Schloss Grafenegg Auditorium 2014年8月31日 19時15分〜21時40分
Rotterdam Philharmonic Orchestra
ピアノ Emanuel Ax
指揮 Yannick Nézet-Séguin
Johannes Brahms (1833-1897)
Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 d-moll op. 15 (1859)
Nikolai Rimski-Korsakow (1844-1908)
“Scheherazede” Symphonische Suite für Orchester op. 35 (1887/88)
朝から雨、昼も雨で夕方4時過ぎには
今日のコンサートはホールと決定。
やれ、ありがたい。音響の良いところで存分にオーケストラを楽しめる。
グラーフェネックに到着したら豪雨。
地面に水たまりがあちこちに出来ていて靴がびしょびしょ。
昨日と何と言う違い。
でも、まぁ、ヨーロッパの気候なんて、そんなもんである。
ブラームズのピアノ協奏曲1番。
出だしの交響曲のごとくのモチーフが
ちょっと遅めのテンポで、堂々と歌われて
しかも、弦とパーカッションのバランスが抜群。
期待値ぐ〜んとアップ。
エマニュエル・アックスのピアノが入る。
オーケストラとの掛け合いのバランスが良い上に
ピアノがものすごく強い。
強いのに、時々、信じられない程、優しくなる。
激情にかられた、気分の浮き沈みの激しい第1楽章に
こちらも翻弄される。
ブラームスって躁鬱病か、と思わせるほどの目まぐるしさ。
端正に作曲された2番(の方が有名だが)より
この1番の方が、荒削りで青春していて私は好き ♡
第2楽章の美しさと言ったら、筆舌に尽くしがたい。
透明感のあるオーケストラとピアノが
天上に昇る程に清涼で
あああ、もう、もう、もう、たまらん。
第2楽章の最後のピアノのあの複雑なトリラーが
全く濁りなく、重層的に透明感を持って演奏されるって
鳥肌が立つ。
激しい第3楽章を聴きながら納得した。
これって、
ブラームスがクララ・シューマンに書いたラブレターなんだなぁ・・・
しかしまぁ、一部の男性が
芸術において、女性を神格化する度合いって凄まじい。
このブラームスのピアノ協奏曲1番も
最初から、叶わない恋の焦燥感と渇望から始まって
第2楽章でのメロメロ感と
神聖化された女性に対する憧れの凄まじさは
いや、これ言うと、男女差別主義者と言われそうだが
あの曲を理解して弾けるのは
男性ピアニストだけなんじゃないだろうか。
あの狂おしいほどの激情と女性の神格化は
ある意味、ものすごく男性的な感じがする。
いやはや、クララ・シューマンの助言があった、とは書いてあるけれど
男性の妄想って、女性には、いや、私にはよくわからない。
まぁ、私自身が多少、感情欠乏症という部分があるのは認めるが
ブラームスにせよ、マーラーにせよ
報われない恋をする男性って
何で女性を「聖なるもの」としちゃうんでしょうね?(謎)
(報われない恋をしている女性が
男性を神格化する事は・・・まずないはずだ。
だいたい、どこかで折り合いつけて
じゃぁ、や〜めた、という現実的なのが女性だと思う。
違っていたらごめんなさい)
エマニュエル・アックスって
どこから見ても、ただの普通の気の良いオジサンにしか見えないのだが
(舞台に登場する時も退場するときも
何かもう、気弱なすごく普通のオジサンという感じ)
ピアノに向かうと変貌する。
ああ、ピアノが美しすぎる。
秘められた情熱も渇望も、あまりに切なすぎる。
ヤニック・ネゼ=セガンも
オーケストラとピアノに集中して
ピアノの反応を一つでも見逃すものか、という気迫。
やるせないラブレターを聴いた後の休憩後は
リムスキー・コルサコフのシェヘラザード。
あんまり食指の動く音楽ではないのだが
・・・・と思って聴き始めたら
ありゃ、このオーケストラ、何て巧いんだ?!
以前、ヤニック・ネゼ=セガンが首席に就任した後の
楽友協会のコンサートでは
ネゼ=セガンの要求するテンポをこなし切れず
ズレたり遅れたり崩壊しそうになったり
(いや、そこまで酷くはなかったが。さすがにプロだから)
何か、ヘタクソなオーケストラ、というイメージだったのに。
金管・木管が何て巧いんでしょ。
特に、チリチリヘアのクラリネットのお兄さん
あなたのクラリネットは奇跡です。
弦のユニゾンもむちゃくちゃ均質で
かなり渋みかかった砂漠のような音が広がって
すごく良い感じ。
コンサート・マスターは
見た目はむつけき中年男性なのだが
あぁ、この人も女性を神格化する人かも(誤解)
シェヘラザードのソロの妙なる響き ♡
チェロの首席のソロも聴き入ってしまう。
木管のソロに耳を奪われてしまう。
金管の咆哮に、冒険を感じてドキドキしてしまう。
キリッと締まったオーケストラの
しかも(ホールだったので)抜群のバランスで
目の前に繰り広げられる極彩色の物語絵巻。
シェヘラザードって、こんなステキな曲だったっけ?
前半のブラームスで涙溢れるほど感激して
(多少、こそばゆかったが(笑))
後半のシェヘラザードで別世界に飛んでしまって
ああ、ロッテルダム・フィルって優秀っ!!!!!
ネゼ=セガンって、とても音楽が雄弁!!!!!!
コンサート後はまだまだ大雨で
一部、川と化した高速道路を
制限速度130キロのところを100キロで
恐る恐る帰って来たが
やっぱりホールで聴くクラシックって良いなぁ ♡
(グラーフェネックの客は楽友協会などに比べて咳も少ないし)
ウィーン・フィルとドゥダメルが
シーズン開始にウィーン劇場で
シェヘラザードを演奏するのだが
今さらシェヘラザード聴きたくないっ、とチケット買ってないのだが
(それにウィーン劇場、音響がむちゃデッドだし)
うううううん、聴きに行こうかしら、と
真剣に悩んでいる私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。
いや、もう、こういう演奏聴いちゃうと
つまらない曲って
もしかしたら演奏が良くなかったんじゃないか、と
あらぬ事をついつい考えてしまうんですよね、すみません。