国立バレエ トス・ホイールドン・ロビンス 1回目

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    Wiener Staatsballett 2015年10月31日 19時30分〜22時20分


    THOSS / WHEELDON / ROBBINS


    BLAUBARTS GEHEIMNIS (Ausschnitt)

    振付・舞台・衣装 Stephan Thoss

    音楽 Philip Glass “Façades”, Auszüge aus “The Secret Agent, Company

    “Tirol Concerto for Piano and Orchestra” (2. Satz)

    青髯公 Kirill Koulaev

    ユーディット Alice Firenze

    青髯公の母 Rebecca Horner

    青髯公のアルター・エゴ Andrey Kaydanovskiy

    Ioanna Avraam, Gala Jovanoic, Hannah Kickert, Oxana Kiyanenko

    Eszter Ledán, Andrea Némethová, Anna Shepelyeva, Flavia Soares,

    Iulia Tcaciuc, Oksana Timoshenko, Céline Janou Weder

    Attila Bakó, Marcin Dempc, Trevor Hayden, András Lukács

    Jaimy van Overeem, Kamil Pavelka, Géraud Wielick, Cristiano Zaccaria


    FOOL’S PARADISE

    振付 Christopher Wheeldon

    音楽 Joby Talbot “The Dying Swan” (Orchesterfassung)

    衣装 Nariciso Rodriguez

    Olga Esina, Ioanna Avraam, Kiyoka Hashimoto, Gala Jovanovice

    Roman Lazik, Eno Peci, Davide Dato, Greig Matthews, Richard Szabó


    THE FOUR SEASONS

    振付 Jerome Robbins

    音楽 Giuseppe Verdi (Les Vépres siciliennes, Jérusalem, Le Trouvère)

    舞台・衣装 Santo Loquasto


    ヤヌス Gabor Oberegger

    冬のアレゴリー Igor Milos

    春のアレゴリー Beata Wiedner

    夏のアレゴリー Andrea Némethová

    秋のアレゴリー Kamil Pavelka


    冬 Ioanna Avraam, Dumitru Taran, Géraud Wielick

    Elena Bottaro, Nikisha Fogo, Natascha Mair, Anita Manolova

    Suzan Opperman, Alaia Rogers-Maman, Anna Shepelyeva, Nina Tonoli


    春 Maria Yakovleva, Mihail Sosnovschi

    Leonardo Basílio, Jakub Feyfrlik, Alexandru Tcacenco, Andrey Teterin


    夏 Ketevan Papava, Robert Gabdullin

    Venessza Csonka, Gala Jovanovic, Oxana Kiyanenko

    Laura Nistor, Flavia Soares, Prisca Zeisel


    秋 Davide Dato, Liudmila Konovalova, Denys Chrevychko

    Natalya Butchko, Adele Fiocchi, Sveva Gargiulo, Xhesika Gjonikaj

    Hannah Kickert, Iulia Tcaciuc, Oksana Timoshenko, Céline Janou Weder

    Attila Bakó, Ryan Booth, Marat Davletshin, Marian Furnica, Trevor Hayden

    Tristan Ridel, James Stephans, Jaimy van Overeen


    指揮 Alexander Ingram


    10月29日に初演が行われたウィーン国立バレエの新プロダクション。

    やっと2回目にチケット買って、いそいそと出かけるワタシ。


    最初の「青髯公の秘密」は、フォルクス・オパーでも観た。

    (でも、あれ、予定合わずに結局2012年12月19日と

     2013年2月1日の2回しか行ってない)


    今回は一部のみ、という事で

    長いテーブルのシーンからの上演だが

    それでも、まぁ、たっぷり1時間くらいある。


    音楽ファンには、青髯公の秘密と言えば

    当然バルトークなのだが

    この作品に使っている音楽はフィリップ・グラスの音楽。


    わっはっはっはっは

    以前のバレエ・プロダクションでも

    フィリップ・グラスの曲を使ったものがあって

    これをウィーン・フィルで演奏させるか?


    いや、良いんですよ、私、フィリップ・グラス好きだし(笑)

    ミニマル・ミュージック系の同じ音型の繰り返しの中で

    キリルとアリーチェのラブ・ストーリー

    ・・・と言うより、ユーディットと姑の戦争だよねこれ。


    姑には、レベッカが登場。

    この姑役って、実に個性的で魅力的。

    息子の青髯を支配しようとする姑に

    若い魅力と愛で戦うユーディット・・・と簡略化してはイケないのは

    重々承知の上で

    それでも、アリーチェの演じるユーディットの存在感が圧倒的。


    アルター・エゴのアンドレイは

    キャラクターを踊る機会が多いのだが

    こういう、かなりテクニックが必要なものを踊らせても巧い。

    キレのある踊りで、キリルと対等に踊るのでバランスがとても良かった。


    という訳で、この青髯公、バルトークとはほとんど関係ないし

    殺された3人の女性も登場するけれど

    どう見ても、息子を支配する姑と戦うユーディット

    というストーリーに見える(で最後はハッピー・エンド)


    でもこれ、鑑賞する人が、それぞれに妄想して楽しめば良いという

    正解がないモダン作品と思えば

    鑑賞者がそれぞれに答えと解釈が出来る作品だと思う。


    フールス・パラダイス、愚か者の楽園、という演目は

    何故かサンサーンスの瀕死の白鳥がモダンに編曲されている?

    と思ったけれど(Wiki にはそんな感じの事が書かれてあった)違うみたい。


    ジョビー・タルボットが作曲した、とても繊細な曲。こういうの好き ♡

    オーケストラのソロとピアノが美しいメロディで綴られていく

    モダンで限りなく美しい曲(変拍子がスゴイけど(笑))


    でも、これが、愚か者どころか

    いや、何処がフールなんだよ?

    この作品、別に題名要らんだろ(極論)


    肌色のレオタードで

    遠目から見れば、ほとんどハダカというか

    肉体だけ、というダンサーたちが繰り広げる

    ダンスだけの世界。


    ああいう演目を見ると

    肉体表現でしか語れないもの、というのがあるんだなぁ、と

    つくづく思う。


    だから、あれを言語化しようとか思っても絶対に無理。


    エノとダヴィデが歩いてくる瞬間から

    観客は、ダンスの肉体の力に取り込まれてしまう。


    動きそのものの美しさに加えて

    この演目、途中の静止部分のバランスのカタチに

    様々なバリエーションが用意されていて


    まるで動いているギリシャ彫刻の現代版というか

    え〜い、もう、自分でも何言ってるかわからないが

    2人や3人でバランス静止した時の

    時が止まったような美しさって

    いったい、何なんだあれは。


    こういうの観ると、あぁ、ダンスって良いなぁ、としみじみ思う。

    人間の肉体の圧倒的な美って

    もちろん絵画や彫刻などの美術作品にもあるけれど

    人間の肉体そのものが芸術に化す瞬間って、言葉を失う。


    オーケストラとピアノ、バイオリンのソロがまた良くて

    バイオリンはキュッヘルさんで

    これが、硬めの音がしっかり立って

    滝澤志野さんのピアノと絡まって

    とてもモダンな響きを作り出していて聴き惚れる ♡


    圧倒的なダンスでしかあり得ない美の演目の後

    最後の演目はジェローム・ロビンスの「四季」

    音楽はジュゼッペ・ヴェルディ。


    舞台は華やかで

    後ろにでっかくヴェルディと書いてある。

    ヴェルディの背景が上に仕舞われた後は

    冬から春、夏、秋とシーズンの背景が変わっていく。


    冬が・・・かわいい ♡

    白いバレリーナたちが寒さに震えているのが割にリアルで(笑)


    このダンスは楽しい。

    春の爽やかさ、夏の鬱陶しさ、そして秋の芳醇な実りまで

    それぞれの色合いとクラシック・モダンな振付。


    でオーケストラがまた

    やっと自分たちの十八番が来たぞ、とばかりに

    張り切ってヴェルディを演奏して

    ソロなんかむちゃ巧い(爆笑)


    ちょっと長いけれど

    でも、これ良いプロダクションだ。

    モダン・ストーリーの青髯公から

    徹底的な肉体の美を見せてくれるコンテンポラリーに

    その中間のクラシック・モダンという

    バランスの取れたプログラム。


    11月に入ると仕事もナイト・ライフも一番忙しくなるので

    この公演、あまり追いかけはできないけれど

    また行きます(チケット確保済み)という

    懲りない私に

    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    いや〜、ルグリ監督、よくやるな。

    こういう革新的なプログラムを

    クラシックの中に果敢に取り入れてくれるのは大歓迎 ♡



    ウィーン交響楽団 + フィリップ・ジョルダン

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      Wiener Konzerthaus Großer Saal 2015年10月30日 19時30分〜21時30分


