ウィーン交響楽団 + パーヴォ・ヤルヴィ

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    Wiener Konzerthaus Großer Saal 2015年4月28日 19時30分〜21時40分


    Wiener Symphoniker

    指揮 Paavo Järvi

    ピアノ Piotr Anderszewski


    Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)

     Konzert für Klavier und Orchester C-Dur K 503 (1786)

    Anton Bruckner (1824-1896)

     Symphonie Nr. 2 c-moll (1871/72:Fassung 1877, Edition : Carragan 2007)


    ツィッターでは思わず呟いてしまったが

    席に座りながら

    何でこのコンサートのチケットを買っちゃったんだろう?と

    自分ながら不思議に思うことしきり。


    ウィーン交響楽団のチクルスでもないし

    プログラムはモーツァルトだし

    ブルックナーあるけど、交響曲2番というマイナーな曲だし


    パーヴォ・ヤルヴィの写真を見て

    反射的にチケットを買ってしまったのではないだろうか。う〜ん。


    ピアニストのピョートル・アンデルジェフスキを聴いてみたかったというのもあるが

    何でまたモーツァルトのピアノ協奏曲。

    しかも、滅多に演奏されない25番。


    まぁ、ともかく気を取り直して

    熟睡しないようにモーツァルトを・・・


    爆睡(自爆)


    いや、あの、その

    華麗で壮大で

    比較的大編成で演奏されたモダン・オーケストラのモーツァルトは

    最初は、ほぉ、スケールが大きい曲だわ

    ピアノの音もしっかり一つ一つがクリアに響くし


    ・・・ 爆睡(すみません)


    アンデルジェフスキは初聴きと思うが

    まぁ、モーツァルトですし・・・

    カデンツァは、ピアニストが書いたものとプログラムにあったけれど

    ギョッと驚くような現代風かと思いきや

    全然、普通にモーツァルトっぽい時代のカデンツァだったし


    あそこでモーツァルトらしからぬ

    不思議なカデンツァでも弾いてくれれば目が醒めたかもしれないが(違)


    アンコールの曲は良かった。

    何の曲だったんだろう。

    割にバロック風だったけれど、響きがとても美しくて

    モーツァルトのピアノ協奏曲の後のアンコールとして

    センスは悪くない。


    すみませんね、私、アンコールの選曲で

    その演奏家のセンスがわかると思っている変人なので(笑)


    さて後半はブルックナーである。

    この間、奇妙なブルックナーを聴いた後だったが

    (しかもオーケストラ同じで(笑))

    2番って、聴き込んでないぞ・・・


    と思ったけれど

    何せブルックナーは、どの交響曲を聴いても

    だいたい同じなので(極論)

    2番も、どこかで聴いたようなエレメントが出てくる(笑)


    コンツェルトハウスのデッドな音響では

    多少なりとも弦が薄めに聴こえてくるのは仕方ないし

    トランペットの音が比較的飛び出して

    うるさい位に響いてくるのも

    貧民席(天井桟敷一番後ろ)では避けられないけれど


    わっはっは、ブルックナーらしいブルックナーだぞ。


    で、何がスゴイと言って

    このオーケストラの木管軍団、最強ではないか。

    オーボエもフルートも、クラリネットもファゴットも

    名人揃いで、木管のアンサンブルの見事な事 ♡


    ホルンのソロも抜群。

    途中のアンサンブルでちょっと音が下がってしまったところはあったが

    第2楽章の、あの弱音の見事なホルンのソロは

    滅多に聴けるものではない。


    トランペットが響き過ぎたのはホールの構造によるものだが

    トロンボーンも良かったし

    管楽器が良いと、ブルックナーって、やっぱり映える。


    今日のコンサート、天井桟敷で9割くらいの入りだったが

    こういう渋いプログラムを選んでくる位だから

    観客席のマナーが最高に良かったのには感激 ♡


    モーツァルトで熟睡していた時も

    無駄な咳払いとか、一切聴こえて来なかったし

    ブルックナーなんか弱音が多いのに

    パーヴォ・ヤルヴィが極限まで音量を抑えている部分でも

    それを邪魔する雑音が一切ないって


    おおお、幸せ ♡♡♡


    ピアニッシモの弦が続く第2楽章の

    あの美しい緊張感に満ちた音楽空間を堪能できて

    (この時のホルンのソロの素晴らしさも上に書いた通り最高だった)


    そしてパーヴォ・ヤルヴィは

    何と、あのピアニッシモでアンダンテの第2楽章の後

    アタッカでスケルツォの第3楽章に続けた。


    おおお、見事なドラマツルギー。

    だいたい、ああいう緩徐楽章の後って

    緊張感が解けて、みんなが我慢していた咳とかを始めて

    ザワザワしてしまうケースが多いのだが

    アタッカで繋げられると、そのまま緊張感が持続して

    景気の良いスケルツォにすんなり入っていける。


    ゲネラル・パウゼもしっかり長めに取って

    (で、その時も誰も咳をせず、完全な静寂がホールを支配 ♡)

    いやもう、何と言うか

    これ、音楽を聴く楽しみ100%ではないか。


    かと言ってスタジオ録音という感じではなくて

    客席の緊張感もちゃんと伝わっていて


    ああ、こういうコンサートって し・あ・わ・せ。


    日本だったら、どのコンサートもこういう感じなのだろうが

    マナーが悪い人もいて

    しかも、ちょっと動くと椅子がすごい音で軋むホールに出入りしていると

    椅子の軋みもなく

    無駄な咳をする人もいない

    (無駄どころか、咳そのものも我慢している)

    こういう、正に通向けのコンサートって、素晴らしい(感涙)


    最強の管楽器軍団が率いる(笑)

    ブルックナーの2番も、とても楽しく聴かせてもらったし

    やっぱり、チケット買って良かったわ ♡


    さて、今週はこれにてナイト・ライフは終了。

    5月1日(金曜日)が祝日なので

    天気さえ良ければ湖に行こうかと

    懲りずに野望をメラメラ燃やしている私に

    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    春というより夏っぽい天気になって

    気温は優に20℃を越えた、と思っていたら

    日中23℃が夜になって雨が降って

    10℃まで落ちたという・・・

    ヨーロッパの天気って、本当に気まぐれ(絶句)


    赤いジゼル 2回目観賞記

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      Volksoper 2015年4月27日 19時〜21時


      GISELLE ROUGE

      Ballett von Boris Eifman

      振付・照明 Boris Eifman

      舞台・衣装 Wiacheslav Okunev

      指揮 Andreas Schüller


      音楽

      1幕

      Peter Iljitsch Tschaikowski : Serenade für Streicher, op. 48, Finale (Tema russo)

      Peter Iljitsch Tschaikowski : Der Strum, Pantasie nach dem Drama von William Shakespeare, op. 18

      Alfred Schnitke : Ritual. In memory of the victims of the 2nd World War (for the 40th Anniversary of the liberation of Belgrade)

      Peter Iljitsch Tschaikowski : Manfred. Sinfonie in vier Bildern nach dem dramatischen Gedicht von Byron, op. 58, IV. Satz

      Peter Iljitsch Tschaikowski : Senrenade für Streicher, op. 48, Finale (Tema russo)

      Peter Iljitsch Tschaikowski : Elegie (für Streichorchester)

      Alfred Schnittke : Gogol-Suite, III. Satz (Das Portrait)

      Peter Iljitsch Tschaikowski : Manfred. Sinfonie in vier Bildern nach dem dramatischen Gedicht von Byron, op. 58, IV. Satz und I. Satz

      2幕

      Georges Bizet : L’Arlésienne Suite Nr. 2, III. Satz, Minuet

      Georges Bizet : L’Arlésienne Suite Nr. 1, I. Satz, Ouverture

      Georges Bizet : L’Arlésienne Suite Nr. 1, III. Satz, Adagietto

      Georges Bizet : L’Arlésienne Suite Nr. 2, IV. Satz, Farandole

      Georges Bizet : L’Arlésienne Suite Nr. 2, II. Satz, Intermezzo

      Walter Donaldson : Yes Sir, that’s my Baby

      Elias Paul “Allie” Wrubel : The Lady in Red

      Alfred Schnittke : Konzert für Viola und Orchester, II Satz

      Alfred Schnittke : Gogol-Suite, IV. Satz (Die Bürokraten)

      Alfred Schnittke : Gogol-Suite, VIII. Satz (Das Testament, Vermächtnis)

      Alfred Schnittke : (K)ein Sommernachtstraum

      Peter Iljitsch Tschaikowski : Francesca da Rimini. Fantasie op. 32

      Adolphe Adam : Giselle (Finale)


      バレリーナ Olga Esina

      教師 Eno Peci

      人民委員 Kirill Kourlaev

      パートナー Robert Gabdullin

      パートナーの友人 Jakob Feyferlik

      バティルデ Oxana Kiyanenko


      赤いジゼルの2回目(ゲネプロ入れると3回目)の鑑賞。

      今回は、パートナー役がローベルト(初演はローマン)だけで

      後はゲネプロと同じキャストだと思う(友人だけ違うかもしれない)


      しかしまぁ、オルガさまの美しい事・・・(ため息)

      舞台にいるのは、バレエ・マンガの主人公か、と思うほど。


      二次元のアニメにしか興味がない方にも

      自信を持ってお勧めします(違!)


