Wiener Staatsballett 2014年9月30日 18時30分〜21時30分
SCHWANENSEE
Ballett in vier Akten
振付 Rudolf Nurejew nach Marius Petipa und Lew Iwanow
音楽 Peter Iljitsch Tschaikowski
舞台と衣装 Luisa Spiantelli
照明 Mariona Hewlett
指揮 Koen Kessels
ジークフリート王子 Vladimir Shishov
オデット・オディール Olga Esina
ジークフリートの母 女王 Oxana Kiyanenko
ロットバルト Eno Peci
王子のお付き Ioanna Avraam, Natascha Mair
Richard Szabó, Kumitru Taran
大きな白鳥 Gala Jovanovic, Oxana Kiyanenko
Laura Nistor, Prisca Zeisel
小さな白鳥 Maria Alati, Ioanna Avraam
Alice Firenze, Kiyoka Hashimoto
スペインのダンス Gala Jovanovice, Prisca Zeisel
Alexis Forabosco, Andrey Teterin
ナポリのダンス Kiyoka Hashimoto, Richard Szabó
ポーランドのダンス Ioanna Avraam, Masayu Kimoto
ハンガリーのダンス Alice Firenze, MIhail Sosnovschi
貴族の令嬢たち Maria Alati, Eszter Ledán, Natascha Mair
Anita Manolova, Reina Sawai, Nina Tonoli
王子の教育係 Christoph Wenzel
侍従 Gabor Oberegger
年に何回もコンサートやバレエに行っていると
時々、感覚が麻痺してしまい
感激もなにも、ケチつけるだけに執心してしまったりするが
年に何回かは
自分の波長と舞台とがピッタリ合って
とんでもない感動が襲ってくる時がある。
オルガさまの白鳥は
今年の秋はこれで見納め(涙)
財布の底が完全に抜けている身として買ったのは
またもやロジェの後ろの11ユーロの席だったのだが
ううう、オルガさま、オルガさま、オルガさま ♡
世の中に、こんなに美しい女性がいるなんて。
リュドミラの白鳥も好きだが
リュドミラは全体的に筋肉質なので
腕の筋肉や足の筋肉モリモリで
どちらかと言えば、バレエ・ダンサーというより
アストリートの体型なのに対し
オルガさまは、何でそんなにたおやかなんでしょう?
筋肉があるように、全く見えないのだ。
あくまでも滑らかで均整の取れた
細くて長い手足・・・・
我々の世代が幼年時代に憧れた
バレエ・コミックの世界がそこに・・・(ホントです)
加えて、美しい眉間の縦じわ。
もう、最初から悲劇、悲劇、悲劇のオーラ出しまくり。
ジークフリートとの最初のデュエットから
「ああ、貴方が私に唯一の愛を誓ってくれるのは
とてもありがたいのですが
でも、どうぞ無理なさらないで・・・」
もう最初から、ジークフリート王子がアホな事を見抜いていて
そんなに熱情的に誓われても、きっと貴方は誓いを守れませんわ。
でも、それでも構わないのです。
無理なさらず、誓いを破らねばならなかったら
それは仕方がない事でございましょう。
オルガさまのオデットは
品があって、諦観に満ちていて
バレエのノン・リアリティの最極端で
あそこまで完璧にロマンティック・バレエに徹底されると
舞台の上で踊っているのが
人間とはどうしても思えない。
(確かに踊っているのは白鳥のはず(笑))
対するジークフリートのシショフだが
数日前の最初の公演の時より、ずっと痩せた。
最初は腹が出とるぞ、と思っていたが
今回は、ウエスト廻りもスッキリして
更に、痩せた分、首筋が浮き立って
ものすごく首が長く見える。
う〜ん、バレエ・ダンサーって
みんな、見えない部分でどんなに努力しているやら・・・
ただ、申し訳ないのだが
最初のソロが、バレエじゃなくて体操に見える。
構えて、さて飛ぶぞ、と気合い入れてジャンプ! という感じ。
大技のジャンプを見事に決めてはくれたのだが
あれだけ
さて、それでは、構えてエイッ という感じで踊られると
こちらも息を詰めて観てしまうので
ストーリーの中に自然に収まらない。
それに、同じ大技ジャンプを
他の脇役ソリストの若い男性たちが
軽々と飛んで決めている中で
本来、ジークフリートは
若い軽々とジャンプするダンサーよりも
もっと、こう、魅力的であって然るべきなのだが
そこで大技を楽々と決めているリチャードが
ジークフリート王子を踊ったらイケナイの?
・・・・いや、すみません、私もかなり意地悪だ(反省)
シショフは演技は出来るのだから
あの、体操の構えで、気合い入れてエイッとやらないで欲しいな。
幕が進むに連れ
オルガさまの優雅さに引き摺られて
パーティ場面の黒鳥とのパ・ド・ドゥくらいから
「体操してます」感がなくなっては来ていたが。
オディールと化したオルガさまは
やはりこの上もなく優雅でノーブルである。
誘惑するもしないも
もともと持っているあの美しさに
圧倒されない人は(男女限らず)いないだろう。
あまりに美し過ぎて、クラクラする。
32回転も軸が全くズレず
派手さはないが安定して
しかも、優雅さに満ちて、ものすごく魅力的 ♡♡♡
シショフも悪くはないんですよ、念の為。
大柄な分、掴む空間の広さや
手足を伸ばした時の流れの大きさは
これもまた、あくまでもノーブルで
正に、アホ 王子を体現していて優雅である。
最後の場面のオルガさま
オデットは悲壮感に満ちて、でも
わかっていたんです。
無理なさらないで、と申し上げましたでしょ?
オディールは美しい女性です。
どうぞ大事にしてあげて
ああ、大和撫子(違!)
オデットの存在が
限りなく悲劇的なのに
限りなく寛容で、包容力のある存在に見える。
ロジェの後ろで立ったままで
小型望遠鏡(ワタクシ的にはオペラ・グラスと称している)を
目から離さず
オルガさまのダンスをずっと観ていると
ノン・リアリティの最高峰なのに
オルガさまの美しさに引き込まれてしまって
ああ、もう、ワタクシ、メロメロです。
オーケストラは本日はボロボロで
リズムはズレるわ
木管の息は続かないわ
音は外すわ
結構、何だそれ?という部分も多かったのだが
オルガさまの、限りなく愛と諦観に満ちた存在で
今日は何でもかんでも、全部許してつかわす(カンチガイ)
やっぱり古典中の古典だなぁ。
白鳥の湖とジゼルだけは
アホらしいほどノン・リアルだが
何回観ても飽きが来ない。
(実はマノンも好きだが
これはマノンの人物作りが、女性ダンサーによって
全部違う、という面白さにある)
白鳥はあと1回。
明日からは、またコンサートに戻る予定の私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。