Wiener Staatsballett 2015年10月31日 19時30分〜22時20分
THOSS / WHEELDON / ROBBINS
BLAUBARTS GEHEIMNIS (Ausschnitt)
振付・舞台・衣装 Stephan Thoss
音楽 Philip Glass “Façades”, Auszüge aus “The Secret Agent, Company
“Tirol Concerto for Piano and Orchestra” (2. Satz)
青髯公 Kirill Koulaev
ユーディット Alice Firenze
青髯公の母 Rebecca Horner
青髯公のアルター・エゴ Andrey Kaydanovskiy
Ioanna Avraam, Gala Jovanoic, Hannah Kickert, Oxana Kiyanenko
Eszter Ledán, Andrea Némethová, Anna Shepelyeva, Flavia Soares,
Iulia Tcaciuc, Oksana Timoshenko, Céline Janou Weder
Attila Bakó, Marcin Dempc, Trevor Hayden, András Lukács
Jaimy van Overeem, Kamil Pavelka, Géraud Wielick, Cristiano Zaccaria
FOOL’S PARADISE
振付 Christopher Wheeldon
音楽 Joby Talbot “The Dying Swan” (Orchesterfassung)
衣装 Nariciso Rodriguez
Olga Esina, Ioanna Avraam, Kiyoka Hashimoto, Gala Jovanovice
Roman Lazik, Eno Peci, Davide Dato, Greig Matthews, Richard Szabó
THE FOUR SEASONS
振付 Jerome Robbins
音楽 Giuseppe Verdi (Les Vépres siciliennes, Jérusalem, Le Trouvère)
舞台・衣装 Santo Loquasto
ヤヌス Gabor Oberegger
冬のアレゴリー Igor Milos
春のアレゴリー Beata Wiedner
夏のアレゴリー Andrea Némethová
秋のアレゴリー Kamil Pavelka
冬 Ioanna Avraam, Dumitru Taran, Géraud Wielick
Elena Bottaro, Nikisha Fogo, Natascha Mair, Anita Manolova
Suzan Opperman, Alaia Rogers-Maman, Anna Shepelyeva, Nina Tonoli
春 Maria Yakovleva, Mihail Sosnovschi
Leonardo Basílio, Jakub Feyfrlik, Alexandru Tcacenco, Andrey Teterin
夏 Ketevan Papava, Robert Gabdullin
Venessza Csonka, Gala Jovanovic, Oxana Kiyanenko
Laura Nistor, Flavia Soares, Prisca Zeisel
秋 Davide Dato, Liudmila Konovalova, Denys Chrevychko
Natalya Butchko, Adele Fiocchi, Sveva Gargiulo, Xhesika Gjonikaj
Hannah Kickert, Iulia Tcaciuc, Oksana Timoshenko, Céline Janou Weder
Attila Bakó, Ryan Booth, Marat Davletshin, Marian Furnica, Trevor Hayden
Tristan Ridel, James Stephans, Jaimy van Overeen
指揮 Alexander Ingram
10月29日に初演が行われたウィーン国立バレエの新プロダクション。
やっと2回目にチケット買って、いそいそと出かけるワタシ。
最初の「青髯公の秘密」は、フォルクス・オパーでも観た。
(でも、あれ、予定合わずに結局2012年12月19日と
2013年2月1日の2回しか行ってない)
今回は一部のみ、という事で
長いテーブルのシーンからの上演だが
それでも、まぁ、たっぷり1時間くらいある。
音楽ファンには、青髯公の秘密と言えば
当然バルトークなのだが
この作品に使っている音楽はフィリップ・グラスの音楽。
わっはっはっはっは
以前のバレエ・プロダクションでも
フィリップ・グラスの曲を使ったものがあって
これをウィーン・フィルで演奏させるか?
