ウィーン・フィル + ズービン・メータ 2回目と3回目

0

    Musikverein Großer Saal 2014年3月30日 11時〜12時45分

    Musikverein Großer Saal 2014年3月31日 19時30分〜21時15分


    Wiener Philharmoniker

    指揮 Zubin Mehta


    Johannes Brahms (1833-1897)

     Tragische Ouvertüre, d-Moll, op. 81

    Arnold Schönberg (1874-1959)

     Kammersymphonie Nr. 1, E-Dur, op. 9

      Violine : Rainer Honeck, Christoph Koncz

      Viola : Heinrich Koll

      Violoncello : Tamás Varga

      Kontrabaß : Christoph Wimmer

      Flöte : Günter Federsel

      Oboe : Martin Gabriel

      Englischhorn : Wolfgang Plank

      Klarinette : Matthias Schorn, Stefan Neubauer

      Baßklarinette : Norbert Täubl

      Fagott : Harald Müller

      Kontrafagott : Benedikt Dinkhauser

      Horn : Josef Reif, Wolfgang Lintner

    Camille Saint-Saëns (1835-1921)

     Symphonie Nr. 3, c-Moll, op. 78, Orgel-Symphonie

      Orgel : Robert Kovács


    日曜日11時のコンサートに行き

    月曜日19時30分のコンサートへ。


    ウィーン・フィルのこのプログラムは

    土曜日・日曜日・月曜日・火曜日の4回ある。


    土・日はウィーン・フィルの定期

    月は楽友協会主催で

    火曜日はウィーン・フィルのソワレ公演。


    土・日定期のチケットは確保してあるが

    月曜日の楽友協会のチクルスで同じチケットがあるとは

    思ってもみなかった。(結果的に3回行く羽目に・・・でも嬉しい)


    日曜日のコンサートは

    ラジオでライブ放送があった。

    1週間はインターネットで聴けるので

    ご興味ある方はぜひどうぞ。

    ここから Radio Österreich 1 の

    Mehr Radioangebote の 7 Tage Ö1 で曜日を選択するだけ。


    太陽燦々と輝く日曜日のマチネで

    土曜日と同じく

    ウィーン・フィルのあまりの弦の素晴らしさに悶えた後

    悶え過ぎて疲れてしまい

    ブログを書く根性と体力がなくなった(自爆)


    さて、3回目の公演。

    ブラームスの悲劇的序曲も

    だんだん耳慣れ。


    しかし、この「悲劇的序曲」って

    悲劇というより、もっと泣き笑いしながら

    辺りかまわず喚いているような印象があるのだが・・・・


    3回目なので、後半戦に入って

    多少、演奏が緩むかと思ったら

    ますます骨太・・・というより

    何か、オーケストラが異様に元気である。


    ブラームスの厚みのあるハーモニーが美しく響き渡るのはステキだが

    悲劇? 悲しい? ううう、何か、元気過ぎて全然悲しくない。


    ブラームスおじさんって

    こういう嘆き方をするんですかね。

    短調と長調が目まぐるしく入れ替わって

    とことんエネルギッシュで

    考えてみれば

    私自身、あまり感情豊かな人間ではないので

    (感情欠乏?確かに現代国語は苦手だった。こんなに本読んでるのに)

    悲劇にあまり共感しないのかもしれない。


    シェーンベルクの室内交響曲は

    聴けば聴くほど面白くなる。


    プレイヤーが少ないせいもあるけれど

    一つ一つのパートがあくまでもクリア。

    全体的な透明感に包まれて

    交響曲の構成が透けて見える。


    ベルクがこの曲を分析して

    いくつかの楽章で成り立っている事を証明したそうだが

    シロウトの耳でも、何回か聴くと

    あぁ、確かに、つかみ所のない印象の裏に

    しっかりした構築美が隠されているのがわかる。


    さて、後半のサンサーンスのオルガン交響曲。


    3回目の演奏だが

    全体的な精度が抜群にアップして来てる。

    16分音符の細かい音型が

    全く崩れる事なく

    クリアに耳に直接届いてくるのがスゴイ。


    その分、フルフルした震え的なものは排除されていて

    あくまでも明確に、冷徹にリズムを刻んでくる。


    で、最初にオルガンが入ってくるところだが


    何を遠慮してるんですか?!


    おずおずと遠慮勝ちに

    キレイな響きだけど、ナヨナヨと

    あら、すみません、ちょっとお邪魔しちゃうわね、おほほ


    オルガニストが男性なので、オ○マになってしまうのであって

    もしかしたら、イメージとしては

    清らかな修道院の若い乙女が

    ゆっくりと立ち現れるイメージか。

    (だったら納得する)


    好みとしては

    第一部のオルガンが鳴るところで

    もっと堂々と入って来て欲しいんですが。


    ところが、ところが、ところが

    第二部でオルガンがソロで鳴るところで


    あっ、3回目にして

    やっとオルガンが大音響で入ってきたっ!!!


    途中のピアノも音量を上げて

    あの細かい美しいピアノ(4手)のスケールの美しさが

    オーケストラから際立って

    こちらは嬉しくてゾクゾクしながら聴いていたけれど


    オルガンの反逆? いや、前半とは比べ物にならない力強さで

    堂々と入ってきて、ワタクシは嬉しい。


    ・・・のだが

    オーケストラがライバル心を燃やして

    くそ、あのオルガンの音に負けてたまるか

    と思ったかどうかは不明だが


    ともかく、オーケストラ全体が燃え出して

    ガンガン、バリバリ、弾きまくる。


    だんだん、クラシックとは思えない音量になってきて

    楽友協会でロックンロールを聴いているような気分。


    1回目では「骨太」と書いたけれど

    3回目にして

    ほとんど暴力的な荒々しさに化して


    実に巧く隠されているディエス・イレのエネルギーを

    そのまま会場一杯に響き渡らせた。


    いや〜、リヒャルト・シュトラウスの

    「ツァラトストラはかく語りき」なんて目じゃないぞ

    という位、凄いエネルギーの爆発。


    (ところで、Wiki で調べたら

     Dies irae +ツァラトストラ(ドイツ語そのまま)というのは

     成人向けのゲーム商品のヒット作だそうで

     ほうほう、と Wiki を読んでいて

     その複雑さに途中で止めた(爆)とことんゲームに向かない性格)


    でも、ディエス・イレが象徴する暗さとか怒りではなく

    ちゃんと最後にカタルシスを与えてくれて

    聴衆を天上の天国に連れて行ってくれるところなど

    サンサーンス、好き ♡

    動物の謝肉祭だけで有名みたいだけど

    サンサーンスの名曲は、たくさんあります。

    (私が好きなのはウエディング・ケーキ ♡

     いや、本当にそういう曲あるんですってば)


    ウィーン・フィルとズービン・メータで

    ロックンロールに匹敵する音量を聴かされるとは思っても見なかったが

    厚みのある、柔らかな手触りで

    蜂蜜のように金色に輝く弦の美しさを

    3日間、快感とともに心ゆくまで堪能して、し・あ・わ・せ ♡


    昨日はサボってしまったけれど

    先週の疲れも音楽で洗い流した私に

    どうぞ1クリックをお恵み下さい。





    ウィーン・フィル + ズービン・メータ 1回目

    0

      Musikverein Großer Saal 2014年3月29日 15時30分〜17時15分


      Wiener Philharmoniker

      指揮 Zubin Mehta


      Johannes Brahms (1833-1897)

