ウィーン交響楽団 + アダム・フィッシャー

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    日曜日のダブルヘッダー

    時系列で読みたい方は、まず ここ からどうぞ。

    下は夜のコンサートのメモです。


    Musikverein Großer Saal 2015年11月29日 19時30分〜22時


    Wiener Symphoniker

    指揮 Adam Fischer

    ピアノ Jasminka Stančul


    Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)

     Konzert für Klavier und Orchester A-Dur, KV 488

    Gustav Mahler (1860-1911)

     Symphonie Nr. 7 e-Moll


    午前中のウィーン・フィルのコンサートの後に

    日曜日も開いているパン屋さんでパン買って

    オフィスに行って、夜のコンサートまで

    ずっと仕事をしていたのだが

    (註 ウチの会社は残業代は全く払ってはくれません、念の為)


    夜になると段々テンションが上がってくるという

    とんでもない体質の私は

    ともかく、マーラーの交響曲7番が目当て。


    前半のモーツァルトはどうでも良い・・・とは言わないが(言ってるじゃん)


    さて、モーツァルトのピアノ協奏曲 KV 488 と言うのは

    ピアノ協奏曲23番である。

    (こちらのプログラムはケッヘル・ナンバーしか書いてくれない)


    おっと

    オーケストラの音がモダンで大きい。

    大きいがために

    モーツァルトに必要なキレがなくて

    何か前奏がズルズルと

    楽友協会の残響に引き摺られてるぞ。


    ヤスミンカ・スタンツルのピアノは

    これまでも何回か聴いた事がある。

    ちょっとマスキュリンな女性ピアニストで

    出てくる音も、とてもスポーツ的で男性的。


    モーツァルトでもピアノが入ってくると

    そこだけ、キレが良い音になる(笑)


    この曲、第2楽章が

    フォルクス・オーパーのバレエ、モーツァルト・ア・デュで使われていたので

    第2楽章になると、どうしても目の前にバレエの場面が・・・(汗)


    ホールの残響に引き摺られて

    何かポニャポニャしていたオーケストラの音も

    最後の楽章になると、軽くてキレが良くなって来て

    如何にもモーツァルトらしい明るい感じになった。


    スタンツルらしく

    アンコールは超絶技巧の現代曲。


    モーツァルトで超絶テクを披露出来ないから

    アンコールで超絶テクニックで聴衆を沸かせてやれ、という

    素晴らしいサービス精神。

    でも、ちょっとルール違反かなぁ、って気もする(笑)


    さて、私のお目当てはマーラーの交響曲7番である!!!


    マーラーの交響曲って

    演奏頻度からすると、1番と5番と6番、それから4番と時々9番。

    2番・3番・8番はコーラスやらソロやらで大編成になるから

    演奏され難いのは理解できるが

    何故、7番の演奏回数が異様に少ないのか

    私には理解できない。

    (邪推すると、7番、きっとオーケストラ(と指揮者)には

     むちゃくちゃ難しいのではないだろうか・・・)


    ワタクシ的には最も好きな7番。

    マーラーの交響曲の中でも、最も先鋭的で現代的で

    とんがっていて

    次から次へとカレイドスコープのように出てくる曲想が

    ものすごく魅力的 ♡


    ウィーン交響楽団のメンバー

    珍しい事に、コンサート前もずっと舞台で練習していて

    何と休憩時間中も

    まるでアメリカのオーケストラのごとく

    舞台上で金管・木管、更には弦まで勢揃いして

    ずっとマーラーの交響曲7番を練習している。


    昨日も同じプログラムでのコンサートがあった筈だが

    何か、指揮者のアダム・フィッシャーに言われたのか

    それとも、昨日のコンサート、そんなにひどかったのか・・・

    (いやいや、それはプロのオーケストラに対して失礼な邪推ではある)


    マーラーの交響曲7番は長い。

    普通なら、これ一曲でフルのプログラムにしても良いくらい。


    アダム・フッシャー登場。

    この人も全然見た目が変わらん指揮者だな(笑)

    オーケストラに向かって

    親指握って「上手く行きますように」という励ましの合図。


    指揮者の前に譜面台はない。

    うわわわわ、この曲の複雑怪奇なスコアを暗記でやるか。

    さすが巨匠・・・


    金管、巧く出た。

    素晴らしい音色である。


    フィッシャーの緊張感溢れる

    エモーショナルな指揮振りに付いて

    オーケストラは

    ウィーン交響楽団らしい鋭い音で攻めてくる。


    うははは、こういう鋭い音を出せるのは

    ウィーン交響楽団の良いところ。


    だが、この曲、難しい。

    むちゃくちゃ難しい。

    マッチョな鋭い音を出すのだけれど

    オーケストラが滑った箇所もあって

    なかなか油断がならない。

    (そこら辺は指揮者が巧く合わせている。たいしたもんだ)


    第1楽章は高い音が多くて

    第1バイオリンの甲高い音やピッコロが凄い音を出すので

    これも難聴促進にピッタリの曲ではある。


    高い音が激しく響くにのに対して

    低い音の迫力がちょっと落ち気味。

    もう少し、底力が欲しいところだなぁ。


    午前中にあの芳醇なウィーン・フィルの弦を聴いてしまうと

    ウィーン交響楽団の弦の芳醇さは今ひとつちょっと物足りない。


    夜の歌の第2楽章は長いボーゲンで描き

    悲鳴のような第3楽章の迫力も満点。

    マンドリンの入った夜の歌第二部もチャーミングで

    最終楽章の爆発も迫力一杯。


    何と言うか

    いや、金管・木管、よくやった!!!!

