて
          必要な音は全部揃っているという・・・(沈黙)

          ドゥダメルの田園
          刻みをあまり前面に出さず
          スラーがかかっている小節を
          時々、もっと長いスラーで演奏したり
          全体が無理のない自然な進み方をしているし
          各楽器のバランスの取り方が巧い。

          第一楽章の繰り返しは、今回はきちんとやった。
          でも冗長にならず
          刻みとレガートのコンビネーションを
          実に巧く演奏して、飽きさせない。面白い。

          農民の祭りはえらくピアニッシモで始めて
          なんかおとなしいじゃないか、と思ったら
          騒ぎ出したら凄かった(笑)

          ただ、最初の日にあったような
          オーケストラの音が団子、というのは
          2日目から全くなくなった。
          たいした指揮者だよ、この人・・・(脱帽)

          どの演奏が何とか、とか言うのではなくて
          技量のあるオーケストラが
          優秀な指揮者で演奏したら
          細かい部分の表現はともかくとして
          作品そのものの持つ力が凄くて、圧倒されてしまう。

          ドラマチックでちょっとウエットで
          強弱が激しい演奏だったけれど

          ドゥダメルって、ソツがない、というか
          あれだけカリスマ纏って何年か前に
          彗星のごとく登場した天才指揮者ではあるのだけれど
          割に「優等生」っぽくなっちゃった感触。

          初期に聴いた頃は、もう少し尖っていた印象があるんだけど
          物馴れて来た、と言って失礼なら
          成熟した、というか
          ヨーロッパ慣れして
          一流の生活に慣れて来たんだろう、というのが
          音楽にも出ているような気がするのは

          私の勝手な思い込みなので
          読者の皆さまはマジメに取らないようご注意下さい。

          音楽家や指揮者はハングリーであれ、とか
          訳のわからない価値観を押し付ける気は一切ありませんので。

          うおおおお、とか、ひええええっ、とか
          大声出して喚きたくなって
          椅子からずり落ちるような演奏ではなく
          やっぱり、かなりマトモでヨーロピアンな演奏だったけれど

          その意味では
          さして悩みもなく
          かなり明るい音色の楽しい楽しい楽しいベートーベンで
          しかめっ面して
          難しい顔をして、演奏どうのこうのと言う
          アホな(私のごとき)ド素人評論家モドキは張り倒して

          儂はヒットメーカーだぞ
          何か文句あるか、楽しく聴け〜!!!(祝ベートーベン)

          ・・・ワケわからん事を書いてごめんなさい。

          でも難しい哲学的云々は全くなく
          文句なしに
          ハイリゲンシュタットのお散歩も
          農民の酔っ払いの喧嘩も
          嵐も雷も、その後の水滴が樹から落ちて太陽燦々の風景も
          目一杯楽しませてもらったコンサートだった。

          財布には大打撃だったけれど
          (それでなくとも
           ザルツブルク音楽祭だの
           トーンキュンストラーや楽友協会や
           コンツェルトハウスのチクルスもそろそろ請求書が来る筈)

          まぁ、飢え死にまでは行かないから
          (近いうちに行くかもしれないが(爆))
          この歳になったら
          楽しい思い出しか天国には持って行けないので(たぶん)
          フテ寝じゃなくて、ベートーベン聴けて良かった、と
          ひたすら自分を納得させようとしている私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。



          シモン・ボリバル交響楽団 + グスターボ・ドゥダメル

          0
            Musikverein Großer Saal 2017年3月27日 19時30分〜21時30分

            Simón Bolívar Symphony Orchestra of Venezuela
            指揮 Gustavo Dudamel

            Ludwig van Beethoven (1770-1827)
             Symphonie Nr. 3 Es-Dur, op. 55 “Eroica”
             Symphonie Nr. 4 B-Dur, op. 60

            私はアホだが
            周囲に賢人の知人が多いので(有り難い!)
            シモン・ボリバル交響楽団の説明をしてもらった。

            2011年からユースではなくなって
            このオーケストラの下に
            テレサ・カレーニョ・ユースというオーケストラがあり
            彼らが今はナショナル・ユースの地位にある

            という情報をいただいた。
            (N.G. さま、感謝です ♡)

            さて、音楽家というのは
            ほとんどブラック企業じゃないのか(しかも肉体労働)と思うほど
            今回のシモン・ボリバルの公演は
            日曜日に1番・2番と序曲を2つ
            月曜日に3番と4番
            火曜日に5番と6番
            水曜日に7番と8番
            木曜日に9番
            ・・・・って、一日も休みナシ。

