フローリアン・ベッシュ + マルコルム・マルチヌー

0
    Wiener Konzerthaus Mozart Saal 2017年2月28日 19時30分〜21時15分

    バリトン Florian Boesch
    ピアノ Malcolm Martineau

    Franz Schubert (1797-1828)
     Die schöne Müllerin D 795 (1823)

    この間の日曜日から
    ほとんど日を空けずに
    またバリトンでの「美しき水車小屋の娘」

    フローリアン・ベッシュについては
    何回か書いてもいるし
    この深いバリトンの
    ゾッとするようなシューベルトの「冬の旅」は
    ナマでも何回か聴いた。

    けど、今度は水車小屋の娘?
    なんか、あのバリトンの声質のイメージに合わないんだけど・・・

    登場したベッシュ
    歌う前に突然

    今日は自殺はないです

    って・・・わっはっは、そういう解釈か。
    歌った後に、この解釈についての解説があるとの事で
    その説明は聞かずに
    まずはベッシュがあの声で
    美しき水車小屋の娘を、どう落とすか(こらっ)お手並み拝見。

    最初から、えらく元気な青年(というかガキだな)登場(笑)

    でも、すでに Das Wandern で
    節ごとの表現が素晴らしい。
    どの歌手も、どのピアニストもやるけれど
    ピアノの音の重さとタッチを変えて自在に音を操るピアニストと
    元気な声から、しっとりしたところまで
    これも変幻自在のバリトンの表現に心を奪われる。

    落ち着いた色調のリートの後
    Am Feierabend で登場した親方が
    どう見てもベテランの落語家にしか聞こえず(すみませんっ!)
    いや、堂々としていて、実に良いのであるが
    その後の娘のセリフ
    最初を本当に(バリトンかお前は!)ソット・ヴォーチェでやった後
    繰り返しを力強く歌ったので

    あっ、この2回目の Allen eine gute Nacht の繰り返し
    この若者の心の中のリピートで
    なにぃ、みんなに良い夜をだって?!
    ボクだけじゃないのか、ふざけるな(妄想)

    Ungeduld あたりは
    何か、怒っているように聴こえる程のエネルギーで
    そんなコワイような声で
    ボクの心はキミのもの、とか叫ばれても
    ・・・ちょっと困惑するだろ、これは(汗)

    Des Müllers Blumen あたりは甘い声でゾクゾク。
    その後の Tränenregen は後の解説で大きな役割を果たす事になる。

    Der Jäger から Eifersucht und Stolz を
    ドラマチックに歌い上げた後の
    Die liebe Farbe の空虚さの対比に鳥肌が立つ。

    しかもピアノがまたドラマチックで惚れるわ ♡
    バリトンだからかもしれないけれど
    低音がバッチリ効いていて(低音好き)

    さて、最後の子守唄
    自殺じゃない、と最初から言ってたから
    もっと明るく歌うのかな?と思っていたけれど
    ドラマチックではあっても、別にむちゃ明るい訳ではなくて
    割に普通に歌った、という印象だった。

    しかしまぁ、一風変わった水車小屋の娘ではある。
    我々がディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウあたりで
    聴き慣れた「キレイな」リーダー・クライスと全く違って

    オペラ・・・とは言わない
    オペラちっくな表現はない
    けれど
    ドイツ・リートの持っている劇的な部分を
    これでもか、これでもか、とばかりに聴かせてくれた感じ。

    さて、解説の時間です(笑)

    ベッシュ曰く
    「僕は、この「美しき水車小屋の娘」が
     どうしてもわかりませんでした」

    私の乏しいドイツ語理解力で分かった、という部分だけだし
    何らかの私の偏見や誤解が入っているかもしれないが

    これは青年と小川の対話です。
    で、私は、小川というのは、いったい何だ?と
    ずっと疑問に思って来ました。

    ・・・で、どっか一ヶ所に
    小川が語りかける部分が、という話があったのだが
    いったい何処だったっけ?(記憶力ゼロ(恥))

    その深い小川の哲学的語りかけに応えたのが
    最後の曲だそうで
    自殺ではなく、もっと心理的に深い部分に入っていく象徴
    ・・・とか何とか(もう混乱しているワタシ)

    ただ、面白かったのが
    観客からの質問で

    あなたの歌は、愛してる、と歌いながら
    怒っているように聴こえたのですが

    これ、かなり鋭い質問で
    ベッシュも、おお、よくぞ聞いてくれた、とばかりに

    Tränenregen の話になった。

    この「涙の雨」という曲
    確かに、このチクルスの中で
    唯一、青年と娘が会話する曲なんだけど

    ご存知の通り
    2人で小川のほとりで、小川に2人が写っていて
    青年の涙が小川に落ちると
    娘が、あら、雨だわ、私、帰るね・・・という曲で

    ベッシュ曰く
    小川に2人が写っていると言う状況は
    こうやって座って、乗り出して
    2人で小川の上に顔を出している状態で

    そこに落ちた涙を
    雨と思って、じゃぁ、帰るね、という
    この娘は、青年の感受性を全く理解できていない。

    ・・・まぁ、女性ってそういうモンでしょう。
    男性が女性に期待し過ぎだ(爆笑)
    ベッシュは、ここで
    ずいぶん娘をバカにした振りをしていたけれど
    プラグマチズムの強い女性は、だいたい、そんな感じだと思うよ?

    その後の Mein ! で怒っているように聴こえるのは
    そういう感受性を理解しない
    要は世界観として、全く青年と別個な世界に生きている
    俗物の女性を愛している、という状況に
    青年が自分で自分を強制的に追い込んでいるから

    ・・・何となくわかるぞ、これ。

    そうなんだよね
    この「美しき水車小屋の娘」というチクルス聴いていると
    私には、どうしても、この娘が
    一時でも、この青年を愛したとは思えず

    せいぜい、感受性の強いインテリな男の子が
    何か、必死に縋ってくるから
    ちょっと、手を出しちゃおうかなぁ
    程度にしか聴こえない。

    だいたい小川のほとりで2人で居る時に
    小川の上に乗り出して、2人で小川に写る自分たちを見てるか?
    普通だったら、小川見るんじゃなくて
    お互いに見合ってイチャイチャだろう!!!

    だから、確かにこのストーリーは
    ラブストーリーでも、失恋物語でもなく
    世界観が違う男女がくっつくのは無理・・・じゃなくて(冷汗)
    見た目の美しさに夢中になって
    知能程度の低い女性にひっかかっちゃダメよ・・・じゃなくて(冷汗)

    何なんだ、このストーリー???
    よく考えてみれば
    最初から最後まで、青年の空回りだよね?

    ベッシュに言わせると
    この曲はロマンチックにキレイに歌おうとすれば
    それなりに歌えてしまうし
    今まで、ずっと、そのように歌われて来たけれど
    実は違うんじゃないか。

    15年前だったら、こういう歌い方は出来なかった
    と言っていたけれど

    それだけ、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウの
    呪いというものは強力だったのだ。

    本当にや〜っとここ数年
    その呪縛から解放された才能ある歌手たちが
    あの世代の歌手には思いもかけなかったような
    新鮮な切り口でドイツ・リートを歌うようになってきて

    オバサンの私も、やっと呪縛から解放されたような気がする。

    もちろん、ベッシュが強調して言っていたけれど
    歌い手にも聴き手にも
    それぞれの解釈があって
    ベッシュの解釈が唯一正しいものではない。

    ただ、音楽的なアプローチではなく
    テキストからの分析、という意味では
    非常に面白い30分だった。

    こういう実力のある歌手が
    心理的に深い部分での考察や分析を重ねて
    全く違う世界を聴かせてくれた時間は
    睡眠不足だろうが
    仕事が溜っていようが
    行って良かった!!!と思わせる
    充実した時間だった。

    と、感覚的にも理性的にも
    充分に満足して
    オフィスに残業しに帰った私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    いや、でも去年の2月・3月に比べたら
    地獄と天国くらいの差はある(と思わないとやって行けない(笑))
    何とか3月が過ぎてしまえば(え〜い、無事に過ぎろ!)
    その後は、ぐっと楽になる(はず)

