白鳥の湖 今シーズン3回目

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    Wiener Staatsballett 2014年9月30日 18時30分〜21時30分


    SCHWANENSEE

    Ballett in vier Akten

    振付 Rudolf Nurejew nach Marius Petipa und Lew Iwanow

    音楽 Peter Iljitsch Tschaikowski

    舞台と衣装 Luisa Spiantelli

    照明 Mariona Hewlett

    指揮 Koen Kessels


    ジークフリート王子 Vladimir Shishov

    オデット・オディール Olga Esina

    ジークフリートの母 女王 Oxana Kiyanenko

    ロットバルト Eno Peci

    王子のお付き Ioanna Avraam, Natascha Mair

                       Richard Szabó, Kumitru Taran

    大きな白鳥 Gala Jovanovic, Oxana Kiyanenko

                    Laura Nistor, Prisca Zeisel

    小さな白鳥 Maria Alati, Ioanna Avraam

                     Alice Firenze, Kiyoka Hashimoto

    スペインのダンス Gala Jovanovice, Prisca Zeisel

                          Alexis Forabosco, Andrey Teterin

    ナポリのダンス Kiyoka Hashimoto, Richard Szabó

    ポーランドのダンス Ioanna Avraam, Masayu Kimoto

    ハンガリーのダンス Alice Firenze, MIhail Sosnovschi

    貴族の令嬢たち Maria Alati, Eszter Ledán, Natascha Mair

                          Anita Manolova, Reina Sawai, Nina Tonoli

    王子の教育係 Christoph Wenzel

    侍従 Gabor Oberegger


    年に何回もコンサートやバレエに行っていると

    時々、感覚が麻痺してしまい

    感激もなにも、ケチつけるだけに執心してしまったりするが


    年に何回かは

    自分の波長と舞台とがピッタリ合って

    とんでもない感動が襲ってくる時がある。


    オルガさまの白鳥は

    今年の秋はこれで見納め(涙)

    財布の底が完全に抜けている身として買ったのは

    またもやロジェの後ろの11ユーロの席だったのだが


    ううう、オルガさま、オルガさま、オルガさま ♡

    世の中に、こんなに美しい女性がいるなんて。


    リュドミラの白鳥も好きだが

    リュドミラは全体的に筋肉質なので

    腕の筋肉や足の筋肉モリモリで

    どちらかと言えば、バレエ・ダンサーというより

    アストリートの体型なのに対し


    オルガさまは、何でそんなにたおやかなんでしょう?

    筋肉があるように、全く見えないのだ。

    あくまでも滑らかで均整の取れた

    細くて長い手足・・・・


    我々の世代が幼年時代に憧れた

    バレエ・コミックの世界がそこに・・・(ホントです)


    加えて、美しい眉間の縦じわ。

    もう、最初から悲劇、悲劇、悲劇のオーラ出しまくり。


    ジークフリートとの最初のデュエットから


    「ああ、貴方が私に唯一の愛を誓ってくれるのは

     とてもありがたいのですが

     でも、どうぞ無理なさらないで・・・」


    もう最初から、ジークフリート王子がアホな事を見抜いていて

    そんなに熱情的に誓われても、きっと貴方は誓いを守れませんわ。

    でも、それでも構わないのです。

    無理なさらず、誓いを破らねばならなかったら

    それは仕方がない事でございましょう。


    オルガさまのオデットは

    品があって、諦観に満ちていて

    バレエのノン・リアリティの最極端で

    あそこまで完璧にロマンティック・バレエに徹底されると

    舞台の上で踊っているのが

    人間とはどうしても思えない。

    (確かに踊っているのは白鳥のはず(笑))


    対するジークフリートのシショフだが

    数日前の最初の公演の時より、ずっと痩せた。


    最初は腹が出とるぞ、と思っていたが

    今回は、ウエスト廻りもスッキリして

    更に、痩せた分、首筋が浮き立って

    ものすごく首が長く見える。


    う〜ん、バレエ・ダンサーって

    みんな、見えない部分でどんなに努力しているやら・・・


    ただ、申し訳ないのだが

    最初のソロが、バレエじゃなくて体操に見える。

    構えて、さて飛ぶぞ、と気合い入れてジャンプ! という感じ。

    大技のジャンプを見事に決めてはくれたのだが

    あれだけ

    さて、それでは、構えてエイッ という感じで踊られると

    こちらも息を詰めて観てしまうので

    ストーリーの中に自然に収まらない。


    それに、同じ大技ジャンプを

    他の脇役ソリストの若い男性たちが

    軽々と飛んで決めている中で


    本来、ジークフリートは

    若い軽々とジャンプするダンサーよりも

    もっと、こう、魅力的であって然るべきなのだが


    そこで大技を楽々と決めているリチャードが

    ジークフリート王子を踊ったらイケナイの?


    ・・・・いや、すみません、私もかなり意地悪だ(反省)


    シショフは演技は出来るのだから

    あの、体操の構えで、気合い入れてエイッとやらないで欲しいな。

    幕が進むに連れ

    オルガさまの優雅さに引き摺られて

    パーティ場面の黒鳥とのパ・ド・ドゥくらいから

    「体操してます」感がなくなっては来ていたが。


    オディールと化したオルガさまは

    やはりこの上もなく優雅でノーブルである。

    誘惑するもしないも

    もともと持っているあの美しさに

    圧倒されない人は(男女限らず)いないだろう。

    あまりに美し過ぎて、クラクラする。


    32回転も軸が全くズレず

    派手さはないが安定して

    しかも、優雅さに満ちて、ものすごく魅力的 ♡♡♡


    シショフも悪くはないんですよ、念の為。

    大柄な分、掴む空間の広さや

    手足を伸ばした時の流れの大きさは

    これもまた、あくまでもノーブルで

    正に、アホ 王子を体現していて優雅である。


    最後の場面のオルガさま

    オデットは悲壮感に満ちて、でも


    わかっていたんです。

    無理なさらないで、と申し上げましたでしょ?

    オディールは美しい女性です。

    どうぞ大事にしてあげて


    ああ、大和撫子(違!)


    オデットの存在が

    限りなく悲劇的なのに

    限りなく寛容で、包容力のある存在に見える。


    ロジェの後ろで立ったままで

    小型望遠鏡(ワタクシ的にはオペラ・グラスと称している)を

    目から離さず

    オルガさまのダンスをずっと観ていると

    ノン・リアリティの最高峰なのに

    オルガさまの美しさに引き込まれてしまって


    ああ、もう、ワタクシ、メロメロです。


    オーケストラは本日はボロボロで

    リズムはズレるわ

    木管の息は続かないわ

    音は外すわ

    結構、何だそれ?という部分も多かったのだが


    オルガさまの、限りなく愛と諦観に満ちた存在で

    今日は何でもかんでも、全部許してつかわす(カンチガイ)


    やっぱり古典中の古典だなぁ。

    白鳥の湖とジゼルだけは

    アホらしいほどノン・リアルだが

    何回観ても飽きが来ない。

    (実はマノンも好きだが

     これはマノンの人物作りが、女性ダンサーによって

     全部違う、という面白さにある)


    白鳥はあと1回。

    明日からは、またコンサートに戻る予定の私に

    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    魔笛(コーミッシェ・オーパー・ベルリン in サンクト・ペルテン)

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      Festspielhaus St. Pölten 2014年9月28日 16時〜19時


      Komische Oper Berlin

      Die Zauberflöte

      Große Oper in zwei Aufzuegen von W.A. Mozart


      指揮 Kristina Poska

      演出 Barrie Kosky, Suzanne Andrade “1927”

      アニメーション Paur Barritt “1927”

      舞台と衣装 Esther Bialas


      タミーノ Adrian Strooper

      パミーナ Brigitte Geller

      パパゲーノ Tom Erik Lie

      パパゲーナ Adela Zaharia

      ザラストロ Dimitry Ivashochenko

      モノスタートス Michael Pflumm

      夜の女王 Karolina Andersson

      3人の魔女 Mirka Wagner, Karolina Gumos, Caren van Oijen

      3人の少年 Julian Höflmaier, Nicolas Brunhammer, Valentin Lampelsdorfer

      ザラストロの部下 Ales Briscein, Stefan Cerny

      パパゲーノの猫 Karl-Heinz


      オーケストラ Tonkünstler-Orchester Niederösterreich

      コーラス Arnold Schoenberg Chor


      モドキがむちゃ忙しくて

      ついでに私も週日はギリギリに予定を詰め込んでいて

      じゃぁ、日曜日の午後に会おうか、と言っていたのに

      土曜日のバレエの後にキャンセルの電話が入り


      しめた、サンクト・ペルテンの「魔笛」に行ける ♡

      ・・・と喜ぶ私は冷たいオンナでしょうか(ふんっ)


      ラジオのニュースで話題になっている事は知っていたけれど

      モーツァルトだし、サンクト・ペルテンだし、と考えていたが

      ツィッターに書いた通り

      この予告編を見ちゃったら、行くしかないでしょう、うん。



      土曜日の夜中にインターネットのチケット残席を見たら

      一番高い席が2席だけあって

      ううう、高い席、56ユーロもするのか

      しかも2席続きで空いてるし

      (2席続きで1枚買うって、何となく罪悪感がある)

      でも、でも、でも

      これを逃したらもうチャンスはない、と

      悩んでいたら


      私の持っているトーンキュンストラーの年間会員カードで

      20%割引になって47ユーロ20セント。

      よし、買った!!!


