ウィーン放送交響楽団 + コルネリウス・マイスター

0
    Musikverein Großer Saal 2016年9月30日 19時30分〜21時40分

    ORF Radio-Symphonieorchester Wien
    指揮 Cornelius Meister
    バイオリン Gidon Kremer

    Gerald Resch (*1975)
     “Inseln” für Orchester
     Auftragswerk der Gesellschaft der Musikfreunde in Wien und
     des ORF RSO Wien (österreichische Erstaufführung)
    Miecysław Weinberg (1919-1996)
     Konzert für Violine und Orchster g-Moll, op. 67
    Jean Sibelius (1865-1957)
     Symphonie Nr. 1 e-Moll, op. 39

    ウィーン放送交響楽団の楽友協会でのチクルスの初日。
    楽友協会とウィーン放送交響楽団の委嘱作品の初演の後、
    大御所ギドン・クレーメルを迎えての
    ミチェスワフ・ヴァインベルクのバイオリン協奏曲
    後半はシベリウスの交響曲1番という
    地味な、いや、通好みの(笑)プログラム構成。

    最初のレッシュの曲だが
    う〜ん、最近はこういうトナールの音楽の傾向になって来てます?
    リズムも、しっかり4拍子とわかる単純な構成から入るし
    すみません、何か聴いていても
    こういう傾向のトナールな曲なら
    伝統的なクラシックの方が良いんじゃないの(ごめんなさい!)

    作曲家がどんなに複雑な技法を使っているかは知らないが
    (所詮、私、シロウトですし)
    聴衆に音楽を提供して楽しんでもらおう、という気概は
    一切感じられず(だからごめんなさい)
    最初から最後まで、作曲家の自己満足になっていて
    別に目新しい音響が出る訳でもない。

    11月はウィーン・モデルンがあるし
    ゲネラル・パスも買っているけれど
    こういう音楽を毎日聴くのか、と思ったら
    ちょっとゲッソリして来た。

    まぁ、体調とか好みとか色々あるけれど
    この作品も、これが初演で終演かもしれない(って失礼な)

    さて、ギドン・クレーメル巨匠登場。
    ヴァインベルクのバイオリン協奏曲なんて初めて聴く。

    うううううっ、ショスタコーヴィッチのバイオリン協奏曲みたい。
    ショスタコーヴィッチのバイオリン協奏曲も
    暗くて陰鬱な上に
    バイオリニストが最初から最後まで弾きっぱなしという
    バイオリニスト苛めの曲だが

    このヴァインベルクの曲も最初から最後まで
    バイオリニストは弾きっぱなし(すごい体力)

    メロディは美しいし
    バイオリンの音も美しいし
    でも、ヴァインベルクの生涯があまりに暗過ぎて
    (ポーランド人でユダヤ人で、親戚は強制収容所で殺されて
     ソビエト連邦に逃げて来て、ジダーノフ批判に晒されて
     ユダヤ人だからというので逮捕されて
     ショスタコーヴィッチが助けるように動いていたが
     スターリンが死んで助かったという人である)

    この時期の音楽家の作品って
    なかなか聴く機会もないし、耳慣れないから
    もう少し(ショスタコーヴィッチ含めて)集中的に聴かなくては。

    クレーメルは、またアンコール作品に
    たぶん、同時代の(同じくヴァインベルクかもしれない)
    無伴奏の曲を弾いてくれて、これも不思議な雰囲気の素晴らしい曲だった。

    さて、ワタシの知らないヴァインベルクの不思議な世界から出て
    後半はシベリウスの交響曲1番だ(知っているのでちょっと嬉しい)

    指揮者のコルネリウス・マイスターは
    ウィーン放送交響楽団と、シベリウス全曲演奏を目指しているのか
    以前もシベリウス聴いた事がある(確か有名な5番だったと思う)

    シベリウスもウィーンでは滅多に演奏されない作曲家だが
    時々でも演奏されると、ちょっと嬉しい ♡

    ウィーンの聴衆にはウケない作曲家、とはよく言われるが
    だって、やっぱり構成がドイツ語圏の作品とは違うんだもん。
    あくまでも繊細で、色があって
    割に自由奔放なインスピレーションがあって
    あちこちが盛り上がって、また下がってと
    目まぐるしく音楽が揺れ動く。

    マイスターのシベリウス
    さすがに耳が良いだけあって
    繊細な部分の美しさは特筆ものだが

    う〜ん、私も歳を取って来たのか
    真下にあるティンパニの音が響き過ぎて
    ちょっとバランスが巧く取れていないように聴こえてくる部分がある。

    ピアニッシモでの木管の掛け合いや
    ハープがこの上なく繊細な音で響くところや
    弦のトゥッティは、ものすごくキレイ。

    しかも第2楽章、あのゆっくりのテンポで
    柔らかな音で伸ばして伸ばして伸ばして演奏した
    金管(たぶんホルン)は見事だった。
    (すみません、舞台見えないので
     木管の掛け合いも音だけでしか聞き分けられません(汗))

    昨日のような、あっけらかんとした(失礼)
    イタリアンの陽光を感じる外向的な音とは全く違って
    ああ、やっぱり、かなりマジメな名人集団なんだよねこのオケ。

    まぁ、もともとシベリウスの音楽って
    音楽的には素晴らしいけれど
    ユーモアどうのこうのというのは全然感じないし(笑)

    フォルテ部分でも音が時々、団子状態になりかけていて
    マイスターにしては、ちょっとまだバランスが不十分かなぁ。
    (いやシロウトの自分勝手な主観的感想です)

    こういうコンサート
    本当は数回やると、その後、どんどん良くなっていくのだが
    ウィーン放送交響楽団のコンサートは
    後にも先にも、この1回だけ。

    ちょっと残念だな。
    このプログラム、あと数回舞台でやれば
    あれだけ完璧に美しい音響を出して
    あとはほんの少しのバランスの問題だけだと思うんだけど。

    プログラムの選択もあるけれど
    あんまり「ほら聴衆を楽しませてやれ」という方向ではなかったが
    珍しい曲と
    透明感溢れるシベリウスの
    深い空気を感じさせる音響を満喫して
    幸せな私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


    サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団 + パッパーノ

    0
      Musikverein Großer Saal 2016年9月29日 19時30分〜21時40分

      Orchestra dell’Accademia Nazionale di Santa Cecilia Rom
      指揮 Dir Antonio Pappano
      ピアノ Rudolf Buchbinder
      オルガン Daniele Rossi

      Gioacchino Rossini (1792-1868)
       Ouvertüre zur Oper “Semiramide”
      Ludwig van Beethoven (1770-1827)
       Konzert für Klavier und Orchester Nr. 3 c-Moll, op. 37
      Camille Saint-Saëns (1835-1921)
       Symphonie Nr. 3 c-Moll, op. 78 “Orgelsymphonie”

      パッパーノとサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団の2日目。
      昨日より客席が埋まっているのは
      ブッフビンダーが出演するからかな。

      しかしまぁ、9月初旬に1日でベートーベンのピアノ協奏曲を
      弾き振りで演奏したかと思ったら
      ウィーン・フィルとの定期公演で2日続けて
      ブラームスのピアノ協奏曲1番を弾きまくり
      今日はローマのオーケストラとまたもやベートーベンのピアノ協奏曲。
      (たぶん、この後、日本に飛んでまたもやブラームス・・・)

      そのパワーとエネルギーには圧倒されるわ。

      ご挨拶のロッシーニは
      うはははは、ヒットメーカー、ともかくゴキゲンな曲で
      ストーリーちょっと見えるような気がするくらいの
      巧みな語り口で

      いや、ともかく明るい ✳️
      楽天的なイタリア人が
      ひたすら楽しみのためにオペラに行って
      そこでワクワクしながら序曲を聴いている感じが
      こちらにもバンバン伝わってくる。

      いや、こんな明るい悩みのないような曲を聴いた後に
      あの、かなり暗いイメージの
      ベートーベンのピアノ協奏曲3番とは・・・
      (せめて1番か2番・・・
       4番は内向的過ぎるし、5番は派手過ぎる(笑))

      ご存知、この曲は最初のオーケストラだけの部分が
      かなり長いのだが

      あっ・・・
      ちょっと何これ
      アクセントや音のうねりが豊かで
      リズミカルで
      ベートーベンとは思えないくらい劇的なんですけど。

      シリアスで真面目で悩むベートーベンというよりは
      短調なのに元気で劇的で活動的に聴こえてくる。

      マジメなブッフビンダーが
      ここに、あのゲルマン的なマジメなピアノで入ってくるのか?