    リーズの結婚 11回目

    0
      Wiener Staatsoper/Staatsballett 2017年2月27日 19時30分〜21時40分

      LA FILLE MAL GARDÉE
      Ballett in zwei Akten nach einem Libretto von Jean Dauberval
      振付 Frederick Ashton
      音楽 Ferdinand Hérold, frei bearbeitet und eingerichtet von
      John Lanchbery nach der Fassung von 1828
      舞台・衣装 Osbert Lancaster
      指揮 Simon Hewett

      未亡人シモーヌ Eno Peci
      リーズ Liudmila Konovalova
      コラ Jakob Feyferlik
      トーマス Gabor Oberegger
      アラン Richard Szabó
      村の公証人 Wendelin Viehweider
      書記 Robert Weithas
      オンドリ Marian Furnica
      メンドリ Abigail Baker, Marie Breuilles, Joanna Reinprecht, Carolina Sangalli
      リーズの友人 Elena Bottaro, Iliana Chivarova, Adele Fiocchi, Eszter Ledán,
      Anita Manolova, Anna Shepelyeva, Franziska Wallner-Hollinek
      村の住人たち Natalya Butchko, Vanessz Csonka, Adele Fiocchi, Sveva Garguilo
      Oxana Kiyanenko, Erika Kovánová, Zsòfia Laczkó, Katharina Miffek,
      Andrea Némethová, Suzan Opperman, Alaia Rogers-Maman,
      Rikako Shibamoto, Céline Janou Weder
      Leonardo Basílio, Marat Davletshin, Alexis Forabosco, Trevor Hayden,
      Igor Milos, Tristan Ridel, James Stephens,
      Alexandru Tcacenco, Zsolt Török, Arne Vandervelde,
      Jaimy van Overeem, Géraud Wielick

      どうせ11回目ですが、それが何か?(開き直り)

      2月のリーズの結婚は
      リュドミラがリーズにキャストされていたので
      あまり期待せずにチケットを買ったのだが
      (すごく売れていて、ちと高い席を・・・(汗))

      蓋を開けてみたら
      相手役にヤコブ!!! ♡
      シモーヌ役がエノって
      これは期待できそう。

      で、期待に違わずの出来。
      リュドミラは若いのに、ちょっと年増に見えるので
      あまり望遠鏡で覗かないようにして
      ヤコブとかエノをしっかり見ていた。

      リュドミラはテクニック的には鉄壁なので
      遠目から見ていれば、素晴らしいのである。

      ヤコブの可愛らしさ
      手足の長さ
      足をあげてジャンプする時の空間の掴み方

      もう、なんて美しい体型なんでしょう、このダンサーは。
      しかもまだ20歳って
      末恐ろしいわ。
      本当の王子さまだわ 😍

      ヤコブを望遠鏡で見ながら悶えまくっていたが
      それを越えて、ともかく凄かったのが
      エノのシモーヌである!!!!

      いやもう、あはあはあは
      そんな演技ってあったか?というような
      細かいところの振りや
      表情が、むちゃくちゃ可笑しいの。

      最後のシーンで
      コラ(=ヤコブ)がリーズ(=リュドミラ)を
      お姫さま抱っこした時に
      その後ろで、エノが誰かをお姫さま抱っこしていたのには
      ひっくり返りそうになった。
      (望遠鏡でヤコブばかり見ていたので
       後ろのエノが誰を抱っこしたのか
       確認できなかったのは残念だ)

      ともかくエノの演技が面白すぎる。
      ローマンもアンドレイも、それなりにキャラ立っていて
      コミカルなんだけど
      エノのあのキャラの可笑しさって
      いったい何処から出てくるわけ??

      リッチーのアランもなかなか奮闘 ♡
      可愛らしくて無邪気でアホで
      観客からも大いに笑いを取った。

      今回はちょっと高い席だったので
      周囲の観客がお上品(笑)
      開演前に

      「今日の出し物、何だった?」

      と聞かれて、椅子からずり落ちそうになったのだが
      アボと言われる
      色々な演目を詰めた幕の内弁当みたいな
      シーズン・チケットを持っていらっしゃるそうだ。

      お隣の年配のご婦人に
      この演目見た事ある?と聞かれて
      はい、11回目です(向こうは目を剥いていた(笑))

      見どころなどを熱く語っているうちに
      前に座っていたアボの年配の男性も
      君はバレエの専門家かね?みたいに会話に加わって来て
      その後、いらした奥さまも会話に加わって

      いやぁ、久し振りに熱くバレエを語ってしまった(アホ)

      でもこの演目、みんな幸せな気分になれる。
      ニコニコしながら
      楽しかったね〜 ♡ と声を掛け合いながら
      劇場を出て行く事が出来るのは、とても貴重。

      久し振りに観たけれど
      やっぱり、楽しいし面白いし
      舞台の色がキレイで
      すごくリラックスできる。

      そうよ、仕事の合間に行くんだったら
      こういう演目に限るわ。
      田舎のおとぎ話のラブストーリーって
      実に良い気分転換になる。

      でも、ヤコブとリュドミラのカップルが観られるとは。
      (もともと確かミハイルが配役だった筈だ)
      ヤコブが観られたのは、本当にラッキー ❤️

      ヤコブとナターシャやニナ(トノリ)だったら
      悶えまくって失神しそうになって
      その後、仕事をする気にはなれなかっただろうから
      鉄壁テクニックで
      ほら、私、キレイでしょ?というお姉さんリュドミラで良かったかも。

      いやしかし
      藁の上でのラブシーンで
      リュドミラとヤコブ、マジ、本当に
      かなり熱いディープ・キッスをしていた時には

      こら〜〜〜っ!!! 😾

      海千山千の年増が
      若いキュートで擦れていない男の子を
      誘惑するな、堕落させるな
      手を出すなっ!!!
      え〜い、リュドミラ、ヤコブから離れろ!!!

      と、かなり嫉妬混じりの激情に駆られていたのだが。
      (だからね、やっぱり、すごく羨ましいわけですよ、うん)

      かと言って、若い男の子に手を出すだけの
      魅力も財力も自信もないので

      やっぱり遠くからオペラ・グラスならぬ
      望遠鏡で覗くくらいが、ちょうど良いわ ♡
      と思っている(かもしれない)私に
      どうぞ1クリックをお恵み下さい。


      ウィーン交響楽団 + フィリップ・ジョルダン

      0
        久し振り?に
        日曜日のダブルヘッダーです。
        時系列に読みたい方は、まず こちら からどうぞ。
        下は夜のコンサートです。

        Musikverein Großer Saal 2017年2月26日 19時30分〜21時20分

        Wiener Symphoniker
        指揮 Philippe Jordan

        Ludwig van Beethoven (1770-1827)
         Symphonie Nr. 1 C-Dur, op. 21
         Symphonie Nr. 3 Es-Dur, op. 55 “Eroica”

        実はこのコンサート
        昨日の土曜日と今日の日曜日にあって
        本当は2回行く予定にしていたのである。

        1週間に1回、週末にチケットを纏めてバッグに入れるのだが
        あれ? 土曜日のコンサートのチケットがなくて
        日曜日のコンサートのチケットが2枚???