      Wiener Symphoniker

      指揮 Philippe Jordan

      ピアノ Pierre-Laurent Aimard


      Béla Bartók (1881-1945)

       Deux portraits op. 5 SZ 37 (1907)

      Ludwig van Beethoven (1770-1827)

       Konzert für Klavier und Orchester Nr. 4 G-Dur op. 58 (1805/06)

      Béla Bartók

       Musik für Saiteninstrumente, Schlagzeug und Celesta Sz 106 (1936)


      ウィーン交響楽団のチクルスで

      実は昨日のチケットを持っていたのを

      クリーブランド管弦楽団のために変更してもらったもの。


      同じ時間にクリーブランドは楽友協会で

      モーツァルトとヴェルディのコンサートをしていた筈だが

      え〜っと、読者諸氏ご存知の通り、私は両方とも苦手(笑)


      ウィーン交響楽団は今シーズン

      フィリップ・ジョルダン指揮、エマールのピアノで

      バルトークとベートーベンのチクルスを行っていて

      今回が2回目に当たる。

      (1回目は10月3日と4日。これは両方とも聴いた)

      1月にはベートーベンのピアノ協奏曲3番と中国の役人

      4月にピアノ協奏曲5番とバレエ音楽「木製の王子」

      5月にはピアノ協奏曲2番と青髯公の城。


      おっと、カレンダーをチェックしなくては(汗)


      さて、今回はバルトークの2つの肖像の後

      ベートーベンのピアノ協奏曲4番

      後半が、弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽。


      2つの肖像は第1章がバイオリン協奏曲を改訂したものだそうだが

      ウィーン交響楽団のコンサート・マスターの

      Jan Pospichal が立って演奏(第2章では座る)

      最初はバイオリンの独奏で

      そこに、別のコンサート・マスターのソロが絡まって

      それから、どんどん他の楽器が増えて行く方式。


      バイオリンのソロ、目立つ部分がなくて

      奥ゆかしい巧さで、まぁ、地味と言えば地味なんだけど

      (派手にアピールするところがなくて、真面目なのだ)

      それが、バルトークの初期作品に、とても合ってる。


      うはははは

      昨日のエッジの鋭いクリーブランドの弦と比べると

      やっぱりウィーンのオーケストラって

      (比較的鋭い音のするウィーン交響楽団でさえ)

      やっぱり弦の音がまろやかだ ♡


      第2章は「醜いもの」という題名がついているけれど

      リズムの激しい民謡調で、聴いていると楽しかったのは

      私の心が醜いからか?(邪推)


      さてベートーベンのピアノ協奏曲4番。

      音響オタクのピアノマニアのピエール=ロラン・エマールは

      ワタクシ的には、やっぱり現代音楽を奏でていて欲しいのだが

      最近、いわゆるクラシックを聴く機会が増えて来た(ような気がする)


      で、やっぱりこの人、どこをどう叩いても、音響オタクだ(爆笑)

      ピアノの音が、立ったり座ったりしていて(すみません、すごい比喩で)

      ヒョコッと出てくるかと思うと

      オーケストラの他の楽器にまとわりついたり絡まったり

      徹底的に音響に拘りながら

      ピアノとオーケストラの会話が弾んでいる印象。


      でも、何で4番って、あんなに眠くなるんでしょう?(すみません)


      後半はまたバルトーク。

      名曲として有名な弦チェレだが

      これ、滅多にナマで演奏される機会がない。


      うははは、何か懐かしい気分。

      (だって、この曲、初めて聴いたのが中学だか高校だかの時代だもん)


      舞台にズラッと揃った弦楽器

      真ん中にピアノとチェレスタ、そして打楽器。


      フィリップ・ジョルダンも、こいつも音響オタクか(笑)

      最初の弦の音が柔らかで立体感があって、物悲しい。

      次のカッコいいリズムの有名な曲はキレが良い。

      アダージョは徹底的に音響に拘って

      解像度抜群の素晴らしさ。

      最後のアレグロ・モルトも抑制が効いていて見事な出来。


      だけど、昨日のあの尖った弦を聴いた耳だと

      やっぱり時々、ウィーンの弦って

      エッジの角が見えずに、ふにゃっ、となるところがあって

      それがオーストリアのオーケストラの持ち味なのかもしれない。


      ツッコミどころはなくて

      バルトークの音響が醸し出す世界に

      どっぷり浸かって楽しんだ私に

      どうぞ1クリックをお恵み下さい。






      クリーブランド管弦楽団 + ヴェルザー=メスト

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        Musikverein Großer Saal  2015年10月29日 19時30分〜21時10分


        The Cleveland Orchestra

        Singverein der Gesellschaft der Musikfreunde in Wien

        Wiener Sängerknaben

        アルト Elisabeth Kulman

        指揮 Franz Welser-Möst


        Gustav Mahler (1860-1911)

         Symphonie Nr. 3 d-Moll


        クリーブランドとヴェルザー=メスト

        本日のコンサートはマーラーの交響曲3番。


        昨日、耳栓どうしよう、と真剣に悩んだのだが

        まぁ、元気一杯ではあったけれど

        今日は耳栓で塞ぐほどの倍音もなかった。


        が・・・


        ワタシ、ド・シロートですから何も言えませんが

        う〜ん・・・何なんでしょう、このマーラー???


        6月にウィーン・フィルとヤンソンスで

        とんでもないマーラーの3番を鑑賞したのが

        まだ印象深く残っているせいもあるのだが・・・


        最初の金管は元気に出て

        最初の部分は、実にゆっくりしたテンポで

        細かい部分まで全部しっかり出して演奏しているんだけど


        その後の曲想が変わるところになったら

        まぁ、何ですかそのテンポ・アップは???

        という位、むちゃ速いテンポになって


        あああああ、アンサンブル、モロにズレてますが(汗)


        絶対にマーラーじゃなさそう、という

        現代音楽になってる部分もあるし(いや、シロートですシロート)


        ヴェルザー=メストは、手をブンブン振り回して

        感情豊か?に指揮棒を振り回しているのだけれど

        (で、確かに、かなり正確に刻んでるしキューも出してるが)


        このオーケストラの音、むちゃくちゃ硬質だし

        それが、更にエッジが尖った音で演奏するものだから


        マーラーって、どこかおかしい人ですか、みたいな

        まぁ、狂気というか

        春だの自然だの通り越して

        でも、だからモンスターや妖精が飛び交うかと言えば

        怪獣や妖怪には、ちょっと深さが足りないという


        ただのヘンな人マーラー・・・と化してる。

        う〜ん、おかしいなぁ・・・


        メヌエットは、まぁ、短いし、こんなもんでしょう。

        で、夏枯れカッコウ(すみません)の章になると

        またもや、遅いテンポと速いテンポのごった混ぜで


        うん、わかるんですよ。

        テンポの緩急を急激につければ、ある程度印象的にはなるけれど

        ヴェルザー=メストのテンポの緩急の付け方って

        あまりに見え透いていて、かなりあざとい。


        で夏枯れカッコウの章の一番かっこ良いポスト・ホルンのところだが

        本当にバンダで吹いてた???

        (舞台見えないので全くわからない)


        だって、まず弦が、ホルンの音を包むような響きじゃなくて

        ただただ、単純なピアニッシモで全くニュアンスないし

        もともと硬質な響きなので、アルプスの風とか全然感じないし


        ポスト・ホルンの音が

        むちゃくちゃ平板で(だからバンダかどうかわからん)

        遠くから響いてくる、という立体感がゼロ。

        あれ、本当にホルンの音か?

