サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団 + パッパーノ

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    日曜日のダブル・ヘッダー。

    午後のコンサートから読みたい方は

    まず こちら からどうぞ。


    下の記事は夜のコンサートです。


    Wiener Konzerthaus Großer Saal 2015年5月31日 19時30分〜21時45分


    Orchestra dell’Accademia Nazionale di Santa Cecilia

    チェロ Jan Vogler

    指揮 Sir Antonio Pappano


    Sergej Rachmaninoff (1873-1943)

     Die Toteninsel. Symphonische Dichtung op. 29 (1909)

    Peter Iljitsch Tschaikowsky (1840-1893)

     Variationen über ein Rokoko-Thema

      für Violoncello und Orchester A-Dur op. 33 (1876)

    Jean Sibelius (1865-1957)

     Symphonie Nr. 2 D-Dur op. 43 (1901/02)


    私はアントニオ・パッパーノのファンである ♡

    パッパーノがサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団という

    異様に長い名前のローマのオーケストラと来るのなら

    そのコンサートを逃す訳にはいかない。


    パッパーノの初聴きは

    ウィーン・フィルとのブラームスで

    その時も、おお、何と情熱的な指揮者、と思ったが


    その後、この長ったらしい名前のローマのオーケストラと

    マーラーを演奏した時に、完全に堕ちた(笑)


    さて、その情熱的なローマのオーケストラと

    イギリス国籍だが、イタリアンのパッパーノの1日目は


    ラフマニノフの「死の島」????

    何でまた、こんな暗い曲から始めるんだ????


    ラフマニノフらしい厚い管弦楽手法で

    まぁ、完全に絶望的ではないにせよ

    やっぱり、かなり暗いし

    あんまり盛り上がらないし

    う〜ん

    今まで私が熱狂したパッパーノの熱さも

    オーケストラの情熱的な部分も

    あまり伺えませんが・・・

    (というか、この曲を情熱的に熱く演奏したら

     えらい事になると思う)


    次の曲はチャイコフスキーのロココ・バリエーション。


    あら驚いた・・・

    このチェリストの音色、なにこれ?

    まるで歌うかのような豊かな響きと色合いで

    オーケストラと溶け合いながら

    弦楽器にあり勝ちなガリガリが全くなくて

    ものすごく柔らかい響きで

    こんなチェロの音色、聴いた事ないぞ。


    ただ、もちろんシロウト耳だから

    それで正しいのかもしれないが

    第2バリエーションの音程が不安定で・・・


    最後あたりの超絶技巧バリエーションの

    ダブル・ボーゲンもかなり苦手そうだったのだが

    これは、全く何も知らないシロウトだから

    そう聴こえたのかも。いや、きっとそうだ、うん。


    ただ、メロディを妙なる音で聴かせてくれると

    これはもう天国の音色 ♡

    こんな美しいチェロの音って滅多に聴けないから

    それはそれで満足。


    オーケストラもラフマニノフの暗さから出て

    チャイコフスキー、というより

    ロココ的な明るさと輝きを持って来て

    うはは、チャーミングだわ、このオーケストラ。


    後半は楽しみにしていた名曲

    シベリウスの交響曲2番。


    イタリアンでガンガン盛り上げるかと思ったら

    いやいやいや、とんでもない。

    ちょっとビックリ。


    澄んでスッキリした音色で、抑制が効いていて繊細。

    最初の木管のアンサンブルは

    あれ、水面から魚が跳ねてる?という感じの元気さだったが(笑)


    大海原を彷彿とさせるような情景で

    北欧系の冷たさはないけれど

    ちゃんと海になっている。


    あはは、イタリアって海に囲まれてるし

    イギリスも島国でした(笑)


    ゆっくり目のテンポで

    丁寧に丁寧に丁寧にオーケストラを歌わせている指揮者。

    それに応じて、歌いに歌うオーケストラ。

    でも、それが大袈裟なイタリア風の激情ではなくて

    かなり抑えられた美を感じるのは

    パッパーノの腕か。


    こんな端正な音楽も出来る人だったのか、この人は(驚愕)

    情熱的でありながら

    スッキリした締まった演奏で

    叫び過ぎず、透明感を湛えて

    うねりながら盛り上がっていくシベリウス。


    ううう、今までのパッパーノの印象と違うけれど

    こういう演奏もチャーミング。


    アンコール前に何人か舞台に戻って来たので

    あ、アンコール、何やるんだろう、と思ったら

    シベリウスの「悲しきワルツ」


    う〜ん、これも透明感漂う丁寧な演奏。

    ピアニッシモは極限まで抑えて

    ゆったり目のテンポで

    限りなく優しく、限りなく深い。


    アンコール前に出て来たプレイヤー

    悲しきワルツでは何も演奏してなかったが・・・と思ったら

    拍手が鳴り終わる前に

    パッパーノが指揮棒を振り下ろす。


    わ〜っはっはっは

    ウィリアム・テルの序曲(スイス軍の行進)だ〜っ

    これは、お手のものというか

    テンポ速くて、ノリに乗って

    あ、これ、イタリアのオーケストラだったのね

    (ちょっとスカンジナビアの仮面被っておとなしくしてたけど(爆笑))


    シベリウスまでは、意外に抑制が効いて丁寧で

    でも、やっぱり最初から最後まで緊張感が持続する

    ドラマチックな仕上がりぶりを見せてくれた

    パッパーノとローマのオーケストラが


    明日のブルックナー8番でどういう演奏するか

    今からドキドキしている私に

    どうぞ1クリックをお恵み下さい。






    トーンキュンストラー + オロスコ=エストラーダ

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      Musikverein Großer Saal 2015年5月31日 15時30分〜17時20分


      Tonkünstler-Orchester Niederösterreich

      Wiener Singverein

      ソプラノ Klara Ek

      アルト Gerhild Romberger

      テノール Maximilian Schmitt

      バス Günthere Groissböck

      指揮 Andrés Orozco-Estrada


      Richard Strauss (1864-1949)

       “Also sprach Zarathustra” op. 30 (1896)

      Johannes Brahms (1833-1897)

       “Schicksalslied” op. 54 (1868-71)

      Anton Bruckner (1824-1896)

       Te Deum C-Dur (1881/1884)


      6年にわたって首席指揮者を務めた

      アンドレス・オロスコ=エストラーダの最終コンサート。


      で、曲の選択が渋い。

      私が苦手な宗教曲、しかもブルックナーのテデウムで

      もうどうしようか、と思っていたのだが


      はい、来週の水曜日、2回目のコンサートのチケット、買いました。

      しかもトーンキュンストラーのサイトは既に締め切っていたので

      割引のない(ワタシ、会員なのに(涙))楽友協会扱いで・・・


      リヒャルト・シュトラウスのツァラトストラは

      まぁ、鳴らし過ぎだが

      (全体的に本日は鳴らし過ぎだが、でも、それでも良いの♡)

      細かい部分がしっかり構築されていて

      う〜ん、トーンキュンストラー、巧くなったよなぁ(って失礼か(笑))


      オロスコ=エストラーダって

      音楽的にとてもクオリティが高い。

      卓越したリズム感もあるのだけれど

      自分の才能に溺れず

      冷静さと情熱のバランスが実に良い。


      う〜ん、とうとうトーンキュンストラーを去ってしまうのね(涙)

      考えてみれば、私がトーンキュンストラーの定期会員になったのが

      エストラーダが首席で入った時だから

      (クリスティアン・ヤルヴィの時は時々行くだけだった)

      ずっと追いかけてきたという事になる。


      ブラームスの「運命の歌」

      限りなく優しく美しい。


      だってコーラス巧いんだもん!!