    ほとんどミスなしで

    最後まで迫力一杯で吹き続けた体力と気力に脱帽。


    アダム・フィッシャーの指揮振りを見ていると

    まだ指揮者の中の音楽と

    出てくるオーケストラの音が一致していないんじゃないか、と

    ちょっと思う部分もかなりあったけれど


    でも迫力たっぷりの

    大好きなマーラーの交響曲7番に

    どっぷり浸れて

    すごく幸せ ♡


    この曲、音の響きから言うと

    ウィーン放送交響楽団あたりに合いそうなのだが

    マイスター、取り上げてくれないかなぁ、と

    密かに期待している私に

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    ウィーン・フィル + マリス・ヤンソンス 2回目

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      Musikverein Großer Saal 2015年11月29日 11時〜13時


      Wiener Philharmoniker

      指揮 Maris Jansons

      コーラス Singverein der Gesellschaft der Musikfreunde


      Igor Strawinsky (1882-1971)

       Psalmen-Symphonie

      Dmitri Schostakowitsch (1906-1975)

       Symhonie Nr. 10, e-Moll, op. 93


      ウィーン・フィルの定期公演、日曜日の本公演。


      昨日サンクト・ペルテンまでドライブして帰って

      夕食取ってブログ書いて本読んで、寝たのが午前2時過ぎで

      (まぁ、午前2時はいつもの事だが)

      朝7時半に起きて、8時からサウナ入ってという

      自分ながらとんでもない事をしたので

      昨日と同じく、疲労困憊状態である(自業自得)


      グッタリしながら聴いていたコンサートだが

      ストラヴィンスキーは、コーラスが巧い。

      というより、時々コーラスの方が大きくて

      オーケストラ聴こえなくなったりするので

      これは、やっぱりコーラス曲でしょう(笑)


      驚いたのは後半のショスタコーヴィチである。


      10番は楽友協会では止めて、という意見に変化はないが

      何ですかこの演奏!!!


      ほとんど夢うつつで聴いている状態だったが

      あのウィーン・フィルの

      ものすごく滑らかな

      とことん美しい響きはそのままで


      なのに、精密でハリがあって

      すごく締まった筋肉質な音楽になってる・・・


      こんな奇跡があるんだろうか。

      いや、驚いた。


      第1楽章の始めと、最終楽章の

      ホールが割れるような大音響はあったけれど


      音量は大きいのに、音割れしてない。

      それ以外の部分の美しさと言ったら

      もう、ため息モノである。


      スターリンが亡くなった後とは言え

      やっぱり共産主義バンザイ曲である事に変わりはないのだが

      そういう主義云々を取り払ったところで

      活き活きと息づく音楽の音が

      ウィーン・フィルという楽器を充分に生かして

      最初から最後まで

      長いボーゲンで、滑らかに美しく演奏されると


      おおお、こんなに見事な曲だったのかこれは・・・


      ベルリン・フィルのマッチョな音に比べると

      かなりフェミニンなウィーン・フィルの音が

      フェミニンなまま

      マッチョな表面を纏って出てくると


      男装の麗人???(すみません不適切な言い方で)


      カプリッチオなウィーン・フィルは

      指揮者によって

      かなり気分屋の音を出すのだが


      ヤンソンスとの相性、むちゃ良いじゃん・・・


      それでもショスタコーヴィチの10番は

      どうしても楽友協会で聴く気にはなれないけれど


      大音響で難聴促進という要素を持っていても

      今日の演奏って

      何か、とんでもないモノを聴いてしまった。


      こんなに疲れていなければ

      もっと充分に鑑賞できたのかもしれないが

      ともかく、まだ疲労が取れない私に

      どうぞ同情の1クリックをお恵み下さい。



      Cirque Eloize アクロバット・ダンス

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        土曜日のダブル記事です。

        時系列から読みたい方は こちら からどうぞ。

        下は夜の記事です。


        Festspielhaus St. Pölten Großer Saal 2015年11月28日 19時30分〜21時


        Cirque Éloize

        Cirkopolis


        芸術監督 Jeannot Painchaud

        振付・演出 Dave St-Pierre

        舞台・イラストレーション・ビデオ Robert Massicotte

        音楽 Stéfan Boucher

        アクロバット・トレーニング Krzysztof Soroczynski

        衣装 Liz Vandel

        照明 Nicholas Descôteaux

        ビデオ Alexis Laurence

        ダンスとアクロバット

        Colin André-Hériaud, Selene Ballestreros-Minguer

        Ashley Carr, Joris De Jong, Aaron DeWitt, Alexie Maheu

        Frédéric Lemieux-Cormier, Jérémy Vitupier

        Antonin Wicky, Nora Zoller


        サーク・ド・ソレイユは有名で

        自主公演を時々やっているが(結構チケットは高い(汗))

        今回はサンクト・ペルテン州立劇場が

        同じくカナダながら、ケベックから

        サーク・エロイズ(と読むのかどうかは定かでない)を招聘。


        サーカスというよりは

        アクロバティック・モダン・ダンスのショーという方がピッタリ来る。


        クリップがあったので貼っておく。

        (ただし、これは12人のダンサー・バージョンで

         今回のサンクト・ペルテン公演は10人バージョンだった)



        楽友協会のウィーン交響楽団のマーラー7番を諦めて

        サンクト・ペルテンに車を飛ばしたけれど

        来た甲斐はあった ♡


        話そのものは、ちょっと身につまされる。

        巨大都市の社会で歯車のように生きて

        仕事が次から次に来るサラリーマンが

        様々な妄想?を経て仕事を放り出すという(勝手な解釈)


        後ろのスクリーンにビデオを巧く使っているのだが

        出てくるのが都市風景とか

        地下室とか

        歯車だらけの部屋とか

        あまり和む風景でないのが、ちょっと残念。


        環を使った女性のダンス?が

        実に美しくて


        アクロバットだから

        すごいバランスとかあるんだけど


        ポールを投げるシーンは、いくつかミスもあったので

        ああいうのは日本人の方が巧いと思うのだが


        それよりも何よりも

        女性が男性に支えられて空中を歩いていったり

        ポールに飛びついたり

        男性用の環は二重で、そこに絡み付いたり


        主人公の男性サラリーマンが

        洋服掛けのドレスを口説いたり


        ただのアクロバットとか

        新体操とか

        サーカス?っぽい見せ場とか

        たくさんあるけれど


        それ以上に、ダンス・シアターの性格が強くて

        見せ場の美的な感覚の素晴らしさに酔う。

        その意味では

        サーカスというよりはモダン・ダンス

        クラシック・ダンスにもかなり近いものがある。


        ただ愉快、というだけではなくて

        何となく郷愁や身につまされるところや

        さりげないユーモアが、とてもチャーミング。


        ストーリーは1927年のフリッツ・ラングの無声映画

        メトロポリスからインスピレーションを得たもの、と

        プログラムに書いてあった。


        自分の身体が脳と直結していない私は

        (簡単に言うと異様に不器用なのである)