        トランペットか何かじゃないか、と思ったのは

        マーラーの3番のナマでは初めての体験。


        もちろん、すべて指揮者の意図的なものである可能性はあるが。


        オー・メンシュのアルトは美声・・・と思ったら

        クルマンだ ♡

        この人、本当にチャーミングな声をしている。


        でも、最後でまた管と弦が見事にズレた(あちゃー)


        でクリスマス・ソングの時も

        どうも、鐘とオーケストラのバランスが気に喰わない。


        おかしいなぁ、6月のウィーン・フィルとヤンソンスの時は

        この部分のバランスが最高で

        女声コーラスの美しさにうっとりしていたんだけど・・・


        最終楽章は、ワタクシ的には

        マーラーが作曲したアダージョの中でも

        最高に美しい曲だと思うんだけど


        ああ、もう言うまい。

        だから、弦が硬いんですってば。

        しかも、またもや、遅い部分と速い部分が極端に混ざって

        最初から、こういう単一な計算でずっと演奏されていると

        あまりに見え透いて、揺れの計算が見えるんですよ。


        盛り上がって盛り上がって

        そりゃ、このオーケストラ、音は大きいから

        音だけは大変大きくなるんだけど


        何でこんなに感動がないんだろ?


        計算高く、エッジの鋭い

        ちょっと精神病理的に分析したくなるようなマーラーの3番って

        それ、指揮者の意図だったのかしら。


        いや、音楽なんて最終的には好みの問題だから

        ヴェルザー=メストはこういうマーラーが好きというのであれば

        それはそれで良いのである。


        が、ワタシはちょっと・・・


        マンフレッド・ホーネックとピッツバークがやったような

        意図的にメチャクチャなマーラーというのもあるが

        (これは確信犯で、かなり面白い)

        そういう訳でもなさそうだしなぁ。

        (指揮者は感極まって指揮してるように見える)


        これ、アメリカのオーケストラだから出来る演奏だよね、と

        色々な意味で、感激も感動もなかったけれど

        面白い・・・のかなぁ?と

        クエスチョン・マークを盛大に出している私に

        どうぞ1クリックをお恵み下さい。




        クリーブランド管弦楽団 + ヴェルザー=メスト

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          Musikverein Großer Saal  2015年10月28日 19時30分〜21時20分


          The Cleveland Orchestra

          指揮 Franz Welser-Möst


          Oliver Messiaen (1908-1992)

           “Chronochromie” für großes Orchester

          Richard Strauss (1864-1949)

           Eine Alpensymphonie, op. 64


          今回のクリーブランド・オーケストラの演奏旅行のプログラムは

          人間と自然、というタイトルらしい。


          昨日はとある理由で行けなかったが

          今日のメシアンとリヒャルト・シュトラウス

          明日はマーラーの交響曲3番のチケットは確保 ♡


          フランツ・ヴェルザー=メストという指揮者は

          最初、楽友協会のデビューの時には

          何と言う野心に満ちあふれた陰謀好きそうな奴だ、というイメージで


          その後、国立オペラ座の音楽監督になってから

          (ご存知の通り、その後、突然シーズン前に辞任した)

          落ち着いたけど、でもこの人

          (滅多に出ない)オーストリア人指揮者だと言うので

          少し過大評価されてないか?という印象が付き纏った。


          その印象を払底してくれたのが

          クリーブランド・オーケストラとのコンサートである。


          今回も手持ちのクリーブランドと来ると言うので楽しみにしていた。


          アメリカのオーケストラらしく

          始まる寸前まで、各自が勝手に好きなところ?を

          思いっきり舞台上で練習している。

          まぁ、うるさい事うるさい事。

          ポリフォニーの現代音楽と思って耐える(苦笑)


          ヴェルザー=メスト登場・・・・ところが

          オーケストラに向かわず、そのまま客席に向かって演説。

          メシアンの曲について、結構長い解説。


          いや、これ、ちょっとぶっ飛んだ。

          だって、楽友協会の音響の良さは

          話し声の不要な倍音を強調してしまって

          前に向かって話されると

          後ろの席の人って、音の倍音ばかり聞こえて

          内容がさっぱりわからん、というのばかりだったのだ。


          が、ヴェルザー=メストは一語・一語、はっきり区切って

          何と、後ろの方にもある程度わかるような

          残響を意識した話し方をしている・・・というのが

          ちょっとスゴイ。こんな人、初めて見た(聞いた)。


          さて、メシアンは時と色、というものを曲の中に入れたらしく

          プログラム読んでると

          鳥の名前が沢山出て来て、全然わかりません(笑)

          ここの部分では何とかという鳥と何とかという鳥の鳴き声が

          と言われても、都会人には区別つかないし(すみません不勉強で)


          この曲、確かに、自然の音と鳥の音と

          時々、水の音とか、何故か海のたゆたいとか

          色のインクが飛び散るような部分もあって

          かなり妄想喚起力は強い。


          で、ヴェルザー=メストの指揮棒見てると

          相変わらず、ものすごい正確無比な指揮をする人。


          リズムの刻み方からキューから

          教科書そのまま舞台に上げました、みたいな

          見事に冷徹な指揮振りである。


          近代音楽だから、それで良い、というよりそれが正しい。

          (あの音楽を情熱的に振ったら、オーケストラはボロボロになりそう)


          面白い曲ではあるのだけれど

          このオーケストラ、何か異様に音がでっかくない?


          メシアンの意図かもしれないが

          音とリズムが色彩感や自然の音や、妄想を掻き立ててはくれるけれど

          強弱のニュアンスが少なくて・・・


          途中に挟まるシロフォンのソロが

          マリンバの音と鈴の音がバックについて

          美しいというか、見事というか

          時の流れの狭間にすっぽり入ったような気持ちの良さ。


          弦だけの部分が、とても美しくて

          色彩豊かなヴェールが何重にも絡み合って

          身体にまとわりつく楽しさだったのだが


          これも、強弱なくて(リズムと音だけ)

          長く続くと、ちょっと平坦な印象になる。


          うううう、メシアンの全曲集の CD 私、持ってるんだよね。

          事前に予習しておけば良かった(汗)


          後半はリヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲。

          じっくり歌わせる最初の部分はともかくとして


          その後のテンポ・アップが・・・すごい。

          いいのかこのテンポで?!

          ・・・オーケストラのメンバー、よく喰らい付いてるなぁ。


          その分、活き活きとした躍動感はあるのだけれど

          山歩きというよりは、トレッキングしながら

          ほら登れ、早く行け、と追い立てられているみたいな気分。


          その上、前半でも、大きかったオーケストラの音が

          どんどん音量を上げてくる。

          ひえ〜、ちょっとこれ、鼓膜が痛いんですが。


          木管・金管が音量上げてアンサンブルするところで

          鼓膜がくっつきそうな(倍音がスゴイ)危険性をひしひしと感じる。


          弦はヨーロッパのオーケストラに比べると

          かなり硬質な響きを持っている。特にバイオリン。

          よって、エッジの鋭い響きになるので

          普段、聴き慣れているアルプス交響曲より硬めの響き。

          (しかもテンポ速いし)


          迫力満点の嵐の後はテンポを緩めて

          ゆっくり(とは言え、普通のテンポで)歌わせたけれど

          演奏時間、約40分弱って、やっぱり速いよ、これ。


          オーケストラは名人揃いで

          技術的な隙は一切ない。

          爆発力もスゴイ(というか、もともと音大きいし)


          大音響でも鼓膜は痛くなるが、音そのものは濁らず

          解像度も高いし、音楽が描くアルプスの感じも充分に出ていて


          これ、ギャラリーとかの後ろで聴いていたら

          最高の音響だったんだろうなぁ・・・

          でも、オーケストラのメンバー、これで難聴にならないのかしら(余計なお世話)


          最後の日暮れが消えたのが、21時10分くらい。

          上から見たら、プレイヤーのところに別の楽譜が乗っていたので

          ほうほう、これは、何かアンコールをやるな・・・


          ヴェルザー=メスト、またもやアンコール前に

          客席に向かって


          アルプス交響曲で陽が落ちたので

          今度は月光を


          あっ! もしかしたら、アレ?


          大当たり!!!!