       Tragische Ouvertüre, d-Moll, op. 81


      Arnold Schönberg (1874-1959)

       Kammersymphonie Nr. 1, E-Dur, op. 9

         Violine : Rainer Honeck, Christoph Koncz

         Viola : Heinrich Koll

         Violoncello : Tamás Varga

         Kontrabaß : Christoph Wimmer

         Flöte : Günter Federsel

         Oboe : Martin Gabriel

         Englischhorn : Wolfgang Plank

         Klarinette : Matthias Schorn, Stefan Neubauer

         Baßklarinette : Norbert Täubl

         Fagott : Harald Müller

         Kontrafagott : Benedikt Dinkhauser

         Horn : Josef Reif, Wolfgang Lintner


      Camille Saint-Saëns (1835-1921)

       Symphonie Nr. 3, c-Moll, op. 78, Orgel-Symphonie

        Orgel : Robert Kovács


      先週火曜日から金曜日まで出張していて

      その間も、音楽的にはとても素晴らしい体験があったのだが

      それは残念ながら、お仕事なので書けない。

      もし、関係者でこれを読んでいる方がいたら

      心から感謝。

      色々な学びがあり、目からウロコの発見も多かった。


      さて、金曜日の夜にオフィスに帰り

      明け方近くまで仕事して

      鳥が鳴き始める4時頃にベッドに潜り込んだら

      朝7時に電話で叩き起こされ(そんなもんだ、人生って(笑))

      午前中のグループのアテンドの後

      冬時間の最終日に、ウィーン・フィルの定期公演。


      土曜日・日曜日が定期公演で

      月曜日には、楽友協会主催のコンサートが

      私の持っているチクルスにあって

      何故か、3公演聴きに行く事になりそうなプログラム。


      最初のブラームスで熟睡(するなっ!)


      ウィーン・フィルの素晴らしい音色が

      楽友協会に響き渡るのを聴きながら

      帰ったら、アイロンかけて洗濯して

      掃除するには時間がないな、とか考えていたら

      ブラームスの悲劇的序曲で

      白昼夢の妄想で寝られるとは思ってもみなかった。

      (感想になってません、すみません)


      シェーンベルクの室内交響曲1番というのは珍しい演目。

      ウィーン・フィルのフリークの方々用に

      メンバーの名前は書き出したが

      何せワタクシ、舞台が見えない席しか買えないので

      誰が誰だか全然わかりません。まぁ、コンマスの顔くらいは知ってるが。


      で、この室内交響曲が意外や意外に面白かった。

      作品番号9番というのからわかる通り

      12音技法の前の、トナールとアトナールが絡み合う曲だが


      室内楽編成だからなのかもしれないけれど

      音の透明感がスゴイ。


      同じフラグメントが対位法的に展開して絡まって行くのだが

      この構成の絡みを

      暗譜で指揮しているメータは

      情け容赦なく、クリアに、冷静に出してくる。


      でも、このフラグメントの音型って

      あれ、これ、浄夜のエレメントだよね

      あ、ベルクのバイオリン協奏曲の音の並びだ

      それに、ワーグナーのトリスタン和音的なものもあるし

      リヒャルト・シュトラウス的な部分と

      かなり明らかなグスタフ・マーラー色と

      ついでにバルトークとストラヴィンスキーを混ぜ込んだ味。


      つかみ所がなくて、結構長いのだが

      モチーフとその展開が、よく聴いていると

      しっかりと構築されている上


      ちゃんと最後は、伝統的交響楽的に盛り上がって

      あ、これ、伝統的なエンドまでの盛り上がりのテクニックだ、という

      もろ見えの部分が、とってもお茶目なんですけど(笑)


      こういう曲を聴いてみると

      現代音楽の新しさって

      既にシェーンベルクが、しかも12音技法の前にやっとるじゃないか。

      伝統音楽の方向に戻ろうとしている一派だったら

      こういう曲を現代音楽として作曲しているような気がする。


      かなり驚いて楽しんだシェーンベルクの後は

      楽しみにしていたサンサーンスのオルガン交響曲。


      以前、フランスのオーケストラで聴いた時は

      あくまでも繊細でフランス的で、洒脱で浮き立つような感じだったが


      メータとウィーン・フィルのオルガン交響曲は

      ウィーン・フィルとは思えない、骨太で重厚な演奏。

      フランスのオーケストラのような震えがあまりなくて

      堂々としていて、ドイツっぽい。


      この曲、第一部でオルガンが登場するまでは

      細かい音型が動いて動いて

      しかもズレて動いて、不安定で不安感を煽るようになっているが


      オーケストラがトゥッティで鳴らして

      その残響が消えない間に入ってくる

      ウィーン・フィルの弦の音に、もうゾクゾク・・・


      ウィーン・フィルの弦のアンサンブルが

      真剣になって演奏すると

      もう、その優雅さと美しさと厚みのある手触りは

      これはどのオーケストラが逆立ちしても無理なのである(断言)


      人間の最高の体感的な喜びは

      まぁ、通常、あれですよ、あれ、と言われるけれど

      あれなんかの数百倍強い快感って、実はある。

      あの響きの天国的な美しさは

      ああ、神さま、こういう快感を感じる脳を

      人間に作ってくれて、ありがとう!という感じ。

      (何か、ちょっと違うような気もするが)


      オルガンとオーケストラが、美しく鳴った後

      アレグロの激しい部分も

      やっぱり骨太で逞しい表現で

      フランス的ではないけれど、それはそれで納得できる。


      いや、でも、う〜ん・・・

      マエストロ・メータ、あれですか

      オルガンあまり好きじゃないとか???


      それとも

      オルガン君、キミはキミでソロだから勝手に弾きたまえ

      ボクはオーケストラに徹するから

      とか言う密談があったのか


      いや、オルガンとオーケストラ

      ちゃんと合ってるんですが

      オルガンの低音がオーケストラから浮き立って

      しかも、ビブラート効いてるだけで

      音というより

      通奏低音というか

      お腹の辺りに響きだけは感じるけれど

      オーケストラの音と混じり過ぎか混じってないか

      ともかく、ちょっと違和感あったなぁ・・・


      オルガンとピアノは

      ワタクシの好みからすると

      もう少し、オーケストラと同位置に居て欲しかった。

      (オーケストラの自己主張が強過ぎて

       オルガンとピアノが控え目過ぎた印象がある)


      でも、このコンサート

      意図的ではないにせよ、3回行く予定なので・・・


      あとまだ2回、あの限りなく美しい弦のサウンドを聴けるかと思うと

      快感の予感に悶えてしまう

      はしたない私に

      久し振りの1クリックをお恵み下さい。



      ここ数日、春爛漫で、太陽燦々として

      それだけで、ウキウキして楽しい ♡


      ホーフムジークカペレ + オルトナー

      0

        Musikverein Großer Saal 2014年3月23日 11時〜12時40分


        Wiener Hofmusikkapelle

        指揮 Erwin Ortner

        ソプラノ Laura Aikin

        アルト Bernarda Fink

        テノール Steve Davislim

        バス Florian Boesch


        Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)