      と思ったら
      最初に入ってくるところでひっくり返りそうになった。
      ほんの少しのリズムのテヌートって
      この間、こんな演奏してなかったよね。

      劇的なオーケストラの演奏とピッタリ合うような
      ほんの少しのテンポ崩しや
      ピアノの音のうねりが入って来ていて

      あのとことん明るいロッシーニの後に
      (しかもピアノは最初から舞台にあったらしく(舞台は私には見えない)
       普通、ピアノを出すために数分かかるんだけど
       それもなしで続けて演奏したのに)
      ベートーベンのこのピアノ協奏曲聴いても
      全然違和感ないって、どういう事?

      ハ短調が愉快に聴こえてくる、とか言う訳ではないのだが
      何かしら、ものすごくカンタービレで
      楽聖でシリアスで悩みに満ちた気難しいベートーベンと言うより
      メロディの美しさやスケールの滑らかさ
      音楽がまるで生きているかのような動きが
      ダイナミックでエネルギッシュ。

      ブッフビンダーって凄い。
      オーケストラからインスパイアされたものを
      すぐに自分の世界の中に取り込んで
      真ん中の芯は変わらないのに
      オーケストラと溶け合うような演奏を聴かせてくれる。

      う〜ん、芸術家って凄いな、この感受性。
      そういう変化を恐れないだけの
      自分の中の確固たる中心部と
      限りなく柔らかい融通性があるから
      協奏曲とか弾けるんだろうなぁ。
      (しかもオーケストラによって演奏が変わっても違和感がない)

      パッパーノとローマのオーケストラが
      劇的な部分をダイナミックにやって
      それを端正なピアノが
      歩み寄って絡まってくる、という印象。

      さて気分良く後半、サンサーンスのオルガン交響曲。
      パッパーノとサンタ・チェチーリアの音を
      活かすような曲じゃないと思っていたら

      うははははは、最初から、何ですこのダイナミックさは!!!
      揺れるテンポ、うねるオーケストラ
      抜群のバランスで
      クリアにパートが聴こえる部分から
      盛り上がって盛り上がって
      フッと落とす時の音響の美しさ。
      筋肉質かと思うと限りなく優しくて
      DV 男が、激しく暴力を振るって暴れた後
      次の日には、限りなく甘く優しくなって謝ってくれる
      (どういうイメージじゃ)

      いかん、これ、本当に惚れる ♡
      前半の、あの不安定で不安を煽るような
      わざとずらしたような弦のざわめきと管の絡まりの
      ダイナミック・レンジとバランスと
      理性的というよりは
      やっぱりちょっとだけ芸術的な感性が勝っている演奏に
      身も心も翻弄されてしまう。

      この部分があまりに見事過ぎて
      オルガンが入って来た後
      あまりにテンポが落ちて
      (でオルガンとオーケストラの微妙なズレがあった)

      パッパーノはオーケストラの歌う資質を充分に活かして
      すごくボーゲンの長い遅めのテンポを使っているのだが

      その前の部分があまりに良過ぎて
      本来であれば、不安から解き放されて
      天国に行く部分が
      前半のダイナミックさと極端に違っているので
      パッパーノが抑えて抑えて抑えてやっているのはわかるんだけど
      その分、オーケストラの音のうねりもなくて
      かなり平坦な感じになってしまった印象は否めない。

      で、この消え入るようなオルガンの音が終わった後に
      いや、まだオルガンの音が消えていないのに
      大声でブラボー叫んで拍手した奴を、私は許したくない。

      パッパーノは手慣れたもので
      会場がザワザワしているのに
      後半を、またもや力強く始めてしまう(笑)

      後半のダイナミックさは
      前半の前半(オルガンの前)に勝るとも劣らず
      うはははははは、疾走するオーケストラに
      疾走するピアノが絡まって
      (私、このピアノが疾走する部分が大好きでゾクゾクする)

      数秒ごとに目まぐるしく移り変わる旋律
      煌めくような転調
      生物が蠢くような生々しい臨場感に
      ウットリする暇もなく振り回されて
      もう快感、快感、これ快感 ♡

      大音響で入っているオルガンと
      オーケストラがぴったり揃ってフィナーレに突入。
      パッパーノはオーケストラを激しく鳴らすけれど
      音はあくまでもカンタービレで
      滑らかで、音楽の繋がりがバラバラにならず
      耳(と脳)にむちゃくちゃ心地良い。

      最後のオルガンとオーケストラのトゥッティを
      極限まで引き延ばして
      おおおおおおっ・・・・と感激に浸ったとたんに
      飛ぶ大声のブラボーと拍手・・・

      楽友協会のあの長い残響で
      オーケストラとオルガンの響きを
      あと3秒、聴きたかったです(涙)

      パッパーノ来るたびに
      このブログでも、惚れた惚れた惚れたと繰り返しているけれど
      今回も惚れ直し ♡

      いくら私がバレエ・ダンサー素敵とか
      この指揮者やソリスト素敵とか喚いても
      何かしら理性的なところは残っているのに

      ことパッパーノとその音楽に対しては
      何か青春時代にドキドキしながら
      ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウの
      フーゴー・ヴォルフのメリケ歌曲集を聴いていた頃の
      理性で説明のつかないトキメキを感じてしまう。

      まさかこの歳になってから
      また恋をするとは思わなかったわ
      (しかも中学生的プラトニック・ラブ♡)
      でも、これがまた快感というか
      あぁ、こういう感情を持って
      みんな指揮者や歌手の追っかけになるのか・・・と
      ちょっと納得してしまった私に
      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



      アンコールはまたロッシーニ ♡
      パッパーノって、本当にとことんオペラの指揮者だと思う。
      一度、パッパーノの振るオペラを観てみたい(オペラ苦手だけど(笑))

      サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団 + パッパーノ

      0
        Musikverein Großer Saal 2016年9月28日 19時30分〜22時

        Orchestra dell’Accademia Nazionale di Santa Cecilia Rom
        指揮 Dir Antonio Pappano
        バイオリン Gil Shaham

        Gioacchino Rossini (1792-1868)
         Ouvertüre zur Oper “La Cenerentola”
        Peter Iljitsch Tschaikowskij (1840-1893)
         Konzert für Violine und Orchester D-Dur, op. 35
         Symphonie Nr. 5 e-Moll, op. 64

        今、私が最も好きな指揮者とオーケストラの組み合わせと言ったら
        もう躊躇なく真っ先に挙げるのが
        このサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団という
        ひたすら長い名前(でどうしても覚えられない)オーケストラと
        アントニオ・パッパーノである(断言)

        今回は2日間の客演。
        まずはバイオリニストのギル・シャハムと
        チャイコフスキー・プログラム。

        ロッシーニのオペラの序曲が入っているのはご愛嬌かも(笑)

        期待値マックスで出掛けて
        あれ、こんな筈ではなかった、と言う事もあるので
        あまりに期待し過ぎてもいかん、と言い聞かせて行ったのだが

        うはははは、もうロッシーニから
        何て巧みな語り口。
        あまりに偏見に満ち過ぎているかもしれないけれど
        やっぱりイタリアのオーケストラで
        イタリアのカンタービレな血がロッシーニで騒ぐとしか思えない。

        チャイコフスキーのバイオリン協奏曲。
        だいたいバイオリン苦手だし
        バイオリニストって、みんな神経質そうで(すみません)
        悩んでます、人生辛いです、みたいな感じの人が多いのだが

        このギル・シャハムというバイオリニスト
        出て来た時から、オーラが明るい。

        やっぱり明るいオーラのコンサート・マスターと
        手をぶんぶんぶんぶん振り回しての握手。
        (コンサート・マスターが離さないのである(爆笑))
        良いのか、演奏前に、あんなに
        ぶんぶんぶんぶん腕を振り回して・・・

        で、演奏がまた、何だか明るい。
        音がとても柔らかくて神経に障らず
        高音を出しても、フォルティッシモでも
        絶対に喚かず、あくまでも優雅に美しく

        しかも、何だか演奏していて
        ものすごく楽しそう(に見える)

        オーケストラとの掛け合い
        指揮者との呼吸
        コンサート・マスターとの目に見えないコミュニケーションなんかが
        最初から最後まで、ものすごく楽しそうに
        とことん外向きのオーラが出ていて

        普通、そういう場合って
        オレがオレがオレがの演奏になり勝ち(な筈)なのに
        そういうイヤミが全くない。

        聴いていて、なんか微笑んでしまう
        悩みのない、ひたすら明るいチャイコフスキーなんて初めて聴いた。

        テクニックの凄さは特筆もので
        ボウイングの巧みさで、音の一つ一つが
        全く浮かずに、とても丸みのある柔らかさで聴こえてくる。

        第1楽章が終わったとたんに
        盛大な拍手のフライング・・・・ ああああああ
        と思ったのだが
        バイオリニスト、慌てず騒がず、ちゃんとお辞儀まで。
        (よって聴衆はもっと拍手する(笑))