      ブラームス的な音の厚みが決して濁らず

      天国のような美しさ。

      オーケストラもコーラスに負けずに美しい。


      で、何と、ブラームスからアタッカで

      ブルックナーのテ・デウムに突入。


      いや、こういうの時々やるけれど

      ブラームスからブルックナーへ移行しても

      音楽的な不自然さがない。


      テノールが最初響き過ぎで

      なんだこの自己主張の激しい奴は、とか思ったけれど(笑)

      歌手のクオリティは揃っている。


      大声量のテノール氏も

      途中から落ち着いてきて

      全体の音楽に混じって来た。

      バスのソロがとても美しくて、素晴らしい。


      ブルックナーが

      「神が私に、与えた才能を現世でどう使ったかね、と聞くなら

       私は、このテ・デウムの楽譜を神に渡すだろう」

      と言った、とプログラムに書かれていた。


      宗教曲だから避けて来たけれど

      神への賛歌だから、暗い部分もなくて

      25分くらいの短い(ブルックナーにしては(笑))曲だし

      しかも、とても美しい ♡


      朝から仕事だったので、ちょっとグッタリしていたのだけれど

      何か、すごく幸せなモノを聴いてしまった、という感じ。


      冒頭に書いた通り

      来週の2回目のコンサートも行くので

      (音量が凄かったので、ちょっと舞台から遠いところに逃げて)

      本当にオロスコ=エストラーダとトーンキュンストラーの

      最後のコンサートも聴けるのが

      楽しみなような涙出そうなような・・・


      複雑な気分で、これからダブルヘッダーの夜のコンサートに行く私に

      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



      私にしては珍しく

      コンサートの後にサインをしてくれる、と書いてあったので

      CD 買ってサインしてもらいに

      マイスター・ルームに走ったのだが

      「ありがとう、楽しんで聴いて下さい」って(笑)

      エストラーダの人柄を現すサインだわ(爆笑)

      しかもサインが@だし・・・



      マティアス・ゲルネ + ピョートル・アンデルジェフスキ

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        Wiener Konzerthaus Mozart Saal 2015年5月30日 19時30分〜21時10分


        バリトン Matthias Goerne

        ピアノ Piotr Anderszewski


        Robert Schumann (1810-1856)


        Aus dem hebräischen Gesänge op. 25/15 (Myrten) (1840)

        Dichters Genesung op. 36/5 (Sechs Gedichte) (1840)

        Liebesbotschaft op. 36/6 (Seches Gedichte) (1840)


        Liederkreis op. 39 nach Gedichten von Joseph von Eichendorff (1840)

         In der Fremde

         Intermezzo

         Waldesgespräch

         Die Stille

         Mondnacht

         Schöne Fremde

         Auf einer Burg

         In der Fremde

         Wehmut

         Zwielicht

         Im Walde

         Frühlingsnacht


        Liederkreis op. 24 nach Gedichten von Heinrich Heine (1840)

         Morgens steh’ ich auf

         Es treibt mich hin

         In wandelte unte Bäumen

         Lieb Liebchen

         Schöne Wiege meiner Leiden

         Warte, warte, wilder Schiffsmann

         Berg’ und Burgen schauen herunter

         Anfangs wollt’ ich fast verzagen

         Mit Myrten und Rosen


        マティアス・ゲルネとピョートル・アンデルジェフスキのリートの夕べ。

        ロンドンでのリサイタルは急にキャンセルになったし

        数年前のゲルネのシューベルト三大歌曲集のキャンセルが

        かなりトラウマになっていて

        (結局1年以上待たされた上、他の歌手で聴く羽目になった)

        今日も寸前までドキドキしていたのだが

        無事にシューマンを聴く事ができた。ホッ。


        さてプログラムだが

        すべて1840年に作曲された作品でまとめたは良いが


        プログラムが暗い!!!!!


        陰鬱なプログラムに合わせたのか

        明るい会場だと集中できない、とアーティストがゴネたのか

        会場も暗くして

        手元のテキストが老眼鏡を持っていてもほとんど読めない状態。


        最初の3曲は知らないけれど

        アイヒェンドルフとハイネのリーダー・クライスは

        ドイツ語に目覚めた中学・高校時代によく聴いたので知っている。えっへん。


        ゲルネは以前から、身体をむちゃくちゃに揺らす歌手だったし

        今でも、歌う時は

        右向いたり左向いたり、下向いたり、屈んだりとせわしい。


        で、昔はその度に

        声が右向いたり左向いたりしていて不安定だったのだが


        あら、この歌手、以前よりも身体全体が響くようになってる。

        声の方向性の固定がかなり弱くなっていて

        身体を動かすたびに聴こえてくる音量が変わる、という

        以前のような不安定さがない。


        しかし、会場も暗いし

        音楽も暗いし、内容も暗い。

        (まぁ、時々、ちらっと明るい曲が入らないわけではないが)


        で、マティアス・ゲルネの、倍音一杯の深い美声 ♡

        もちろん、すごい声量ではあるのだが

        ドイツ・リートの真髄は、プリミティブなイタリア・オペラとは違い

        抑制の効いた、クリアなドイツ語で、語りかけるような

        ソット・ヴォーチェにある(断言)


        合格っ!!!!


        ゲルネの深い、というか太い美声は

        デビューの頃から、ドイツ語むちゃクリアという声ではなく

        一時は声が美し過ぎて

        ドイツ語のクリアさにかなり欠けていた時期があったが


        いや、ドイツ語のクリアさ、と言う観点では

        ゲルネより、ずっとクリアなドイツ語を歌うバリトンは数多いけれど

        ゲルネのビロードのような声の美しさと

        ソット・ヴォーチェの美しさに敵う歌手は少ない。


        しかし驚いたのが、ピアノを弾いたアンデルジェフスキである。


        あのっ、それ、ピアノ「伴奏」の域は完全に越えてますが・・・


        ものすごい個性で圧倒的な存在感。

        ピアノの響きがあまりに目立ってしまって

        ゲルネとの個性のぶつかり合いをあちこちで繰り広げて

        何と、歌手よりピアニストの圧勝、という部分も結構あって


        いいのかあれで???


        ヘルムート・ドイチュやマルコルム・マルティヌウとか

        高名なピアノ伴奏手は

        あくまでも自分は裏側にまわって

        歌手の声や解釈を引き立てるように伴奏するのだが


        アンデルジェフスキのピアノは

        歌手を引き立てようとか、自分は二番手とか全く思ってないぞ。


        アイヒェンドルフの最後の Frühlingsnacht のあでやかさ。

        あまりにピアノが美し過ぎて

        ちょっと失神しそうになった。

        なんですかあれは。完全に歌手を喰ってるじゃないですか。


        ゲルネの美声(特にピアニッシモ部分)は

        身体を揺らしていてもホール全体に美しく響き

        暗い内容とは言え

        例えば Zwielicht  なんか、場合によっては最後の部分が

        すごく薄気味悪い時があるのだが

        そこまで徹底的に暗くはせず


        それよりも、もっと優しさとか愛に満ちている感じの解釈で

        悲痛な感じがそれほど大袈裟でない。


        こういう暗いリートを徹底的に悲愴に薄気味悪くやられると

        ドイツ・リートの抑制がなくなってイタリアンになりそうだし(笑)


        しかし久し振りにハイネのリーダークライス聴いてみると

        う〜ん、巧く出来てるなぁ。

        Lieb’ Liebchen からほとんどアタッカで

        Schöne Wiege meiner Leiden に繋いで歌われると

        あぁ、この Sarg = Wiege に繋がって行くというのが明確にわかる。


        全体の詩が繋がっているのがよくわかるのだが

        だが、わかると、死ぬ死ぬばかりで

        このハイネという奴はアホか(こらこらこら)


        私が好きなのは(内容的にも)

        Anfangs wollt’ ich fast verzagen  で

        簡単に言えば


         失恋して、もうダメだと思ったけれど

         何とか立ち直ったぞ。

         でも、どうやって立ち直ったかについては

         聞いてくれるな


        意訳だが、まぁ、一応、そ〜いう感じなのに

        続く Mit Myrthen und Rosen が

        やっぱり、棺だの墓だの

        まぁ、自分の恋の残骸をそこに入れて地下に埋めようという

        音楽としても長調の穏やかな美しい曲なのだが


        こいつはいつまで失恋引き摺ってるんだ?

