Musikverein Großer Saal 2014年10月31日 19時30分〜21時35分
Wiener Symphoniker
指揮 Manfred Honeck
ピアノ Yuja Wang
Sergej Prokofjew (1891-1953)
Konzert für Klavier und Orchester Nr. 2 g-Moll, op. 16
Gustav Mahler (1860-1911)
Symphonie Nr. 1 D-Dur
ウィーン交響楽団のコンサートは
昨日と今日だったが
昨日は現代音楽優先(笑)
ピアニストのユジャ・ワンは初聴き。
あちこちで話題になっているピアニストなのでちょっと楽しみ。
プロコフィエフのピアノ協奏曲2番。
ゆっくり目のテンポで、ものすごく強いピアノ。
男性が弾いているようなダイナミックさ。
しかも、ピアノに絡まってくるオーケストラが
いや、もう、あの、その、実に
不 気 味
今日がハロウィンで、明日が万霊節
ヨーロッパ人が1年に1回、何だかんだと言って
死というものに向き合う季節なのだが
まさか、それと関係ないだろうな・・・
ピアノの表情もスゴイのだが
オーケストラの、もわ〜んとした絡み方の異様さは
まるで空間が歪んで
異次元の世界がそこに出現したような気分。
ユジャ・ワンのテクニックは凄い。
中国人と言うなら、テクニシャンのラン・ランというのもいるが
ラン・ランがテクニック優先のバリバリ明るいタイプとすれば
ユジャ・ワンはピアノの表現としては、かなり暗い。
しかし暗くても、ひたすらスゴイ。
プロコフィエフのピアノの音符を一つたりとも揺るがせにせず
全部の音をクリアに、この上ない強さで弾きまくる。
カデンツァの部分のピアノだけの音の洪水は
原色を伴ってホールに溢れ出して
溺れるかと思ったくらい魅惑的。
しかも、叙情的と言うより
揺るぎないテクニックに裏打ちされた
原色に近い音色を持っていて
豪華絢爛の表面的になり勝ちの音楽を
薄気味悪いオーケストラが
音楽表現を補ってる (!!!)
すごい、これがマンフレッド・ホーネックの趣味ならば
ハロウィンと万霊節にふさわしい
この世とあの世が、歪んだ空間を通じて絡まっているような
プロコフィエフのピアノ協奏曲2番って
こんなに薄気味悪い曲だったっけ???(いや、誉めてますワタシ)
アンコールはテクニックのサーカス。
目にも止まらぬ速さで弾かれるピアノで
目にも止まらぬ指と手と腕の動き。
どんなピアニストか、と舞台の上を見てみれば
赤のチャイナ服なのだが
向かって左側(ピアノに座ると聴衆側)が
上まで完全にオープンになっていて
舞台の袖に入る時に
スカート持ち上げた後ろ姿で
キレイな脚が、お尻のところまで見える(!)
あ、こりゃ、男性は鼻血ブーだわ(違)
異様な空間のプロコフィエフの後に
マーラーの交響曲1番。
ドイツ系お悩み作曲家ナンバー・ワンのグスタフ・マーラーだが
マンフレッド・ホーネックは以前にも
異様なマーラーを楽友協会で演奏した事があって
あれから変わっていなかったら
やっぱりきっと、異様なマーラーだろう・・・
異様なマーラーでした・・・
音色にかなりの要求をしたようで
バイオリンが最初の高音の部分を
幕間にも一生懸命練習していたが
ゆったりした、遅すぎるほどのテンポで始まる第1楽章。
バンダのトランペットは音を抑えて
かなり遠くから(彼岸の世界?)聴こえてくる感じ。
途中のあの牧歌的なメロディでさえ
ウィーンっぽくはあるのだが、軽くならず
全然楽しくなくて
巨人が出て来た、というよりは
不気味な自然から、ワケのわからんモノが出て来たというイメージ。
埋葬行進曲になったら、もっと凄くて
ティンパニとほんの少しズレる金管が
おどろおどろしい葬儀の車を曳いてやってきて
その後ろに、突然、骸骨の集団が
死の舞踏を繰り広げるという(妄想爆発)
後期のマーラーのアダージョに見られるような
美しい部分はテンポを落として
むちゃくちゃ美しく歌わせるのだが
それが彼岸の幽霊の出現にしか聴こえません(涙)
おどろおどろしい死の世界を容赦なく描くくせに
突然、プラーターあたりの猥雑な現実が踊り込んで来て
醜い現世と、幽玄な彼岸の世界と
死者が遠慮なく入ってくる生者のおののきと
聴いている方も、現世とあの世とに引き裂かれる気分。
プロコフィエフも気味悪かったが
このマーラー、もっと不気味。
ハロウィン大特売(違!!!)
ホーネックはオーケストラを極限まで鳴らす。
むちゃくちゃ鳴らす。
なのに、ピアニッシモの部分は
ほとんど聴こえない位のレンジで
極端に柔らかい、薄いモヘアみたいな音を出すので
その差が激しい。
それを、ハッタリと取るか
スゴイと取るかは、人の好みだろう。
以前聴いた時もそうだったが
こういう変態に近い、とんでもないマーラーの解釈
実は私、大好き(←自分もヘンタイだから(自爆))
ホーネックは、この変態マーラーは確信犯で演奏しているので
一つ一つが、ものすごく納得できるのだ。
最後の勇壮な行進曲だが
その前の演奏で、あの世とこの世を行きつつしていた私には
う、何か、恐ろしいモノがやってきた。
・・・・ 世界の破滅だ
という不気味な後味が残って
うはは、ハロウィン万歳(違うってば!)
いや〜、最初から最後まで不気味なお化け屋敷コンサートだった。
幽霊てんこ盛り、歪み空間てんこ盛り。
こんな体験、なかなか出来ないし(笑)
お悩み作曲家のマーラーの交響曲って
あれだけ、細かい指示をマーラーはスコアに書いているのに
指揮者によって、演奏が全く違うし
聴くたびに印象変わるし、新しい発見があるし
曲の中の皮肉とか矛盾とか
ともかく、どの曲取っても一筋縄ではいかなくて
だからこそ、聴いていて飽きないわ、と思う私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。
ほらね、現代音楽祭始まったとたんに
ウワキしてるんです(笑) ちなみに明日も浮気します(爆)