ロッテルダム・フィルハーモニック + ヤニック・ネゼ=セガン

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    Schloss Grafenegg Auditorium 2014年8月31日 19時15分〜21時40分


    Rotterdam Philharmonic Orchestra

    ピアノ Emanuel Ax

    指揮 Yannick Nézet-Séguin


    Johannes Brahms (1833-1897)

     Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 d-moll op. 15 (1859)

    Nikolai Rimski-Korsakow (1844-1908)

     “Scheherazede” Symphonische Suite für Orchester op. 35 (1887/88)


    朝から雨、昼も雨で夕方4時過ぎには

    今日のコンサートはホールと決定。

    やれ、ありがたい。音響の良いところで存分にオーケストラを楽しめる。


    グラーフェネックに到着したら豪雨。

    地面に水たまりがあちこちに出来ていて靴がびしょびしょ。

    昨日と何と言う違い。

    でも、まぁ、ヨーロッパの気候なんて、そんなもんである。


    ブラームズのピアノ協奏曲1番。

    出だしの交響曲のごとくのモチーフが

    ちょっと遅めのテンポで、堂々と歌われて

    しかも、弦とパーカッションのバランスが抜群。


    期待値ぐ〜んとアップ。


    エマニュエル・アックスのピアノが入る。

    オーケストラとの掛け合いのバランスが良い上に

    ピアノがものすごく強い。

    強いのに、時々、信じられない程、優しくなる。


    激情にかられた、気分の浮き沈みの激しい第1楽章に

    こちらも翻弄される。

    ブラームスって躁鬱病か、と思わせるほどの目まぐるしさ。

    端正に作曲された2番(の方が有名だが)より

    この1番の方が、荒削りで青春していて私は好き ♡


    第2楽章の美しさと言ったら、筆舌に尽くしがたい。

    透明感のあるオーケストラとピアノが

    天上に昇る程に清涼で

    あああ、もう、もう、もう、たまらん。

    第2楽章の最後のピアノのあの複雑なトリラーが

    全く濁りなく、重層的に透明感を持って演奏されるって

    鳥肌が立つ。


    激しい第3楽章を聴きながら納得した。

    これって、

    ブラームスがクララ・シューマンに書いたラブレターなんだなぁ・・・


    しかしまぁ、一部の男性が

    芸術において、女性を神格化する度合いって凄まじい。


    このブラームスのピアノ協奏曲1番も

    最初から、叶わない恋の焦燥感と渇望から始まって

    第2楽章でのメロメロ感と

    神聖化された女性に対する憧れの凄まじさは


    いや、これ言うと、男女差別主義者と言われそうだが


    あの曲を理解して弾けるのは

    男性ピアニストだけなんじゃないだろうか。


    あの狂おしいほどの激情と女性の神格化は

    ある意味、ものすごく男性的な感じがする。


    いやはや、クララ・シューマンの助言があった、とは書いてあるけれど

    男性の妄想って、女性には、いや、私にはよくわからない。


    まぁ、私自身が多少、感情欠乏症という部分があるのは認めるが

    ブラームスにせよ、マーラーにせよ

    報われない恋をする男性って

    何で女性を「聖なるもの」としちゃうんでしょうね?(謎)

    (報われない恋をしている女性が

     男性を神格化する事は・・・まずないはずだ。

     だいたい、どこかで折り合いつけて

     じゃぁ、や〜めた、という現実的なのが女性だと思う。

     違っていたらごめんなさい)


    エマニュエル・アックスって

    どこから見ても、ただの普通の気の良いオジサンにしか見えないのだが

    (舞台に登場する時も退場するときも

     何かもう、気弱なすごく普通のオジサンという感じ)

    ピアノに向かうと変貌する。

    ああ、ピアノが美しすぎる。

    秘められた情熱も渇望も、あまりに切なすぎる。


    ヤニック・ネゼ=セガンも

    オーケストラとピアノに集中して

    ピアノの反応を一つでも見逃すものか、という気迫。


    やるせないラブレターを聴いた後の休憩後は

    リムスキー・コルサコフのシェヘラザード。


    あんまり食指の動く音楽ではないのだが

    ・・・・と思って聴き始めたら


    ありゃ、このオーケストラ、何て巧いんだ?!


    以前、ヤニック・ネゼ=セガンが首席に就任した後の

    楽友協会のコンサートでは

    ネゼ=セガンの要求するテンポをこなし切れず

    ズレたり遅れたり崩壊しそうになったり

    (いや、そこまで酷くはなかったが。さすがにプロだから)

    何か、ヘタクソなオーケストラ、というイメージだったのに。


    金管・木管が何て巧いんでしょ。

    特に、チリチリヘアのクラリネットのお兄さん

    あなたのクラリネットは奇跡です。


    弦のユニゾンもむちゃくちゃ均質で

    かなり渋みかかった砂漠のような音が広がって

    すごく良い感じ。


    コンサート・マスターは

    見た目はむつけき中年男性なのだが


    あぁ、この人も女性を神格化する人かも(誤解)

    シェヘラザードのソロの妙なる響き ♡


    チェロの首席のソロも聴き入ってしまう。

    木管のソロに耳を奪われてしまう。

    金管の咆哮に、冒険を感じてドキドキしてしまう。


    キリッと締まったオーケストラの

    しかも(ホールだったので)抜群のバランスで

    目の前に繰り広げられる極彩色の物語絵巻。


    シェヘラザードって、こんなステキな曲だったっけ?


    前半のブラームスで涙溢れるほど感激して

    (多少、こそばゆかったが(笑))

    後半のシェヘラザードで別世界に飛んでしまって


    ああ、ロッテルダム・フィルって優秀っ!!!!!

    ネゼ=セガンって、とても音楽が雄弁!!!!!!


    コンサート後はまだまだ大雨で

    一部、川と化した高速道路を

    制限速度130キロのところを100キロで

    恐る恐る帰って来たが


    やっぱりホールで聴くクラシックって良いなぁ ♡

    (グラーフェネックの客は楽友協会などに比べて咳も少ないし)


    ウィーン・フィルとドゥダメルが

    シーズン開始にウィーン劇場で

    シェヘラザードを演奏するのだが

    今さらシェヘラザード聴きたくないっ、とチケット買ってないのだが

    (それにウィーン劇場、音響がむちゃデッドだし)

    うううううん、聴きに行こうかしら、と

    真剣に悩んでいる私に

    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    いや、もう、こういう演奏聴いちゃうと

    つまらない曲って

    もしかしたら演奏が良くなかったんじゃないか、と

    あらぬ事をついつい考えてしまうんですよね、すみません。



    トーンキュンストラー + ローレンス・フォスター

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      Schloss Grafenegg 2014年8月30日 19時15分〜21時20分


      Tonkünstler-Orchester Niederösterreich

      ピアノ Irena Gulzarova

      指揮 Lawrence Foster


      Carl Maria von Weber (1786-1826)

       Ouvertüre zur Oper “Der Freischütz” (1821)

      Franz Liszt (1811-1886)

       Konzert für Klavier und Orchester Nr. 2 A-Dur (1857)

      Ludwig van Beethoven (1770-1827)

       Symphonie Nr. 6 F-Dur op. 68 “Pastrale” (1807/08)


      午前中は大雨で寒くて

      そんな中を市内に出ていてびしょ濡れになって

      これはコンサートはホールだな、と思っていたら

      午後遅くから晴れてきて

      野外音楽堂ヴォルケントゥルムでのコンサートになった。


      地元オーケストラ、トーンキュンストラーと

      アメリカの指揮者に

      1982年タシュケント生まれの美人ピアニスト。


      魔弾の射手の序曲。

      最後のホルンが微妙に音程が下がっていた(ような気がする)が

      途中、持ち直して見事なソロ。

      いや、楽しいですね、こういう曲。

      すごく元気だし活き活きしていて

      エネルギーをもらえる。


      リストの超絶技巧曲は

      美人で長身で、真っ赤な衣装を着たピアニスト登場。

      よく見ればロング・スカートじゃなくて

      さりげなくキュロットになってるし。

      (何を見てる?!すみません)


      でピアノの技巧は凄いし

      音楽性も高いのだろうが

      ううううん。だからと言って大感激というワケでなかったのは

      一重にワタクシの感受性のなさに起因する。


      アンコールがラフマニノフのプレリュードで

      これも、まぁ、すごい技巧なのだけれど・・・

      じゃぁ、技巧だけよ、というランランみたいな開き直りはなくて

      (私は何を弾いてもランランになる、というあの個性は嫌いじゃない)