        その間を利用して、もう一度、バイオリンの音合わせをしてから
        第2楽章へ入ったとたん

        ううううう、すごいこのバイオリンのソロのメロディの音色。
        ビオラに近いビロードのような響き。

        イヤミな自己顕示欲とか
        ズブズブの感傷とかが一切なくて
        何とも爽やかで聴いていて気持ちが良い。

        で、最終楽章 ・・・ 唖然・呆然
        何ですかそのテンポは、という
        ひたすら高速ですっ飛ばすのに
        一つの音も揺るがせにせず

        しかもオーケストラも必死に喰らい付いてくるので
        バイオリニストとオーケストラの
        正に真剣勝負の駆けっこみたいな楽しさ ♡

        あのシリアスで難曲でドラマチックでお涙頂戴になり勝ちな
        チャイコフスキーのバイオリン協奏曲を
        こんなに楽しくウキウキしながら聴いてしまっても良いんだろうか。

        いや、参った、こんなのアリ?

        しかもまたバイオリニストとコンサート・マスター
        腕をぶんぶんぶんぶんぶん振り回しながら
        長い長い長い握手してるし(爆笑)
        (コンサート・マスターと指揮者パッパーノの握手はあっさりと短い)

        アンコールがバッハのパルティータ3番ガボット
        このバイオリニストの持っているオーラを考えたら
        ベストの選択だわ。
        明るくてチャーミング
        聴衆をとことん楽しませるポジティブなオーラ。

        バイオリンの事はさっぱりわからないのだが
        このバイオリニスト、すごく好きかも。

        後半はチャイコフスキーの交響曲5番。
        今シーズンは、どうもこの曲が流行らしい。
        (12月初めに2つのオーケストラで連続4日というのがある)

        この間、グラーフェネックで
        フランス国立管弦楽団とエッシェンバッハで
        感情ダダ漏れの限りなくゴージャスな演奏を聴いたばかり。
        (もう一度記事を読みたいおヒマな方は こちら をどうぞ)


        イタリア・ローマのオーケストラと
        ダイナミックで、やっぱりイタリアン的な
        (ご本人はイギリス人だが)
        アントニオ・パッパーノのチャイコフスキーの交響曲って
        いったいどうなるんだろう・・・と思っていたら

        期待に違わず
        いや、期待を遥かに越える素晴らしさ ♡♡♡

        パッパーノ節が全開 ♡♡♡♡♡
        すみません、ちょっと興奮し過ぎてまして(汗)

        パッパーノはとても情熱的な指揮者ではあるけれど
        ただ、この人、感情に任せての粗い音楽造りはしない。

        カンタービレに長いボーゲンで
        まるでオペラのごとく歌うオーケストラを率いて
        理性と感情のバランスが見事に取れている。
        ちょっとだけ感情の比重が多い(笑)それがまたイイの。

        大袈裟にゴージャスにやれば
        それなりに音楽になるチャイコフスキーだが
        オーケストラをゴージャスに鳴らしつつも
        無駄な爆発は一つもさせず
        全体のバランスと音量が実に理性的にキマっている。

        途中のフレーズでは
        まるでバッハのような透明な構成もしっかり聴かせてくれて
        美しいメロディの感情的な爆発になると
        情熱的に、でも感傷とかでシラケる一歩手前で手綱を引いて
        なんて魅力的なチャイコフスキーの5番 ♡♡♡

        すみません、興奮しまくっていて(汗)
        でも、もう、本当に見事な演奏としか言えない。
        (多少オーボエが無駄にしゃしゃり出て
         いや、音色めちゃチャーミングで美しいんだけど
         ほらほら、巧いでしょ、これ聴いて、みたいな所があって
         でも、そういうのも含めて
         このオーケストラ、なんか可愛い)

        陽光溢れるカンタービレなイタリアにようこそ
        ・・・・っていう感じだなぁ。

        アンコールがロッシーニの序曲。
        (スピーチあったけど聴き取れなかった。
         すみません、有名な曲ですが(汗汗))
        こういうイタリアものは、もう無敵というか
        ロッシーニってヒットメーカーだから
        ともかく楽しい事この上ない。

        鳴り止まぬ拍手に出て来たパッパーノが
        お辞儀しながら
        両手を頬に当てて「もう寝なくちゃ」という仕草。
        うううう、パッパーノがこれやると可愛すぎる ♡

        明日はロッシーニと
        ベートーベンのピアノ協奏曲(しかも割に陰鬱な3番)
        後半がサンサーンスのオルガン交響曲で
        パッパーノとこのオーケストラの
        明るいオーラが活かせるようなプログラムではないような気がするし

        あまり良い席が取れていないんだけど
        (チクルスで持っていなかったので別に買った)
        それでも行っちゃうもんね、という私に
        どうぞ1クリックをお恵み下さい。


        VAN MANEN/EKMAN/KYLIÁN 4回目

        0
          Wiener Staatsoper/Staatsballett 2016年9月26日 19時30分〜21時40分

          ADAGIO HAMMERKLAVIER
          振付 Hans van Manen
          音楽 Ludwig van Beethoven, Adagio aus der Sonate für Hammerklavier, op. 106
          レコード Christoph Eschenbach, Polydor International GmbH, Kat.-Nr. 2726044
          舞台 Jean-Paul Vroom
          Eszter Ledán - Vladimir Shishov
          Ketevan Papava - Roman Lazik
          Nina Polákova - Eno Peci

          CACTI
          振付・舞台 Alexander Ekman
          照明 Tom Visser
          テキスト Spenser Theberge
          舞台と照明デザイン Doef Beernink
          Rebecca Horner - Masayu Kimoto
          Nikisha Fogo, Hannah Kickert * , Sveva Gargiulo, Rebecca Horner
          Gala Jovanovic, Iulia Tcaciuc, Franziska Wallner-Hollinek, Beata Wiedner
          Masayu Kimoto, Marcin Dempc, Alexis Forabosco, András Lukács
          Greig Matthews, Richard Szabó, Dumitru Taran *, Géraud Wielick
          第一バイオリン Julia Gyenge
          第二バイオリン Katharina Engelbrecht
          ヴィオラ Matthias Hink
          チェロ Andrea Wutschek

          BELLA FIGURA
          振付・舞台・照明コンセプトJiří Kylián
          音楽 Lukas Foss, Salomon Rossi Suite, Lento, Andante
          Giovanni Battista Pergolesi, Stabar Mater
          Alessandro Marcello, Konzert für Oboe und Orchester d-Moll
          Antonio Vivaldi, Konzert G-Dur für 2 Mandolinen und Streicher
          Giuseppe Torelli, Concerto grosso op. 8 Nr. 6 Grave
          照明 Tom Bevoort, Kees Tjebbes
          Ketevan Papava, Nina Poláková, Rebecca Horner, Ioanna Avraam, Alice Firenze
          Jakob Feyferlik *, Roman Lazik, Vladimir Shishov, Richard Szabó

          この演目、2015年5月9日の初演後
          同じく去年の6月12日を最後にして、本日再演。

          全部で9回目の上演のうち、4回観てますという人も
          ちょっと珍しいかも(で、ちょっと自慢(アホ))

          普段ならオーケストラ・ビットに入る方々は
          楽友協会でズービン・メータの指揮のもとに
          ブルックナー交響曲7番を演奏している筈だが
          (実はちょっと悔しかったりする)
          テープだけど久し振りに国立バレエ団のモダン ♡

          トレイラーがあるので
          (どこかで埋め込んだような気もするが)
          下にてご紹介 ♡♡♡


          Ekman, Manen, Kylián - Trailer from DelbeauFilm on Vimeo.