      でも、オルガさまは、美しいだけではない。

      大きな目と、悲劇的ながら豊かな表情で観る人を釘付けにする。


      バレエ学校の厳しい訓練の時には

      泣きそうな顔をして(これがもう、合ってるというか何と言うか)

      苦しそうだったのが

      舞台にデビューする辺りから

      ああ、踊る楽しさがやっとわかったわ、という微笑み。


      うわわわわ、キュート ♡♡♡

      あの微笑みにクラクラしない人は世界中に誰もいないだろう(たぶん)


      舞台で喝采を浴びるオルガさまの前に現れるキリル。


      うわ〜〜〜〜〜っ(汗汗汗)

      冷たいサド男として出てくるキリルの迫力が半端じゃない。

      なんだこいつ、真性サドか、と

      ついつい思ってしまうが

      実はこのお二人、本当の夫婦で(笑)

      しかも、噂によれば

      キリルって、本当に親切で人の良い真面目なダンサーらしい。


      で、この演技力・・・(驚嘆)


      キリルとオルガのパ・ド・ドゥの凄まじさというのは

      ほとんどアクロバットの領域で

      すごいリフトとバランスの連続技なのだが


      それがアクロバットにも体操にも見えないの(驚愕)

      あまりにも自然に踊ってしまう上

      そのアクロバティックな表現の裏にある

      心理的な芸術性というものが

      身体の形からにじみ出てくるのだ。すごいよ、これは。


      キリルのソロのグランド・ジュテの高さにも参る。

      もう、なんですかあの人、重力を完全無視じゃないですか。


      そんなとんでもない事を舞台でやってるくせに

      パの一つ一つに説得力と意味があるので

      スゴイ、と思う前に

      心の底で、ついつい感情移入が先に立ってしまって

      テクニックが凄い、という事実は押しやられてしまうのだ。


      最初は冷たくサディスティックにオルガに近寄って

      力で思い通りにしようとしているキリルが

      どんどん、本物の愛でオルガに惚れて行って


      革命のさなかにオルガを亡命させた後の

      キリルの慟哭の、あまりに悲痛な表現で


      涙腺崩壊。


      この後、幕間になるので

      ちょっと恥ずかしかった(冷汗)


      パリに出て来たオルガを迎えたローベルトは

      (役は「パートナー」としか書いてないが

       実際にはリファールだったらしい)

      オルガを絶賛して、舞台に乗せて


      オルガはローベルトに縋り付くのだが

      実はローベルト演じるこのパートナー氏は同性愛者。


      パートナー氏の彼氏を演じるヤコブが可愛くて ♡

      まぁ、この若いダンサーも演技が巧い。

      嫉妬に燃えたり、オルガとの間を裂こうとしたり

      ローベルトとオルガとヤコブのパ・ド・トロワの素晴らしさ。


      ボロボロになったオルガが

      パリのバー(このシーンの群舞がチャールストンで、これも凄い)で

      後ろから登場して

      男性何人かに囲まれて

      やけっぱちのダンスをするところなど

      マノンのシーンを彷彿とさせるが


      このシーンって、後の狂気に繋がる精神的不安定感を現すので

      演技がむちゃくちゃ重要で


      オルガさまの、クルクルと変わる表情と表現が圧倒的。

      男性に囲まれて自信たっぷりのサドッ気の女王さまから

      突然、不安に苛まれる孤独な中年の女性に転落していく表現が

      自分の若い頃から中年への移行を見ているようで(違!)

      モロにリアルで、揺れ動くトップからダウンへの精神状態を

      鑑賞している側も、ついつい追体験してしまう。


      ここで入る回想シーン。

      キリルとの絡み(これがまた凄い)

      ダンス教師(前半、拷問を受けて退場する)との思い出などが

      走馬灯のように出てくる。


      群舞に巻き込まれて、赤い衣装を纏って踊るオルガさま・・・


      そして、その後に舞台変換。

      ジゼルの最初のシーン。


      アルブレヒトがローベルト(「パートナー」リファール役)

      オルガさまが

      村娘のジゼルの衣装を着て

      ジゼルかな、と思いきや

      (いや、実際にジゼルなんだけど)

      ローベルトとヒラリオンが恋仲で(笑)

      でも、ちゃんと婚約者(バティルデ)も居て


      このシーンで演奏されるのが(ナマ演奏です)

      私が大好きな

      アルフレッド・シュニットケの

      (K)ein Sommernachtstraum なのである。

      これが、ジゼルと、むちゃくちゃ合ってる。


      それ、どんな曲?という方には

      以下の Youtube をどうぞ。


      ただし、聴いて気分悪くなっても

      当局は一切関知しないので、そのつもりで(笑)



      世の中に気味の悪い曲はいくつもあるけれど

      (気味が悪いというのは、悪い意味ではありません。実は好きなの、こういうの)

      その中でも、トップ10のうちの一曲だろう、この曲は。

      (なお、バレエで使われているのは、この曲の一部で全曲ではない)


      無害に無邪気に始まって

      どんどんドロドロの別世界に入り込んでいく曲に合わせて

      ジゼル役のオルガが

      ロマンティック・バレエの演技の世界から

      狂気の世界にどんどんずれ込んで行くのが

      視覚的にはバレエ(オルガさまの表情!)で

      聴覚的には、この気味悪いシュニットケの曲で

      余すところなく観客に伝わってくる。


      そのままジゼルのパロディというか

      アルブレヒトが、ジゼルの墓に行き

      ジゼルが墓から蘇って、パ・ド・ドゥ。


      ミルタたちが白い紐を持って出てきて

      オルガとローベルトに紐が絡んで


      鏡が動いて(後ろでダンサーが動かしている)

      オルガとローベルトが、その間を移動して踊って


      最後に鏡の向こうにオルガさまが消えていく・・・


      いや、スゴイです、この作品。

      観れば観るほど、ハマってしまう(汗)


      ケテヴァンのバレリーナ役とは、またちょっと違って

      オルガさまだと、美し過ぎて

      ちょっと現実の世界とは思えないところがあるのだが


      でも、オルガさまは「美しい」だけではない。

      運命に翻弄されて

      現実と狂気の境を越えてしまうバレエ・ダンサーの一生を

      真に迫って感じさせてくれる。


      次の上演はケテヴァンだが

      ううう、この日はベルリン・フィルと重なってしまうので行けない。

      (さすがにベルリン・フィルを放棄するのはとても出来ないわ、ワタシ)

      5月にもう1回行くのは、またオルガさまの回になる予定。


      でも、この演目、来シーズンも上演されるので

      また追いかけよう、と固く誓う私に

      どうぞ1クリックをお恵み下さい。




      ガレージに入れて

      フォルクス・オーパーでガレージの割引券を買って

      その割引券を機械が判別せずに

      ううう、またチケット送り返すのか、とうんざり。


      ところが、次に来た年配のご夫婦の割引チケットがやっぱりダメで

      ちょっと歩いて、別ガレージ(経営は一緒)の機械に行ったら

      そこで大丈夫だったという

      カードがダメになっているかと思ったら

      機械そのものが故障だったのか、そこまでは思いつかなかった。

      ヨーロッパ、ホントに何でもありです(苦笑)



      ウィーン・フィル + リッカルド・ムーティ 2回目

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        Musikverein Großer Saal 2015年4月26日 11時〜12時55分


        Wiener Philharmoniker

        指揮 Riccardo Muti


        Franz Schubert (1797-1828)

         Ouvertüre im italienischen Stil C-Dur, D 591

        Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)

         Symphonie D-Dur, KV 385 “Haffner-Symphonie”

        Johannes Brahms (1833-1897)

         Symphonie Nr. 2, D-Dur, op. 73


        恒例のご近所さんサウナで

        黒パンにラードをたっぷり塗って

        その上にタマネギのスライスを乗せたものが

        あまりに美味しくて

        ついつい、ごっそり食べてから向かった楽友協会。


        今日は寝ても誰からも見えないはずの席なので気が楽(こらっ!)

        シューベルトのイタリア風序曲は

        何だ、ロッシーニのパロディか(笑)

        でもロッシーニではあり得ないシューベルト部分もあって

        割に遊び心いっぱいの作品で

        ムーティも楽しそうである。

        (まぁ、ソロに名人揃いだしな)


        問題のモーツァルトは

        頑張って寝ないように立って指揮者を見るようにしていたが

        立っても寝てしまうって

        モーツァルトって、何でこんなに睡眠薬として効果的なんだ?!