            リハーサルとかもあるだろうし
            体力的にも精神的にも、かなりキツイと思うのだが
            ちゃんとチケット買って行っている聴衆としては
            集中的にベートーベンの交響曲を聴けるのは、それなりに楽しい。

            というより、最初は行く気なかったんだけど(汗)

            さて交響曲3番、エロイカ。
            スコアを広げつつ聴いていたのだが
            すごいエネルギー。

            昨日の1番と2番のお行儀の良さはどうした?!(笑)
            あ、もしかして、ネコ被ってました?(爆笑)

            楽譜の音符の間を破って
            立ち上ってくるエネルギーにクラクラする。
            音量が大きいとかではなく
            フォルテはきちんとフォルティッシモとは区別しているのだが
            出てくる迸るようなエネルギーの総量が大きい。

            オーケストラの技量としては一流だが(失礼な言い方)
            このオーケストラをドゥダメル以外の指揮者で聴こうとは
            実はあまり思わない(すみません)

            ほんの小さなズレとか不揃いとか音程の上下が
            ないわけではないのだけれど
            そんな事、全く気にならないくらいの力強さで
            グイグイ押してくるところは
            すごくベートーベンらしい。

            まぁ、その意味では昨日と同じく
            かなり「正統派」の「伝統的」な演奏であって
            どこかの異端指揮者がやっているような
            なんだこれ本当にベートーベンかよ、という演奏ではない(笑)

            4番を聴いていて思ったのだが
            ドゥダメルって、時々、なんか突然、浪花節になるところがあって
            ズルッとセンチメンタルでウエットになる箇所がある。

            いや、それが良い、という人ももちろん多いだろう。
            割に「ロマン派」っぽい解釈で
            (だからエネルギッシュでドラマチックにもなる)
            時々、細かいアンサンブルを犠牲にしても
            力任せで音を出してしまうところもある。

            丁寧に、時々かなりウエットになって歌わせた第2楽章が
            ちょっと丁寧すぎて、かなり冗長に響いたなぁ、と思ったら
            第3楽章が、かなり重たくて驚いた。

            そりゃあの弦のアンサンブルを
            あそこまで鳴らしたら、あの部分が重くなるのは当然だが
            一応アレグロ・ヴィヴァーチェなんだけど
            なんかズルズル引き摺る感じ。

            それに比べると1楽章と最終楽章の
            アップテンポな楽章の処理は見事で、しっかり夢中にさせてくれる。

            無理な大音響は出していない。
            かと言ってピリオド奏法みたいにドライな音ではなく
            しっかりロマン派の香りがするので
            楽友協会ホールの音響にピッタリ嵌って
            この上なく美しい音響になる。

            まぁ、ここら辺の事を言い出すと
            もう「好み」の問題でしかない。

            しかしベートーベンってやっぱり人気があるんだなぁ。
            コンサートはバッチリ売り切れで
            もちろん常連のクラオタ連中の顔も見かけるけれど
            それ以上に
            今回が初めてのコンサート♡ という感じの観客も多い。
            (そぶりを見ていればわかります(笑)ヤな奴だなワタシ)

            でもベートーベンって楽しいでしょ?
            当時のヒットメーカーだもん。
            ドゥダメルは3番の最初のリピートはしなかったけれど
            その後のリピートは(4番は全部)ちゃんと演奏して

            聴き込んでいる曲だから
            それが多少冗長に聴こえてしまった、というのはあるかもしれないけれど

            CD もラジオも Youtube もない時代には
            ナマで聴くしかなかったのが音楽というモノだったから
            初めて聴きます(特に4番はそういう人が多いかも)という人には
            面白かったと思う。

            明日は5番と6番。
            さすがに明日のコンサートは完全に売り切れで空き席がないだろうから
            舞台の上で目立たないように寝てます・・・あっ、いやいやいや
            舞台の上でスコア広げてるのも恥ずかしいので
            しっかり聴いて来ます(ホントか?)と
            堅い決心をしている私に
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。


            シモン・ボリバル交響楽団 + グスターボ・ドゥダメル

            0
              Musikverein Großer Saal 2017年3月26日 19時30分〜21時30分

              Simón Bolívar Symphony Orchestra of Venezuela
              指揮 Gustavo Dudamel

              Ludwig van Beethoven (1770-1827)
               Ouvertüre zu Goethes Trauerspiel “Egmont”, op. 84
               Symphonie Nr. 1 C-Dur, op. 21
               Ouvertüre zu “Coriolan”, op. 62
               Symphonie Nr. 2 D-Dur, op. 36

              ドゥダメルがあっという間に世界中でキャリアを作って
              ベネズエラのシモン・ボリバル・ユース・オーケストラが
              世界中で招聘されるようになったと思ったら

              微妙に名称が変わって、ユースが消えて
              シモン・ボリバル交響楽団になってる。

              ???