        げげげげげ〜っ 😱

        私、カレンダーに間違えた日付を書いて
        土曜日のコンサートじゃなくて
        日曜日のコンサートのチケットをダブルで買っちゃったのか。

        時、既に遅し
        土曜日のコンサートのチケットは売り切れ。

        日曜日の2枚目を楽友協会にリセールで持っていった時に
        土曜日のチケット、まだないかなぁ、と聞いたら
        申し訳なさそうに、売り切れなのよね、と言われてしまった(涙)

        何故にウィーン交響楽団のコンサートが
        2回続けて売り切れなんだっ!!!
        (いや、すみません、失礼な言動を・・・)

        さて、2回目のコンサートになる本日のベートーベン。
        フィリップ・ジョルダンが
        ウィーン交響楽団と、これから行なう
        ベートーベン・チクルスの1回目。
        (ウィーン・フィルとティーレマンみたいに
         チクルスにはなっていないが)

        バッグにスコアを突っ込んで
        会場に到着してからも
        スコア見ようか、指揮者をガン見しようか悩んだのだが
        まず1番はスコアとにらめっこ。

        うわ〜、すごいぞ、この1番。
        弦のニュアンスが豊かな事。
        しかもアンサンブルがピッタリ揃って
        何とも混じりっけのない、すごく透明な音色なのに

        何てベートーベンらしいというか
        この曲そのものは
        まだモーツァルトやハイドンの影響が強いとは言え
        そんな伝統的な作りの中でも

        ベートーベンらしいワイルドな破天荒さが
        あちこちに顔を出して
        悪戯っ子がニヤニヤしながら
        あちこちを元気一杯で駆け回っているような印象。

        ティンパニを強めに出して
        速めテンポのノリの良い演奏なのだが
        一点の曇りもない揃った弦の透明な美しさに
        茶目っ気のある木管や金管が大暴れして

        ひえ〜っ、これはたまらん!!!
        何か身体中をくすぐられている感じがする。

        ちょっと笑っちゃうというか
        スコア見ていても面白いんだけど
        繰り返しの時はスコアから目を離して
        音に集中すると、もっと跳ね返りで面白いし。

        スコア見ながら
        時々、天井を虚ろな目つきで見上げながら
        ニヤニヤ独りで笑っているアジア人というのも
        かなり不気味な存在かもしれない(すみません)

        イケメンのジョルダンのお姿も拝見したいが
        スコアを手に
        目から耳から、という
        身悶えする程の快感も捨て難く
        (どうせヘン○イです)

        後半のエロイカも
        スコアに頭を突っ込む事にした。

        第一楽章のダカーポの前で
        グッとテンポを落とすというアゴーギクは珍しかったが
        アクセントの付け方が絶妙で
        息をつく暇もないほど
        駆け足で全身を持って行かれる気分。

        何と言うダイナミズム。
        モダン・オーケストラでの演奏なのに
        ピリオドの小編成のごとくにスッキリ軽く
        イヤミがなくて華やかで

        あぁ、ベートーベンって
        当時のヒットメーカーだったんだよなぁ、って
        ひたすらエンターテイメントと納得してしまう。

        第2楽章の埋葬行進曲も
        ちょっとあれ?と思う程に
        思い込みだの、重たい精神性だのがない。
        純粋に音楽として
        丁寧で、軽く、モダンなのに大袈裟感がない。

        何とも言えず、爽やかなのだ。
        こんなベートーベンってあったっけ?
        聴き慣れた曲なのに、何て新鮮に響くだんろう。

        第3楽章からはスコアを閉じて
        イケメン指揮者を拝見。
        (あの楽章、速すぎてスコア見てもついていけないだろうし(笑))

        正に疾走、小気味が良い。
        しっかり丁寧に歌わせているのに
        出てくるエネルギーの量が半端じゃなくて

        1番もそうだったけれど
        ちょっと笑っちゃうほどに
        ベートーベンのイタズラ風味や
        うはは、とニヤニヤ笑いながら
        あちこちに翻弄するトリックを仕掛けているのが聴こえて来る。

        例のホルンのパッセージの見事だった事。
        惚れ惚れするわ。
        ウィーン交響楽団、もともと管は名人揃いだし
        それに、今回みたいに鉄壁のアンサンブルの弦が加わると
        このオーケストラも時々、異様に無敵になる(笑)

        この曲のハチャメチャな最終楽章
        実は大好き ♡
        ベートーベン得意のバリエーションが
        これも息をつく暇もなく
        次から次へと
        まるでヤケッパチみたいに華やかに
        極彩色の紙芝居でも見ているかのよう。

        今さらベートーベン?と思っていたけれど
        やっぱりベートーベンって凄い。

        というより
        これだけ手垢のついた古典作品を
        ウィーン交響楽団とフィリップ・ジョルダンが
        手垢を擦り落として
        ピカピカの新鮮な状態で
        でも、根本的な部分の音響の美しさとか構成は
        そのままのオリジナルな形で
        見事に聴かせてくれたのがむちゃ嬉しい。

        それだけに昨日、聴き損ねたのが残念(涙)

        アンコールにプロメテウスが演奏されて
        これもモダン・オーケストラなのに
        すっきりした音を響かせてくれて
        ものすごくお得な気分で
        楽友協会を後にした私に
        どうぞ1クリックをお恵み下さい。


        マティアス・ヘルム + デュオ・ハザード

        0
          Gemäldegalerie / Akademie der bildenden Künste Wien
          2017年2月26日 11時〜12時20分

          バリトン Matthias Helm
          ギター Duo Hasard / Stephan Buchegger, Guntram Zauner

          Franz Schubert (1797-1828)
           Die schöne Müllerin D 795 op. 25

          名だたる歌手のコンサートに出掛けている私なので
          このバリトンはいったい誰だ?と思う人もいるだろう。

          オーストリアのバリトンで
          公式ウエブ・サイトは ここ

          ツィッターで私をフォローしている人は
          記憶にあるかもしれないけれど

          ブラームスの「4つの厳粛な歌」を
          現代曲にしてオーケストラにしたという作品を
          ウィーン・フィルが演奏した時に
          オリジナルを Youtube で探していて

          その中で見つけたクリップが
          あまりに巧かったので
          いったいこれ誰?と調べたのが
          この歌手だった。

          よろしければ、私が一発で参った当該の曲をどうぞ ♡



          公式サイトにこのコンサートの告知があったのだが
          会場になる造形美術アカデミーには何も記載がない。
          電話して、このコンサート、あるんですか?と確かめて
          更にメールで1枚チケットを予約した。

          チケット30ユーロというのは
          ワタクシ的には、かなり高い 😓
          でも美術館が会場だし、客席もそんなにないだろうし・・・

          で、いくら Youtube でスゴイとか思っても
          実際に聴いてみたら、声量がないとか
          これだけ歌える人が、中央舞台に飛び出して来ないのには
          何か理由があるかもしれないし。

          こんなプロモーションされていないコンサート
          集まって来るのは関係者ばかりじゃないか、と
          ちょっとドキドキしていたのだが

          会場に到着してみれば
          結構な数の人が来ていて、ほとんど空き席のない状態。
          (とは言え、窓口でダレダレさんがどうのこうのと
           料金払わずにチケットもらった人もいたから
           やっぱり半分以上は関係者だろうという疑惑はある)

          会場は造形美術アカデミー・ギャラリーのイタリア絵画の部屋。
          かなり狭いし、狭いだけに音が響く。
          最初の担当者のスピーチの時に
          うっ、これ、響き過ぎでヤバイかも、という懸念はあった。

          ギター伴奏の「美しき水車小屋の娘」と言えば
          私の世代だと、ペーター・シュライヤーを思い出す。
          楽友協会のブラームス・ホールでナマでも聴いた。
          (確かピアノとチェンバロとギターで
           続けざまにリサイタルした時だ。何年前かは忘れたが)

          今回はギター2本。
          ギターの音量は、こういう小さいホールだとキレイに聴こえる。
          が、やっぱり歌手の声がデカイ。
          響き過ぎるのだが
          だからと言って、声楽で出せる声を抑えるというのは
          大変な腹筋が必要なので(あ、話がズレる・・・)

          時々、音が飛ぶ時の音程が不安定に聴こえて来たり
          ほんの少し、下から上にポルタメントがかかったりするが
          (でもこれ、他の歌手でもよくあるので、そういう曲なのか?)

          ドイツ語は明確に聴こえてくるし
          リート内容の表情も、かなり出ている。

          Am Feierabend の、娘さんの挨拶は
          やっぱりバリトンだとちょっと無理がある(笑)

          音程が本当に不安定なのかは
          Der Jäger を聴けば一発でわかるはず。

          で、その Der Jäger が

          ドラマチック ♡ むちゃくちゃ良いっ!!!