         Kirchensonate C-Dur, KV 278

        Franz Schubert (1797-1828)

         Totus in corde langueo. Offertorium, D 136

         Intende voci. Tenor-Arie mit Chor und Orchester, D 963

         Auguste jam coelestium. Duett für Sopran und Tenor mit

            Orchesterbegleitung G-Dur, D 488

        Wolfang Amadeus Mozart

         Kirchensonate C-Dur, KV 329

        Joseph Haydn (1732-1809)

         Missa in angustils d-Moll, Hob. XXII:11, “Nelsonmesse”

          für Sopran, Alt, Tenor, Bass, vierstimmigen gemischten Chor, 

          Orchester und Orgel


        日曜日のコンサートで、しかも教会音楽なので

        行こうかどうしようか、散々迷った。


        もともとフランツ・ヴェルザー=メストの指揮予定で

        ソプラノはクリスティーネ・シェーファー予定がキャンセルになり

        テノールもマルティン・ミッタールッツナー予定がダヴィスリムに変更。


        ヴェルザー=メストが古典の教会音楽を指揮できるとは

        あんまり思っていなかったので(すみません)

        エルヴィン・オルトナーに変更になったのは

        ベター・チェンジだと、ワタクシ的には思う。


        まぁ、チケットはチクルスで持っていたので

        楽しく寝るつもりで行って

        本当にぐっすり、熟睡しました。

        (イビキはかいてないから良いのである)


        ご存知の通り

        Wiener Hofmusikkapelle という名前になっているが

        このメンバーはほとんどがウィーン・フィルのメンバーで

        付随して出てくる少年合唱団は

        ウィーン少年合唱団である。


        通常、このメンバーは

        日曜日の朝9時15分から、ホーフブルクの宮廷教会で

        カトリックのおミサを演奏しているのだが

        時々、こうやって、ホーフブルクを抜け出して

        楽友教会でコンサートをする。


        もちろんレパートリーは教会音楽に限る。

        (他の音楽やるならウィーン・フィルの名前でやるだろう)


        小編成の室内オーケストラなのに

        モーツァルトから、えらく音が厚くてビックリ。

        もちろん、楽友教会の音響のせいでもあるけれど

        かなり原色かかった、華やかな音色。


        テノールのダヴィスリムは何回か(含むリサイタル)聴いている。

        中間部の声の質はバリトンに近い厚みがあるが

        高音もキレイに無理せずに出して

        しかも、明るい音なので、開放的で好感が持てる。

        前半のテノールのアリアは

        ちょっと張り切り過ぎか、という位、声を張り上げていたが(笑)

        それも、けっこう可愛く聴こえてきちゃう。


        後半のネルソン・メッセ。

        1798年にアイゼンシュタットのベルク教会で初演され

        1800年にはエスターハージー家の客として招待された

        ネルソン将軍の同席するミサでも演奏された事から

        そう呼ばれるようになったと言う。


        激しい海戦を彷彿とさせるような

        シンフォニックな出だし。

        ああ、カトリックのおミサって

        当時の音楽生活の中では

        やっぱり劇場的な効果もあったんだろうなぁ・・・


        しかも、ハイドンって曲想を自由自在にあやつり

        ミサ曲なのに、変化に富んでいて、かなり楽しい。


        ベルナーダ・フィンクのアルトの声が

        何とも美しい。

        どこにも無理がかかっていなくて

        穏やかなのだが、艶のあるアルトの声、すごく良い。


        ダヴィスリムのテノールも

        前半のシューベルトでは声を張り上げていたが

        後半では、緊張が溶けたのか

        楽々と朗々としたテノールで気持ち良い。


        フローリアン・ベッシュのバスが入って来た時には

        ついつい笑ってしまったが。

        だって、そんなオペラの悪役みたいな

        憎々しい声で歌わんでも・・・(爆笑)

        でも、それ、ベッシュの持ち味だし。


        そんなこんなで

        覚悟して聴いたハイドンのおミサは

        天上の音楽を最高の演奏で

        気持ち良く聴きつつ

        ぐっすりと眠って

        あっという間に終わってしまったのであった。

        (一応、頭の中で聴いてはいる。

         あれは、不思議な感覚で最高の快感)


        神さま、ごめんなさい・・・と

        でも、あまり反省していない私に

        どうぞ1クリックをお恵み下さい。



        あ、それから

        当然、教会音楽なのでオルガンが入るのだが

        このオルガンの音色が素晴らしかった。

        ああいう音楽聴けるなら

        カトリックの信者になっても良いかも、と一瞬思ったが

        それは教会の方からお断りであろう(爆笑)



        マリッツァ伯爵令嬢 フォルクス・オーパー(初演)

        0

          Volksoper 2014年3月22日 19時〜21時55分


          GRÄFIN MARIZA

          Operette in drei Akten

          Musik von Emmerich Kálmán


          指揮 Alexander Rumpf **

          演出 Thomas Enzinger

          舞台・衣装 Toto

          照明 Sabine Wiesenbauer

          振付 Bohdana Szivacz


          マリッツァ伯爵令嬢 Astrid Kessler **

          ポプレスク侯爵 Toni Slama **

          コロマン・ジュパン男爵 Boris Eder *

          タシロ・エンドレディ・ヴィッテンブルク伯爵 Carsten Süss *

          その妹リーザ Anita Götz *

          カール・シュテファン・リーベンベルク Nicolaus Hagg *

          ボジェナ侯爵夫人 Helga Papouschek

          侍従ペニジェク Robert Meyer *

          召使いチェッコ Michael Gempart **

          ジプシー女 Annely Peebo *

          プリマ Georgy Rogers

          女の子 Leonie Dareb


          ** フォルクス・オパー・デビュー

          * 役デビュー


          カルマンの名作オペレッタ「マリッツァ伯爵令嬢」のプレミエ。

          (よって、本日はデビューと役デビューのテンコ盛りである)


          歌われるナンバーには有名なものが多く

          最初にタシロが歌うウィーンへの憧れの歌や

          ジュパン男爵のヴァラシュディンに行こう、などは

          みんな、どこかで聴いた事のあるものばかり。


          オペレッタ好きの友人たちが行くというので

          ついつい釣られてしまった(笑)

          友人たちは一番高い席で、私は一番安い席だが(苦笑)


          老人(召使いチェッコ)が

          女の子に、昔、こういう話があってね・・・と

          語るところから始まり

          全編通して、時々、この女の子が登場して

          召使いチェッコに「大人って何でこんなに物事を難しく考えるの?」と問う。


          う〜ん・・・

          オペレッタ・ファンの年配客向けの演出か・・・

          ジジババが、自分たちの孫に昔話をしているような

          幻想を抱かせて年配客を取り込もうという腹だな(邪推)


          子供も家族もいない私には

          女の子と老人のダイアローグは時間の無駄だし

          筋書きとは全く関係がないので、冗長に見えるのだが。


          舞台装置は回転舞台を使用。

          衣装は現代だが、なかなかスタイリッシュでカッコいい。


          タイトル・ロールのソプラノ。

          最初から最後まで、タバコを吸い続ける。

          何かあると、すぐにタバコで

          それがマルレーネ・ディートリッヒみたいで

          (まぁ、あそこまで美人ではないが

           かなり良い感じの50年代美女と言って良い)