      財布の底が完全に抜けているが

      もう、やけっぱちである。


      ベルリンのコーミッシェ・オーパーの客演。

      オーケストラとコーラスはオーストリアの自前(笑)


      うはははははははは

      これ、す・ご・い!!!!!!

      子供も多かったが、みんな最後まで夢中になっていたし

      私も、涙が出るほど笑い転げてしまった。


      いやもう、カワイイのである。

      パパゲーノには、必ず猫がついてくる。

      (配役表にパパゲーノの猫、と書いてあるが

       これは冗談である)

      この黒猫が、もうキュートで、た・ま・ら・ん。

      (すみません、もちろん黒猫はアニメーションです)


      まるで無声映画のように

      レチタティーヴォかセリフの部分が

      すべて画面に書かれるのだが


      芸が細かくて

      それぞれの役のセリフの書体が全部違って

      これがまた、ものすごく雰囲気を出している。


      大蛇に襲われるタミーノが

      気を失っているのは大蛇の胃の中。

      (ガイコツだらけである(爆笑))


      パパゲーノ(とカワイイ黒猫)登場の後

      タミーノが

      「君が大蛇をやっつけたのかい?」というのに対し

      そうだ、僕だよ、という場面で

      アニメーションでパパゲーノと大蛇の対決になって

      何故かピアノがアジアっぽい(太極拳か(笑))モーツァルト。

      アチャー(掛け声もアニメーションである)とかやって

      両手合わせてお辞儀したりして(爆笑)


      魔女たちに、ウソをついた罰よ、というので

      布を掛けられて

      その布を外すと、そこに口が出てくる(=口を取り上げられた)


      夜の女王は大クモで、すごい迫力。

      (歌手そのものは、上で顔出して歌っているだけで

       その他は、すべてアニメーションだが

       下でタミーノがクモの足や蜘蛛の巣から逃げ回る)


      パパゲーノとタミーナの逃避行は

      きゃははは、これスーパー・マリオじゃないか(爆笑)


      ボクには彼女が居ない、と告白するパパゲーノの涙を

      (涙がアニメーションで飛ぶのだ、これがカワイイ)

      タミーナがハンカチで受けて絞ると

      (絞った水がアニメで下に流れる)

      そこから植物が生えてきて、花が咲いて

      蝶やミツバチや鳥が飛んで、という

      すごく可愛いシーンになる。


      3人の少年たちも、ミツバチになったり蝶になったりして登場。


      ザラストロの宮殿はデウス・エクス・マキナになっていて

      何もかもが機械仕掛け(もちろんアニメ)

      この機械仕掛けの神の頭の中もスゴイが

      出てくる手下の動物たちも全部機械仕掛け。


      ザラストロが徳だの愛だのを機械仕掛けで説いても

      何か、ウソ妖しいわ(笑)


      白黒の機械仕掛けのザラストロから離れて

      パパゲーノがパパゲーナと出会って

      子供をどんどん増やして

      (この家庭的なアニメで、元気な子供がガンガン登場するところ

       何ともノスタルジックで愛が籠っていて、好き)


      苦難に耐えてパミーナと結ばれるタミーノより

      パパゲーノの方が人間的でステキ。

      (もともと、魔笛の主人公はタミーノじゃなくて

       パパゲーノだと思っているワタシ)


      ところで魔笛とグロッケンシュピールはどうした?と言われそうだが

      出て来ますよ、アニメで。

      しかも、小さな人間になって(笑)


      特にグロッケンシュピールは、何と箱で

      これに足が付いて出てきて

      奏でると、その中からキュートな太もも丸出しの

      可愛い女の子たちが出てきて飛び回る。


      モノスタートスとその仲間たちが

      グロッケンシュピールを聴くと

      突然、下半身が女性のカンカン踊りの足になってしまう(爆笑)


      書いてるとキリがないが

      これを演出したのが “1927” というベルリンのグループ。

      アニメに音楽をはめ込むだけではなく

      ちゃんと音楽に合わせて、アニメーションを

      きちんとその場その場で調整しているそうだ。


      オーケストラは元気に演奏。

      かなり下のオーケストラ・ピットだったが

      ちょっと荒い部分もあったけれど、活き活きしていて良い。


      無声映画と化した部分でのピアノのソロが

      モーツァルトのピアノ・ソナタなどを使って

      しかも、そのシーンに合うように縦横に対応して

      すごく良かった。違和感なかったし、舞台とよく合ってた。


      劇場そのものの規模が小さいので

      声はよく聴こえる。

      タミーノのテノールも透き通った声。


      パミーナが素晴らしかった。

      タミーノの沈黙で落ち込む部分のシーンが

      冬枯れの雪景色の中で切々と歌われて、グッと来た。


      アニメーションも、聴かせどころのアリアの部分では

      ちょっとおとなしくなって

      ちゃんとアリアに集中できるように考慮しているのもスゴイ。


      パパゲーノはバッチリで

      アニメとの演技の息もピッタリ。

      普段、野生児みたいに歌われる事が多いが

      気の弱いサラリーマン、というタイプで

      頭が弱いとか、野蛮とか言う要素が一切なく

      こういうパパゲーノの作り方もありか、とビックリ。


      モノスタートスは声量がなくて

      他の歌手に比べてほとんど響かなかったが

      丁寧に歌っていたし

      アニメーションでは犬を引き連れて大活躍。

      (これがパパゲーノの猫と大喧嘩するシーンが爆笑モノ)


      ザラストロの声も低音までバッチリ響く。

      夜の女王は、一部ちょっと当たり損ねもあったが

      あれだけ歌えれば大したものだし

      アニメーションの迫力がスゴイので

      歌までスゴイ迫力になってる(笑)


      考えてみれば、モーツァルト、この「魔笛」で

      夜の女王で極限の高音

      ザラストロで極限の低音

      ・・・・ものすごい広い音域を使ったのだな。


      ここまでアニメで圧倒的な世界を作って

      歌手やコーラスに照明があたる部分でも

      ちょっと映画の照明っぽくして

      まるで、全体を無声映画の時代のように扱った手腕に脱帽。


      ここまでやるなら歌手まで全部アニメにしたら?とも

      一瞬思ったのだが

      あの面白さは

      実際の歌手たちとアニメーションが一体化するところに出てくる。


      いやはや、ベルリンってスゴイわ。


      わざわざサンクト・ペルテンまで行った価値は

      充分あった。


      苦手なモーツァルトでも寝落ちしなかった私に

      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



      白鳥の湖 今シーズン2回目

      0

        Wiener Staatsballett 2014年9月27日 19時30分〜22時30分


        SCHWANENSEE

        Ballett in vier Akten

        振付 Rudolf Nurejew nach Marius Petipa und Lew Iwanow

        音楽 Peter Iljitsch Tschaikowski

        舞台と衣装 Luisa Spiantelli

        照明 Mariona Hewlett

        指揮 Koen Kessels


        ジークフリート王子 Vladimir Shishov

        オデット・オディール Liudmila Konovalova

        ジークフリートの母 女王 Dagmar Kronberger

        ロットバルト Andrey Teterin

        王子のお付き Alice Firenze, Natascha Mair

                           Masayu Kimoto, Richard Szabó

        大きな白鳥 Gala Jovanovic, Oxana Kiyanenko

                        Ketevan Papava, Prisca Zeisel

        小さな白鳥 Maria Alati, Ioanna Avraam

                         Alice Firenze, Kiyoka Hashimoto

        スペインのダンス Gala Jovanovice, Prisca Zeisel

                              Andrey Kaydanovskiy, Kamil Pavelka

        ナポリのダンス Ioanna Avraam, Richard Szabó

        ポーランドのダンス Ioanna Avraam, Masayu Kimoto

        ハンガリーのダンス Alice Firenze, Eno Peci

        貴族の令嬢たち Maria Alati, Eszter Ledán, Natascha Mair

                              Anita Manolova, Reina Sawai, Nina Tonoli

        王子の教育係 Christoph Wenzel

        侍従 Gabor Oberegger


        今シーズンの白鳥の湖2回目。

        今回はリュドミラとシショフのカップリング。


        もう本当に財布の底が抜けているので

        一番安い11ユーロの席だが

        ロジェの一番後ろなので立てば見える。


        しかも、2階のロジェなので

        (この間は贅沢して平土間ロジェの正面だった)

        目線が上からになって

        コールドが美しい ♡


        いや、本当にウィーン国立バレエ団の群舞って

        以前に比べて格段に水準が上がっている。


        くるみ割り人形の時もそうだったけれど

        白鳥の湖という古典作品で

        しかも白鳥のあの群舞が

        あんなに美しくキマると

        ロマンティック・バレエの世界にため息が出るばかり。


        シショフは大柄なダンサーなので

        ジャンプの空間の広さはスゴイけれど

        時々、回転技で不安定さが見えて


        最初のところで、ほんの少しだがバランスを崩した。

        うわ、大丈夫なのか、こいつ(心配)


        最初の見どころと言えば

        お友達4人とプリンスのダンスだが


        このお友達4人のダンスって

        どこを観て良いのか、迷いに迷う。


        女性は可憐だし、可愛いステップが素晴らしいし

        同時に男性が後ろで華やかなジャンプをしているし

        ステキなシーンなのだが誰を観るべきか全然わからん(自爆)