          アダージョ・ハンマークラヴィーア。
          ハンス・ファン・マネンの振付はかなりクラシックなのだが
          エスター(役のデビュー)とシショフのカップリングが
          シショフがエスターをいじめてるように見えてしまって
          いや、そんな筈はないのだが膨らむ妄想が暴走。
          ケテヴァンとローマンのカップルは
          やっぱりベテランで、ともかく魅せ方が巧い。
          ニナとエノのカップル、エノのツンデレがたまらん。

          でも私がすごく好きなのはカクティである。
          (動画では57秒のところから)

          アレクサンダー・エクマンの作品だが
          ともかく、舞台装置と照明と
          数多いダンサーたちの群舞の素晴らしさは
          いつ見てもドキドキするし

          すごくファニーでスタイリッシュでカッコいいんだもん(単純)

          クリップだとほんの少ししか写っていないが
          (このビデオだとレベッカとアンドレイが踊っている)
          途中の2人のダイアローグがキュートで素晴らしい。

          今シーズンから「ところで猫は?」というセリフの後に
          すごい猫の悲鳴が聞こえてくるようになった(爆笑)
          (で、その後、天井から猫(のぬいぐるみ)が降ってくる)

          この作品、現代芸術をおちょくっているようなところもあって
          かなり皮肉で、むちゃくちゃブラック・ユーモアがあって
          最後は、これで終わりか? いや終わりの筈だが?
          ・・・というのが、かなり長く続くのである。

          私にとっては爆笑モノなのだが
          何故か観客はいつも静かにシリアスに観ているんだけど
          それって私の感覚がおかしいのか
          何か、私がとんでもない誤解した間違った解釈をしているのか
          今ひとつよくわからんのだが

          それが現代ゲイジュツと言うものであろう、たぶん。

          国立オペラ座のウエブ・サイトでは
          今回のこのダイアローグはアンドレイとレベッカが出ていたのだが
          プログラム記載は木本クンとレベッカになっていた。
          いやもう、手慣れたというかキュートというか
          客席で笑い声を上げそうになって困りましたよワタシ。

          モダンのエポック・メーカーで
          私が大好きなイジー・キーリアンのベラ・フィグーラは
          何回観ても、実に美しい作品。
          (上のビデオで2分12秒あたりから)

          こういう作品って、正に言葉が全くその意味を失う。
          ダンス表現でしかなし得ないものというのが
          これを観ると、確かにあるというのがわかる。

          音楽が本当に美しくて
          それにダンスが連動して、というのもあるけれど
          身体の美というものを
          これだけ芸術の世界に昇華させた作品
          イジー・キーリアン以外に誰が作れるだろう。

          ヤコブは今回のこの作品のデビュー。
          久し振りにやっと登場した
          顔良し、スタイル良し、テクニックありで
          しかも、むちゃくちゃカワイイ
          これこそ「王子さま」タイプの新人(たぶん、今20歳くらい?)

          途中のシャドー・ダンスでちょっとミスったけれど
          (註 ワタシはシロウトなので見間違いかもしれない)
          ベテランやプリンシパルと一緒に
          堂々たるダンスをキュートに踊ってくれて
          オバさんは胸がキュン ♡

          意外な存在感で輝いたのがリチャードとアヴラーム。
          リチャードもといリッチーは(勝手にあだ名)
          切れ味の鋭いダンサーでコミカルな役をすると合うのだが
          シリアスに踊ると芯が一本通って
          すごく真摯で逞しくて
          しかもまだ初々しい感じが残っていて感動した。

          レベッカとケテヴァンのハダカでの絡み合いは
          エロチックという世俗の概念を遥かに越えてしまって
          女体の神秘みたいなものを感じさせるシーンになった。
          女性の身体って、あんなに美しかったっけ?と
          観ている方が呆然とする。

          バレエもド・シロートなので
          あまり気の利いた事は書けないけれど
          チケットかなり余っているこのモダン・ダンス
          これから、また追い掛ける予定。

          イジ・キーリアンのこのベラ・フィグーラ
          DVD も持ってるんだけど
          映画仕立てになってしまっているので
          私は舞台の方が好き ♡
          でも別に本当に裸体が見えるから、という理由ではありません
          ・・・と
          力強く言い切る私に
          どうぞ1クリックをお恵み下さい。


          アクセル、天国の扉の前で フォルクス・オーパー

          0
            日曜日もダブルヘッダーしちゃいました。
            時系列で読みたい方は こちら からどうぞ。

            下は夜の記事です。

            Volkstheater 2016年9月25日 19時〜21時30分

            AXEL AN DER HIMMELST�・R
            Musikalisches Lustspiel von Paul Morgan und Adolf Sch�・tz
            Gesangstexte von Hans Weigel
            Musik von Ralph Benatsuky

            指揮 Lorenz C. Aichner
            演出 Peter Lund
            舞台 Sam Madwar
            ビデオ Andreas Ivancsics
            衣装 Daria Kornysheva
            振付 Andrea Heil

            グローリア・ミルス Bettina M�・nch
            アクセル・スウィフト Andreas Bieber
            ジェッシー Juliette Khalil *
            テオドール Peter Lesiak *
            スコット / 裁判官 Kurt Schreibmayer
            刑事モートン Wolfgang Gratschmaier
            ハリウッドのスタッフたち
            Stefan Bischoff, Jakob Semotan, Oliver Liebl, Roman Martin
            プリンス・ティノ・タティーノ Maximilian Klakow

            先日プレミエを迎えたばかりの作品だが
            友人が「かなり良い」と言うので
            直前割引50%狙って行って来た
            (あくまでもケチ(笑))

            ベナツキーのオペレッタ・・・とは言え
            歌手はマイク付けていて
            ほとんどミュージカル仕様と聞いて
            薦められたから行って退屈だったらどうしよう、と
            ちょっと心配だったのだが

            いやいやいや
            チケット売れてなくてガラガラだけど
            これ、観に行く価値ありです(断言)

            特殊メイクでギョッとさせたルナ夫人と同じ演出家なので
            今回も、舞台はすべて完全な白黒になっていて
            登場人物のメイクもすべて白塗り。
            衣装もすべて白黒で
            背景も全部白黒という徹底振り。

            ご興味のある方はフォルクス・オーパーのサイトに
            ビデオが載っているのでご覧あれ。
            ここの左の Video Samples のところをクリック。
            あら白黒だわ、と思うかもしれないが
            これ、白黒で撮ってません。これが本当に舞台のそのままなのだ。

            その背景が素晴らしかった!!!!!
            以前観てショックを受けた
            ベルリンのコーミッシェ・オーパーの魔笛ほどではないが
            (忘れた方は こちら をどうぞ。クリップも張ってあります)
            前半がすべて背景をビデオにして
            これがもう、むちゃくちゃ素晴らしい ♡

            最初はハリウッドの映画っぽいモノになっていて
            もちろん白黒でしかもサイレントで(爆笑)
            タイトルが「縛られた手」と言うのが
            後で活きてくる。
            大時代的な映画が途中で途切れると
            ああ、もう、あの女優とはやっていけない、というスタッフが登場。

            このスタッフの男性メンバーが実に優秀。
            歌って踊れてコミカルで演技が出来て素晴らしい。

            背景は女優のオフィスになったり
            アクセルが帰るところなんか
            自転車で背景がどんどん変わった上に
            アクセルが自転車でジェットコースターの大回転みたいになる。
            (途中で人物とフィルムが入れ替わるのが実に巧い)

            登場人物の影も背景と同一化してしまうし
            出演者が壁に描いている線がどんどん増殖して背景になるし
            いや、これ、すごく楽しいわ ♡

            ハリウッドの大スター役のベッティーナ・メンヒは
            いったい何処でこんな大柄な女性を見つけて来たの?
            という位、上背があって、華があってパッと目立つ人。

            ローナッハーでエヴィータで出演するみたい。
            エヴィータ行こうとは思っていなかったんだけど
            彼女が出るなら適役だろうし、ちょっと観てみたい・・・
            (カレンダーにもう空きがないけどどうしよう・・・)

            アクセル役のアンドレアス・ビーバーは
            マインツ出身のミュージカル役者で
            確かに踊れて演技は出来るんだけど

            見た目がちょっと・・・(すみません好みの問題で)
            特殊メイクのせいもあるのはわかるが
            顔が長くて、しかもオデコのシワがかなり酷くて
            (調べてみたら49歳・・・)
            声は若々しいし
            完全にミュージカルの歌い方だから
            ドイツ語のディクションはしっかりしていて聞きやすいけれど
            恋仲になるグローリア・ミルスとの見た目のバランスがチグハグ。

            ジェシーは本日この役のデビューのジュリエッテ・クハリルで
            2007年まで児童コーラスのメンバーだったというので
            この人はまだ若いし、かなり小柄でキュート。

            テオドール役のペーター・レシアクはケルンテン出身のオーストリア人で
            この人もパーフォーミング・アーツ・スタジオ出身だが
            トボケた演技が巧くて、なかなか見せて
            ジュリエットとテオドールのカップリングは自然に見えた。