          ナニこの人、凄いじゃないの。
          それ以前は、ちょっとぬるま湯的な緩さがあったのに
          ライバルが出現してからの劇的な変貌と
          その怒りの語り口が実にリアル。

          怒りから悲しみになり
          慟哭から諦観に至る後半の部分が
          切々と心に迫ってくる。

          若かりし頃の私は
          前半の恋にウキウキの方が好きで
          後半はちっ、軟弱者め、とか思っていたのだが
          歳取ると、後半の方が響いてくるのか(いや違うかも)

          嫉妬と怒りの部分の声量は大きいけれど
          そろそろホールの音響に耳慣れもしてくるし

          その後の、声を張り上げない悲しみの部分は
          ギターの音色と相まって
          内省的で親密で、しっとりしていて

          うわああああ、参った、参りました。
          これこそシューベルトだわ。

          ギター伴奏は2本なので
          ピアノ伴奏の取り残しの音符はない。
          ほんの少しの傷はあったけれど
          それは想定内。

          加えてドイツ語が美しい 😍
             ↑これ重要!!!

          ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウで育った私は
          ドイツ・リートの美しさというのは
          80%以上がドイツ語の美しさだと確信しているから
          これだけ美しい明確なドイツ語が聴こえてくると
          それだけでメロメロになる。

          あの Der Jäger にしてからが
          あのテンポの、どう考えても歌手苛めのドイツ語早口言葉を
          目にもつかぬ速さで、しかも一言も疎かにせずに歌い切った 👏

          シューベルト時代のホーム・コンサートというか
          (まぁ、ホーム・コンサートと言い切るには
           バリトンの声量がプロだから(笑))
          良いよね、こういう、何ともファミリー的な雰囲気 ♡

          コンサートの後、アンコール1曲あって
          外でシャンパンやオレンジ・ジュースが用意されていた。

          知り合いとかと行けば
          そこでしっかり料金のモトを取るのだが(こらっ)
          1人でシャンパン飲んでも面白くないし(イジイジ)

          朝8時からのサウナの後だし
          最近また偏頭痛がチラチラ顔を出しているので

          久し振りに造形美術アカデミーの絵画ギャラリーを廻って
          レンブラントにドキドキして
          ボッシュの祭壇画にドキドキして
          入り口のシャンパンが供されている場所に戻ったら

          まだ、ほとんどの人が残っていてシャンパン飲んでる(笑)

          更にチラッと見たら
          ギタリスト2人と歌手も混じってる(笑)

          入場券売り場に CD がある、と言うので買って
          チラッとバリトンと目があったら

          歌手の方から、こんにちは!と声をかけて握手して来た(驚愕)

          な、な、何なんですか、この気取らない雰囲気???
          (どこかのオーケストラが友の会のリハーサル後に
           やっぱりシャンパン供するけど
           私、オーケストラのメンバーに挨拶なんかされた事ないよ?)

          邪推=歌手とギタリストの知り合いばかりなのに
          知り合いではないアジア人の女性が来てるけど、これ誰?

          CD にサインしてもらって
          実はね、Youtube のブラームスで見つけたので
          ・・・と言ったら、うわ〜、そういうプロモーションの効果が
          と歌手自身が驚いていたみたい。

          でも、このマティアス・ヘルム
          またドイツ・リートのリサイタルをやるのなら
          追い掛けてみたい。
          できれば、もう少し広めのホールで
          リートに適した音響のところで。

          まだまだ知られていない
          才能豊かなドイツ・リートの歌い手を発見して
          ちょっと嬉しい私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。



          努力しないで出世する方法 フォルクス・オーパー

          0
            Volksoper 2017年2月23日 19時〜22時

            Wie man Karriere macht, ohne sich anzustrengen
            (How to Succeed in Business Without Really Trying)
            Musical in zwei Akten
            Buch von Abe Burrows, Jack Weinstock und Willie Gilbert
            Musik und Gesangstexte von Frank Loesser
            Koproduktion mit der Staatsoper Hannover

            指揮 Joseph R. Olefirowicz
            演出 Matthias Davids
            舞台 Mathias Fischer-Dieskau
            衣装 Judith Peter
            照明 Michael Grundner
            振付 Melissa King

            J. Pierrepont Finch : Mathias Schlung
            Rosemary : Lisa Antoni
            J.B. Biggley : Robert Meyer
            Bud Frunp : Marco Di Sapia
            Hedy LaRue : Ines Hengl-Pirker
            Smitty : Julia Koci
            Miss Jones : Regula Rosin
            Bratt : Jeffrey Treganza
            Twimble/Womper : Axel Herrig
            Miss Krumholtz : Sulie Girardi
            Gatch/Toynbee : Nicolaus Hagg
            Johnson/Wilkington/Fernsehmoderator : Gernot Kranner
            Jenkins : Maximilian Klakow
            Tackaberry : Marian Olszewski
            Peterson : Pascal Jacque Comoth
            Stimme des Buches : Christoph Wagner-Trenkwitz
            Orchester der Volksoper Wien
            Wiener Staatsballett

            フランク・レッサー作曲のミュージカル
            「努力しないで出世する方法」が
            フォルクス・オーパーで上演されるというポスターが
            あちこちに貼ってあって

            しがないサラリー・ウーマンとしては
            興味あるじゃないですか(こらっ!)

            実は本日はプレミエ前の公演で
            いわゆる昔で言う最終リハーサル。

            昔はこのプレミエ前公演、チケット安かったのに
            今は普通のチケット料金で売っている。
            (註 一番安い天井桟敷が25ユーロです)

            今、またもや仕事がむちゃくちゃな状態になっているところで
            オフィスに仕事をたっぷり残して
            (昨日は午前1時まで仕事してた)
            フォルクス・オーパーの終演時間22時というのを見て
            ちょっと気が遠くなったんだけど
            25ユーロも払ってるから、意地でも観る(ケチ)

            ストーリーについては
            ちょっと調べれば、有名なミュージカルだし
            映画化もされているからわかるので、書きません。

            で、これ、すごく芸達者の出演者が揃っていて
            しかも、あちこちに出てくるサラリーマンが
            全部、バレエ・ダンサー(笑)

            序曲からポリフォニーが結構使われていて
            意外に音楽的には面白い ♡

            主人公のフィンチを演じた Mathias Schlung が
            すごくカワイイ。
            小柄で、別にハンサムでも何でもないのに
            表情の豊かさがスゴイし
            バレエ・ダンサーに混じって
            見事なダンスを見せてくれる。

            フィンチが何か出世のチャンスを掴む度に
            あっ💡 という表情で
            そこにパッと照明がついて
            ニコッという表情が固定するのが
            コミックみたいで、実に楽しい。

            社長のビグリーは
            フォルクス・オーパーの総監督
            ローベルト・マイヤー御大がじきじきに登場。

            この人は出てくると
            他の出演者を喰っちゃうのだが
            今回は他にも芸達者が揃っていて
            1人だけ浮くという事がない。

            セリフだけじゃなくて
            何曲か歌うナンバーもあるし
            もちろんダンスもある(ご立派!!!)

            縁故採用の怠け者で悪者のバドを演じた
            マルコ・ディ・サピア!!!
            この人、スゴイ。
            オペラとかオペレッタにも出演していて
            最初はなんだコイツ、と思っていたけれど
            コミカルな役を、本当にコミカルに演じて
            身体は軽いわ、踊るは、おフザケも立派にやって
            オペラに出るより、こういう三枚目やった方が良いんじゃないの?
            と、真剣に思ったくらい。
            役としては、悪者なのが、ちょっと可哀相になる程の良い出来だった。

            ローズマリーはチャーミングだけど
            フィンチに惚れるところが
            あまり情熱的ではないので
            何となく違和感がある。
            演技力の問題か、演出の問題かもしれない。

            ヘディ役は・・・これは難しいな。
            めちゃくちゃ高い声で
            ひたすらバービーちゃんみたいにやっていたけれど
            ああいうキャラは、やっぱり1960年代にしかウケないだろう。

            ワタクシ的な問題は・・・

            あのね、今日、私はオフィスに仕事を
            ガンガン残して来ちゃってるの。
            なのに、フォルクス・オーパーに来たら
            舞台の上で見るのは会社の風景で
            (しかもキャリアの男性たち、仕事してなくて暇そう)
            何だか、全然、別世界に飛ばないし
            会社の内部を見ていても、リラックスできないよ・・・(涙)

            背景はビデオで
            アメリカの高層ビルなどが見えるようになっている。
            舞台は1960年代なので
            若い人は知らない黒い電話が机の上に置いてあって
            黒電話のリンリン音が鳴る。
            (鳴るたびに、私はリアル・オフィスを思い出す・・・)