          かなり絵になってはいるのだけれど


          この禁煙のご時世に

          あれを舞台の上で堂々とやるのはスゴイ。

          日本なら、すぐに非難の嵐になりそう。


          タバコ持って絵になるソプラノは

          演技が巧い。

          ちょっとしたところの細かい演技にリアリティがあって

          声は通るし

          セリフも通るし

          また、笑い声が、貴族っぽくて皮肉。


          あれだけスタイル良いと

          50年代の細めカットの衣装もキマる。


          それに比べて

          ぜんぜんオーラがなくて、パッとしないのは

          お相手役のタシロ(断言)


          演出上の意図かもしれないけれど

          管理人の仕事をしている時も

          マジメ一徹で、何の面白みも、チャーミングさもなくて

          マリッツァがタシロに惚れる必然性がゼロなんですが。


          それともマリッツァって、ゲテモノ好き?

          あるいは、自分を振り向かない男性に惹かれるとか?

          (言いよってくる男性はみんな袖にするのに

           自分に振り向かないオトコを振り向かせたい、って

           まぁ、そういう女性はいるけれど

           では、演出上、そういう女性として作られているかと思うと

           そうでもないので、ちょっと混乱する)


          タシロが管理人の普通の衣装から

          タキシードに着替えて登場するシーンは

          実は貴族だった、という事がわからなければならない筈だが

          このテノール、声はリリックでキレイなのだが

          演技がダイコンで

          背広も燕尾服も

          同じ姿勢と同じ手振り身振りなので


          燕尾服着ても、下々のモノにしか見えない。


          しかも、タシロがマリッツァに惚れた、というシーンが

          全然見当たらず・・・


          少なくとも、憧憬なり何なりを示唆するものがあって良い筈だが

          2人がどこで、どういうきっかけで恋に堕ちたのか

          わからないまま

          突然、激しいキッスのラブシーンになるのは

          納得がいかん。


          ラブシーンの時も

          タシロの演技はダイコンで


          こらこらこら、キッスする時に

          そういうゴツゴツした抱き方するんじゃないっ!!!


          歌は巧いのである。

          最初の抑え気味のウィーンへの懐かしさを籠めて歌うナンバーとか

          その他にも色々あるけれど

          第3幕の激昂シーンの歌は、かなり迫力はあったし

          声は出るし、リリックの甘い味はするのに

          あのヘタクソな演技は、何とかならんのか?!


          ラブシーンの演技見ていると

          ああ、この人、ベッドでもヘ(以下省略)


          マリッツァの演技が巧いだけに、かなり残念。


          特筆すべきは、コロマン・ジュパン。

          最初の登場の時の

          ハンガリー訛りのドイツ語がむちゃくちゃ巧く

          テキスト作成の人が巧いからというのもあるが

          ハンガリー人が間違えそうなドイツ語を

          巧く取り入れていて、爆笑もの。


          更に、この人、歌って踊れて演技ができる。

          これから観る人の興を削ぎたくないので

          詳しくは書かないが

          コロマン・ジュパンの有名なアリア

          ヴァラシュディンに行こう、の途中で

          とんでもない演出が入って


          涙が出るまで笑えました。


          そうそう、新演出は、国立バレエ団のダンサーを

          惜しげもなく使い

          これが、かなり楽しいダンス・シーンになっている。


          第3幕のポジェナ侯爵夫人と

          侍従ペニジェク(ローベルト・マイヤー!)の掛け合いは

          これは、ドイツ語がわかったら

          お腹が痛くなるまで笑える。


          古今東西のオペレッタや演劇作品の題名を列記して

          更に、今注目の的であるブルク劇場問題もおちょくって

          客席は大笑いの渦。


          こういうのがフォルクス・オーパーの持ち味。


          でもオペレッタは楽しくなくちゃ。

          その意味で、舞台・衣装、歌手に踊りに

          何でもアリのロマンティックな内容で

          大笑いできて、スッキリする演目ではある。


          カルマンのハンガリー風味の音楽が

          ウィーンっぽく演奏されると

          何とも郷愁を誘って良いなぁ、と

          感心する私に

          どうぞ1クリックをお恵み下さい。





          白鳥の湖 2回目

          0

            Wiener Staatsballet 2014年3月21日 19時30分〜22時30分


            SCHWANENSEE

            Ballett in vier Akten

            振付 Rudolf Nurejew nach Marius Petipa und Lew Iwanow

            音楽 Peter Ilitsch Tschaikowski

            舞台・衣装 Luisa Spinatelli

            照明 Marion Hewlett

            指揮 Alexander Ingram


            ジークフリート Denys Cherevychiko *

            オデット・オディール Liudmila Konovalova

            女王、ジークフリートの母 Dagmar Kronberger

            ロットバルト Andrey Teterin

            ジークフリートの侍従たち Ioanna Avraaam, Kiyoka Hashimoto

                               Greig Matthews, Dumitru Taran

            大きな白鳥 Gala Jovanovic, Oxana Kiyanenko, Alena Klochkova, Laura Nistor

            小さな白鳥 Maria Alati, Ioanna Avraam, Eszter Ledán, Rui Tamai

            スペインのダンス Gala Jovanovic *, Flavia Soares

                            Kamil Pavelka, Jaimy van Overeem *

            ナポリのダンス Ioanna Varaam *, Richard Szabó

            ポーランドのダンス Alena Klochkova, Aleexandru Tcacenco *

            ハンガリーのダンス Emilia Barnowicz *, Mihail Sosnowschi

            貴族の令嬢たち Maria Alati, Eszter Ledán, Anita Manolova *, Reina Sawai

                               Rui Tamai, Nina Tonoli

            ジークフリートの教育係 Christoph Wenzel

            侍従長 Gabor Oberegger


            昨日、配役表だけでプログラムを買わなかったのは

            この間の眠りの森の美女のように

            以前のシーズンのプログラムだったら、2冊になっちゃうからだが


            プログラム持っている人をみたら

            新しいプログラムだったので

            今日は久し振りにプログラムを買った。

            (何とドイツ語版と英語版がある。もちろん、ドイツ語版を購入)


            表紙がローマンとオルガで

            ううう、オルガ、何故、怪我しちゃったの?(涙)


            デニスは役のデビュー。

            寸足らずの王子さまになるかと思いきや

            溢れる自信と、空間の切り取り方が大きくて

            いや、ちゃんと、プリンスになってるじゃん。


            リュドミラとのバランスは微妙だが・・・


            リュドミラ、キレイなんだけど

            ちょっと大柄っぽくて

            途中のリフトのシーン、ちゃんと力任せで上に持ち上げたけれど

            観ている方としては、ちょっとドキドキしちゃった(笑)