            筋は荒唐無稽ながら
            ちょっとミステリーっぽい要素もあって
            音楽はテンポ速めのノリノリで気持ち良い。

            音楽的にむちゃくちゃ面白いというものではないが
            ベナツキーらしい親しみ易いメロディ満載。

            幕の降りた後に
            またもや全員登場人物が
            筋のおさらいをしてくれるのは良いアイデア。
            (しかもこれが高速映画見てるみたいでまた笑えるのである)

            しかしこの演目
            かなりポスターでも宣伝していたのだが
            初演もまだそんなに過去じゃないのに
            こんなに席がガラガラに空いていて良いんだろうか(良くない)

            上演はドイツ語だが
            上にちゃんと英語の字幕も付いている
            ・・・けど、地元の人しか来てないような感じだなぁ。

            舞台装置が(ハリウッドの無声映画に倣って)白黒はわかるけれど
            登場人物の衣装とか、顔と身体まで
            白塗りする必要があったのか(コストかかってるだろうし)
            ちょっと疑問に思った私に(アホですどうせ)
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            よく考えてみたら、上背のあって目立つベッティーナ・メンヒって
            ローマで起こった不思議な出来事の中に
            すごくキャラ立った役で出ていたような気がする。
            あの時は素晴らしかった、絶賛したような記憶がある。

            ウィーン・フィル + ズービン・メータ 2回目

            0
              Musikverein Großer Saal 2016年9月25日 11時〜13時

              Wiener Philharmoniker
              指揮 Zubin Mehta
              ピアノ Rudolf Buchbinder

              Johannes Brahms (1833-1897)
               Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 d-Moll, op. 15
              Claude Debussy (1862-1918)
               La Mer. Trois Esquisses symphoniques
              Maurice Ravel (1875-1937)
               La Valse. Poème chorèographique pour orchestre

              ウィーン・フィルの日曜日定期。
              照明は入ったままで
              ついでにライブのラジオ放送もあった模様。

              オン・デマンドでオーストリア国営放送1番で
              1週間は聴けるようなので
              入ってみたら

              あらま、前半のブラームスのピアノ協奏曲1番は
              ラジオで放映してない。
              照明入れて収録したから
              ラジオで無料で聴かせてはくれないのね、ちぇっ。

              ブラームスのピアノ協奏曲1番で
              土曜日に大音響で気になったティンパニが
              今日は、確かに大音響ではあったけれど
              弦の音量とのバランスが良くなっていた(ような気がする)ので
              録音になったら、どんな感じか確かめたかったのだが
              録音で聴きたければ DVD か CD を買いなさいってか(笑)

              という訳で
              今日の出だしは昨日よりバランス良く
              メータがオーケストラを鳴らす事鳴らす事・・・
              オーケストラの近くで聴いていると
              最初のあのピアノなしのフルオーケストラで
              耳が痛くなる位。

              ひたすらドラマティックなのだが
              昨日書いた通り
              若いクララに対する情熱ほとばしるという感じじゃなくて
              まぁ、その意味では、すごく激情的なのだが
              やっぱり年配の海千山千(すみません)の
              賢さに基づいた年輪を重ねた後に残った情熱が
              先に出てしまっている感じかなぁ。

              でも、第1楽章のカデンツァ後の弦が入ってくるところとか
              第2楽章の美しさなんかは特筆ものだな。

              たぶん、会場で本当に聴いている音響と
              録音した音響は全く違うので(断言)
              これ、もし DVD なり CD なりが世に出るなら
              ちょっとそれも聴いてみたい。

              後半のドビュッシーの「海」と
              ラヴェルの「ラ・ヴァルス」も

              メータがむちゃくちゃオーケストラを鳴らすんです(笑)
              (ブラームスでも同じ)

              もともと、この「海」、あまり好きな曲じゃないので(ごめんなさい)
              各パートの解像度は高いし
              管が巧いなぁ、とは思うが。

              ただ、実は今、この記事書きながら
              ラジオのオン・デマンドを聴いていると

              録音での聴こえ方って
              こんなに違うんですね(驚愕)

              不要な残響がカットされているようで
              会場で聴いている時には
              ちょっと神経に触りかけた第1バイオリンの高音も
              録音だと、なんかすごくキレイに響いてくるんだけど。

              しかもドラマチックなところはそのままで
              ツィッター仲間が書いていた通り
              ドビュッシーというよりワーグナー風味か。

              どちらにせよ、「海」というイメージはないし
              ドビュッシーらしいパステル色の色彩というよりは
              厚塗りのバロック絵画の趣があって
              これは録音でもあまり印象は変わらない。

              最後のオーケストラの大音響での爆発も
              録音では実に見事に聴こえてくるけれど
              会場であのシンバル聴いた時には
              耳を塞ぎたかったです(笑)

              かのごとく、ナマと録音は違う・・・けれど
              どちらが良いというものではないので
              ナマが絶対とか言う気はない。

              最後のラ・ヴァルス。
              これだけは、オン・デマンドの録音では聴きたくない。

              ポルタメントたっぷり
              ウィーン情緒たっぷり
              信じられない位のウインナー・ワルツを
              甘く美しく
              悪く言えばほとんど通俗的にたっぷり聴かせてくれた後に
              不穏な空気が、どんどん甘さを覆い隠していって
              最後は戦争で銃殺だもん(勝手な解釈)

              それまでの古き良き時代の甘さとの差が
              あまりにあり過ぎて
              ホロコーストでコワイ。怖すぎるこれ。
              キミたち、今の見せかけの平和に溺れてちゃいかんよ
              いつ戦争が始まるかわからんぞ、とか
              脅されているような気がする(勝手な解釈)

              昨日にも増してゾッとしてしまい
              自宅に帰る車に乗ってからも
              運転前に神経鎮めないと・・・という状態と化した。

              私が感じた恐怖感を
              指揮者やオーケストラや作曲家が意図していたかどうかは
              全くわからないけれど
              (深読みかもしれないし)
              ただ、このメータの「ラ・ヴァルス」は
              私には非常に非常に非常に怖かった。
              (特に曲が正にウィーン風に演奏されているだけに
               オーストリア社会のあり方に対しての警鐘というか
               まぁ、本当にそこまで感じてしまうとモロに深読みだけど)

              日本でも演奏される曲みたいだし
              日本の聴衆がどう感じるかは私には予想がつかないけれど

              今までのラ・ヴァルスとは
              一味違う「ラ・ヴァルス」である事は間違いない。

              昨日書いた通り
              明日のソワレはチェックしていなかったので行きません。
              (実は違う催物のチケットを・・・(汗))
              ブルックナーの7番、う〜ん、何かすごく聴きたい気もするけど
              取ってあるチケットも、もったいないし
              ウィーン・フィルのソワレ公演だからチケットないだろうし

              と、何となくまだグズグズと悩んでいる私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。



              今日の朝も早起きして
              チケット買うぞ、と張り切って買おうとしたとたん
              その日に別の催物のチケットを持っていた事に気がついて
              慌てて焦った(ボケの始まりか?)

              サシャ・ワルツ 「サクレ」

              0
                土曜日のダブル・ヘッダーです。
                時系列で読みたい方は、まず こちら からどうぞ。

                下は夜の部の記事。

                Festspielhaus St. Pölten Großer Saal 2016年9月24日 19時30分〜21時20分

                Sasha Waltz “Sacre”

                L’Après-midi d’un faune
                演出・振付 Sasha Waltz
                舞台・衣装 GIOM / Guilaume Bruère
                照明 Martin Hauk
                ダンサー
                Jiří Bartovanec, Davide Camplani, Luc Dunberry, Maya Gomez,
                Juan Kruz Diaz de Garaio Esnaola, Virgis Puodziunas, Sasa Queliz,
                Zaratiana Randrianantenaina, Mata Sakka, Yeal Schnell
                Joel Suárez Gómez

                “Syrinx” für Flöte solo von Claude Debussy
                フルート Walter Schober

                Scène d’amour
                zur dramatischen Sinfonie “Scène d’amour” aus “Roméo et Juliette”
                von Hector Berlioz
                演出・振付 Sasha Waltz
                衣装 Bernd Skodzig
                照明 David Finn
                ダンサー Lorena Justribó Manion, Ygal Tsur

                Sacre
                zur Ballettmusik “Le Sacre du Pringemps” von Igor Strawinski
                演出・振付 Sasha Waltz
                衣装 Bernd Skodzig
                舞台 Pia Maier Schriever, Sasha Waltz
                照明 Thilo Reuther
                ダンサー
                Liza Alpízar Aguilar, Blenard Azizaj, Jiří Bartovanec, Davide Camplani,
                Maria Marta Colusi, Davide Di Pretoro, Luc Dunberry, Maya Gomez,
                Florencia Lamarca, Elia Lopez, Lorena Justribó Manion,
                Margaux Marielle-Tréhoüart, Sergiu Matis, Michal Mualem,
                Juan Kruz Diaz de Garaio Esnaola, Virgis Puodziunas,
                Sasa Queliz, Zaratiana Randrianantenaina, Orlando Rodoriguez,
                Mata Sakka, Indalecio Seura, Korey Scott-Gilbert,
                Claudia de Serpa Soares, Juel Suárez Gómez, Antonis Vais
                Rahel Satchi Queliz, Luca Rudnitzky