        ・・・・あ、すみません。


        恋や愛は人類の永遠のテーマだし

        芸術の源泉にもなっているとは言え


        イタリア・オペラの主人公♀は

        失恋すると、全員、気が狂うか死ぬかだし


        水車小屋の娘にふられただけで死んじゃいたい小僧もいれば

        シャルロッテの旦那からピストル借りて

        どこを撃ったのか、駆けつけたシャルロッテと

        ベッドの上で延々とラブシーンを


        ・・・・はっ、すみません、脱線しました(汗)


        内容についてのツッコミはともかく

        アイヒェンドルフもハイネも、内容は暗く

        シューマンの音楽だって、決して明るいものではないのだが

        太くて深い美声のソット・ヴォーチェで

        大袈裟な感傷に陥る事なく歌い上げたゲルネと


        歌手の個性を越えるくらいに

        圧倒的な存在感のピアノを弾いてくれたアンデルジェフスキ。


        アンデルジェフスキだが

        この間はモーツァルトだったので爆睡してしまったが

        あのピアノを聴いていると

        この人がシューマンのリサイタルとかやったら

        ぜひ聴いてみたい、と強烈に思わせた。

        本当にいつかシューマンのリサイタルでもやらんかなぁ・・・


        コンツェルトハウスのリート・チクルスは

        来シーズンはゲルハーヘル、キーンリサイドにパドモワ

        ピサローニ、ハンプソンにスコフスという豪華メンバー。

        (註 女性歌手は無視してます、すみません、私、女声ダメなので)


        アンデルジェフスキは追いかけまで居ると知人が言っていたが

        確かに強烈な個性の持ち主。


        ついついオフィシャル・サイトを見てしまい

        今年9月にプラハでチェコ・フィル+フルシャに出演するのを見て

        本気で行こうか、と考えている私に

        どうぞ1クリックをお恵み下さい。






        ラ・シルフィード 今シーズン3回目

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          Wiener Staatsoper 2015年5月29日 19時30分〜21時45分


          La Sylphide

          Ballett in zwei Akten nach Filippo Taglioni

          振付 Pierre Lacotte

          リブレット Adolphe Nourrit

          音楽 Jean-Madeleine Schneitzhoeffer

          舞台 Pierre Lacotte nach Pierre Ciceri

          衣装 Pierre Lacotte nach Eugène Lami

          照明 Jacques Giovanangeli

          指揮 Kevin Rhodes


          シルフィード Maria Yakovleva

          ジェームス Masayu Kimoto

          ジェームスの花嫁エフィー Alice Firenze *

          グエン、ジェームスの友人 Kamil Pavelka

          魔女 Andrey Kaydanovskiy

          ジェームスの母アンナ Eva Polacek

          パ・ドゥ・ドゥ Nina Tonoli *, Marcin Dempc

          ソロのシルフィードたち Alena Klochkova, Eszter Ledán, Prisca Zeisel


          タリオーニ版(ラコット改訂版)ラ・シルフィード3回目。

          今シーズン、マリアのシルフィードでもう1回上演があるが

          それは別のコンサートに浮気する予定なので

          これが最後の鑑賞になる。


          最後の鑑賞で、初めて、マリア(マーシャ)のシルフィード!!!

          それに、木本全優クンのジェームス!!!!!


          マーシャのシルフィードは

          イリーナと全く雰囲気が違う。


          イリーナが異次元の空間だったとすれば

          マーシャはキュートな乙女で

          ちょっとこまっしゃくれた小悪魔 ♡


          いや、ワタシ、バレエを観に行くと

          自分もただの乙女・・・じゃなかった

          どこかの地域のオバサンのように

          キャァキャァ騒いではしゃぎまくってしまうからな。


          そのキュートなマーシャに、木本クンのジェームス。

          空間を大きく掴んで

          完璧なテクニックで優雅に踊る木本クン。


          エフィーはアリーチェがデビュー。

          アリーチェって、本当に何でも踊れるダンサーで

          私の記憶だと、青髯公を踊ってから

          ぐんぐん、中央に上って来た。


          アリーチェのエフィーも聡明そうな良妻賢母に見える。

          ダンスは明るくて華やかで

          木本クンとのカップリングのバランスも良い。


          でも、木本クンのジェームスは

          婚約者のエフィーと踊りながらも

          シルフィードに心を奪われて

          時々、上の空になるところも、ちゃんと演技できてる ♡


          前半のパ・ド・ドゥを踊ったのは

          将来が楽しみなニナ(トノリ)とマルチン。


          うははは、ニナもキュートだから

          このプロダクション、女性が全員キュートで

          ともかく、誰を取っても可愛らしくて


          オヤジだったら鼻血ブー(笑)

          あ、今日の朝、久し振りに鼻血が出たのはそのせい?(まさか)


          マルチンは途中でちょっとキツそうだったが

          激しいダンスを危なげなくこなして好感。


          この演目、タリオーニってオトコ苛めが好きなんかい、と思わせる程

          すごいジャンプとピルエットの連続技で

          むちゃハードだと思うのだが


          デニスが弾けるポップコーンだとすると

          木本クンは、若々しいけれど

          もっと優雅で空間の広がりが大きい。


          それでも途中、少し辛そうだったからなぁ。

          全くどこまでハードな演目なんだか・・・


          オーケストラは・・・

          う〜ん、確かにこの音楽、単純に聴いているよりは

          かなり複雑で難しそうなんだけど


          管のメンバーが、一部むちゃ優秀で

          一部なんだアレという感じで

          かなり差が激しくて


          前半のマーシャと木本クンのデュエットで

          音楽崩壊しそうになったり

          結構、毎回ドキドキもの。

          まぁ、バレエだからどうしようもないのかもしれないが。


          このおとぎ話だけど

          気に入って捕まえた虫が

          (まぁ、筋で言えば、虫から魅入られる事になってるが)

          飛ぶので、羽を毟ったら死んじゃった、と言う解釈もあるが(妄想)


          自由に飛んでいる女性の翼を捥ぐと死んじゃうよ

          ・・・と考えても良いかも(違うかもしれない)


          う〜ん、羽付きの男性シルフィードに誘惑されて

          男性シルフィードの羽を毟ったら

          どうなんだろう?と考えるに(考えるなそんな事)


          羽を失った男性シルフィードは

          俺、羽なくなって仕事できないから、お前、働いて養って、とか

          平気で言いそうな気がするのは

          あまりにオーストリア的感覚に毒されているのかもしれない(爆_


          マーシャと木本クンのシルフィードはもう1回上演されるが

          私はちょっと現代音楽に浮気するので

          これが、今シーズン最後のシルフィード。


          来シーズンはこの演目はないので

          現代音楽のコンサートも行きたいが(チケット購入済み)

          ううう、どうしよう、と未だに迷っている私に

          どうぞ1クリックをお恵み下さい。





          ウィーン・フィル + ラトル(コンツェルトハウス)

          0

            Wiener Konzerthaus Großer Saal 2015年5月28日 19時30分〜21時15分


            Wiener Philharmoniker

            指揮 Sir Simon Rattle

            ソプラノ Barbara Hannigan


            Claude Vivier (1948-1983)

             “Lonely Child” für Sopran und Kammerorchester

            Joseph Haydn (1732-1809)

             An Imaginary Symphony

              1. “Die Schöpfung” : Die Vorstellung des Chaos

              2. “Die Sieben letzten Worte des Erlösers am Kreuz”

                    Terremoto. Presto con tutta la forza

              3. “L’isola disabitata” : Sinfonia. Largo - Vivace

              4. Symphonie Nr. 64 : Largo

              5. Symphonie Nr. 6 : Menuetto - Trio

              6. Symphonie Nr. 46 : Finale. Presto e Scherzando

              7. Symphonie Nr. 60 : Finale. Pretissimo

              8. “Die Jahreszeiten” : Der Winer. Einleitung

              9. Symphonie Nr. 45 : Finale. Presto - Adagio

              10. Werke für die Flötenuhr

              11. Symphonie Nr. 90 : Allegro assai


            5月26日に楽友協会で聞いたコンサートと同じプログラムを

            今度はコンツェルトハウスで鑑賞。


            天井桟敷の貧民席なので、あまり舞台は見えないが

            まぁ、少しだけ(前の人がちょっと身体をずらしたりすると)見える。


            で、ワタクシはいったい、先日、楽友協会で

            ナニを聴いていたんだろう?! というくらい

            むちゃくちゃ発見の多い驚きのコンサート。


            2日間続けて睡眠時間4時間ちょっとだったので

            夕方、むちゃくちゃ眠くなって

            コーヒー飲んだけど、これは寝てしまうかも・・・と

            ドキドキしながら行ったのだが

            眠るどころか、ギンギンになって聴いてしまった。


            最初のヴィヴィエの作品だが

            バイオリンのノン・ビブラートの3度の和音によるメロディの繰り返しと

            ソプラノ入って、木管のアンサンブル、までは

            楽友協会での記憶にあるのだが


            えっ、何ですかこれ。

            木管のアンサンブルの後

            また同じようにメロディを弦がノン・ビブラートで繰り返すのだが

            その時に、微妙に弦の音がすべてズレている。


            メロディ的に聴けば、主題と似たような印象なのだが

            メロディそのものは同じ核を持っていながら

            その色が全く違っている。


            鐘が鳴って、太鼓が入ると

            また同じメロディなのだが

            これが、また同じ核を持ちながら、また色が違う!!!!