            いやはやデニス、よくやった、うん。


            白鳥の湖と言えば

            古典中の古典だけど

            同じ古典中の古典、ジゼルに比べると

            チャイコフスキーの音楽が本当にステキ。


            今日のオーケストラはダナイローヴァ女史がコンサート・ミストレスで

            よくまとまっていたし

            美しい艶のある音色で

            チャイコフスキーの名曲を楽しめたのだが

            一部の金管は、ちょっとね、あのね・・・・


            まぁ、そういう事もある。あっちゃいかんのだがある。


            リュドミラの黒鳥、本当に良い感じ。

            オデットは、確かにもう少し透明な感じが欲しいけれど

            リュドミラの持つ強い個性が出ていて

            原色な感じの濃いオデットも

            それはそれなりに、私はキライじゃない。

            (というより、オルガさまの透明なオデット観てないから(涙))


            今回のプロダクション

            舞台も衣装も美しいので

            お勧めなのだが

            4月の公演含めて、もうチケットは完全に売り切れ状態。


            なかなか追っかけはできないけれど

            あと2回ほど、観に行く予定の私に

            どうぞ1クリックをお恵み下さい。



            白鳥の湖 1回目

            0

              Wiener Staatsballet 2014年3月20日 19時〜22時


              SCHWANENSEE

              Ballett in vier Akten

              振付 Rudolf Nurejew nach Marius Petipa und Lew Iwanow

              音楽 Peter Ilitsch Tschaikowski

              舞台・衣装 Luisa Spinatelli

              照明 Marion Hewlett

              指揮 Alexander Ingram


              ジークフリート Vladimir Shishov

              オデット・オディール Liudmila Konovalova

              女王、ジークフリートの母 Dagmar Kronberger

              ロットバルト Eno Peci

              ジークフリートの侍従たち Alice Firenze, Kiyoka Hashimoto

                                 Masayu Kimoto, Greig Matthews

              大きな白鳥 Gala Jovanovic, Oxana Kiyanenko, Alena Klochkova, Laura Nistor

              小さな白鳥 Maria Alati, Ioanna Avraam, Eszter Ledán, Rui Tamai

              ナポリのダンス Kiyoka Hashimoto, Richard Szabó

              ポーランドのダンス Alena Klochkova, Alexis Forabosco

              ハンガリーのダンス Alice Firenze, Mihail Sosnowschi

              貴族の令嬢たち Maria Alati, Ioanna Avraam, Eszter Ledán, Reina Sawai

                                 Rui Tamai, Nina Tonoli

              ジークフリートの教育係 Christoph Wenzel

              侍従長 Gabor Oberegger


              やっと、やっと、やっと「白鳥の湖」である。

              これを最後に観たのは、いったい何年前になるやら。

              何かの記念公演で、1幕ごとに

              ジークフリートとオデット・オディールをとっかえひっかえした公演は

              もう10年くらい前だと思う。


              あの時は

              ウラジミール・シショフは第1幕目でコケて

              ウラジミール・マラホフが第3幕で、サポートばかりであまり踊らず

              ローマン・ラチックが当時、新人なのに4幕に堂々と登場。

              オルガも、どの幕かで、オデット踊ったのだが

              女性ダンサーはあまり覚えていない。


              その後、シショフがちょっとスランプの時に

              ジークフリートを踊った公演は観たけれど

              確か、私の記憶では、それが最後である。


              この公演のプレミエは3月16日だったのだが

              私はケント・ナガノとモントリオールに浮気していたし

              次の公演は、ネルソンスとバーミンガムに行っていた。


              で、3月16日に踊ったオルガさまが

              舞台で怪我をしてしまい

              その日は怪我した状態のまま

              オディールの32回転もやったため

              それ以降、降板になってしまった!!!!(号泣)


              ううう、今回の白鳥の湖

              巧く組んで、オルガさま、リュドミラ、橋本清香嬢と

              ボリショイからのゲストのザハロワまでカバーする予定だったのに・・・


              オルガさまは、オデットを踊るために生まれてきたような方なので

              (何で尊敬語?(笑))

              観た人は、みんな「この世のものとは思えなかった」と言う。

              ・・・仕方がない、人間、何もかもは体験できないのである(涙)


              オルガさまに代わって、リュドミラが

              オデットとオディール。

              本日のお相手役は

              背が高くてハンサムで

              初日の新聞評で、唯一、むちゃくちゃ酷評された

              ウラジミール・シショフ。


              いや、あの、ウラジミールが

              「自分はイケメン」幻想に固執していて

              多少、演技があれ、というのは知ってますが


              ジークフリート王子のイメージというのは

              最初の場面から

              不自由のない裕福な家の

              ちょっとメランコリックな若い男

              ・・・ではないかと思うのだが


              シショフを観ていると

              美女に囲まれて、鼻の下を伸ばしっぱなしにしているオヤジ

              (あっ、すみません)


              メランコリック感が全然ない。

              そういう役作りかもしれないが

              何とも能天気のアホに見える。


              ロマンティック・バレエに登場するオトコは

              だいたいに於いてアホなので、それは仕方ないのか・・・


              新聞評でも絶賛されていたが

              最初の場面の侍従たちのソロが

              実に素晴らしい。


              橋本清香さんのバレエ、本当にキレイ。

              卓越したテクニックだけではなく

              ノーブルなのに掴む空間が大きくて

              すごいスケール感がある。


              復活した木本全優くんのバレエも絶好調。

              対するグレイグ・マシューも、ノーブルなイケメンで可愛く頑張っている。

              (グレイグは怪我したダヴィッドの代役だったそうだ)


              続けての第2幕。

              リュドミラのオデットの登場。


              ううううううっ、う、う、う、美しいっ!!!!

              リュドミラ、美人だし

              舞台でむちゃ映える。


              ジークフリートとの出会いのほんの数小節の動きが

              何と劇的な事。


              リュドミラの技術は素晴らしいので

              パの一つ一つが安定していて

              ポードブラの美しさ

              白鳥の動きの美しさには、ため息をつくばかりだが


              それ以上に、顔と身体の表情で

              清らかで、クソまじめで(すみません)

              悲劇のオーラを出しまくっているオデットになりきっている。


              その上、1幕からそうなのだが


              国立バレエ団の群舞って

              いつの間に、こんなに巧くなったのだ?!


              1幕目の行進もそうだけど

              2幕目の白鳥さんたちの揃い方が見事で

              ここって、ボリショイかサンクト・ペータスブルク?

              昔、こんなに群舞、揃ってなかったような気がする。


              バルコン席からコールドバレエを観ていると

              あまりの素晴らしさにクラクラする。


              幕間の後の第3幕。

              ジークフリート王子は、まだアホのまま。

              というより、アホ加減に更に磨きがかかって

              おかあさ〜ん、ボクちゃん、こんな花嫁候補、イヤっ


              う〜ん、ウラジミール、その顔

              どう観ても、子供の表情だよ。カワイイけど(笑)


              そこにオディール、堂々と登場。


              ・・・・(愕然)


              ちょっと待て、あなた、さっきまでオデット踊っていた人?