              いや、メンバーの年齢を見ればわかるだろ、という
              読者のもっともなご意見、わかりますが
              私の持っている貧民席からは
              オーケストラは何にも見えませんってば。
              編成さえわかりません(汗)

              まぁ、それはともかく
              立てば指揮者だけは見える(笑)

              エグモント序曲とコリオラン序曲は
              指揮者ドゥダメルを正面から拝見。

              ドゥダメルがまだほとんど無名だった頃
              ウィーン交響楽団で春の祭典を振ったのを
              たまたまコンツェルトハウスのオルガン・バルコンから見て
              すごいカリスマ、と思った後

              どんどん有名になって
              ロサンジェルス・フィルハーモニックの常任になった頃から
              何だか普通の男の子になっちゃったなぁ
              最初のカリスマ性は何だったんだろう?という時期があったが

              すみません!!!
              やっぱりカリスマだわ、この人(汗汗汗)

              エグモントとコリオランが
              オペラの序曲、という事を、すっかり忘れていたのだが
              (だってコンサートでしか演奏されないし ← 当たり前だが)
              ドゥダメルとシモン・ボリバル
              実に劇的な構図を全面に出して来て
              しかも、ものすごく丁寧に造り込んであって
              音楽的にも非常に水準が高い。

              後半のコリオラン序曲の前に
              ドゥダメルが英語で何か、偉大な指揮者と指導者の
              アブレウに捧げるとか言ったようだが
              コリオラン序曲の迫力が半端じゃなかった。
              ちょっと怖かったくらい。

              ベートーベンの交響曲1番はスコアに頭突っ込んで聴いていたが
              これも、ものすごく丁寧に造り込んでいて破綻がない。

              フォルティッシモになると
              時々音響が団子にはなるのだが(それはまぁ、仕方ない)
              かなりの解像度と透明感があって
              躍動するリズムと相まって
              新鮮でフレッシュな音感で、これはゴキゲン。

              いや、実はベネズエラの昨今の事情を考えると
              (ご存知、ベネズエラの貧富の差は激しく
               政権が変わった後は、慢性的日常品不足で・・・)
              何となく能天気にベネズエラのオーケストラを聴く気になれなかったのだが
              このベートーベン、すごく良い。

              2番は3楽章あたりから
              ちょっと緊張感が緩んだ印象があったけれど

              それはもしかしたら、私が眠たかったからかもしれないし(自爆)

              丁寧に造り込んでいるだけに
              若い指揮者や若いオーケストラに有り勝ちな
              破天荒で荒々しいベートーベンとは対極にある。

              シモン・ボリバル・ユース・オーケストラを期待して来た向きには
              あまりにおとなし過ぎる正統的な演奏で驚いたかもしれない。
              (ハッピ着て踊るマンボもなかったですし(爆笑))

              失礼な言い方だが
              若い指揮者とユース・オーケストラにあるような
              ちょっと傷があっても
              情熱と熱気で押し切ってしまえ、という演奏ではなく
              マジメで正統で優等生の演奏になっていて

              ただリハーサル時間を充分に取っている(だろう)から
              ウィーンのプロオケが
              ああ、ベートーベンね、と適当に演奏するのとは全く違う。
              (註 ウィーンのオーケストラは
                 ベートーベンは適当に演奏します、とは言ってません)

              時間をしっかりかけて
              ここまでの水準に育てた、という感触があって
              それがとても爽やかな感じに響く。

              が・・・
              同時にシモン・ボリバル・オーケストラも
              (ユースが何故付かないのかは疑問として残るが)
              世界的水準に達した
              普通のプロ・オーケストラになっちゃった
              という感じは否めない。

              ベネズエラのローカル性とかあったら
              反って怖いか(笑)

              普通のプロ・オーケストラとして聴いてみれば
              音楽的な水準は非常に高い。
              ベートーベンの交響曲チクルスも
              これなら気持ち良く聴けそうである。

              というワケで
              売り切れとか出ていたけれど
              見たら、まだ舞台上の席はあったので
              月曜日・火曜日も行く事にした。
              (こういう判断は早いのワタシ。
               先週の臨時収入は、これにて赤字となりました(自爆))

              ドゥダメルの指揮を見ていて思ったのだが
              この人の指揮、アメリカ風だね。
              音楽と指揮の動きがほとんど同時になってる。

              ヨーロッパの指揮者は
              動いた後にオーケストラがそのキューをなぞるのだが
              指揮者の動きのほんの一瞬後にオーケストラが反応するのが
              結構面白かったりする。