            キャリアの経営陣は全員男性で
            秘書は全員、チャーミングなお人形さんみたいな女性って
            ううううう、やっぱり1960年代だ。

            社員役のバレエ・ダンサーたちは
            机を動かしたりするのが主な役目(笑)

            でも、途中でダンスもあるし
            後半のテレビ・ショーのところでは
            割に派手なバレエ・シーンもあった。

            ストーリーは言ってみれば
            アメリカン・ドリームのおとぎ話ですから(爆笑)

            爆発的に人気が出そうな演目じゃなさそう。
            子供が見ても全然わからないだろうし
            私のような虐げられたサラリー(ウー)マンが見たら
            身につまされるというより
            出てくる経営陣が全く仕事していない事にちょっと腹が立つし
            管理職の女性が見たら
            女性蔑視だ!と怒るかもしれない。

            まぁ、おとぎ話だからね。
            社長の隠れた趣味とか
            オーナーの隠された過去とか
            ちょっと類型的ではあっても
            笑えるシーンはかなりある。

            ジモッティ用の演目だから
            全部ドイツ語で、字幕もない。
            (セリフは全部きっちり聞こえてくる。
             全員マイク使用)

            でもフィンチ役の魅力は麻薬的ではある。
            あのクルクル変わる表情には魅せられる。
            あれ見るために、もう1回くらい、言っても良いかも。

            ちなみに、この演目見ても
            皆さまの出世の役には立ちません(爆笑)

            仕事残してミュージカルとかオペレッタに行くなら
            やっぱりリアルな会社とは関係ない演目の方が
            切り替えできて楽しいなぁ、と真剣に思いました、はい。

            この後、プレミエで
            どんな評判になるか
            ちょっと楽しみな私に
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            え? でその後、オフィスに帰ったんですか? って
            もちろんオフィスに戻りましたとも!!!!
            で、夜中過ぎまで仕事してました。
            3月が終われば楽になる筈だから
            ちょっと頑張らなくちゃ 😀
            記事アップの時間は変更してあるけれど
            実は今、明け方4時。3時間寝たらまた出社(笑)


            ウィーン交響楽団 + 佐渡裕

            0
              Wiener Konzerthaus Großer Saal 2017年2月21日 19時30分〜21時30分

              Wener Symphoniker
              指揮 Yutaka Sado
              ピアノ Alice Sara Ott

              Edvard Grieg (1843-1907)
               Konzert für Klavier und Orchester a-moll op. 16 (1868)
              Nikolai Rimski-Korsakow (1844-1908)
               Scheherazade. Suite symphonique op. 35 (1888)

              仕事でも驚きの災難続きなのだが
              まさか私が買ったコンサートまで災難続きとは 😱

              チクルスで持っていたのは昨日分なのだが
              昨日分は友人に譲って、今日の分を別に購入。

              最初は
              指揮がクリヴィーヌでピアノがティボーデの予定。

              ティボーデがキャンセルして、アリス・サラ・オットに変更。
              クリヴィーヌがキャンセルして、ミッコ・フランクに変更。

              更にその後
              コンツェルトハウスからのアナウンスによれば
              ミッコ・フランクが最終リハーサルの時に倒れてキャンセル。

              結局、佐渡裕氏が急遽の代役で指揮台に立つ事になった。

              ミッコ・フランクの指揮で演奏する予定だった
              エイノユハニ・ラウタヴァーラの曲はキャンセル(涙)

              グリークのピアノ協奏曲とシェヘラザードというプログラム
              私の好みじゃないし(すみません、偏ってますんで)
              仕事は今むちゃくちゃな状態なので
              行こうかどうしようか散々迷ったのだが

              昨日行った知り合い(プロ)が
              良かったですよ、というメールをくれたのと
              もう仕事する気力もなかったので(何と言う言い訳)

              で、行ってみたら
              このコンサート、思っていたよりずっと良かった 😀

              アナウンスによると
              オーケストラのメンバーの何人かも倒れたらしく
              どこぞからトラを持って来たという話だが

              グリークのピアノ協奏曲
              ピアノの音がクリアに存在感を主張していて
              すごくチャーミング。

              この曲を聴くと
              どうしても日曜サスペンス劇場か何かの
              テレビ番組を連想するのは仕方ないとして
              (第二テーマのところで、スポンサーは・・という
               アナウンスまで頭に響いてくるのである)

              美人でスタイル良くて
              スマートな体つきをまるでレオタードのように見せる
              銀色の衣装を纏った裸足のピアニストは
              見た目もチャーミング。

              鉄壁のテクニックなのだが
              それをこれ見よがしに誇示する事もなく
              男性と聴き間違うばかりの強いピアノの音で
              しかも、遅めテンポの堂々とした印象で
              じっくりと攻めてくる。

              出てくる男性的でゲルマン的な音と
              見た目の華奢なスタイルのギャップに
              悶える、というのはアリなんでしょうかね(笑)

              演奏後に指揮者に抱きついたり
              カーテン・コールで走って出て来たりという
              キャピキャピな
              如何にも私ってカワイイでしょ、というマナーは
              私はあまり好きではないが
              年配のお客さまにはむちゃくちゃウケそう。

              でもマナー云々よりも
              音楽が期待以上に骨太で
              しっかり聴かせてくれたので
              日曜か火曜サスペンス2時間特集よりも
              ずっと音楽的に最初から最後まで楽しめた。

              後半のシェヘラザード。
              これ、同じテーマが延々と続くので
              時々、辟易するのだが

              これがまたドラマチック ♡
              楽友協会でやったら絶対に許さん、という
              大音響を容赦なく鳴らせて
              品も外聞もない程に徹底的にドラマチックな作り方。

              よってお話が目の前に彷彿とする位の
              語りのある音楽になっているのだ。

              コンマスのシェヘラザードは
              あまり色気は感じなかったが(笑)←男性で色気っていうのもね
              弱いかと思うと凛とした感じにもなって
              良い感じで聴かせてくれて
              でも、それ以外のドラマチック部分がものすごい迫力。
              主人公はシェヘラザードじゃなくて
              アリババの盗賊(なんてここに居たっけ?)か何かかと思ってしまう位。

              ここまで大音響でオーケストラを鳴らせると
              気持ち良いわ(註 コンツェルトハウス大ホール限定(笑))

              色々と困難のあったコンサートだが
              危機を乗り越えて
              きちんと音楽を語ってくれた
              指揮者、ピアニスト、オーケストラに感謝。

              佐渡裕氏もほとんどリハーサルなしの状態で
              指揮台に立ったんだろうなぁ。大変だっただろう。

              ミッコ・フランク氏、早く元気になってね。

              自宅に戻って
              他のチケットを見ていたら
              とんでもない発見をして
              冷汗かいている私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。



              冷汗の原因だが
              間違えた日付のコンサート・チケットを買っていた 😨
              買ったと思った日付のコンサートは既に売り切れ。
              神さまが
              あまりコンサートばかり行くな、と
              私を叱っているのかもしれない(そんなアホな)

              アルミードの館 ル・サクレ 2回目

              0
                Wiener Staatsballett/Wiener Staatsoper
                2017年2月20日 19時〜21時30分

                LE PAVILLON D’ARMIDE
                LE SACRE

                LE PAVILLON D’ARMIDE
                指揮 Michael Boder
                音楽 Nikolai Tscherpnin
                振付・舞台・衣装 John Neumeier

