トーンキュンストラー + マティアス・ピンチャー

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    Schloss Grafenegg Wolkenturm 2015年8月30日 19時15分〜21時15分


    Tonkünstler-Orchester Niederösterreich

    トランペット Tine Thing Helseth

    トランペット Mireia Farrés

    指揮 Matthias Pintscher


    Paul Dukas (1865-1935)

     “L’apprenti sorcier” Der Zauberlehrling, Symphonische Dichtung (1897)

    Matthias Pintscher (“1971)

     “Clute d’Étoiles. Hommage à Anselm Kiefer” 

       für zwei Trompeten und Orchester (2012)

    Ludwig van Beethoven (1770-1827)

     Symphonie Nr. 7 A-Dur op. 92 (1811-12)


    グラーフェネック音楽祭に

    今週はとうとう、木・金・土・日と

    毎日往復140キロをドライブして来たが

    来週からは開始時間が19時になって

    そうすると、もう木曜日(ウィーン・フィルである(涙))と

    金曜日(トーンキュンストラーとヤクブ・フルシャである(涙))は行けない。

    (悲しいサラリーウーマン・・・そうそうオフィスを早退する訳には・・・)


    さて、今週最後の日曜日のコンサートは

    地元トーンキュンストラーに

    作曲家のマティアス・ピンチャーが指揮台に立った。


    作曲家が指揮台に立つのは構わないが

    作曲家が指揮なんて出来るんだろうか・・・と思っていたら

    意外な驚きというか


    ピンチャー、指揮、巧いじゃん!!!


    最初はデュカスの「魔法使いの弟子」

    リズム感が弾けて、指揮の動きもキマっていて

    いや、この作曲家というか指揮者というか

    運動神経、むちゃくちゃ良くないか。


    物語があって楽しい曲を

    軽いリズムでドラマチックに刻んで行って

    うははは、楽しいわ、これ。


    オーケストラは大規模になり

    (何で現代音楽って、オーケストラが大規模なのだ?)

    女性トランぺッター2人がソリストとして出て来て

    作曲者が自分で指揮台に立って演奏する次の曲は


    後でプログラム読んで

    題名がアンゼルム・キーファーへのオマージュとあって

    ものすごく納得。


    金管の咆哮から始まるこの曲

    大規模オーケストラに特有なクラスターも多用しながら

    トランペットの弱音のものすごく繊細なソロの後は

    ずっと聴こえるか聴こえないか、というオーケストラの

    注意深く構築された、キラキラした弱音の世界が続いて


    頭の中では妄想爆発、色彩に満ちあふれた曲だったので

    後ろの子供3人が「何あれ」とか囁き合っているのも気にならない程

    集中して(脳内妄想+目の前には原色と透明な色の山盛り)聴いたのだが


    ああ、アンゼルム・キーファーの世界を

    音にしよう、という試みだったのね。


    アンゼルム・キーファーの作品は

    現在、クロースターノイブルクのエッセル・コレクションで

    1960年以降のドイツ芸術というテーマで

    何点か展示されていて

    先週だか先々週だかに観て来て圧倒されたばかり。


    アンゼルム・キーファーの絵は

    何と言うか巨大で力に満ちていて

    盛り上げられた絵の具とオブジェの圧倒的な力だけではなく

    巧みな遠近法とバランスで

    観ている我々をグイグイと絵画世界に取り込んでしまう。


    え〜っと、どの位作品が大きいかというのは

    エッセル・コレクションに絵を搬入する時の動画があるので

    興味のある方はこちらをどうぞ。




    ↑ ちなみにこの絵、上に巨大な本らしきものが

    オブジェとして貼付けられていて

    下の部分は荒れ狂う海に

    破壊された田畑(だと思うが違うかもしれない)


    あの絵の前に立った時には

    思わず目眩がして、絵の中にスルッと入って

    嵐に翻弄されそうな気がして

    立ったまま、身動きも出来なかった。大傑作である(と私は思う)


    いやいやいや、すみません、音楽の話であって

    現代芸術の話じゃなかった(ごめんなさい)


    マティアス・ピンチャーのこの曲が

    アンゼルム・キーファーのあの世界を

    音楽に持って来ようとしたのであれば

    かなり良い感じで成功していると思う。


    というより、私がキーファー作品で感じるものと

    ピンチャーが感じたものとが、かなり似ているからかもしれない。


    まぁ、何であの曲にトランペットのソロが2本必要なのかは謎だが。

    (だって、ずっと弱音器付けて細かい音型を吹くだけで

     トランペット特有の明るい響きとか、ほとんどないんだもん(不満))


    でもでも、この曲、できれば

    現代音楽祭か何かの一環で

    現代音楽好きの、ヒソヒソ話も身動きも咳もしない聴衆のところで

    コンツェルトハウスあたりで、もう一度聴いてみたいものだ。

    (楽友協会だと最初の金管のアンサンブルが響き過ぎるだろう)


    もうこのピンチャーの曲聴いただけで

    あぁ、グラーフェネック来て良かった〜 ♡ という感じ。


    後半はベートーベンの交響曲7番で

    まぁ、あの、その、うん・・・


    ピンチャーのリズム感の良さは

    魔法使いの弟子で充分に聴かせてもらったし

    ベートーベンでは

    あぁ、この人、音響に拘りがあるのね、というのもわかったけれど

    全体的に粗いし(以下省略)


    良いんです、7番ってベートーベン的ロックンロールですし。

    楽しい曲と言えばそうだし(ってワケわからんが)


    コンサート開始時の気温は36℃で

    さすがにオーケストラの男性メンバーは

    上着は着用せず

    日が暮れてちょっと温度が落ちた後半から上着着用。


    コンサート開始前に芝生の上で

    デッキチェアに横たわって、のんびりしていたけれど

    これが、モロに気持ち良くて(笑)


    この猛暑、あと数日続く予定だが

    水曜日か木曜日から天気は崩れる予報。


    来週末のベルリン・フィル

    雨降って、会場がホールになったら良いのに、と

    切実に思っている私に

    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    だって、もう、オートバイの爆音やら

    ヘリコプターや飛行機の音やら

    コオロギの大合唱付きのクラシック聴くの、イヤなんだもんっ!


    ヨーロピアン・ユニオン・ユース・オーケストラ + ノセダ

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      Schloss Grafenegg Wolkenturm 2015年8月29日 19時15分〜21時40分


      European Union Youth Orchestra

      ソプラノ Angela Gheorghiu

      指揮 Gianandrea Noseda


      Giuseppe Verdi (1813-1901)

       Ouvertüre zur Oper “I Masnadieri” (1847)

       “Pace, pace, mio Dio !”

        Arie der Leonora aus der Oper “La forza del destino” (1862/1869)

       “Tu che la vanità”

        Arie der Elisabetta aus der Oper “Don Carlo” (1867/1884)

      Gustav Mahler (1860-1911)

       Symphonie Nr. 5 (1902-1911)


      ヨーロッパ連合ユース・オーケストラが

      7月のコンサートを皮切りにヨーロッパで演奏旅行をして

      最後にまたグラーフェネックでコンサート。

      指揮者はジャナンドレア・ノセダ。


      ソリストはもともと違うソプラノが予定されていたが

      (私の記憶だとダムラウじゃなかったかと思うが定かでない)

      アンジェラ・ゲオルギューがヴェルディを歌う事になった。


      ヴェルディのオペラ I Masnadieri なんてワタシは知らない。

      調べてみたら「群盗」とかで、もともとシラーの戯曲らしいが

      オペラ座で上演された記憶もないし・・・


      チェロのソロが素晴らしいけれど

      う〜ん・・・ ヴェルディって、何と言うか


      演歌ですね(ヴェルディ・ファンの方、すみません)


      その後、真っ赤なドレスで現れたゲオルギューは

      元気一杯で、観客に手を振り、投げキッスをして

      おおお、やっぱりオペラ歌手(何のこっちゃ)

      出ているオーラがむちゃ明るい。


      「運命の力」のアリアだが

      ゲオルギューって、こんなに声量あったっけ?