              思いがけなく楽しいコンサートで
              ドゥダメルの古典=ベートーベンというのが
              意外に正統的ヨーロピアンだった事を
              喜んで良いのか
              残念に思うべきなのか

              ちょっと迷っている私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。



              スペイン国立ダンス・カンパニー 「カルメン」

              0
                Festspielhaus St. Pölten 2017年3月25日 19時30分〜21時30分

                Johan Inger.
                Compañía Nacional de Danza de España

                CARMEN

                振付 Johan Inger
                衣装 David Delfin
                ドラマツルギー Gregor Acuña-Pohl
                舞台 Curt Allen Wilmer (AAPEE)
                照明 Tom Visser
                オーケストラ Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
                指揮 Manuel Coves

                Georges Bizet
                Prélude zur Oper “Carmen”
                Carmen-Suite Nr. 2, Danse Bohème
                Rodion Schtschedrin
                Carmen-Suite für Streichorchester und Schlaginstrumente, Auszüge
                Marc Álvarez

                Carmen : Kayoko Everhart
                Don José : Daan Vervoort
                Knabe : Leona Sivôs
                Escamillo : Isaac Montllor
                Zùñiga : Toby William Mallitt
                Álvaro Madrigal, Antonio De Rosa, Niccolò Balossini, Mattia Russo
                Aleix Mañé, Benjamin Poirier
                Rebecca Conner, Elisabet Biosca, Mar Agulió, Agnès López
                Sara Fernández, Aída Badía, Helena Balla

                サンクト・ペルテンの祝祭劇場は
                こういうニッチなプロダクションにかけては
                実に凄腕だと思うのだが
                ともかく、この公演、完全に売り切れ状態。
                プログラム発表された時に即(貧民席を)買っていて良かった。
                (とは言え、正面席の貧民席でも40ユーロ近かったが)

                スペイン国立ダンス・カンパニーと言えば
                2012年、まだナッチョ・ドゥアトが監督の時に
                ブルク劇場で ImPulsTanz の一環の公演で観て
                椅子からずり落ちてひっくり返って
                その後、ナッチョ・ドゥアトの DVD を漁りまくった記憶があるが

                今回はスウェーデンの振付師ヨハン・インガーの作品を持って来た。
                この振付師、ネザーランド・ダンス・シアターでも活躍した人らしい。

                三角形のブロックをいくつも舞台に置いているだけだが
                この三角形のロケーションや照明によって
                様々なシーンを作り出す。
                衣装はモダンで
                スペインが舞台とか言うのはほとんど感じない。

                最初にバスケット・ボールを持った
                白い運動着の女性が出て来て、何だこれ?と思ったけれど
                その後、三角形のブロックの位置が色々変わって
                男性たちの群舞、女性の群舞。
                ドン・ホセ登場・・・・だと思うんだけど

                何か普通のオジサンというか・・・

                カルメンは赤いドレスを着て登場するのでよくわかる。
                すごく華やかな雰囲気を纏って
                色っぽいのだが
                多少の下品さがきちんと入っていて
                実にイヤな悪女に見える。

                バレエというよりはモダンなのだが
                この振付、動きが非常に美しい。

                日常的な動きを取り入れながら
                動きが滑らかで
                無理にアピールする派手な部分がなくて
                一つ一つの動きにしっかり意味があって

                しかも、むちゃくちゃカッコいいです ♡

                ちょっとナッチョ・ドゥアトを思い出したりして
                こういう振付、すごく好き。
                クラシックの要素はほとんど入っていないのだが
                しっかりダンスになっていて
                シロウトなので難しい事は言えないけれど
                こういうダンス作品、すごく好み。

                さて、プログラムによれば
                子供のように、なりふり構わず情熱と暴力を繰り広げる
                というのがテーマらしい。

                暴力のシーンってあったけど
                でも、この作品、非常に暗喩が多くて
                他のダンス作品のように
                直裁的に暴力を舞台に乗せる、というのと違う。

                影の役の活躍が多い。
                (真っ黒な衣装で黒い仮面を被って登場する)
                これが、人間の暗黒の側面を表現しているのかもしれないが
                何とも不気味である。
                (床をゴロゴロ転がって行ったりするし)

                カルメンを踊った Kayoko Everhart というダンサー
                東京出身らしいのだが
                日本人離れしたエキゾチックな雰囲気のあるダンサー。

                自由を愛するとか気が強いとか言う前に
                これ、かなりの悪女じゃないか。
                男性を手玉に取って
                破滅させるのが趣味・・・みたいな感じ。

                ドン・ホセ役のダンサーが
                何か、どうみても普通のオジンにしか見えず
                最初は、え?この人、本当にドン・ホセ?
                踊れるのか?とか思っていたのだが