      一応、音楽性もあるんだろうな、きっと。

      (音楽性というのが、すみません、今ひとつわからないので(汗))


      後半はベートーベンの「田園」

      野外音楽堂で、太陽が落ちたお城の大庭園で「田園」!!!(爆笑)


      いや、あの曲、まだ太陽が完全に落ちていない前半に演奏したら

      意外に面白かったかもしれない。


      だって、周囲の自然とピッタリなんだもん。

      まぁ、あの「田園」の第一楽章は

      自分の中ではハイリゲンシュタットあたりの景色に固定されているので

      グラーフェネックのイメージとはちょっと違うが

      でも、あのワクワクした感じは、ここだってある。


      しかし、しかし、しかしですよ、

      演奏云々ではなくて

      芸術において

      自然が芸術を凌駕してしまう事があって


      ホールで演奏されて

      イメージとしての自然が先行して

      農民のダンスや嵐や太陽が

      脳の中だけで生成されている分には

      素晴らしい音楽なのだが


      野外で自然の中で演奏されてしまうと

      ううう、自然の方がずっと力が強い。

      ステージ上のカッコウもウズラも

      ただの偽物にしか聴こえないし

      (プレイヤーは巧い)

      嵐だって、雷だって

      作り物に聴こえてしまう。


      すみません、これは、もう仕方がないとしか言えない。

      ホールの中だったら、すごく良かっただろうに・・・

      自然の中で聴いてしまうと

      いや、ベートーベンの音楽は素晴らしいのだが

      自然の規模が一回り違うというか

      ああ、もう、書けば書くほど墓穴掘りそうなので

      やめよう。


      来週はハーディングやテルミカーノフが来るのだが

      木曜日や金曜日の

      しかも19時からのコンサートなんて

      どうやったらウィーンのしがないサラリーマンが行けるんだっ!(怒)


      というワケで

      来週は土曜日・日曜日にグラーフェネック通いして

      や〜っと9月中旬から

      ウィーンのホールで、ホールの中でコンサートが聴ける事が

      今はひたすら楽しみな私に

      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



      帰りの高速道路から、どこかでやっている花火が見えた。

      花火に気を取られてスピード落とす車がいて怖かった。

      (註 自分の事ではありません、っとっと、追突に気をつけねば)


      バーミンガム市交響楽団 + アンドリス・ネルソンス

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        Schloss Grafenegg Wolkenturm 2014年8月29日 19時15分〜21時15分


        City of Birmingham Symphony Orchestra

        テノール Klaus Florian Vogt

        指揮 Andris Nelsons


        Richard Wagner (1813-1883)

        “Karfreitagszauber” aus dem Bühnenweihfestspiel “Parsifal” (1882)

        “Amfortas ! Die Wunde !” Szene aus “Parsifal”

        “Nur eine Waffe taugt” Szene aus “Parsifal”

        Vorspiel zum dritten Aufzug der Oper “Lohengrin” (1850)

        “Höchstes Vertraun hast du mir schon zu danken” aus “Lohengrin”

        “In fernem Land” Gralszerzählung aus “Lohengrin”


        Ludwig van Beethoven (1770-1827)

        Symphonie Nr. 7 A-Dur op. 92 (1811/12)


        こんなに寒くて雨続きの8月は近年では珍しいと

        新聞記事にもなっていたが

        やっと少し晴れて、気温も20℃以上になって

        (何か8月の記事とは思えない書き方だが(笑))

        今日は堂々と野外音楽堂でのコンサート。


        ネルソンス、痩せましたね。

        ・・・ってハナっから、それかよ(すみません)


        一時、腹は出るわ、ブクブクだったネルソンスは

        腹も引っ込み、かなりスッキリした体型になって

        後ろから見ると、少しだけだが肩甲骨も見えるようになった。


        でも、相変わらず、動きは激しいし

        ジャンプはするし、掛け声かけるし(爆笑)

        やんちゃ坊主ぶりは健在。


        さて私が会社を15分早引けして

        その上、大枚叩いて(45ユーロ!)

        このコンサートのチケットを買ったのは

        ネルソンスとバーミンガム市交響楽団がお目当てではなく

        (木曜日にも同じ組み合わせでコンサートがあった)


        テノール歌手のクラウス・フローリアン・フォークト目当てである。


        この歌手、何回かさりげなく聴いていて

        聴くたびにひっくり返っていたので

        ちょっと注目して

        6月のナクソス島のアリアドネに行って

        (で、何だあれ?と思ったけれど)


        バッカス役ではなくて

        ワーグナーのオペラで若いアホ役(パルシファルとか)を歌わせたら

        良いんじゃないか、と思っていたら

        その後、オペラ座でローエングリーン(オーストリア民族衣装版)に出演。

        時間も金もなくて行けなかったが


        今回は、アホ役、あ、すみませんパルシファルと

        ローエングリーンを歌うというので

        これは聴き逃す訳にはいかん。

        (とりあえず、仕事はどうでも良い・・・おっとっと)


        で、クラウス・フローリアン・フォークトの

        あのずば抜けた声量は何なんだ????


        野外音楽堂ですよ?

        で、フル・オーケストラだって

        金管以外は聴こえ難い事もある、という音響の悪さで


        あんな甘いリリック・テノール ♥️

        ドイツ語は、はっきり・くっきり、明確に発音されて

        しかも、あの声の響き方って

        ほとんど人間業とは思えない。


        わっはっは、暗いアホのパルシファル、良いわ、合ってる、うん。

        (でもパルシファルというと

         一回だけ間違えてチケット買って行った

         お風呂場バージョンの舞台を思い出してしまう(汗))


        まぁ、パルシファルは宗教的な色も濃いし暗いから

        あまり聴衆のウケは良くなかったが


        ローエングリーンの第3場の序曲は

        これはもう、誰でも知っている曲なので

        ブラボー・コールもかかる。


        ワーグナーにしては、スッキリした爽やかな切り口で

        ネトネト感が全くなく、あっさりした感じ。


        フォークトの歌ったローエングリーン。

        うはははははは、これ、最高 ♡♡♡


        何とも甘くて、しかも爽やかで、若々しくて

        ひたむきで一途で

        (声だけ聴いていれば)ひたすら可愛い ♡♡♡♡♡


        オーケストラとも良くバランスが取れている。


        あれだけ声量があれば

        指揮者もオーケストラも

        歌手に遠慮して縮こまる事もなくて

        かなり伸び伸びと演奏していて


        ステキ ♡ 

          すみません、ハートが多くて。


        特に最後の曲はフォークトもオーケストラもノリノリ。

        ネルソンスもノリノリでジャンプしまくり

        最後は景気の良い掛け声まで聞こえて(笑)

        客席からもブラボー・コールの嵐。


        ううう、フォークトのローエングリーン

        こんなに良かったのか・・・


        友人から、キャンセル出たので良い席だけど行きませんか?と

        声をかけられた時に

        仕事を放り出して、無理矢理にでも行けば良かった(涙)


        前半があまりに良過ぎたので

        後半のベートーベンの交響曲7番は

        オマケみたいになってしまったが


        だいたい、ワーグナーの後に

        ベートーベンの

        しかも音楽的にはあまり面白いとは思えない7番って

        誰がこんなプログラム構成を考えたんです???