            コントラバスのソロが入ってから

            格になるメロディに、弦の4分の1音のフラジオレットが入る。


            ひえ〜、これ、つまんない仏教作品かと思っていたら

            一つの主題の色彩をどんどん変化させて


            で、最後は最初の3音の和音で終わるのだ。

            まるで、まるで、まるで


            音楽の回文みたい!!!!


            途中の変わる部分には

            太鼓やコントラバスや、様々な楽器で

            ちゃんと「扉」が付いているし・・・


            ソプラノの声の色も変わって行く。

            それに、確かにマイクは使っているけれど

            最初はマイクなしの音で

            オーケストラとのアンサンブルに合わせて

            音響さんが、微妙に音量を合わせてません?


            ちょっと、これ、もしかしたらスゴイ作品???


            う〜ん、現代音楽でも、1回だけでケッとか思ってはいけない。

            繰り返し聴く事で発見する事もある。

            でも、繰り返し聴けるほど、煩雑にナマで演奏されないのは残念だが。


            (割にジモッティの多いコンツェルトハウスだが

             やっぱり途中で、咳する人が多くて(最初は静かだった)

             フラジオレットの音が咳の音に邪魔されて

             せっかくのピアニッシモの倍音が咳で濁ったのはとても残念だったけど)


            前半の20分で、かなりショックを受けてしまったので

            きっと、後半のベスト・オブ・ハイドンは寝てしまうだろうな・・・

            と思っていたら


            オフィスで夕方に飲んだコーヒーが効いたのか(バンザイ)

            ちゃんと、これもギンギンで聴けた!!!


            最初が天地創造の、しかもカオスの部分で

            (え〜い、私が好きなのは動物創造のシーンなんだよ〜(涙))

            カオスと思って聴けば楽しめるものの

            やっぱり短調で(途中にちょっと長調も入るが)

            続けてのイエスの最後の7つの言葉がやっぱり短調で


            ええええい、やっぱり辛気臭い!!!(八つ当たり)


            途中のスケルツォかプレストで

            弦の後ろでとんでもない音がして(不協和音)

            指揮者が、こらこらこら!!!と

            コンサート・マスター(シュトイデさんだった)を立たせ

            音合わせさせるシーン。

            (楽友協会の時は舞台は見えなかった)


            シュトイデさん、自分のバイオリン持って

            a を奏でながら、客席見てニッコリ(いやん、チャーミング)

            その瞬間、後ろからとんでもないガリガリ、という音がして

            驚いてストン、と椅子に落ちるところなんか


            うははは、演技達者というか

            何か楽しんでません???(爆笑)


            オラトリオ「四季」は冬の風景で

            これもまた、短調なんだけど


            ラトルの多重人格が爆発してるぞ。


            短調のメランコリックなところは

            とことんメランコリックなのに

            アレグロやプレストになった時の

            あの軽めの明るさは何なんだ???


            同じ人が指揮しているとはどうしても思えない。

            短調と長調で、全く別人格みたい(誉めてます)


            「お別れシンフォニー」は

            どのパートがどの時点で席を立つかが

            ある程度わかって楽しめたが

            客席が笑いに笑って

            (これは楽友協会の観客はほとんど笑わなかった)

            指揮者退場でコンマスだけ、という時には

            会場の笑い声で、シュトイデさんの妙なるソロが掻き消された(涙)


            その後にテープで流れる

            フルート時計の音楽なのだが

            コンツェルトハウス、さすがというか

            会場の一方向だけではなく

            いくつかの方向から、同時に鳴らしたので

            (ラトルいわく

             「オルガンに備え付けられたフルートが

              真夜中のエスターハージー宮殿で

              突然、同時に鳴り出したら、どんな感じだったでしょう」)

            テープなのに立体感があって

            ほんの少しだけポリフォニーになって(笑)

            う〜ん、これ、面白い!!!


            最後のアレグロ・アッサイだが

            楽友協会の時は、上からバイオリンの楽譜が見えたので

            ああ、繰り返しなんだ、と

            他の人が拍手している時も、まだあるよ、と余裕を嚼ましていたのだが


            これ、最後と思わせて拍手させて

            もう一度、同じメロディを・・・


            あっ、同じって、これ調が違うっ!!!!


            しかも、2回目の演奏では

            転調を目まぐるしく繰り返し繰り返し・・・


            で、終わってまた拍手。

            いや、実はまだ演奏あるから(笑)


            で3回目。またもや違う調から始めて

            目まぐるしい転調はせずに

            落ち着いた形で終わって・・・これで本当に終わり。


            何よこれ、作曲家が色々と実験している、というパロディなのね?!


            ったくもう、さよならシンフォニーとか

            (もちろん照明は落とす。こういうのコンツェルトハウスはお手のもの)

            途中で音が狂って指揮者が怒って音合わせさせるところとか

            何も知らなくても楽しめる構成ではあるけれど


            さすがラトルというか

            それ以上の細かい音楽的な部分に

            かなりイタズラしているではないか。


            いや、オペラの序曲とか、プレストとか聴いてると

            ハイドンって、こんな前衛的な事もしていたのか、とビックリするし


            こういう音楽を、当時の貴族たちが聴いて


             あら、奥さま、この間のヨゼフさまの新曲は聴かれました?

             あのリズム、カッコ良かったですわね ♡

             次にヨゼフさまは、どういう曲を作って下さるのかしら ♡♡


            などと言う会話が交わされていたのだろうな、と

            ついつい微笑ましく、幸福になってしまった私に

            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            昨年の5月ほどではないにせよ

            何でも屋と化している私のモトには

            見境なく仕事が押し付けられて

            結局、またもや午前になるまで仕事してました。

            (アップの時間は意図的に変更してあります)

            でも、明日のバレエが終わったら、ぶっ倒れる予定(笑)


            自然史博物館

            0

              Naturhistorisches Museum 2015年5月27日 18時30分〜21時


              創立650周年を迎えるウィーン大学の

              特別展示会が、自然史博物館で行われていて

              夕方18時30分から

              キュレーターじきじきのガイディングを拝聴するチャンス。


              ウィーン大学の自然科学関係の展示品が色々あると同時に

              大学の変遷、学部(専攻学科)の移り変わりから

              現代の大学のコンピュータを利用した授業まで

              たっぷり1時間半、植物学、動物学、天文学から

              顕微鏡の発達史とか

              見事なガラス細工の海洋動植物の展示まで話を聞いた後


              21時までオープンしているから、と

              特別展示展から、常設展に移ったのが運のツキ・・・


              うははははは、なんだこの博物館!!!


              まず入ったとたんに不思議な既視感があるが

              これは美術史美術館と双子の建物なので(笑)


              入ったところが、鳥の剥製の部屋。

              おおお、すごい数の鳥の剥製が・・・・と

              次の部屋に行ったら、また鳥で

              更に次の部屋がまた鳥で

              (一つの部屋に私の住居が優に5つくらい入る大きさなのに)


              しかも展示が美しい♡

              まるで生きているかのように特徴を考慮して展示されていて

              うはははは、これ、面白いじゃないか。


              しかし鳥以外に何かないのか? ・・・と思ったら

              出ました、動物。

              しかも、象から小型動物まで

              これも、実に生き生きと展示されていて


              動物の部屋が、またもやズラズラ続く。


              いやもう、可愛いというか

              種ごとの展示になっていて

              私のような自然に全く興味のないシティ・ガールでさえも

              美術として観たって素晴らしい。


              で、鳥と動物で終わると思ってはいけない。


              当然、出てくるのが

              カエルとか蛇とかトカゲとか・・・これはホルマリン浸けが多いが

              ちょっと悪夢に出て来そうな数の爬虫類が

              ずらずらずらずらと展示されているのは

              え〜っとですね、人によっては気味悪いかも。


              魚になると、これは見ながら

              ああ、美味しそう(違!)


              サメだけは特別展になっていて

              サメの生態とか、牙とかが別途に説明と一緒に展示されていた。


              もちろん忘れてはならない海洋動植物もあるぞ(笑)

              珊瑚なんかは美しいし、クラゲとかタツノオトシゴとか

              名前も知らない不思議な生物も山ほどいる。


              美しいネオ・ルネサンスの建物の上から吊り下がっている

              クラゲのような不思議な生物とか(爆笑)



              更に動植物という枠内には

              蝶と蛾と、ハエにミツバチに、様々な昆虫が・・・・

              ハエの展示数なんてスゴイし

              小さなテントウ虫が大量にコレクションされている様もスゴイが

              昆虫の展示って

              どう見ても、高級用品店のボタンのコレクションに見える。




              これで終わりと思ってはいけない。

              化石のコレクションが延々と続いたのは通るだけにしたけれど

              鉱物の大々的なコレクションまである。


              しかも、いったい、このでっかい部屋が何室あるわけ?