        世の中、不眠で困っている方は

        睡眠導入薬とかを服用する前に

        モーツァルトを聴いてみる事を強くお勧めする(断言)


        ご近所さんに

        モーツァルト聴くと爆睡する、と話をしたら

        荒っぽいスポーツとかの会場に

        モーツァルト流しておくと、みんな大人しくなるらしい

        とか言っていたが

        盛り上がってワイワイやるスポーツ会場に

        モーツァルト流してどうする?(笑)

        ロッシーニあたりの方が合ってると思うよ(爆笑)


        しかしハフナーって、こうやって

        立って必死で寝ないように聴いていると、名曲だな。

        モーツァルトが嫌い、という訳ではなくて

        ただ、聴くと反射的に意識が遠のくだけなので

        素晴らしい音楽だと言う事はわかる。


        しかも、この上なく丁寧に

        細かい部分まで疎かにせず

        限りなく優しい愛情を籠めて

        輝くようなモダン・オーケストラの音色で演奏されるモーツァルト。


        素晴らしい ♡

        素晴らしいけれど、何で眠くなるんだわたし。


        気を取り直して

        後半のブラームス交響曲2番。


        第1楽章はスコアなしで

        ゴージャスなオーケストラの響きを堪能したのだが


        おかしい、スコアなしだと響き方が違う。

        (いや、だから、何をシロウトが・・・(汗))

        何か、スコア見てた方が

        楽器の音の重なり具合(=音符の多さ)が目で見えて

        オーケストラの音の多重性が聴こえてくる(ような気がする)


        昨日スコア見ていた時は

        何かものすごく早く第1楽章が終わったような気がしたのだが

        (ちゃんとリピートはしてます)

        今日、記憶のみで、スコアなしで聴いていると

        何となく昨日より長いような気がするし(汗汗)


        確かにゴージャスな響きなのだが

        この間のエッシェンバッハとのブラームス4番が

        重た過ぎる(重厚すぎる?)響きだったのに比べると

        かなりさっぱりしていて、限界を越えていない。


        しかも、やっぱりケルンテンかザルツカンマーグートの自然そのもの。


        イメージ ↓ こういう感じ(これはヴェルター湖、観光局の公式サイトから)



        湖面のさざ波、周囲の小鳥の囀り、遠くからの雷鳴

        雨の後、木々の梢から水滴が落ちる音

        ああ、もう、もう、本当に自然が美しい ♡


        第2楽章からはスコアに頭を突っ込んだのだが

        うはははは、ブラームスのスコアって

        何てまぁ、よく出来てるんだ?!


        そうか、ここでこの楽器が重なって、それでこの音色か、なんて

        音符見てるだけで大興奮してしまう私は、やっぱりヘ○タイ(自爆)


        頭と感覚で、湖水地方に飛んでしまった私は

        コンサート後、ともかく、どこか湖に行きたい!!!!!


        で、行きました。





        いいんです、イメージ違うけど(涙)

        それに、爽やかとか言うんじゃなくて

        太陽照ってると、むちゃくちゃ暑いし

        ちょっと雲が出ていると、虫がブンブン飛んでるし


        散歩道とか自転車道はあるけれど

        水辺まで行く道が、とんでもなく細い獣道だし

        レストランも洒落たカフェー・ハウスもないし

        向こうには西高速道路が見えてるし


        第一、周囲の山が低過ぎる!!!


        ブラームスの2番じゃなくて

        地元のおじさんたちが民族衣装を来て

        ブラス・バンドで行進しているイメージ(涙)


        やっぱり近場はダメだ(当たり前)


        ヴェルター湖とかは、ちょっと遠過ぎて行けないけれど

        来週、5月1日(金)は祝日でオフィスはお休み。

        ちょっと朝からグムンデンあたりまでドライブしようか、と

        本気で考えている私に

        どうぞ1クリックをお恵み下さい。




        どちらにせよ、サウナの後の洗濯もしたかったし

        お腹も空いたし

        (だって湖の廻り、何にもないし

         ちょっと離れたところにあるレストランなんて

         どうせジモッティの家族連ればっかりだろうし

         第一、一応コンサートに行くお洒落着を着てたし・・・)

        そのまま自宅に戻って来て

        これから、また何処かに出ようかマジメに考えてる。

        夕方5時だが、まだ明るいし、青空広がってるし。



        ウィーン・フィル + リッカルド・ムーティ

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          Musikverein Großer Saal 2015年4月25日 15時30分〜17時25分


          Wiener Philharmoniker

          指揮 Riccardo Muti


          Franz Schubert (1797-1828)

           Ouvertüre im italienischen Stil C-Dur, D 591

          Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)

           Symphonie D-Dur, KV 385 “Haffner-Symphonie”

          Johannes Brahms (1833-1897)

           Symphonie Nr. 2, D-Dur, op. 73


          昨日金曜日は

          ウィーン・フィルとムーティで

          別のプログラム(シューベルトのグレート!)だったのだが


          それに気がついたのが遅過ぎてチケット売り切れだった上

          最後の瞬間にオーケストラ席が出て来たものの

          オーケストラ席47ユーロ、というのはとても手が出ず

          (第一、オーケストラ席の音響は悪い!バラバラに聴こえる)

          よって、金曜日のシューベルトは行きませんでした。悪しからず(涙)


          さて、これはウィーン・フィルの定期公演。

          太陽燦々、ちょうど良い23℃という温度に

          湿気のない爽やかな天気で

          ウィーンの新緑が、目に眩しい華やかな土曜日。


          こんな日にブラームスの交響曲2番が聴けるなんて幸せ ♡♡♡

          (とりあえず前半のシューベルトとモーツァルトはどうでも・・あっ(汗))

          どうせ、何にも見えない席なので(音は良い)

          バッグの中にスコアを入れて、いそいそと楽友協会へ。


          ムーティ、やっぱり人気なのか

          普段、定期公演だと、必ず数人が

          チケット持って入り口で売ろうとしているのだが

          チケットを探している人は居ても、売る人はいないみたい。


          さて、そんな売り切れの公演なのに

          (まぁ、ウィーン・フィルの定期公演はもともと売り切れだが)

          いつもお隣に座るおばあちゃまが、まさかの欠席。


          天気が良いから遠足に行きましょう、と家族に誘われたのなら良いけれど

          ご病気とかでなければ良いなぁ。


          でも、空いていれば、ちょっと失礼して

          ムーティさまの見える席に移動。ふっふっふ。


          シューベルトのイタリア風序曲なんて初めて聴く。

          確かにドラマチックでイタリアン風味で

          でも、シューベルトっぽい弱気な部分もある(笑)


          ムーティは、ここぞと言うところは振るけれど

          アンサンブルがしっかりしている部分とか

          オーケストラに任せて大丈夫、という部分はほとんど動かない。

          やっぱり巨匠の風格。見た目はちょっとコワイが。


          さて、ムーティさまが正面から見える席に移ってしまった私は

          次のモーツァルトのハフナー交響曲が恐怖。


          だってモーツァルト聴くと、突然爆睡する体質なんだもん。

          いやいやいや

          ムーティさまの正面で爆睡したら、恐ろしい事になるような気がするし

          (もちろん指揮者はそんなモン見てないです。ただの妄想)

          正直言えば、ハフナーの演奏時間20分くらいは

          ほとんど拷問の時間。


          演奏そのものは、素晴らしかった。(←必死で聴いた)

          明るい色彩を持って、音色は徹底的に澄み切って

          躍動感溢れる、生命力に満ちた素晴らしい演奏で

          ムーティも時々、指揮台の上でジャンプしていたし

          やっぱりこのオーケストラ、格が違うよなぁ、と感心していたが


          だからと言って、突然襲ってくる瞬間睡眠と戦うのは辛い・・・

          こんな贅沢な拷問ってあるのか、この世には(冷汗)


          なんとか熟睡はせずに

          瞬間睡眠(目を閉じて聴き惚れているように見えるはずだきっと)で乗り切って

          後半は、私の本来の席に移動。


          ムーティの見える席には、他の人が「ここ良い?」って聞いて座った。

          まぁ、スコアを膝に置いて、スコア読む気満々の私を見たら

          ムーティ見る気がないのは一目瞭然だし(笑)


          で、ブラームス!!!!

          ブラームスの交響曲2番!!!!!!!


          この間も実はこの曲、聴いてはいる。

          演奏について、ほとんど書かなかったのは

          まぁ、そこら辺は察して下さい。

          オーケストラ・ピットでは、あの曲はかわいそうだし。


          こんな天気のこのシーズンに

          この曲を聴くと


          ともかく、もう、仕事なんかほったらかして

          高い山々に囲まれた湖水地帯に行きたくなる。


          イメージとしては、グムンデンの広場のホテルのテラスあたり。

          爽やかな風が吹いて

          湖水の表面にさざ波がたって

          キラキラ光っている風景。


          ううう、何て豪華で透き通って

          しかも厚みのあるブラームスの音 ♥️


          スコアを見ていると

          各楽器のパートが目から耳からなだれ込んで来て

          面白いのだが

          ただ、あまりに音響が美し過ぎて

          目から入って来る情報がうるさくて

          (しかもこの曲、ホルンが移調楽器!(怒))

          スコア閉じて、音楽だけに集中したくて困った。


          音楽が美し過ぎる!!!!!