          リヒャルト・シュトラウスの最後のオペラ「カプリッチオ」の間奏曲。

          いわゆるムーンライト・セレナーデ(笑)


          ホルンが美しかったけれど

          ちょっと引っ込み思案っぽくって

          もう少し、表に出て来て主張しても良いなぁ、と思ったのと


          やっぱり弦が硬い(特にバイオリン)

          最初はちょっとアンサンブルが完璧に合わずにドキドキしたし

          こと、カプリッチオに関しては

          中学生の頃からのお付き合いなので(笑)


          できれば、もう少し、芳醇な響きが欲しかったかな(ワガママ)


          でも、ヴェルザー=メストとクリーブランドのコンビネーションは良い。

          長きにわたっての協力関係の上に築き上がられた音楽は

          強い個性を持って、聴衆に力強く語りかけてくる。


          さて、明日のマーラーの交響曲3番。

          またもや、今日みたいな大音響で演奏されるなら

          耳栓が必要かも、と

          本気で心配している私に

          どうぞ1クリックをお恵み下さい。




          週末のゴタゴタでグレた私は

          コンサートの後に残業もせず、直帰しちゃいました。

          エージェントの皆さま、ごめんなさい(読んでないか(笑))


          ウィーン・フィル + ブロムシュテット 2回目

          0

            Musikverein Großer Saal 2015年10月25日 11時〜12時45分


            Wiener Philharmoniker

            指揮 Herbert Blomstedt


            Ludwig van Beethoven (1770-1827)

             Symphonie Nr. 8, F-Dur, op. 93

             Symphonie Nr. 7, A-Dur, op. 92


            日曜日の本公演。

            周囲の人はほとんど変わりなし(笑)


            今日はライブのラジオ放送もあるはず。

            (オーストリア国営放送のラジオで1週間は聴けます ♡)


            昨日と同じ、えらくエネルギーに満ちた演奏。

            8番の活き活きとした躍動的な演奏は

            昨日、ビックリしてひっくり反って仰け反って

            その分、7番がクラシックで大人しく聴こえて来たのだが


            あの8番のショックから立ち直って聴いた

            本日の7番は


            おおお、躍動感、バランス、エネルギー!!!!


            出だしがゆっくりゆっくりで

            更に、その後、普通だったら、すごい勢いでテンポを上げるところを

            無理のない、とことん音楽的なテンポ・アップで

            そのまま、長いボーゲンで

            滑らかに美しく

            豊かにホールに響き渡る7番 ♡


            いや、昨日は8番が新鮮過ぎたのもしれないが

            ウィーン・フィルも、何か今日は

            昨日の7番より開き直ったというか(笑)

            え〜い、やっちまえ、良いんだこれで、という印象。


            おおお、ウィーン・フィルが弾けた!!!


            でも、音楽的には完璧なのである(さすが)

            熱狂的に見境なく乱れるのではなくて

            テンポもバランスも

            これ以上ないほどの均衡を保っているのに


            出てくるエネルギーの塊が

            楽友協会のホールで爆発する凄まじさが

            もう圧巻・・・・


            すごいなブロムシュテットって。

            主観的な音楽の楽しみとか情熱とかを

            緻密に計算された理性の中で

            しかも、計算高さは全く表面に出さず

            100%の音楽の喜びを聴衆に伝えてくれる。


            音楽がダイナミックでものすごく若々しいのに

            若い指揮者なら感情に溺れてデフォルメしそうなところが一切なく

            見事に若さと情熱をホールに満たしたところなんて

            やっぱり海千山千というか、熟練の指揮者はスゴイ。


            ううう、やっぱりベートーベンって

            エンターテインメントだわよ。

            たまたま現代の分類でクラシックにされてしまっているので

            聴衆も難しい顔してマジメに聴いてはいるけれど

            あれが、ロックンロールやパンクでなくて、いったい何なんだ。

            (だからクラシックだってば(自爆))


            世の中、色々と贅沢になって

            楽しみも多様化しているけれど

            その中にあって

            最上で、最高質の

            エンターテインメントの一つと言って良いと思う。


            音楽って、もともと楽しみのためのモノじゃなかったっけ?

            時代背景を学び、スコアを学び

            何かワケのわからない音楽理論だかで武装して

            音感の訓練も必要で

            小難しい事をゴチャゴチャ言っているなんて

            本末転倒じゃないか

            (って、自分の事かいっ! いやワタシ、勉強はしてませんが(汗))


            難しい事はプロに任せるとして

            聴衆として

            ものすごく幸せな気分に満たされる時間だった ♡


            本当は午後はトーマス・ベルンハルトの演劇のチケットを持っていたのだが

            ちょっとオフィスのゴタゴタで

            昨日のピナ・バウシュと同じく

            残念ながら行けなくなってしまった(涙)


            でも、ウィーン・フィルのコンサートの幸せ感は

            仕事での大問題にもかかわらず

            まだ、色濃く、心の中に残っている 


            今日から冬時間。

            日本との時差は8時間になって

            暗い暗い暗い冬の始まりだけど


            その分、コンサート関係は充実してくる。

            ははは、コンサートとかオペラが

            冬のウィーンの鬱病対策で

            ついでに仕事の問題で精神的に追い詰められた時に

            どんなに素晴らしい力を発揮してくれる事か・・・


            明日10月26日(月)は

            オーストリアの祝日でオフィスはお休み。

            昨日から今日の問題も

            後片付けは27日の火曜日にオフィスが開いてからなので


            ベートーベンの8番と7番の幸せ気分を

            まだ味わっている私に

            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            ウィーン・フィル + ブロムシュテット 1回目

            0

              Musikverein Großer Saal 2015年10月24日 15時30分〜17時10分


              Wiener Philharmoniker

              指揮 Herbert Blomstedt


              Ludwig van Beethoven (1770-1827)

               Symphonie Nr. 8, F-Dur, op. 93

               Symphonie Nr. 7, A-Dur, op. 92


              ウィーン・フィルの定期公演第1回目 ♡

              御歳88歳のヘルベルト・ブロムシュテット登場。


              この指揮者、2011年にアーノンクールの代役で

              ウィーン・フィルを初めて指揮したのだが

              何か一部の噂によれば、双方一目惚れ(一振り惚れ?)だったらしい。


              ご高齢とは思えない元気なご登場である。素晴らしい。


              で、ベートーベンの交響曲8番。


              えっ!!!

              この極端に早いテンポで

              しかも最初からこの大音響????


              ダンス的ロックンロールと偉大な9番の間に挟まれた

              ウィーン・クラシックに戻った華麗な曲ってウソじゃん!!!


              タメがなくて、すごい推進力で

              グイグイと大音響で押して行くベートーベンの8番。


              強弱も激しく、すごいテンポで

              ものすごくダイナミックで荒々しい。


              う〜ん、この曲、初演されたのは

              ベートーベンが44歳の時だからな。

              44歳と言えば、当時だともう年寄りかもしれないが

              (だって、ベートーベンって56歳で死んでるワケで

               私より若くして亡くなってる)

              でも、作曲家としては、まだまだエネルギーに満ちていたのだろう。

              (何せ、その後、9番を作曲してしまう位だし)


              うはははは、聴いていてすごくドラマチックで

              バリバリしていて、尖っていて面白い。


              どういう編成かは、いつもの席なので全く見えないけれど

              モダン・オーケストラ奏法で

              フォルティッシモも思い切り鳴らすので


              時々、音の解像度がかなり低くなって

              音響が団子になって聴こえてくるのだが

              これ、確信犯ですね(笑)


              いや、驚いた。あんな8番、アリですか。


              さて、後半は、熱狂的なロックン・ロールの7番

              ・・・・なのだが


              あれ? こんなにゆったりとしたテンポで

              しかも最初から、丁寧に丁寧に丁寧に歌わせて


              8番より、ずっと古典的に聴こえるんだけど???


              すごく端正でクラシックっぽい7番。

              最初の部分のテンポが遅いのはともかくとして

              その後、爆発するかな、と思ったら

              ほとんど爆発しない。


              ほとんどの指揮者のように

              熱に浮かれたようなアポテオーゼとは全くアプローチが違って

              あくまでも、音楽(しかもウィーン・クラシック!)として

              徹底的に音楽的に鳴らせる事を意図したようだ。


              これだけ音楽的に演奏されると

              7番って、まぁ、何て美しい曲なんだろう・・・♡


              と、うっとりして聴いていたものの

              繰り返し全部演奏されるものだから

              不思議に平板に響いてくるところがあって


              ううう、7番より8番の方が良かった・・・(すみません)


              第1楽章と第2楽章をアタッカで繋げ

              ずっとインテンポで、感情に駆られて恣意的なテンポ揺らしがなくて

              とても冷静で端正でクラシックなベートーベンの7番って


              7番と8番とで解釈間違ってないか?(笑)

              いや、これ、絶対にブロムシュテットの確信犯だよ。

              こんな真っ逆さまの演奏を7番と8番で組んで

              しかも最初に8番持ってきて、後半7番なんて


              そんな洒落た真似、ブロムシュテットしかできないだろ。


              聴き慣れたベートーベンの交響曲が

              ここまで(2曲とも)新鮮に聴こえて来たのは初めてかもしれない。


              定期公演は定期会員ばかりだが

              1シーズン、別の席に居たので

              戻ってみたら、顔ぶれが少し変わっているけれど


              いつもモグリで来ている腹立つオバサンも居るし

              (何故かみんなと知り合いになって、空いてる席に座る厚かましい女性)