        ワーグナーやるんだったら

        後半もワーグナーでまとめたら良かったのに。

        あるいは、もう少し派手目にリストを持って来るとか


        せめてロマン派以降の

        少しネトネト感のある盛り上がる音楽を持ってくれば良かったのに。


        ベートーベンの7番は

        丁寧に丁寧に歌わせて

        スッキリ感はそのまま残しながら

        メロディ・ラインがキレイに繋がって

        弦の(多少誇張された)刻みが

        古典派の感じも出していた。

        まぁ良い出来だと思う。


        (が、どうしても前半に比べると印象が薄い・・・・)


        夜になってからも、気温は17℃くらいで

        暑くもなく寒過ぎる事もなく

        野外音楽堂のコンサートにしては理想的な気候だったのだが


        ネルソンスはお疲れの様子で

        アンコールはなし

        (オーケストラはアンコールやる気満々だった)


        痩せると体力なくなるのかしら(邪推)


        ウィーンの音楽シーズンが始まるのは

        9月中旬なので

        まだ当分グラーフェネックのお世話になる私に

        どうぞ1クリックをお恵み下さい。






        ロンドン交響楽団 + アントニオ・パッパーノ

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          Schloss Grafenegg Wolkenturm 2014年8月24日 19時30分〜21時40分


          London Symphony Orchestra

          ピアノ Rudolf Buchbinder

          指揮 Antonio Pappano


          Ludwig van Beethoven (1770-1827)

           Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 C-Dur op. 15 (1795-1801)


          Pjotr Iljitsch Tschiakowski (1840-1893)

          “Der Nussknacker” Ballett in zwei Akten op. 71 (1892)

          Auszüge (Zusammenfassung : Antonio Pappano)

          Nr. 10 : Im Zauberschloss von Zuckerburg

          Nr. 11 : Klärchen und der Prinz

          Nr. 12 : Divertissement. Schokolade - Arabischer Tanz - 

                      Chinesischer Tanz - Trepak - Tanz der Rohrflöten

          Nr. 13 : Blumenwalzer

          Nr. 14 : Tanz der Zuckerfee - Pas de deux


          ロンドン交響楽団とアントニオ・パッパーノのコンサートは

          何故かチケットは完売していて

          芝生チケットに至るまで完全に売り切れ。


          ブフビンダーの関係かしら(邪推)


          午前中は雨だったが、午後から晴れてきて

          17時過ぎには、野外音楽堂ヴォルケン・トゥルムでのコンサートに決定。


          げっ、寒そうだが・・・


          会場目一杯に入った観客に加えて

          周囲の芝生にも人が溢れた状態で

          ベートーベンのピアノ協奏曲1番。


          1番なんて滅多に聴かないのだが

          ちょっとモーツァルトっぽい出だしが眠気を誘う

          ・・・と思ったとたんに

          ベートーベンっぽい荒いフォルティッシモになって

          ああ、やっぱりベートーベンだわ。


          パッパーノの表情が面白すぎる。

          もちろん後ろからしか見えないけれど

          席が脇の方だったので

          第一バイオリンの方を向くと

          表情が良く見えるのである。


          だって、口をパクパク

          まるで何かを食べているかのように動かして

          声は出さないけれど

          ずっと歌ってるんだもん(笑)


          ブフビンダーのピアノは鉄壁のベートーベン。

          歪みのない骨格のはっきりした音楽。

          野外会場なのに

          何であんなにピアノの音の一つ一つが

          真珠みたいに光って、明確に聴こえてくるんだろう。


          で、滅多に演奏されない曲だから

          自分でも知らないと思っていたら

          何故か、何か記憶にある部分がボツボツと出現するし

          (カデンツァにどこかのピアノ・ソナタのメロディ使ってる?)

          第3楽章なんか、何故こんなに知ってるんだろう?

          何かの機会に聴いていたのか

          どこかの映画とかで使われていたのかも・・・(謎)


          野外音楽堂だから音響は悪い筈なのだが

          ピアノの響きがあまりに透明で美しく

          それに合わせるパッパーノが可愛過ぎる。


          あまりの寒さ?にアンコールはなし。

          到着した時に17℃だった気温は

          太陽が落ちると、どんどん下がる。


          後半はコートだけでは足りず

          膝から下には毛布を巻き付けて、それでも寒い。


          チャイコフスキーの「クルミ割り人形」

          ただし、組曲の方ではなく

          パッパーノが勝手に組み合わせて演奏(笑)


          いや、あはは、あの、その

          クルミ割り人形のバレエは

          12月に追っかけて追っかけて

          先シーズンだけでも6回鑑賞しているので

          (ただのアホ)


          最初の曲は雪の妖精の舞う場面で

          これが終わると休憩・・・っとっとっと


          何かバレエがなくて音楽だけだとヘンな気分。

          というより

          目の前のオーケストラは見えなくなってしまい

          頭の中にその場面が思い浮かんでしまう(汗)


          次の音楽はクララと

          でっかい頭の仮面を被ったダンサーたちの絡み。

          スペインのダンスの後には

          白い衣装を着てカツラ被った

          バロック的なパストラーレがあって

          エノとケテヴァンの色っぽいアラビアのダンスで

          そのテンポじゃヌレエフ版は踊れないよ、という

          めちゃ早いテンポでの中国のダンスに

          男性を押しのけて踊るロシアのダンスがあって


          いかん、いかん、バレエから頭が離れないっ(大汗)


          花のワルツの後に

          金平糖のダンスと

          バレエでは一番の見所になるパ・ド・ドゥを持って来た。


          ううう、パッパーノ、やっぱりバレエ知ってる。

          コヴェント・ガーデンの監督だけある。


          バレエを知ってる観客としては

          この最後のパ・ド・ドゥで

          豪華絢爛な金平糖の衣装と

          男性ダンサーの華やかなジャンプと

          超絶技巧のリフト続きの最後のデュエットで

          ドキドキするのである。


          普通の指揮者なら、組曲でお茶を濁すところを

          バレエ・ファンには

          記憶を辿って、各場面が蘇ってきて

          ドキドキするようなシーンを

          よくぞ、ここまで組み合わせてくれました ♡


          もっとも、音楽聴きながら

          バレエのシーンをずっと思い浮かべていた観客なんて

          私1人くらいのものかもしれないが(自爆)


          オーケストラは優秀だが

          パッパーノの指揮は指揮棒を持たず

          意外に感情に流される部分もあって

          ちょっとソロのズレがあったりしたけれど


          まぁ、ああいうのは

          ウィーンの国立オペラ座のオーケストラ・ビットでは

          よくある事だし(って話が違う)


          だんだん寒くなって

          15℃くらいまでに下がっている中

          オーケストラ・プレイヤーたちは

          指もかじかんでいるだろうし

          楽器の音も縮こまってしまっているのにもめげず

          よくぞ最後まで演奏したものだ。


          そんな寒い中

          パッパーノは観客に向かってドイツ語で

          「あんまり寒いので、プッチーニで暖まりましょう」(爆笑)


          で、そのアンコールのプッチーニが絶品だった。


          いや、この人、本当にオペラ畑の人だなぁ。

          コンサートよりは、劇場型なんですね、きっと。

          だから、観客をノセるのがとても巧い。


          ローマのオーケストラと演奏した時のような

          感情任せの爆発はしていないけれど

          美しいメロディを歌って歌って歌って

          (チャイコフスキーのバレエ曲は

           時々、ブンチャッチャになっていたが

           それはそういう音楽なのである)

          観客を徹底的に楽しませる。


          いかん、パッパーノの振るイタリア・オペラを

          一度観たくなってきたぞ(本気)


          切なく甘いプッチーニで暖まった訳ではないが

          (オーケストラの皆さま、お疲れさまです)

          気温14℃の寒さで

          チャイコフスキーとプッチーニで

          心だけはポカポカしながら

          会場を後にした私に

          どうぞ1クリックをお恵み下さい。



          しかしパッパーノ、可愛い。可愛すぎる。



          しかし、良い指揮者って

          何故、みんな小柄なんでしょうね?

          ブフビンダーと頭半分違うし

          コンサート・マスターの肩くらいまでの身長なんだけど

          身体の動きが柔らかくて、表情豊かで

          オーケストラはマジメな職人集団という感じだったが

          とても楽しかった。


          ソウル・フィルハーモニック管弦楽団 + チョン・ミュンフン

          0

            Schloss Grafenegg Auditorium  2014年8月23日 19時30分〜21時40分


            Seoul Philharmonic Orchestra

            ピアノ Sunwook Kim

            指揮 Myung-Whun Chung


            Ludwig van Beethoven (1770-1827)

             Konzert für Klavier und Orchester Nr. 3 c-moll op. 37 (1800-02)

            Pjotr Iljitsch Tschaikowski (1840-1893)

             Symphonie Nr. 6 h-moll op. 74 “Pathétique” (1893)


            指揮者チョン・ミョンフンにピアニストのキム・ソヌクを迎えて

            ソウル・フィルハーモニック・オーケストラの客演。


            日本語で調べてみると

            ソウル・フィルハーモニー管弦楽団と出てくるのだが

            正式名称はソウル・フィルハーモニック管弦楽団らしい。

            (同じオーケストラだよね?きっと)


            ウィーンを出ようとしたら豪雨。

            道路がほとんど川状態になっている場所も多く

            (一部地域では道路閉鎖もあった)