                いや、ごめんなさい、失礼しました(汗)
                素晴らしいダンスで
                (動きが滑らかでリアルで、でもちゃんとダンス)

                エキゾチックなカルメンが
                あぁ、仕方ないわね、またオトコを落としちゃった。
                ヒマ潰しに揶揄ってやろうかしら
                ・・・としか見えないラブシーンが素晴らしい。
                (ここら辺のリフトはほとんどアクロバット)

                最初に登場した
                ちょっと中性っぽい
                白い運動服の女性は
                たぶん、これはミカエラなのかなぁ。

                ドン・ホセを救おうと
                健気に努力しているのだが

                後半になると、白い運動服ではなく
                黒い服で登場する(これも何かの暗喩か?)

                最初はビゼーのカルメン序曲で始まったけれど
                途中にはシチェドリン版のバレエのカルメン組曲の一部を使用。

                わはははは
                これ、フェドセイエフが指揮したのを楽友協会で聴いた事がある。
                実に面白い曲で
                ビゼーのカルメンのモチーフを使いながらも
                様々な工夫がしてあって楽しい。

                更にテープで Marc Álvarez の作曲した曲が入るのだが
                この音楽がまた良く出来ていて
                テープと実際のナマのシチェドリン版との間の継ぎ目が全くわからない。
                それ程、全体に音楽的にまとまったものになっていて
                これは音響技術者の能力に拍手を送りたい。

                最後にカルメンがホセに刺されたところで
                影の男性(全身真っ黒)が出て来て
                カルメンの赤い衣装を脱がせ
                カルメンが去って行く時に
                黒い運動服のミカエラ?がホセに寄り添い
                上から鎖が垂れて来て、それが落ちて

                ともかく舞台全部が暗喩の連続で
                これ、数回観ないと、わからないような気がする。
                いや、何回も観てもわからないか
                観る度に色々な想像をしてしまいそうな
                不思議な作品だ。

                あまりに暗喩的でモダンで
                どこかの登場人物に感情移入してしまって、というのは
                一切ないのだが

                いったい全体、ホセがカルメンに抱いていた愛って
                何だったんだ?と
                様々な意味で考えさせられてしまう。

                それを書き出すとキリがなさそうなので
                ともかく、これにて独り言は止めておこう(笑)

                バレエ作品「カルメン」は
                4月初旬に、またノルウェー国立バレエ団の公演がある。
                また違ったカルメンが観られそうで
                ちょっとワクワクしている私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                そんな不思議な公演だったんですか?と思っている
                物好きな読者用に
                サンクト・ペルテンの宣伝用トレイラーを貼っておく。
                (キャストは全員違いますが)


                トーンキュンストラー + ドミトリ・キタエンコ

                0
                  Musikverein Großer Saal 2017年3月19日 15時30分〜17時

                  Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
                  指揮 Dmitrij Kitajenko
                  バリトン Vladislav Sulimsky

                  Modest Mussorguski (1839-1881)
                  Vorspiel zur Oper “Chowanschtschina”
                  (1873/74; Bearbeitung : Dmitri Schostakowitsch, 1959)
                  “Lieder und Tänze des Todes” für Sinstimme und Orchester
                  (1875/77; Instumentierung : Edison Denissow, 1983)
                  Wiegenlied. Tranquillo
                  Serenade. Moderato
                  Trepak. Tranquillo
                  Der Feldherr. Vivo
                  “Bilder einer Ausstellung”
                  (1874: Instrumentieurng : Maurice Ravel, 1922)

                  トーンキュンストラーの日曜日定期
                  今回は何とモデスト・ムソルグスキー特集。

                  オペラ「ホヴァーンシチナ」序曲
                  オーケストレーションはショスタコーヴィッチ
                  「死の歌と踊り」デニソフのオーケストレーション
                  最後はご存知、展覧会の絵、ラヴェルの編曲版。

                  もう色々あってバタバタして
                  あまりに眠いし
                  別にムソルグスキーが大好きという訳でもないので
                  どうしようか考えたのだが

                  私は実は、キタエンコという指揮者が好きなのである。
                  白髪のライオンみたいな頭のロシアの指揮者だが
                  決して派手ではないのだけれど
                  実に誠実な音楽を聴かせてくれる人なのだ。

                  前半はバリトンが入るので
                  係員の許可を得て、ちょっと他の席に逃げた。

                  ホヴァーンシチナ序曲は
                  ううう、やっぱりどうしても
                  オーケストラの技量か楽器かの差が出て来てしまうのは
                  まぁ、それは仕方がない。