        こういう、重力を無視したようなダンサーの動きに憧れる。


        特に環を使っての動きって

        本当に飛んでいるみたいで

        何もかもから解放されたような爽快感を

        見ているだけで感じるのだ。


        いや、すごいわ、これ。

        見終わると、かなりスッキリした気分になる。


        最後のシーンで全員で書類を舞台にぶちまけるのだが

        ううう、私もあれやってみたい・・・と

        真剣に考えたワタクシに

        どうぞ1クリックをお恵み下さい。




        ウィーン・フィル + マリス・ヤンソンス 1回目

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          Musikverein Großer Saal 2015年11月28日 15時30分〜17時30分


          Wiener Philharmoniker

          指揮 Maris Jansons

          コーラス Singverein der Gesellschaft der Musikfreunde


          Igor Strawinsky (1882-1971)

           Psalmen-Symphonie

          Dmitri Schostakowitsch (1906-1975)

           Symhonie Nr. 10, e-Moll, op. 93


          ウィーン・フィルの定期公演。

          言いたくないが、疲労困憊ってこれかよ、という位

          昨日は夕方16時からロンドンの空港に移動して

          20時過ぎのフライトで、真夜中12時30分頃に

          やっとオフィスから車を出して帰ったという状態。

          真夜中に溜った仕事してから帰ろうと画策していたのだが

          あえなくダウンしてしまった。


          土曜日は掃除・洗濯・買物という三大義務があるので

          そうそうグダグダしていられないという悲しい独身生活(苦笑)


          そんな状態で行ったコンサートは

          ストラヴィンスキーの詩編交響曲でグッタリ寝落ち。


          いやこの曲、ピアノとか入るけど

          ヘンな編成なので、音の響きも全然違うし

          宗教曲苦手だし(だから言い訳だろ、おい)


          後半のショスタコーヴィチで寝たらさすがにヤバい。


          予々主張している通り

          ショスタコーヴィチの交響曲を楽友協会で演奏するのには大反対!!!

          特に、この10番は

          何回か聴いてはいるが

          その度に、難聴になりそうで、終わった後も耳がガンガンしていて

          どうしてもイヤ!!!

          (だから月曜日のコンサートには行きません。悪しからず!)


          ヤンソンスとウィーン・フィルだから

          少しは音響に配慮があるかと思ったけれど

          やっぱり難聴促進交響曲である。


          (いやあの、そりゃ一番安いオーケストラに近い席で

           聴く方が悪いわけで、あれだってバルコン正面とか

           ギャラリーとかで聴いたら、きっと素晴らしかったんだと思う)


          第1楽章に数ヶ所

          もう耳がどうにかなっちゃう!という箇所がある。

          それを過ぎると

          まぁ、耳慣れもしてくるから

          後は最終楽章の最後の部分だけを我慢すれば良い。


          失礼な事を言っているのは承知だが

          でも、あの音量は

          どこからどう考えても楽友協会に最も不向きである(断言)


          それでも、さすがに品の良いウィーン・フィルの音色なので

          ピアノ部分とか

          弦楽だけのアンサンブルとかは

          身震いする程、美しい。

          あの美しさというのは麻薬の快感に近いな。


          ショスタコーヴィチという不思議な作曲家は

          共産主義万歳のプロパガンダ作曲家として見られたり

          いや、実は違うのである、という意見もありで

          音楽だけ聴いてウハウハしていられるものではないところが

          かなり複雑なのだが


          10番はその中でも有名な曲で

          これ、私には共産主義バンザイにしか聴こえないんですよ。

          音楽的には面白い仕掛けがたくさんあるし

          それなりにロシア風メランコリックな味付けも効いていて

          名曲だと思うのだが


          やっぱりあれは、大ホールに(5000人くらいのホールかな)

          お偉いさんやら、ガチガチの主義者の方々が集まって

          ソビエト万歳という

          体感的な高揚感をもたらすために作られた、という感が拭えない。


          だから大音響が必要なのだ。

          人間、動物的に大音響には理屈なしに反応するワケで

          それはロックンロールだろうが

          共産主義バンザイの交響曲だろうが違いはないのである(偏見)


          明日の11時のコンサート

          後半は立ち見席に逃げるか

          (楽友協会の立ち見席の音響はかなりデッドなので)

          フライト用の耳栓を持っていくか

          ちょっと真剣に悩んでいる私に

          どうぞ1クリックをお恵み下さい。



          ヤンソンスは元気そう。

          ヘアカットしたようで、ちょっと髪の毛が薄めになっていたけれど

          真面目で真摯で、音楽が好きな素晴らしい指揮者だと思う。



          イグデスマン&ジョー ウィーン交響楽団

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            Wiener Konzerthaus Großer Saal 2015年11月25日 19時30分〜21時40分


            Igudesmann & Joo

            Wiener Symphoniker

            “BIG Nightmare Music”


            イグデスマン&ジョーと言えば

            かなり大昔(10年くらい前)に

            こんなに有名になる以前の小さいホールでの

            知り合いばかりだけのパーフォーマンスにハマってから


            かなり長い間、追っかけしていて

            2008年前の記録が消えたので調べられないが

            このブログに引っ越してからも

            2011年11月2日、12月31日、2012年3月30日と6月20日に行っている。


            今シーズンもコンツェルトハウスでは

            この冗談デュオのチクルスを組んでいる(チクルスでは買っていない)

            ウィーン交響楽団とコンツェルトハウスの大ホールでの公演と聞いて

            安くて舞台が見える、という限定4席の一つをゲット。


            結果的には

            う〜ん、行かなきゃ良かった。


            ナマ音(特にオーケストラ)が好きな私から

            行かなきゃ良かったなんて、滅多に聞ける発言ではないのだが


            持ちネタがあまりに古過ぎる!!!!