              進んでも進んでも、全部鉱物。すべて石と宝石と

              いやいや、見ていて、美術として観たって素晴らしいし

              これを集め出したフランツ・シュテファンって

              偏執狂か(いやあの失礼)と思えるくらい

              ともかく


              すごい量・・・


              写真撮ろうかと思ったけれど

              あの量の石を見るだけで、ぐったり疲れた。

              (全部は見てません。というより全部説明されたら

               ガイディングだけで1ヶ月以上かかりそうなんだもん)


              カエルだのトカゲだのヤモリだの

              大量のヘビだののコレクションは

              恐怖映画に出て来そうだが(笑)


              意外や意外に面白いではないか。

              ハプスブルク家の変人・・・じゃなかった

              君主たちが集めた、すごい量の変人コレクションに

              現代に続く研究所が加わって

              生物全体、鉱物や化石などの壮大なコレクション。


              ミュージアム・ショップに入ったら

              あらら、ここにも

              動物のミニチュアとか

              ヘビとかカエルとかトカゲとかのミニチュアが・・・


              この間、オルト城でヘビだのカエルだののお土産を見たばかりなのに

              高度成長時代に東京で育ったシティ・ガールのワタクシが

              なぜ、またヘビのミニチュアを・・・

              (買ってオフィスに置こうかと真剣に考えたのは

               かなり田舎に毒されて来ている証拠かもしれない、うううう)


              これだけ展示物が多いと

              ガイディングとかの依頼を受けたら困りそうだが。

              (誰も依頼しません。どこの旅行会社もツアーに入れてない(笑))


              毎週水曜日は21時まで開館していて

              中のレストランがビュッフェ・ディナーを提供している。

              だから入った時に、すごく良い匂いがしていたのか。

              スタンダード・ビュッフェで46ユーロ(飲み物別)

              二人でデラックス・ビュッフェを取れば、飲み物込みで2人で126ユーロ。

              博物館の入場料も含まれているから、良心的な値段ではある。


              レストランはほとんど満杯だったけれど

              みんな食べる事に集中していて(ビュッフェです=食べ放題)

              誰も博物館の展示に行っていなかったので

              (まぁ、虫だのヘビだの見ながら食べても(笑))

              展示ルームは空いていて

              時々、気味が悪いくらいだったが


              この博物館の凄さというのは

              本当に行ってみないとわかりません(断言)


              ミュージアム・ショップで

              ヘビのミニチュア買う代わりに

              展示品トップ100という本を買ったので

              しっかり読んで、また行こう、と画策している私に

              どうぞ1クリックをお恵み下さい。



              ちなみに、最も有名な展示物と言えば

              ヴィレンドルフのビーナスだろう。


              写真はオーストリアのサイト aeiou から拝借。

              (自分で撮影する勇気がなかった)

              25000年前の豊穣の女神である。実際に観てみると感慨深い。



              ウィーン・フィル + ラトル (楽友協会)

              0

                Musikverein Großer Saal 2015年5月26日 19時30分〜21時15分


                Wiener Philharmoniker

                指揮 Sir Simon Rattle

                ソプラノ Barbara Hannigan


                Claude Vivier (1948-1983)

                 “Lonely Child” für Sopran und Kammerorchester

                Joseph Haydn (1732-1809)

                 An Imaginary Symphony

                  1. “Die Schöpfung” : Die Vorstellung des Chaos

                  2. “Die Sieben letzten Worte des Erlösers am Kreuz”

                       Terremoto. Presto con tutta la forza

                  3. “L’isola disabitata” : Sinfonia. Largo - Vivace

                  4. Symphonie Nr. 64 : Largo

                  5. Symphonie Nr. 6 : Menuetto - Trio

                  6. Symphonie Nr. 46 : Finale. Presto e Scherzando

                  7. Symphonie Nr. 60 : Finale. Pretissimo

                  8. “Die Jahreszeiten” : Der Winer. Einleitung

                  9. Symphonie Nr. 45 : Finale. Presto - Adagio

                  10. Werke für die Flötenuhr

                  11. Symphonie Nr. 90 : Allegro assai


                ウィーン・フィルの定期公演、ソワレには普通行かないのだが

                今回はラトルが出るし

                明後日、同じプログラムをコンツェルトハウスで聴くので

                楽友協会との音響の違いも確かめたくて足を運んでみた。


                最初の曲はクロード・ヴィヴィエ。

                カナダの作曲家で、シュトックハウゼンの影響を受け

                リゲティが絶賛した人だそうだが

                34歳の若さで、パリのゲイバーで会った男性に刺し殺されているという

                まぁ、個人的な事は全く関係ないが

                私も、ヴィヴィエの作品は初聴き。


                おっと・・・


                弦のアンサンブル、ノン・ヴィブラートで(ウィーン・フィルが!)

                最初から、非常に不思議な音がする。

                曇ったような、樹の手触りのような

                普段の輝くようなウィーン・フィルの弦の音ではない。


                そこに入る鐘の音。

                なんじゃこりゃ、仏教音楽か?


                ヴィヴィエはガムラン音楽に心酔していたそうで

                その影響があるのかもしれないが


                そこに入ってくるソプラノ(マイク付き)が

                仏教の声明に聴こえてくると、あぁ、もう、わからん(爆)


                20分くらいの曲で

                3度の和音でトナール的に進行するのだが

                なんか、よくわからんので

                明後日、コンツェルトハウスでしっかり聴こう(いい加減)


                後半部分の前に

                楽友協会の後ろ半分の照明が消えて

                出てきたラトルが客席を向き

                マイクを使って

                (うわ〜、前半でマイク使ったから、マイクあって良かった。

                 楽友協会でマイクなしで喋られると、後ろの席だと何も理解できないのだ)


                 楽しいドイツ語の時間がやって参りました。


                   爆笑・・・ 

                   確かにラトルって、インタビューでも英語しか喋らんからな。


                 ハイドンの音楽というのは氷山の一角のようなもので

                 私たちが普段耳にするのは、作品の5%くらいでしかありません。

                 今回は、一つの実験として

                 当時のエスターハージの宮殿で

                 どんな感じでコンサートが行われたかを再現しようとしたものです。


                 当時はインターネットもなかったので

                 夕方の時間を何とか潰すためにも音楽が必要でした(爆笑)

                 (インターネットとか言ってたけど

                  ベルリン・フィルのデジタル・コンサートのなかった時代に

                  ・・・とか正直に言っていたら、もっと面白かったのに。

                  あぁ、もっともそれ言うとウィーン・フィルの反感を買うか)


                 ハイドンはエスターハージ家にあった楽器のために

                 いくつも曲を書いていて

                 その一つが、フルート時計というもののために作曲したものです。

                 これは当時のオルガンに組み込まれていたものです。


                 全体は10楽章から成りますので

                 途中で拍手しないで下さい。

                 ただ、終わったら、いつもの10倍拍手していただいても結構です。


                ドイツ語の Flöte のウムラウトの発音がキツそうだったけれど

                立派なドイツ語ではないか。ラトルのドイツ語聞いたの初めてかも。


                さて、それは良いとして

                こちらは、こういうパスティッチオであれば

                ハイドン・グレーティスト・ヒット とかを期待してしまうのだが


                最初から重い短調の曲ばっかり演奏しているのは

                ラトルの好み? なんだよね、きっと。


                しかも、エスターハージ家の音楽の再現だから

                後期の楽しい楽しい楽しいロンドン・セットは注意深く避けてるし(ちっ)


                バロック時代の音楽の様式美というのは

                第一楽章があって、メヌエットなりスケルツォがあって

                最終楽章プレストで盛り上がり〜 しかも絶対に短調では終わらないという

                どちらかと言えば、陰鬱な短調より

                華やかな長調の楽しい曲だった筈だが


                おい、ラトル、いつまで短調の曲をやってるの?!


                途中から多少、それなりに長調も入ってはくるが。

                で、最後に近いところ、交響曲45番の最終楽章で

                楽友協会の照明が落ちて、舞台の譜面台だけがランプになる。


                ちょっと会場がざわめいたけれど

                これはご存知「お別れシンフォニー」


                日本語訳では「告別」とか誰かが意訳してしまって

                誤解されたままに定着しているが

                夏のエスターハーザ城(今のハンガリーにある)滞在が長引いた年に

                音楽家たちが、早くアイゼンシュタットに帰りたいよ〜というのを

                ハイドンが(まさか正面切って雇い主に言えないので)

                最終楽章で、一人去り、二人去り、最後は指揮者まで去って

                という、まぁ、無言の抗議みたいな曲を作曲したのがこれ。


                で、その後、ラトルがアナウンスした

                フルート時計という

                オルガンっぽく、フルートっぽく

                手回しオルガンみたいな不思議な音色の曲が流されたのだが


                これ、プレイバックだよね?