                ヴァスラフ・ニジンスキー Mihail Sosnovschi
                ロモラ・ニジンスキー Nina Poláková
                医者 Roman Lazik
                看護人 Iliana Chivarova, Gala Jovanovic, Franziska Wallner-Hollinek
                Alexis Forabosco, Kamil Pavelka
                散歩している人たち
                Marie Breuilles, Adele Fiocchi, Erika Kováčová, Anna Shepelyeva
                Céline Janou Weder, András Lukács, Igor Milos, Tristan Ridel,
                Zsolt Török, Jaimy van Overeem,
                Anna Bugulova, Lucie Horná, Joana Reinprecht, Isabella Severi-Hager,
                Matteo Magalotti, Dominik Vaida, Wendelin Viehweider, Robert Weithas
                過去
                アルミード Nina Poláková
                シャムのダンサー Davide Dato
                タマラ・カルサウィナ Maria Yakovleva
                アレキサンドラ・バルディーナ Nina Tonoli
                ヴァスラフ・ニジンスキー Denys Cherevychko
                セルゲイ・ディアギレフ Roman Lazik
                ニジンスキーの子供時代 Richard Szabó
                ニジンスキーのクラス・メート Leonardo Basílio, Marian Furnica
                Trevor Hayden, Arne Vandervelde, Géraud Wielick
                バレエ・リュス Natalya Butchko, Eszter Ledán, Anita Manolova,
                Laura Nistor, Suzan Opperman, Alaia Rogers-Maman, Rikako Shibamoto,
                Atttila Bakó, Francesco Costa, Trevor Hayden, James Stephens,
                Richard Szabó, Arne Vandervelde, Géraud Wielick

                LE SACRE
                振付・舞台・演出・照明・衣装 John Neumeier
                音楽 Igor Strawinsky
                指揮 Michael Boder

                Tänzerin 1 Rebecca Horner
                Pas de deux Ioanna Avraam, Francsco Costa
                Tänzerin 2 Alice Firenze
                Tänzerin 3 Estzer Ledán
                Tänzer 1 Eno Peci
                Tänzer 2 Masayu Kimoto
                Ensemble

                しつこいけれど
                この演目、今日の公演の後は
                3月に3回上演が予定されているだけで

                3月分もチェックはしたのだが
                最終公演3月16日は
                ニジンスキーをヤコブが踊るのに
                楽友協会ではウィーン放送交響楽団でヤクブ・フルシャが指揮。

                ヤコブとヤクブの対決で
                どちらも外せない(涙)

                でも、オペラ座のバレエは高いチケットと
                安くて見えない席しか残っていないので
                この日は諦めよう(号泣)
                (とか言ったとたんに
                 やっぱりどうしても観たくなっているワタシ 😓)

                さて、腐女子一筋に生きるようになってしまった私の戯言は
                もう要りません、と
                読者は間違いなくゲッソリしているだろうから

                ミハイルのニジンスキーと
                あのすがりつくような目のローマンのディアギレフの
                涙なしには見られないパ・ド・ドゥについては
                もう書かない(って書いてるじゃん!)

                いやしかしローマンの「ダメ男」振りって
                半端じゃないわよ。
                あんな目と表情で
                あんなにキレイな身体で
                優雅なダンスを踊ってくれちゃったら

                愛されているニジンスキーに嫉妬する(いやそれ違う!)

                あれをやられたら
                女子なんか一発で参っちゃうわ。

                以前、ミヒャエル・シャーデの甘い声で告白されたら
                もうメロメロだろうなぁ、とか考えていたり
                バリトンやバスの低い声で愛の言葉を歌われたら
                全身に快感、みたいな事はあったけれど

                私、いつの間に、声だけじゃなくて
                キレイな身体に反応するようになったんだ???
                (いや、普通は視覚に反応する方が強い筈だが
                 私の場合、声が気に喰わないと、もうそこでダメなの)

                あ、もちろん、これはあらぬ妄想の中の戯言なので
                実際の私の男性の好みは
                丸顔でメガネかけてて、ちょっとお腹が出ている
                (最近会ってないけど)彼氏モドキですから(あらら)

                後半のル・サクレ
                オーケストラが良くなって
                音楽にチッとか思わずに舞台に集中できて

                ハダカ祭りというのは書いたけれど
                ノイマイヤーの振付が何とも有機的で
                動物っぽくて
                生き物っていう感じ。

                バレエ・ダンサーって
                特にクラシックの作品を観ると
                現実にはあり得ないお人形さんみたいに見えるじゃないですか。
                (派手なバリエーションの後に激しい息づかいが全く聞こえない)

                それを完全に打ち破って
                生物の非対称的な動きを全体的に取り入れ
                ダンサーの激しい息使いも聞こえて来て
                お人形じゃない、まさに生物が蠢いている印象。

                多数のダンサーが集まって
                手足を動かす派手な前半も見応えたっぷりだが

                後半の音楽に乗せて
                あちこちでダンサーの群れが有機的に動く様が
                海底動物と言うか(イソギンチャクは前半に出てくる)
                途中で人間ムカデも出てくるし

                フランチェスコとイオアンナの絡みが
                もう、スゴイわけですよ。
                何がスゴイって
                ここでは恥ずかしくて書けない程にナニなんです。
                美しいという概念を越えて、実に生々しい。

                その後のフランチェスコの長いソロって
                グランジュテの後に片足で着地して
                そのまま片足のジャンプなんて
                あんな非対称的な動きが何回も続くのは
                見ていて絶句する。

                最後の圧倒的なレベッカのソロ。
                この存在感がむちゃくちゃ凄くて
                バレエというよりはダンス
                それより、もっと人間の本能に基づいた動き。
                生きる事への希望や絶望
                「生き物」である事に対峙する身体の反応。

                ここまで来ると
                言語化して触れることすら
                禁忌みたいな気がしてくる。

                あくまでも身体が「動物」の一つである事
                ダンスがナマの「生き物」である事を
                まざまざと提示してくれる。

                オペラ座は、オペラ座舞踏会の準備が進んでいて
                これからオペラ座舞踏会まではクローズ。

                この演目の次の公演は3月10日。
                ローマンとヤコブが
                あの妖しいパ・ド・ドゥをどうこなすのか
                興味津々な私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                レベッカは昨日、ル・サクレ初演でソロを踊った後
                ソリストに昇格した!!!! ❤️
                同じくノイマイヤーの「ヨゼフの伝説」で
                そのしなやかさと圧倒的な存在感で
                華やかに中央舞台にカムバックしたレベッカは
                キュートなダンサーの多いウィーン国立バレエ団の中でも
                異色の存在で、替えが効かない素晴らしいダンサーである。
                レベッカ、良かったね(いや個人的には全然知らないが(笑))

                アルミードの館 ル・サクレ 初演

                0
                  Wiener Staatsballett/Wiener Staatsoper
                  2017年2月19日 18時〜20時30分

                  LE PAVILLON D’ARMIDE
                  LE SACRE

                  LE PAVILLON D’ARMIDE
                  指揮 Michael Boder
                  音楽 Nikolai Tscherpnin
                  振付・舞台・衣装 John Neumeier

                  ヴァスラフ・ニジンスキー Mihail Sosnovschi
                  ロモラ・ニジンスキー Nina Poláková
                  医者 Roman Lazik
                  看護人 Iliana Chivarova, Gala Jovanovic, Franziska Wallner-Hollinek
                  Alexis Forabosco, Kamil Pavelka
                  散歩している人たち
                  Marie Breuilles, Adele Fiocchi, Erika Kováčová, Anna Shepelyeva
                  Céline Janou Weder, András Lukács, Igor Milos, Tristan Ridel,
                  Zsolt Török, Jaimy van Overeem,
                  Anna Bugulova, Lucie Horná, Joana Reinprecht, Isabella Severi-Hager,
                  Matteo Magalotti, Dominik Vaida, Wendelin Viehweider, Robert Weithas
                  過去
                  アルミード Nina Poláková
                  シャムのダンサー Davide Dato
                  タマラ・カルサウィナ Maria Yakovleva
                  アレキサンドラ・バルディーナ Nina Tonoli
                  ヴァスラフ・ニジンスキー Denys Cherevychko
                  セルゲイ・ディアギレフ Roman Lazik
                  ニジンスキーの子供時代 Richard Szabó
                  ニジンスキーのクラス・メート Leonardo Basílio, Marian Furnica
                  Trevor Hayden, Arne Vandervelde, Géraud Wielick
                  バレエ・リュス Natalya Butchko, Eszter Ledán, Anita Manolova,
                  Laura Nistor, Suzan Opperman, Alaia Rogers-Maman, Rikako Shibamoto,
                  Atttila Bakó, Francesco Costa, Trevor Hayden, James Stephens,
                  Richard Szabó, Arne Vandervelde, Géraud Wielick

                  LE SACRE
                  振付・舞台・演出・照明・衣装 John Neumeier
                  音楽 Igor Strawinsky
                  指揮 Michael Boder