              マナーが非常に悪くて辟易する2人組は

              席は変わったけれど、相変わらず居て

              7番の第4楽章の途中で立って私の視界を塞いだ上に

              目の前でエア指揮始めちゃって

              もう泣きたくなった。


              が、同じコンサート、明日の11時からもある。

              日曜日定期は先シーズンも同じ席だったので

              多少の顔ぶれの変化はあるかもしれないが

              周囲に、変なマナーの人が居ないよう祈る私に


              どうぞ1クリックをお恵み下さい。



              実は昨日書いた通り

              そのまま車に飛び乗って

              サンクト・ペルテンで、もう一度ピナ・バウシュを観る予定だったのだが


              仕事で大きなトラブルがあって

              いや、オーストリア人の同僚に何を言っても無駄なのかもしれないけれど

              20分で片付けて車に飛び乗ってサンクト・ペルテンに行く予定が

              結局、20時過ぎまで引き摺る事になってしまって

              サンクト・ペルテンのピナ・バウシュ、観損ねた(涙)


              いや、良いんですけどね、それが仕事だから・・・





              タンツ・テアター・ヴッパータール ピナ・バウシュ

              0

                Festspielhaus St. Pölten Großer Saal 2015年10月23日 19時30分〜22時30分


                Tanztheater Wuppertal Pina Bausch

                “… como el musguito en la piedra, ay si,si,si… “

                Ein Stück von Pina Bausch


                演出・振付 Pina Bausch

                舞台 Peter Pabst

                衣装 Marion Cito

                音楽協力 Matthias Burkert, Andreas Eisenschneider

                芸術監督 Lutz Föster


                ダンサー

                Pablo Aran Gimeno, Rainer Behr, Damiano Ottavio Bigi, Aleš Čuček

                Clémentine Duluy, Ditta Miranda Jasjfi, Nayoung Kim, Eddie Martinez

                Dominique Mercy, Thusnelda Mercy, Morena Nascimento, Azusa Seyama

                Fernando Suels Mendoza, Tsai-Wei Tien, Anna Wehsarg, Ophelia Young,

                Tsai-Chin Yu


                ピナ・バウシュと言えば、既に伝説的な存在。

                残念ながら2009年に急逝。


                サンクト・ペルテン祝祭劇場、よくやるわ。

                この間のサシャ・ヴァルツに続いて

                タンツ・テアター・ヴッパータールの公演を持って来た。


                途中の休憩入れて、約2時間30分の公演。

                ダンス公演としては、かなり長い部類に入るし

                普通だったら、長い、長過ぎる、腹減ったと喚く私が

                夢中で観ちゃって、全然長いと思わなかったという、凄い公演。


                もちろんコンテンポラリー・ダンスなのだが

                タンツ・テアターの名称通りに

                演劇とダンスの融合みたいな感じ。


                具体的なストーリーはないのだけれど

                男女の様々な様相が描かれていて


                これ、ものすごく面白いんですけど(笑)


                題名がスペイン語でちんぷんかんぷんなのだが(すみません)

                プログラム記載によれば

                石にコケがどうやって生えるか・・・という事らしい(責任持ちません)


                石にコケがどうやって生えるかは知らないけれど

                でも、ダンスの内容とはあんまり関係ないような気がする。


                シリアスでモダンなソロもたくさんあるのだが

                男女関係が、色々と出て来て


                これがね、そこんじょそこらのコンテンポラリーではなくて

                まるでコミックのようで、むちゃ笑える。


                もちろんシリアスなデュエットとかもあって

                ともかく、何でもアリという

                バラエティみたいな作品。


                男女のダンサーは居るけれど

                面白い事に、女性のダンサーの存在感と魅力が凄い。


                男性は、ソロと男性だけのデュエットもあるけれど

                どちらかと言えば、圧倒的な存在感の女性ダンサーたちの

                引き立て役であり

                影の存在であり

                女性からとことんバカにされて

                手の上で転がされている存在に見える(わっはっは)


                印象的なシーンが多くて

                何を書いて良いのか戸惑ってしまう。

                (サンクト・ペルテンから帰るドライブの1時間で

                 すでに記憶はどんどん失われている(自爆))


                男性が上から水を垂らしている間に

                バッグから化粧道具を出して、おめかしする女性とか


                引き裂かれる男女とか

                (このシーンは最初と最後に出てくる。

                 駆け寄って抱きついて引き離されるというのが何回かあって

                 かなり胸が痛くなるようなシーン)


                男性2人の上半身を脱がせて

                男性の上に座って

                腹筋運動、背筋運動をさせちゃう女性とか

                (これは観客全員が大笑い。ここら辺から面白くなる)


                女性と見れば口説く男性

                手にキッスで引っ叩かれる男性(面白かった)

                来る女性全部誉めに誉めてキッスされる男性


                テーブルで上品に食事するか・・・と思いきや

                人がいなくなったとたんに

                ナベ持って机の下に隠れて

                ナベから動物のようにガツガツ食べる女性とか


                う〜ん・・・

                読者は私が何を書いているのか、まったく理解できないだろう。

                私だって断片的に思い出して

                ニヤニヤできるけれど

                全体的なストーリーと言われたら、全くわからん。

                (何もかも入っていてゴッタ混ぜという感じです)


                女性の積極さにタジタジになっている男性に

                あら、驚かせちゃった?

                あの〜、ちょっと音楽止めて・・・と音楽を止めさせて

                歌いながら、クラシックの妙技で男性に何回かアプローチする女性。

                (思いっきり男性は引いてた(爆笑))


                スカートを後ろで広げて

                私が初めて泳いだ時は、という話を女性がした後


                もう一人が、縄に釣り下げた魚を持って現れ

                これは私のペットの魚で

                これから歩く事を教えます、ほら歩け! とか


                その後、後ろに白いカーテンを引いて

                ビデオ投影で海の景色になったのがとても印象的だったし


                後半では、ビデオ投影で

                まるで舞台全体が持ち上がったような不思議な空間で

                繰り広げられるダンスも、何とも摩訶不思議な感じだった。


                あと、女性のソロで

                女性は髪の毛が長くてサラサラなんだけど

                これが貞子さん状態になったりして

                髪の毛の動かし方一つでも振付になっているのが素敵。


                Theatro a Mil で上演された時のクリップが

                約7分のものがあるので貼っておくけれど

                数少ない男性ダンサーの場面が多くて

                チャーミングで素敵な女性ダンサーのシーンが少ないのは何故だ!?(怒)



                興味のある方はご覧下さい。

                でもこのクリップ、作品全体の魅力の1000分の1も伝わって来ないんだけど(笑)


                シリアスで理解不可能なコンテンポラリー・ダンスではなくて

                コンテンポラリーで不条理で理解不可能である事は間違いないのだが

                ともかく、美しいし面白いし

                芸術的でありながら、とことん楽しめるというのは凄い。


                という訳で

                もちろん、明日もウィーン・フィルの定期公演が終わったら

                サンクト・ペルテンまでドライブする予定の

                (しつこいんですワタシ)

                アホな私に、どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                ウィーン交響楽団 + マンフレッド・ホーネック

                0

                  Musikverein Großer Saal 2015年10月21日 19時30分〜21時30分


                  Wiener Symphoniker

                  Singverein der Gesellschaft der Musikfreunde in Wien

                  指揮 Manfred Honeck

                  テノール(ヨハネス) Christian Elsner

                  バス(主の声) Stephen Milling

                  ソプラノ Sunhae Im

                  アルト Bernada Fink

                  テノール Mauro Peter

                  バス Florian Boesch

                  オルガン Robert Kovács


                  Franz Schmidt (1874-1939)

                   Das Buch mit sieben Siegeln


                  フランツ・シュミットのオラトリオ「7つの封印の書」は

                  フランツ・シュミット作品の中では珍しく

                  1年に1回くらいは、どこかのオーケストラが取り上げる。


                  ウィーン交響楽団とマンフレッド・ホーネック

                  楽友協会合唱団(アマチュアのトップの一つ)で取り上げられた

                  このコンサートは

                  驚くべきことに・・・・ ↓



                  2日とも売り切れ!!!