                2年ほど前に、プレイバックは楽友協会では禁止、というので

                担当者と激しく争った事があるのだが・・・

                (あぁ、でもレスピーギもプレイバックあるけど。う〜ん(悩))


                まぁ、それは良しとして

                その間に出て行ったメンバーが次々に舞台に戻って

                最後の90番のアレグロ・アッサイを

                何回も何回も何回も繰り返すのは


                これ、かなりしつこいです(むっ)


                途中で弦の音合わせをわざわざさせたり

                (その前にわざと間違った音程で弦に演奏させていた)

                かなりラトルらしい茶目っ気は入っているものの

                それはイギリス的ユーモアであって

                ハイドンのユーモアとちょっと違う(ような気がする)


                まぁ、エスターハージ家の

                インターネットなき時代の夜の楽しみ、とか考えるべきだろうが

                いや、でも、交響曲の様式的な聴き手の常識を

                ひっくり返されたような感じで・・・・


                保守的に過ぎるかもしれないが

                やっぱりバロックの様式美があった方が良いなぁ。


                ハイドンの交響曲と言えば

                私はやっぱりロンドン・セットが一番好きなのだが・・・

                だいたい、あの時代の曲になると

                ハイドンおじさんが、ニコニコしながら

                聴衆を引っ掛けてやるぞ、とイタズラを仕掛けてるのがよくわかるし。


                ハイドン・グレーティスト・ヒットではなかったけれど

                これがラトルのハイドンの好みなのね(変わった好みではある)

                と、割に納得した私に

                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                同じプログラム、明後日コンツェルトハウスであるので

                音響が違って、舞台が(望遠鏡で)見えると

                また印象が変わるかも・・・

                (しかし毎日雨で、アルプス地方は雪だし、寒いし・・・

                 何とかしてくれ、この天気)




                オルト城 ドナウ湿地帯国立公園

                0

                  Schloss Orth - Nationalpark Zentrum


                  5月25日は聖霊降臨祭でお休み(わ〜い)

                  朝8時からご近所さんサウナでバッチリ汗を流したのは良いのだが

                  どうも天気が今一つ・・・


                  大雨にはならないけれど

                  曇っていて暗い。でも気温はそれ程低くはないみたいなので

                  ドナウ川の北側にあるお城に行く事に決定。


                  Orth と名前がつくお城は

                  Gmunden の方が有名だが(高級ホテルである)

                  実はドナウ川流域の湿地帯にもある。


                  ここら辺のお城って、何回か通った事はあるのだが

                  閉まっていたり、時間がなかったりで中を見た事がなかった。

                  本当は隣にある Eckertsau を一度観てみたいのだが

                  (ハプスブルク家最後の皇帝カール1世は、ここからスイスに亡命した)

                  行くたびに結婚式だの、今日は終わりだので見られないので

                  まずは手始めに、その手前の Orth 城だ。


                  ウエブ・サイトは こちら

                  (ちゃんと英語もあるぞ(笑)


                  ドナウ川の北側の高速道路を走り

                  延々と22区を走り抜け

                  田舎の道路をドライブして到着したが


                  あら、駐車場がない(汗)

                  隣の教会のパーキングは満杯だし(聖霊降臨祭だもん)

                  お城パーキングはここ、みたいな表示もないし

                  街から出そうになって大汗かいて(2回目のサウナ(ウソ))

                  Uターンして、何とか適当な道路に停めて

                  ここかな?と歩いていったら

                  関係者以外立ち入り禁止とあって

                  ショックを受けていたら

                  その左手に、ちゃんと


                  ドナウ湿地帯国立公園インフォメーション・センターの表示があった。


                  入ったら子供連れの家族ばっかりだが

                  15時からのガイディングがあるようなのでそれに参加。

                  大人一人11ユーロ。

                  (しかし、こういう時に力を発揮するガイドのライセンス(笑)

                   もっともコピー取ってたから、後で請求来るかも(爆笑))


                  低地オーストリア州は

                  その中に国立公園を2ヶ所抱えるオーストリアで唯一の州だそうだ。

                  ご参考までにオーストリアの国立公園の地図を下に貼っておく。


                  ↑ どれがどれだか分からない方は

                  こちらの サイト をどうぞ。


                  ドナウ川流域は、氾濫を繰り返しながら

                  両岸に肥沃な土砂が積もっていって

                  肥沃なので生物が多く

                  ここを生息地とした鹿などは他の地域より大きくなったので

                  昔からハプスブルク家の狩りの地として有名だった。


                  ただ、ドナウの治水工事によって

                  氾濫がなくなってから、この周囲の生態系が変わってきた。


                  私の記憶にもある、ハインブルク水力発電所プロジェクトは

                  1984年〜1985年に、自然を守れ、という住民運動と

                  予定地への座り込みで中止され

                  その後、この地域は動植物を保護する国立公園となった。


                  ドナウ川には60を越える種類の魚がいて

                  生物の数としては(昆虫などを含めて)5000以上の種が生存しているそうだ。

                  ドナウ川治水工事の前の状態に少しでも近づけるために

                  現在は、支流を作ったりする試みが行われていると言う。


                  ガイディングはドイツ語だが

                  子供向けの内容なので

                  劇場風の物語になっていたり

                  地図や風景が出たりしながら

                  テープもお父さんと小さな息子の会話で進められて

                  途中で子供の遊びまで用意されている。

                  ・・・そこに大人一人で参加している私はウキまくり(笑)

                     ↑ もちろん全然気にしてません。


                  そう言えば、このドナウ湿地帯国立公園って

                  ずいぶん前に、会社に招待状をくれた事があったっけ。

                  週末ならともかく、普通の日だったので

                  ドナウ川流域の自然保護地帯のハイキングに興味はあったけれど

                  行けなかったのだ(会社から何人かは参加したようだ)


                  それに、日本の旅行会社で

                  わざわざドナウ川流域のカエルだの蛇だのを見るために

                  ツアー組むとは思えないし。

                  (それでツアー作ろうと言う勇気のある会社の方いたらお知らせ下さい)


                  ガイディングは一般的な情報に始終したけれど

                  実はこのオルト城の最も楽しいアトラクションは庭にある。



                  お城を出て中庭を通り、ドナウ川の支流を越えたところに

                  小さな島が作ってあって

                  ミニ動物園と水族館のようになっているのだ。

                  (規模はむちゃ小さい)


                  折り重なって寝ている亀とか



                  昆虫のホテルとか



                  最も魅力的なのは

                  地下の通路から、池の中が見える水族館。

                  本当に池の下に通路を作ってある。


                  様々な魚が泳いでいる様が素晴らしくて

                  ついつい見とれてしまったのだが


                  子供がかくれんぼして奇声を出して走り回ったり

                  (そりゃ、ちょっと暗いからかくれんぼには理想的だが)


                  どこかの田舎のおばさんたちが

                  あらぁ、すごい魚が居るわ、とはしゃいで

                  ガラス叩いて、ほら、こっち来い・・・・って


                  犬じゃあるまいし(呆然)


                  子供が騒いだり

                  大人がガラスを叩くたびに

                  魚は驚いて逃げていくし(涙)


                  多少静かになると、また、色々と戻ってきて

                  これがもう楽しくて。


                  小さな魚でガラスぎりぎりに泳いでいる奴は

                  自意識過剰か、あるいはガラスに写る姿に見とれているのか(違)


                  小さな水槽では

                  大きな目の小さな銀色の魚が

                  ガラスのところに頭をくっつけて

                  おかしいなぁ、何でここから先、行けないんだろう?と

                  ウロウロしてるし(爆笑)


                  ううう、焼いて味噌漬けにしたら美味しそう

                  ・・・・と考えてしまった私を

                  自然保護主義者の皆さま、どうぞお許し下さい。


                  公園内には、蛇もいるし(とぐろ巻いて二匹で絡まって寝てた)

                  羊もいるけれど

                  まぁ、それ以上のアトラクションは別にない。


                  高度成長時代の東京に育ったシティ・ガールの私は

                  別にこれと言って自然に興味はないし

                  カエルだの蛇だの鳥だのはともかくとして

                  虫がブンブン飛んでいるような地域は

                  できれば避けたい。

                  (案の定、帰って来たら、こめかみに虫刺され)