        アリーチェは上手いし可憐で美しく

        ナターシャはこの舞台でも、むちゃキュート。

        木本クンの身体は優雅に空間を飛ぶし

        小粒でピリリのリチャードの跳躍も小気味良い。


        群舞の美しさを堪能した後は

        湖シーン、オデット登場。


        リュドミラって、本当に華やかなダンサーだ。

        出てくるだけで、その場がパッと明るくなるような感じ。

        オデット登場で明るくなるのも、本当はヤバイのだろうが。


        オルガのような幻想的なオデットではなく

        リュドミラのオデットは、かなり人間くさい(笑)


        透明感よりは強さを感じさせる。

        でも、ポードブラはむちゃキレイだし

        白鳥の雰囲気もバッチリ。


        先シーズンにオルガさまを見逃して

        リュドミラばかり観ていたので、慣れて来たのかもしれないが

        私はリュドミラの白鳥、かなり好き ♡


        第2幕は

        華やかな各国のダンサーが出て楽しい。

        ケテヴァンがこの間踊ったスペインのダンスは

        今回はガラとプリスカ。


        ううう、プリスカの背中、ものすごく反る。

        ガラは背が高いだけに、反りが少なくて、ちょっと見劣りする。


        ベテランのケテヴァンは

        さりげなくコールドに入っていたが

        あの強烈な個性を殺してコールドに合わせられるというのも

        すごい才能だなぁ、とヘンなところに感心したりして(笑)


        さて、黒鳥登場。

        リュドミラの本領発揮と言う感じ。

        強くて情熱的で、キラキラ光る魅力的な黒鳥。


        しかも、32回転のシーンでは


        ドゥーブルをさりげなく4回も入れた(驚愕)

        (更にその後も、さりげなくドゥーブル入れてピルエットしてたし)


        最後まで全く軸がぶれず

        リュドミラの持っている華やかさが

        確固たる技術に裏打ちされて、舞台で光る。


        シショフも安定した技術で

        大きな空間を切り取っての大技のジャンプもキレイに決まった。

        リュドミラの後のピルエットも大胆でダイナミック。


        2回目の休憩後の湖シーンの群舞の美しさと言ったら

        あぁ、もう、生きてて良かった・・・と言う感じ。


        幻想的な風景に戯れるこの世のものとも思えない白鳥の群れ。

        悲しみに濡れるオデットと

        アホ王子のデュエット。


        シショフのテクニックも安定して来て

        何せ身長あると、リュドミラがポワントでもバランス良いし

        女性ダンサーのサポートとリフトがむちゃ上手いので

        リュドミラの魅力爆発。


        いやいや、白鳥の湖なんて

        私が普段バカにしきっているノン・リアリティの世界だが


        あそこまで徹底的にノン・リアリティになると

        おとぎ話の幻想物語で、いちゃもん付ける余裕もない。

        舞台も衣装もこの上なく美しいし。


        シショフの王子さまは、アホだけど(笑)

        だいたい、最初のシーンで若い美人に囲まれて

        鼻の下を散々伸ばしていたくせに

        オデットにあったら、即、オデットに守れもしない約束しちゃって


        第2幕でオディールが出たとたんに

        あっ、オデットだ、バンザイ

        (よって、オディールが色気振りまいて王子を誘惑する前に

         王子はオデットと思ってメロメロになっているので

         誘惑のし甲斐のない事ったら(怒))


        いやいや、お母さんダグマーが

        自分の息子のあまりのアホさ加減に

        失神するのもよくわかるぞ、うん。


        この演目、後2回上演されるが

        1回はシショフ、もう1回はデニスがジークフリート役の予定。


        お〜い、ローマンどうした?!


        シショフは時々不安定になるが

        ローマンのジークフリート王子って

        ノーブルでナヨナヨした優柔不断で、ものすごくステキなんだけど

        今回は観られないのか、残念。

        (先シーズンは故障していたから無理としても

         フォルクス・オーパーでシェーンベルク役を踊ってるくらいだから

         2月には、ぜひローマンの王子を観たい。

         彼も若くはないので、観られる時期も限られているだろうし。

         ルグリ監督、お願いします!!!)


        コールドやソロで出てくる若いダンサーの中にも

        そろそろ、ジークフリート踊れるだろう、というメンバーが見えるし

        (私の贔屓かもしれないが、木本クンも絶対にイケるはず)

        2月はもしかしたら新旧世代交代が見られるかも・・・・と


        ちょっとイケナイ期待をしている私に

        どうぞ1クリックをお恵み下さい。



        At the Edge of Silence 舞踏・書道・現代音楽

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          Essel Museum Großer Saal 2014年9月24日 19時30分〜20時20分


          At the Edge of Silence

          舞踏と書道 Sylvie Xing Chen

          ツィターその他 Barbara Romen

          ギターその他 Gunter Schneider


          毎週水曜日の夕方6時から9時まで

          無料で開放してくれるエッセル・コレクション。

          時々、それに合わせて

          現代音楽のコンサートもある(もちろん無料)


          こんな太っ腹が祟ったのか

          最近、エッセル・ファミリーの本業の方が上手く行っていないようで

          オーストリア政府にコレクション買わないか、と交渉したが

          オーストリア政府は要らない、と冷たく断って


          その後、どうなったか報道されないが

          まだ美術館はあるし

          水曜日の夜の無料サービスもやっているのは

          貧乏な私にはありがたい。


          さて、今回の公演は

          いつものような「現代音楽」ではない上

          普段、会場としては使わない上の大ホールでの

          舞踏と書道と現代音楽のパーフォーマンス。


          パリや日本で舞踏や書道を学び

          現在はスイス在住の中国人ダンサーと


          最近知り合ったばっかり(とエッセルさんが解説で言った)の

          チターとギターと、その他色々を演奏する男女のカップルの

          コラボレーションでインプロヴィゼーション。


          ホールを全部使うので

          椅子だけに座っていないで

          アーティストに誘導されたら

          あちこちに行って下さい、というアナウンス。


          ギターをボウで弾いたり

          よくわからない楽器(楽器?かどうかも定かでない)で

          雑音を出したり


          貞子さんのような長い髪のダンサーが

          黒のキャミソールみたいなものを着て

          ナマ足で、床を這いずったり、動いたり

          足を上げたり、開いたり


          だんだん、観客席の方に移動して

          椅子の下を這ったり

          観客の靴のところでズボンを捲ったり


          ・・・でも私のところには微妙に来ないんだけど(爆)


          来たら、こんにちは、じゃなくて

          ニーハオとか言ったら反応するかな。

          でも、ものすごくマジメな表情をして

          真剣に踊ってるから

          茶化したら失礼かもしれない(でもやりたかった(アホ))


          コンテンポラリー・ダンスは見慣れているから

          どんな動きをしても驚く事はないけれど


          舞踏・・・ではないよな、これは。

          クラシックとは遥かな距離があるし

          まぁ、音楽(雑音)に合わせて(いるかどうかは不明だが)

          好きなように動いているとしか見えない。


          何かメッセージ、あるんだろうか?

          でも、私には読み取れない(汗)


          途中でダンサーが叫び出し

          (ホールの音響がスゴイので、これが響くのだ。

           あぁ、私も、あの位、叫びたいっ!!!(溜まってる))

          何か中国語でブツブツ言いつつ

          身体を動かしていて


          気がつけば、音楽家2人も

          笛?とか木の筒とか

          ブンブン振り回す(空気抵抗の音がする)縄を持って移動してる。


          パーフォーマンスのダンサーは独りだから

          かなりの運動量だし、タイヘンだろうとは思う(冷静)


          書道・・・だが

          大きな筆に墨をつけて

          踊りながら(=身体を(芸術的に?)動かしながら)

          床に置いてある布に

          何か描いたけれど


          ???? 字じゃないですよね。

          どう見ても字には見えないし

          ただ、ベチャ、グルグルにしか(以下省略)


          まぁ、比較的短いパーフォーマンスだったし

          次にナニが出てくるだろう?という興味を繋いで

          それなりに可笑しいというか

          (いや、3人とも真剣だから「可笑しい」は失礼かも)


          メッセージとか

          内容とかは、全く不明で

          アーティストたちが

          ワケのわからん事をしているうちに終わった後


          下の展覧会で

          アドルフ・フローナー (1934-2007) の作品を鑑賞して来た。


          ううう、これはこれで

          メッセージがない、どころか

          自分のヘンタイ的趣味を

          これでもか、これでもか、という程主張していて


          ちょっと辟易。


          芸術家自身が、自分のこういう衝動を

          芸術という名称をつけて昇華しなければならなかった

          というのはあるのだろうが


          そういう個人的なヘンタイ趣味を鑑賞しても

          せいぜい「では勝手に妄想の世界にふけって下さい」としか言えないし


          まるで他人の手慰みを見せつけられているような不快さ。

          いや、別にやりたい方はどんどんおやり下さい、なのだが


          ああいう芸術作品

          美術館で一部のコレクターが

          ウヒウヒ言いながら喜んで観ている分にはともかく

          作品一つ買って

          自宅に置いておこう、という気にはならんだろう。


          現代芸術が「難しい」と言われる理由として

          私は「観客不在」と書いた事があるが


          観客不在というよりは

          表現者と鑑賞者の間に共通項がないから、と言えるのではないか。


          表現者は、自分の主張を芸術作品で表現しようとする。


          ただ、それがあからさまになってしまうと

          そんな作品を作るより

          政治家になるとか

          N●K主催の青少年の主張コンクールで演説したら

          というモノになってしまうし


          反対に、表現者の主張があまりに自己中過ぎて

          表現者そのものも

          観客にわかってもらわんでも良い、という開き直り

          あるいは

          これをわかってくれるのは

          一部の高尚な観客だけで良くて

          無教養な一般大衆向けじゃないのよ、僕の作品は

          というカンチガイに走る危険がある。


          ついでに思い切って言ってしまえば

          表現者が全く主張を持っていないんじゃ(以下省略)