          これぞブラームスというオーケストラの重厚な音に

          これしかないだろ、と言う躍動感と緊張に満ちたテンポ。

          音響オタクとしては、全身に鳥肌がたって

          麻薬に脳を侵されたような気分なのだが

          脳の一部が理性的にスコアを見ていて邪魔をする。

          (自分が悪い!)


          最終楽章に入って

          え〜い、スコアなんて邪魔だっ、と、閉じてしまって

          オーケストラの音だけに集中させてもらったら

          ・・・え〜っと、突然、音の解像度が頭の中で低くなって

          ちょっと音が団子になってしまって驚いた。

          (すみません、全部妄想です。シロートがスコア読めるワケないんだし(爆))


          でも、やっぱりブラームスの音の暖かい重厚な響きが

          もう、もう、もう、涙出る程、嬉しい。


          山に囲まれた澄んだ空気に

          ゆったりと青い水を湛えて周囲の山を写す湖に

          その湖面に、風がさざ波を起こして

          遠くでは、かすかに雷鳴が・・・


          あ〜〜〜〜っ、休暇行きたいっ!(違)


          このブラームスの交響曲2番って

          好きな曲で思い入れがあるからこそ

          なかなか理想的な演奏にはお目にかかれないのだが


          う〜ん、さすがウィーン・フィルとムーティ

          最強のコンビネーションというか

          これ以外にないだろ、というブラームスを

          徹底的に聴かせてくれて

          お腹いっぱいで胸いっぱい。


          涙こぼれそうだし

          (自分の惨めな境遇を云々、というワケではありません(笑))

          見た目はエラそうで、鼻持ちならなく見える

          かなり怖い雰囲気を発散するムーティだが

          やっぱりスゴイわ、この指揮者(って今さら何を(笑))


          明日は指揮者からも誰からも見えない席なので

          モーツァルトの時は熟睡できるし(こらっ!)

          後半のブラームスを目一杯楽しんでから

          天気さえ良ければ

          湖・・・は無理としても、どこかに出かけようかな〜と

          野望がメラメラ燃えている私に

          どうぞ1クリックをお恵み下さい。



          ↑ ちょっと湖とは違うけど(汗)


          週末はダブルもトリプルもございません。

          悪しからず。もう、ホントに財布の底が・・・(以下省略)


          ウィーン交響楽団 + ロビン・ティッチアッティ

          0

            Konzerthaus Großer Saal 2015年4月22日 19時30分〜21時45分


            Wiener Symphoniker

            指揮 Robin Ticciati

            バイオリン Christian Tetzlaff


            Robert Schumann (1810-1856)

             Konzert für Violine und Orchester d-moll WoO1 (1853)

            Anton Bruckner (1824-1896)

             Symphonie Nr. 4 Es-Dur “Romantische” (2. Fassung 1878-80 : Nowak 1953)


            色々な意味で

            (ラファエロかジョルジョーネの美少年というのも含め)

            注目されている指揮者のロビン・ティッチアッティだが

            今まで室内楽オーケストラでしか聴いた事がなく

            ウィーン交響楽団

            しかも大編成のブルックナー4番という事で

            期待値マックスで出かけたコンサート。


            しかもバイオリン・ソロが

            昨年10月に、コンサート当日に子供が産まれたとかで

            コンサートをほったらかしにして

            ロンドンに帰ってしまったクリスティアン・テツラフ。


            ますます期待値が上がる(笑)


            シューマンのバイオリン協奏曲って

            以前は誰も演奏しないマイナーな曲だったのに

            私の記憶だと

            最初はウィーン・フィル+キュッヘルさんで取り上げて

            それから・・・ あ、やっぱり、あんまり演奏されない(汗)


            シューマン全曲の CD は持っているので

            本当はちゃんと予習すべきだったが

            すみません、してません(冷汗)


            しかしテツラフのバイオリンって

            何て理性的に響くんだろ。

            冷たい印象はないのに

            あくまでも冷徹に、感情に溺れず

            しかも、出てくる音が

            すごく優しい。


            洋服は黒のTシャツだし

            見た目、どうみてもそこらへんの浮浪者にしか見えないんだけど

            (テツラフ・ファンの方、ごめんなさい)


            俺サマを見ろ、みたいな自己主張は全くなくて

            淡々と弾くのだけれど

            冷静さと芸術性のバランスが見事。


            アンコールのバッハは

            弱音を多用して

            ありがたい事に

            コンツェルトハウスの聴衆は

            コンツェルトハウスの写真を撮るだけに来ている人は誰もいないようで

            (楽友協会や国立オペラ座は、写真目当ての人が非常に多い(偏見))

            息を潜めて、美しいバイオリンの音色に浸れたのも幸せ ♡


            楽しみにしていた後半のブルックナー4番。


            ううううう

            いったい私は何を聴いたんだ?!


            ツィッターでは呟いたけれど

            とことん室内楽的なブルックナー!!!


            ブルックナーって、普通は

            やっぱり教会でオルガンが響くような

            厚みのあるオーケストラの荘厳な音色を

            ついつい期待してしまうのに


            何でそんなに優しいんですか?


            ハーディングがやるような

            とことん細部に拘った細密画のような方向とはまた違う。


            ピアニッシモでオーケストラを抑えて抑えて抑えて

            その中に木管のアンサンブルが浮かび上がったり

            金管のソロ(ホルン優秀!!!)が

            遠くから響くような音色で聴こえてきたり


            もちろん、フォルティッシモはちゃんと鳴らすんだけど

            盛り上がりというよりは


             僕、ホントは最初っから最後まで

             ピアニッシモで演奏したいのよね

             でも、楽譜にフォルテって書いてあるから

             仕方なく鳴らしてるの


            としか思えない(妄想)


            ティッチアッティが棒を振る時の

            オーケストラの音の薄さというのは

            以前から気がついていたけれど


            まさかブルックナー(しかも4番)で

            これをやられるとは・・・


            第3楽章だって

            トリオールで響く金管が

            本来であれば、狩りの華やかさを伝えてくるはずだが


            ううう、やっぱり、これ、室内楽だわ。

            華やかさの欠片もない・・・


            全体的に遅めのテンポで

            もちろん、フォルテになるところでは

            多少なりともアッチェルランドでテンポを上げるのだが

            一時的な爆発はしても

            爆発という現象だけで


            全然盛り上がらないよ、これ。


            いや、驚いた。

            こんなブルックナー、ありですか・・・(呆然)


            ちょっと呆気に取られたというか

            自分の中のブルックナー像と全く合わないものを聴いちゃったので

            良し悪しとか

            好みの問題よね、とか開き直って

            私はこれが好き、とか嫌い、とか言う以前に


            どう判断して良いか、さっぱりわからん(困惑)


            ショックのあまり

            ちょっと思考停止に陥っている私に

            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            ちょっとハードな日が続いたので

            (まぁ、3月と比べたら楽なものだが)

            木曜日・金曜日は、夜のお楽しみは行かない(予定)

            あくまでも予定だが(笑)


            TANZPERSPEKTIVEN 6回目観賞記 訂正済

            0

              Wiener Staatsballett 2015年4月21日 19時30分〜21時50分


              Wiener Staatsballett 2015年4月21日 19時30分〜21時50分


              TANZPERSPEKTIVEN


              A Million Kisses to my Skin (David Dawson)

              Musik : Johann Sebastian Bach, Klavierkonzert Nr. 1 d-Moll BWV 1052

              Klavier : Shino Takizawa

              Olga Esina, Vladimir Shishov, Nina Poláková, Davide Dato

              Liudmila Konovalova, Masayu Kimoto, Maria Yakovleva

              Kiyoka Hashimoto, Alice Firenze


              Eventide (Helen Pickett)

              Musik : Philipp Glass, Ravi Shankar, Jan Garbarek, Anouar Brahem, Shaukat Hussain

              Kiyoka Hashimoto, Gala Jovanovice, Ketevan Papava, Irina Tsymbal

              Ryan Booth, András Lukács, Richard Szabó, Robert Gabdullin

              Eno Peci, Vanessza Csonka, Nikisha Fogo, Oxana Kiyanenko

              Eszter Ledán, Anita Manolova, Laura Nistor, Flavia Soares

              Oxana Timoshenko, Nina Tonoli, Céline Janou Weder


              Vers un pays sage (Jean-Christophe Maillot)

              Musik : John Adams

              Olga Esina - Roman Lazik

              Irina Tsymbal - Greig Matthews

              Ketevan Papava - Andrey Kaydanovskiy

              Prisca Zeisel - Alexis Forabosco

              Franziska Hollinek, Wallner-Hollinek, András Lukács

              Nina Tonoli - Jakov Feyferlik


              Windspiele (Patrick de Bana)

              Musik : Peter Ilijitsch Tschaikovsky, Konzert für Violine und Orchester D-Dur op. 35

              1. Satz

              Violine : Volkhard Steude

              Davide Dato, Ioanna Avraam, Alice Firenze, Zsolt Török

              Marcin Dempc, Dumitru Taran, Alexandru Tcacenco, Géraud Wielick


              指揮 Markus Lehtinen


              何でキャストが書いていなかったかと言うと

              どうも、座席のところに、せっかく買ったキャスト表を忘れたらしいのである(涙)

              (で、やっと後でアーカイブに載ったサイトを友人が知らせてくれたので

               上記、記載しておきます。Y さま、ありがとうございました!)