                  このコンサート、珍しくもチクルスで持っていなくて

                  早めに見つけて発売日に買ったのだが

                  コーラス入って

                  しかもこのソリストのメンバーで(!!!♡)

                  いつものオーケストラの後ろの貧民席では

                  (オーケストラの後ろは声が飛ばない)

                  あまりにもったいない、と

                  贅沢して下から2番目のカテゴリーの席を買った。

                  (どうせ貧乏ですワタシ)


                  舞台から離れて、バルコンで

                  舞台は見えないけれど

                  今日は台本をずっと読んでいるつもりだったので

                  舞台が半分以上見えなくても、全然かまいません(笑)


                  さて、宗教曲は苦手なのだが

                  こと、受難曲とオラトリオに関しては別。

                  ミサ曲は妄想の余地が全くないけれど

                  受難曲とオラトリオは、しっかり筋があって

                  ほとんどオペラか演劇か映画を観ているような気分になるので

                  世の中のキリスト教徒の皆さまには申し訳ないが

                  ストーリーを紡ぐ音楽を、とことん楽しんでしまうのだ。


                  で、最近、うははは、当たりが多い ♡


                  たっぷり2時間、休憩なしで

                  (もちろん楽章なるものもないので、ずっと演奏し続け)

                  ヨハネスの幻想に、しっかり溺れて参りました。


                  最初のヨハネスの語りでは

                  声が前に飛ばなかったので、あれ?と思ったのだが

                  このテノール、どんどん調子を上げて来た。


                  まぁ、最後は、かなりキツそうだったけれど

                  あれだけ歌いっぱなしで

                  最後のフレーズは

                  ううう、これを歌い切ったら最後だ、頑張らねば、というのが

                  ひしひしと伝わって来たけれど


                  あのヨハネスはリリック・テノールじゃ無理(断言)

                  歌えるのは、いわゆるヘルデン・テノールだわよ。

                  (しかも昨日と今日と2回公演だよ、歌手も大変)


                  ヨハネスの最初の語りの後に

                  主の声として登場するバスは

                  オルガンの前に立って


                  これが、朗々とした美声 ♡♡♡


                  最初の長いフレーズを

                  (私は A であり O であり、最初であり最後でありと言うところが長い)

                  もう見事に深い声で歌い上げて

                  おおおお、すみません、神さま、ごめんなさい、

                  今日は仕事をサボって来てしまいました、と平伏しそうになったりして(自分が悪い)


                  朗々とした美声の上

                  主の声って、最初と途中と最後に3回だけのソロなので

                  その間、ずっとオルガンの前で人の目に晒されていなければならず

                  途中に声出しとか出来なかっただろうに

                  さすがにプロというか

                  主の声が出てくるだけで、恐れ多い気分にしてしまう声。


                  ただ、e の音が限りなく a に聴こえてくるので

                  エンデ(終わり)というのがアンダに近く響いて来たけど(笑)


                  さて、調子を上げてくるヨハネスのヘルデン・テノールの語りの後に

                  4声のコーラスが入り

                  ここでテノールとバスが登場。


                  子羊が出て来て、本をヨハネスに渡して

                  その後に素晴らしいオルガンのソロがあるけれど


                  ははは、題名になっている7つの封印の書が

                  ヨハネスの手に渡るまでに、約40分かかってます(笑)

                  (いや、でも、この第一部、神を讃えるコーラスとかキレイなんですよね)


                  封印の一つ目の白い馬の登場のところが、もう素敵で素敵で

                  悶えまくりなのだが

                  その後、恐ろしくもおどろおどろしい戦争シーンに突入(赤い馬のシーン)


                  戦士たちの戦いの雄叫びに

                  女性が子供を守って、ああ、この苦しみに終わりはないの、という叫びが絡まる

                  スペクタクル・シーンである。


                  ここら辺のシュミットの音楽によるリアルな表現が

                  今日みたいに巧く演奏されると、背筋が凍る思い。


                  飢えた母子のところに食料品を持ってくる

                  怪しげなバスはフローリアン・ベッシュで

                  この人、こういう怪しげな役を歌わせると本当に巧い。


                  その後の戦場での死体の転がるところで

                  バスのベッシュとテノールのマウロが繰り広げるダイアローグは

                  シュプレッヒ・シュティメまで混ぜて

                  異様なリアルさ・・・ ううう、恐ろしい情景が目に浮かぶ(妄想)


                  次の封印を解くと、地震と嵐で、これはコーラス担当。

                  激しい天災の様子はよくわかるのだが

                  これ聴くたびに、シュミット、地震って経験した事ないだろ・・(笑)

                  でも嵐はさすがに何回も経験があるらしく素晴らしい音楽。

                  ううう、コーラス、巧い・・・


                  オルガン・ソロの後の、むちゃくちゃ長いヨハネスの独白。

                  ここのマリアが現れるところなんか、本当に好き ♡

                  ドラゴンとミヒャエルの戦いもすごく好き ♡


                  歌ってる方は大変だと思うが

                  この長い独白、途中で音楽の表情がすごく変わるので

                  ドイツ語がわからなくても、何となく情景が浮かぶという

                  音楽の表現力を、とことん使い切ったシーン。


                  最後の審判。

                  天使がトロンボーンを吹く・・・んですが


                  あの〜、確かにヨーロッパの教会では

                  トロンボーンは天使の楽器ではあるのだけれど

                  何でまたトロンボーン????(予々不思議に思ってる)


                  誰か中世の宗教画家が

                  トランペットじゃ絵にならんから

                  トロンボーンの方がカッコいいだろう、とか思って

                  描いてしまったのがデフォになったとか言うんじゃないだろうな。


                  トロンボーンのソロも出てくるけれど

                  もちろん、途中でトランペットも入って来る。

                  (あの低い音のトロンボーンだけじゃ音楽にならん!!!)


                  コーラスがコラールを途中で挟みながら

                  山が火を吹き、燃える星と一緒に海の中に突入して


                  最後の審判。

                  コーラスによって歌われる神の怒り。

                  ヨハネスが歌う、白い王座の上への神の出現。

                  ・・・そして最後に、バスの歌う主の声(最初のフレーズの繰り返し)


                  これが終わると


                  待ってました!!!!

                  弦楽器が一斉に上昇音階を奏でて

                  繰り返されるコーラスのハレルヤ。


                  この瞬間の恍惚感って、何に例えたら良いのかわからないが

                  暗い暗い幻想のおどろおどろしい世界から

                  突然、世界が清らかになって

                  太陽が燦々と照って来て

                  ああ、この瞬間を味わえるのなら

                  私、キリスト教徒になっても良いかも(ウソです)

                  というくらい、感動的なコーラス。


                  (まぁ、これが聴こえてくると、あぁ、そろそろ演奏も終わり

                   ・・・という、ちょっとホッとした気分もあるんだけど(爆))


                  ピアニッシモの男声コーラスが入った後

                  最初のたからかなファンファーレが鳴り響き

                  ヨハネスが「これは私が見聞きした事、真実の声」と

                  ひとくさり歌って

                  (テノール、ここの最後がかなり無理してた、お疲れさま)


                  拍手のフライング一切なしの

                  長い余韻の後に盛大な拍手。


                  長々と書いちゃったけれど、楽友協会というホールの

                  舞台から遠い、正面の音響の良いところで

                  この曲を聴くというのは

                  涙が出るほどの感激を呼び起こす。


                  もともと教会と同じくらいの残響を持つホールだし

                  そこに、高々と響き渡る素晴らしい音色に

                  どっぷりと満たされて


                  ヨハネスの妄想(あ、すみません、本人によれば真実だそうですが)を

                  たっぷりの臨場感と一緒に

                  ホール一杯に鳴り響く劇的な音楽の世界の中で体験しちゃうって


                  スペクタクル映画とか

                  おどろおどろしいゲームとか

                  その手のエンターテイメントよりも

                  ずっと、ずっと、ずっと楽しい(断言)


                  映画もあまり精巧な出来にはなっていなかった時代だし

                  リアルなコンピュータ・ゲームとかなかった時代に

                  このオラトリオは

                  言ってみれば、一流のエンターテイメント作品。

                  (すみません、宗教曲です、あくまでも・・・)


                  でも、この曲は CD で聴いても、全然面白くない。

                  (持ってるんです一応。聴いてみたけど音響があまりに違うので)

                  更に、デッドなコンサート向きの音響を持っている

                  コンツェルトハウスでも面白くない(ような気がする)


                  それこそ、本当にカトリックの教会か

                  (プロテスタントでも良いが、やっぱりホールは豪華な方が)

                  楽友協会という、他に例を見ない残響のあるホールで

                  オルガン含めて目一杯の音響で鳴らしてこその曲である。


                  音響が良過ぎるだけに

                  咳をする人が多過ぎて、時々ゲッソリしたけれど(笑)

                  (声だして咳するの止めて欲しい!!!