            ちなみに、このクリップ、かなり昔のものだが

            (このパーフォーマンス、楽友協会の地下ホールで

             もちろん、私は行ってます)

            今日もほとんど同じネタ(韓国ピアノ教師ネタはなかった)


            それでは皆さん、モーツァルトです、というイグデスマンに

            いや、ジェームス・ボンドだ、というジョーのダイアローグ聞いたとたんに

            あぁ、あのモーツァルト+ボンドか、と

            すぐに思い浮かぶし(何回聴いたか・・・(ため息))


            モーツァルトのトルコ行進曲バリエーションなんて

            もう頭の中に入ってるってくらい聴いたし・・・


            歌いながら号泣するジョーのあの歌も

            今回はオーケストラの伴奏入り、という新鮮さはあったものの

            もう、何回も何回も見てる。


            (ただ、ウィーン交響楽団のメンバーが

             演奏しながら笑い出しちゃって

             バイオリンの一部が笑いの発作で演奏不可能になった、というのは

             傍から見ていて面白かった(爆笑))


            僕のカワイイ牛ちゃん、という曲も以前に聴いてる。


            オーケストラと共演するパーフォーマンスは初めてとは言え

            オーケストラのメンバーに変わった格好をさせたり

            (コンマスが赤の蝶ネクタイとか)

            ブラスを立たせて演奏させたり

            弦が踊り出したりって


            別にそれ、全然目新しくありませんから(怒)

            ドゥダメルとシモン・ボリバールなんかもいつもやってますし。


            ワルツのリズムに、有名なワルツを全部乗っけて演奏

            というのもあったけれど

            これもモーツァルト+ボンドを

            ワルツでやった、というだけ。


            後半になったら

            最初に現代音楽だか何だか

            ワケのわからん演奏を延々と聴かされ

            その後は例によって

            クレスマ音楽で踊ったり(ああああ、もうこれ初期からあるよね?)


            ただ、クレスマの時に

            ウィーン交響楽団の弦楽奏者が前に出て来て

            イグデスマン&ジョーと一緒に

            演奏しながら、クレスマを踊ったのには驚いた。


            バイオリンとかビオラならともかく

            チェリストが何で立ったまま

            しかも演奏しながらクレスマのステップ踏めるんだよ?!


            バッハとヴィヴァルディの対決、というネタも

            2人が変な扮装して、スローモーションで喧嘩するだけで

            バッハもヴィヴァルディも音楽的には全く扱われなかったし


            カンフーの格好して出て来たイグデスマンの

            カンフーしながらの演奏だって、もう退屈。


            ジョーのカラテ・ピアノに至っては、いったい何時のネタ?(大昔)


            極め付きは、ラフマニノフの手は大きいネタ。

            これ、もともと他のコミカル・ミュージシャンがやっていて

            モトネタの人は、ネットでかなり「盗作」だ、と怒ってるし

            さすがに、何回も何回も見て、もう見飽きたわよ。


            初めて見る人なら楽しいだろう。

            でも、同じネタを繰り返し繰り返し

            新ネタなしで続けて行くのであれば

            (あるいは新ネタがあるとしても、方法論的に同じであれば)

            これは、別にチケット買って行くだけの価値はない。


            昔、オランダの冗談ミュージシャンも居たが

            この人も(一応追いかけたんです)

            3回目くらいで、もう全部ネタばれになって止めた。


            このように、冗談音楽と言うのは難しい。


            イグデスマン&ジョーも

            小ホールで、ピアニストの頭の中、とか

            ベートーベン・ソナタ全曲マラソンとか

            クレジット・カード・ピアノとかの

            小ネタを器用に扱っていた頃の方が楽しかったわ(断言)


            しかもマイク使っているので(バイオリンも!)

            音楽そのものもうるさいし。


            いやはや、クラシック音楽であれば

            同じネタ(=同じ曲)を何回聴いても楽しいのだが

            ポピュラー(とクラシック少々)のお笑いネタで

            同じものを3回見たら・・・・もうダメです、ワタシ。


            という訳で

            これにてイグデスマン&ジョーのパーフォーマンスには行きません。


            興味のある方はサイトにいくつもクリップが出ていますのでどうぞ。

            最初の1回や2回は、とても楽しめる事はお約束します(笑)


            明日のコンサートは諦めて、ちょっと出張して来ます。

            その代わり、週末はイロイロあるぞ、と言う私に

            どうぞ1クリックをお恵み下さい。





            トーンキュンストラー + 山田和樹 2回目

            0

              Musikverein Großer Saal  2015年11月24日 19時30分〜21時30分


              Tonkünstler-Orchester Niederösterreich

              指揮 Kazuki Yamada

              バイオリン Augustin Hadelich


              Joseph Haydn (1832-1809)

               Konzert für Violine und Orchester C-Dur Hob. VIIa:1 (1765)

              Thomas Adès (“1971)

               “Concentric Paths” Konzert für Violine und Kammerorchester (2005)

              Felix Mendelssohn Bartholdy (1809-1847)

               Symphonie Nr. 3 a-Moll op. 56 “Schottische” (1829-1842)


              11月22日の午後と同じプログラムのソワレ。

              睡眠不足も続いていて、ちょっと辛いが

              天敵との最後の対決もそろそろ終わる頃だし

              と思ったら、またオフィスで大問題が発生しているのだが


              そういうビジネス・ライフを一瞬でも忘れるために

              ワタクシはオーケストラのナマ音が必要なのである(こじつけ)


              ハイドンはこの間と同じように

              明るい色彩の正に貴族のエンターテインメント。

              疲れた心と身体にじっくり染みる。


              楽友協会の大ホールでの演奏というよりは

              どこかバロックの優雅な宮殿の小ホールで

              こじんまりした雰囲気の中で

              ゆったりとくつろぎながら聴いている雰囲気を

              あの大ホールで出したオーケストラと指揮者とバイオリニストって

              私の経験から言っても初めてじゃないかなぁ。


              何かすごく親密な雰囲気なのである。

              聴衆もかなり静かに聴いていて

              みんな、うっとりと貴族のお遊びの世界に浸っている感じ。


              トーマス・アデスのバイオリン協奏曲は

              やっぱり2回目を聴いてみても面白い。

              隠されたイタズラが至るところに潜んでいて

              わかる?ほらほらほら・・・と

              作曲家から微笑まれている感じがする。


              その意味では、このバイオリン協奏曲も

              ハイドンから連なる「音楽って楽しい♡」精神が

              現代音楽なんだけど、かなり入っているような気がする。


              しかし、このバイオリニスト、凄いな。

              だって、ハイドンもアデスも

              ほとんどバイオリン弾きっぱなしで

              休むところがほとんどない。


              バイオリン協奏曲を2曲弾きまくった後で

              あの超絶技巧曲を軽々と

              歓び勇んで演奏するなんて

              なかなかないよ。普通はバッハあたりでお茶を濁すものだが。

              (アンコール曲の表示がないのでわからんが

               ともかく、めちゃくちゃ凄い超絶曲で

               しかも、超絶な高音が、もう実に美しい ♡♡♡)


              後半のメンデルスゾーンのスコットランド。


              あれあれあれ、トーンキュンストラーって

              いつから、こんなに大音響を出すようになった???


