日曜日のダブル・ヘッダー。
午後のコンサートから読みたい方は
まず こちら からどうぞ。
下の記事は夜のコンサートです。
Wiener Konzerthaus Großer Saal 2015年5月31日 19時30分〜21時45分
Orchestra dell’Accademia Nazionale di Santa Cecilia
チェロ Jan Vogler
指揮 Sir Antonio Pappano
Sergej Rachmaninoff (1873-1943)
Die Toteninsel. Symphonische Dichtung op. 29 (1909)
Peter Iljitsch Tschaikowsky (1840-1893)
Variationen über ein Rokoko-Thema
für Violoncello und Orchester A-Dur op. 33 (1876)
Jean Sibelius (1865-1957)
Symphonie Nr. 2 D-Dur op. 43 (1901/02)
私はアントニオ・パッパーノのファンである ♡
パッパーノがサンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団という
異様に長い名前のローマのオーケストラと来るのなら
そのコンサートを逃す訳にはいかない。
パッパーノの初聴きは
ウィーン・フィルとのブラームスで
その時も、おお、何と情熱的な指揮者、と思ったが
その後、この長ったらしい名前のローマのオーケストラと
マーラーを演奏した時に、完全に堕ちた(笑)
さて、その情熱的なローマのオーケストラと
イギリス国籍だが、イタリアンのパッパーノの1日目は
ラフマニノフの「死の島」????
何でまた、こんな暗い曲から始めるんだ????
ラフマニノフらしい厚い管弦楽手法で
まぁ、完全に絶望的ではないにせよ
やっぱり、かなり暗いし
あんまり盛り上がらないし
う〜ん
今まで私が熱狂したパッパーノの熱さも
オーケストラの情熱的な部分も
あまり伺えませんが・・・
(というか、この曲を情熱的に熱く演奏したら
えらい事になると思う)
次の曲はチャイコフスキーのロココ・バリエーション。
あら驚いた・・・
このチェリストの音色、なにこれ?
まるで歌うかのような豊かな響きと色合いで
オーケストラと溶け合いながら
弦楽器にあり勝ちなガリガリが全くなくて
ものすごく柔らかい響きで
こんなチェロの音色、聴いた事ないぞ。
ただ、もちろんシロウト耳だから
それで正しいのかもしれないが
第2バリエーションの音程が不安定で・・・
最後あたりの超絶技巧バリエーションの
ダブル・ボーゲンもかなり苦手そうだったのだが
これは、全く何も知らないシロウトだから
そう聴こえたのかも。いや、きっとそうだ、うん。
ただ、メロディを妙なる音で聴かせてくれると
これはもう天国の音色 ♡
こんな美しいチェロの音って滅多に聴けないから
それはそれで満足。
オーケストラもラフマニノフの暗さから出て
チャイコフスキー、というより
ロココ的な明るさと輝きを持って来て
うはは、チャーミングだわ、このオーケストラ。
後半は楽しみにしていた名曲
シベリウスの交響曲2番。
イタリアンでガンガン盛り上げるかと思ったら
いやいやいや、とんでもない。
ちょっとビックリ。
澄んでスッキリした音色で、抑制が効いていて繊細。
最初の木管のアンサンブルは
あれ、水面から魚が跳ねてる?という感じの元気さだったが(笑)
大海原を彷彿とさせるような情景で
北欧系の冷たさはないけれど
ちゃんと海になっている。
あはは、イタリアって海に囲まれてるし
イギリスも島国でした(笑)
ゆっくり目のテンポで
丁寧に丁寧に丁寧にオーケストラを歌わせている指揮者。
それに応じて、歌いに歌うオーケストラ。
でも、それが大袈裟なイタリア風の激情ではなくて
かなり抑えられた美を感じるのは
パッパーノの腕か。
こんな端正な音楽も出来る人だったのか、この人は(驚愕)
情熱的でありながら
スッキリした締まった演奏で
叫び過ぎず、透明感を湛えて
うねりながら盛り上がっていくシベリウス。
ううう、今までのパッパーノの印象と違うけれど
こういう演奏もチャーミング。
アンコール前に何人か舞台に戻って来たので
あ、アンコール、何やるんだろう、と思ったら
シベリウスの「悲しきワルツ」
う〜ん、これも透明感漂う丁寧な演奏。
ピアニッシモは極限まで抑えて
ゆったり目のテンポで
限りなく優しく、限りなく深い。
アンコール前に出て来たプレイヤー
悲しきワルツでは何も演奏してなかったが・・・と思ったら
拍手が鳴り終わる前に
パッパーノが指揮棒を振り下ろす。
わ〜っはっはっは
ウィリアム・テルの序曲(スイス軍の行進)だ〜っ
これは、お手のものというか
テンポ速くて、ノリに乗って
あ、これ、イタリアのオーケストラだったのね
(ちょっとスカンジナビアの仮面被っておとなしくしてたけど(爆笑))
シベリウスまでは、意外に抑制が効いて丁寧で
でも、やっぱり最初から最後まで緊張感が持続する
ドラマチックな仕上がりぶりを見せてくれた
パッパーノとローマのオーケストラが
明日のブルックナー8番でどういう演奏するか
今からドキドキしている私に
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