                  Tänzerin 1 Rebecca Horner
                  Pas de deux Ioanna Avraam, Francsco Costa
                  Tänzerin 2 Alice Firenze
                  Tänzerin 3 Estzer Ledán
                  Tänzer 1 Eno Peci
                  Tänzer 2 Masayu Kimoto
                  Ensemble

                  サクレの方は、上記に列記した以外に
                  ほとんどのダンサーが舞台に乗っているので
                  すみません、全部は書いてません。
                  ダンサーの皆さま、ごめんなさい。

                  ジョン・ノイマイヤーの
                  アルミードの館とサクレ(春の祭典)
                  今シーズンのプレミエ(初演)にイソイソと出掛ける私。
                  プレミエはバレエ・ボーナス・カードの割引は効かないけれど
                  うはははは、もういくらのチケット買ったかは書きません(汗)

                  さて、アルミードの館と言えば
                  リムスキー・コルサコフの弟子である
                  ニコライ・チェレプニンが音楽を担当して
                  バレエ・リュスがミハイル・フォーキンの振付で
                  1907年にマリイインスキー劇場で初演された作品。

                  ジョン・ノイマイヤーが改訂した
                  この作品の初演は
                  ハンブルク国立バレエ団で2009年6月28日に行なわれている。

                  2012年の再演時のドイツのニュースのクリップを見つけたので
                  貼っておく。残念ながら全部ドイツ語だが。



                  上記のクリップはサクレの方を長く写しているけれど
                  実際はアルミードの館が1時間ちょっと。
                  サクレ(春の祭典)は1時間を切る。

                  さてアルミードの館だが
                  かなり複雑な構成。

                  ニジンスキーがサナトリウムに入るシーン
                  幻想に襲われるシーン
                  最後にディアギレフとのパ・ド・ドゥ

                  そして、最後の最後に
                  ニジンスキーが服を脱いで
                  春の祭典の編曲されたメロディの最初のところで
                  バランスを取るところで終わる。

                  ・・・あぁ、ここでサクレに繋がるのね。
                  (もちろん、休憩が入ります)

                  現在と過去が混在し
                  ニジンスキーでなくても混乱しそうなカオスの中に
                  バレエ・リュスのダンサーたちが登場して
                  華やかなダンスを幻想の中で繰り広げる。

                  ニジンスキー役のミハイルが抜群 ♡
                  この役、舞台に出ずっぱりで
                  現実と狂気の間を行ったり来たりする難しい役。

                  バレエ・リュスのダンサーが登場すると
                  若き自分と一緒に踊ったりするし
                  シーンの中で目立たないけれど
                  すごいピルエットやジャンプも容赦なく組み込まれている。

                  テクニックは、野生児ミハイルはお手のもので
                  ジャンプは高いわ、ピルエットはビクともしないわ
                  ただ、これはテクニックだけではこなせない役どころでもある。

                  そこら辺、演技力のあるミハイルのド迫力。
                  虚ろな表情、歓喜の笑顔、困惑の極みを見せる眼差し。
                  何て役をモノにしているんだ、このダンサーは ♡

                  バレエ・リュスが登場するところでは
                  芝本梨花子ちゃんが登場して
                  ポワントをミハイルの横で履くシーンがあって

                  うわああああ、これがまた魅力的。
                  ミハイルの虚ろな精神に
                  パッと光が射し込む部分を
                  梨花子ちゃんの明るさでポッと灯してくれて
                  この短いシーンがものすごく活きる。

                  過去のプリマをマリアとニナ(トノリ)が踊る。
                  豪華な衣装を着て、華やかでクラシックなテクニックで魅せる。

                  過去のニジンスキー役がデニス。
                  カブリオレの高さ、ピルエットの見事さ。
                  華のあるニジンスキーの若い時代を彷彿とさせる。
                  ああああ、素晴らしい ♡

                  ロモラ役とアルミード役を踊ったニナ(ポラコヴァ)が
                  とても品が良くて、これまた見事。

                  目を見張りながら鑑賞していてボーッとなっているところに
                  最後のどっか〜んが

                  ローマン(ディアギレフ)とミハイル(ニジンスキー)のパ・ド・ドゥ。
                  ああああああっ
                  ローマンがベンチの後ろから間接キッスをニジンスキーに投げて
                  その後の2人のデュエットが
                  あまりにあまりにあまりに・・・妖しすぎる。
                  色気たっぷり、ディアギレフの愛と
                  同性愛ではないのに、それに逆らえないニジンスキー。

                  これはちょっと涙が出てくる。
                  ハートがドキドキして止まらない。
                  こうやって、みんな腐女子の道をまっしぐらに進むのだ。

                  最後にニジンスキーが脱ぐシーンだが
                  上に貼ったハンブルク・バレエ団のクリップでは
                  パンツが黒だったけど
                  ミハイルのパンツ、肌色で(きゃ〜っ、ドキドキ)
                  本当に真っ裸のような印象。
                  (誰の好みだ、これは!?)

                  音楽がまたステキで
                  さすが、リムスキー・コルサコフの弟子。
                  本当に素晴らしいバレエ音楽 ♡

                  最終シーンでニジンスキーが
                  サクレ(春の祭典)のテーマでバランスを取って
                  幕が下りて

                  後半はストラヴィンスキーの「春の祭典」

                  一言で現せば「ハダカ祭り」(あ、すみません)
                  肌色の薄いレオタードで
                  激しいダンスと絡みを見せる多数のダンサーたち。

                  すごいテクニックやバランスが多いのだが
                  それよりもなによりも
                  集団での動きのアグレッシブなところが圧倒的。

                  前半で選ばれる犠牲の乙女が
                  エスターだったのは予想通り(笑)
                  エスターの股ぐらから顔を出しているのが
                  木本クンだったのには驚いたが(爆笑)

                  いやいや、あれだけ半裸のダンサーを見ちゃうと
                  色っぽいだの何だの、全くなくなりますね。
                  ただただ、その表現に圧倒されるだけで
                  イカン事なんか考えている余裕はない。

                  フランチェスコのソロが素晴らしい。
                  このダンサー、もともとスゴイ運動能力を持ってるな、と
                  予々、気にはなっていたのだが
                  あの激しい長いソロを見事に踊り切った。

                  最後のソロはレベッカである。
                  圧倒的な力、しなやかさ、野性、情熱を
                  すべて兼ね備えて、燃え尽くすようなソロ。

                  舞台は圧倒的な迫力で、もう唖然とするばかり。

                  で、国立オペラ座のオーケストラ・ビットに入っているのは
                  ほとんどがウィーン・フィルのメンバー・・・の筈だよね。

                  初演前からチラッと、オーケストラがちょっと、という話は
                  漏れ聞いていたけれど

                  最初のファゴットのソロで音外し
                  その後も数回、誰かカウント取り損ねて
                  はみ出ちゃった部分があって

                  いや、ワタシ、所詮はシロートですけど
                  だけどだけど、あの位はわかるわよ。

                  それでも最後に指揮者が出てくれば
                  オーケストラにブラボーの嵐って???
                  ウィーン・フィルのブランド力ってスゴイのね(皮肉です)

                  まぁ、コンサートだったら
                  扱き下ろしの嵐になるところだが
                  今回はバレエですし(笑)

                  この公演、明日が2回目。
                  オーケストラ、頑張れ(笑)

                  次の公演は3月10日と13日。
                  もちろん(激安貧民席)チケットは確保済みの私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  3月13日には国立オペラ座ライブもあります。
                  それまでにはオーケストラも巧くなってるだろう、きっと。



                  ウィーン・フィル + フランツ・ヴェルザー=メスト 2回目

                  0
                    Musikverein Großer Saal 2017年2月19日 11時〜13時

                    Wiener Philharmoniker
                    指揮 Franz Welser-Möst

                    Franz Schubert (1797-1828)
                     Ouvertüre zum Zauberspiel “Die Zauberharfe”, D 644
                    René Staar (*1951)
                     Time recycling, op. 22n
                    Richard Strauss (1864-1949)
                     Ein Heldenleben. Tondichtung für großes Orchester, op. 40