              いや、本気で別人に見える。

              悲劇オーラが全くなくなって

              悪意のある色っぽさがプンプン漂って

              うわ、その目つき、かなり危険。


              でも、死にそうなオデットより

              オディールの方が活き活きしていて

              まぁ、役柄としては

              ブラック・スワンというのは面白いだろうなぁ。


              有名な32回転だが


              リュドミラ、ちょっと待って

              何回ドゥーブル入れるつもり????(驚愕)


              いや、スゴイわ、テクニックある人は・・・


              最終のシーンで

              またもやオデットに戻って登場したリュドミラは

              ・・・・ううう、あの短時間で

              またもや、別人と化している。


              最後の床の揺れ揺れの波は

              今回も使われていて、幻想的な雰囲気を醸し出す。

              (マラーホフが一度、この床の布に足を取られて

               転びそうになった公演も観た(笑))


              舞台装置は多少簡素にはなったものの

              その分、衣装が新調されて

              パステル・カラーの舞台が上品でステキ ♡


              コンサート・マスターはキュッヘルさん。

              チャイコフスキーは、オーケストラとしては

              弾き慣れていて、熟れている感じで

              アンサンブルが素晴らしい。

              バイオリンのソロも、キュッヘルさんらしいソロ。


              周囲の客のマナーの悪さには閉口したが

              (結構高いチケットを買ったのだが・・・・)

              お喋りの声が聞こえようが

              前の人が身を乗り出して舞台が見えなくなろうが

              前や横で、スマホやデジカメで写真撮っているアホが居ようが

              (だから、最初のアナウンス

               ドイツ語・英語・日本語だけじゃなくて

               他の言語でもやりましょうよ。

               まぁ、写真やビデオを撮る人は

               何を言われようが撮っちゃうんですけどね(ため息))

              そんなマナーの悪さで怒っているよりも

              舞台の上の奇跡と

              オーケストラ・ビットからわき上がってくる奇跡に

              目も、耳も奪われていた、というのが正解。


              ウラジミール・シショフは

              多少演技がダイコンでも

              見た目が良いので、まぁ許す(おお、偉そう)

              最終シーンのジャンプが

              かなり疲れていた印象を残したが(ミスはしてません)

              やっぱり、あれですかね・・・・ちょっともう歳?


              明日はジャンプは得意そうだが

              ちょっと上背が足りないかもしれないデニスの登場。

              オデットとオディールは、2日続きで(!)リュドミラが踊る。


              来週1週間は出張なので

              バレエもコンサートも行けないけれど

              4月の橋本清香さんのオデット・オディールは

              既にチケット確保済みの私に

              どうぞ1クリックをお恵み下さい。



              国立歌劇場連盟に、お客さまのチケットを取りに行った時

              係の人が

              「ついでだから、あなたのチケットも、プリント・アウトしてあげるわよ」と

              プリント・アウトした後に

              「同じ演目ばかりだけど?」と怪訝な顔をされました(爆)

              良いんです、凝り性だから・・・・(言い訳)



              ウィーン交響楽団 + マルクス・シュテンツ

              0

                Konzerthaus Großer Saal 2014年3月19日 19時30分〜21時45分


                Wiener Symphoniker

                指揮 Markus Stenz

                バイオリン Sergej Khachatryan


                Richard Wagner (1813-1883)

                 Siegfried-Idyll (1870)

                Aram Chatschaturian (1903-1978)

                 Violinkonzert d-moll op. 46 (1940)

                Johannes Brahms (1833-1897)

                 Symphonie Nr. 1 c-moll, op. 68 (1876)


                バイオリニストの名前が

                ハチャトリアン。

                そのハチャトリアンが弾くバイオリン協奏曲が

                ハチャトリアン・・・(笑)


                私の興味は指揮者のマルクス・シュテンツ。

                名門、ケルンのギュルツェニヒ管弦楽団の首席指揮者で

                マーラーの交響曲の録音でも有名なのだが

                今まで、ウィーンでナマで聴いた事がない。


                ジークフリート牧歌の弦が美しい。

                が、美しいまま爆睡(気持ち良かった)


                ハチャトリアンのバイオリン協奏曲を弾いた

                セルゲイ・ハチャトリアンは

                実は2010年にもウィーン交響楽団とのカップリングで

                ブラームスのバイオリン協奏曲を聴いている。

                (おヒマな方は こちら をどうぞ)


                あの時は、巧いけれども無個性で若いだけのバイオリニストだったが

                それから4年

                技巧の素晴らしさはそのままに

                何と美しい音響を出すバイオリニストに成長したんだろう!!!


                もちろん、弾いたのが

                ブラームスとかベートーベンではなくて

                ハチャトリアンだったという事もあるだろうが

                ともかく、この人のバイオリンの音は素晴らしい。


                神経に障らず、澄み切った音で歌うのである。

                もちろん、前と同じく

                多少、自己陶酔型ではあるけれど

                (ソリストはほとんどそうだ(断言))

                今回は、それがイヤミにならず

                最初から最後まで、歌い切った感じ。


                特に第2楽章。

                アンダンテとは銘打っているが

                ロシアの悲愴的なメランコリックな音を

                まぁ、あんなに美しく・・・(絶句)


                すごい才能だ。まぁ、天才である。

                それが4年間、世間に潰されもせず

                名前を売るために有名な協奏曲を演奏せざるを得ない時期を脱して

                自分に合う曲で、またウィーンに登場してくれたのは嬉しい。


                これがあまりに印象的だったので

                後半のブラームスが、かなり霞んでしまったが(笑)


                ブラームスの交響曲第1番と言えば

                CD でもナマでも、飽きるほど聴いている名曲で

                ウィーン交響楽団のメンバーだって

                いったい何回目だよ、という位、演奏している筈。


                シュテンツの音楽作りは、かなり正統的である。

                力が入ったところがなくて

                自然な流れを作り

                アゴーギクも目立つ部分がない。


                そして、面白い事に低弦がよく聴こえてくる。

                バイオリンの醸し出す主旋律に

                反対の音型を演奏する低弦が聴こえてくると

                ブラームスの中の対位法がクッキリと浮かび上がってくる。


                ほうほう、こういうアプローチもあったのか。

                しかも、それがイヤミに聴こえない。


                2日続くコンサートの初日だったせいもあるだろうが

                演奏ミスが目立ったのが、ちょっと残念。


                オーボエのお姉さま、最初のソロが、あっ?!

                楽器の調子が悪かったようで

                その後、慌てて調整していたが


                プロなら、演奏前に楽器のコンディションくらい(以下省略)


                それに続いたクラリネットのソロが

                あまりに素晴らしかったので、ますます目立ったぞ(笑)


                最終楽章の最後のところのテンポ・アップには

                まだオーケストラ・メンバーが全員は着いて行っていなかったし

                その意味では、驚くべき素晴らしい演奏というワケでもなかったが

                (すごい生意気な書き方だなぁ・・・)


                でも、ブラームスの交響曲って、名曲だから

                ある程度の水準の演奏を聴くと、まぁ、楽しい。


                ・・・と自分を無理やり納得させながら

                コンサートの後に、またオフィスで真夜中過ぎまで仕事して

                懲りずに午前2時半にブログを書いているアホな私に

                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                アップの時間は意図的に変えてあります。

                しかし、こんな睡眠不足で

                明日は白鳥の湖、しかも60ユーロのスゴイ席を買ったのに

                寝落ちしないように注意しよう・・・・


                バーミンガム市交響楽団 + ネルソンス 2日目

                0

                  Musikverein Großer Saal 2014年3月17日 19時30分〜21時30分


                  City of Birmingham Symphony Orchestra

                  指揮 Andrís Nelsons

                  バイオリン Anne-Sofie Mutter


                  Johannes Brahmf (1833-1897)

                   Konzert für Violine und Orchser D-Dur, op. 77

                  Igor Strawinsky (1882-1971)

                   Petruschka (Fassung 1947)


                  バーミンガム市交響楽団とネルソンス、2日目公演。


                  ・・・(沈黙)


                  考えてみれば、初日の怪我でオルガは降板したけれど

                  国立オペラ座では、白鳥の湖が踊られているのに

                  何故、私は

                  アンネ・ソフィー・ムターのバイオリンのコンサートに来ているんだろう?