      マイクを使っているのかと一瞬思い

      10倍の望遠鏡でじっくり見たが

      前のマイクは収録用だろうし・・・・


      メゾソプラノも歌ってしまう位だから

      (ザルツブルク音楽祭では、降板したガランチャの代役として

       ウエルテルのシャルロッテを歌った)

      音域が非常に広く

      低音でも声の艶はビクともしない。


      オペラからアリアを取り出して聴くのは好きではないのだが

      (だって物語に入っていないから、何で嘆いているのかさっぱりわからん)

      ヴェルディって、アリア部分ではオーケストラを極限まで抑えて

      歌手の声が最も効果的に響くように作曲してるんだなぁ、と

      ヘンなところに感心してしまった。


      かと言って、やっぱりまたイタリア・オペラを聴きに行こう

      という気には一切なっていないので念の為。

      あの、感情ダダ漏れの、オペラという芸術には

      どうしても馴染めないので、読者の皆さま、どうぞお許しあれ。


      演歌で感情ダダ漏れで、何だかわからないが

      ひたすら悲しんで嘆いて

      素晴らしく強靭な声で聴かせてくれたヴェルディの後

      休憩挟んで、マーラーの交響曲5番って


      何かドラマツルギーに問題があるような感じがするが(汗)


      以前、自己陶酔型指揮者という印象だった

      ジャナンドレア・ノセダだが

      まぁ、この指揮者の動きも徹底的に激しい。


      気温32℃の野外ステージで

      真っ黒な上下(燕尾服ではない)を

      首のところまで神父さんみたいにキッチリ閉じて

      あの動きしてたら、普通なら倒れそうだが(笑)


      マーラーの交響曲5番は

      うはははは、この指揮者、やっぱり歌う人だ。


      尖った部分がなくて

      メロディアスな部分を限りなく歌って歌って魅せる。


      ユース・オーケストラだけに

      全員、全く手抜きせず、指揮者の解釈に100%呼応するから

      指揮者にとっては腕の見せ所だろうが


      何と優しく歌うマーラーなんだ・・・

      皮肉とか諧謔とかがほとんどない。


      その分、爆発するところは

      若いオーケストラ・メンバーの力で押し切った感じ。


      野外音楽堂で音が散ってしまうのは非常に残念だったが

      美しくて迫力のあるマーラー。


      (だが・・・ 惜しむらくは前の日にマーラー6番を

       ボストン+ネルソンスで聴いちゃったからな。

       違うタイプの演奏なのだが、ボストンの印象がまだ強過ぎる)


      オーケストラは、若い腕自慢の真面目なメンバーが揃っていて

      必死になって指揮者に喰らい付いて行くし

      ノセダは、ジャンプはするわ

      腕をブンブン振り回して、見ている方が疲れそうな動きをするし

      実にパワフルな演奏で


      しかもメロディがむちゃ歌うし

      刺々しいところがなくて

      (第1楽章の埋葬行進曲が、どうしても行進曲に聴こえず

       死者を悼んで泣き喚く人たちがヨロヨロ歩いているような感じ)

      しかも途中の爆発する部分が、異様に明るくて

      途中で燦々と太陽が射し込んでくるような不思議な印象のマーラー。


      ドラマチックというか、オペラちっくと言うか・・・


      ああ、でも、こういうマーラー聴いちゃうと

      そろそろ、楽友協会の音響が懐かしい。


      コオロギの合唱付きのアダージェッタも

      慣れれば、アダージェッタに集中して聴く事はできるけど

      やっぱり野外でのクラシックって

      はっきり言って、ものすごく残念(涙)


      終わった後にレイト・ナイト・ミュージックもあったが

      明日の日曜日は私は仕事なので(残業代も代休も出ない)

      月の明るい30℃の気温の中を

      ウィーンにドライブして来た私に

      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



      来週末でグラーフェネック音楽祭は終了。

      9月はまだまだコンサートがなくて

      (夏中、出稼ぎしていたオーケストラは9月に休みを取る)

      早く楽友協会の音響でコンサートが聴きたいのだが

      残念ながら楽友協会でのコンサートは

      10月にならないと行けない(涙)

      (ウィーン・フィルのソワレがあるのだが

       ソワレのチケット持ってないし

       それにビシュコフの日は私は出張でウィーンにいない・・・)


      ボストン交響楽団 + アンドリス・ネルソンス

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        Schloss Grafenegg Wolkenturm 2015年8月28日 19時15分〜21時30分


        Boston Symphony Orchestra

        指揮 Andris Nelsons


        Josef Haydn (1732-1809)

         Symphonie C-Dur Hob. I:90 (1788)

        Samuel Barber (1910-1981)

         “Second Essey” für Orchester op. 17 (1942)

        Richard Strauss (1864-1949)

         “Ein Heldenleben” Tondichtung op. 40 (1897-99)


        ボストン交響楽団とアンドリス・ネルソンスの2日目。

        今週末から猛暑が戻ってくるオーストリアで

        19時15分のコンサート開始時で33℃。

        でも湿気は少ないので、気持ち良い。


        ヨゼフ・ハイドンの交響曲。

        う〜ん、かなり丁寧に読み込んではあるが

        こういう曲って

        ネルソンスの

        音楽好き、好き、好き、ものすごく好き

        というのが

        ものすごい勢いで伝わってくるのだが


        いかんせん、これ、小編成オーケストラで

        基本的には室内楽。

        で、もちろんモダン奏法だが

        やっぱり室内楽のちょっと大きめのものであって

        2000人以上が聴くキャパシティのある

        野外音楽堂で演奏されるべき曲ではない(断言)


        第1楽章が終わったとたんに

        客席で一人、何か問題があったらしく

        お医者さんいませんか、という悲鳴のような声が上がって

        周囲がざわざわ。


        救急隊員が来るまで演奏は中断。

        ネルソンスは舞台裏に引っ込んだ状態。


        観客がコンサート最中にぶっ倒れるというのは

        年配の多いクラシックのコンサートでは時々あるので

        (私だって1回、途中じゃないけど胃から大出血してぶっ倒れた)

        別に珍しい事ではないが

        せっかくコンサートに来て、ハイドンの第1楽章だけって

        もったいない(そういう事か?(呆))


        この曲の第2楽章、始まったとたんに

        あれっ?! これ、聴いた事がある・・・と思ったら

        シューベルトの交響曲が同じ音列を使ってる(拍子は違う)


        何だか懐かしいような不思議な気分。

        そうか、パパ・ハイドンが使っていた音列を

        シューベルトが盗作したのね・・・って、それ違うから(汗)


        ハイドンがあちこちに仕掛けたイタズラは

        クリアな構成がよく聴こえるので、よく見えるのだが

        いかんせん、会場大き過ぎで

        しかも、舞台上手の前に

        どうもクラシックあまり知らなそうな団体が居て

        以前はグラーフェネック名物だった楽章ごとの拍手まで出てる。

        (近所の村のお達者倶楽部とか言う団体ではないかと邪推)


        もともとの曲が持っている聴衆の大きさと

        会場の大きさが全然合っていないのである!!!