                  次の「死の歌と踊り」なんて
                  私、初めて聴く。

                  プログラムに対訳は出ているんだけど
                  左にあるオリジナル・テキスト、ロシア語だよ(汗)
                  大学時代に齧った時にアルファベット習った筈なんだけど
                  30年以上経ったら、全然読めないじゃないの(冷汗)

                  ドイツ語のテキストだけ読んでみたが
                  これ、確かに「死」をテーマとしているので
                  凄まじい内容である。

                  バリトンの Vladislav Sulimsky って
                  ヴラディスラフ・スリムスキーとか読むんだろうか。
                  もともとマリイインスキー・オペラで歌っていたようだが
                  最近は国際的に活躍しているらしい。

                  倍音たっぷりの美声で
                  舞台から離れたせいか、あまり飛んでくるタイプの声ではないのだが
                  さすがロシアと言うか
                  あのあのあの、暗い暗い暗〜い雰囲気が凄い。

                  しかも何が凄かったかと言って
                  この歌手の表現力がむちゃくちゃ凄い。

                  ロシア語わからなくて、ものすごく残念!!!
                  これだけの表現力で
                  例えばドイツ・リートを歌ったら、凄まじいかもしれない。

                  最初の子守唄は
                  子供に死神が来る内容なんだけど
                  死神が、本気でコワイ。

                  ただ声を張り上げるだけではなくて
                  本当に声で語ってくる。
                  イタリア・オペラとかも歌っているみたいだが
                  この暗い目の声は、ロシアものの暗いオペラには向くだろうなぁ。

                  さて、後半の「展覧会の絵」
                  なんか、本当に最近、こればかり聴いているような気がする。

                  最初の金管は巧く入って
                  古城あたりでは
                  まぁ、普通だよなぁ・・・とちょっと退屈したのだが
                  卵の踊りがすごくチャーミングで
                  リモージュですごく楽しくなって来た。

                  カタコンベあたりの凍るような寒さは
                  あまり出てはいなかったし
                  この間みたいに、エルミタージュ宮殿にすっ飛ぶ事はなかった代わりに

                  ババ・ガヤの最後の部分で
                  ひっくり返りそうになった。

                  何ですか、あの薄気味悪い音響は!!!
                  あんなオーケストラ、今まで聴いた事がない!!!!!

                  時々、こういうビックリがあるので
                  オーケストラのコンサートに行くのを
                  止められないのだ。

                  マエストロ・キタエンコ
                  やっぱりアナタは凄い(笑)

                  ユニークなプログラムを
                  とことん楽しんだ私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                  ウィーン・フィル + アンドリス・ネルソンス 2回目

                  0
                    Musikverein Großer Saal 2017年3月19日 11時〜13時

                    Wiener Philharmoniker
                    指揮 Andrís Nelsons
                    チェロ Tamás Varga

                    Antonín Dvořák (1841-1904)
                     Konzert für Violoncello und Orchester, h-Moll, op. 104
                    Ludwig van Beethoven (1770-1827)
                     Symphonie Nr. 6, F-Dur, op. 68, “Pastorale”

                    ウィーン・フィルの日曜日定期。
                    さすがにここ2週間、むちゃくちゃ忙しくて
                    しかもグループ動いていてヘトヘトなので
                    朝のサウナは失礼して欠席(ちゃんと連絡してある)

                    さて、昨日と同じプログラムである。
                    ヒゲをはやして
                    前髪の脇の方が、かなり後退して
                    ふくよかなネルソンスは

                    指揮の動きは数年前の可愛かった頃とあまり変わってない(笑)
                    相変わらず動きは激しいし、表情も豊か。

                    ドボルジャークのチェロ協奏曲。
                    昨日と印象変わるだろうか、と思ったんだけど

                    う〜ん・・・ 微妙・・・

                    タマーシュ・ヴァルガのチェロは
                    本当に品が良いのである。
                    マジメだし端正だし技術的にも素晴らしいし
                    聴いている方まで背筋が伸びてくるような演奏なんだけど

                    オーケストラとあまりにバランス良過ぎというか
                    そこまで埋もれてどうする・・・

                    プレイヤーの持ち味だから
                    それはそれで良いとは思うんだけど

                    コーラスやって抜群に巧い歌手が
                    ソロを歌うと埋もれる事があるじゃないですか。
                    ああいう感じ。

                    音量も小さいのは確かだが
                    それ以上に

                    俺サマを見ろ
                    俺サマが主人公だ

                    というアクがないというか

                    木管との掛け合いのところで
                    木管のソロの方が目立っていてどうする?!