いや、良いんですよ、私、フィリップ・グラス好きだし(笑)
ミニマル・ミュージック系の同じ音型の繰り返しの中で
キリルとアリーチェのラブ・ストーリー
・・・と言うより、ユーディットと姑の戦争だよねこれ。
姑には、レベッカが登場。
この姑役って、実に個性的で魅力的。
息子の青髯を支配しようとする姑に
若い魅力と愛で戦うユーディット・・・と簡略化してはイケないのは
重々承知の上で
それでも、アリーチェの演じるユーディットの存在感が圧倒的。
アルター・エゴのアンドレイは
キャラクターを踊る機会が多いのだが
こういう、かなりテクニックが必要なものを踊らせても巧い。
キレのある踊りで、キリルと対等に踊るのでバランスがとても良かった。
という訳で、この青髯公、バルトークとはほとんど関係ないし
殺された3人の女性も登場するけれど
どう見ても、息子を支配する姑と戦うユーディット
というストーリーに見える(で最後はハッピー・エンド)
でもこれ、鑑賞する人が、それぞれに妄想して楽しめば良いという
正解がないモダン作品と思えば
鑑賞者がそれぞれに答えと解釈が出来る作品だと思う。
フールス・パラダイス、愚か者の楽園、という演目は
何故かサンサーンスの瀕死の白鳥がモダンに編曲されている?
と思ったけれど(Wiki にはそんな感じの事が書かれてあった)違うみたい。
ジョビー・タルボットが作曲した、とても繊細な曲。こういうの好き ♡
オーケストラのソロとピアノが美しいメロディで綴られていく
モダンで限りなく美しい曲(変拍子がスゴイけど(笑))
でも、これが、愚か者どころか
いや、何処がフールなんだよ?
この作品、別に題名要らんだろ(極論)
肌色のレオタードで
遠目から見れば、ほとんどハダカというか
肉体だけ、というダンサーたちが繰り広げる
ダンスだけの世界。
ああいう演目を見ると
肉体表現でしか語れないもの、というのがあるんだなぁ、と
つくづく思う。
だから、あれを言語化しようとか思っても絶対に無理。
エノとダヴィデが歩いてくる瞬間から
観客は、ダンスの肉体の力に取り込まれてしまう。
動きそのものの美しさに加えて
この演目、途中の静止部分のバランスのカタチに
様々なバリエーションが用意されていて
まるで動いているギリシャ彫刻の現代版というか
え〜い、もう、自分でも何言ってるかわからないが
2人や3人でバランス静止した時の
時が止まったような美しさって
いったい、何なんだあれは。
こういうの観ると、あぁ、ダンスって良いなぁ、としみじみ思う。
人間の肉体の圧倒的な美って
もちろん絵画や彫刻などの美術作品にもあるけれど
人間の肉体そのものが芸術に化す瞬間って、言葉を失う。
オーケストラとピアノ、バイオリンのソロがまた良くて
バイオリンはキュッヘルさんで
これが、硬めの音がしっかり立って
滝澤志野さんのピアノと絡まって
とてもモダンな響きを作り出していて聴き惚れる ♡
圧倒的なダンスでしかあり得ない美の演目の後
最後の演目はジェローム・ロビンスの「四季」
音楽はジュゼッペ・ヴェルディ。
舞台は華やかで
後ろにでっかくヴェルディと書いてある。
ヴェルディの背景が上に仕舞われた後は
冬から春、夏、秋とシーズンの背景が変わっていく。
冬が・・・かわいい ♡
白いバレリーナたちが寒さに震えているのが割にリアルで(笑)
このダンスは楽しい。
春の爽やかさ、夏の鬱陶しさ、そして秋の芳醇な実りまで
それぞれの色合いとクラシック・モダンな振付。
でオーケストラがまた
やっと自分たちの十八番が来たぞ、とばかりに
張り切ってヴェルディを演奏して
ソロなんかむちゃ巧い(爆笑)
ちょっと長いけれど
でも、これ良いプロダクションだ。
モダン・ストーリーの青髯公から
徹底的な肉体の美を見せてくれるコンテンポラリーに
その中間のクラシック・モダンという
バランスの取れたプログラム。
11月に入ると仕事もナイト・ライフも一番忙しくなるので
この公演、あまり追いかけはできないけれど
また行きます(チケット確保済み)という
懲りない私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。
いや〜、ルグリ監督、よくやるな。
こういう革新的なプログラムを
クラシックの中に果敢に取り入れてくれるのは大歓迎 ♡