              首席になった佐渡裕の影響かもしれないけれど

              楽友協会の音響に遠慮して、すっきりした音を出していたオーケストラが

              え〜い、ここで大音響出しても良いんだもん、と

              開き直った感じがする(笑)→ 悪い意味ではない、念の為。


              出だしはかなり遅めのテンポで

              じっくり、じっくり歌わせる。

              (この出だしの部分、第1楽章の最後でも出てくるけれど

               さすがにこの繰り返し部分が遅過ぎて

               木管が吹き疲れしていて、ちょっと同情した)

              途中の部分はアップテンポで

              続けてテンポ良く第2楽章に入る。


              結構な音量があって

              普通だったら、え〜い、うるさいと思うのだろうが


              何か、すごく元気が良いしイキが良い。

              リズムに乗って乗って乗って


              途中で指揮者の山田和樹もモロに踊ってるし(笑)

              アカデミックで品のある美しい指揮の間に

              腰を揺らして踊ってしまうところが

              むちゃくちゃカワイイし (すみません)チャーミング。


              いや、昨日のマジメな模範演奏を聴いちゃった後だからな。

              同じような音量(そりゃ楽友協会だからトーンキュンストラーの方が小さいが)で

              元気なメンデルスゾーンを演奏されると

              音量だけでは似たりよったりなのに

              何で、こんなに印象が違うんだろう?


              トーンキュンストラーの音は

              都響みたいに均一ではないし

              多少荒っぽい部分もあって

              金管がほんの時々、コケたりするが


              それでも、このメンデルスゾーンは

              むちゃくちゃ楽しいのである。


              スコットランドって、イタリアに比べると

              多少なりとも太陽の量が少ないし

              ちょっと陰鬱な感じも出てくる曲ではあるのだが


              それにしても、この楽しさって、いったい何?

              オーケストラと指揮者と聴衆が

              一緒になって「うわ〜、スコットランドってステキなところね」と

              全員で囁き合っているような感じがする。


              モダン・オーケストラでロマン派の音楽であっても

              最初のハイドンみたいに

              そこに居る全員が、親密に温かく音楽を楽しんでいる印象。


              オーケストラの巧さって

              正確に縦線揃えて演奏する、という事だけに留まらないなぁ。

              トーンキュンストラーだって巧いオーケストラなのだが

              でも、出てくる音楽に人間的な個性があって

              だから音に揺れがあって

              それが音楽表現を作っていくものなのかもしれない。


              まだまだ続く睡眠不足(でも5時間は寝てる!!!)

              でも、やっと来週くらいに落ち着けそうな気配もあるので

              ともかく、頑張るぞ

              (コンサート行きじゃなくて仕事の方を!!!)

              と思っている私に

              どうぞ1クリックをお恵み下さい。



              東京都交響楽団 + 大野和士

              0

                Wiener Konzerthaus Großer Saal 2015年11月23日 19時30分〜21時50分


                Tokyo Metropolitan Symphony Orchestra

                バイオリン Vadim Repin

                指揮 Kazushi Ono


                Claude Debussy (1862-1918)

                 La Mer. Drei symphonische Skizzen (1903-05)

                Sergej Prokofjew (1891-1953)

                 Violinkonzert Nr. 2 g-moll, op. 63 (1935)

                Peter Iljitsch Tschaikowsky (1840-1893)

                 Symphonie Nr. 4 f-moll op. 36 (1877)


                東京都交響楽団のヨーロッパ演奏旅行の最後は

                ウィーンのコンツェルトハウスでのコンサート。


                睡眠不足とその他諸々で

                ちょっと精神的にも体力的にも限界に近いので簡単にメモだけ。


                ドビュッシーの「海」は

                実に繊細な作り方。

                細かく細かく演奏するので

                ちょっと音楽そのものが自然に流れず

                技術的には巧いのだが、ボツボツ切れているような印象。


                しかもオーケストラが

                お行儀が良いというのか

                一糸乱れずと言うか

                印象としては、ものすごく控え目。


                でも、最後にフォルテになると

                とんでもない音量を出すので、ビックリした。


                レーピンのソロでプロコフィエフのバイオリン協奏曲。

                楽しかった(それだけかいっ!)

                ドビュッシーと同じく

                オーケストラの表現が細かいので

                解像度は良いし、リズム感もある。

                それなりのプロコフィエフのユーモアが楽しい。


                チャイコフスキーの交響曲4番は

                う〜ん、この間、フェドセーエフで、ちょっと決定版を聴いちゃったからなぁ。


                オーケストラは巧いのである。

                最初の金管だって、だれも素っ転ばず

                一糸乱れぬアンサンブルで

                ともかく正確無比の清潔な音がするし

                元気も良いし

                まるで、スコアをそのまま

                はい、これが模範演奏です・・・・って


                素晴らしい、ああいう演奏こそ

                模範演奏として CD にしたら

                予習としては非常に良い見本になりそう。


                でも・・・

                すみません、うるさい奴で・・・


                面白くない(ボソ)