                  帰りの売店でも、ヘビとかカブトムシとか

                  青虫とかのミニチュアが多くて

                  いや、買って帰ってオフィスにミニチュア蛇を飾ろうかと思ったが

                  また部下に睨まれそうだし。


                  ただ、こんな曇りの日ではなくて

                  天気の良い夏の日中に

                  ちゃんと帽子被って、虫除けスプレー持って

                  ガイドさんと、ドナウ川流域を

                  カエルを探しながら歩き回る、というのもオツかもしれない。


                  帰りは22区を避けて

                  ハインブルクの方まで出て空港高速道路で帰って来た私に

                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  池の下のお魚の写真だが

                  あまりに楽しくて見とれてしまって

                  写真を撮ろうなんて考えもしなかったので

                  ごめんなさい、写真はありません。




                  ラ・シルフィード 今シーズン2回目

                  0

                    Wiener Staatsoper 2015年5月24日 19時30分〜21時45分


                    La Sylphide

                    Ballett in zwei Akten nach Filippo Taglioni

                    振付 Pierre Lacotte

                    リブレット Adolphe Nourrit

                    音楽 Jean-Madeleine Schneitzhoeffer

                    舞台 Pierre Lacotte nach Pierre Ciceri

                    衣装 Pierre Lacotte nach Eugène Lami

                    照明 Jacques Giovanangeli

                    指揮 Kevin Rhodes


                    シルフィード Irina Tsymbal

                    ジェームス Denys Cherevychko

                    ジェームスの花嫁エフィー Kiyoka Hashimoto

                    グエン、ジェームスの友人 Kamil Pavelka

                    魔女 Andrey Kaydanovskiy

                    ジェームスの母アンナ Eva Polacek

                    パ・ドゥ・ドゥ Ioanna Avraam, Davide Dato

                    ソロのシルフィードたち Alena Klochkova, Eszter Ledán, Prisca Zeisel


                    タリオーニ版(ラコット改訂版)ラ・シルフィード2回目。

                    現代音楽の後に

                    バレエ音楽のロマンティックなオーケストラを聴くのもオツなものである。


                    オーケストラ、前半、かなり粗かったが(笑)

                    ちょっとバタバタしてアンサンブルが合わない部分もあったけれど

                    前半部分は、まぁ、現実生活だからそれでも良いかも。


                    幕が開くと、能天気に寝ているジェームス君の横に

                    イリーナのシルフィード ♡


                    ああああああ、イリーナのシルフィード、何て可憐な・・・

                    もう、そこだけ空気が違うの。

                    ジェームス君を慕って踊るソロの可愛らしさと言ったら半端じゃない。


                    前半の群舞は、スコットランドの村の若い女性と男性で

                    この中心になるのが、橋本清香嬢。


                    橋本清香嬢も可愛い ♡

                    恋する乙女の可憐さも残しながら

                    この女性、奥さんになったら

                    しっかり完璧に家事して、子供もしっかり躾けて

                    旦那さんを立てて、家計は自分で完璧に管理するタイプだな

                    ・・・・いや、良妻賢母というイメージも強いけれど

                    どちらかと言えば才色兼備の方か。


                    乙女ちっくで可愛らしいのに

                    芯の強さも伺わせて

                    これが、イリーナとのパ・ド・トロワで

                    妖精イリーナとの対比がとても活きてくる。


                    いや、ワタシがジェームス君だったら

                    得体の知れない妖精より、エフィーの方を間違いなく選ぶけど?


                    でも、そこでシルフィードの求愛を蹴って

                    エフィーと結婚しました、終わり・・・というのでは

                    ロマンティック・バレエにならないからな。


                    実にお似合いのデニスと橋本さんのデュエットに

                    絡みついてくるイリーナが

                    これまた素晴らしくて・・・・


                    普通だったら、恋路を邪魔する奴はどっかへ行け

                    何て厚かましい妖精なんだ、とか思うけれど


                    イリーナだったら許す!!!!


                    あの凄まじい邪気のない色気と妖気に

                    勝てる男性がいたら、それは男性じゃない(断言)


                    人間ではないものとの恋物語というのは

                    日本の民話でもよくあるけれど


                    くっついてみたのは良いけれど

                    繁殖方法が違ったりとか

                    食べるものが全然違うとか

                    (イリーナが最後のシーンで卵を持って

                     デニスにあげようとして拒否されてしょぼんとするところが

                     異様に可愛いのだが

                     シルフィードって妖精だから

                     普段は昆虫とか蛇とかを食してる、という事はないのかね?)

                    あるいは、見せている姿が擬態で

                    実は白タヌキでしたとか


                    白鳥の湖だって、呪いをかけられて

                    白鳥に姿を変えているから恋物語が成立するが

                    タヌキだったらどういうバレエになっているか(なってない!)


                    だいたい、男は見た目に騙されるからな、うん。

                    美人だったらクラクラ来て追いかけてしまうとか

                    だから美人は人生で得なんだ・・って、何考えてるワタシ。


                    いや、でも婚約者とベタベタして

                    愛のデュエット踊っている時に

                    あんな妖艶な妖精が出て来て絡まれたら

                    そりゃ、あの色気にクラクラ来て追いかけるのも当たり前か。


                    後半のシルフィードの国の美しさ ♡

                    上を飛んで行くシルフィードは

                    よく見ればフィギュアなんだけど

                    これ、実によく出来ていて


                    あれ、ミニチュアにして国立オペラ座で売ったら

                    コップのふち子さんより、ずっと人気出ると思うが。

                    ワタシだったら買うね。しかも大量に(こらっ!!!)

                    で、オフィスのコンピュータの向こうに吊り下げておいて

                    イヤな事があったら、背中の羽毟って虐めてやる

                    ・・・ウソです。


                    出てくる魔女が

                    妖精に謂れのない劣等感を抱いているから

                    (この演技が巧いんだよ、もう・・・アンドレイ最高!)

                    あいつら、美しい上に

                    羽もって、あちこち自由に飛びやがって

                    という恨みつらみが、かなりリアルなのである。


                    美しいシルフィードたちの国でモテまくるジェームス君(笑)

                    シルフィードたちのコールドが、またキレイでため息が出る。

                    (白鳥の湖のシーンととても似てます)


                    でも、この妖精たちのダンスと比べて

                    イリーナのシルフィードが、如何にトゥの音がしなくて

                    しかも、本当に空気のように軽やかで

                    空中を音もなく飛ぶ感じが

                    シルフィードの群舞と比べると際立ってくる。


                    イリーナ、本当に空気に溶けて

                    空中を滑って飛ぶんですもの・・・


                    一つ一つのパが、この上もなく丁寧で

                    強い足首と美しいつま先と

                    しなやかな身体が、抑制の効いた完璧なクラシックを体現するのだ。


                    正にロマンティック・バレエの申し子って

                    イリーナの事を言うのだよ。


                    ジェームス君のデニスは

                    テクニック的には完璧で

                    あの連続ジャンプを飛ぶわ飛ぶわ

                    アホ男子だけど、ジャンプだけで許しちゃう(わはは)


                    でも、ベールを掛けて

                    シルフィードの羽が落ちて

                    死ぬところの演技が甘いぞ!!!

                    だって、どこで自分の間違いに気がついたのか

                    はっきりせずに

                    イリーナが羽を落として

                    (その時点では羽が落ちるのはわかっているから

                     これで、妖精は飛ばずに自分のモノになる、と思うはず)

                    その時点から

                    何か急に泣き出すので

                    いや、それ違うだろ

                    やった!と思ったら死んじゃった、という感じが欠けてるぞ。


                    やんちゃな男の子が

                    虫を捕まえて

                    虫が飛ぶから自分のモノにならないのに腹を立てて

                    羽毟ったら死んじゃった

                    ・・・という話なんだからね(ちょっと違うかもしれない)


                    今シーズンのイリーナのシルフィードはこれにて終わり。

                    5月29日と6月15日はマリアと木本クンのカップリング。

                    両方ともは行けないけれど

                    あと1回は行きますっ!!!