                オーケストラ Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
                指揮 Titus Engel

                バレエとダンス・ファンは
                ベルリン国立バレエのナッチョ・ドゥアトの後継者として
                賛否両論を巻き起こしているサシャ・ワルツは
                よくご存知だと思う。

                プログラム読んでいたら
                昨年もオープニングにサシャ・ワルツが来たという記述があって
                ああああ、あのクセナキスのダンス観たのは
                もう1年前だったのか・・・
                (読者はお忘れと思うので(本人も忘れてたし)
                 よほどおヒマのある方は、1回目 と 2回目があります)


                ついでにモダン・ダンスのオタク向け
                サシャ・ワルツの Körper 観賞記は こちら

                今回の公演は本日1回だけ。
                プログラム記載のインタビューでは
                最初にベルリオーズをやって
                それからドビュッシーの牧神の午後で
                休憩の後、ストラヴィンスキーの春の祭典となっていたが

                最初にドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」
                ドビュッシーのフルート・ソロ曲の間に
                舞台変換があって
                ベルリオーズの「ロメオとジュリア」からの愛のシーン
                後半に「春の祭典」となっていた。

                牧神の午後への前奏曲のバレエは
                フォルクス・オーパーで5回観たのは
                ボリス・ネビュラの振付だったが

                サシャ・ワルツの振付は全く違う。
                ダンサーが多くて
                誰が牧神なんだか、さっぱりわからん。
                いや、別に誰が牧神でも
                誰が牧神が惚れる妖精でも良いのかもしれない。

                第一、妖精なんて、何処かに居た???

                出てくるのは童話でもなく
                衣装も普通の Tシャツみたいなもので
                (ダンサーの一人は Tシャツの後ろに
                 でっかく数字の4が描いてあったけど何だったのあれ)

                グループがまとまったり、離れたり
                その中で仲間はずれにされる人が居たり
                虐められる人が居たり
                恋人同士がイチャイチャしていたり

                牧神と妖精じゃなくて
                これ、グループ・ダイナミック方式か。

                同じくプログラムに記載されたインタビューでは
                本日の公演のテーマは「犠牲」とか言っていたから

                この牧神の午後への前奏曲も
                現代社会における個人の疎外とかの問題を扱っているのかも。

                ベルリオーズの音楽への振付は
                題名が示す通り
                愛のパ・ド・ドゥで
                実にクラシック。

                モダンで裸足で踊っていて
                凄いリフトもあるのだけれど
                モダンの技法を使っていながら
                驚く程、とことんクラシックで

                これならクラシックのパ・ド・ドゥの方が・・・
                という事でちょっと退屈して眠くなった(自爆)

                後半の「春の祭典」
                同じくインタビューによれば
                爆発的なエネルギーの中に
                静かな落ち着いた部分もあり

                「犠牲」はダンサーと一緒に振付をしている間に
                自然に決まった、との事だったが

                それって、どういう決まり方だったんだろう?
                「お前が犠牲者だ」
                「あれ〜、いや〜っ、皆さん、助けて!」
                でみんなも、ダメだ、お前が犠牲なのだと叫んで
                いや〜っ、いや〜っ、いや〜っ(妄想爆走)

                それとも
                「私が犠牲の役になるわ」
                「いや、私がその役を踊るわ」
                「あら、ずるい、犠牲の役は私が踊るに決まってるじゃない」
                「貴女になんか踊らせるものですか、これは私の役よ」
                というのを、数人のダンサーが喧々諤々としていたんだろうか。

                どうでも良い事に妄想を逞しくしてしまった(汗)

                この「春の祭典」では
                子供2名を含む26名だか27名だかのダンサーが舞台に登場する。

                牧神の午後への前奏曲と同じように
                このダンサーたちが、あちこちで小グループを結成したり
                そこから出てしまう人、出される人たちが
                また新しいグループを作って、というのが
                最初に繰り返される。

                これ、現代社会のグループ・ダイナミックスか?

                第2部では、子供も2人登場して
                すごい数のダンサーが舞台を飛び跳ねているところに
                お母さん役?のダンサーに引き摺られて
                あっちへ行ったりこっちに来たり

                どう見ても
                現代の難民問題を扱っているように見えてしまう。

                ブループ・ダイナミックがあまりに前面に出ているせいか
                ストラヴィンスキーの音楽にある(べき)
                土臭いロシアの伝統とか
                春を待ちこがれる凍り付いた冬とか
                春を呼ぶ乙女の犠牲とか
                その乙女が放つ、とんでもないセクシャルなエネルギーとか
                全然感じない。

                その代わり、非常に現代的な社会からの疎外とか
                孤立とか、難民問題とかを感じるので
                言ってみれば、非常に「社会的」なドラマを感じる。

                う〜ん、さすがベルリン。
                前衛的な試み一杯なんだけど
                社会問題を目一杯取り入れてます、という印象。

                誰が犠牲なのか
                ほとんど最後の最後までわからないのだが
                (途中で色の違う衣装を着るダンサーがいて
                 あ、犠牲はこの人あのね、と予想はつくが)

                最後の最後で
                この犠牲(女性)が
                見守るクー・クックス・クランみたいな集団の前で
                上を脱ぎ、下も脱ぎ
                完全な全裸で
                激しい激しいダンスを繰り広げる。

                ジュテみたいなのもあったので
                舞台に近い人からは
                全部が丸見えだったんだろうなぁ(ほらまたあらぬ事を考えてしまう)

                オーケストラ・ピットは満杯の状態。
                いやまぁ、よくぞ1回だけのために全員集まったものだ(笑)

                トーンキュンストラーとオロスコ・エストラーダの
                「春の祭典」の衝撃的なコンサートは
                今でも私の記憶にあるけれど

                ええ、確かにダンスですから
                別にコンサートじゃありませんから
                ソロもそこそこちゃんと演奏していたし
                爆発するところは、しっかり大音響で爆発していたけれど

                だから演奏が悪いとか言う訳ではないが
                どうも何か、エッジが鈍い感じがして仕方がない。
                あの難曲をあれだけの水準で演奏できれば
                たいしたモノだとは思うけど
                でも、もうちょっと引き締まった緊張のある演奏が欲しかったなぁ。
                (いや、これも主観の問題です)

                しかしサシャ・ワルツの作品って
                歴史みたいなモノを完全に無視して
                あくまでも現代社会における問題点という視点が強い。
                どこからどう見ても、ベルリンだなぁ、というか
                ドイツだよねぇ、という印象。

                とんがっていて、社会的で
                問題提起型で
                芸術というより、青少年の主張大会とか
                現代社会における問題点のドキュメンタリーでも見てるような気がする。

                本日も公演の後に
                ディスカッションへのお誘いがあったのだが
                明日の朝もチケット取りがあるので
                夜の高速道路を飛ばして帰って来た私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。




                ウィーン・フィル + ズービン・メータ

                0
                  Musikverein Großer Saal 2016年9月24日 15時30分〜17時30分

                  Wiener Philharmoniker
                  指揮 Zubin Mehta
                  ピアノ Rudolf Buchbinder

                  Johannes Brahms (1833-1897)
                   Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 d-Moll, op. 15
                  Claude Debussy (1862-1918)
                   La Mer. Trois Esquisses symphoniques
                  Maurice Ravel (1875-1937)
                   La Valse. Poème chorèographique pour orchestre

                  そうか、これ日本公演でやるプログラムだったのね、と
                  今になって気がつくアホな私。

                  よく見れば、月曜日にはソワレで
                  ブルックナーの7番だ。
                  (でも私は行きません(ごめんなさい)
                   ウィーン・フィルとメータでブルックナー7番って
                   聴く前から想像できてしまう)

                  本日の楽友協会
                  昨日から照明と録音機材が入っていて
                  どれを収録するんだろう?と思っていたら
                  どうも本日のコンサートを収録したみたい。

                  ブッフビンダーとウィーン・フィルの
                  ブラームスのピアノ協奏曲って
                  以前、収録していたような記憶があるのだが
                  何でまた、今回も録画・録音するんだろう???

