Wiener Staatsballett 2014年11月29日 19時30分〜22時30分
MAYERLING
Ballettdrama um Kronprinz Rudolf in drei Akten
振付 Kenneth MacMillan
音楽 Franz Liszt, arrangiert und orchestriert von John Lanchbery
舞台と衣装 Nicholas Georgiadis
照明 John B. Read
指揮 Guillermo Garciá Calvo
ルドルフ皇太子 Roman Lazik *
マリア・ヴェツェラ Irina Tsymbal
ステファニー皇太子妃 Kiyoka Hashimoto *
フランツ・ヨゼフ皇帝 Thomas Mayerhofer *
エリザベート皇妃 Dagmar Kronberger *
ラーリッシュ伯爵夫人 Ketevan Papava
ヘレーネ・ヴェツェラ男爵夫人 Eva Polacek
御者ブラートフィッシュ Denys Cherevychko
ミッツィ・カスパー Alice Firenze *
カタリーナ・シュラット Urlike Nelzel *
コロネル・ベイ・ミドルトン Eno Peci
4人のオフィサー Marcin Dempc, Alexis Forabosco, Masayu Kimoto, Andrey Teterin
出演者は他にも大勢居るけれど
全部書いたら、それだけで終わってしまうので
主要人物のみでお許しあれ。
バレエの題名としては、マイヤーリンクと書くべきだろうが
2008年(!)と2009年に鑑賞した時に
タイトルに「うたかたの恋」と書いてしまったので
ついでにこちらも合わせておく。
2009年の最終公演の後、いつ取り上げてくれるんだろうと
待って待って待っていた作品 ♡
5年も待ってしまったじゃないか。
今シーズンはキャストを変えて数回上演される。
最初の回はローマンとイリーナ。
確かに2回休憩挟んで3時間という長丁場だし
最初の墓場のシーンとか要らんだろ、と言うような
ストーリー性を重視するために作った冗長なシーンも多い。
でもルドルフの話って、それ以外に作りようがないんだろうな。
以前、ミュージカルで「ルドルフ」というのを鑑賞したが
やはり、かなり細かく史実に添って作ってあって長かった。
ただのマリア・ベツェラとルドルフの不倫話にしたらアホみたいだし。
かと言ってステファニーとの不仲とか
父フランツ・ヨゼフ皇帝との確執とか
当時の政治状況とかあまり入れてもワケわからなくなる。
そこらへん、リブレティストは多過ぎもせず少な過ぎもせず
良いところで、うまくまとめている。
途中で皇帝がハプスブルク家の肖像画を見ながら悩むところとか
ああいうさりげないシーンで人間を描き出そうとしているのは偉い。
さて、ローマンがルドルフ皇太子役って
・・・良いのか、ローマンで。
だって以前、あの役は男性の踊り手には過酷なダンスで
30歳過ぎたら踊れない、と聞いた事があるが
ローマン、既に30歳半ばくらいだったと思うのだが。
何せ、出ずっぱりで、ソロはかなりハード。
バランスからジャンプ、回転技の完成度が要求される上に
ナンだあのリフトは?というリフトが山ほど入って
加えて、卓越した演技力が必要という、すごい役。
おおおお、ローマン、すごい・・・・
前半の、お母さん、僕、あの結婚相手イヤなんです
とか甘える部分は、ちょっとやっぱり歳だからアレだが
2幕目以降、どんどんボロボロになっていって
荒れて疲れた顔をして、目の下にクマ作って
白眼剥いて苦悩するボロボロさ加減が何とも巧い。
ほんと、ローマンって、虐められ役にハマる(笑)
橋本清香嬢のステファニー、気位高くて、ご清潔で良い感じ。
エリザベート皇妃のダグマーは、こういう役にピッタリ。
しかし、舞台で俄然光っていたのは
ケテヴァン演じるところのラーリッシュ伯爵夫人である(断言)
いや、イリーナには失礼なんだけど
これだけケテヴァンが舞台で魅力的で華やかだと
別にイリーナがローマンと死なんでも良いじゃないか
(あっ、いかん、役とバレエ・ダンサーがごた混ぜになってきた(汗))
イリーナ演じるマリア・ヴェツェラの出番は意外に少ない。
ちょっと紹介されるシーンなんかは、ほとんどマイムだし
メインの見せ所はルドルフとの密会なのだが
ううう、ルドルフ、サドっ気ないし
(そりゃ、無理だろう、ローマンはあちらの住人だし)
やっぱり、あの、ガバッと上半身を脱がしたら
視線の先は顔じゃないだろ!!!
(何考えてる?いや、リアルな演技について(爆))
イリーナは以前にもマリア・ヴェツェラ役を踊っているのだが
以前=2008年で、今から6年前。
51歳と57歳ではそんなに違いはないが(希望的観測)
若い頃の6年って残酷ではあるな(以下省略)
イリーナ美人だし、半眼だとむちゃ色っぽいし
あの表情で完全にエクスタシーの世界を表現し切っているし
凄いリフトはローマンのリフトの巧さと
イリーナのテクニックがバッチリ合って
息を飲むような素晴らしさなのだが
やっぱり(だから以下省略)
ミッツィ・カスパーを踊ったアリーチェが抜群。
このダンサー、何を踊らせても巧い。
テクニックもあるけれど、表現力が群を抜いている。
御者ブラートフィッシュのデニスは
以前も同じ役を踊っているだけに、余裕たっぷり。
余裕綽々で、ポーズを決めて見せるところなんか、ニクいわ。
オーケストラはリハーサルの時間もなかっただろうし
もちろん、バレエと合わせるのは本番が最初という状況だっただろうが
わはは、こういうリストとかを演奏させると巧いな。
破綻が全くなく、それなりに初見でも何でも音楽にしてしまうし
最初の幕でのシュトイデさんのソロが見事すぎて
ローマンと清香嬢の、もとい ルドルフとステファニーの初夜が
あまりに素晴らしいバイオリンのソロに聴き惚れて
視覚と聴覚のバランスがちょっと狂ってしまった(ごめんなさい)
チェロのソロも、オーボエのソロも抜群で
最終幕でカッコ良く入ってくる滝澤志野さんのピアノも素敵。
(オーケストラと馴染んでバランス抜群だったのだが
ワタクシ的な好みから言えば、もう少し飛び出しても良かったような・・・
何せリストだから、ピアノは好き勝手にやっても良いと思うのだ(違?))
さて、あと数回上演されるこの演目だが
子供向きでもなく
(アレを連想させるシーンが山ほどあり、殺人あり麻薬あり自殺あり)
このシーズンだから、という演目でもなく
歴史作品だから歴史知らないとわからないし
・・・よって、チケットがあまり売れていない(涙)
お陰で(?)貧民席でもかなり良い席が買えて
こちらとしては有り難いのだが。
で、次の上演のキャスティングを見て
かなりひっくり返っているのは、私だけではないと思う。
(私はこのキャスティングで
ウィーン交響楽団とフィリップ・ジョルダンを袖にした)
これからも続くぞマイヤーリンク、という
しつこい私に
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