                  アンネ・ソフィー・ムターと言えば

                  バイオリン界の巨匠中の巨匠で

                  誰でも知っていて、泣く子も黙る(かもしれない)バイオリニスト。

                  オーケストラの共演でこの人が出ると

                  あっという間にチケットが売り切れる、という伝説の人でもある。


                  若いバイオリニストが多いなか

                  今年50歳で、まだまだ大活躍中と言うのもスゴイ。


                  が・・・


                  私はアンネ・ソフィー・ムターのバイオリンがちょっと苦手で(汗)


                  ブラームスのバイオリン協奏曲。

                  バイオリンが力強く入るところで


                  ガリガリガリ

                  (すみません)


                  バリバリというよりは

                  ガリガリというイメージで

                  それをエネルギッシュで力強くて

                  男前だから好きという人と


                  どう聴いても

                  しゃがれ声のオバサンが怒鳴っているイメージに聴こえる人と

                  (すみません、自分は何も楽器が出来ないくせに偉そうですが)


                  ワタクシ的な好みとしては

                  ベートーベンとかブラームスとかは

                  割に淡々と、あまり熱くならずに端正に演奏する方が好きなのだが


                  アンネ・ソフィー・ムターのバイオリンは

                  ガリガリガリガリと、あくまでも熱く

                  ついでに、オーケストラを指揮しているネルソンスも

                  あくまでも熱く


                   ・・・・ 暑苦しいです(ごめんなさい)


                  タメはあるわ

                  強弱の差がむちゃ激しく

                  ポルタメントもかかってたりするし

                  いや、好みの問題なので

                  好きな人には申し訳ないけれど

                  やっぱり、ワタクシは苦手。


                  アンコールのバッハは

                  さらっと弾き流してくれて

                  暑苦しいブラームスよりも楽しかった。


                  後半、ストラヴィンスキーのペトルーシュカ。

                  はいはい、2日前にモントリオール管弦楽団で聴きました。


                  この曲、私の中のデフォルトはコンツェルトハウスの音響で

                  楽友協会でのペトルーシュカって初めてだと思う。


                  最初の市場の情景で、ちょっとひっくり返りそうになる。


                  音が大きい・・・


                  コンツェルトハウスの天井桟敷がスタンダードになっている耳に

                  あれだけ大きな音響で市場の雑音が飛び込んできたら

                  そりゃ、驚くわ。

                  市場でのそこはかとない雑音ではなくて

                  市場でオジサン、オバサンが怒鳴り合っているような感じ。


                  ああ、ここでもネルソンス、力任せというか

                  力一杯というか


                  この人、どこでも全力投球しないと気が済まないタイプ。


                  市場の情景の音量が

                  ペトルーシュカのテーマの音量より勝る、というのも

                  何となく不思議な感じ。


                  でも、この力一杯のペトルーシュカは

                  なかなか良い出来で、面白く聴かせてもらった。

                  ネルソンスは、きちんと緻密な指揮をしていて

                  ソロは各オーケストラ・メンバーに任せて

                  確かに、ちょっと力み過ぎな印象はあるけれど

                  それは、ネルソンスの良さだろう。


                  プロコフィエフは

                  あくまでも洗練されて、スタイリッシュな音楽の方が良いけれど

                  ストラヴィンスキーなら

                  あの位、力任せの荒々しい感じまでする

                  エネルギッシュで熱い演奏もアリ。


                  各パートのバランスもよく整っていて

                  熱いだけに、洗練というよりは

                  ちょっと泥臭いロシアの田舎の感じが

                  演奏から伝わってきて


                  ああ、バーミンガムって田舎だったのね(違!!!)


                  髪の毛後退して

                  (プログラムには、まだフサフサの写真が載ってる)

                  かなり体重も増えて

                  (プログラムには、まだスッキリした頃の顔が載ってる)

                  見た目はちょっとオヤジ化が始まっているけれど

                  まだまだ若い、やんちゃ坊主の天然音楽バカ(すみません)の

                  明るくて、音楽大好きなネルソンスは健在だ。


                  故アバドの代わりに

                  ルツェルン音楽祭でも指揮をしたり

                  ボストンで大忙しだったり

                  売れっ子になって

                  また、その期待に応えようと頑張るネルソンス。

                  (というより、本人は頑張ってるとかいう意識なくて

                   好き好き好き、もっと振りたい!という感じのところが

                   またカワイイのである ♡)


                  プログラム見たら

                  2008年5月8日にウィーン放送交響楽団振って

                  楽友協会にデビューと書いてあって


                  ううう、2008年8月の前の記録が

                  プロバイダーの関係で全部消えちゃったから記録ないけれど

                  絶対にこのデビューのコンサートに行ってたぞ・・・と

                  記録が消えたのを、とても残念に思う私に

                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。






                  バーミンガム市交響楽団 + ネルソンス

                  0

                    Musikverein Großer Saal 2014年3月17日 19時30分〜21時30分


                    City of Birmingham Symphony Orchestra

                    指揮 Andrís Nelsons

                    ピアノIgor Levit


                    Ludwig van Beethoven (1770-1827)

                     Konzert für Klavier und Orchester Nr. 4 G-Dur, op. 58

                    Sergej Prokofjew (1891-1953)

                     Romeo und Julia. Ballettsuite

                      Tanz am Morgen

                      Die Montagues und Capulets

                      Das Mädchen Julia

                      Die Straße erwacht

                      Tanz

                      Balkonszene

                      Masken

                      Ankunft der Gäste

                      Romeo und Julia vor der Trennung

                      Tybalts Tod


                    バーミンガム市交響楽団と

                    2008年から音楽監督になっているアンドリス・ネルソンスのコンサート。


                    日中の仕事中に楽友協会から急なメールが入って来て

                    代役のお知らせがあったので

                    すわ、ネルソンスがキャンセルか?と焦ったが


                    ピアニストのエレーヌ・グリモーのキャンセルで

                    ロシアのピアニスト、イゴール・レヴィットにチェンジ。

                    1987年生まれの27歳。


                    昨日聴いたばかりのベートーベンのピアノ協奏曲4番。


                    出だしが・・・・


                    えええええええっ???


