日曜日のダブルヘッダー
時系列で読みたい方は、まず ここ からどうぞ。
下は夜のコンサートのメモです。
Musikverein Großer Saal 2015年11月29日 19時30分〜22時
Wiener Symphoniker
指揮 Adam Fischer
ピアノ Jasminka Stančul
Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
Konzert für Klavier und Orchester A-Dur, KV 488
Gustav Mahler (1860-1911)
Symphonie Nr. 7 e-Moll
午前中のウィーン・フィルのコンサートの後に
日曜日も開いているパン屋さんでパン買って
オフィスに行って、夜のコンサートまで
ずっと仕事をしていたのだが
(註 ウチの会社は残業代は全く払ってはくれません、念の為)
夜になると段々テンションが上がってくるという
とんでもない体質の私は
ともかく、マーラーの交響曲7番が目当て。
前半のモーツァルトはどうでも良い・・・とは言わないが(言ってるじゃん)
さて、モーツァルトのピアノ協奏曲 KV 488 と言うのは
ピアノ協奏曲23番である。
(こちらのプログラムはケッヘル・ナンバーしか書いてくれない)
おっと
オーケストラの音がモダンで大きい。
大きいがために
モーツァルトに必要なキレがなくて
何か前奏がズルズルと
楽友協会の残響に引き摺られてるぞ。
ヤスミンカ・スタンツルのピアノは
これまでも何回か聴いた事がある。
ちょっとマスキュリンな女性ピアニストで
出てくる音も、とてもスポーツ的で男性的。
モーツァルトでもピアノが入ってくると
そこだけ、キレが良い音になる(笑)
この曲、第2楽章が
フォルクス・オーパーのバレエ、モーツァルト・ア・デュで使われていたので
第2楽章になると、どうしても目の前にバレエの場面が・・・(汗)
ホールの残響に引き摺られて
何かポニャポニャしていたオーケストラの音も
最後の楽章になると、軽くてキレが良くなって来て
如何にもモーツァルトらしい明るい感じになった。
スタンツルらしく
アンコールは超絶技巧の現代曲。
モーツァルトで超絶テクを披露出来ないから
アンコールで超絶テクニックで聴衆を沸かせてやれ、という
素晴らしいサービス精神。
でも、ちょっとルール違反かなぁ、って気もする(笑)
さて、私のお目当てはマーラーの交響曲7番である!!!
マーラーの交響曲って
演奏頻度からすると、1番と5番と6番、それから4番と時々9番。
2番・3番・8番はコーラスやらソロやらで大編成になるから
演奏され難いのは理解できるが
何故、7番の演奏回数が異様に少ないのか
私には理解できない。
(邪推すると、7番、きっとオーケストラ(と指揮者)には
むちゃくちゃ難しいのではないだろうか・・・)
ワタクシ的には最も好きな7番。
マーラーの交響曲の中でも、最も先鋭的で現代的で
とんがっていて
次から次へとカレイドスコープのように出てくる曲想が
ものすごく魅力的 ♡
ウィーン交響楽団のメンバー
珍しい事に、コンサート前もずっと舞台で練習していて
何と休憩時間中も
まるでアメリカのオーケストラのごとく
舞台上で金管・木管、更には弦まで勢揃いして
ずっとマーラーの交響曲7番を練習している。
昨日も同じプログラムでのコンサートがあった筈だが
何か、指揮者のアダム・フィッシャーに言われたのか
それとも、昨日のコンサート、そんなにひどかったのか・・・
(いやいや、それはプロのオーケストラに対して失礼な邪推ではある)
マーラーの交響曲7番は長い。
普通なら、これ一曲でフルのプログラムにしても良いくらい。
アダム・フッシャー登場。
この人も全然見た目が変わらん指揮者だな(笑)
オーケストラに向かって
親指握って「上手く行きますように」という励ましの合図。
指揮者の前に譜面台はない。
うわわわわ、この曲の複雑怪奇なスコアを暗記でやるか。
さすが巨匠・・・
金管、巧く出た。
素晴らしい音色である。
フィッシャーの緊張感溢れる
エモーショナルな指揮振りに付いて
オーケストラは
ウィーン交響楽団らしい鋭い音で攻めてくる。
うははは、こういう鋭い音を出せるのは
ウィーン交響楽団の良いところ。
だが、この曲、難しい。
むちゃくちゃ難しい。
マッチョな鋭い音を出すのだけれど
オーケストラが滑った箇所もあって
なかなか油断がならない。
(そこら辺は指揮者が巧く合わせている。たいしたもんだ)
第1楽章は高い音が多くて
第1バイオリンの甲高い音やピッコロが凄い音を出すので
これも難聴促進にピッタリの曲ではある。
高い音が激しく響くにのに対して
低い音の迫力がちょっと落ち気味。
もう少し、底力が欲しいところだなぁ。
午前中にあの芳醇なウィーン・フィルの弦を聴いてしまうと
ウィーン交響楽団の弦の芳醇さは今ひとつちょっと物足りない。
夜の歌の第2楽章は長いボーゲンで描き
悲鳴のような第3楽章の迫力も満点。
マンドリンの入った夜の歌第二部もチャーミングで
最終楽章の爆発も迫力一杯。
何と言うか
いや、金管・木管、よくやった!!!!
ほとんどミスなしで
最後まで迫力一杯で吹き続けた体力と気力に脱帽。
アダム・フィッシャーの指揮振りを見ていると
まだ指揮者の中の音楽と
出てくるオーケストラの音が一致していないんじゃないか、と
ちょっと思う部分もかなりあったけれど
でも迫力たっぷりの
大好きなマーラーの交響曲7番に
どっぷり浸れて
すごく幸せ ♡
この曲、音の響きから言うと
ウィーン放送交響楽団あたりに合いそうなのだが
マイスター、取り上げてくれないかなぁ、と
密かに期待している私に
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