Schloss Grafenegg Wolkenturm 2015年8月30日 19時15分〜21時15分
Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
トランペット Tine Thing Helseth
トランペット Mireia Farrés
指揮 Matthias Pintscher
Paul Dukas (1865-1935)
“L’apprenti sorcier” Der Zauberlehrling, Symphonische Dichtung (1897)
Matthias Pintscher (“1971)
“Clute d’Étoiles. Hommage à Anselm Kiefer”
für zwei Trompeten und Orchester (2012)
Ludwig van Beethoven (1770-1827)
Symphonie Nr. 7 A-Dur op. 92 (1811-12)
グラーフェネック音楽祭に
今週はとうとう、木・金・土・日と
毎日往復140キロをドライブして来たが
来週からは開始時間が19時になって
そうすると、もう木曜日(ウィーン・フィルである(涙))と
金曜日(トーンキュンストラーとヤクブ・フルシャである(涙))は行けない。
(悲しいサラリーウーマン・・・そうそうオフィスを早退する訳には・・・)
さて、今週最後の日曜日のコンサートは
地元トーンキュンストラーに
作曲家のマティアス・ピンチャーが指揮台に立った。
作曲家が指揮台に立つのは構わないが
作曲家が指揮なんて出来るんだろうか・・・と思っていたら
意外な驚きというか
ピンチャー、指揮、巧いじゃん!!!
最初はデュカスの「魔法使いの弟子」
リズム感が弾けて、指揮の動きもキマっていて
いや、この作曲家というか指揮者というか
運動神経、むちゃくちゃ良くないか。
物語があって楽しい曲を
軽いリズムでドラマチックに刻んで行って
うははは、楽しいわ、これ。
オーケストラは大規模になり
(何で現代音楽って、オーケストラが大規模なのだ?)
女性トランぺッター2人がソリストとして出て来て
作曲者が自分で指揮台に立って演奏する次の曲は
後でプログラム読んで
題名がアンゼルム・キーファーへのオマージュとあって
ものすごく納得。
金管の咆哮から始まるこの曲
大規模オーケストラに特有なクラスターも多用しながら
トランペットの弱音のものすごく繊細なソロの後は
ずっと聴こえるか聴こえないか、というオーケストラの
注意深く構築された、キラキラした弱音の世界が続いて
頭の中では妄想爆発、色彩に満ちあふれた曲だったので
後ろの子供3人が「何あれ」とか囁き合っているのも気にならない程
集中して(脳内妄想+目の前には原色と透明な色の山盛り)聴いたのだが
ああ、アンゼルム・キーファーの世界を
音にしよう、という試みだったのね。
アンゼルム・キーファーの作品は
現在、クロースターノイブルクのエッセル・コレクションで
1960年以降のドイツ芸術というテーマで
何点か展示されていて
先週だか先々週だかに観て来て圧倒されたばかり。
アンゼルム・キーファーの絵は
何と言うか巨大で力に満ちていて
盛り上げられた絵の具とオブジェの圧倒的な力だけではなく
巧みな遠近法とバランスで
観ている我々をグイグイと絵画世界に取り込んでしまう。
え〜っと、どの位作品が大きいかというのは
エッセル・コレクションに絵を搬入する時の動画があるので
興味のある方はこちらをどうぞ。
↑ ちなみにこの絵、上に巨大な本らしきものが
オブジェとして貼付けられていて
下の部分は荒れ狂う海に
破壊された田畑(だと思うが違うかもしれない)
あの絵の前に立った時には
思わず目眩がして、絵の中にスルッと入って
嵐に翻弄されそうな気がして
立ったまま、身動きも出来なかった。大傑作である(と私は思う)
いやいやいや、すみません、音楽の話であって
現代芸術の話じゃなかった(ごめんなさい)
マティアス・ピンチャーのこの曲が
アンゼルム・キーファーのあの世界を
音楽に持って来ようとしたのであれば
かなり良い感じで成功していると思う。
というより、私がキーファー作品で感じるものと
ピンチャーが感じたものとが、かなり似ているからかもしれない。
まぁ、何であの曲にトランペットのソロが2本必要なのかは謎だが。
(だって、ずっと弱音器付けて細かい音型を吹くだけで
トランペット特有の明るい響きとか、ほとんどないんだもん(不満))
でもでも、この曲、できれば
現代音楽祭か何かの一環で
現代音楽好きの、ヒソヒソ話も身動きも咳もしない聴衆のところで
コンツェルトハウスあたりで、もう一度聴いてみたいものだ。
(楽友協会だと最初の金管のアンサンブルが響き過ぎるだろう)
もうこのピンチャーの曲聴いただけで
あぁ、グラーフェネック来て良かった〜 ♡ という感じ。
後半はベートーベンの交響曲7番で
まぁ、あの、その、うん・・・
ピンチャーのリズム感の良さは
魔法使いの弟子で充分に聴かせてもらったし
ベートーベンでは
あぁ、この人、音響に拘りがあるのね、というのもわかったけれど
全体的に粗いし(以下省略)
良いんです、7番ってベートーベン的ロックンロールですし。
楽しい曲と言えばそうだし(ってワケわからんが)
コンサート開始時の気温は36℃で
さすがにオーケストラの男性メンバーは
上着は着用せず
日が暮れてちょっと温度が落ちた後半から上着着用。
コンサート開始前に芝生の上で
デッキチェアに横たわって、のんびりしていたけれど
これが、モロに気持ち良くて(笑)
この猛暑、あと数日続く予定だが
水曜日か木曜日から天気は崩れる予報。
来週末のベルリン・フィル
雨降って、会場がホールになったら良いのに、と
切実に思っている私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。
だって、もう、オートバイの爆音やら
ヘリコプターや飛行機の音やら
コオロギの大合唱付きのクラシック聴くの、イヤなんだもんっ!