          更に、今日観た作品のように

          従来の社会では、ひたすら隠しているべきだった

          内部のヘンタイ的欲望を

          堂々と他人の前で晒して、それを芸術と称すという

          奥ゆかしい(はずの)私には気恥ずかしいというか

          人に見せずに家庭内だけでヤッていて下さい、という作品もある。


          以前、現代音楽の記事の時に

          作曲家が一生懸命、何かを言っているのに

          全く理解できない外国語で話しかけられているようで

          聴いている私としても

          何か申し訳ないような気分になってしまう、と書いた事があるが


          この表現者と鑑賞者の断絶こそが

          現代芸術を理解し難いものにしているのだなぁ、と

          つくづく思った夕べだった。


          現代芸術は時間の洗礼を受けていないので

          玉石混合で、何でもアリなのだが

          タブーが全くなくなると

          秘してこそ美、みたいな要素がなくなって

          隠しているからこそ エロい 美しいというのが

          なくなってしまって残念、と思うのは


          察しの文化に育った私の

          ヨーロッパ人には理解され難い美意識ですかね?


          とか何とか、ちょっと偉そうな事を

          ついつい書いてしまった私に

          どうぞ1クリックをお恵み下さい。




          白鳥の湖 今シーズン1回目

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            Wiener Staatsballett 2014年9月22日 19時〜22時


            SCHWANENSEE

            Ballett in vier Akten

            振付 Rudolf Nurejew nach Marius Petipa und Lew Iwanow

            音楽 Peter Iljitsch Tschaikowski

            舞台と衣装 Luisa Spiantelli

            照明 Mariona Hewlett

            指揮 Koen Kessels


            ジークフリート王子 Vladimir Shishov

            オデット・オディール Olga Esina

            ジークフリートの母 女王 Dagmar Kronberger

            ロットバルト Eno Peci

            王子のお付き Alice Firenze, Kiyoka Hashimoto

                               Davide Dato, Masayu Kimoto

            大きな白鳥 Gala Jovanovic, Oxana Kiyanenko

                            Ketevan Papava, Prisca Zeisel

            小さな白鳥 Maria Alati, Ioanna Avraam

                             Alice firenze, Kiyoka Hashimoto

            スペインのダンス Oxana Kiyanenko, Ketevan Papava

                                  Alexis Forabosco, Andrey Teterin

            ナポリのダンス Kiyoka Hashimoto, Davide Dato

            ポーランドのダンス Ioanna Avraam, Masayu Kimoto

            ハンガリーのダンス Alice Firenze, Mihail Sosnovschi

            貴族の令嬢たち Maria Alati, Eszter Ledán, Natascha Mair

                                  Anita Manolova, Reina Sawai, Nina Tonoli

            王子の教育係 Christoph Wenzel

            侍従 Gabor Oberegger


            うはははははは

            待ちに待ったオルガさまの白鳥である ♡


            先シーズン、オルガさまが踊るはずだった白鳥は

            初演でオルガさまが怪我をして降板。

            リュドミラや橋本清香嬢の白鳥を観られたのは良いが


            やっぱり白鳥と言えば、オルガさまほど

            ピッタリとハマるダンサーはいないだろう(断言)


            ウラジミール・シショフはイイ男である。

            かなりダイエットしたのか

            首の辺りに筋が見えているけれど


            もともと筋肉質の太ももが結構迫力あるし

            そろそろ若者の域から外れて来て

            何かお腹が前にせり出しているような感じがする。


            上背があるだけに

            ジャンプは迫力があるけれど

            ちょっと、ドタン、ドタン、という印象で

            ちょっと残念だが

            ジークフリートは、やっぱりもう少し若くないと無理なのかもしれない。


            でも、やっぱり見た目はイイ男だし

            背が高いのは舞台で見栄えがするし

            王子さま役にはちょっとトウが立っているとしても

            ハマり役である事は間違いない。


            友人たちや貴族の令嬢たちのダンス。

            おおお、見た事のある顔がかなり入っていて

            コールドもキレイに決まる。


            以前に比べたらコールドの揃い方が格段に向上して

            観ていて楽しい。


            さて・・・


            オルガさま ♡♡♡♡♡


            ©Wiener Staatsballett


            いや、もう、あんなに悲劇にピッタリで

            透明感があって

            悲しみのオーラが全身から出ていて

            美しい縦じわが映えるバレエ・ダンサーって(感涙)


            ますます細く、はかなく

            今にも消えてしまいそうなオデット。


            シショフとのバランスも良くて

            リフトがバッチリ決まるのだが

            第一場での、女の子を目の前にして

            にやつくオヤジと化した(ように見える)シショフが

            そこで、どんなに悩んだ顔をしても

            オルガさまの天性の悩み顔の前では

            ただの木偶の坊に見えてしまうの。


            シショフさま、ごめんなさい。


            第2幕の様々なダンスは見応えあり。

            シーズン開幕とあって

            優秀なダンサーを惜しげもなく使っていて豪華。


            橋本清香さん

            友人役に小さな白鳥、ナポリのダンスと大活躍。

            身体が伸びて、掴む空間がまた広がって

            見事なダンス。

            ヨーロッパ人の間に入っても全く違和感がないし

            気品があって安定していて素晴らしい。


            ケテヴァンのスペインのダンス。

            うはははは、ベテランの強さで

            反りがピタッと決まるし、表現力が抜群。

            あれは、白の方のオクサーナがちとカワイソウだった。


            木本全優くん、完全復活。バンザイ。

            以前にも増して踊りに磨きがかかって

            安定した優雅さに品が出てきた。


            そろそろ王子さま役とかにも挑戦できそう(ううう、楽しみ♡)


            ミハイルは元気だけど

            途中、床が滑って、かなりお気の毒。

            (同じ部分で後でシショフが滑りそうになったので

             あれはヤバイ場所だったと思う。

             そう言えば、同じような場所で

             リュドミラも滑りそうになっていた。何とかならんのか、あそこは)


            アリーチェはどの役を踊ってもキュートで巧い。

            プリスカは大きな役ではなかったけれど、舞台に復活。

            ニーナもナターシャも居る。わ〜い。

            どうせオタクですが、それが何か?(開き直り)


            黒鳥オディール登場。

            ううう、何て美しいオディール。


            オルガさま、下から上に見上げる目線で

            ジークフリート誘惑の演技はしているけれど

            時々、表情が緩むとオデットになってしまって


            全然、毒のない、あまりに儚い美し過ぎる黒鳥(笑)

            オルガさまの存在感としては

            オディール役より、これは圧倒的にオデット役だ。


            それはそれは見事な32回転(ドゥーブルはない)

            シショフも負けじと見事な回転技を見せて、満足、満足。


            ウィーン・フィルは日本公演に出払っているけれど

            オーケストラ・ピットでコンサート・マスターを務めたのは

            ホーネックさん。


            白鳥登場のバイオリンのソロが

            オルガの雰囲気とピッタリの可憐さ。


            指揮者のコーエン・ケッセルスは2011年に

            モダン・バレエで指揮台に立っていたベルギーの指揮者で

            今回の白鳥の湖は、ウィーン国立オペラ座では初めての指揮。


            あのっ、すみません、もう少し舞台をちゃんと見ていただけません?

            (シロウトが何言うか、と怒られそうだが)


            それに、この指揮者

            観客席が拍手していても

            全然構わずに指揮棒を降ろす。


            フォルテで入るところなら、何とか音楽は聴こえてくるが

            ピアニッシモで入る第3幕のところ

            オーケストラ・ピットでは何やら音楽が始まっているらしいのだが

            拍手で全く聴こえて来ない状態で


            よくぞタイミング間違えずに登場したよ、オルガさま。

            舞台だったら、ますます音楽は聴こえて来ないだろうに。


            偶然に一緒になったバレエ・ファンの友人が

            あれはスゴイ。舞台上のコールドの動きだけで判断して出て来ただろう

            とため息つきながら感想を漏らしていた。


            まだハープがソロを弾いていて終わっていないのに

            指揮棒振り上げてるし。

            あれは、あ〜いうので良いのか?