        だからと言って、大会場(しかも野外)用に

        ハイドンの交響曲を演奏したら

        マーラー編曲版のベートーベンだかバッハだかになってしまうし(それはイヤだ)


        で最終楽章フィナーレ

        あっ!!! これ、聴いた事がある。

        サイモン・ラトルがハイドンのパスティッツィオやった時に

        最後に持って来た曲ではないか。


        ああ、あれ、ちゃんとハイドンが

        終わった、と見せて、実はその後、転調して最後があるんだよ、という

        そういう曲だったのね・・・


        もちろん、終わったと聴衆が思ったところで

        指揮者は動かずに次のタイミングを計っている時に

        舞台上手の例のグループから盛大な拍手が・・・


        プログラムにも、実はここはゲネラル・パウゼで、と記載があったのだが

        でも、これはパパ・ハイドンが

        うっふっふ、ここで聴衆は拍手するだろうな

        それでまた演奏始まったら、驚くだろうな

        という、底意地の悪さ、じゃなかった

        イタズラ心たっぷりのお笑い音楽となっているので

        それはそれで良いのである。


        サミュエル・バーバーの曲は

        うううう、この人の曲

        例の世界で一番悲しい弦楽の曲も何回か聴き込んだのだが

        とても美しい、素晴らしい曲なんだけど

        盛り上げ方が、あまりに定石っぽくて


        何かね、音楽に「ほら、感激しなさい」って強制されると

        ちょっと反抗したくなるんですよワタシ。


        さて後半、ネルソンスが大好き(だと推察される)英雄の生涯。

        でも何か、ネルソンスだけじゃなくて

        この曲、イヤに演奏される機会が多いような気がするのだが

        オーケストラと指揮者にとっては

        プログラムに載せ易い曲目なのかしら・・・

        (って、あの複雑怪奇でソリストの超絶技巧連続の曲を?まさか)


        ここでもネルソンスのテンポ揺らしが凄い。

        極限までテンポ落として

        まるで止まりそうな曲想を紡いで行く。


        ううう、やっぱり管楽器集団、巧いなぁ。

        というより、野外で美しく響くのは

        弦楽器ではなく管楽器である事が、しみじみわかる。


        バンダのトランペットの美しかった事。

        背筋がゾクゾクした。


        しかしこの曲、本当に中がかなり恥ずかしくて

        英雄というよりは、図体のでかい恥ずかしがり屋の巨人が

        恋して身悶えして

        バイキンと戦ってという、とめどもない妄想が溢れ返る。


        コンサート・マスターのソロも見事。

        オーケストラとの掛け合いが絶妙で

        それだけに物語が、頭の中で具体的に踊ってしまって

        うははははは、モロにセクシャルな世界に身悶え(ヘン●イ爆発気味)


        大袈裟な表現なだけに

        物語性が最大限に活かされて面白い。

        これはもう、ネルソンス独自の世界で

        どのオーケストラが演奏しても

        ネルソンスの英雄になってしまうんだろうなぁ。


        昨日も悶絶しながら聴かせてもらったホルンの首席

        チューバは本日は2人に増えたが、まぁ、巧い事巧い事。

        トロンボーン・ボーイズたちも健在だし

        オーボエ首席の真面目で哀愁に満ちたソロも楽しませてもらった。


        頭の中では、妄想たっぷりで

        時々、吹き出しそうになって困ったけれど

        やっぱりオーケストラってステキ ♡


        今週末はまた気温が35℃以上に上がる予想だが

        夏の最後の、コオロギの華やかな合唱付きの音楽祭を

        楽しもうと思っている私に

        どうぞ1クリックをお恵み下さい。



        ボストン交響楽団 + アンドリス・ネルソンス

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          Schloss Grafenegg Wolkenturm 2015年8月27日 19時15分〜21時


          Boston Symphony Orchestra

          指揮 Andris Nelsons


          Gustav Mahler (1860-1911)

           Symphonie Nr. 6 a-moll “Tragische” (1905)


          木曜日で、しかも開始が19時15分。

          オフィスの同僚に、17時30分には出るから、と予告しておいたのに

          グループの到着が遅れたり、荷物の忘れ物があったりと

          バタバタして、結局18時5分に慌ててガレージから飛び出すワタシ。


          何と、ブルゲンラントの高速道路上で

          難民の死体を一杯に積んだトラックが見つかって

          道路が閉鎖されていたそうで

          そりゃブダペストからのグループは遅れるわ・・・(ため息)


          早朝にも事故があったらしく

          会社に行く高速道路も渋滞で全然進まず遅刻を強いられたので

          グラーフェネックにちゃんと到着できるか心配していたが


          多少のスピード・オーバーはしたけれど

          ジャスト45分で到着。あははは、良かった、間に合った。


          オーストリアにはまた夏が戻って来たようで

          でも湿気の少ない気持ちの良い気温。

          上着なしでも暑くも寒くもない、野外コンサートには理想的な天気。


          デビューの頃から聴いて来たアンドリス・ネルソンスが

          手持ちのボストン交響楽団と客演する初日のコンサート。


          マーラーの交響曲6番は

          以前もグラーフェネックで聴いた事がある。

          割に派手な曲なので(すみませんヘンな発言で)

          野外で演奏されるには良いかもしれない。


          で、演奏だが


          凄かった・・・・


          金管軍団の巧さにはひっくり返るくらい驚いた。

          舞台上手の奥に位置したトロンボーンと

          その隣のチューバの素晴らしい響きに、とろけそう・・・(←ヘ●タイ)

          ホルン首席のソロのニュアンスに満ちた響きに、とろけそう(←へ●タイ)

          良いんです、金管にメロメロになっても(←開き直り)


          第1楽章は、まぁ、教科書通り、楽譜通りかな〜という感じで聴いていて

          第2楽章の出だしがむちゃくちゃ早くて、椅子から転げ落ちそうになった。

          が、途中でテンポを落として伸ばして

          その後も、テンポの緩急が非常に激しい。


          しかも、まるでスコアが見えるような細かい部分が全部聴こえてくる。

          第1楽章では、管に現れるテーマがかなり強調されて

          しつこくしつこくテーマの繰り返しが、かなり不気味。

          (↑ ここら辺で既にこのオーケストラの金管マジックの虜になってる)


          細かい部分に偏執狂的に拘っているのに

          スケールが小さくならない。

          でも、第1楽章と第2楽章は、とても攻撃的で

          角が鋭くて、まるで聴衆に刺さってくるかのよう。


          それが第3楽章のアンダンテ・モデラートになったら

          何ですかこの柔らかいメロディアスでボーゲンの長い美しさは・・・


          でも、そこはマーラー、簡単に、あぁ、キレイで済まないところを

          ネルソンスも巧く表現していて

          かなりかなり気味が悪い部分も飛び出してくる。


          ネルソンスが徹底的に音響に拘ったのだろうが

          カウベルを舞台に立てた屏風の向こうで鳴らしたりして

          野外音楽堂と言う、音響的には非常に悪い会場で

          ほとんど3Dと見まがう、いや聴きまがう音響の奥行き感が出ていた。


          カウベルがまた・・・巧いんだよ、ここ。

          ボストンって都会じゃなかったっけ?

          オーストリア(やチェコ)の田舎のカウベルの鳴り方や響き方を

          何でアメリカのオーケストラが知ってるんだろう

          (と思ったが、アメリカってカウボーイが居る位だから

           やっぱり田舎+牛って多いのかもしれない(独断・偏見))


          第3楽章の弦のポルタメントのセンスの良さ!!!(驚愕)

          ちょっとあくどいと思う人も居るかもしれないが

          キッチュになりそうな直前までポルタメントかけさせて

          それが、美しい楽章の中で

          時々、異様な気味悪さを持ってくる。


          第4楽章の最初の部分(途中で繰り返される部分)を

          あんな遅いテンポで演奏したのは

          聴いた事がない!!!!