                とことん徹底的にマジメで

                音の揺れもなくて

                理想的なテンポで理想的な音が出ているのに

                そこに色気とか人間性とか心理的不安とか

                全く感じる事がない「模範演奏」


                音楽は色々だから

                巧く演奏されて、何で文句を付けるんだ!という反論もあると思う。

                でも、やっぱりウィーン交響楽団とフェドセーエフの時は

                オーケストラが満身創痍でも

                何かに憑かれたようなゾッとするものがあったけれど


                都響+大野和士だと、何でこんなに「模範演奏」になるのか

                私にはさっぱりわかりません。


                でも大野和士は都響の方が合ってる(たぶん)

                ウィーン交響楽団との、チグハグなマーラーよりずっと良い。

                面白みは全然ないけれど

                その意味では、音楽そのものを、そのまま舞台に乗せたわけで

                それはそれで、素晴らしい演奏だったんだろうと思う。


                所詮音楽なんて、ド・シロートには好みの問題ですし(笑)


                コンサートの後も夜中1時半までちょっと仕事していたのに

                印象だけは夜中過ぎ、というか明け方でも書かないと気が済まない

                アホな私に、どうぞ1クリックをお恵み下さい。




                ウィーン交響楽団 + ダニエル・ハーディング

                0

                  私の友人は1日4回という記録を打ち立てたが(笑)

                  私は今日はおとなしくダブルで済ませました。

                  時系列で読みたい方、午後のコンサート記事は ここ


                  下記は夜のコンサートの記録です。


                  Wiener Konzerthaus Großer Saal 2015年11月22日 19時30分〜22時


                  Wiener Symphoniker

                  Wiener Singakademie

                  Opernschule der Wiener Staatsoper Jugendchor


                  ファウスト、セラフィクス神父、マリアヌス博士(バリトン)

                    Christian Gerhaher

                  グレートヒェン、ウナ・ポエニテンティウム(ソプラノ)

                    Christiane Karg

                  メフィストフェレス、悪魔(バス)Alastair Miles

                  マルタ、心配事、マグナ・ペッカトリックス(ソプラノ)

                    Christina Landshamer

                  不足、エジプトのマリア、マーテル・グロリオーザ(メゾソプラノ)

                    Gerhild Romberger

                  危険、ムリエール・サマリターナ(メゾソプラノ)Anna Huntley

                  アリエル、エクスタティクス神父(テノール)Andrew Staples

                  プロフンドゥス神父(バス) Franz-Josef Selig

                  告白する人(アルト) Elisabeth Ehrenfellner

                  コーラス・ソロ(テノール) Michael Sachsenmaier

                  指揮 Daniel Harding


                  Robert Schumann (1810-1856)

                   Szenen aus Goethes Faust WoO 3 für Soli, Chor und Orchester (1849-53)


                  夜のコンツェルトハウス、大ホールの舞台は

                  オルガン・バルコンまで合唱団が入って

                  真っ黒な状態(笑)


                  ローベルト・シューマンの

                  ゲーテのファウストからのシーン、という大規模作品。

                  私も初めて聴く曲だと思う。


                  最初がファウストとグレートヒェンの話・・・・の筈で

                  その後、ファウストとメフィストフェレスが出て来たり

                  天使のアリエルが出て来たり

                  心配事とのやり取りがあったり

                  その後で、ファウストの死は近い、みたいな歌詞があって

                  第一部の最後で

                  Es ist vollbracht

                  ・・・・って、このセンテンスはプロテスタントが

                  イエス・キリストの死の時に

                  神の意志は成就された、という意味の言葉だよね?


                  音楽はドラマティック。

                  ファウストを歌うゲルハーヘルの美声にウットリ。

                  グレートヒェンのクリスティアーネ・カルクのソプラノが

                  ものすごく美しくて、チャーミングでグレートヒェンっぽく清純で

                  アリエル歌ったテノールが、これまたステキな声。


                  惜しむらくはメフィストフェレスのバスだが

                  この人のドイツ語だけ、何かちょっと不安定だし

                  声も飲み込む感じが時々して

                  メフィストフェレスの悪魔っぽい雰囲気があまり感じられなかった。


                  音楽はステキで、歌手も素晴らしいのだが

                  手元のプログラムで歌詞を追って聴きつつ


                  うううううっ・・・

                  ゲーテのドイツ語が全く理解できない(自爆)


                  すみません、私、大学での専攻が言語学だったもんで

                  ドイツ文学は、全く全く全く知らないのだ(というより避けてた)

                  よって、ゲーテ時代のドイツ語なんて

                  単語一つ一つの理解はできても

                  それが繋がると、どういう意味になるのだが

                  さ〜っぱりわからんのである。

                  (しかももともと詩心ゼロなのて

                   即物的な状況の報告とか言うのならともかく

                   韻まで合わせて、全然意味の通らないテキストは苦痛)


                  いや、今、プログラムを見ても

                  本当に全然意味がわからない・・・絶望的だわ、これは。


                  ローベルト・シューマンの音楽だけ聴いていれば

                  何となく雰囲気的なものはわかる。

                  具体的な内容に関しては

                  いったい、こいつら、何をワケのわからん事を

                  グダグダ言ってるんだ?とか思うけれど(笑)


                  オーケストラの表現は、ものすごい透明感がある。

                  ハーディングらしい、と言ったら語弊があるかもしれないが

                  とことん室内楽的。


                  あれだけの大編成のオーケストラで

                  しかもシューマンというロマン派の

                  ともすれば厚みのある音響が出がちな曲を

                  細かくバランスを取って

                  解像度を極限に高めてしまった手腕には脱帽。


                  プログラムの解説にあった通り

                  これは、ゲーテのファウストを題材にした

                  一種のオラトリオ、宗教曲でもある。


                  だから、後半はファウストとはあまり関係なさそうな

                  天使だの神父だの博士だのが飛び交う

                  神への賛歌?っぽいものになる。

                  さっぱりわからん(すみません)


                  内容がさっぱりわからないのに

                  音楽が演奏含めて、あまりに素晴らし過ぎて

                  体感的な快感がスゴイ。

                  ものすごく美味しいご馳走を食べてる気分。


                  ゲーテのグレートヒェンに象徴され

                  処女マリア崇拝に通じる

                  (マーラーも交響曲8番でやってるけど)

                  女性的なるものが救い、みたいな宗教観って

                  私には絶対に相容れない考え方だが


                  そういう一種の男女差別主義は置いておいて(笑)