            オーケストラ・メンバーはタイミング計って

            ズレずに何とか出たけれど。


            客席の拍手は無視して

            何とか公演は必ず22時までに終わらせろ

            とか言う指示があったのかなぁ、と邪推。


            最終シーンは、床が波打つ中を

            王子さまが転げ回るはずなのだが


            床に敷いた青のシーツの下に

            空気が大量に入り込んでしまい


            それ、波じゃなくて山ですから(爆)

            かなり滑稽だった。まぁ、そういう事もあるかもしれない。


            オディールの後、オデットに戻ると

            オルガさまの「悲劇オーラ」全開である。

            気恥ずかしいくらい

            正統クラシックの悲劇・悲劇・悲劇・悲劇となって

            ああ、何と言う可憐で儚い白鳥の世界。

            (いや、所詮はおとぎ話なのだが

             あれだけ美しく踊られてしまうと・・・)


            白鳥の湖は、9月にあと3公演あって

            リュドミラも2回登場予定。

            ジークフリートはシショフが3回踊って

            1回はデニスが踊る予定。


            実は全公演行こうと予定している

            オタクな私に

            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            チャロデイカ(魔女)ウィーン劇場

            0

              Theater an der Wien 2014年9月19日 19時〜22時30分


              CHARODEYKA (Die Zauberin)

              Oper in vier Akten (1887)

              Musik von Peter Iljitsch Tschaikowski

              Libretto von Ipplit Wassiljewitsch Schpaschinski


              指揮 Mikhail Tatarnikov

              演出 Christof Loy

              舞台 Christian Schmidt

              照明 Bernd Purkrabek

              振付 Thomas Wilhelm


              ニキータ侯爵 Nikolay Eferemov

              侯爵夫人 Agnes Zwierko

              王子ユーリ ニキータの息子 Maxim Askenov

              マムロフ ニキータの書記 Vladimir Ognovenko

              侯爵夫人の召使い Hanna Schwarz

              イヴァン 王子の護衛 Martijn Cournet

              ナターシャ 別名クマ Asmik Grigorian

              フォーカ ナターシャの叔父 Martin Snell

              ナターシャの友人 Natalia Kawałek-Plewniak

              バラキン ノブゴロドの商人 Erik Årman

              その息子ポトップ Stefan Cerny

              その息子ルカッシュ Vasily Efimov

              キチュガ 街の戦闘人 Nikolay Didenko

              パイジ 乞食 Andreas Conrad

              クドマ 魔法使い Martin Winkler

              劇団のコメディアンたち Parbara Spitz, Peter Knauder

                          Renzo Popolizio, Steven Seale, Adam Ster

                          Wanderson Wanderley, Anatole Zangs


              オーケストラ ORF Radio-Symphonieorchester Wien

              コーラス Arnold Schoenberg Chor


              チャイコフスキーのオペラと言えば

              エフゲニー・オネーギンか、スペードの女王くらいしか知らないが

              今回、ウィーン劇場が新プロダクションとして取り上げたのが

              チャロデイカ(魔女)


              オペラ苦手なのに、ついついチケットを買ってしまった(汗)


              新聞評にも、あまり上演されないのには理由があった、とか書いてあったが

              このオペラ、何が欠点かと言えば

              ともかく長いのである(まぁ、ワーグナーに比べたらカワイイものだが(笑))

              しかも冗長で、そんなシーン、なくても良いだろ、という

              無駄な部分が多い。


              ウィーン劇場のプロダクションは優れたものが多いし

              舞台も凝りに凝って華やかで目を楽しませてくれる・・・はずなのだが


              舞台装置むちゃくちゃ簡素で、しかも異様に地味。


              木の壁があって、舞台の真ん中に盛り上がったプレートがあって

              小道具は、その上のベッドと机と、椅子1脚だけ。


              国立オペラ座もお金がない、と言い続けているが

              ウィーン劇場の予算も、そろそろ底をついて来たんだろうか?(不安)

              ウィーン劇場にある舞台の回転装置も使わず

              唯一、後ろの木の壁が、ちょっと開いたり全開したりするだけである。


              さて、この「魔女」という作品

              ナターシャはクマという愛称で呼ばれていて

              放浪者や自由人たちの集まるレストランだかカフェだかの女主人。

              もちろん、美人でむちゃモテるので「魔女」とも呼ばれている。


              階級が全く違う侯爵がクマに惚れてしまい

              侯爵夫人は嫉妬にかられ

              それを見た息子が義憤に燃えて

              クマを殺そうとするのだが


              クマはこの息子に惚れていて

              それを告白して

              2人は手に手を取って脱出しようとする。


              クマが独りで息子を待っているところに

              他人のふりをして現れた侯爵夫人が

              クマに親切心を装って、毒の入った水を渡し

              息子が来たところでクマは絶命。


              追ってきた侯爵がクマが死んでいるのを見て

              息子がやったと勘違い。

              息子なのに嫉妬に駆られて殺してしまい

              自分のやった事に気がついて発狂する。


              ええ、ええ、オペラのお約束ごとが沢山あって

              ツッコミどころはむちゃくちゃありますとも。

              何から書いて良いか、わからんくらい・・・


              最初のドラマチックな部分は

              侯爵夫人が1人で嫉妬に駆られて苦しむシーンで

              さすがチャイコフスキー、かなりドラマチックな音楽。


              この侯爵夫人が、かなりお太目の女性なのだが

              最初は下着で登場して

              その後のシーンで、豪華なドレスにカツラなどを装着すると

              かなり上品な美人に見えるという


              ・・・馬子にも衣装(こらっ!)


              義憤にかられた息子が

              オヤジの愛人と思っているクマのところに言って

              クマが、違うの・・・・と言うので

              じゃぁ、真実を言え、と迫って


              実は、実は、実は

              私が好きなのは、あなたのお父様じゃなくて

              あなたなの・・・


              と言われて

              ああ、そうですか、では、いただきます


              ・・・というワケにはいかんと思うのだが

              まぁ、戸惑うけれど(そりゃそうだ)

              女性から愛の告白されて

              突然、自分も相手への愛に目覚めて


              次のシーンでは

              「彼女は僕にとって世界全体より重要なんだ」


              う〜ん(沈黙)


              だいたい、このクマという女性

              その前に侯爵からの愛の告白場面で

              (もちろん断るのだが)

              侯爵の前で、ナマ足丸出しの黒のキャミソールなんか

              わざわざ着てるんだよ?

              (どうせ美人に嫉妬してます、ワタシ)


              最後のシーンでは、後ろが全開になって

              森の背景になるのだが

              前の方の舞台の盛り上がったプレートの上に

              ベッドがあるというのも不思議。


              シーンの中でベッドは使うから

              (息子はベッドの上に倒れて絶命する)

              仕方ないとは思うのだが

              誰もいないような森林の中にベッド・・・(絶句)


              で、実はこの演出・舞台には

              もう一つ、オーストリア人にはわからんだろ、という仕掛けがある。


              途中の居酒屋での乱痴気騒ぎのシーンに

              男性が女性のピラピラのぶりっ子衣装を着て登場するのだが

              その中に、熊が居るのだ(着ぐるみでかなりリアル)


              その時は、まさかね、と思ったけれど

              最後のシーンの森の中で

              この熊の着ぐるみが、ずっと舞台の下手にいて

              最後、クマの絶命の横で、熊が横たわっているという


              ・・・誰か、日本語でクマというのがどういう意味だか

              演出家に教えただろ?!(爆笑)


              さて、音楽と歌手についてだが

              さすがウィーン劇場で、水準は高い。


              魔女と呼ばれるナターシャ、別名クマを歌った

              Asmik Grigorian はリトアニア出身の美人。

              スタイル抜群に良くて、ほとんどダンサー体型で

              ナマ足もキャミソールも、女優さんのように絵になるし

              見た目も鬱っぽい表情の、視線の定まらない目線を持った顔で

              役柄と合っている。


              声はソプラノというより、メゾ・ソプラノの声質。

              太目で暗めの力強い声で、低音が響く。

              強い声なので、高音が多少叫び声のように響くが

              (それにウィーン劇場、小さな劇場なので

               あんなに声を張り上げなくても良いんだけどね)

              演技も、歌も声も抜群で、素晴らしい。


              あれだけスタイル良くて演技できて

              物憂げな役柄も完璧に出来て

              あの声の質だったら

              バラの騎士のオクタヴィアンとか歌わせてみたい。

              絶対にハマるはず。

              エフゲニー・オネーギンのナターシャ役も良いな、きっと。


              侯爵の書記役を歌った Vladimir Ognovenko のバスが最高!!

              ウィーン劇場には初登場だが

              世界中の有名なオペラ座で歌っているようだ。

              スラブ系の、深くて暗い色調の、声量のあるバスで

              地獄っぽい暗い雰囲気を声だけで出しているし

              侯爵に揶揄われてプライドを傷つけられたシーンの

              激情の凄まじさは、短いシーンなのに、素晴らしく印象的。


              馬子にも衣装、じゃなかった侯爵夫人の

              Agnes Zwierko のソプラノも良い。

              恨み辛み、夫に見放されて息子を味方につけて

              更には自分の手で相手を毒殺するという

              まぁ、ある意味、ロシア的猛女だが

              これを巧く演技と声で表現。ほとんど複数人格(笑)


              ユーリ役のテノールは、ちょっと、ううう。

              高音は出るのだが、力任せに叫びまくっている印象。

              時々、音程が不安定になる。

              あんなに高音ばかり張り上げていると

              若いうちはともかく、後で声をダメにするのではないかと

              老婆心ながら心配。

              ハンサムちゃんなのは間違いないし

              声域も広いのだから、無理せずに伸びて欲しいものだ。


              他のスタッフも全員、若くて見た目が良くて

              ウィーン劇場は小規模なので、ともかく声は通るし

              常々、オペラは見た目でナンボとか思っている私には

              かなり眼福の世界ではあった。


              オーケストラはウィーン放送交響楽団。

              このオーケストラ、オペラ巧くなったよなぁ(驚愕)

              アルノルト・シェーンベルク合唱団の巧さは

              いつもながらに素晴らしい。驚嘆する。すごいよ、この合唱団。


              冗長で、舞台は地味で、筋は無駄な部分が多いオペラだが

              チャイコフスキーの音楽、最初は退屈だけど

              どんどんドラマチックになるので

              後半が楽しい。


              ウィーン劇場の良く出来たプロダクションがまた一つ、という感じだが

              1回鑑賞すればそれで良し・・・というところ。

              (第一、ウィーン劇場のチケットって高過ぎて、何回も行けません(爆))