                   せめて手で覆いましょうよ、口を!! ←やらないんですよ、こちらは)


                  でも中毒になりそうな位、楽しい2時間を

                  妄想満開で悶えていた私に

                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  だからね、ウィーン交響楽団って

                  本当に職人集団というか、巧いオーケストラだわ。

                  指揮者が良いと、ますます張り切って

                  とんでもない名演をしてしまうプロの音楽家集団です(きっぱり)



                  国立バレエ ドン・キショット 12回目

                  0

                    Wiener Staatsoper 2015年10月20日 19時〜21時45分


                    Don Quixote

                    Ballett in einem Prolog und drei Akten nach Marius Petipa

                    振付と演出 Rudolf Nurejew

                    音楽 Ludwig Minkus

                    舞台と衣装 Nicholas Georgiadis

                    照明 Marc Anrochte

                    指揮 Paul Connelly


                    ドン・キホーテ Kamil Pavelka

                    サンチョ・パンサ Christoph Wenzel

                    ロレンツォ Gabor Oberegger

                    キトリ Liudmila Konovalova

                    バジル Robert Gabdullin

                    ガマッシュ Andrey Kaydanovskiy

                    キトリの友人 Nikisha Fogo * Natascha Mair *

                    ダンサー Gala Jovanovic

                    エスカーダ Eno Peci

                    年老いたジプシー Igor Milos

                    年老いたジプシー女 Beata Wiedner

                    ジプシー Davide Dato

                    ジプシー Rebecca Horner, Oxana Kiyanenko

                    ドリアーデの女王 Olga Esina

                    ドルシネア Liudmila Konovalova

                    アモール Kiyoka Hashimoto

                    ドリアーデ Vanessza Csonka, Oxana Kiyanenko, Prisca Zeisel

                    花嫁の付き添い Nina Tonoli

                    管理人 Marat Davletshin

                    管理人の妻 Beata Wiedner


                    12回目ですが、それが何か?(最初から開き直り(笑))


                    ご存知の通り、ことバレエとなると

                    鑑賞歴が短いから(それでも2桁の年数はあると思うが)

                    バレエ鑑賞のたびに

                    芸能人追っかけのグルーピーの末期症状の老婦人という

                    自分で書いていても、おぞましい存在と化すのだが

                    まぁ、アホだと思ってお許し下さい。


                    リュドミラのキトリって

                    少なくともこのブログに移行した2008年からは

                    私は観た事がない(ような気がする・・・)


                    バジル役はロベルト ♡

                    大役では本当にお久し振り ♡♡


                    さて、リュドミラのキトリは

                    華やかだし、技術的にはもう超一流以上のところにあって

                    文句つけようのない安定性と

                    超絶なテクニックをさりげなく見せてくれるという意味では


                    最初から最後まで

                    もう、ただただ、凄い(言葉がない状態)


                    でもね〜、リュドミラって、何かキトリというタイプではない。

                    街のオキャンで(死語!)元気な跳ね返り娘・・・・には見えない。


                    リュドミラのイメージって、何かガムザッティなんですよ。

                    高貴な(少し意地悪でワガママな)お嬢サマという感じ(笑)


                    対するローベルトが

                    これまた、品が良くて

                    街の不良のモテ男には見えません(爆笑)


                    ローベルトってこのバレエ団に入った時には

                    まだまだ可愛い顔の坊ちゃんって感じだったけど


                    最近、すごく上品な青年になって来ちゃって

                    スタイル良いし、足は長いし、身体の均整は完璧だし

                    顔は韓流スターみたいで(ちょっとアジア系っぽい)

                    表情がまた可憐で


                    ああ、おばさんはドキドキ ♡♡♡


                    最初のジャンプの開脚はちと足りなかったし

                    第1幕の見せ場のジャンプの後は、ちょっと息切れしていたけれど

                    何とノーブルなダンス(それバジルじゃないかも)


                    一つ一つのパを丁寧に、しっかりと見せるので

                    上品になってしまうのだ。


                    調子はどんどん上げて来て

                    最後の結婚式の時のカブリオールなんか

                    高いジャンプで実に美しくキマって

                    すごく良かったんだけど

                    ある意味、野性がない(あまりあっても困るが)


                    うううう、ローベルトがこの調子なら

                    私はローベルトのデグリューとかジークフリートを観たいぞ!!!


                    上品だったので、イマイチ、アピールが足りなかったローベルトに対して

                    リュドミラのアピールが、むちゃ凄い(笑)


                    何せイメージがガムザッティだから

                    上品というよりは、ともかく個性が強い。

                    強い個性に絶対の技術が絡まったら


                    そりゃもう無敵ですよ、これは。


                    バランスの長さが信じられない程だし

                    ピルエットに至っては

                    最初からダブル・トリプルの連続で

                    身体の軸はビクともしないし

                    なんですかあれは、人間技とは思えない素晴らしさ。

                    (しかもリュドミラ、華やかな美人だしなぁ・・・)


                    ガラのジプシー役が意外にハマっていて

                    闘牛士役のエノともバランスが良くて

                    これは良い ♡


                    ガラってもともと大柄なダンサーだし

                    (フォルクス・オーパーのル・コンクールで目立ってたもん)

                    華やかな雰囲気があるので

                    大きな白鳥とかより、こういう個性のある役を踊った方が目立つ。


                    ドリアーデ役にオルガさま・・・

                    もう、これは鉄板であろう。


                    登場するだけで、そのシーンが突然幻想的になって空気が変わる。

                    ったく、このオルガさまというのは

                    実に特異なダンサーではある。

                    あんな、人間味を感じさせない妖精みたいなダンサー

                    そうそう居るもんじゃない。


                    橋本清香さんのキューピッドも魅力的。

                    でも、このキューピッド見ると

                    いつか清香さんのキトリが観たい、と思わせる。

                    (絶対に清香さんに役は合うと思うんだけど)


                    オーケストラは・・・うははは、もう言いません。

                    アンサンブルが合わなかったり

                    リズムが外れたり

                    不思議な音がしたりしたけれど


                    第3幕のキトリのソロのところで

                    テンポがイマイチ合わず

                    リュドミラは、即、音楽を無視して踊る事にしたようで

                    ちょっと観ていてハラハラ・ドキドキのシーンもあった。


                    でも、もちろん素敵でチャーミングな演奏だったし

                    コンミスのソロは妙なる音で、とても魅力的 ♡


                    今年のドン・キショットも11月8日が最終公演。

                    (次は来年5月に予定)

                    リュドミラとローベルトのカップリングで

                    ジプシーはまたケテヴァンが踊るし

                    キャスティング見たら

                    プリスカがドリアーデ、ニキシャがキューピッド。


                    うふふふ、今年最後のドン・キショットも

                    もうしっかりチケット買ってある

                    凝り性(しつこい、とも言う)私に

                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                    テンペスト トーマス・アデス(国立オペラ座)

                    0

                      Wiener Staatsoper 2015年10月18日 19時30分〜22時


                      Thomas Adès (“1971)

                      THE TEMPEST

                      Oper in drei Akten - Text von Meredith Oakes


                      指揮 Graeme Jenkins

                      演出 Robert Lepage

                      舞台 Jasmine Catudal

                      衣装 Kym Barrett

                      照明 Michel Beaulieu

                      ビデオ David Laclere

                      振付 Crystal Pite


                      プロスペロー Christopher Maltman

                      エアリエル Audrey Luna

                      キャリバン Thomas Ebenstein

                      ミランダ Stephanie Houtzeel

                      トリンキュロー David Daniels

                      ファーディナント Pavel Kolgatin

                      ナポリ王 Herbert Lippert

                      アントーニオ Jason Bridges

                      ステファノー Dan Paul Dumitrescu

                      セバスチャン David Pershall

                      ゴンザーロー Sorin Coliban


                      Orchester der Wiener Staatsoper

                      Chor der Wiener Staatsoper


                      トーマス・アデスのオペラ、テンペストは

                      先シーズンにプレミエで

                      この時は作曲家のトーマス・アデスが直々に指揮棒を取った。


                      シーズン変わって、グレアム・ジェンキンスが指揮

                      初演メンバーの時はプロスペローをアドリアン・エロードが歌ったが

                      今シーズンはクリストファー・モルトマン。

                      指揮者とプロスペロー以外のキャストの変更はなし。


                      ・・・と言うより

                      これ、特にエアリエルのキャスト変更って無理だろ?!