                  素晴らしい音楽と素晴らしい演奏だった。


                  ゲルハーヘルのドイツ語の美しさと美声も良かったけれど

                  カルクのソプラノの素晴らしさ

                  テノールのアンドリュー・スタープレスは

                  どうも休憩中に逆立ちしていたみたいだが(爆笑)

                  とても柔らかい透き通った美声で

                  この人のエファンゲリストだったら聴いてみたい!と思わせた。

                  後半のバスのゼーリヒが歌ったプロフンドゥスは

                  堂々としていて深い美声で聴き惚れた ♡


                  まだ最後の調整はあるけれど

                  地獄の日々もそろそろ終わりそうな予感がする私に

                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。




                  トーンキュンストラー+山田和樹 1回目

                  0

                    Musikverein Großer Saal  2015年11月22日 15時30分〜17時40分


                    Tonkünstler-Orchester Niederösterreich

                    指揮 Kazuki Yamada

                    バイオリン Augustin Hadelich


                    Joseph Haydn (1832-1809)

                     Konzert für Violine und Orchester C-Dur Hob. VIIa:1 (1765)

                    Thomas Adès (“1971)

                     “Concentric Paths” Konzert für Violine und Kammerorchester (2005)

                    Felix Mendelssohn Bartholdy (1809-1847)

                     Symphonie Nr. 3 a-Moll op. 56 “Schottische” (1829-1842)


                    トーンキュンストラー今回の定期は山田和樹を指揮者に迎えた。

                    2013年12月に続いて2回目の登場。


                    2013年はフランスもので勝負だったが

                    今回はヨゼフ・ハイドンにトーマス・アデス

                    後半はメンデルスゾーンというプログラム。


                    ヨゼフ・ハイドンのバイオリン協奏曲。

                    ううう、染みる(すみません、ヘンな表現で)


                    ここ1週間以上、精神的に拷問の日々が続いていた中で

                    こういう、スッキリして澄んだ音を聴くと

                    むちゃくちゃ和む。


                    無駄のない透明感のある音色が

                    楽友協会のホールに、全く濁りのない状態で響くと

                    聴きながら、エスターハージー宮殿のホールで

                    1700年代後半に、貴族たちが集って

                    やっぱりこういう音楽に慰められて居たのだろうな〜と

                    あらぬ妄想がフツフツと湧き出てくる。


                    貴族って、そりゃ有閑階級ではあるだろうが

                    それでも人間関係とか、イヤな商売相手とか

                    飢饉が起こったり、病気で突然思いがけない人が亡くなったり

                    バロック時代の有閑階級だって

                    それなりに悩んでいたのに違いない(断言)


                    聴きながら、何となく雰囲気としては

                    ラトルが何回かウィーン・フィルやベルリン・フィルで振った

                    ハイドンのパスティッチオを思い起こさせる。


                    基本に忠実と言うべきか

                    音楽に誠実と言うのか

                    無駄な気負いが一切なくて

                    職人芸音楽家の最もベストな面が出ている。


                    さて同じバイオリニストと

                    今度はバリバリの現代音楽(笑)トーマス・アデスの曲。


                    この間、オペラ座でのテンペストの後

                    何故かトーマス・アデスを聴く機会が多いのだが・・・


                    今年はウィーン・モデルン現代音楽祭のゲネラル・パスを購入したものの

                    途中のベルリン・フィルやら仕事やらで

                    ほとんど行けず、現代音楽の耳になっていない、というのもあるが


                    面白い曲だなこれ(それだけかいっ!)

                    オーケストラが薄いというか

                    なのに、音のレンジの幅が極端に広くて

                    でも、第2楽章なんて、ちゃんとリズム取れるようになってるし

                    トナールとアトナールの混ざり具合も絶妙。

                    リゲティなき後の現代音楽の主流を踏襲した、という印象。


                    何回か聴いたら面白い発見がたくさんありそう。

                    (ううう、今回もサンクト・ペルテンまで追いかけるつもりだったのだが

                     とある理由で無理・・・ でも、あと1回は楽友協会に行く予定)


                    後半はメンデルスゾーンのスコットランド。

                    遅めのテンポの導入部でロマンティックに歌わせて

                    その後はリズム良く、オーケストラをうねらせて引っ張っていく

                    山田和樹の指揮姿が美しい ♡


                    この指揮者、今年36歳だよね?

                    でも、童顔というか、ツルツルの美肌で

                    どう見ても、17歳か18歳くらいにしか

                    ヨーロッパ人の目には見えないだろう、きっと。


                    で、指揮に無駄がなくて

                    動きが美しくて、的確で、変な力が入っていなくて

                    見ていて安心+ダンス観てるみたい。


                    それも、大袈裟に身体を動かして

                    俺が俺がとアピールするところが全くない。

                    若い指揮者に有り勝ちな「やんちゃ坊主」という感じでもなく

                    音楽好き好き、ものすごく好き、たまらなく好き、という

                    無駄なアピールも全くない。


                    こんなに淡々と、的確な指示をする若い指揮者って珍しい。

                    この人も、たぶん、音楽が第一義なんだろうな。

                    指揮が音楽になるのではなく

                    音楽に指揮が目立たず騒がず寄り添っている感じがする。


                    スコットランドは、まだ少しオーケストラに余裕がなくて

                    頑張ってますっ! というのが聴こえてくる演奏で

                    情景とか音楽性とか言う前に

                    オーケストラの皆さま、お疲れさまです、と言いたくなっちゃったが


                    これも火曜日の楽友協会でのコンサートの時には

                    また違う印象に化けるだろう、という楽しい予感がする。


                    日本が誇る世界の才能、とかヘンな言い方はしたくないし

                    グローバル化している中で

                    世界に活躍する才能が日本から出た、という事実だけで良いと思うが


                    この指揮者、まだまだ伸びしろがありそうだし

                    これからも目が離せない、と

                    あくまでもグローバルな視点から(日本人どうのこうのじゃなくて)

                    とても楽しみにしている私に

                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。




                    ロイヤル・ストックホルム管弦楽団+サカリ・オラモ

                    0

                      Musikverein Großer Saal 2015年11月18日 19時30分〜21時50分


                      Royal Stockholm Philharmonic Orchestra

                      指揮 Sakari Oramo

                      バイオリン Lisa Batiashviili


                      Anders Hillborg (*1954)