            グラーフェネックの方向への道路に入ったら

            小雨模様にはなっていたけれど

            当然、こんな天気では野外では無理。

            わ〜い、良いホールの良い音響でコンサートが聴ける。


            ベートーベンのピアノ協奏曲3番の演奏に

            舞台上に集まったオーケストラ・メンバー。


            何か異様に女性のプレイヤーの数が多い。

            チェロなんか、8名が全員女性だし

            木管もほとんど女性だし

            金管はさすがに男性の(しかもアジア顏でない)メンバーがいたが

            ホルンにも女性がいるし

            もちろん他の弦も、女性比率は優に50%を越えていそう。


            いやしかし、このオーケストラ

            音が明るいし、ものすごく小気味良い感じ。

            反応が素早いし、キレが良くて

            チョン・ミュンフンの棒に敏感に反応する。


            ピアニストのキム・ソヌクは1988年生まれというから

            まだ26歳の若さ。

            テクニックは完璧で

            多少ピアノに被さったりしていたので

            感情に溺れるタイプかと思ったら

            音に色彩があるのに

            かなり端正で伝統的で

            ゲルマン系の正統的な音を出すのに驚いた。


            しかも、ピアノもオーケストラも実によく歌う。

            ピアノとオーケストラの駆け引きもピッタリあって

            変に大袈裟になったり甘くなったりせず

            輪郭のはっきりした堂々としたベートーベン。


            アンコールはピアノ・ソナタ「悲愴」から2楽章。

            これも端正で温かい音なのに色があって素晴らしい。

            いやはや、参りました。才能のある若手だ。


            後半はチャイコフスキーの悲愴。

            ややや、オーケストラ・メンバーの数が増えてる。

            コントラバスだけで10人(うち4人が女性)

            チェロ部隊は12人で、うち11人が女性。

            他の弦も人数が増えていて


            これは野外音楽堂用バージョン?(笑)


            小気味良くてキレの良いオーケストラが

            ミョンフンの指揮棒で歌い出す。

            ホールなので大音響でうるさくなるかと思いきや

            解像度が高くて、大音響なのに神経に障らない。


            第一楽章のフォルテになる前のクラリネットのソロは

            ものすごく抑えたピアニッシモで演奏。

            野外だったら、あの音は聴こえなかったかもしれない、という程。

            で、その後の爆発が対比的で、凄まじい迫力。


            果てしなく懐かしいような甘いメロディと

            激情に任せたような気分の変動に

            聴いている方は翻弄されてしまう。


            さて、この曲が演奏されると

            第3楽章の後に拍手が入ってしまうかどうかで

            来ている聴衆の程度がわかってしまうのだが


            ううう(涙)

            やっぱり盛大な拍手が・・・(涙)


            グラーフェネックの音楽祭って

            最近、ウィーンからの、年配オタクのクラシック・ファンも多いけれど

            どこかのスポンサーの招待客や

            グラーフェネック近くの低地オーストリア州の人たちが

            お友達同士で来ているケースも多く


            数年前までは、楽章の間の拍手は

            グラーフェネック名物だったのだ。


            最近は、やっと少しマトモになってきて

            今日もベートーベンのピアノ協奏曲では

            楽章ごとの拍手は出なかったのでホッとしていたのだが


            やっぱりチャイコフスキーの「悲愴」の3楽章の後は

            仕方ないでしょうね、きっと(諦観)


            まぁ、チョン・ミョンフンもコンサート・マスターの方を見て

            よくやった、という満足そうな顔をしていたので

            フライング拍手は織り込み済みか(と勝手に納得)


            それに続いた第4楽章が

            ・・・ちょっと、いや、かなり凄かった。


            大袈裟な表現は一切ないのに

            押し込められた悲鳴と慟哭の連続。

            自己憐憫の一切ない

            むき出しの感情を

            指揮者もオーケストラも力一杯、聴衆にぶつけてくる。


            マジメなオーケストラとマジメな指揮者。

            どこまでも真摯で徹底的で容赦がない「悲愴」


            ヨーロッパのオーケストラだと

            もう少し緩んだ部分というか

            なんだよ、あのロシアの大袈裟な嘆き方は、みたいな部分が

            オーケストラに見える事があるけれど


            ソウルのオーケストラ、とことんマジメなんだなぁ。

            女性のメンバーが多いので、どんな音響になるかと思ったら

            (それって男女差別主義者の発言だ(冷汗))

            マジメだし、力強いし、小回りは効くし

            何よ、やっぱり女性って優秀なんじゃない。


            雨の中、すごく気持ち良く

            (ただ、雨なので制限速度130キロのところを

             90キロくらいで走る車にはイライラしたが(笑))

            ウィーンにドライブして来た私に

            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            しかし、本当にもう夏は終わったんだなぁ。

            標高1700メートルのところでは

            既に雪が降り始めているそうだ。

            ウィーンでさえ、13℃〜20℃くらい。

            暑いの苦手なので助かるけれど、今度は寒い(爆)



            トーンキュンストラー + ケント・ナガノ

            0

              Schloss Grafenegg Auditorium 2014年8月21日 19時30分〜22時25分


              Tonkünstler-Orchester Niederösterreich

              ソプラノ Camilla Tilling

              クラリネット Jörg Widmann

              指揮 Kent Nagano


              Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)

               Konzert für Klarinette und Orchester A-Dur KV 622 (1791)

              Jörg Widmann (*1973)

               Babylon-Suite für großes Orchester (2014)

              Gustav Mahler (1860-1901)

               Symphonie Nr. 4 G-Dur (1899-1901)


              木曜日だし、当初は行く予定はなかったのだが

              ケント・ナガノのマーラーの4番をどうしても聞きたくて

              結構高いチケット(45ユーロ!)を衝動買いしたコンサート。


              オフィスからすぐに高速道路に乗れるし

              グーグル・マップなら40分そこそこの距離だし、というので

              18時30分に慌ててオフィスから出て高速に乗り

              制限速度80キロ区間を走り終わって

              さて、時速130キロで飛ばすぞ、とアクセルに力を籠めたとたん


              突然の渋滞・・・・(冷汗)


              ノロノロ運転約20分。

              3車線の高速道路が事故で1車線になっていて

              事故現場も見えちゃうし

              (事故車は既に牽引する用意が出来ていたが)


              渋滞を抜けてから

              思い切りアクセル踏みつつ、後半のマーラーさえ聴ければ良いわ、と

              ちょっと開き直りになりつつ


              それでも何とか19時30分ギリギリに到着。

              (時速何キロで飛ばしたの?という質問は却下)


              ちょっと肌寒いけれど天気は良いし、爽やかだし、と

              毛布にコートに大荷物を持って入ったら


              「本日のコンサートはホール内で行います」


              え? 雨の予報ってなかったんだけど???


              ウィーンからの渋滞に巻き込まれた人がまだ居たらしく

              約5分遅れでオーケストラが座席についた後

              舞台に現れたのはルドルフ・ブフビンダー。


              「本日は爽やかな天気ですが

               太陽が沈んだ後の気温は10℃まで下がるとの予報です。

               皆さまが風邪をひいて、次のコンサートに来られなくなると困るので

               皆さまの事だけを考えてホールに決定しました」


              皆さまのため、というところを強調するのが、非常に妖しい。

              間違いなく、オーケストラか指揮者か

              あるいは歌手が

              外ではイヤッと言いはったに違いない。


              (ちなみに、夜の22時30分、コンサート終了後の気温は

               17℃で、全然寒くなかった)


              しかしまぁ、ブフビンダーも2日前には

              ザルツブルクでベートーベンのソナタ、最晩年の3曲を演奏したばかりで

              まぁ、お元気な事。


              さて、慌てて走って到着したのは良いのだが

              (しかも大荷物抱えて)

              最初がモーツァルトのクラリネット協奏曲(大汗)