          いや、あれ、金管が巧いからこそ出来る芸当だわ。

          普通だったら反逆モノだろう。


          あの部分を、じっくりじっくり聴かせる事によって

          他の部分の暴力性(?)が際立ってくる。


          マーラーの交響曲の持つ二面性を

          音響に拘りつつ、極限まで正確に出して来たオーケストラと指揮者、凄い。


          ネルソンス、以前のイメージとしては

          元気で、やんちゃで、音楽好き好き好きというだけだったが

          このマーラー聴いて、ちょっとイメージが変わった。


          ものすごいセンスの持ち主だ ♡


          ひたすら気味悪いマーラーなら

          そういう演奏する指揮者とオーケストラも居るけれど

          二極性をきちんと捉えて

          天国と地獄と、ものすごい皮肉っぽいところと

          ラトルのような多重人格っぽい演奏ではなくて

          まとまった一つのモノとして聴かせてもらって、すごく満足。


          聴衆も静かだったし、拍手のフライングもなかったし

          途中で退場した人が数人いたし

          途中で空を飛行機が飛んでいったり

          後半になったら、コオロギの大合唱があったけれど

          そんな事が全く気にならなかった・・・というのは

          コンサートが良かったからなのか

          グラーフェネックの野外音楽堂での演奏に慣れたからなのか


          ちょっとわからんな、と思っている私に

          どうぞ1クリックをお恵み下さい。



          明日は、ハイドンとバーバーと

          リヒャルト・シュトラウスの

          誇大妄想バイキン物語、じゃなかった「英雄の生涯」

          オフィスを何とか17時30分に出られますように・・・(祈)



          イスラエル・フィル + ズービン・メータ

          0

            Schloss Grafenegg Wolkenturm 2015年8月23日 19時30分〜21時50分


            The Israel Philharmonic Orchestra

            ピアノ Rudolf Buchbinder

            指揮 Zubin Mehta


            Johannes Brahms (1833-1897)

             Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 d-moll op. 15 (1854-59)

            Pjotr Iljitsch Tschaikowski (1840-1893)

             Symphonie Nr. 6 h-moll, op. 74 “Pathétique” (1893)


            ズービン・メータとイスラエル・フィルの2日目。

            多少の雲はあるものの

            爽やかに晴れて、気温23℃、湿度40%の

            ヨーロッパの秋らしい天気で

            野外音楽堂でのコンサート。


            今日も、メータは座ったままで指揮します、のアナウンスが入るのだろうが

            ブフビンダー、自分がソリストなのに

            誰がアナウンスするんだ?と思っていたら

            御大、自ら出て来て

            アナウンスしたのは良いものの


            「マエストロ・ムーティは舞台袖で準備しています」

            ・・・・って

            あちこちから「メータだよ」という呆れた声が上がっていたが(笑)


            ブフビンダー、惚けたとは思いたくない。

            まだ68歳だし・・・


            ブラームスのピアノ協奏曲1番 ♡

            私、この曲は、もしかしたら有名な2番より好き。


            以前のメータ+ウィーン・フィルの時は

            2番が結構ボロボロになっていてアチャーと思ったけれど

            本日は2曲弾く訳じゃないから、大丈夫だろう、うん。


            で・・・

            マエストロ・メータは

            昨日のブルックナーもそうだったけれど

            本日も暗譜で指揮。

            79歳の巨匠、やっぱりたいしたものだ。


            1番はブフビンダーも手慣れたもので

            いつものように、淡々と

            大袈裟になる事なく、確実なテクニックで聴かせてくれた (ほっ)


            ブフビンダーのピアノって

            変に感傷的にならない分、芯が通っていて潔くて

            これ、確かに聴いていると

            ブラームスの青春時代の焦りと

            ブラームスにしては恥ずかしい程の情熱がテンコ盛りの曲だが

            それを、静かに秘めた青い炎のような透明さで聴かせてくれたのには唸った。


            う〜ん、どう見ても、そこら辺にいそうなお爺ちゃんなのだが

            やっぱりスゴイわ。


            アンコールなしで後半はチャイコフスキーの「悲愴」


            これ、第3楽章の後に拍手が出る事が多い曲で

            それでなくとも、2年程前までは

            グラーフェネックと言えば、楽章ごとの拍手が名物だったのだが

            今日はどうだろう、ドキドキ。


            結果・・・


            第3楽章の後の拍手は全くなし。


            ついでに、第4楽章が終わってからの拍手も全くなし(爆笑)


            オーケストラのストリングがボウで叩いて

            やっと聴衆が拍手し出したという(爆笑)


            いや、あははははは

            もちろんこの曲、有名だから知ってる人も多いと思うのだが

            グラーフェネックは最近、周囲の人を見て

            拍手のタイミングを計る人が増えたのかね。

            一瞬、私から拍手しようか、という気にもなったのだが


            最終楽章があまりにもあまりにも

            悲しくて、恨みつらみに満ちていて(妄想)

            もう、どっぷりと鬱病になりそうな悲惨さに浸ってしまって

            自分から拍手する気に全然なれなかったというのが正しい。


            しかしまぁ

            あの最終楽章の悲惨さを、こんなに悲惨に演奏するオーケストラ

            世界でも珍しくないか。


            オーケストラ・プレイヤー全員が

            どっぷりと悲惨さの真っ只中に飛び込んで

            全員、悲愴の100乗くらいの悲愴を持って

            もうもう、音楽と完全に同化している(妄想)


            メータの指揮って、別に変に個性が際立つというものではなく

            あくまで正統的で

            オーケストラの音をふんだんに芳醇に使って

            余裕のあるサウンドを潤沢に聴かせてくれる。


            イスラエル・フィルの編成も大きかったので

            野外ホールだったのにも拘らず

            チャイコフスキーは、まるでホールで聴いているかのような響き。


            公演前にリハーサルしている部分が

            庭でも聴こえたんだけど

            すごい音を出してたもんなぁ。


            いやいや、オーケストラのノリ方も

            昨日のブルックナーと全然違う(妄想)


            チャイコフスキーの悲愴って

            何回も何回も何回も演奏されて

            ナマで聴く機会もむちゃ多いのに

            こういう演奏を聴くと、う〜ん、やっぱり名曲だなぁ、と思う。

            (だからこそ、私の好みに合わない演奏だと、退屈になるのだが)


            最終楽章のハルマゲドンみたいな雰囲気に

            完全に飲み込まれてしまったけど。


            音楽があそこまで悲愴になれるものか、という感じの演奏だったが

            それはそれで、非常に惨めで良かったです(こらこら)


            往復130キロちょっとのドライブも

            天気が良いと気持ち良いし ♡


            ところでイスラエル・フィルだから

            みんなユダヤ教の帽子を被っているかと思ったのだが(だから偏見)

            パーカッションの、若いティンパニ奏者と

            シンバル担当の比較的年配の男性のみが帽子で

            後は、本当に普通のヘアスタイルと燕尾服。


            お国柄を出すなら、ユダヤ教徒として

            ちゃんと帽子を被ったら良いのに

            ・・・とか思ってはいけないのだろうな、きっと。すみません。

            (でもあのオーケストラがワーグナーを演奏しない、というのは

             有名な話だし・・・)


            野外で聴いてもあの音なのだから

            かなり男性的な力強いオーケストラだと思う。

            多少金管のバランスが気になるけれど

            木管は名人揃いだし

            (クラリネットのソロが、もう見事で見事で見事で・・・)

            弦のバランスも良い。


            またいつか

            オーストリアのどこかの今度はホールで聴きたいものだ。

            (以前、楽友協会で聴いたマーラーは

             立ち見席だったので音が悪くて(立ち見席は音響最悪)

             すごく不満が残ったのである)


            グラーフェネック夏の音楽祭もそろそろ後半戦に入り

            来週はボストン交響楽団と、やんちゃで元気なネルソンスがやってくる。


            仕事は(できるだけ)ほったらかしにして(エージェントさん、ごめん)

            元気に往復130キロをドライブする予定の私に

            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            今日は芝生席まで満席で

            大型バスも8台くらい来ていたし

            駐車場も満杯。

            帰りの道路が文字通り数珠繋ぎ状態だったけれど

            メルビッシュと違って、すぐに高速道路に乗れるのは有り難い。

            雰囲気もあって本当に良い音楽祭なんだけど

            いくら宣伝しても日本の旅行会社がグループ出さないのは何故だ?!