                    基本的に昨日と同じなので
                    あまり書く事はないのだが

                    英雄の生涯、ちょっと感激してしまった 😓

                    音は相変わらずデカい(笑)
                    ニューヨーク仕様なら仕方ないと思うけれど
                    楽友協会であんなに鳴らしたら
                    まるでショスタコーヴィッチ状態。
                    かなりウルサイ・・・まぁ、仕方ないか。

                    ただ、コンサート・マスターのシュトイデさんのソロが
                    もう、感涙モノの絶妙さ。
                    最初のしとやかに見えるところから
                    かなりの気の強さを表現するところ
                    最後のお歳を召したところのパウリーネのソロが
                    また、とても落ち着いた上品な印象になっていて

                    よって、最後のシーンの昇天的な天国的なところが
                    何故かジ〜ンと胸に響いて来てしまった。

                    昨日書いた通り
                    決して同感するような曲ではないのだけれど
                    最後のあまりの美しさに呆然とした。

                    音は大きくても
                    やっぱりウィーン・フィルだなぁ・・・

                    タイム・リサイクリングについては
                    ノーコメント。
                    何回聴いても、その度に印象が違うという
                    何となく不思議な曲ではある。
                    その時の体調によるのかもしれない(あ、逃げた(笑))
                    (ただ、この曲の弦の使い方、私は好きだ。
                     さすが、バイオリニストの曲だと思う)

                    今日の記事が何でこんなに短いかと言うと
                    ちょっとコンサートの後
                    オフィスに仕事しに来てるんです(冷汗)
                    久し振りだな、休日出勤(汗)

                    月曜日にもたっぷり仕事は残っているけれど
                    もう、これ以上、仕事したくないので
                    さっさとタイム・カードを押して
                    グッタリして

                    これから国立オペラ座に向かう私に
                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                    ウィーン・フィル + フランツ・ヴェルザー=メスト 1回目

                    0
                      Musikverein Großer Saal 2017年2月18日 15時30分〜17時30分

                      Wiener Philharmoniker
                      指揮 Franz Welser-Möst

                      Franz Schubert (1797-1828)
                       Ouvertüre zum Zauberspiel “Die Zauberharfe”, D 644
                      René Staar (*1951)
                       Time recycling, op. 22n
                      Richard Strauss (1864-1949)
                       Ein Heldenleben. Tondichtung für großes Orchester, op. 40

                      この間は楽友協会主催のコンサートで
                      今回はウィーン・フィルの定期。
                      プログラムは今日と明日は一緒だが
                      この間とは全く違う。

                      来週のソワレはまた違うプログラムなので
                      何でこんなに違うプログラムを用意するんだろう?と思ったら

                      ウィーン・フィルはこの後、アメリカ合衆国に演奏旅行。
                      ニューヨークで3回のコンサートを含む
                      全部で6回のコンサートを予定しているようだ。

                      今回のフランツ・ヴェルザー=メストの指揮のコンサート
                      この間もそうだったけれど
                      全体的にいつもより音量が大きいのは
                      ニューヨーク仕様だからですか?(笑)

                      シューベルトは
                      まぁ、いつ聴いてもシューベルト。

                      音量が不要に大きい部分を別として
                      中くらいの音量だと
                      やっぱりウィーン・フィルの優雅さが際立つ。

                      ルネ・スタールのタイム・リサイクリング。
                      ウィーン・フィルのスタンダード・ナンバーにしようと
                      ひたすら演奏しているような曲だなぁ。
                      (作曲者のルネ・スタールはウィーン・フィルのバイオリン・メンバー)

                      アタッカで続く4楽章は
                      Déja vu
                      Perpetua mobilia
                      Memories
                      Global Village
                      と名付けられている。

                      最初の2つの章は
                      如何にも「現代音楽」という響きなのだが
                      クラスターではない不協和音であっても
                      かなり透明感があって
                      私、こういうの嫌いじゃない。

                      Memories の部分は
                      名曲のコラージュの印象。
                      ちょっと聞き覚えのあるようなフレーズが
                      浮かんだり消えたり。

                      目を瞑って聴いていたら
                      バレエの音楽にもなりそうな感じ。
                      ここでソロ、こちらで群舞で
                      ここでダンサーが登場して・・・とか
                      ついつい考えてしまうのは
                      きっと寝落ちしていたんだろう、たぶん(こらっ!)

                      最後の Global Village は
                      私の席からは見えないけれど
                      各楽器のソロを、メンバーが立って演奏するらしい。
                      ジャズっぽいメロディてんこ盛りのトナールな曲。

                      最初に(たしか)グラーフェネックで聴いた時には
                      「最後がなかったらつまらん」と周囲の人が言っていたが
                      聴覚と視覚に訴える(はずの)最終楽章は
                      ウケ狙いとしか・・・あ、いえいえいえ(汗)

                      後半の「英雄の生涯」
                      スタンダード・ナンバーで
                      私はあまり好きじゃないのに
                      何回も何回も何回も聴かされている曲。

                      好きじゃない理由を列記してみると

                      誇大妄想的(あんたナニサマ?って感じ(笑))
                      他人のラブストーリーを延々と聞かされる
                      バイキンのメロディが不愉快
                      で、バイキンとの戦いが大袈裟
                      老年になってからの病気のところの痛みが異様にリアル
                      死ぬ、死ぬ、と喚きながら、なかなか死なない

                      ・・・まぁ、あんまり「音楽」とは関係ないか(笑)

                      でも、これ、オーケストラで奏でるオペラみたいなものだろう。
                      ライトモチーフの使い方
                      オーケストレーションの妙味から言えば
                      実に魅力的な曲ではある。

                      アメリカン仕様か
                      ニューヨーク・フィルに負けてたまるか、という気概か
                      またもや大音響で金管の咆哮炸裂。

                      かなりウルサイけれど
                      輝くようなキラキラの音色でのテーマの提示は
                      誇大妄想狂の醍醐味であろう(書いててワケわからん)

                      この曲の始まる前の幕間で
                      フルートだかピッコロだかが
                      必死になってバイキンのテーマを
                      何回も何回も何回も練習していて
                      (あっ、すみません、バイキンじゃなくて
                       敵=評論家なんだけど、私にはバイキンにしか聞こえない)

                      それでなくても神経に障るモチーフなのに
                      あれを何回も聴かされると、かなりイライラ。

                      練習の甲斐があってか
                      ますます神経に障る甲高い声での
                      バイキン、いや、敵=評論家のテーマは
                      うるさいの何の
                      本当に憎々しいばかり。

                      そして(興味ない他人の)ラブ・ストーリー。

                      コンサート・マスター、シュトイデさんのバイオリンが
                      あああああ、絶品 ♡♡♡

                      ヴェルザー=メストは速めテンポで
                      タメなしにグイグイ押してくるところを
                      シュトイデさんのソロは
                      英雄をイライラさせるように
                      ほんの少し長めの逡巡を
                      気を持たせるように繰り返す。

                      ここは
                      指揮者=英雄テーマと
                      コンサート・マスター=パウリーネの
                      見事な対決になっていて
                      実にドラマチック。

                      生涯の最後の方に出てくる
                      パウリーネのテーマは
                      がらっと音色を変えて
                      かなり良い感じの歳の取り方。
                      (う〜ん、さすがのシュトイデさんのソロである)

                      病気の時の痛みや死まで含めて
                      曲の好き嫌いはともかくとして
                      何とも見事に「語って」くれた。

                      別に感動してうち震えて、という曲ではないので
                      (そうなのかもしれないが感受性ゼロなので)
                      これだけ楽しく語って聴かせてくれれば
                      かなり満足 😀

                      ウィーン・フィルとは思えない音量だが
                      明日ももう1回、同じプログラムを聴くと思うと
                      ちょっとウキウキしている私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                      calendar
                         1234
                      567891011
                      12131415161718
                      19202122232425
                      262728    
                      << February 2017 >>
                      PR
                      ★コンタクト・メイル★
                      メイルはこちらへ
                      ブログランキングに1クリックお願いします
                      selected entries
                      categories
                      archives
                      recent comment
                      recommend
                      links
                      profile
                      search this site.
                      others
                      mobile
                      qrcode
                      powered
                      無料ブログ作成サービス JUGEM