              ご存知の通り、私はモーツァルトを聴くと

              反射的に熟睡してしまう体質。


              かの有名なクラリネット協奏曲

              誰でも知っている妙なる美しいメロディで

              しかも、高いチケットなので

              かなり目立つ席なのに

              やっぱり、ぐっすりと寝てしまった。あああああ・・・


              気を取り直して

              ヴィドマンの新曲、初演となるバビロン組曲。


              ヴィドマンのバビロン何とかって

              どう考えても記憶にあるのだが

              今日が初演の筈なんだが、何でだろう?と思ったら

              2013年9月29日

              バイエルン・バビロン行進曲という曲を鑑賞していた。


              そこに書いた通り

              ヴィドマンはバビロンというオペラを2012年に初演していて

              その作品からの組曲なら

              今さらでっかく「初演」と書く必要もないだろうに・・・


              かなり長い曲なのだが

              組曲だから、曲想は、かなり目まぐるしく変化して

              そんなに退屈はしない。


              だが、この曲

              昔懐かしいようなメロディをコラージュして

              現代的な香辛料を振りかけたような感じで


              何かのパロディみたいな要素が強いし

              大音響を多用して、こけ脅しみたいな部分が多い。


              しかも、それをちょっとトナールでやるので

              映画音楽か何かをおちょくっているように聴こえてくる。


              面白い曲だし、楽しく聴けるし

              強いて言えば「楽しい現代音楽」っぽい部分は多いのだが

              別に CD 買ってまで聴こうとは思わない。すみません。


              後半はお目当てのマーラー、交響曲4番。

              昨日、自宅でホーネックの変態的な演奏を CD で聴いて来たが

              ケント・ナガノの、思い入れたっぷりで

              テンポの揺れもたっぷりの4番は

              ホーネックほどの気味悪さはない。


              というより

              あれは指揮者に取って、たまらなく楽しい曲なんだろうなぁ。

              山盛りのポリフォニーから、様々な要素の繋がり具合を分析して

              自分の好きなように

              しかも感情たっぷりに音楽作りをする事ができる。 


              トーンキュンストラーも、むちゃ頑張っていて

              金管部隊は大活躍だったし

              コンサート・ミストレスの気迫に満ちたソロには


              へへへへぃっ、参りました、ごめんなさい、許して下さい


              と、ついつい言いそうになってしまったくらい怖かったが

              (個人的好みです。でも、すごいリキの入ったソロだった)


              だが、時々、縦の線が崩れる(笑)


              でもケント・ナガノは敢えてそれを訂正しようとはせず

              その微妙なズレが、ヘンにウィーンらしさみたいな雰囲気になって

              それはそれで、オーストリアらしいマーラーになっているのは不思議。


              ソプラノの声は前に飛ぶので

              私の席は最も最悪な席ではあったが


              ソプラノとのリハーサル、あまりしてないよね?(疑)

              オーケストラとソプラノのソロが

              最初、微妙に合わず、ちょっとギョッとしたら

              ケント・ナガノが

              ものすごい集中力でオーケストラに指示して

              ソプラノのソロに合わせていた。

              たいしたもんだ、ケント・ナガノって。


              で、途中でハッと気がついたのだが

              このマーラーの曲って

              やっぱり、民謡とか、何となく聴いた事のあるような要素とかを

              コラージュして

              更におちょくっている曲ではないか!


              最初の弦のメロディなんて、もろモーツァルトだし

              その後、同じ要素が弄くられて

              妖しげにどんどん崩れていって

              ヘンな世界を構築していく有様って

              前半のヴィドマンの曲と同じだよ、これ。


              ヴィドマンがやってる事を

              マーラーは114年前にやってたワケね(勝手に納得)


              まぁ、その意味では前半と後半のバランスは良かったと言えるかも。


              オーケストラのメンバーは、むちゃくちゃ頑張った。

              初演のヴィドマンにマーラーのリハーサルなんて

              かなり大変だったと思うのだが

              マーラーの各ソロ部分は、ほとんど完璧にこなしていて

              (惜しむらくは合わせる部分がちょっと・・・・)

              ケント・ナガノの指揮棒にしっかり応えていた。


              このコンサートは9月26日19時30分から

              オーストリア国営ラジオ1番で放送されるそうだ。

              マイクで拾った音をラジオで聴くと

              また違った側面が聴けそう。


              休憩中に軽食取ったり、ワイン飲んだりしていた人が多くて

              多いに休憩時間が伸びたので

              コンサートの終了はかなり遅かったし

              オフィスの仕事は溜まり放題なのだが(自爆)


              でも、行って良かった、としみじみ思っている私に

              どうぞ1クリックをお恵み下さい。



              ところで、ランキングの順位がガタガタに下がって来た。

              (すみません、コンテンポラリー・ダンスはもう終わりました(汗))

              ウィーンの音楽ライフは夏枯れだし

              グラーフェネックは頑張って往復120キロ飛ばして行ってるけれど

              仕事の事を書くワケにイカンし・・・

              どうぞお励ましのクリックをよろしくお恵み下さいませ(懇願中)


              ヨーロピアン・ユニオン・ユース・オーケストラ + ヴァシリー・ペトレンコ

              0

                Schloss Grafenegg Wolkenturm 2014年8月17日 19時30分〜21時50分


                EUROPEAN UNION YOUTH ORCHESTRA

                ピアノ Simon Trepčeski

                指揮 Vasily Petrenko


                Jörg Widmann (“1973)

                 “Con brio” Konzertouvertüre nach Motiven von Beethoven (2008/2013)

                George Gershwin (1898-1937)

                 Rhapsody in blue (1924)

                  (Instrumentierung : Ferde Grofé)

                John Adams (“1947)

                 “The Chairman Dances “ Foxtrott für Orchester (1986)

                Leonard Bernstein (1918-1990)

                 Symphonische Tänze aus dem Musical “West Side Story” (1960)

                  Prologue - “Somewhere” - Scherzo - Mambo - Cha-cha - 

                  Meeting scene - “Cool”, Figue - Rumble - Finale


                オーストリア国営ラジオの1番で10月21日10時5分から放映されると同時に

                インターネットでのライブ配信もあった

                ヨーロピアン・ユニオン・ユース・オーケストラの

                グラーフェネックでの2回目のコンサート。


                プログラム構成がイキが良い(笑)

                若い力に溢れたオーケストラの面目躍如のプログラムだろう。


                ヴィドマンの Con brio は記憶にある。

                探ってみたら

                バイエルン放送交響楽団とマリス・ヤンソンスが

                2008年10月4日に楽友協会で演奏していた(初演)


                演奏が始まったとたん

                あちこちで始まる小声の囁き。

                (何だこれ?とか言うご年配の方々の囁き声である)


                あぁ、もう、本当にうざい(本気)

                プログラム見たら現代曲だってわかるでしょう。

                特に隣に座っていた

                どう見ても田舎のオジサンが

                ずっと奥さんに向かって

                無意味なコメントを喋っていたのが気になって気になって(怒)


                こほん、まぁ、それはともかく

                Con brio って、こんな曲だったっけ?

                以前、バイエルン放送交響楽団で聴いた初演の時は

                もっと音が厚かったような記憶がある。


                今回の音響は

                野外ホールという事もあるのかもしれないが

                かなり解像度が良いし

                すっきりしていて、気負いがなくてイヤミがない。


                次から次に現れるベートーベンの交響曲のフラグメントを

                繋ぐような特殊奏法のため息のような響きが面白い。

                あまり盛り上がりとかない曲だし

                これが200年後に、おぉ傑作と言われて演奏されているかと言えば

                コラージュの試みを最初にした

                ルチアーノ・ベリオのシンフォニアは残るだろうが(好きです、あれ)

                この曲とか

                同じようにベートーベンの第9交響曲のフラグメントを使った

                フリードリヒ・チェルハの曲なんかは

                残らないんじゃないのかなぁ。いや、独断偏見ですが。


                舞台変換後にガーシュインのラプソディ・イン・ブルー。

                クラシック畑の人間が唯一知ってるジャズ(笑)


                出てきたピアニストが

                何かもう、アメリカのボードビリアンそのままの容姿で

                ちょっと頭髪が不自由なのだが

                アメリカの場末のバーか何かでピアノを弾いているようなタイプ。

                かなり小柄なのだが、周囲を睥睨して、何となく偉そうな

                気に喰わないタイプ(独断偏見)


                ところが、この人のピアノ、実にジャズなのだ(ビックリ)

                タメとか、細かいところのリズムの処理が軽妙で

                良い意味で脱力感が漂っていて

                何とも退廃的な、でもスモーキーなジャズの香りが凄い。


                最初のクラリネット・ソロの男の子。

                何と、ちゃんとサングラスまでかけて、凝ってるぞ。

                しかも、ソロも凝りに凝った脱力感に満ちていて

                実によろしい。


                オーケストラ+指揮者の方が多少クラシック的というか

                途中のオーケストラだけの部分がクラシックになっていて

                ピアノが入ると突然ジャズ系に化けるという

                ものすごく面白い演奏を楽しんでしまった(笑)