            (その間に有名になり過ぎちゃって

             地元の人でチケット売りきれ、という状態なのである)


            イスラエル・フィル + ズービン・メータ

            0

              Schloss Grafenegg Wolkenturm 2015年8月22日 19時30分〜21時


              The Israel Philharmonic Orchestra

              指揮 Zubin Mehta


              Anton Bruckner (1824-1896)

               Symphonie Nr. 8 c-moll (2. Fassung, 1890)


              オーストリアは完全に秋となり

              曇りが続いていたが

              土曜日は朝から気持ちの良い晴天になって

              グラーフェネックのコンサートも野外音楽堂。

              気温23℃くらいで、実に爽やか ♡


              コンサート前に舞台にマイク持って現れたのは

              この芸術祭の監督、ピアニストのブフビンダー。


              「天気予報では雨は降りません。

               曲目の変更もありません。

               マエストロ・メータは舞台袖で出てくる準備をしています。

               ただ、マエストロは先日、膝の手術を受けられたため

               本日は座って指揮するのを許していただきたいとの事」


              ああ、もう、全然かまいませんって。

              座って指揮する指揮者、今までも結構見て来たし

              それよりも、膝の手術の直後に

              ブルックナーの8番などと言う大曲を振るという

              責任感に満ちあふれた79歳に驚嘆。


              ご存知ズービン・メータとイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団とは

              切っても切れない関係にあるのだが

              しかし、プログラムがブルックナー????


              ユダヤ教のイスラエルとブルックナー・・・

              しかも、ブルックナーってヒトラーが好きだったという話も・・・


              まぁ、良いわ、別に歴史とか関係ないし

              音楽は音楽だし

              ブルックナーの交響曲、別に教会のミサ曲じゃないし。


              で、何故かズービン・メータの指揮のコンサートって

              何かワタシ、感激する時としない時が極端に分かれているようで


              第一、このブルックナーの8番の

              本来は芳醇で重厚な音は

              響きの良いホールで聴いてこそ、その良さがわかる(はずな)のに

              野外ホールで、音が分散してしまって

              (オーケストラの編成は大きかった)

              すみません、何とも粗く、間抜けに聴こえるんですが。


              もともと少ない私の感受性が

              コンサートに行かないここ数ヶ月で

              完全に干上がってしまった可能性もある(汗)


              金管にばらつきがあって

              時々不安定だし

              凝縮するべき音響が

              空気いっぱいの緑いっぱいの庭園に広がってしまうし


              いや、頭の中で覚えているブルックナーの音楽と

              ちゃんと演奏は重なっては行くのだが


              だから何?

              (あああああっ、何と言う生意気な発言)


              いやこのオーケストラ

              ブルックナー好きじゃないよね、という

              邪推に基づく印象まで出てくるし・・・

              (そこらへん、例えばウィーンのオーケストラが

               ブルックナー演奏すると

               プレイヤーがみんな熱くなっているのがわかったりする)


              会場が野外という事もあるだろうが

              ともかく、何か印象が全然違っていて

              いや、巧い演奏なのだろうが

              普段聞き慣れているブルックナーと

              全く相容れない

              一応言われたから弾いたけどそれが何?みたいな感じで。


              いやいやいや

              それ、きっと私の偏見だから・・・(冷汗)


              でもまぁ、音楽鑑賞なんて

              聴いている方の主観の問題なのだから

              感受性ゼロに近くて

              最近、全く磨いてないから

              そういう事もあるだろう、うん(勝手に納得)


              明日は同じオーケストラで別の曲だから

              また違う印象になるかも・・・


              メータとイスラエル・フィルのウィーンの客演は

              2012年10月に楽友協会で聴いた事があるが

              あの時も、金管にばらつきがあったんだよなぁ・・・

              ちなみに、あの時のコンサート・マスターとは違う人が

              今回は舞台に乗っていた。


              明日はどうなるか

              ちょっと心配、いやワクワクしている

              感受性欠けてる私に

              どうぞ1クリックをお恵み下さい。




              スイス・ロマンド + ネーメ・ヤルヴィ

              0

                Schloss Grafenegg 2015年8月16日


                16:30-17:30 Schlosshof

                Ensemble Concertante

                バイオリン Teodora Sorokow, Ines Miklin

                ビオラ Victoria Fónyad-Joó

                チェロ Martin Först


                Maurice Ravel (1875-1937)

                 Streichquartett F-Dur (1902/03)


                19:30-22:10 Wolkenturm / Auditorium

                Orchestre de la Suisse Romande

                バイオリン Arabella Steinbacher

                指揮 Neeme Järvi


                Pjotr Iljitsch Tschaikowski (1840-1893)

                 Konzert für Violine und Orchester D-Dur op. 35 (1878)

                Hector Berlioz (1803-1869)

                 Symphonie fantastique, Épisode de la vie d’un artite op. 14 (1830)


                グラーフェネック夏の音楽祭。

                ちょっと理由があって、ワイン買いに近くのランゲンロイスへ行って

                その後、グラーフェネックに来たので

                プレリュードの最初のラフマニノフは聴き逃した。


                トーンキュンストラーのメンバーによる弦楽四重奏曲。

                ラヴェルが学生時代に作曲した唯一の弦楽四重奏曲だと

                プログラムに書いてあったが


                これ、えらくドビュッシー的な曲。

                師のフォーレに捧げた曲だとの事だが

                多少、テーマの繰り返しでしつこい部分はあるけれど

                素晴らしい曲じゃないかこれ。


                私が室内楽を聴かないのは

                室内楽では各プレイヤーの技量がモロに見えてしまって

                時々、あちゃ〜(いやいやいや、失礼)


                でもこの4人、技術的な隙はない(プロだから当たり前というなかれ)

                しかも、あの繊細な曲をピタッと合わせて

                たった4声で、こういう音響が出るなんて・・・という

                かなりビックリ仰天の連続だった。

                良いモノを聴いた。

                室内楽、バカに出来ない(汗)


                メインのコンサートは

                前半は何とか野外音楽堂でやったものの

                前半が終わった時点で、グラーフェネックの担当者が出て来て


                「グラーフェネックの夏は終わりました」


                ・・・・絶句。

                そんなに早く夏を終わらせて良いのか?!

                これから、まだこのフェスティバル続くのに(笑)


                昨日まで毎日35℃を越えていた気温も

                前半のコンサートで23℃まで落ちて

                上着を羽織っても寒い(身体が35℃慣れしてる?)

                しかも、結構な風があって、これが冷たい。


                ところで、スイス・ロマンド管弦楽団は

                私は初めて聴くような気がする。


                しかも、今シーズンで首席を降りる

                ヤルヴィ家の大御所、ネーメ・ヤルヴィの指揮も

                以前一度聴く機会があった時にはキャンセルだったし

                たぶん、ネーメ・ヤルヴィも初めてお目にかかると思う。


                前半のチャイコフスキーのバイオリン協奏曲。

                ええ、バイオリン苦手ですとも(聴くのが)


                でも、何だかわからんが

                私、このアラベラ・シュタインバッハーという

                日本人の血を半分引くバイオリニストの演奏が好き ♡


                甘さとクールさのコンビネーションが

                自分の波長にピッタリ合うし


                だいたい、あの難曲を

                楽しそうにニコニコしながら

                指揮者にも合わせてオーケストラにも合わせて


                厚かましさや

                不要な自分の声高な主張が一切なくて


                更には第二楽章では

                木管をメインにして

                自分のバイオリンは、控え目に音楽に混ざらせて


                なんて芸当、なかなか他のバイオリニストじゃ聴けないわ。


                あっさり、という訳でもなくて

                あくまでも正統的ではあるのだけれど

                優しいというか、控え目というか

                ドイツ人なのに大和撫子っぽい部分が

                イヤミではなくて

                とても素直に響いてくるのだ。


                技術的には完璧だから

                無理っぽい部分がなくて、実に自然な流れで

                オーケストラとのアンサンブルが抜群で

                ついつい聴き惚れてしまう。


                この曲、割にガシガシ弾かれたり

                ズブズブの感傷的な甘さで演奏されたり

                ほらほらほら、聴いて、この超絶技巧、みたいなヒケラカシがあると

                聴いている私はシラケるのだが(で、結構、そういう演奏も多い)

                アラベラ・シュタインバッハーの演奏は

                バランスが良くて、アクがなくて自然で、チャーミング。


                さて、後半は(雨が降る可能性が多いと言う事で)ホールに移動。

                休憩時間は45分(!)