                    (木本クンのジェームス観たいし ♡)


                    明日は聖霊降臨祭でオーストリアは祝日。

                    1日予定はないので、天気の様子で

                    どうするか考えます。


                    とか言いつつ、何となく無駄に1日を過ごしてしまいそうな

                    怠け者の私に

                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。






                    クラング・フォールム 理想都市での1日と1時間(前半のみ)

                    0

                      Wiener Konzerthaus 2015年5月23日 12時12分〜22時30分

                      “ein tag und eine stunde in urbo kune”


                      Matsu Gustafsson (*1964)

                       intervention (2015)

                      Peter Albinger (*1959) Edgar Honetschläger (*1967)

                       Die durchscheinende Zeit (2014/15)

                      Jannis Xenakis (1922-2001)

                       Thalleïn (1984)

                      Param Vir (*1952)

                       rega fields. three spacies for sarad and ensemble (2015)

                      Aureliano Cattaneo (*1974)

                       Violinkonzert (2006-08)

                      Georges Apergihis (*1945)

                       situations. une convivialité musicale (2013)

                      Klangforum Wien

                       combo


                      Klangforum Wien

                      指揮 Eno Poppe


                      現代音楽専門集団のクラング・フォールムは

                      時々、いや、実はいつも、すごく面白い事をするのだが

                      今回は、統一ヨーロッパの理想都市の1日と1時間、というプログラム。


                      コンツェルトハウス全部を使って

                      23日の12時12分から24日の13時12分まで

                      25時間にわたる現代音楽マラソンである。


                      これに行こう、と決心した時には

                      2日間有効のフェスティバル・パスが発売になっていなかったので

                      (もう売り切れかと思ってたら、後で出てきた!!!(涙))

                      23日と24日と両方買うと、70ユーロもしたので

                      (フェスティバル・パス2日券は58ユーロだったのだ!!!)

                      散々考えた末に23日の分を買ったのだが


                      プログラム見て、ううう、24日分(23日〜24日の真夜中12時から)を

                      買えば良かったと後悔するも先に立たず(涙)

                      (だって、24日の深夜12時から明け方7時まで

                       これこそ現代音楽マラソンで

                       モートン・フェルトマンからアロイス・ツィンマーマン

                       更には、フランソワ・ベイルまで載ってたんだもん。泣きましたよワタシ)


                      この歳になって徹夜する体力もなかっただろうから

                      (いや、してたかもしらん・・・・フェスティバルパスがあったら)

                      23日だけで良かったのだ、うん(ちょっとまた涙)


                      さて、23日分は現代音楽だけではなくて

                      途中に朗読も入って

                      何せ、統一ヨーロッパの理想都市とか言うテーマなので

                      都市の変遷とか

                      現代の研究でプロムナドロギーとか言うものまで言及されて

                      (いや、笑いましたよ、プロムナードの研究だもん)

                      インターネット仮想世界が普及した後の都市のあり方とか

                      (これはあまりに退屈で寝てしまった)


                      え〜い、ヨーロッパの統一にも興味ないし

                      理想都市にも興味ないわい!!!


                      12時12分にロビーで始まった演奏が

                      なかなか面白くて良かったものの


                      本日は朝から大雨。

                      更に、その中、チケットのピック・アップだのデリバリーだのに

                      市内を歩いていたら、ずぶ濡れになった状態でのコンサート。


                      大ホールに入ったら、床の椅子はすべて取り払われて

                      マットレスがいくつも置いてあって

                      床に座って、時々寝て、天井見上げて

                      ついでに時々寝ての音楽鑑賞(笑)


                      床に座ったり寝たりできない上品な方のためには

                      エストラーダ(脇)の椅子とバルコン左右の席はあるけれど

                      エストラーダって音響悪いんだもん。


                      何故かチェスの机があちこちにあって

                      チェスやってる人もいたな。あれはあれで面白いようだ。


                      ロビーでは、大きな黒板みたいなものに

                      アーティストが白墨で絵を描いていて

                      これが、途中で出てみるたびに変わっているので面白い。


                      モーツァルト・ホールのクセナキスは楽しかった。

                      クセナキスを久し振りに聴いてみると

                      あぁ、まだ音楽だよな〜とか思ってしまう。

                      (その前にアルビンガー聴いてるからね。

                       アルビンガーの曲って、雑音にしか聴こえないし

                       静かな繰り返しばかりだから

                       まるでリラックス雑音みたいで、まぁ、よく眠れる事!(違))


                      Param Vir の曲って、Sarod っていうのかエレキ・ギターみたいなものが

                      割に伝統的なメロディを奏でて(しかもちょっとポピュラーか民謡)

                      それに、クラング・フォーラムの全く違った音が絡まって行くので

                      ヨーロッパ人に虐められている外国人・・・みたいで

                      それが、曲が進むにつれて、アンサンブルとして合って行くのが楽しい。


                      モーツァルト・ホールのバイオリン協奏曲は

                      まぁ、現代音楽ですね。割に伝統的な現代音楽だった。


                      その後、コンツェルトハウスの改築の話が建築家からあって

                      (割に面白いと言えば面白かった。知らない事も多かったし)


                      ジョルジュ・アペルギスの作品は

                      やっぱり圧倒的な力を持つ。


                      ロックンロールだし(いや、謎発言だが気にしないように)

                      長いし、色々な曲想があって面白いし

                      床のマットレスの上で寝ながら聴いてると

                      しっかり楽しく寝られて

                      どうも2回くらい、私もイビキらしきものをかいたような気がする。

                      (たぶん聴衆の5分の1くらいは寝てたと思う。

                       他からのイビキや寝息も聴こえて来てたから(笑))


                      ジェラール・モルティエの作品の朗読は失礼して行かず

                      その後、大ホールに入ったら

                      Fabiana Pastorini という筋肉隆々のお姉ちゃんが

                      体操のコースをやっていた(爆笑)


                      ええ、ついついノルもんで

                      身体を伸ばしたり、踊ったり

                      ついでに、近くの人とカップルになって

                      手を繋いで、それぞれの力を感じましょう・・・というのは


                      一緒にやった女性が、非常に反応が良くて

                      目を瞑りながら、色々な方向にエネルギーのやり取りして

                      それはそれで、アンサンブル的には楽しかったのだが


                      ああいう事やると、ちょっと危ない雰囲気になりかねない(汗)

                      ワタシ、人との距離が苦手なので

                      初対面の人と、ああいうエネルギーのやり取りって

                      やっぱり苦手だわ。

                      知り合いでも恋人同士でもダメだと思うけれど

                      途中で身体を動かしたのは良かった。


                      21時15分から22時30分まで演奏された combo は

                      アペルギスを基に、クラング・フォールムのメンバーたちが

                      それぞれのソロとアンサンブルを綿密に組み合わせて

                      クラング・フォールムの魅力を全部聴かせてくれる。


                      平土間や、バルコンにもソリストが移動して演奏したり

                      ホール全体を使って28名のメンバーたちが

                      腕によりをかけて、様々な奏法や現代音楽の多様さを

                      プレゼンテーションしてくれるので

                      1時間以上の演奏がバリエーションに満ちて楽しい。


                      いや、現代音楽って何でもアリだし

                      だいたい、現代音楽って


                      演奏している方が

                      聴いているより楽しそうなんだけど!!!


                      アルビンガーあたりの作品は

                      現代音楽=お風呂 理論に合いそうだし

                      (だって、本当に静かな音響の風呂に遣っているとしか思えない)

                      クラング・フォールムのコンボは

                      現代音楽=冗談 理論にピッタリで

                      いや、もう、あんなに楽しんで、ジョークでもやってるような演奏

                      伝統的なクラシックじゃお目にかかれません。


                      22時30分過ぎからの朗読は聞かず

                      急いで帰って

                      ユーロヴィジョン・ソング・コンテストの中継を見てました(汗)


                      長丁場なので、食事はどうしようか、と考えていたら

                      会場には、パンとパンに塗るペースト数種類と

                      サラミとかチーズとか、プチ・トマトとかピーマンとか

                      ついでに赤ワイン、白ワイン、飲み放題で置いてありました(笑)


                      25時間パスの方には、朝食の用意まであるみたい。


                      まぁ、タダとは言っても、私、ワインは飲まないし

                      あまりタダ飯ばかりじゃ申し訳ないので

                      コーヒーくらいは、ちゃんと買って飲みましたが。


                      久し振りに現代音楽で脳のマッサージして楽しかった。

                      何が現代音楽で楽しいかは

                      記事が長くなり過ぎたので、また、そのうち書くかも

                      という私に

                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                      雨で気温13℃とかだし(5月後半だよ!?)
                      帰宅して良かったとか思いつつ
                      今頃、徹夜組は7時間も演奏聴いてるんだと思うと
                      ちょっと、悔しくて寝られない(涙)

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