                      日曜日だったので19時からの簡単な解説に間に合って

                      Dr. Andreas Láng の情熱溢れた話を25分ほど聞いたのだが


                      作曲家自身、このエアリエルは歌える歌手がいないだろ、と思ったらしい。

                      が、そこは作曲家なので

                      歌える歌手がいるかどうかは、作曲家の問題ではない、と割り切ったそうで(笑)


                      実際、蓋を開けてみたら

                      あれを歌える歌手がいるんだもん。スゴイわ、う〜ん・・・


                      さて、お話はご存知シェークスピアのテンペスト。

                      ご存知、とか言っちゃったが

                      文学的素養ゼロの私は

                      わざわざ、ちくま文庫で、テンペスト買って読んだ(恥)


                      弟にミラノ大公の地位を奪われ

                      娘と孤島に流されたプロスペローは


                      何せミラノ出身なので

                      まずは孤島にオペラ劇場を建てる(爆笑)


                      ただ、長期間にわたってその孤島に住んでいるので

                      ミラノ的なマントを肩から羽織っているものの

                      身体には熱帯的な刺青をたくさんして

                      それなりに現地の文化を取り入れている模様。

                      (インテリで世界に対して広がった意識の持ち主

                       ・・・だけど、何となくカワイイんですよ、これが)


                      モルトマンはさすがにイギリス人なので

                      英語の発音が非常にクリアで

                      美声だし響くし、発音クリアだし

                      ちょっと濃いめの顔が、何故か刺青風とピッタリ合ってるし

                      半分土着になっても品はあるし

                      プロスペローの役どころにピッタリで萌える ♡


                      舞台は、プロスペローの建てたオペラ劇場が中心になって進んで行く。

                      最初の忙しない恐ろしい嵐を象徴する序曲で

                      オペラ座のシャンデリアに絡み付く

                      銀色のダンサーは国立オペラ座のダンサーかな

                      しかしまぁ、あんなに危険な役をよくやるわ


                      ・・・と思っていたら

                      これが、何とエアリエル役のオードリー・ルナだった!!!!


                      エアリエル登場のコロラチューラ・ソプラノのアリアは

                      あの、その、あのあのあの

                      いや、あれ、聴いてもこの世のものとは思えないですよマジに。


                      あのアリア聴いちゃったら

                      ツェルビネッタなんて初心者向けかい、とか思っちゃうわ(失礼!)


                      しかもこのエアリエル

                      舞台のあちこちに現れて

                      ずっと、正に妖精しているのである。


                      上の部分に乗っかって足を出したり動いたり

                      手や足を細かく動かしてみたり

                      妖精と言ったら可憐な存在の筈なのだが

                      ちょっと邪悪な部分も入った

                      この世のものではない魔界の存在を

                      どんなシーンでも、どこかの影に居て

                      リアルな場面に隙間を作って、魔界に連れて行ってくれる。


                      あの身体の柔らかさと動きは

                      正しくダンサーだね(断言)

                      クラシック・バレエの素養もありそうだが

                      どちらかと言えばモダン・ダンスかコンテンポラリー系。


                      あれだけのコロラチューラを見事にこなし

                      更にプロのダンサー顔負けの身体の柔軟性と身のこなしが出来るって

                      いったい、天はアナタにいくつの才能を上げたんでしょう・・・とか

                      言いたくなるが、あれは当然、本人の努力も並々ならぬモノがあるだろう。


                      普通のコロラチューラだったら絶対無理という

                      このオードリー・ルナも凄いが


                      それ以外の歌手も揃っている ♡


                      ステファニー・ホーツェールのミランダは

                      最初は乙女ちっくに

                      ファーディナントとの邂逅の後は恋する乙女になって

                      声量あるし、チャーミング。

                      この人、もともとメゾなので、低音もちゃんと聴こえてくるし。


                      キャリバン役のトーマス・エーベンシュタインは

                      最初にオペラ座の係の人が出て来て

                      「風邪ひいてて声が出ないかも」という警告があったけれど

                      最初は声を出し辛そうだったが

                      だんだん調子を上げて来て

                      演技は巧いし、表情豊かだし

                      最後の不思議な終わり方のソロも決まった。

                      (これについては後述)


                      ステファノーはカウンター・テノール

                      相方のトリンキュローのバリトンとの掛け合いが見事。


                      ナポリ王(テノール)のリッペルトも良かったし

                      チョイ役のアントニオとセバスチャンもかなり声が出て良い感じ。


                      ファーディナントのテノールは

                      如何にもテノールらしいハイ・テノールのリリック系で

                      ホーツェールより身体も顔も小さいけれど

                      役柄から言ったら、ちょっと頼りない王子で構わないので

                      あれはあれで良いのだ、きっと。


                      味があって良かったのがゴンザーロ役のコリバン。

                      テノールの多い歌手の中で唯一のバス。

                      すごく良い人(プロスペローを助けたりしていた)の

                      忠実な侍従役がピッタリ合って

                      不思議な登場人物が多い中で

                      一人、とてもリアルな役柄を見事に演じていた。


                      舞台は第1幕がオペラ座の一部で

                      第2幕が森の中。

                      ここでのファーディナントとミランダのラブシーンが素敵で

                      最後に海に向かって降りて行く場面なんて

                      海のビデオが、まぁ、実によく出来ていて感激した。


                      後半の幕が開くと

                      オペラ座の裏舞台みたいになっていてビックリするが

                      これが、どんどん変わって来て

                      ライティングがまた絶妙で(これは美しい)


                      最終シーンは、何とオペラ座の内部になってしまう。


                      結局、この物語、オペラ座で上演されるオペラという

                      メタ・オペラみたいな性格になっているのか。


                      で、終わり方がね・・・

                      あれ、ハッピー・エンド・・・ではないような気がする。

                      最後のアリアは勝ち誇ったプロスペローではないし

                      第一、プロスペローは、全然勝ち誇っていない。


                      原作と違うのは

                      ファーディナントとミランダが恋に落ちるのが

                      エアリアルに命じてそういう風にプロスペローが仕掛けた訳ではなく

                      プロスペローは、娘がファーディナントと恋に落ちたのを見て

                      ああ、自分は娘も失ったのか、嘆くところ。


                      最後、オペラ座の舞台のところに

                      船着き場の艀みたいなものが出て

                      登場人物がすべて去った後

                      独りになったキャリバンのアリアに

                      舞台じゃなくて、どこか外から聴こえてくる

                      エアリアルの歌声が重なって行く。


                      不思議な終わり方である。

                      復讐心に燃えたプロスペローも幸せそうじゃないし。

                      まぁ、息子が生きているのを知ったナポリ王と

                      恋におちてしまったミランダとファーディナントは幸せなのだろうが。


                      ある意味、何重にも絡まった複数の層が出てくるような演出。


                      音楽そのものは、一応、現代音楽ではあるのだが

                      話される英語にバッチリ音楽が寄り添っていて

                      しかも、最初の嵐のような激しい曲想から

                      話が進んで行くにつれ、微妙に曲調が変わってくるという


                      いや、よく出来てるわ、音楽も舞台も(驚嘆)

                      また、それを音楽+演技として完璧に舞台に乗せてしまった歌手も凄い。


                      今シーズンは、今日の上演が千秋楽。

                      う〜、これ、先シーズンから話題になっていて

                      私の友人も、もう1回くらい観たい、と言っていたのに

                      これで終わりか・・・


                      もっとも、エアリアル役を歌える

                      (というより、歌って、あの踊りと身体の柔らかさを備えた)歌手って

                      今、ウィーン国立歌劇場のアンサンブルの中には、いないだろう。


                      そのオードリー・ルナは

                      2016年ザルツブルク音楽祭で

                      やはりトーマス・アデスのオペラ Leticia Maynar の初演に出演するらしい。


                      ザルツブルク音楽祭はチケット高いし

                      旅費もかかるから遠慮しているけれど

                      トーマス・アデスの初演があってルナが歌うなら

                      (現代オペラならチケットも余ってる可能性あるし)

                      行っても良いな、と今から計画してしまう私に

                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。





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