                これは、観客というよりは

                オーケストラがホールに移動する時間があるから。

                (だってコントラバスとかハープとか移動させなきゃいかんし)


                後半はベルリオーズの幻想交響曲。


                プレイヤーにレパートリーがあるように

                聴衆にも聴き慣れた曲や初めての曲があるわけで

                幻想交響曲なんて、その中では

                聴衆にとってはレパートリーの一番最初くらいに上がる曲。


                私だって、中学校の時にレコードで聴いてから

                今まで、録音とナマで何回聴いてるやら(笑)


                心配だったのは

                オーケストラのリハーサルを野外で行っていたからで

                野外とホールでは、音響が全く違うところを

                オーケストラと指揮者が

                その場で臨機応変に対応できるかどうか・・・


                結果、スゴイぞこのオーケストラと指揮者。

                ホールの音響を見事に活かして

                大音響になり過ぎず、素晴らしい演奏をしてくれた。


                このオーケストラ、音がむちゃ澄んでる。

                清潔感というのか透明感というのか

                透き通るような音響を淡々と出す。


                幻想交響曲はゲネラル・パウゼ長めの

                物語性に富んだ演奏だったが

                ネーメ・ヤルヴィの指揮

                細かい部分の処理が巧くて、唸らされた部分が多かった。


                歳の功と言ったら失礼だろうが

                ほんの少しのバランスや、小節最後のところの処理などが

                抜群なのだ。

                バンダの音響とオーケストラのバランスも見事で

                野外でリハーサルしていたのがウソみたいな感じ。

                (ホールでもやったのかリハーサル?!)


                その上、このオーケストラ、木管が名人揃いで

                これは幻想交響曲にとってはスゴイ利点。

                チャイコフスキーのバイオリン協奏曲の2楽章でも

                シュタインバッハーが木管をメインに据えていたけれど

                幻想交響曲でも、木管のアンサンブルが巧くて舌を巻いた。


                アンコールはシベリウスのアンダンテ・フェスティーヴォ。

                弦の透明さが抜群に活きて

                涙が出るくらい、素晴らしい。


                いやいやいや、最近コンサートを聴くチャンスがないから

                何でもナマの音が素晴らしく聴こえてくるのかなぁ、とも思ったけれど

                でも、このオーケストラの音

                本当に透明感に満ちあふれていて澄んでいるのだ。


                22時10分に終わった後

                帰りのドライブは大雨の中の高速を抜けて

                ウィーンも23時過ぎに帰った後は雨。


                2週間続いた猛暑も終わり

                明日の最高気温は20℃くらいの予報。


                グラーフェネックで「夏は終わった」とか宣言されちゃったけど

                で、あの猛暑はもう勘弁だけど

                まだ、もう少し、夏が続いてくれたら良いな、と思っている私に

                どうぞ1クリックをお恵み下さい。





                トーンキュンストラー + オロスコ・エストラーダ

                0

                  Schloss Grafenegg Wolkenturm 2015年8月14日 19時30分〜22時


                  Tonkünstler-Orchester Niederösterreich

                  ソプラノ Daniela Fally

                  テノール Dmitry Egorov

                  バリトン Michael Volle

                  コーラス Wiener Singverein (Leitung : Johannes Prinz)

                  児童合唱 Wiener Sângerknaben (Leitung : Hanolo Cagnin)

                  指揮 Andrés Orozsco-Estrada


                  Matthias Pintscher (*1972)

                   “gemini calls” for two trumpets in c (2015)

                  Sergej Prokofjew (1891-1953)

                   “Skythische Suite” aus dem Ballett “Ala et Lolly” op. 20 (1915)

                  Carl Orff (1895-1982)

                   “Carmina Burana” Szenische Kantate für Soli, gemischten Chor,

                    einstimmigen Knabenchor und Orchester (1937)


                  ウィーンは2週間以上続く猛暑で

                  毎日毎日毎日35℃を越えていて

                  グラーフェネック音楽祭のオープニングの金曜日も

                  コンサート開始時間19時30分で、グラーフェネックの気温33℃。


                  私はもう開き直ってタンクトップで堂々と行ってたけど

                  ご招待されたオーストリア連邦国家の政治家やら

                  州知事やら、その他の VIP さまさまは背広にネクタイで1列目。

                  あはははは、お疲れさまです。


                  さて有名なオーケストラやソリストが大量に出演する

                  グラーフェネックの音楽祭のオープニングは

                  地元のトーンキュンストラーと

                  昨シーズンまでの首席だったオロスコ・エストラーダの指揮で

                  まずは composer in residence のマティアス・ピンチャーの新曲初演。


                  トランペット4台のファンファーレ・・・と思いきや

                  ファンファーレから突然、湖面みたいなフルフル感に

                  清涼感が出て来て

                  暑い日に一筋の冷たい空気が流れるような曲。


                  とは言え、所詮は現代曲だからな(はなからバカにしている、すみません)

                  誰が聴いても、何で普通のファンファーレじゃなくて

                  こういう凝った構成にして

                  プレイヤーの負担を増やさねばならないのか

                  一般ピープルは理解できませんが


                  まぁ、現代曲って、そうやって保護しなければならないものだし

                  時々、ハッと思うような不思議な曲もある事ですし(苦笑)


                  舞台一杯に並んだオーケストラ

                  うはははは、プロコフィエフの珍しいバレエ曲だが

                  大オーケストラ編成だ。野外演奏向きだな。


                  で、プロコフィエフのバレエ音楽、スキタイ組曲。

                  ディアギレフは「春の祭典の二番煎じ」と言ったらしいが

                  春の祭典と全く違うぞ(断言)


                  でもオーケストラの音が厚い。

                  厚過ぎて、解像度ゼロで、どの楽器がどこで鳴ってるのか

                  全然わからず、野外ホールなのに音が団子になって聴こえてくる。


                  ストーリーを追えるような物語性には溢れているけれど

                  これでバレエ、踊れるか?

                  (実際にはバレエにはなっていないようだ)

                  かなりハッタリが効いた音楽で

                  楽しいのだが

                  これだけオーケストラの音が厚いと

                  気温も高いのに、ますます暑い(ただの言いがかり)


                  後半は楽しみにしていたカルミナ・ブラーナ。


                  だってここ数年

                  カルミナ・ブラーナって

                  フォルクス・オパーのバレエで

                  かなりズレまくった演奏しか聴いてなくて(汗)


                  舞台一杯のオーケストラの向こう側に

                  コーラスのメンバーが入ってくる。

                  1列、2列・・・あれ?3列、っと、何と4列目まで?!

                  ひえ〜〜〜っ、コーラスの総メンバー100人越えてるっ!!!


                  大音響でフォルトゥーナが響いたと思ったら


                  うわあああああ

                  その後の表現が、何と、あの大人数なのに

                  ものすごく解像度が良くて室内楽的で、クリアで繊細で


                  プロコフィエフの時とえらく違うじゃないか!

                  というか、これ、極端に対照的だよ。

                  もしかしたら、それがオロスコ・エストラーダが目指したところ?


                  コーラス、すごい。

                  大人数にもかかわらず、まったくズレのない

                  見事に細かい部分までバッチリ揃って

                  あの、結構子音の多いテキストを、クッキリ、ハッキリなのに

                  ちゃんと音楽が途切れず

                  指揮者の抜群のリズム感がそこに加わって

                  スカッと爽やかで、カッコいいのに

                  ちゃんと原始のエネルギーを感じさせる。


                  ううう、こうやってちゃんとした演奏聴くと

                  カルミナ・ブラーナって、正に傑作だなぁ。

                  だいたい、カール・オルフの音楽って

                  本当に音楽史の中で、一ヶ所だけどこかに行っちゃってるって感じだし。


                  で、オロスコ・エストラーダのリズム感って

                  まぁ、どこまで良いんだよ。

                  途中のインストルメンタルの見事さなんて舌を巻く。


                  バリトンのミヒャエル・フォレは

                  ちょっと張り切り過ぎ?