              最後の死ぬ死ぬシーンも

              イタリア・オペラとは違って

              割にあっさりと死んでくれたので

              辟易する事もなくホッとしていた私に

              どうぞ1クリックをお恵み下さい。




              チャイコフスキー交響楽団 + フェドセーエフ

              0

                Musikverein Großer Saal 2014年9月18日 19時30分〜22時


                Tschaikowskij-Symphonieorchester Moskau

                指揮 Vladimir Fedosejev

                ピアノ Elisabeth Leonskaja


                Sergej Prokofjew (1891-1953)

                 Drei Sätze aus “Romeo und Julia”

                    Montagues und Capulets

                    Romeo und Julia

                    Tybalts Tod

                 Konzert für Klavier und Orchester Nr. 2 g-Moll, op. 16

                Antonín Dvořák (1841-1904)

                 Symphonie Nr. 9 e-Moll, op. 95, “Aus der Neuen Welt”


                昔のモスクワ放送交響楽団

                今はチャイコフスキー交響楽団。

                日本のサイトで調べると

                モスクワ放送チャイコフスキー交響楽団で出てくる。


                今年82歳(!)なのに

                この指揮者、本当にロマンス・グレイという言葉にピッタリの

                洒脱でイヤミのないハンサムで

                何年たっても若々しい。


                ©fedseyev.com


                ウィーン交響楽団の首席だった頃は

                私は愛を籠めて、高速すっとばしお爺ちゃんと呼んでいたが

                あの頃は、何を演奏しても

                普通の演奏より数分短かった(笑)


                当時から

                ウィーン交響楽団で稼いだ金を

                全部、チャイコフスキー交響楽団につぎ込んでる、という噂があったくらい

                フェドセーエフと、このオーケストラは縁が深い。


                以前はその名の通りチャイコフスキー・プログラムだったが

                今回はプロコフィエフとドボルジャークで登場。


                プロコフィエフのロメオとジュリアから3シーン。

                最初はモンタギューとキャプレット。

                あの、がんがんクレッシェンドして

                その後、突然、弦のピアニッシモになるところ

                背筋がゾクゾクする。


                しかもフェドセーエフ、オーケストラを目一杯鳴らす。


                えええ、そんなフォルティッシモ、出来るんですか、という位

                楽友協会では耳触りになる直前までの大音響を醸し出して

                それで、うるさいとか音が濁ってる、にならないのは

                長年にわたって楽友協会で指揮して来た経験によるんだろうなぁ。


                曲の途中のジュリエットの登場で

                腰が抜けそうになった。


                いや、何ですか、あの微妙なポルタメント。

                あんな小さな音楽の部分で

                ジュリアの可憐さと、将来の妖婉さを表現しちゃうなんて。


                あんなチャーミングなジュリアだったら

                ロメオはひとたまりもないだろう。

                私もフラフラ・クラクラ。演奏される度にゾクゾク ♡


                変わってバルコニーのシーン。

                繊細に繊細に紡ぎ出されていく愛の様相。


                だが、これ、ちょっと繊細過ぎて

                あまりに解像度良過ぎて

                ちょっとゴツゴツした感じに聴こえてくる。


                もうちょっと、柔らかにしてくれても良かったかも。

                それでも、プロコフィエフの音楽の持つ力が

                余すところなく舞台から流れて来る。


                最後はティーボルトの死。

                プログラム見ないで駆けつけたのだが

                まぁ、大抵の指揮者はこれを最後に持ってくる(派手ですし(笑))


                以前の高速お爺ちゃんを彷彿とさせるテンポで

                前半をリズム良く盛り上げて

                ティーボルトの死のところで


                うわわ、ちょっと、このパーカッションの使い方とテンポ

                異様にリアル。


                倒れて心臓が打って、止まっていくところが

                全部音楽で表現されてるのか、これは・・・


                嘆きの部分も素晴らしい。

                ついつい、オペラ座の舞台で

                エノの身体に抱きついて号泣するダグマーが

                (いえいえ、すみません、あの、バレエ・オタクの話です)


                続けてプロコフィエフのピアノ協奏曲2番。

                ピアノはエリザベート・レオンスカヤ。

                この人も68歳だが

                テクニックに全く衰えがない。


                というより

                若いピアニストが弾くと

                ピアノが打楽器と化して

                バリバリバリという音楽になる

                プロコフィエフのこの曲が


                どこをどうやったら

                あんなにロシア的な暗いロマンティックでウエットな印象になるんですか?


                いや、もう、聴いていて

                まるで魔法にかかってしまったような気分。


                オーケストラとの僅かなズレがある部分もあったけれど

                ウエットでセンチメンタルでドラマチック。

                この曲をこんな印象で聴いたのは初めてかもしれない。


                うううううん、さすがロシア人(謎発言)

                (註 レオンスカヤはグルジア生まれだが、生まれた時はソビエトだった(笑))


                後半のドボルジャークを

                こんなにロシア的にウエットに演奏されたら

                辟易するかも、と思っていたが


                ことフェドセーエフおじさまが指揮台に立てば心配無用(笑)


                変な思想とか、指揮者の思い入れとか

                えい、目立ったれ、のような自己顕示欲とかが全くない。


                テンポ早めの部分もあったが

                第2楽章などは、たっぷりのテンポでメロディを歌わせて

                いや、確かにソロを聴く限りでは

                クリーブランド管弦楽団みたいな高価な楽器は使っていないようだが

                自己主張というものがほとんどなくて

                純粋に音楽だけ、という、実に気持ちの良い演奏。


                素直で気取りがなくて

                本当にすくすく育った音楽、という感じがする。


                アンコールにプロコフィエフの交響曲1番から

                何と4楽章を演奏(驚愕)


                あのあのあの、アンコールであの曲の3楽章のガボットは

                時々、舞台で演奏される事があるけれど


                目一杯頑張って演奏したオーケストラのアンコールが

                あの、むちゃくちゃ早い超高速の4楽章?!

                どういうオーケストラと指揮者だよ、これ(爆笑)


                舞台が見えるところに移動して見ていたのだが

                白髪に黒いおヒゲの

                ニコッともしない、怖そうなコンサート・マスターが

                目にも止まらぬ早さでボウイングしてるし(笑)


                これでアンコールは終わりだな、と思っていたら

                またもや1曲。たぶん、チャイコフスキー

                (後で発表されたら追補します)


                いやん、フェドセーエフ、ステキ ♡


                このオーケストラ、週末からの2度目の公演は

                ドボルジャークのスタバート・マーテルを演奏する。

                (宗教曲なのでちょっと避けるかも・・・

                 いや、行かないぞ、と思っていたら

                 手元に何とチケットがあったのだが(そんなのばっかり(笑))

                 もしかしたら、ちょっと、モドキがね(以下省略))


                あんまり演奏が良かったので

                残業せずに帰宅しよう、と思っていたのに

                やっぱり真夜中過ぎまで仕事してしまった

                アホな私に

                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                今回は指揮棒を使わず

                手の表情だけで振っていたが

                この手の動きが実にチャーミング。

                最後にオーケストラのメンバーと握手した時に

                第2バイオリンの首席の女性には

                手にキッス、というのがサマになるというのは

                ハンサムなロマンス・グレイの役得だな・・・



                クリーブランド管弦楽団 + フランツ・ヴェルザー=メスト

                0

                  Konzerthaus Großer Saal 2014年9月16日 19時30分〜21時30分


                  The Cleveland Orchestra

                  指揮 Franz Welser=Möst


                  Johannes Brahms (1833-1897)

                   Tragische Ouvertüre d-moll, op. 81 (1880)

                  Jörg Widmann (*1973)

                   Teufel Amor. Sinfonischer Hymnos nach Schiller (2009)

                  Johannes Brahms

                   Symphonie Nr. 4 e-moll op. 98 (1884-85)


                  クリーブランド管弦楽団とフランツ・ヴェルザー=メストの

                  ブラームスとヴィドマンのチクルス最終公演は

                  楽友協会ではなく、コンツェルトハウス。


                  最初にコンツェルトハウスの総支配人が登場。

                  いや、ちょっと、これって直前の指揮者の変更?