                    高いアンサンブル能力と
                    上品な持ち味が反って邪魔をしてしまった、というところか。

                    後半の「田園」は
                    いや、ウィーン・フィルの音だよなぁ、という印象。
                    ネルソンス、あんまり手を加えてないだろ(たぶん)
                    伝統的なウィーン・フィルらしい
                    厚みのある音と透明な弦の音と
                    木管・金管の名人芸で
                    別に何も変わった事はしていないのに
                    ついつい聴かされてしまった。

                    こういうド・トラディショナルな演奏というのも
                    時々は悪くないし
                    ティーレマンがやったような
                    ベートーベンが威張って歩き回っているような
                    大袈裟なヘンな解釈ではなかったので
                    最初から最後まで、安心して
                    ハイリゲンシュタットの緑の中を散歩させてもらいました。

                    このコンサート
                    同じプログラムで
                    火曜日のソワレ(行きません、念の為)と
                    木曜日の楽友協会のチクルス(チケット持ってる)と
                    全部で4回演奏される。

                    オーケストラのメンバーって
                    飽きないんだろうか(余計なお世話)
                    ・・・だって、田園って
                    一つのモチーフを、しつこく繰り返し繰り返し繰り返し(以下省略)

                    そう言えば、今回
                    久し振りにベーレンライターのスコアを持ち込んだんだけど
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                    PASTORAL-SINFONIE
                    oder
                    Erinnerung an das Landleben
                    (mehr Ausdruck der Empfindung als Malerei)

                    と書いてあって
                    最後の一行に大笑いしてしまった。
                    (絵画より印象的だぞ〜、と大声で主張している)

                    最近、ベートーベンの交響曲が大流行りで
                    ウィーン交響楽団だけじゃなくて
                    他の客演オーケストラもベートーベンを演奏するのだが

                    まぁ、それは別の話(笑)
                    イヤでも読者はそのうち
                    ワタシの個人的ド・シロート印象記を
                    読まされるハメになるでしょう、うっふっふ。

                    そんなワケで(よくわからんが)
                    本日もどうぞ1クリックをお恵み下さい。



                    実はダブルヘッダーで
                    午後もコンサートに行ったのだが
                    来週は木曜日までコンサート行きがないので
                    ちょっとケチして、明日、アップします(笑)

                    ウィーン交響楽団 + フィリップ・ジョルダン

                    0
                      今週は土・日曜日ともダブル・ヘッダー。
                      時系列に読みたい方は
                      もう一つ下の記事からお読み下さい。

                      こちらは夜のコンサート。
                      計らずも、午後のコンサートと同じ曲を
                      違うホール・違うオーケストラ・違う指揮者で聴くという
                      面白い体験でした。

                      Konzerthaus Großer Saal 2017年3月18日 19時30分〜21時30分

                      Wiener Symphoniker
                      指揮 Philippe Jordan
                      ピアノ François-Frédéri Guy

                      Ludwig van Beethoven (1770-1827)
                       Ouverture c-moll zu “Coliolan” op. 62 (1807)
                      Béla Bartók (1881-1945)
                       Konzert für Klavier und Orchester Nr. 3 Sz 119 (1945)
                      Ludwig van Beethoven
                       Symphonie Nr. 6 F-Dur op. 68 “Pastorale” (1807-08)

                      夜はウィーン交響楽団で
                      またもや後半はベートーベンの交響曲6番「田園」(笑)

                      オーケストラのマネージメントって
                      別に何を考えている、というワケでもないのかしら。

                      さて、最初はコリオラン序曲から。

                      コンツェルトハウスの大オーケストラ向けのデッドな音響に
                      あの勇壮なメロディがキッチリ響くと
                      すごくマッチョで筋肉質、硬質で透明な音が響き渡る。

                      切れ味の鋭いウィーン交響楽団の持ち味が活きる。
                      男性的なのに、無駄に熱くはならず
                      音の重さがこの上ないバランスで決まっていて
                      スタイリッシュに聴こえてくるのはジョルダンの持ち味か。

                      バルトークのピアノ協奏曲3番。
                      ソリストはフランソワ・フレデリック・ギー。
                      ちょっと見た目が不思議なヒッピーみたい。
                      (写真はご本人のサイトからダウンロード。
                       クリックで(すごく)大きくなります)



                      で、これが、これが、これが
                      ちょっと凄かった(汗)

                      出だしだけは知ってるけれど
                      聴き込んでもいない曲なのに
                      この人のピアノの音、ものすごい色彩感。
                      次から次に色が変わって
                      めくるめく色がホールに飛び散るような印象で
                      何ですか、このピアニスト 😨

                      呆気に取られて引き摺り込まれて
                      あっという間に曲が終わっちゃった。
                      まさかバルトークの協奏曲で
                      こんな色彩の洪水に溺れるとは思ってもみなかった。