                  テキストをクリアに発音しようとするあまり

                  最初は音楽が流れず、ブツブツ切れまくって

                  その後、声を出すところになったら

                  張り上げ過ぎで、うまく声が流れず

                  かなり無理のある発声で、聴いてる方がドキドキしたり。


                  声量あるし、巧いバリトンなんだから

                  野外を意識し過ぎて、あそこまで「頑張り過ぎ」しなくても

                  ちゃんと声は聴こえたのに。

                  (第一、エストラーダがちゃんとオーケストラをコントロールしきって

                   声とのバランスを最高のところで押さえてる)


                  ダニエラ・ファリーは、こんなところまで顔を出してきたか。

                  やっぱり低地オーストリア州の名士だもんね。

                  コロラチューラ・ソプラノなので

                  高い声をピアニッシモで聴かせるところは見事に決まった。


                  焼き鳥役のカウンター・テノールは

                  当初、トビー・スペンスが予定されたいたのだが

                  急遽代役でドミトリー・エゴロフ。


                  キレイな澄んだ声のカウンター・テノール。

                  だけど、焼き鳥の歌って

                  できれば、こんな優等生っぽい表現じゃない方が

                  ワタシ好みだったんだが。

                  焼き鳥の惨めさが全然伝わって来ないんだもん(謂れのない文句)


                  バリトンのフォレはその意味では

                  途中、キツそうだったけれど

                  意外に歌そのものの皮肉な卑俗性までちゃんと歌ってた。


                  オーケストラとコーラスは最高。

                  というより、オロスコ・エストラーダって、やっぱりスゴイ。

                  ともかく音楽表現の幅の広さ

                  カルミナ・ブラーナの持つ躍動感と清涼感に加えて

                  諧謔性まで、ホワイトからブラックのユーモア交えて

                  最初から最後まで

                  一瞬の緩みもなく聴かせてくれたあの手腕を

                  天才と言わず、何と言おう。


                  作品の持っている潜在力をとことん引き出したって感じだな。


                  途中、振り過ぎて指揮棒落としてたけど(笑)

                  (1列目に座っていた、たぶん州知事が気がついて

                   演奏中に舞台袖のところに取りに行って渡してた。

                   あれが出来るというのはスゴイ。こういうところで人格が出る)


                  暑さは今週末が峠のようだが

                  (ウィーン以外では雨が降って、突然寒くなってるらしい)

                  やっと週末だけでもグラーフェネックが始まって

                  ワクワクしている私に

                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  更新のない時にもクリックして下さった

                  熱心な読者の皆さま、本当にありがとうございます!!!



                  ヨーロピアン・ユニオン・ユース・オーケストラ + シャン・ジャン

                  0

                    Schloss Grafenegg Wolkenturm 2015年8月8日 20時〜22時20分


                    European Union Youth Orchestra

                    チェロ Alisa Weilerstein

                    指揮 Xian Zhang


                    Pjotr Iljitsch Tschaikowski (1840-1893)

                    “Hamlet” Fantasie-Ouvertüre op. 67 (1888)

                    Rokoko-Variation für Violoncello und Orchester op. 33 (1876/77)

                    Suite aus dem Ballett “Dornröschen” op. 66a (1890)

                     Introuction. La Fée des Lilas

                     Adagio. Pas d’action. Andante - Adagio maestoso

                     Pas de caractère. La Chat botté et la chatte blanche.

                     Panorama. Andantino

                     Valse. Allegro

                    “Francesca da Rimini” Fantasie op. 32 (1876/77)


                    いや〜、もう1ヶ月以上、ナマのオーケストラを聴いていなくて

                    そろそろ飢餓状態に突入していたし

                    ブログも、す〜っかり忘れ去られていたと思うのだが


                    読者の皆さま、お待たせしました ♡


                    やっと週末だけグラーフェネックでのコンサートが始まった。

                    (いや、その前からあったのだが

                     私の好みのプログラムではないので行かなかったのである)


                    ヨーロピアン・ユニオン・ユース・オーケストラは

                    今年はアメリカの指揮者シャン・ジャンを迎えて

                    夏のヨーロッパ演奏旅行をする。


                    最初と最後がこのグラーフェネック。

                    チャイコフスキーのこのプログラムが皮切り。


                    ところで日本も暑いけれど

                    こちらも猛暑が続いていて

                    日中の気温37℃とかなのだが

                    日本の湿気が70%以上なのに比べて

                    こちらは30%以下なので

                    暑いのは暑いけれど、東京みたいな閉塞感はない。


                    本日も日中は35℃を越え

                    グラーフェネックも田舎だから涼しいとは言え

                    コンサート開始時間の気温32℃。


                    でも風がちょっと吹いていて

                    空気が乾燥していて、緑が豊かなので

                    日本の32℃とは比べられない快適さ。


                    ユース・オーケストラだから人数はとても多い。

                    舞台一杯に若人たちが広がって

                    (コントラバスだけで12人いた。他は推して知るべし)

                    野外のホールで良かった(笑)


                    最初のハムレット序曲。

                    あれあれあれ

                    何で聴いた事があるんだろう

                    しかも、何故、バレエ・ダンサーの顔が思い浮かぶのだ?

                    と思ったら


                    この曲、ボリス・エイフマンが

                    アンナ・カレーニナにかなり使っていた曲だわ。


                    人数が多いので、音は豊かで

                    野外コンサートには理想的な響き。


                    しかも指揮者の手腕だろうと思うが

                    キレが良いのである。

                    フレーズがピタッピタッと決まってスカッと抜ける。


                    それだけにドロドロした部分とかがほとんどなくて

                    ゴージャスでキレの良い演奏になっている。


                    指揮者のシャン・ジャン女史は、以前も思ったのだが

                    非常に明るいオーラを発散していて

                    中国のいわゆる「陽」の面が出ていて

                    チャイコフスキーの痛みとか苦悩とかは

                    それはそっちに置いておいて、という感じ。


                    いや、でも、それはそれで

                    若いオーケストラのエネルギーと一緒になって

                    明るいオーラ飛びまくりなので

                    夏の野外でのコンサートという意味では最高 ♡


                    ロココテーマのバリエーション。

                    出てきたキンキラキンの衣装に身を包んだ

                    チェリストとしてはちょっとフクヨカなアメリカのチェリスト。


                    弾いている時の表情や仕草は

                    かなり自己陶酔型で、ネットリしているのだが


                    最初のテーマから、かなり速めのテンポで

                    仕草や表情からはかけ離れたサッパリ感にビックリ。


                    テクニックは凄い。

                    この曲、かなり難しくて

                    今までも、結構チェリストが苦労している演奏を聴いて来たけれど

                    このアリサ・ヴェイラーズティンというチェリスト

                    難しいテクニックを、全くテクニックを感じさせずに

                    あっさり弾いてしまう。


                    あまりに巧くて、苦労してます、と言うところが全く見えないので

                    まるで簡単な曲を弾くかのように

                    何ともあっさり、さっぱり、あっけらかんに聴こえて来てしまう。


                    変にセンチメンタルにズルズル弾かれるよりも

                    これだけ、何気なく弾かれてしまうと

                    こちらも「あら、音楽って楽しいわ」と

                    あっさり聴けてしまうのが素晴らしい。


                    ある意味、教科書通りというか

                    でも、テクニックがあるがために硬さは全くなく

                    ともかく、あっさり、さっぱりなのに

                    テクニックのひけらかしには聴こえないところが凄い。


                    後半は、バレエ音楽「眠りの森の美女」組曲。


                    うはははは、眠りの森の美女は

                    国立バレエ団で上演した時には

                    全公演制覇は出来なかったのだが

                    それでも、もちろん何回か観ているので記憶には残っている(はずだ)