                       Exquisite Corpse

                      Jean Sibelius (1865-1957)

                       Konzert für Violine und Orchester d-Moll, op. 47

                      Sergej Prokofjew (1891-1953)

                       Symphonie Nr. 5 B-Dur, op. 100


                      このコンサート、行けないかも、と危惧していたのだが

                      何とか行けて万歳。

                      しかも、本当に行って良かったコンサートの一つになったので

                      うはははは、行けて幸運だった。


                      サカリ・オラモとロイヤル・ストックホルム管弦楽団は

                      調べてみたら、2012年に聴いている。

                      しかもソリストも同じリサ・バティアシュヴィリ。

                      (よほどおヒマな方、この時の記事は ここ です)


                      サカリ・オラモだが・・・


                          ふくよかになられましたね。


                      以前は「そこら辺にいそうな普通のおじさん」だったが

                      ちょっとお腹も出て来て

                      全体的に少し膨らみが増して

                      それだけ、指揮者としての貫禄が出て来た感じ。

                      (燕尾服に蝶ネクタイでビシッとキメていたのもあるけど)


                      最初の曲はロイヤル・ストックホルムにアラン・ギルバートがいた時の曲。

                      現代曲だが


                      あら?これ、リゲティ?という始まり方。

                      ほとんど不協和音がなくて

                      音の雲にフワフワ乗っている感じ。


                      オーケストラの音が優しい。

                      何とも豊かな温かい色合い。


                      北欧のオーケストラだから

                      もっと即物的で冷たい音を出すかと思ったら

                      厳寒の天気の中で

                      暖炉の燃えている暖かい木造の部屋にいるようなソフトさ。


                      ほっこりしてしまう ♡


                      でも、この曲、暖かい協和音だけかと思っていたら

                      途中でパーカッション主導の

                      徹底的にリズミカルな部分もあって

                      聴いている人を飽きさせない。


                      現代曲だから指揮が

                      ある程度テンポの指示だけになるのは避けられないが

                      オラモはリズミカルな部分になると

                      実に見事に踊る。

                      踊っているのがよく見えてカワイイ(失礼しました)


                      シベリウスのバイオリン協奏曲。

                      リサ・バティアシュヴィリのバイオリンの音

                      何て美しいの・・・


                      高音がイヤミなく、神経にも触らず

                      ホールの中に素直に美しく響いて

                      疲れた心に染みる。


                      アンコールにはオーケストラ伴奏で

                      ドボルジャークの交響曲9番第2楽章の

                      コーラングレのソロ部分をバティアシュヴィリがバイオリンで弾いた。


                      うはははは、これアリか(爆笑)

                      でも、これが実に素晴らしくて・・・


                      幕間の後には

                      私が楽しみにしていて大好きなプロコフィエフの交響曲5番。


                      素晴らしい!!!!!


                      何て巧いオーケストラ!!! というのもあるけれど。


                      第1楽章の出だしが

                      前半にも聴いた、暖かい色合いだったので

                      プロコフィエフだと、この音じゃエッジが緩いかも

                      ・・・と思っていたら、とんでもない。


                      アタッカで続けた第2楽章の

                      細かい部分までうねるエッジの鋭い演奏って

                      さっきまでの、あのボワンとした温かさと全然違う。


                      リズムに乗って

                      美しいメロディはどんどん出てくるし

                      プロコフィエフらしい、ちょっとひねたユーモアが

                      次から次に出て来て

                      それが、また、演奏が巧いの ♡


                      普通のサラリーマンから

                      貫禄のある指揮者に変身していたサカリ・オラモの指揮は

                      とてもわかり易いし、指揮姿も動きも美しい。

                      大袈裟に見栄を張ったり無駄な動きをする事なく

                      ここぞというところを見事に押さえている。


                      で、美しいメロディになったり

                      これだ、というユーモアが出てくると

                      この人、すごく邪気のない顔で

                      ニッコリ笑うんですよ〜〜〜

                      (高い席で背中ばかり見ている人にはわからないだろう(笑))


                      時々出てくるこの笑顔が実にチャーミングで

                      ああ、この人も

                      自分が有名になりたい、とか言うのではなくて

                      本当に音楽が好きなんですね、というのがよくわかる。


                      弦でこの上なく美しいメロディが交差する

                      第3楽章にメロメロになった後に

                      アップテンポで

                      狂騒場面たっぷりの最終楽章のノリがむちゃ良くて

                      ああ、私も踊りたい(違うだろ!)


                      私が頭の中に抱いている曲のイメージと

                      かなり合致した演奏で

                      それ以上に細かい部分での精密さがあって


                      しかも、温かい音色はそのままで

                      必要な部分では、キリッとしたエッジの立った演奏。


                      ううう、このオーケストラ

                      私、すごく好きかもしれない。


                      いや、プロコフィエフの交響曲5番が好き、というのもあるけど


                      疲れた心に抜群に効くプロコフィエフの交響曲5番。

                      現世の辛い一瞬を忘れて

                      プロコフィエフのユーモアの世界に

                      がっつり巻き込まれた。


                      マーラーなんかと違って

                      プロコフィエフの交響曲は

                      あくまでも交響曲という音楽そのもので

                      人生どうのこうのとか

                      人間、生きて行くの辛いよね、とか

                      死後はこんな世界ですよ、とか

                      一切、そういうクソ面倒な事は語って来ない。


                      だからと行って深みがないという訳ではない。

                      とことん「音楽」として、面白いのである。

                      哲学とか思想とか、そんな音楽とは関係ないところは捨てて

                      音楽そのものを楽しもうじゃないか、という気概が見える。


                      ああ、このコンサート、行って良かった ♡

                      スカッと爽やかに、ばっちり元気をくれる音楽を聴けて

                      これこそが、純粋な音楽の楽しみだ!!!と

                      改めて確信している私に

                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                      プロコフィエフの交響曲って7番まであるのだが

                      1番の古典交響曲と、この5番は時々演奏されるが

                      他の交響曲ってナマで聴く機会がなくて実に残念。



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