                  それともプログラムの変更?と一瞬焦ったが


                  コンツェルトハウス102回目のシーズンの

                  オープニング・コンサートに

                  クリーブランド管弦楽団と

                  フランツ・ヴェルザー=メスト氏を迎えられて嬉しいという

                  あまり意味のない演説。


                  悪意に解釈すれば

                  フランツ・ヴェルザー=メストは

                  ここで多いに感謝されるべき貢献を

                  コンツェルトハウスのためにしたのである、と念を押して欲しかったのか。


                  いや、ちょっと裏話あるので

                  コンツェルトハウスさま、お疲れさま、という事で。

                  (裏話が何だかは業務上の秘密で書けない。悪しからず)


                  前半の悲劇的序曲は

                  スッキリとまとまった演奏。


                  ヴィドマンの Teufel Amor って

                  私、以前にパッパーノの指揮で2回くらい聴いた記憶がある。


                  ヴィドマンの曲にしては、あまりメロディが歌わず

                  断片的なフラグメントが多いのだが


                  うはは、やっぱりこの曲、面白い(笑)


                  特殊奏法の断片的な扱いから言えば

                  サルヴァトーレ・シャリーノみたいな感じの

                  おどろおどろしい部分が続いて


                  でも、途中でトナールの断片がちょこちょこ顔を出すし

                  よく聴けば、ため息はあるし

                  恋で舞い上がって我を忘れているフレーズもあって


                  この曲、妄想喚起力が強い。

                  (で、現代曲で妄想喚起力が強いのは

                   私にとって良い曲なのである)


                  しかも、随所随所でのトナールの扱い方などが

                  何かユーモアに満ちていて

                  ついつい、微笑んでしまう(どうせ変人ですワタシ)


                  さて、後半はブラームスの交響曲4番。


                  う〜ん、実は舞台の配置を見た時から

                  イヤな予感はしたのだが


                  舞台の下手の奥

                  壁の前に陣取った4人のホルン。


                  あの位置にホルンがあると

                  何故かコンツェルトハウスの音響では

                  ホルンばかりが飛び出して聴こえるのだ。


                  予感的中。


                  第1楽章から、4人が吹くと、完全にホルンだけ飛び出して聴こえる(涙)

                  トロンボーンとかトランペットのバランスは良いのに

                  何故か、ホルンだけ別に聴こえてしまって

                  弦と混ざらないし、全体からも飛び出しちゃって


                  しかも、そのあの、シロウトですから無視していただいて結構ですが

                  このホルン部隊、あんまり超絶的に巧いというメンバーでは(以下省略)


                  音楽そのものは

                  昨日と昨々日に聴いた他のブラームスと同じく

                  タメが全くなくて

                  オーケストラの音楽はうねるし

                  感情たっぷり、情感たっぷりなのに

                  タメがないので、かなりあっさりと聴こえて来る。


                  ギャラリー席なので指揮姿は見えないけれど

                  きっと、また真面目にテンポ一つ一つを

                  まともに指揮棒で振ってるんだろうな、ヴェルザー=メストは。


                  すみません、感激だの感動だの

                  テンポがどうだ、音楽の色がどうだ、という前に

                  最初から最後まで

                  飛び出すホルンが気になって気になって(汗)


                  他のオーケストラでも

                  あの位置にホルンがあると、必ずギャラリー席では

                  ホルンが飛び出して聴こえるので

                  ホール上の欠点としか言えないと思うのだが


                  指揮者は天井桟敷なんかに音響チェックで行かないだろうし

                  天井桟敷は貧民席なので(笑)

                  批評家や金持ちは、平土間とかバルコン・ロジェとかに座る。

                  きっと、他の席では

                  あの音のバランスは違って聴こえるのだろう(と思う)


                  恨み辛みに満ちた呪詛の3番とは違って

                  同時にホールの音響の関係かもしれないが

                  今日の4番は、最初から、極端に繊細な音を作っている。


                  肌触りがフワフワの毛皮の表面をそっと撫でているような感じ。

                  全体にパステル色がかかっていて


                  悲劇っぽい部分も、あっさりとインテンポで流したので

                  大泣きにもイタリア・オペラにもなっていない。


                  コンツェルトハウスの聴衆は地元の年配が多いので

                  曲が終わっても、あんまり派手派手しいブラボー・コールはない。


                  で、カーテン・コール4回くらいで

                  アンコールなしでお終い。


                  プレイヤーの楽譜台には

                  アンコールの楽譜がしっかり乗っていたのだが。


                  悪意に取れば


                  ブラボーコールもなく、熱狂的に讃えてくれる観客じゃないし

                  楽友協会のように世界中から観光客が来ているのではなくて

                  ウィーンっ子たちが中心の

                  しかも楽友協会と比べたら格下のコンツェルトハウスで

                  アンコールなんかするもんか


                  善意に取れば


                  3日続きのブラームスとヴィドマンで

                  もうフラフラ。

                  むちゃ疲れたのでアンコールなしで許して


                  ・・・どう考えても前者に見えるのは

                  私の根性が悪いからである。


                  力任せの、超絶技巧ひけらかし腕自慢揃い

                  出てくる音楽は音楽じゃなくて、サウンド、という

                  アメリカっぽいオーケストラの響きではなく


                  このオーケストラ、すっきりしたヨーロッパの味を持っていて

                  とても洗練された良い音がするので


                  あのホルンの位置さえ別のところだったら

                  (あるいは、私の席がもっと高い価格の席だったら(汗汗))

                  もっと楽しめたのかなぁ、と思いつつ


                  コンサート後に

                  またもや残業のためにオフィスに帰った私に

                  どうぞ励ましの1クリックをお恵み下さい。




                  クリーブランド管弦楽団 + フランツ・ヴェルザー=メスト

                  0

                    Musikverein Großer Saal 2014年9月15日 19時30分〜21時30分


                    The Cleveland Orchestra

                    指揮 Franz Welser-Möst


                    Jörg Widmann (*1973)

                     Con brio, Konzertouvertüre für Orchester

                    Johannes Brahms (1833-1897)

                     Symphonie Nr. 3 F-Dur, op. 90

                     Symphonie Nr. 2 D-Dur, op. 73


                    フランツ・ヴェルザー=メストとクリーブランド管弦楽団2日目。


                    ヴェルザー=メストは国立オペラ座音楽監督という契約を放棄した上

                    当然、本来は振る筈だったメインな演目からは

                    すべて降りてしまい

                    総裁のドミニック・メイエールは

                    34公演に指揮者を探さねばならない、という苦境に立って


                    トマシュ・ネトピルがヤナーチェックの「利口な狐の物語」を

                    年末・年始の「こうもり」はパトリック・ランゲが担当する事になった。


                    う〜ん(悩)やっぱりホレンダーと違って

                    あんまり人脈はないのだな。

                    若い指揮者にとっては喜ばしい事かもしれないが。


                    新聞のインタビューに答えて曰く


                     自分の気にいった演出家で

                     自分の好きな舞台で、好きな作品で

                     好きな歌手が起用されて

                     自分の権限でリハーサルと公演が出来るのであれば

                     国立オペラ座の指揮者として戻ってくるのも

                     やぶさかではない


                    ・・・・まぁ、ゲイジュツ家としては正しいのであろう。


                    しがないサラリーマンとしては

                    上司や同僚に虐められ、お客さまに虐められ

                    それでも何とか妥協しながらやっていくのが

                    社会ではないかとか思ってしまうのだが

                    言い出すとキリがなくなりそうなので止める。


                    さて、そういう言動をして

                    ウィーンっ子としては

                    「まぁ、わかるわ」とか言っていたオバサンもいたが

                    全体的に見て、フランツ・ヴェルザー=メストの

                    人間性への信頼は失われている状態だから


                    ヴェルザー=メストにしても

                    このコンサート・チクルスは正念場であろう。

                    ここで絶賛されたら

                    また、オペラ座にもでかい顔が出来るというものである。


                    ヴィドマンのコン・ブリオは面白かった。

                    この間のユース・オーケストラの繊細な響きとは違って

                    厚みのある音を出していて

                    多少、類型的な感じではあったけれど

                    でも、ヴェルザー=メストが

                    こんな現代曲でも、思い切り感情籠めて

                    (その感情がプラスかマイナスかはわからんが)

                    異様に熱く振っていたのが面白かった。


                    さて続いてブラームスの交響曲3番。


                    情感籠めて、オーケストラをしならせて唸らせて

                    しかもテンポ速くて

                    細かい部分の音型が潰れて聴こえてくる。


                    更に叩き付けるような激しさで

                    ほとんどワイルドというか、荒いというか


                    ヴェルザー=メストの指揮も

                    ぶんぶん両腕を振り回し、身体を傾けて

                    指揮棒を叩き付けるように動いて


                    荒々しいイメージを越えて


                    あの、何か、恨みでもあるんでしょうか?


                      としか思えない、呪詛丸見えの第1楽章。


                    実は本気でちょっと怖かった。

                    この人、どこかおかしいんじゃないか、と思ったくらい。


                    第2楽章からは多少落ち着きを見せて

                    ブラームスの深い音色を美しく響かせてくれた。


                    それにこのオーケストラ、木管が本当に素晴らしいの(感激)

                    昨日の超ウマのフルートのお兄ちゃんも

                    今日はしっかりオーケストラに入って吹いてる。


                    枯れたブラームスではなくて

                    ダイナミックでワイルドな味。


                    後半、ブラームスの交響曲2番は

                    今度は恨みは入っていなくて(笑)

                    これ、表題音楽か?というくらい

                    水の音や滝の流れ、その上に渡る風の音が

                    音楽から聴こえてくる。


                    しかも、第3楽章あたりの切ない部分を

                    本当に本当に本当に切なくやってしまうのだ。


                    ヴェルザー=メストって、こんな悲しい表現が出来た人だったっけ?


                    ゲルマン系の絶対音楽というよりは

                    何だろ、この感情過多は?と考えると

                    あぁ、これ、もしかしたら

                    半分イタリア・オペラと化しているのかも(独断・偏見)


                    アメリカのオーケストラなのに

                    かなり歌うのだ。

                    時々、人間の歌を聴いているような錯覚に捉えられるほど

                    メロディが分断せずに、緩やかに繋がっていく。


                    最近は、古典派をサラッと解像度高く演奏するのではなくて

                    エモーション万歳!みたいな演奏が復活しているのだろうか?