                    うははは、大人数オーケストラの大迫力。

                    これ言うと怒る人がいるかもしれないが

                    気が抜けた手抜きのオーケストラ・ビットの演奏より

                    こちらの方がステキだわ(断言)


                    いやいや、もうもう

                    目の前に浮かんでくるバレエと一緒に

                    ゴージャスで明るいオーラがバリバリ溢れる

                    若いエネルギーに満ちた音楽を聴けるなんて

                    ものすごく幸せ ♡


                    でも音楽的に非常に優れていたのは

                    最後のフランチェスカ・ダ・リミニの演奏。


                    それまではバレエ曲で

                    ゴージャスで華やかな響きだったのが


                    フランチェスカ・ダ・リミニの繊細な音楽については

                    徹底的に室内楽的で

                    緻密なアンサンブルを聴かせる部分がかなりあった。


                    いや、これ、スゴイ。

                    緻密な部分がまだ完全には完成はしていなかったものの

                    こんなに繊細な表現もできるのか

                    このオーケストラと指揮者は・・・


                    演奏中に太陽が沈んで

                    田舎なので、気温も24℃くらいまで下がった。


                    オーケストラのメンバーは

                    このコンサートの後

                    冷房の効いたライトシューレで

                    レイト・ナイト・ミュージックを提供。


                    (え〜っと、このレイト・ナイト、面白いんだけど

                     観客がみんなワイン・グラスを片手に入って来るので

                     ホールがアルコール臭いのが苦手で(←以前の経験)

                     ちょっと今回はパスしました)


                    1ヶ月以上、ナマのオーケストラの音から遠ざかっていたので

                    まずはチャイコフスキーというのは

                    耳慣れには最高のコンサートだった。


                    来週からは、多少日没時間が早くなるので

                    グラーフェネックのコンサートも19時30分から開始になる。


                    長いおヒマをいただきましたが

                    またポツポツと始める予定なので

                    どうぞお見捨てなく、1クリックをお恵み下さい。



                    ImPulsTanz Konservatorium Wien Privatuniversität

                    0

                      Akademietheater 2015年8月6日 21時〜22時30分


                      Brown - Set and Reset/Reset (Excerpts)

                      振付 Trisha Brown (1983)

                      音楽 Laurie Anderson

                      衣装 Manica Gross Meinhart, Robert Rouschenberg

                      ビジュアル・デザイン Duleinea Jan & Stefan Michelfelt, Robert Rouschenberg

                      パーフォーマー Delly Bablena, Maximilian Bötz, Wei-Da Chen, Katharina Glas,

                      Katharina Illnar, Alina Kettenbach, Juyeon Kim, Axelle Krieger=Ferrari,

                      Lilli Mayerhofer, Sarah Merier, Nicoletta Müller, Timozhy Nouzak,

                      Katharina Senk, Pauline Stöhr, Agata Wierzba


                      King - Excerpts from the Ballett Schwanensee Remixed

                      振付 Liz King & Catherine Guerin

                      音楽 P.I. Tschaikowsky, Pulsinger & Tunakan

                      Neubearbeitung & Wiederaufführung : Esther Balfe

                      照明デザイン Dulinea Jan

                      ダンサー Dolly Bablena, Wei-da Chen, Katharina Glas, Katharina Illnar,

                      Alino Kettenbach, Juyeon Kim, Axelle Krieger-Ferrari, Katharina Senk

                      Paulina Stöhr, Agata Wierzba


                      Uhlich - Energetic Bodies / A remix of material

                      振付 Doris Uhlich

                      音楽 Destiny’s Child, Red Hot Chill Peppers, Infinity Ink, Infinity & Josh Wink

                      照明デザイン Dulcinea Jan

                      ダンサー Dolly Babiena, Wei-da Chen, Katharina Glas, Katharina Illnar,

                      Alina Kettenbach, Juyeon Kim, Axelle Krieger-Ferrari, Katharina Senk,

                      Paulino Stöhr, Agata Wierzba


                      今年の Im Puls Tanz は有名なカンパニーが一つもなく

                      (いや知らないだけかもしれないが、でもでもでも・・・)

                      今まで、パーフォーマンス・カードを買って

                      夏に数万円単位でチケット買って

                      ワケのわからんパーフォーマンス観ていたのを止めた。


                      ただ、このパーフォーマンス、ウィーン私立大学のダンス科の公演。

                      たまたま割引情報が入って来て

                      その割引の日はグラーフェネックと重なったので無理だったが

                      トレイラー観たら、一応踊ってるし・・・


                      という事で↓これがトレイラー。



                      コンテンポラリー・ダンスに興味のない方には

                      全く面白くない映像ですから(爆)


                      最初のブラウンの作品は面白かった。

                      必ず数人が組になって

                      その中で色々なドラマが演じられていて

                      (もちろん抽象的なのでよくわからんが)

                      人間の社会性みたいなものが

                      表も裏も含めて、良い面も悪い面も出てるな〜って感じ。


                      題名 Set and Reset というのが示す通り

                      終わると全員が並んで拍手を受けてから

                      また同じ振付で、同じダンスを繰り返すのだが

                      だが、あれって、どこか多少は違ってるのかしら(疑問)

                      ・・・そんなのシロウトにはわからないわよ。

                      でも、1回目観た後の2回目って

                      細かい部分で色々と、あっ、という発見があって

                      それはそれで面白い体験ではあった。

                      全部で22分の公演。


                      2番目の King の作品は

                      白鳥の湖 Remixed というので楽しみにしていたのだが

                      すみません、ぜ〜んぜん意味わかりません(爆)


                      モダンというよりはクラシックのパで

                      白鳥のヘア・スタイルらしきものをしたダンサーが2名。

                      記憶に間違いがなければだが。


                      で、白鳥の湖、と言われなければ

                      白鳥の湖を連想させるようなエレメントも少ないし

                      去年みたいな、白鳥の湖とクラシック・バレエをおちょくったものでもないし

                      マシュー・ボーンズみたいに全く解釈変えたものでもないし

                      フォルクス・オーパーで若きタレントが披露したような

                      白鳥の湖とは言わないけれど、白鳥だ、とわかるようなものでもないし


                      すみません、この17分のパーフォーマンス

                      ホントに意味わかりませんでした。


                      ええ、どうせ感受性も読解力にも欠けてますし(開き直り)


                      最後はオーストリアのドリス・ウーリッヒの作品で

                      実は私、このダンサー、あまり好きじゃない(ごめんなさい)

                      何回かパーフォーマンスを観たけれど

                      真っ裸で贅肉ブルブルしか記憶がない。

                      (で、この贅肉ブルブルはワタクシ的には美的じゃなかった)


                      今回、ご本人は踊っていないけれど

                      ウィーン私立大学の若手たちが

                      最後に贅肉(ほとんどないが)ブルブルになったのには

                      う〜ん、この振付師、本当にお肉(しかも筋肉じゃないところ)が好きなのね

                      ・・・・ってなんだそれ。


                      もちろん、筋肉だけのクラシック・バレエ・ダンサーと比べて

                      人間の身体って、脂肪とか贅肉があって

                      それで良いのよ、というコンセプトはわからんわけではないが。


                      ただ、これ、音楽はテープを使っているのだが

                      そんなに大音響にしなくても良いだろ〜(涙)


                      大音響には身体的な反応を引き出すという性格はあるけれど

                      鼓膜が破れそうな音楽は勘弁してくれ。

                      それでなくてもアカデミー劇場の中

                      冷房なくてむちゃ暑いし(外は32℃だった)


                      今年最初で最後の ImPulsTanz の公演だが

                      やっぱりコンテンポラリー・ダンス(しかもかなり先端な方)って

                      全然わからん。

                      クラシックダンサーがコンテンポラリー踊るのは好きなのに・・・


                      一応、一回はコンテンポラリー・ダンスを観に行った、という

                      事実だけで満足しているワタクシに

                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。


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