                アンコールには、Take five を

                コントラバス奏者とドラム奏者を巻き込んで

                あれは、即興がかなり入ってたな。

                これも軽妙な演奏で

                この人、クラシック畑じゃないだろう・・・・と思ったのだが

                プログラム見たら、バリバリのクラシックの人だったのに

                またもやビックリ。

                ラフマニノフ弾くとか、全然想像できないタイプなのに。


                後半最初の曲は、ジョン・アダムス。

                当初、オペラ Nixon in China のために作曲されたが

                結局使われなかったらしい。


                シーンとしては毛沢東の奥さんが

                ニクソンのパーティに突然現れて

                最初は提灯と国民服を着ていたのを脱ぎ捨てて

                女優だった頃の派手な衣装に着替えて周囲を驚かせる

                という内容の音楽だったらしい。


                わははははは、これ、面白い。

                ご興味のある向きは Youtube にもかなりアップされているのでどうぞ。


                最後はバーンスタインのウエスト・サイド・ストーリーから

                シンフォニック・ダンス。


                ウエスト・サイド・ストーリーって、やっぱり大傑作だわ。

                ソロの人たちも張り切っていて

                しかも、ノリノリの若い腕自慢オーケストラだから

                これはステキな演奏。

                マンボのところなんか

                マリンバの女性パーカッショニスト

                後ろでノリノリで踊ってるし(笑)


                しかし隣のオジサン、またもや奥さんに向かって

                ほら、マリアが出てくるよ、とか

                (マリアの旋律はほんの少しバイオリン・ソロである位で

                 シンフォニック・ダンスには出てこない)

                知ったかぶりが凄いので、うるさいし、第一、恥ずかしいよ、ったく。


                久し振りにこの音楽聴いてみると

                ウエスト・サイド・ストーリーをまた観たくなってしまった。


                アンコールは、同じくバーンスタインから

                キャンディード。これも懐かしい。


                コンサート後に、ライトシューレで

                レイト・ナイト・コンサートがあって

                結構な数の人が行ったのだが

                椅子の数が足りなくて

                私は立ったまま(ほとんど人が立ったまま)

                トロンボーンの4重奏、サクソフォン2重奏などを聴いて


                途中、指揮者のヴァシリー・ペトレンコが

                Tシャツにジーンズで登場(笑)

                若いハンサムちゃんだから絵になってる。


                ヴィドマンの Con brio についてのインタビューになった時

                作曲家のヴィドマンが

                他のオーケストラの演奏と比べて

                今日の演奏は、自分の目指している音響に一番近かったと言ったとかで

                インタビューしているオーケストラのメンバーも大喜び。


                若いオーケストラだから

                こと現代曲に関しては

                恐れ知らずという強みは確かにあるな(納得)


                明日の朝は早いので

                途中でレイト・ナイト・コンサートを後にしたが

                天気も良かったし(もちろん寒かった(笑))

                すごく気持ちの良い野外コンサートだった。


                無意味な事を、如何にも自慢げに喋る

                お喋りな男性が周囲にいなくて良かった、と

                ホッとしている私に

                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                で、お喋りじゃないウチの彼氏モドキは

                今月一杯、休暇のためウィーン不在なのに

                高速道路運転中に電話をかけてきた。

                事故の時に停まれるスペースに車を止めて

                電話かけ直して「何の用?」と聞いたら

                「いや別に」・・・・って

                用がないんだったらかけてくるなっ!

                しかも寡黙なので、その後、話続かないし(汗)


                チェコ・フィルハーモニー + イルジー・ビエロフラーヴェク

                0

                  Schloss Grafenegg Auditorium 2014年8月14日 20時〜22時20分


                  Tschechische Philharmonie

                  メゾソプラノ Bernada Fink

                  指揮 Jiři Bělohlávek


                  Bedřich Smetana (1824-1884)

                   Streichquartett Nr. 1 e-moll “Aus meinem Leben” (1876)

                   (Bearbeitung für Orcheser : George Szell)

                  Antonín Dvořák (1841-1904)

                   “Biblische Lieder” für Solostimme und Orchester op. 99, Nr. 1 bis 6 (1895)

                   Symphonie Nr. 9 e-moll op. 95 “Aus der neuen Welt” (1883)


                  グラーフェネックのウエブ・サイトには

                  本日は野外ホールでのコンサートです、と出ていて

                  時折、激しく降る雨の中をグラーフェネックに到着。

                  地面がかなり濡れているけれど

                  雲と雲の間にぽっかりと空きがあって

                  多少寒いけれど(17℃くらいだった)コートも毛布もある、うん。


                  開場して、観客が席に座り始めたとたん

                  舞台からアナウンス。

                  「やっぱりオーディトリウム・ホールでのコンサートにします」


                  え〜い、そういう決定は早くしてくれ(怒)


                  会場に入った全員が

                  座布団を畳み、毛布を畳み

                  ゾロゾロと会場のオーディトリウムに移動。

                  その横を

                  チェロやら何やらを抱えたオーケストラのメンバーも

                  オーディトリウムに移動。


                  お疲れさまです。

                  で、今日は何処でリハーサルしたんですか?

                  (下世話だが、到着した時に野外音楽堂から音が聴こえて来ていたので

                   外でリハーサル+音響チェックをしていたら

                   突然のホール移動は、ちょっとカワイソウだと思っただけ)


                  30分遅れで始まったコンサート。

                  私の席は、雨天の場合にホール内に席のあるカテゴリーの中で

                  一番安い席で会員割引もあって

                  しかもオーケストラの真ん中あたりの真上のひどい席だが

                  それでも今回は36ユーロもする(!)


                  お隣の国のチェコ・フィルハーモニー管弦楽団が

                  首席指揮者のイルジー・ビエロフラーヴェクと客演。


                  いつも思うのだが

                  チェコ・フィルって世界的にも有名だし

                  すごく良いオーケストラだと思うのに

                  何故かオーストリアに招聘するのは

                  トーンキュンストラー関係(グラーフェネックとか)だけって


                  やっぱり歴史的にオーストリアとチェコとの関係があるからか?(謎)


                  さて、チェコのオーケストラは滅多にオーストリアには来ないのだが

                  来た時は、徹底的にチェコのプログラムで固める、というのが面白い。


                  今回はベドルジハ・スメタナとアントニーン・ドボルジャークの作品。

                  プログラム読んでいたら

                  スメタナはリトミッシュルの裕福なビール醸造工場の御曹司として生まれて

                  最初はドイツ語で教育を受けて

                  チェコ語を学んだのは後になってからだそうだ。


                  リトミッシュルのスメタナの生家も見た事があるし

                  その後住んだリトミッシュルの豪邸(中は超高級レストランになってた)も

                  外から見た事があるが

                  スゴイ金持ちだったのだよ、スメタナの家は。


                  で、このクリームさん、いやスメタナさんは

                  (ご存知、「スメタナ」はチェコ語でクリームの事なのである)

                  その後、民族意識に目覚め

                  自分の名前もチェコ風に変え

                  (ドイツ語名はフリードリヒである)

                  「我が祖国」やら「売られた花嫁」とかで

                  チェコの愛国主義の象徴みたいになっているけれど

                  当時は、リヒャルト・ワーグナーとか、フランツ・リストの影響が強いと

                  批判されていたそうだ。


                  さて、そのスメタナの作品、今回は「我が祖国」ではなく

                  「我が生涯」の方である。

                  もともと弦楽四重奏曲だったものを

                  ジョージ・セルがオーケストラ用に編曲したもの。


                  うははははははは

                  ホールだからかもしれないし

                  オーケストラの真上という条件もあったかもしれないが


                  チェコ・フィルって何でこんなに巧いんだ?!