                      前半で頭がボーッとしてしまって
                      気を取り直して
                      後半の「田園」は
                      ウィーン・フィルのコンサートの時と同じく
                      スコアに頭を突っ込む事にした。
                      (どうせ天井桟敷で前が一杯で舞台は見えません)

                      ・・・面白い ♡

                      ジョルダンは最初のリピートもちゃんと演奏。
                      さすがにウィーン・フィル+楽友協会という音響とは違って
                      最初の弦にうっとり、という事はなかったけれど

                      ジョルダン、時々、フォルテで長く続くフレーズに
                      膨らみを持たせていて
                      (え?そんなの楽譜に書いてない、って感じでビックリ)
                      それが、何とも音楽的に響いてカッコいい。

                      ホールのデッドな音響の影響もあるけれど
                      音が全体的にスッキリしていて
                      爽やかなハイリゲンシュタットあたりの
                      夏の空気を彷彿とさせて
                      周囲の空間の空気が澄んでくるような気分になる。

                      第2楽章で、また椅子からずり落ちそうになった。
                      ビオラとチェロ、コントラバスの音色が違う。
                      あれは、ノンビブラートでやらせたのか
                      中間の音と低音が実に柔らかく
                      くもった感じで聴こえて来るので
                      それに乗せるメロディ・ラインの美しい事。

                      ううう、やるじゃん、ジョルダンとウィーン交響楽団 ♡
                      なんかちょっと、このメロディを甘く歌わせるところで
                      涙ウルウルになって来てしまうような状態(アホですどうせ)

                      農民たちの大騒ぎは
                      きゃ〜〜〜っ、何ですかそのテンポ。

                      ウィーン・フィルの演奏より、心持ち早めで
                      木管がキレイに響くんだけど
                      クラリネットのあの下降音階
                      誤摩化した?とは言わないが
                      ウィーン・フィルの時には、くっきりはっきり聴こえて来たのが
                      割にボケて聴こえて来たけれど
                      まぁ、そんなのは好みの問題である(断言)

                      嵐の部分、迫力たっぷりなんだけど
                      やっぱり楽友協会との音響の差があって
                      ウィーン・フィルの音のような脅かすような芝居がかった雰囲気はゼロ。

                      あくまでも冷静にスタイリッシュに
                      聴いていて気持ちが良い、というよりは
                      ホールの音響のせいで
                      自分はガラス窓のある家から
                      外の嵐を見て、逃げ惑う農民を見ているような

                      ある意味、ちょっとノーブルな感じの演奏だったかも。

                      押し付けがましくない。
                      ちゃんと主張はしているのだけれど
                      熱情の嵐に巻き込むというよりは
                      もう少し距離を置いて、現代的にクールにしてみました、ってところか。

                      ちゃんとフォルテはフォルテで
                      無駄にフォルティッシモにしていなかったというのも見事。

                      何とも新鮮で ♡
                      トラディショナルというよりはモダン。
                      オーケストラの持っている音が違うから
                      ウィーン・フィルと比べられないけれど
                      ネルソンスよりは、もっと客観的で
                      ウィーン・フィルの伝統的な演奏に比べると現代的で
                      スッキリ爽やか。

                      多少の傷がなかった訳ではないし
                      弦のアンサンブルの揃い方はウィーン・フィルの方が上だが
                      こういう、爽快感のある演奏、私は好きだ。

                      明日、日曜日の11時から
                      またこのコンサートあるんだけど
                      ウィーン・フィルも同じプログラムで11時から楽友協会。

                      う〜ん 😖
                      ウィーン・フィルのチケットは持っているんだけど
                      今日のウィーン交響楽団のコンサートを聴いちゃったら
                      ちょっと明日はウィーン交響楽団に行きたいような気分。
                      (バルトークのピアノ協奏曲も抜群だったし)

                      でもお金もないし
                      持っているチケットを無駄にしたくないし(ケチ)
                      ウィーン・フィルのドボルジャークと田園だって
                      明日、もう一度聴いたら
                      また違う印象になるかもしれないし・・・

                      ウィーン交響楽団が昼の公演じゃなくて
                      (日曜日11時のコンサートは
                       もれなくバーバラ・レットのお話会が付いて来るのもウザい)
                      夜のコンサートをやってくれるんだったら
                      もう一度、このコンサート行きたいんだけど(涙)

                      どれが上とか下とか言うのではなくて
                      それぞれのオーケストラやホールの持ち味で
                      同じ曲でも、これだけ印象が変わってくるという

                      だから音楽って面白い、と
                      本気で考えてしまう私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。


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