              この演目、2013年に5回鑑賞していて

              (うち1回は残念ながら途中で抜けた)

              今回で6回目になるけれど

              来シーズンはプログラムに載っていないから

              たぶん、これが最終公演だろう。


              キャスト表がないので残念だが

              (註 後でわかったので追加)

              国立オペラ座のプリンシパルをぶち込んだ

              非常に豪華絢爛な公演。


              最初の作品、バッハのピアノ協奏曲に乗って

              ダンサーが音符のように舞う作品。

              ストーリーとかはないのだけれど

              音楽=ダンスという一体感がスカッとする。


              おおお、マリアにイリーナにニナにオルガさま ♡

              シショフもいるし、橋本さんや木本クンも居る。


              こういうのって、ダンス表現としか言いようがなくて

              ただもう、ひたすらダンサーが音符になって

              舞台上を飛んでいる、という印象。


              難しいとか言うのではないけれど

              ナマな感情のストーリーは浮かんで来ないのに

              何か、音楽と一体化している身体表現って夢中になってしまう。


              テープで踊られる Eventide は

              エキゾチックでエロチックで

              これもモダンなんだけれど

              これは、しっかりと男女のナマの性的動きを連想させる。


              最初にエノと橋本清香嬢のカップリングのソロなのだが

              橋本清香嬢が、あまりに色っぽくて

              席で仰け反っていた。

              うわわ、こんな色っぽくて

              木本クンが観たら嫉妬に狂いそうなレベルだわ(妄想)


              赤のジゼル公演でプリンシパルになった

              ケテヴァンの華やかさも素晴らしい。


              こういう、生々しい作品って

              それぞれのダンサーの個性が、かなりクッキリ出るなぁ。

              ただの体操ではなく

              観客に訴えてくる力を持つ芸術って

              こういうものか、と納得する。


              後半の Vers un pays sage  という作品。

              何故か、これ、すごく好き。

              抽象的というか

              シンボリックと言うか

              学校の理科で習った遺伝子とかが動いている感じというか

              人との流動的な繋がりというか


              要は色々な意味で妄想を掻き立てる作品なのだ。


              各ダンスの振付のエレメントが

              鑑賞するたびに、様々な様相を見せてくれて

              そのたびごとに、喚起するイメージが多様な不思議な作品。


              振付も良いのだが

              この作品、ジョン・アダムスの音楽(テープ)がまた良くて

              舞台は何もない簡素な舞台なのだが

              照明が、とてもとても良いのである。

              ほんの少しの色合いや、モチーフで

              全く異なった世界を映し出す力を持った照明なんて

              なかなかお目にかかれない。

              (だいたい、普通は照明なんて気にしません)


              で、最後がパトリック・デ・バナの作品だったのだが

              う〜、好みの問題なのだが

              バナの作品、私はどうしてもあんまり好きになれない(汗)


              だって、動きがあまりに体操というか

              激しいアクロバティックな動きが

              最初から最後まで連続して(=盛り上がりがない)

              これ、音楽なんかつける必要あるんかい、って

              突っ込みたくなってしまう。


              で、他のモダン作品に見られるような

              斬新な部分とか、ハッとする身体の動きや形とかが

              あんまりなくて

              何故か、割にベタに泣いているところとかが

              センチメンタルに出てくると

              体操との違和感で、戸惑ってしまう。


              頑張って踊ったダヴィデはスゴイと思うし

              あの激しい体操を、最初から最後まで踊ったダンサー全員には

              脱帽するけれど


              すみません、舞台を観るというよりは

              オーケストラ・ピットで演奏されていた

              シュトイデさんのソロによる

              チャイコフスキーのバイオリン協奏曲にうっとりしてました ♡


              だって、本当に美しいんだもん。

              コンサート・マスターがソリストになる、というのは

              あまり好きではないのだけれど

              シュトイデさんのバイオリンって

              コンサート・マスターやっている時と

              ソリストやっている時では、かなり違う。


              コンサート・マスターのソロの時は

              時々、おずおずと

              そんなに遠慮しなくても、もっと厚かましくやったら?と

              背中を押してあげたくなっちゃう時もあるのだが


              チャイコフスキーのバイオリン協奏曲の

              完璧なテクニックに裏打ちされて

              オーケストラのメンバーを信頼し切って

              その中で、自分の音楽を演奏しようという気概と

              あくまでも澄み切ったバイオリンの音に完全にノック・アウト。


              難曲だと言う事はわかっているけれど

              速いパッセージも余裕綽々で聴かせるテクニックがあるので

              しっかり安心して聴いていられる。

              カデンツァなんて、指揮者も棒を休めていたし(笑)

              オーケストラのメンバーは

              バイオリンに聴き惚れて

              舞台のジャンプでトゥの音がすると

              舞台の上を「雑音で邪魔するな」みたいな感じで

              イヤそうに見上げていたし(爆笑)


              いや、舞台の上で激しいアクロバット体操をしていた踊り手には申し訳ないが

              音楽のあまりの素晴らしさに呆然としてました。


              これで最後と思うと名残惜しいが

              モダンは、またタイトルを変えて

              他の演目と組み合わされてリバイバルする事もあるので

              少なくとも Evantide とか Vers un pays sage は

              何かの折りに再演して欲しいなぁ。


              バレエと音楽の楽しみに

              酔ってキャスト表を忘れた

              アホな私に

              どうぞ1クリックをお恵み下さい。





              バイエルン国立管弦楽団 + キリル・ペトレンコ

              0

                Musikverein Großer Saal 2015年4月20日 19時30分〜21時45分


                Bayerisches Staatsorchester

                指揮 Kirill Petrenko

                バリトン Christian Gerhaher


                Maurice Ravel (1875-1937)

                 La Valse Poème chorégraphique pour Orchestre

                Karl Amadeus Hartmann (1905-1963)

                 Gesangsszene nach Worten aus “Sodom und Gomorrha” von

                  Jean Giraudoux für Bariton und Orchester

                Hector Berlioz (1803-1869)

                 Symphonie fantastique, op. 14


                何かウィーンはミュンヒェン祭りみたいだが

                昨日のバイエルン放送交響楽団に続いて

                バイエルン国立管弦楽団と首席指揮者のキリル・ペトレンコの公演。


                実はこのコンサート、しかも

                いつもの安い席じゃなくて

                44ユーロも出して(どうせ貧乏人です)

                バルコン・ロジェの3列目を買ったのは

                ひとえにクリスティアン・ゲルハーヘルを聴きたい、という理由による。


                何せ人の声だから

                オーケストラの後ろではダメなのである(断言)


                さて、ゲルハーヘル以外はあまり期待せずに行ったコンサートだが

                最初のラヴェルの、ラ・ヴァルス。


                おおおおっ!!!

                最初はおずおずと

                最初に出てくるテーマは音量を極限まで抑えて

                パステル色の、かなりラヴェルらしい透明な色合いで持って来た。


                しかもゲネラル・パウゼが心持ち長い。

                ちょっと焦らされたような

                その分、メロディが混沌の中から

                フワッと浮き上がってくるイメージ。


                主題が華やかに演奏される頃になると

                オーケストラがうねって、爆発的なエネルギーを醸し出す。


                うわ、これ、ものすごく劇的で

                オペラちっくで

                何か、ストーリーを語られているような感じ。


                途中のオーケストラの多少の乱れはあったものの

                それは力任せで押し切るところは

                オペラの演奏に慣れているオーケストラの強みか(笑)


                でもこれ、交響詩ワルツの残骸にもなっていないし

                ちゃんとワルツ(しかもウインナー・ワルツ!)で

                中間部の小洒落たところは

                イヤミったらしい程に、洒落まくって(パロディかこれは)

                最後の部分は

                ワルツなんだけど

                ドイツの行進曲も入ってますよ(妄想)という

                (3拍子に加わるティンパニが4拍子に聴こえるんです(笑))