                  まぁ、それはともかくとして
                  ウィーン・フィルにメータとブッフビンダーの
                  ブラームス、ピアノ協奏曲1番となったら
                  これは鉄板だろう。

                  と思っていたら
                  ううううう、私の席が悪いのかもしれないが
                  最初からティンパニの音が大き過ぎて
                  弦が掻き消されそうになってるし(涙)

                  ティンパニ、むちゃくちゃ表情があって
                  すごいニュアンスでステキなんだけど
                  座席に振動がくる位、ともかく音量デカ過ぎ。

                  で、確かに鉄板だし
                  オーケストラ巧いし
                  ピアノ凄いし
                  圧巻で圧倒的な迫力なんだけど

                  演奏者の年輪がなせる技か
                  ブラームスのクララに対する情熱というか
                  やりきれなさというか
                  若い初々しい部分が、すっかり抜け落ちて

                  もう純粋に音楽として、スゴイ、という印象。
                  感情がない、というのではないけれど
                  後年のブラームスのような
                  厚みのある落ち着きの方が感じられてしまう。
                  (まぁ、主観の問題です。
                   それに舞台見えないから
                   老人2人が何かやってる、とか言う視覚的なイメージはない)

                  明日聴いたら、また印象変わるだろうきっと。
                  何せ感受性ゼロなので(すみません)

                  後半のドビュッシーの「海」
                  昨日も聴いて、絢爛豪華とか言ったけれど

                  う〜ん、ウィーン・フィルという楽器と
                  メータで、このフランス物を取り上げる必要があったのか?

                  この曲、どうやっても
                  ウィーン・フィルの芳醇な弦の良さが浮き立つ作品じゃないし。

                  ただ、金管・木管がとても良い ♡
                  特に金管の音の柔らかさは素晴らしい。
                  つい数年前まで
                  こと、管に関しては
                  ウィーン・フィルよりウィーン交響楽団の方が巧かったのに
                  最近、ウィーン・フィルの管って
                  どんどん良くなっていると思う。

                  ウチの巧い金管・木管を堪能して下さい、という意味なら
                  まぁ、ドビュッシーの「海」は最適な作品なのかもしれないが。

                  昨日の印象とはまたちょっと違って
                  オーケストラの厚みは、それ程感じられず
                  非常に繊細で丁寧な造りだけど
                  やっぱりフランスのオーケストラにあるような
                  ある種の、空気に溶ける「軽さ」には欠ける。
                  が、まぁ、これも主観だし、好みの問題です。

                  ただ、最後のラヴェルの「ラ・ヴァルス」には
                  度肝を抜かれた。

                  つい最近
                  パリ国立歌劇場管弦楽団とフィリップ・ジョルダンで
                  アンコールとして演奏された曲だが
                  (忘れた方は こちら をどうぞ)


                  ちょっと待て(汗)
                  ウィーン・フィルとメータの「ラ・ヴァルス」
                  何ですかこれは

                  だってだってだって
                  あれ、本当にウインナー・ワルツだったんですねっ!
                  (何を今さら・・・(自爆))

                  いや、この曲の私のイメージって
                  ラヴェルがウインナー・ワルツをおちょくっている、というものだったのだが
                  今日の演奏聴いて
                  印象が全く変わってしまった。

                  おちょくっている、どころか
                  これ、ラヴェルのウインナー・ワルツへの賛歌・・・
                  というより、熱いウインナー・ワルツへの愛ではないか・・・

                  と思わせる程に
                  中間部が、正にウインナー・ワルツそのもので
                  あれ、私、ニューイヤー・コンサートにでも来てる?という
                  あり得ない妄想まで吹き出す状態。

                  ちょっとこまっしゃくれた
                  皮肉な色彩と貴族的な上品さと
                  庶民のちょっとホイリゲっぽい卑俗さが
                  見事に混在して

                  これはウィーン・フィル+メータでなければ出せない音だきっと。
                  とことんウィーンで、とことんワルツで
                  こんな芸当、フィリップ・ジョルダン逆立ちしてもできないだろう。
                  (というよりはジョルダンの解釈と全く違う)

                  ところが、甘く切ないウインナー・ワルツは
                  どんどん混乱していって

                  うっ・・・
                  最後のあのドドドン、という部分って
                  もしかしたら
                  戦争の銃撃戦ですか。

                  銃撃か軍隊の行進かわからないけれど
                  突然に古き良き伝統が
                  戦争によって終了してしまう、という
                  あらぬ妄想がわき上がってしまい

                  最後のあの部分で
                  深い恐怖を感じてしまう「ラ・ヴァルス」なんて
                  初めて聴いた。

                  メータがそういう意図を持っていたかどうかは不明だけど
                  あの終わり方はコワイ。

                  その恐怖に負けず
                  コンサート後に即出て
                  車飛ばしてサンクト・ペルテンに行った私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                  ウィーン・フィル + ズービン・メータ

                  0
                    Musikverein Großer Saal 2016年9月23日 19時30分〜21時35分

                    Wiener Philharmoniker
                    指揮 Zubin Mehta

                    Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
                     Ouvertüre zur Oper “Don Giovanni”, KV 527
                    Claude Debussy (1862-1918)
                     La Mer, Drei symphonische Skizzen für Orchester
                    Franz Schubert (1797-1828)
                     Symphonie C-Dur, D 944 “Große C-Dur-Symphonie”

                    明日と明後日のウィーン・フィルの定期は
                    プログラムが違うので
                    シューベルトの8番だか9番だかわからん
                    大ハ長調交響曲が聴けるのはこの日だけ・・・
                    (モーツァルトのドン・ジョバンニ序曲もこの日だけだが)

                    オペラ座ではデニスとナターシャという
                    涎モノの「海賊」を上演していて
                    後ろ髪を引かれる思いだったのだが
                    でも、もともとワタシの趣味は
                    オーケストラ・コンサートだった筈だ(笑)

                    さて楽友協会のあの豊かな残響に
                    2ヶ月触れていなかったので
                    まだ何となく違和感がある。

                    モーツァルトのドン・ジョバンニ序曲は
                    まぁ、ウィーン・フィルは手慣れたものだろう。
                    最初のど〜ん、が意外におとなしく響いた印象だったが
                    どんどん、どんどん、ドラマチックになっていって
                    中間部の軽い部分との対比が際立って
                    うわわわ、この曲、やっぱりコワイわ。

                    昨日、恐ろしいクラシックとか何とか言う本を読んだせいもあるけれど
                    ドン・ジョバンニ、嫌いなオペラではないが
                    (最後まで反省しないドン・ジョバンニに侠気を感じる
                     ・・・って、本来のオペラの目的とは違うだろうが)
                    こうやって序曲だけ聴いても、何とも不気味な音楽ではある。

                    何の関係もなさそうだが
                    次にドビュッシーの「海」

                    ううう、音が厚い・・・
                    いや、さすがにウィーン・フィルで
                    巨匠メータだから
                    繊細な部分はとことん美しいのだが

                    私、その前にフランスのオーケストラのコンサートを
                    グラーフェネックで何回か聴いちゃったからな。

                    あのフランス風の軽さに裏打ちされた
                    エスプリというか、洒落っ気があまりなくて
                    真面目にドラマチックで美しいので

                    荒ぶる海・・・って感じか。
                    ともかく、とことん劇的で
                    日本の浮世絵というよりは
                    ヨーロッパの油絵の、濃い色彩を見ているような印象。

                    あれだけドラマチックにやられたら
                    後半のシューベルト、ちょっと胸焼けするかも

                    と思っていたら
                    後半のシューベルトの8番だか9番だか
                    ともかく日本で言うグレート(全然グレートと関係ないが)が
                    意外に面白くてウィーン風で楽しかったのには吃驚。

                    グレートなんて通り名がついてしまっているけれど
                    ドイツ語で言ったら「でっかい方のハ長調」であって
                    実は短いハ長調もあるので、でっかい、と付けたのに過ぎない(笑)

                    とは言え、これ英語に訳す時に
                    ビッグ・ハ長調とかつけたら
                    誰も聴かなかっただろうし(爆笑)

                    最初のホルンのユニゾンが美しい ♡
                    アレがキマらないと間抜けに聴こえる曲なので
                    キマったユニゾンでもうハートがドキドキ状態。

                    ゆったり目のテンポで歌わせるシューベルトの
                    長い第一楽章の繰り返しが
                    全然退屈じゃなくて
                    時に劇的で嵐のごとく
                    時に限りなく優しく

                    ああああ、シューベルトだわ。
                    ホントに本能の趣くままに
                    流れ出る旋律をそのまま音符にしてしまったような
                    不思議な転調もたくさんあって