                  音がズシンと響くのである。

                  重心が低くて、音に厚みがあって

                  オーケストラがグローバル化している中

                  久し振りに、ローカルに徹した土着の音が聴こえてくる。


                  偏見かもしれないけれど

                  昨日のトロント管弦楽団なんか

                  完全にインターナショナルになっていて

                  日本人もかなりメンバーに入っていたし

                  英語圏とかドイツ語圏とかのオーケストラは

                  比較的言葉の問題もないから国際的になるのだろうが


                  チェコ語を解してチェコのオーケストラに入るって

                  チェコ語を母国語としない人には

                  かなり壁が厚いと思う。


                  メンバー見ても、アジア人、珍しくも1人もいないし。


                  で、たぶん、ほとんどがチェコ人のメンバーは

                  これ、僕たちの曲だからね、という

                  第三者に何も言わせない気迫に満ちているのである。


                  スメタナの「我が生涯から」は

                  チェコ的というより、かなりインターナショナルな響き。

                  若い頃の音楽に対する熱情とか

                  胸が痛くなるような愛の賛歌とかの後

                  幻聴を伴った聴覚の喪失に至って

                  (ピッコロが幻聴の部分を奏でる)

                  限りなく優しい過去への回帰というか諦観で終わる曲。


                  ドボルジャークの聖書からの曲には

                  ベルナーダ・フィンクが登場。


                  声は前に飛ぶので

                  真上にいる私には、かなり不利だった事を考えても

                  ベルナーダ・フィンクって

                  今、最も美しいメゾの1人じゃないだろうか。

                  (まぁ、ガランチャという突出した人は居るけれど)


                  クセのない、柔らかな厚みのある声が

                  チェコ・フィルの厚みのある音と混ざると

                  内容は宗教的なのだろうが

                  (どうせチェコ語で理解不能だし)

                  そういう宗教色は別として

                  限りなく音楽が美しい。

                  木管との兼ね合いのこの世とも思えない美しさ・・・


                  休憩の後、ドボルジャークの「新世界から」


                  名曲中の名曲なので

                  様々なオーケストラと様々な指揮者で

                  何回もナマで聴いている曲なのだが


                  ううう、チェコ・フィルとビエロフラーヴェクのこの演奏、スゴイ。

                  音楽のうねりやニュアンスの深さに加えて

                  チェコの曲を演奏させたら

                  僕たちが一番に決まってるじゃないか

                  というより、一番の地位は他のオーケストラには渡さないよ

                  と言う感じの、ものすごいプライドと気迫とオーラが

                  オーケストラからバチバチ出ている。


                  普段、楽友協会では舞台が見えない席しか買わない(買えない)ので

                  オーケストラを上から見ていると面白い。

                  ソロの演奏の時に

                  どの楽器が伴奏しているか、よく見えるし

                  コンビネーション(どのパートとどのパートが演奏しているか)も

                  上からだと良く見える。


                  スコアを視覚で捉えているような感じ。

                  平土間からは、舞台の後ろの方は見えない(らしい)

                  こういう、上から全体が見える席って

                  視覚+聴覚が一体化するのが、すごく新鮮。

                  (演奏していない時のプレイヤーの態度も見える(笑))


                  聴き慣れた曲の筈なのに

                  力強く、プライド高く

                  チェコ的部分を歌いに歌って

                  高らかに聴こえてくるチェコ賛歌。


                  インターナショナルなドボルジャークでもなく

                  アメリカナイズされたドボルジャークでもなく

                  アメリカに居ながら

                  故郷のチェコに思いを馳せて

                  ちょっとホームシックで帰る気満々のドボルジャーク。


                  第2楽章のコールアングレのソロが

                  哀愁おびて、深い柔らかい厚みのある音色で

                  思わず涙出そうになって焦った。


                  アンコール2曲。

                  最初はドボルジャークだったが

                  最後の曲、何だったんだろう。

                  とんでもない超絶技巧を

                  最後のアンコールで、サラッと見せつけるところなんか

                  ニクいよ、チェコ・フィル ♡


                  まぁ、プラハは近いから

                  チェコ・フィルをホーム・ベースで聴くのなら

                  プラハまで列車か車で行けば良い、というのはあるにしても

                  たまにお隣の国の徹底したチェコ的音響を

                  オーストリアで聴くのも悪くない、と思う私に

                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  連休の2日目、送迎して買物して

                  洗濯して掃除して

                  オフィスに行ってる時間もその気もなく

                  過ぎてしまって焦っている、ううう。



                  トロント交響楽団 + ピーター・ウンジャン

                  0

                    Schloss Grafenegg Wolketurm 2014年8月15日 19時30分〜21時50分


                    Tronto Symphony Orchestra

                    クラリネット Jörg Widmann

                    指揮 Peter Oundjian


                    Carl Maria von Weber (1786-1826)

                     Ouvertüre zur Oper “Oberon” (1826)

                     Konzert für Klarinette und Orchester Nr. 1 f-moll op. 73 (1811)

                    Jörg Widmann (*1973)

                     Elegie für Klarinette und Orchester (2006)

                    Sergej Rachmaninow (1823-1943)

                     Symhonische Tänze op. 45 (1940)


                    トロント交響楽団とピーター・ウンジャンの客演。

                    しかしまぁ、グラーフェネック音楽祭

                    よくぞこんな遠いところのオーケストラをわざわざ招聘したもんだ。


                    午前中は気持ち良く晴れていたのに

                    午後から雲が出て

                    時々、雨も降ってきて

                    サイトをチェックしていたのだが

                    最終的な判断を待たずにウィーンから出発。


                    到着してみたら

                    曇りで気温17℃・・・なのだが

                    野外ホールでのコンサート決定。


                    冬用のジャケットに毛布に座布団、持って来て良かった。


                    指揮者のウンジャンはトロント生まれの59歳。

                    銀髪で後ろから見ると、ちょっとラトルに似ている。

                    登場の仕方やお辞儀の様子

                    輝くような笑顔が、ものすごく陽のオーラを出しているが

                    オベロン序曲での音楽作りは、ものすごく繊細。


                    ああ、この人も見た目と作る音楽が違う人か。

                    (エッシェンバッハが私にとってはそういう指揮者)


                    リズミカルな部分では

                    第一拍が激しくて、次に続かないので

                    多少、途切れた感じの音響になるけれど

                    これは残響の少ない野外音楽堂だからかもしれない。


                    で、失礼を承知で言ってしまうと

                    (もちろん、音響条件の悪い野外だと言う事は念頭に置いて)

                    もう少しオーケストラの精度があるともっと良いんだが。


                    ホルンの第一奏者は巧かったが

                    トランペット、そんなとこで(汗)・・・というのがあったし

                    弦がフニャッとなって冷汗かいた部分もあった。

                    出だし間違ってへんな音出した木管もいた。


                    もちろん、野外音楽堂の音響の悪さが原因の一つではある。


                    イェルク・ヴィドマンは

                    今年、グラーフェネックのコンポーザー・イン・レジデンス。

                    何故かウィーンでは比較的持て囃されていて

                    ヴィドマンの曲を聴くチャンスも多い。


                    でも、この人のクラリネット・ソロを聴くのは初めて。


                    ウェーバーのクラリネット協奏曲も初聴きで

                    まぁ、ウェーバーですね、という感じのバロック的な曲だが

                    うはは、ヴィドマンのクラリネットって凄い。

                    表情が豊かだし、歌うし

                    自己顕示というよりは、音楽が先に来る人か。


                    休憩の頃には、気温は15℃まで下がって

                    冬用ジャケットで良かった(とても脱げない)


                    後半はヴィドマンの曲を、自分自身で演奏。

                    現代曲なので、聴衆のウケは悪く

                    咳が聞こえてきたり、コソコソ喋る声も聞こえるが


                    この曲、面白い。

                    クラリネットの機能を知り尽くして

                    すごく不思議な音を自由自在に使っていて


                    4分の1音というか、自然音というか

                    通常のクラシックから言えば「調子っぱずれ」の音が

                    昔懐かしいチャルメラに聞こえてくる(あ、歳がばれる)


                    エレジーだけあって、哀愁感に満ちている。

                    オーケストラは小編成で

                    オーボエ入ってないし(クラリネットのライバル?笑)

                    金管はホルンだけだし

                    パーカッションも1名だけだが

                    アコーディオンとオルガンが入っていて


                    アコーディオンとクラリネットって

                    あんなに合うんだ、と吃驚。

                    何だか、本当に懐かしいような不思議な響きなのだ。


                    現代音楽で、しかもエレジーだから

                    何となく陰鬱で不思議な世界を描いていたのに

                    最後がさりげなく協和音で終わるところで

                    すごく不思議にホッとする。


                    観客にはウケなかった現代曲の後は

                    私の大好きなラフマニノフの交響的舞曲。


                    ヘタクソに演奏されるとシラケる曲だし

                    前半のウェーバーがむちゃくちゃ繊細で

                    更に、ヴィドマンのエレジーが

                    繊細さを最大限に要求されるところに

                    かなり良い感じで反応していた指揮者なので


                    こういうリズミカルな激しい曲はどうだろう、と心配していたのだが

                    オーケストラを急かせる事もなく

                    無理のない、でもリズム感バリバリの

                    すごく自然で活き活きしたラフマニノフ。


                    うはは、音響は悪いけれど、やっぱりカッコいい。

                    右手の奥に並んで、何故か飛び出した音響になっていた

                    トランペットとトロンボーン軍団だが

                    ラフマニノフのこの曲で

                    トランペット・トロンボーン軍団のあの響きが活きてくるとは

                    そこまで考えた配置だったか。いや参った(笑)


                    外来オーケストラのアンコールというのは

                    そのセンスの良さ、悪さがはっきりと分かれるが


                    指揮者のウンジャンが立派なドイツ語で

                    チャイコフスキーの交響曲「悲愴」の3楽章を演奏します、と

                    アナウンス。


                    ぎゃっはっは(爆笑)

                    悲愴の第3楽章をアンコール?!