                何とも元気なバイエルン風味になった。


                わっはっはっはっは

                スゴイじゃないか、これ、指揮者の手腕か。

                すごい立体構成と語りのエネルギー。


                カール・アマデウス・ハルトマンは

                ウィーンでは滅多に演奏されない作曲家で

                ミュンヒェン生まれで

                ナチに退廃芸術のレッテルを貼られて

                それでも当時の現代音楽の発展に大きな寄与をした人らしい。


                ・・・すみません、本当にこの人の作品、演奏されないんです、ウィーンでは。

                私も今回、初めて聴く(不勉強でごめんなさい)


                ジャン・ジロドゥによるソドムとゴモラの演劇の

                歌のシーンを作曲したこの作品は

                ハルトマンの絶筆(未完)だそうだ。


                最初の、インストルメンタルの Introduktion は

                フルートのソロで始まるのだが


                うわわわわ、フルートのソロ、美しい・・・

                不思議なメロディが楽友協会の中に微風を起こし

                空気の中に溶け込んで広がって

                それに絡まってくる木管の感じって


                ちょっとピエール・ブーレーズの初期作品に似てるかも(妄想)


                でもブーレーズよりも温度が微妙に高い。

                あくまでも澄んだ空気の中に漂っている印象だが

                空気そのものの、ほんの少しの温度を感じさせる。

                ストリングスが入って、金管が少し、垂らされた絵の具のように加わって

                それでも、まだ空気・空間はあくまでも澄んでいる。


                うわ〜〜、これ、こういう音楽、正に私好み ♡


                ゲルハーヘルのバリトンが語りで入る。

                歌なのだが、語りの部分が多い。


                容赦なく歌っているのに

                金管、パーカッション一杯で襲いかかってくるオーケストラに

                沈まない声で

                しかも、声を荒立てる事なく

                淡々と語っていくゲルハーヘルの美声 ♡♡♡


                ああ、高くてもこの席、買って良かった。


                ゲルハーヘルの声は、昨日のハンプソンに比べれば細い。

                ただ、その分、とても理性的に響くし

                ドイツ語の一語一語を疎かにせず

                しっかりと聞かせてくれる。

                (初演はディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウが歌ったそうだ)


                ソドムとゴモラの話だし

                それをフランスの詩人が書いた

                とてもとても文学的な香りの高いテキストで

                (ドイツ語で歌われる)

                お話というには、あまりに崇高過ぎて(笑)


                まぁ、富を蓄積してもダメよ、みたいな内容だけど(違)


                最後はシュプレッヒ・シュティメになって

                Es ist ein Ende der Welt ! Das Traurigste von allen !


                の部分の囁くような allen のところで

                派手に咳をした奴を、私は許したくない(涙)


                最後にオーケストラが入り

                またフルートのソロが入るのだが


                あれ、ヨーロッパの楽曲って

                彼岸とか死とかにフルートとかピッコロ使うケース

                多くないですか?

                (思い出したのはオネゲルのピッコロだけど

                 何となく感じが似てるんです)


                でもこれ、スゴイ曲。

                手触りとか、感じる空気とか

                ソドムとゴモラは私の文化圏にはないから

                本当の内容とかは、日本人としては理解し難いのだろうが

                音楽そのものとして聴いても

                モダンで劇的で、アヴァンギャルドで伝統的で

                ああ、何か、全部がミックスされていて

                すごく良い感じ。


                興奮して終わった前半の後は

                ベルリオーズの幻想交響曲。


                この曲、何回、色々な指揮者とオーケストラで聴いたか

                数えられない位だが

                ラ・ヴァルスで見せて(聴かせて)くれた

                あの「語り口」で幻想を演奏するのなら、期待値が高い。


                最初の部分で、もう、実にオペラちっく(笑)

                一瞬、プッチーニ聴いているような錯覚に捉えられる。

                これって、オペラの序曲でしたっけ?


                ところが・・・

                私の耳がオカシイのかもしれないし

                いったい、何が起こったのか、未だに判断できないのだが


                第1楽章の途中から

                時々、バイオリンが入るところで

                ガラスを引っ掻いたような

                自転車のブレーキのような

                とても耳触りな擦れ音が時々聴こえてくる!!!


                バイオリンの弓に何かあったのか

                それとも、聴衆の誰かの何かに

                バイオリンの一部の音が共鳴しているのか

                ともかく、よくわからんのだが

                ガラス引っ掻き音って(時々入るだけだが)気持ち良いものではない。


                音楽表現は(何せプッチーニ・オペラですし(違))劇的で

                うねって歌って、ピアニッシモからフォルティッシモまで

                テンポの揺れも激しく

                ペトレンコの語り口の巧さは

                もうこれ、センスの違いとしか言えないくらいで驚嘆するが

                時々入るあの雑音ばかり気になって集中できないっ!!!


                あんなにはっきり聴こえていたのだから

                もしオーケストラに難があるとしたら

                第1楽章が終わった時に、弦の音合わせをもう一度すれば良いと思ったのだが

                音合わせも調整もなしに

                そのまま第2楽章に突入。


                で、雑音はともかくとして

                このワルツも・・・・う〜ん、これは天性のセンス。

                テンポの取り方、強弱の付け方、ニュアンスが

                とことん洗練されていて、文句のつけようがない(雑音以外は)


                第3楽章はコールアングレとフルートの掛け合いだから

                弦は後から入ってくるので

                そのまま、風の吹く平原を楽しませてもらって

                第1楽章ではむちゃくちゃ気になったガラスの擦れるような音も

                時々は入ってくるけど、もう、これ仕方ないだろう(開き直り)


                第3楽章は、演奏の仕方によっては

                クソつまらなくなるのだが

                遅いテンポにもかかわらず

                あんなに「語り」の要素を巧く使って

                聴かせてしまう演奏も珍しい。

                語り手ペトレンコ、実に雄弁(笑)


                断頭台への行進は、まるでヴェルディかワーグナーで

                元気で、明るくて、しかも意外に不気味で

                いや、気持ち良いです。まだ雑音入ってるけど(ため息)


                楽しい楽しいワルプルギスは

                もう、実に楽しかった ♡

                揺れるテンポ、劇的な表現

                オペラっぽいうねりに、オーケストラが物語を語るわ語るわ

                えっ、こう演奏しちゃうの?という驚きの部分も結構あって

                それがまた、劇的表現として

                ストンと落ちてしまう。


                あのガラスの擦れるような時々入る雑音がなければ

                ものすごく感激しただろうと思うのだが・・・ともかく残念。


                アンコールはリムスキー・コルサコフの

                クマンバチの飛行。

                まぁ、こんな曲を余裕綽々で

                しかも、またもや物語を紡ぎ出して聴かせてくれるなんて♡

                (また例の雑音聴こえてたけど(涙))


                前半が思いがけない程

                期待を遥かに越えて良かっただけに

                後半もあのヘンな音さえなければ名演だったと思うのに

                何か、すごく残念なのだが

                私の耳がおかしかったんだろうか?

                (いや、でも、かなり激しく聴こえてたもん)


                ちょっと離れたロジェには

                オーストリア大統領とその夫人も来ていたし

                (でも、別にそこを締め切ってる訳でもないし

                 セキュリティの人なんか、全然見かけなかった。

                 まぁ、オーストリア共和国って

                 楽友協会の最も大きなスポンサーだろうからな(笑))

                実に素晴らしい演奏だっただけに

                ちょっと、残念な気分の私に

                どうぞ1クリックをお恵み下さい。






                トーマス・ハンプソン + ヴォルフラム・リーガー

                0

                  日曜日のダブル・ヘッダー

                  時系列で読みたい方は、まず ここ からどうぞ


                  下は夜のコンサートです。


                  Musikverein Großer Saal 2015年4月19日 19時30分〜21時30分


                  バリトン Thomas Hampson

                  ピアノ Wolfram Rieger


                  Richard Strauss (1864-1949)

                   Himmelsboten zu Liebchens Himmelbett, op. 32/5

                   Heimliche Aufforderung, op. 27/3

                   Freudliche Vision, op. 48/1

                   Mein Herz ist stumm, mein Herz ist kalt, op. 19/6

                   Sehnsucht, op. 32/2

                   Ruhe, meine Seele, op. 27/1


                  Alexander Zemlinsky (1871-1942)

                   Mit Trommeln und Pfeifen, op. 8/3

                  Gustav Mahler (1860-1911)

                   Revelge

                  Paul Hindemith (1895-1963)

                   O, nun heb du an, dort in deinem Moor, op. 14/2

                  Charles Ives (1874-1954)

                   Tom Sales Away

                   Things our Fathers Loved

                   In Flanders Fields


                  Richard Strauss

                   Vom künftigen Alter, op. 87/1

                   Und dann nicht mehr, op. 87/3

                   Im Sonnenschein, op. 87/4


                  Gustav Mahler

                   Blicke mir nicht in die Lieder !