                    シューベルトって私にとっては
                    計算のできない作曲家というイメージで
                    理論的構築とか何にも考えずに
                    そのまま感情を音楽と化して提示しているように思える。

                    第2楽章のオーボエが
                    如何にもウィーンらしい旋律のソロ。

                    後で見たのだが
                    木管のソリストたちが
                    いつもの位置ではなく
                    指揮者をぐるっと取り囲むように座っていて
                    その後ろに弦楽器が入るという方式。

                    (いつも舞台が見えない席なので
                     オーケストラの並びはあまり意識していないけれど)

                    木管のソロの響きが
                    弦に埋もれず、何とも美しい響きで
                    バランス良くホールに広がっていく。
                    おおお、これは良いアイデアではないか(と思った)

                    この木管の並びが第3楽章でも効果的で
                    木管と金管、弦のバランスの良さに唸ってしまう。

                    疾走する最終楽章の繰り返しも
                    ここら辺になると、もう聴いてる方も
                    魔法がかかったような気分になってきて
                    確かに天国というか
                    溢れ出るメロディに翻弄されると言うか・・・

                    いやシューベルトって実はちょっと苦手で
                    何か非常に気難しい取っ付き難い
                    しかも衝動的な躁鬱病という
                    良く言えば複雑な音楽ではあるのだが
                    (シューベルト・ファンの皆さま、ごめんなさい)

                    しかもこの曲、時々、むっちゃ退屈になる時があるのだが
                    (演奏による)
                    今日は最初から最後まで
                    あっという間に終わってしまった、という感じだった。

                    ドラマチックではあるのだけれど
                    抑制が効いていて
                    やっぱり上品に仕上がっているのは
                    貴族的なウィーン・フィルの音色の伝統もあるんだろうきっと。

                    デニスとナターシャが見られなかったのは
                    非常に心残りではあるのだが
                    このシューベルト聴けたのは
                    とっても満足 ♡

                    明日の定期は最後がラヴェルのラ・ヴァルス。
                    この間、フランスのオーケストラとジョルダンで
                    (アンコールで(笑))聴いたばかり。
                    ズービン・メータの指揮だと
                    また違って響きそうで楽しみ。

                    しかしウィーンって
                    シーズンが始まると
                    突然、身体が2つか3つ欲しい、という状態になるのは
                    本当に何とかしてくれ、と
                    真面目に悩んでしまう私に
                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                    ついこの間まで夏で
                    野外で汗拭きながらコンサート聴いていたのに
                    本日の朝、ウィーンの温度は10℃を切りました。
                    これから、あっという間に冬が来る・・・・(冷汗)

                    「海賊」国立バレエ 5回目

                    0
                      Wiener Staatsballett 2016年9月20日 19時〜21時40分

                      LE CORSAIRE
                      Ballett in drei Akten
                      振付 Manuel Legris
                      舞台・衣装 Luisa Spinatelli
                      照明 Marion Hewlett
                      ドラマツルギー Manuel Legris, Jean-François Vazelle
                      音楽 Adolphe Adam u.a. ausgewählt von Manuel Legris und
                      zusammengestellt von Igor Zapravdin
                      指揮 Valery Ovsianikov

                      Conrad : Robert Gubdullin
                      Médura : Liudmila Konovalova
                      Gulnare : Nina Tonoli
                      Lanquedem : Mihail Sosnovschi
                      Birbanto : Davide Dato
                      Zulméa : Alice Firenze
                      Seyd Pascha : Alexis Forabosco
                      Drei Odalisken : Nikisha Fogo, Natascha Mair, Anita Manolova

                      いや、何かもっと見ていたような気がするのだが
                      先シーズンの千秋楽が4月2日で、それが4回目なので
                      今回が5回目の鑑賞。

                      この演目、デニスがコンラートを踊ると
                      ジャンプの切れ味が良くてウハウハなのだが
                      デニスの出演する日が
                      ウィーン・フィルだの、リッカルド・ムーティだのに
                      ピッタリ重なる。
                      (あぁ、もうこういうのって贅沢な悩みだけど
                       鑑賞する側から言ったら、勘弁してくれってところ・・・
                       残念ながら今シーズンはデニスのコンラートは諦めます(涙))

                      ローベルトのコンラートは
                      先シーズンで通算3回観ているけれど
                      いや、ローベルト巧いですよ。

                      でも、あのダンサー、踊りが優雅過ぎて
                      どう見たって海賊のマッチョな荒々しさがなくて
                      子供の頃、海賊に攫われた
                      どこかの貴族のお坊ちゃんにしか見えません。

                      でも、今回はジャンプはかなり高かった。
                      一生懸命、必死に第一幕から飛びまくって
                      もう、必死なのが見えて
                      大変ですね、とか声をかけたくなった位。

                      加えてビルバントがダヴィデだからな。
                      ダヴィデの切れ味の鋭い
                      ものすごい速度でのピルエットやジャンプが
                      やっぱりウケまくるので
                      ローベルトにはちょっとかわいそう。

                      持っている才能が違うから
                      比べるのも本当は正しくないのだが。

                      メドゥーラはリュドミラが踊った。
                      リュドミラの華やかさや
                      技術の確かさには舌を巻く。

                      ほら見て、ワタシ、美しいでしょ?というオーラが
                      華やかに舞台から観客席まで飛びまくる。

                      本当に美しい ♡
                      しかも、ポーズの一つ一つがバッチリキマって
                      何であのポーズであんなに静止できるのよ、という
                      見事な見せ方に加えて

                      しっかり軸の通った見事なピルエットの連続が
                      (リュドミラ、巧いんですよ、テクニックあるから)
                      もう目を見張るほど魅了される。

                      でもまぁ
                      コンラートとメドゥーラのラブ・ストーリーの筈だけど
                      あまりそのあの、ラブ・ストーリーと言う感じじゃないわね(笑)

                      海賊そのものが
                      ストーリーのあるバレエとは言え
                      マイヤーリンクとか、マノンとか
                      ロメオとジュリエットみたいに
                      ストーリーそのものに心を持って行かれるような話ではなく

                      まぁ、ハーレムとか今でもあるのかもしれないし
                      人身売買もあるのだろうし
                      海賊だって存在するのだろうが
                      我々が暮らしているこの社会から見れば
                      荒唐無稽なおとぎ話にしか見えないからな。

                      バレエのテクニックを堪能するには最高だが。
                      ルグリ監督の振付は
                      最初から高度なクラシック・バレエのテクニック満載だし。

                      ニナ(トノリ)のギュリナーラが可憐 ♡
                      本当にキュートでいじらしくて
                      パシャの愛人になった後のシーンで
                      パシャに甘えるところなんか
                      こちらも胸キュン。

                      あんなに可愛くおねだりされたら
                      パシャならずとも
                      何でもやってあげたくなっちゃうわ。

                      ニナ(トノリ)のテクニックも抜群で
                      本当に癖のない、基本に忠実で危なげないパで
                      あっという間にソロ・ダンサーに昇格したのも頷ける。

                      キリルの引退後の奴隷商人は
                      ミハイルが踊ったけれど

                      ミハイルのあの膝の柔らかさってスゴイわ。
                      ジャンプの着地のプリエが本当にキレイ。
                      演技も巧いし
                      (まぁ、振付そのものがちょっと時代がかってますが)
                      ソロも華やかで力強くて
                      これはマッチョな奴隷商人にはピッタリ。

                      オダリスクのニキーシャが素晴らしかった。
                      このダンサーもテクニックが完璧で
                      安定した力強いダンスで魅了する。

                      もちろんナターシャも悶絶モノのキュートさ ♡
                      ああ、ナターシャ、私、あなたのファンです ♡♡♡
                      舞台に出てくるたびにハートを鷲掴みにされる。

                      デニスの回に行けないのが
                      本当に本当に本当に残念だし
                      加えて最終日にナターシャがギュリナーラで
                      ゲスト・ダンサーがコンラートを踊る日は
                      ウィーン交響楽団+ティチアーティという(チケット持ってます)

                      ああ、もう、シーズン始まったとたんに
                      身体が2つ(以上)欲しいという状態になって
                      悶々としている私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                      calendar
                          123
                      45678910
                      11121314151617
                      18192021222324
                      252627282930 
                      << September 2016 >>
                      PR
                      ★コンタクト・メイル★
                      メイルはこちらへ
                      ブログランキングに1クリックお願いします
                      selected entries
                      categories
                      archives
                      recent comment
                      recommend
                      links
                      profile
                      search this site.
                      others
                      mobile
                      qrcode
                      powered
                      無料ブログ作成サービス JUGEM