                    チャイコフスキーの「悲愴」は

                    第3楽章の終わった後に、拍手のフライングがある事が多く

                    (特に観光客の多いコンサートだと悲惨な事になる)

                    我々、いつもドキドキしながら息を詰めている楽章だが


                    アンコールで1曲なら

                    ジャンジャン!と元気に終わった後に

                    思い切り拍手が出来る!!!

                    (意外にオタクなクラシック・ファンの夢かもしれない(笑))


                    ものすごく巧いとか言うのではないけれど

                    ひねくれたところが全くなく

                    素直で正直で真っ直ぐな、正統な音楽だ。

                    こういうのが良い。


                    熱狂的に拍手しまくった後

                    何と、もう1曲アンコール。

                    エニグマ変奏曲からニムロッド、とアナウンスがあったのだが

                    ああいうアナウンス、不要だと思う。


                    (聞き取れなかった人、あるいは知らない人が

                     家族や友人に聞きまくる声があちこちで・・・

                     だから、アナウンスの後、ザワザワしてしまい

                     ニムロッドのあの最初の美しい弦が聞こえた時も

                     私の周囲では、お喋りが止まなかったのだ(涙))


                    これも、本当に素直というか素朴というか

                    ここでも最後の盛り上がりの金管が

                    多少飛び出たのもすごい効果になっていた。


                    あぁ、この人たち、本当に音楽好きなのね・・・


                    オーケストラの水準は世界中で上がって来ていて

                    その中で考えると、精度の高さから言えば

                    超一流、とは言い難いし

                    派手にアピールするところもないけれど

                    地元密着型の実直で素直な音という印象が強い。


                    夜はかなり冷え込んだけれど

                    最後まで雨も降らず

                    楽しいコンサートだった、とルンルンしながら

                    ウィーンに帰ってきた私に

                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                    あ、ついでですが

                    本日8月15日はカトリック国は祝日で

                    オフィスはお休み。

                    宗教的祝日なので、掃除も洗濯もできず

                    ついでにお店も閉まっているので買物もできない(涙)



                    Hans van den Broeck/SOIT "The Lee Ellroy Show"

                    0

                      Kasino am Schwarzenplatz 2014年8月14日 21時〜22時30分


                      Hans van den Broeck / SOIT

                      The Lee Ellroy Show


                      演出・芸術監督 Hans Van den Broeck

                      監督助手とパーフォーマンス Jake Ingram-Dodd, Anuschka Von Oppen

                      ドラマツルギー・アシスタント Diane Fourdringnier

                      音楽とサウンドスケープ James Brown

                      サウンド Eric Faes

                      舞台デザイン Dirk De Hooghe

                      照明デザイン Giacomo Gorini

                      衣装 Marion Jouffre


                      インプルスタンツの私にとっての最終公演。

                      長い時期、お付き合いいただきました読者の皆さま

                      ありがとうございました。


                      終わり


                      ・・・・というワケにもいかんだろうが

                      どうも書き難いのだよ、これ。


                      Hans Van den Broeck はニューヨークで映画を学び

                      (その前は心理学をやっていたらしい)

                      Alain Platel のカンパニーにいて

                      2001年から SOIT で自分の作品を作っているらしい。


                      題名になった Lee = James Ellroy は

                      10歳の時に母親が殺人事件の犠牲者になり

                      それに取り憑かれて推理小説作家になった人らしい。

                      (プログラムによる解説)


                      舞台の真ん中には、厚いビニールに囲まれた空間。

                      中に女性が1人。

                      空間の向こう側に犬の剥製(何だろうあれは)


                      ハリウッド的音楽で、自転車に乗って出現した男性が

                      中に入って、何かやって

                      突然、アメリカのテレビ的インタビューみたいになって


                      疲れてるし、英語わかんないし(しかもアメリカ英語だ)

                      更には、アメリカのテレビ番組っぽく

                      テープで観客の笑い声とか拍手とかが聞こえてくるし


                      これ、ダンス公演じゃなかったっけ?

                      こんなシーンを延々と見せられるなら

                      自宅でテレビでも見ていた方が・・・


                      と思ったら、暗転して

                      女性が背中にでっかい傷つけて現れるし

                      男性と女性の絡みはあるし

                      またもや、テープで何か男性の声(お父さん?)が流れて

                      (すみません、英語なので言ってる事が全然わからず)

                      父がくれた一冊の本に僕は取り憑かれた、とか何とか

                      そんな事を言ってるらしいのだが

                      男性が後ろ向いて座ってシコシコ始めちゃうし

                      (ああ、もう現代芸術何でもアリですから。

                       ニジンスキーもやってた事ですし)


                      戦争シーンみたいなビデオ投影と

                      銃撃の音と、まぁ、色々あって

                      この間、戦争のあったところに行って

                      生々しい話を聞いて来た身には

                      けっ、戦争知らない奴が、戦争をちゃかすんじゃねえぞ。

                      (ちなみに戦争地区を経験した友人は

                       今でも花火が苦手である)


                      そのシーンが終わって

                      ビニールの箱の中が煙で一杯になって

                      照明落ちて終わりかと思ったら

                      まだビニールだして

                      男女がその中に入って、何かやってるし


                      ああ、もう眠いので早く終わって下さい(爆)


                      疲れて偏頭痛に悩まされて

                      しかも日中に色々と仕事で問題を抱えている身としては

                      こういう、暗いもの、あんまり観たくないんだよね。


                      しかし、最後の2公演で思ったのだが

                      現代ゲイジュツって

                      何でこんなに暗くなったんだろう?


                      もともと貴族のお楽しみだった「芸術」は

                      金の有り余った有閑階級のお楽しみだったはずで

                      (実際は不労所得だって、金があったって、領地があったって

                       人間関係やら、財産の管理やら、領地の取り合いや戦争や

                       結構、それなりに、下々にはわからん苦労もあったと思うのだが)

                      基本的には「楽しい」ものだったと思うのだが


                      これが下々に降りてきて

                      しかも、下々が(少なくとも先進国社会では)豊かになって来てしまい

                      悩む人は高級で、暗い人がインテリで

                      楽しいとか悩まないとかいうのはアホ

                      みたいになって来たのは何故だ?!


                      あるいは

                      世界における悲惨な事実を

                      ゲイジュツでもって、これでもか、と

                      幸せな人の幸せな意識を揺るがそうとするゲイジュツ家とか。


                      暗い過去を持ってると偉いのか、おい。

                      (はい、ただの言いがかりです)


                      現代ゲイジュツって

                      観てる人の不安感を煽ってナンボ

                      みたいな方向に行ってるような気がする。


                      で、現代ゲイジュツのファンというのは

                      不安感を煽られて

                      無理矢理自分の暗い過去に直面させられて落ち込むか

                      暗い過去のない人は

                      暗い過去のある人に、すみません、と言う限りない罪悪感を抱くか


                      こいつらマゾか。


                      はっ、すみません。

                      疲れていたので、ついつい言いがかりを・・・


                      本当は室伏鴻の公演で観たいものが週末にあるのだが

                      (室伏のタナトス方向の公演は、何となく共感する私もマゾ)

                      コンテンポラリー・ダンスは終わりにして

                      週末はグラーフェネックにせっせと通う予定。


                      ヘンな記事ばかり続いて

                      既に辟易なさっている読者の皆さま

                      インプルスタンツの最終観賞記という事で

                      どうぞ1クリックをお恵み下さいませ。



                      こんなに神経の図太い大人になっちゃったけど

                      まだ青少年の頃に、ああいう公演を観ていたら

                      きっと寝られなかっただろうし

                      たぶん、トラウマになってるな、ふん。


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