                   Ich atmet’ einen linden Duft

                   Um Mitternacht

                   Ich bin der Welt abhanden gekommen


                  バリトンのトーマス・ハンプソンのリサイタル。

                  しかもブラームス・ホールじゃなくて大ホール。


                  オーケストラが好きな私は

                  リサイタルというのは滅多に行かないのだが

                  何故か、最近、楽友協会のチクルス買いをすると

                  オーケストラに加えて、リサイタルが混じっている事がある。


                  国立オペラ座のモダン・バレエの公演にも行きたかったのだが

                  (何回も同じ演目は観てますが(爆))

                  財布の底が完全に抜けている事だし

                  せっかく持っているチケットを無駄にするのも、もったいない。


                  午前中の売り切れだったコンサートに比べると

                  何か、かなり空席が目立つのだが・・・


                  オルガンの脇の席は

                  こと、人間の声に関しては非常に音響が悪く

                  (人間の声は前に飛ぶのである)

                  席が空いているのを確認してから

                  少しずれて、舞台の脇の3列目に移動。


                  ・・・(唖然)


                  ハンプソンの声がでかい。

                  あまりの声量に、舞台の脇だとうるさい。

                  後ろの壁に反響して響いてくるので

                  ますますうるさくて耳が痛くなる。


                  声量のある人だとは知っていたけれど

                  ドイツ・リートを歌うんなら

                  もう少し声を抑えんかいっ!!!


                  ソット・ヴォーチェにしようとすると

                  時々不安定に聴こえるし(声の色が変わる)

                  フォルテで歌った時には、1回、上ずったし・・・


                  いや、力強く男性的に歌われるリヒャルト・シュトラウスも良いけど。


                  リヒャルト・シュトラウスのリートって

                  かなり知ってると思っていたけれど

                  いくつか知らない曲があって


                  何とまぁ、マイナーな曲を・・・

                  (↑自分が知らないとマイナーと決めつける私をお許し下さい)


                  ハンプソンの声は美声である。

                  倍音たっぷりの、すごく豊かな美しい声で

                  しかも、声量もあるのだから

                  この人、ドイツ・リートとかじゃなくて

                  イタリア・オペラでガンガン歌わせた方が合っているような気もするんだが。


                  ツェムリンスキーからの1サイクルは

                  戦争の歌が中心になって

                  ツェムリンスキーのリートは

                  民謡的な、軽いおフザケ的なメロディの中に

                  恐ろしい程の残忍さが潜んでいるところを

                  実に劇的に描き出した。


                  チャールス・アイヴスの歌は英語で

                  アイヴスらしい不思議な雰囲気の歌 ♡


                  しかし、あまりの声量に圧倒されて

                  これは、舞台からなるべく遠くに逃げねば、と

                  休憩時間中に、係の人に

                  「あそこ空いてるよね、移って良い?」と聞いたら

                  結構ガラガラに空いてるから、好きなところにどうぞ

                  ・・・・って、楽友協会って、こういうところは甘いのだ(笑)


                  バルコンの舞台から離れた場所にいそいそと移動して

                  後半は、舞台から離れたので

                  声量の大きさも、ほどよく緩和(それでも声はでかい)


                  リヒャルト・シュトラウスの

                  これもマイナーな曲(自分が知らないだけ)を数曲歌った後

                  マーラーのリュッケルト歌曲集。


                  プログラムには Ich atmet’ einen linden Duft から書いてあったのに

                  出てきたとたんに

                  Blicke mir nicht in die Lieder ! を歌ったのにビックリ。


                  何だ、マーラー歌うと声量も少しは落とせるんじゃん。

                  (もっとも Blicke mir nicht in die Lieder という

                   あの繊細で言葉ばかり多いリートを

                   大声量で歌うのは不可能だろうが(笑))


                  しかし、ハンプソンのバリトンの声

                  美声で深くて厚みがあってチャーミングなのに

                  何故か暗さがなくて

                  Um Mitternacht も Ich bin der Welt abhanden gekommen も

                  恨みがましさとか、僻みとか暗さとか

                  ヨーロピアン的な冬の陰鬱さとかが感じられないのは何故だ?

                  (私の感受性がゼロに近いという理由もある)


                  Um Mitternacht なんか

                  声量を抑えず、最初から普通の声の大きさで歌ってしまったので

                  途中の、神よ、ああ神よ(意訳)というところで

                  そんな大声張り上げられても

                  前半との対称で、あまり差がなくて・・・(好みです好み)


                  Ich bin der Welt abhanden gekommen も

                  その意味では、前半の恨みがましい暗い部分と

                  後半の開き直り部分(悟ったとも言う)の差異がほとんどなく聴こえる。


                  いや、美声だし美しいし

                  時々チャーミングだし、声そのものは本当に厚みがあって素晴らしいのだが。


                  アンコール3曲。

                  最後は Morgen これは男性歌手のアンコールの定番か?(笑)


                  普通、ドイツ・リートのリサイタルだと

                  楽友協会では大ホールじゃなくて

                  ブラームス・ホールの場合が多いのだが

                  トーマス・ハンプソンの声量で

                  ブラームス・ホールでやったら

                  聴衆全員が難聴になるレベル(たぶん)


                  その意味では、大ホールで良かった、と

                  つくづく思う私に

                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。





                  バイエルン放送交響楽団 + マリス・ヤンソンス

                  0

                    Musikverein Großer Saal 2015年4月18日 11時〜13時


                    Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks

                    指揮 Mariss Jansons

                    バイオリン Frank Peter Zimmermann


                    Johannes Brahms (1833-1897)

                     Konzert für Violine und Orchester D-Dur, op. 77

                    Igor Strawinsky (1882-1971)

                     Petruschka, Burleske Szenen in vier Bildern, Fassung 1947


                    マリス・ヤンソンスとバイエルン放送交響楽団のコンサート。

                    かなり前から完全に売り切れ状態。


                    ヤンソンス人気???

                    ・・・だろうな、たぶん。


                    ブラームスのバイオリン協奏曲。

                    オーケストラの音が、かなり外向きの印象。

                    同じくヤンソンスが振っても

                    割に中立的で中道的な、優等生の音がするコンセルトヘボーに比べると

                    このオーケストラ、もう少し元気が良い。

                    (どうせ妄想ですが、ただの個人的なメモなので

                     読者はあまりマジメに取らないように)


                    でもブラームスの暖かい厚みのある音は充分に出ている。

                    ちょっと鋭いかな、と思わせるところもなくはないが。


                    フランク・ペーター・ツィンマーマンのバイオリンは

                    好き嫌いを言うなら、ちょっと苦手。

                    いや、それでなくても

                    高音の続くバイオリンって、ちょっと苦手なので

                    すみません、読者の皆さま、失礼があったらお許し下さい。


                    高音は美しい。ガリガリしないし澄んで出てくるのだが

                    何か、う〜ん、ちょっと泣いてるような感じで

                    絶妙なポルタメントとかかかると

                    ううう、ワタクシ的には、古典であれやられるとちょっと。

                    (あくまでも好みの問題ですってば)


                    アンコールの超絶技巧バッハは

                    超絶技巧でサーカスみたいで

                    ポルタメントもビブラートもなくて

                    これは、ホール全体に美しく響いてマル。

                    ほら、好みって、そんなもんですよ、所詮。第一、私、ド素人だし(開き直り)


                    後半のペトルーシュカ。

                    すごく元気で良い感じ(すみません、ヘンな感想で)

                    市場が、とても活き活きとしていて

                    雑然とした中に自分が居るような妄想を掻き立てる。


                    ストラヴィンスキーとか

                    テンポ設定と縦の線がきちんと揃っていれば

                    それなりに形になってしまって

                    指揮者の感情やら音楽解釈やらの自由度は低いような気がするけれど

                    ヤンソンスの音楽処理は見事だと思う。


                    あまり独裁者になっていない、というか

                    ソロなどは任せるところは任せてしまい

                    ほんの少しのキューとテンポの指示だけで

                    後はオーケストラが歌わせる音楽に

                    自分も身を委ねて、一緒に音楽の一部になっているかのよう。


                    ペトルーシュカのポリフォニーが

                    私はとっても好きなのだが

                    このポリフォニーの処理も見事で

                    どこかが浮き立ってしまうような事がない。


                    演奏そのものは、派手なところもなければ

                    目立とうとか、奇抜にしてやれ、とか

                    変な力が一切入っていなくて

                    正統的でマジメで


                    でも、妄想だけど、すごい愛がある(妄想です、妄想)

                    あれだけグロテスクな内容の音楽だし

                    オーケストラの音も硬質でストラヴィンスキーに合っているのに

                    何となく温かい手触りが伝わってくる(だから妄想です)


                    ただ、本当に温かくなったのは

                    アンコールで演奏された

                    チャイコフスキーのクルミ割り人形の

                    金平糖のコーダ。


                    演奏始まったとたんに

                    リュドミラの顔が目の前に浮かんで来たのには

                    自分でも参ったが(笑)