                    ほとんど表情なしに振ってるけれど

                    動きがむちゃ激しくて

                    そんなにテンポ一つ一つ、全部振らんでも良いんでないかい、と

                    ついつい言いたくなってしまう程の

                    マジメな、絶対に手を抜かない指揮。


                    ド真面目な人がいったん道を踏み外すと

                    とんでもない事をしそうだが(余計なお世話)


                    どこかのゲルマン系指揮者のような

                    俺サマの恣意性はなくて

                    あくまでも音楽の中のやるせなさとか

                    恨みとか、悲しさとか

                    (あんまり「楽しさ」を感じなかったのは不思議だが)

                    それを、スコアの10倍くらいに増幅させて

                    聴かせていただいたような印象だった。


                    エモーショナルなブラームスは

                    派手だし、華やかだし、聴衆にもアピールする。


                    その意味では良いプログラムを持って来て

                    感情・情感たっぷりの

                    ウィーンっ子にはモロにウケそうな演奏をしているのは

                    かなり計算高いというか、賢いというか(苦笑)


                    そうやって斜に見てしまうのは

                    私の根性がひねくれているからなのだが

                    あれだけダイナミックにワイルドに

                    感情丸出し(に見えるような)演奏で

                    水準も高く

                    自分の中のブラームスとの違和感も少なく


                    でも、何だか全然感激しなかったのは

                    まだコンサートの後に仕事が山ほど残っていたからだろう

                    ・・・という悲しいワタクシに

                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                    記事のアップ時間は変えてあります。念の為。

                    真夜中過ぎまでオフィスに居ました(涙)

                    コンサート行かずに残業していたら

                    真夜中前には帰れただろうが

                    やっぱりナマのオーケストラの音を聴きたいんです(こらこら!)



                    クリーブランド管弦楽団 + フランツ・ヴェルザー=メスト

                    0

                      Musikverein Großer Saal 2014年9月14日 19時30分〜21時30分


                      The Cleveland Orchestra

                      指揮 Franz Welser-Möst

                      フルート Joshua Smith


                      Johannes Brahms (1833-1897)

                       Akademische Festouvertüre c-Moll, op. 80

                      Jörg Widmann (*1973)

                       “Flûte en suite” für Flöte und Orchestergruppen

                      Johannes Brahms

                       Symphonie Nr. 1 c-Moll, op. 68


                      この間、突然ウィーン国立オペラ座音楽監督の職を辞した

                      フランツ・ヴェルザー=メストが

                      手持ちのクリーブランド管弦楽団との客演。


                      ヴェルザー=メストは2002年から音楽監督になっているから

                      ひえ〜、もう12年、このオーケストラの首席か。

                      以前の時も

                      ひょっとしたら、ヴェルザー=メストって

                      ウィーン・フィルとかよりも

                      このオーケストラとの方が合っているんじゃないか、という印象があった。


                      ブラームスの大学祝典序曲。

                      とてもヨーロッパ的な、すっきりした解像度が高い音。

                      この間のミュンヒェン・フィルのような

                      ボッテリした音の濁りは全くなく

                      きっちり整ったアンサンブルの澄んだ音色。


                      ヨルク・ヴィドマンのフルート協奏曲?

                      いや、協奏曲というより

                      そのまま訳すと

                      フルートとオーケストラ・グループのための曲という感じ。


                      アルマンド、サラバンド、コラール、バルカローレ、カデンツァ

                      ・・・という名称がついていて


                      フルートと、オーケストラのいくつかの楽器がアンサンブル。

                      あくまでも室内学的な試みで

                      古典のメロディを持って来てバリエーションをしたりするので

                      何か、現代曲というよりは

                      ルネサンス前期や、ダウランドあたりのイギリス音楽を聴いているような

                      不思議な印象をもたらす。


                      あ、でも、もちろん現代曲です(笑)

                      フルートのソロが、もうむちゃむちゃ巧くて

                      現代曲だと、フルートが同時に1音しか出ないなんていうのが

                      全然気にならなくなって

                      低い音から、噛み付くような鋭い高音まで

                      多彩な色に満ちたフルートの音色と

                      そこに絡まる各オーケストラのグループの保護色に

                      耳を奪われる。


                      最後はバッハの曲のメロディを

                      どんな、ド素人にもわかるように持ってきて

                      自由自在に変奏するので

                      かなり盛り上がって終わる。


                      う〜ん、この、古典曲のコラージュって

                      最近の現代音楽のデフォルトかな?

                      あんまり耳慣れない不協和音ばかりだと

                      観客にウケないから

                      最後は知っているような曲想で盛り上げようというか(疑)


                      ヴィドマンの曲は

                      どの曲を聴いても、かなり歌うメロディが多いので

                      ブチ切れ現代曲とはまた違って

                      それはそれで、割に気分良く聴けるというのはある。

                      (まぁ、そのメロディが気に入るかは別の問題だが)


                      後半はワタクシ的にメインなブラームスの交響曲1番。


                      最初のピアニッシモの出だしから、かなりテンポは早め。

                      音量を抑えている分

                      ブラームスの暗めの音色がニュアンス持って良く出ている。


                      この間のミュンヒェン・フィルに欠けていた

                      ブラームスらしいくすんだ黄土色みたいな音色が出てきて

                      ああ、これがブラームスの色なのよ、うん。


                      さて、このフランツ・ヴェルザー=メストという指揮者だが

                      いや、はい、かなり長年に渡って

                      あちこちのオーケストラの指揮台で観ているけれど

                      最初は、人間メトロノームみたいな

                      あるいは、木で出来た人形のような感じだったが


                      この人、クリーブランド管弦楽団の時には

                      よく動くなぁ・・・

                      (註 ウィーン・フィルの時なんか

                         こんなに熱く振らないです、うん)


                      天国に昇るような繊細な第二楽章は

                      音楽的な面からは、実に美しくて素晴らしい。

                      何故か、音楽的な技術面ばかり耳に残って

                      感激、という感じがしなかったのは

                      たぶん、私の体調による。


                      第3楽章の前に

                      神経質そうに身体を動かして

                      咳がなかなか止まない聴衆にイライラして


                      あまつさえ、椅子を動かしてスゴイ音がした席を

                      振り向いてギロッと睨みつけた上で

                      腕時計を見るような素振りを見せて


                      第3楽章からアタッカで続いた第4楽章が


                      な、な、な、何なんですか、そのテンポ設定は???


                      特に最後の方になったら

                      オーケストラを煽って煽って

                      どんどんテンポ・アップしていって

                      (うわ、でもこのオーケストラ、それに余裕綽々でついていく)

                      タメも全然ないし

                      音量を上げても、音は濁らないままのアンサンブルで

                      タメタメ全くない高速スピードで突っ走って


                      ヴェルザー=メスト、最後、完全に息が切れていて

                      (まぁ、あれだけ動けば息切れもするだろう・・・)


                      もしかしたら、トイレに行きたかったとか

                      早く休みたかったとか

                      何か理由があったんだろうか?

                      ・・・と邪推してしまう位に、異様なテンポだったのだ。


                      まぁ、その後、カーテン・コールの時には落ち着いたようで

                      アンコールは充分に歌わせて、楽しく聴かせてくれたが(笑)


                      ブラームスの交響曲と言えば

                      古典中の古典で

                      録音も山ほどあるし

                      ナマでも色々なオーケストラと指揮者で

                      何回も聴いているから

                      いくら好きでも、まぁ、今さら、という感はあるのだけれど


                      やっぱり名曲だよね、うん。


                      ヴェルザー=メストは神経質そうだし

                      マジメそうだし、ついでに何かしらんが偉そうだし

                      しかも、シーズン始まったとたんに

                      契約打ち切って、監督や〜めた、と突然責任放棄するし


                      でもまぁ、指揮者の才能と人間的な云々は別のものだろう、きっと。


                      大昔の野心ミエミエの音楽作りから

                      冷たいまでの完璧さを備えた、ワケわからん時期があって

                      でも、クリーブランドと一緒の時は

                      その完璧主義に加えて

                      ほんの少しの熱さが感じられるのが微笑ましい。


                      もともと熱い指揮者ではないし

                      かと言って、徹底的に透徹した音楽を目指しているワケでもなく

                      今のところ、まだ個性が見え切っていない発展途上の指揮者だが

                      (正直、オーストリア人というだけで評価高過ぎじゃないか、と

                       思った時期もあった)

                      クリーブランドとの相性は悪くなさそうで

                      オーケストラと指揮者の間の信頼関係がバッチリ見える。


                      耳が肥えて、ひねくれた観客の多いウィーンよりは

                      音楽の都出身で、大事にしてくれるアメリカのオーケストラの方が

                      ヴェルザー=メストには居心地が良いのかもしれない(邪推)


                      明日はブラームスの3番と2番。

                      ううう、私、有名な1番と4番より、2番と3番好きなの ♡


                      何故かヴィドマンのコン・ブリオが付いてくるが

                      (この曲、この間も聴いたし、コンセルトヘボーでも聴いた)

                      現代曲は何回聴いても覚えられなくて(記憶力ゼロ)

                      聴く度に、印象が変わるから、ちょっと楽しみかも。


                      しかし、アメリカのオーケストラって

                      コンサート前に全員が舞台の上で

                      それぞれ勝手に音出ししているので

                      音響がむちゃ響く楽友協会では

                      コンサート前に

                      ジョン・ケージによるところの偶然性の現代音楽を

                      期せずして聴けてしまうので


                      明日はコンサートの始まるギリギリの時間にホールに入ろう、と

                      固く決心している私に

                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。






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