                    あの、サーカスっぽい、盛り上がりのウケがテンコ盛りの

                    悪く言えば、かなり俗なチャイコフスキーの曲を

                    これも、無駄な力が入らず

                    でも、盛り上がるところは、きっちりと盛り上がって

                    ペトルーシュカでは表現できなかった

                    熱い激情を、しっかり聴かせてくれて


                    うわ〜、ちょっと、こんなベタな音楽で感激しちゃうなんて(テレ隠し)


                    で、次のアンコールが

                    リゲティの Romanian Concerto - Finale

                    (註:楽友協会のサイトで確認済み。会場ではわかりませんでした(爆))


                    民族音楽の要素たっぷりの

                    名人芸ソロ目一杯で、茶目っ気があって

                    ノリノリ・テンポで

                    オーケストラが目にも止まらぬ速さでの名人芸を

                    次から次に出してきて

                    指揮者も楽しそうだし、オーケストラも楽しそう(笑)


                    でも、こんなサーカスみたいな難曲を

                    アンコールで演奏しちゃうオーケストラもスゴイ。


                    隣に座っていた男性が

                    ヤンソンスは良いねぇ

                    もう少し若くて健康に支障がなかったら

                    きっと、ベルリン・フィルの次の首席になっていただろうに

                    ・・・と呟いていた。


                    スターになればなる程

                    私は(天の邪鬼なので)関心が無くなって行くし

                    ヤンソンスは、才能あってマジメで職人で

                    それだけに際立った個性を感じられない指揮者というイメージだが

                    でも、この指揮者、ものすごく音楽好きなんですね、きっと。

                    (いや、音楽キライな指揮者なんて居ないとは思うけどさ)


                    朝8時からご近所さんサウナに入って

                    お隣さんが焼いたアップル・ケーキを

                    ホイップ・クリームたっぷりつけていただいてから

                    こういうコンサートに行ける日曜日の幸せ ♡


                    太陽燦々と輝いて

                    新緑が眩しくなって

                    ウィーンって、こんなに緑多かったっけ、と

                    毎年、感嘆している私に

                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。





                    ドイツ・ライン・バレエ団

                    0

                      Festspielhaus St. Pölten 2015年4月18日 19時30分〜21時20分


                      Ballett am Rhein : SINFONIEN


                      Sinfonien

                      Sinfonia I (“Foglie”) und Sinfonia II (“Recordanze”) von Wilhelm Killmayer

                      振付 Martin Schläpfer

                      舞台 Thomas Zigler

                      衣装 Catherine Voeffray

                      照明 Franz-Xaver Schaffer

                      指揮 Axel Kober

                      オーケストラ Tonkünstler-Orchester Niederösterreich

                      ダンサー Marlúca do Amaral, Jackson Carroll, Richard Jones, Yuko Kato

                      Anne Marchand, Alexander McKinnon, Boris Randzio

                      Alexandre Simões, Elisabeta Stanculescu


                      Johannes Brahms - Symphonie Nr. 2

                      Sinfonie Nr. 2 D-Dur op. 73 von Johannes Brahms

                      Für Peter Appel

                      振付 Martin Schläpfer

                      舞台・衣装 Keso Dekker

                      照明 Franz-Xaver Schaffer

                      指揮 Axel Kober

                      オーケストラ Tonkünstler-Orchester Niederösterreich

                      ダンサー Sachika Abe, Ann-Kathrin Adam, Marlúcia do Amaral

                      Rashaen Arts, Doris Becker, Andriy Boyetskyy, Paul Calderone

                      Jackson Carool, Martin Chaix, Wun Sze Chan, Odsuren Dagva

                      Mariana Dias, Feline van Dijken, Philip Hadschin, Christine Jaroszewski

                      Yuko Kato, So-Yeon Kim, Sonny Locsin, Anne Marchand, Marcus Menha

                      Chidozie Nzerem, Louisa Rachedi, Boris Randzio, Claudine Schoch

                      Virgnia Segarra Vidal, Alexandre Simões, Irene Vaqueiro


                      ドイツのデュッセルドルフ・ドゥイスブルク共通の劇場である

                      ライン・ドイツ・オペラのバレエ団の公演。


                      こういうモダンはウィーンじゃやってくれない(笑)

                      イム・プルス・タンツというコンテンポラリー・ダンス・フェスティバルがあるが

                      これは、モダンというより、もっとアグレッシブなので(爆笑)


                      保守的なウィーンでやらない事に生き甲斐を見いだしている

                      お隣低地オーストリア州の州都、サンクト・ペルテンで

                      こういうモダン・ダンスの公演をしてくれるのは有り難い。


                      しかも、ウィーンの観客を狙っているので

                      シャトル・バスまである。

                      いや、自分の車でドライブしても良いのだが

                      (地下駐車場は広くてしかも無料)

                      ガソリン代を考えたら、バスの方が半値以下。


                      土曜日の15時45分のバスに乗ってサンクト・ペルテンへ行き

                      17時から、来シーズンのプレゼンテーションを聞いて

                      (これがもう涎モノで・・・カレンダー書かなきゃ(汗))

                      18時半から、振付師のマルティン・シュレプファーの話を聞いて

                      公演を見て、またウィーンに帰って来た。

                      何と言う充実した土曜日 ♡


                      最初の演目、シンフォニーは

                      ドイツの作曲家ウイルヘルム・キルマイヤー(*1927) の音楽。

                      2曲あって、トーンキュンストラーがナマで演奏する。


                      現代音楽と言っても、かなり保守的というか

                      ちゃんとメロディ聴こえてくるし、違和感はない。


                      シュレプファーの話では

                      バランシン作品のアレグロ・ブリリアンテの対極を目指したものらしい。

                      アレグロ・ブリリアンテのように

                      クラシックのテクニックを目にも止まらぬ速さで踊るのではなく

                      ギリギリで止まりそうなところまで動きを抑えて

                      振付師ご本人の言葉によれば、バレエによるヨガみたいなものだとか。


                      で、男性の支え手があるにしても

                      女性ダンサー全員、ポワントでずっと立ったまま。

                      しかも脚上げたら、そのままポワントで脚上げたままキープ。

                      更に、そのキープもむちゃくちゃ長い。


                      ・・・女性ダンサーが、無理です、と言うかと思いきや

                      トゥシューズに入れるトゥパッドやクッションで対処したらしい。

                      そりゃそうだろ、あのアダージョでポワントで立ちっぱなし・・・


                      でも音楽的に面白かったのは2番目の曲で

                      ミニマル・ミュージックではないのだけれど

                      楽器のソロが多くて、これがもう、何とも言えず美しくて

                      舞台で踊られているダンスより

                      音楽の不思議な世界に聴き惚れてしまい

                      あんまり舞台の印象がない・・・(すみません)

                      (何と言うか、ワタクシも耳人間なんだなぁ、と反省)


                      最後はダンサー全員が水の桶を持ってきて

                      水に足や頭をバシャッと突っ込んで

                      真ん中のダンサーがパシャパシャやってお終い。


                      何か不思議なダンス(笑)

                      でも、まごうかたなきクラシックである。

                      コンテンポラリーのカンパニーに有り勝ちな

                      独りよがりの部分はない。


                      きっちりとクラシックの基本は押さえた上で

                      現代的でモダンで

                      芸術的で人間的な作品になってる。


                      後半はブラームスの交響曲2番。

                      プレトークの時にマルティン・シュレプファーが

                      モーツァルトは都会的だが

                      ブラームスの交響曲2番は、自然の音楽だ、とか言っていたが

                      確かに、ブラームスの2番って

                      ブラームスの交響曲の中でも

                      最も自然に近い。


                      ダンスはアンサンブルで

                      これも、何と言ったら良いのか(悩)

                      大自然の横溢するエネルギーを

                      身体表現で伝えてくるのが

                      ブラームスの曲と相まって、ものすごく印象的。


                      何と言うか、自然の中のミステリアスなものが

                      クラシック・ダンスの中で

                      人間のナマな肉体によって語られている感じ。


                      第3楽章は女性ダンサーのソロ。

                      プレトークでも言われたけれど

                      このダンサー、クラシック・ダンサーとしては

                      小柄だし、身体もゴツいのだが

                      舞台の上で発するオーラが中途半端じゃなくて強い。

                      そうか、こういう、ダンサー中心の振付もありか(納得)


                      う〜ん、言語で表現できない(困)

                      これこそ、肉体と音楽による

                      それしか出来ない表現ではないか・・・


                      このバレエ団のクリップがいくつかあるので

                      そのうちの1つを貼っておく。

                      1分24秒くらいからのモダン・ダンスが

                      今日の公演にかなり近い感じがする。



                      あくまでもクラシックが中心にあるモダンで

                      ストーリーはないけれど

                      音楽と相まって、不思議に感性に訴えてくる夕べだった。


                      来シーズンもサンクト・ペルテンでは

                      モダン・ダンスの公演がかなりある。

                      ううう、カレンダー早く書き込んで

                      チケットのオーダー出さなくちゃ、と焦っている私に

                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。





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