                    そこ、アルペジオでしたっけ?(驚愕)


                    しかも、ピアノの音が弱音の上に

                    テンポがむちゃくちゃ遅い。


                    感受性ゼロの私としては

                    ベートーベンはあくまでも端正に

                    あまり感傷的にならずに、溺れず爽やかに弾いて欲しいのだが

                    このピアニスト、正反対だ・・・


                    ロクにリハーサルの時間もなかったのだろうが

                    それでもあのテンポに

                    オーケストラがそっと寄り添って

                    途中でオーケストラだけ元気になる(笑)ネルソンスだしね。


                    昨日のフォークトに比べると

                    ピアノの音は立っているので、ズルはしていないが

                    急な代役だった事もあって

                    第一楽章で、ほんの些細なミスがちらほら。

                    でも、左手の音は、この人の方が抜群に強い。


                    が、このピアニスト

                    ずっとピアノに被さって

                    何ともネクラというか


                    それに、ピアノの音をあまりに透明にし過ぎて

                    オーケストラの中に入ると、消え入ってしまいそうで

                    ネルソンスがオーケストラの音量を

                    抑えて抑えて抑えているのがよくわかる。


                    内省的と言うべきなのだろうが

                    疲れているので皮肉に書いてしまうと

                    自己陶酔型で

                    ズブズブと音楽に溺れる印象。


                    ここまでメランコリックにベートーベン弾かれると

                    いくら4番とは言え、そりゃないだろ、という気分。


                    よって、ワタクシ好みではない。すみません。

                    熱狂的な拍手と、盛大なブラボー・コールが飛んでいて

                    応えて弾いたアンコール曲が

                    初心者でも弾けるような曲で(しかも結構長くて)

                    ああ、この人、ピアノの音色の透明感に命を賭けるタイプ。


                    お好きにどうぞ。


                    後半のロメオとジュリアは

                    ネルソンスの巨体拝見。

                    ますます太くなってるし

                    髪の毛は後退しているし


                    それはともかくとして

                    昔は、あんなに激しい息とか掛け声とかなかったぞ。


                    ここぞ、というところに

                    荒い息を吐くので、うるさいし

                    何か、それ、ものすごく


                    オヤジくさいんですけど・・・


                    肝心のロメオとジュリアだが

                    これは、もちろん、私の耳逆らいが大きいのだが


                    美しくないっ!!!!


                    オーケストラの音響が荒い。

                    弦の音が硬い。

                    しかも、ネルソンスが大音響で鳴らせてしまう。


                    あの有名なモンタギューとキャプレットの行進曲は

                    バレエの場面では

                    悪意を内に秘めながら

                    あくまでも上流階級の両家のプライドを被って

                    抑制された表現の中に

                    これからの悲劇を予感させるものなのだが


                    大音響で元気一杯に演奏するので

                    ティラノサウルスが周囲の樹をぶっ倒しつつ

                    ぎゃ〜〜〜っと騒いで、地面をドシドシ踏みつけている


                    あるいは


                    ゴジラが東京の建物を踏みつぶしながら

                    ドシンドシンと、火を吐きつつ行進している


                    というイメージになってしまって(涙)


                    ネルソンスさん、それ、絶対に違うから・・・


                    組曲だから、ストーリー関係なしに

                    音楽的に聴くべきものであって

                    音楽的に聴いたら、また違うのかもしれないけれど


                    でも、プロコフィエフの不安を煽るような美しい不協和音が

                    何のバランスの問題か

                    全然美しくない!!!!

                    何であんな不愉快な不協和音を出したのか、理解不可能。


                    ティーボルトの死だって

                    あくまでもあれは、ティーボルトの死なんですよ。

                    そんなに大袈裟に

                    大音響で響かせまくって

                    劇的ではあるのだが


                    何か違う・・・


                    すみません、すべて好みの問題なのだけれど

                    このロメオとジュリアを聴いていると

                    ネルソンスが

                    ただの脂ぎったオヤジにしか見えない(ごめんなさい)


                    あくまでも耳逆らいの問題で

                    私はこの音楽は

                    国立オペラ座のバレエで

                    バレエ観ながらウィーン・フィルの演奏を何回も聴いているので

                    (限りなく優雅で、底に秘めた悪意とか巧いんです、このオーケストラ。

                     いや、別に隠れた意味はございません)

                    それが自分の中の音楽になってしまっているのである。


                    くそ、こんな事なら

                    ケント・ナガノの振るマーラーの7番に行くべきだったか・・・


                    いや、バーミンガムとネルソンスは

                    明日、もう1回コンサートがある。

                    ブラームスのバイオリン協奏曲と

                    ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」

                    (ペトルーシュカ、また重なったよ。何か悪意でもあるのか?)


                    ペトルーシュカなら、多少荒い音の方が面白いかもしれないし

                    明日のコンサートに期待をかける私に


                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                    モントリオール交響楽団 + ケント・ナガノ

                    0

                      日曜日のダブル・コンサート。

                      時系列で読まれたい方は こちら からどうぞ。


                      Konzerthaus Großer Saal 2014年3月16日 19時30分〜21時30分


                      Orchestre symphonique de Montréal

                      指揮 Kent Nagano

                      ソプラノ Ekaterina Lekhina


                      Maurice Ravel (1875-1937)

                       Le Tombeau de Couprin (1914-17, Fassung für Orchester 1919)

                      Unsuk Chin (*1961)

                       snagS&Snarls für Sopran und Orchester (2003-04)

                      Igor Strawinski (1882-1971)

                       Petruschuka, Burleske in vier Szenen (1910/11, Neufassung 1947)


                      ケント・ナガノ率いるモントリオール交響楽団のヨーロッパ公演。

                      チューリヒ、ベルン、ジュネーブと廻ってきて

                      ウィーンでのコンサート2回の後、マドリッド、オヴィエード

                      ケルン、エッセン、ミュンヒェンを巡る演奏旅行の一環である。


                      コンサート前にメンバーが舞台の上で

                      好き勝手に練習しているところは

                      アメリカのオーケストラと同じ・・・と思ったが

                      メンバーはそのまま舞台の上で

                      コンサートの5分前には各自の勝手な練習も止め

                      静かにオーケストラが座っている状態で


                      おおお、お行儀が良いじゃないか(感心)


                      その練習中にマーラーが聴こえて来たので

                      (もちろん金管のソロである)

                      えっ? 今回のプログラム、マーラーないじゃん、と思って

                      プログラム見たら

                      明日、3月17日がマーラーの交響曲7番の演奏(!!!!!!!)


                      ワタシ、マーラーの交響曲7番って、むちゃくちゃ好きなんですけどっ(汗)

                      でも、明日は楽友協会で、やんちゃ坊主ネルソンスとバーミンガムが・・・

                      しかも、明日のマーラーの交響曲7番のチケットは

                      一番安いチケットと次に安いチケットが売り切れで

                      (ジモッティが多いのがよくわかる)

                      36ユーロの席が一番安い(予算オーバー(冷汗))


                      ・・・諦めます(涙)

                      ネルソンスの巨体をじっくり見る事にします(涙)


                      それはともかく

                      今日のプログラムは

                      ラヴェルの「クープランの墓」

                      チン・ウンスク 陳銀淑 の snagS&Snarls (現代曲)

                      後半がストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」


                      クープランの墓

                      解像度がむちゃくちゃ良い。

                      各楽器がしっかり聴こえてくる上に

                      木管に入ってくる弦の美しさにため息。


                      すごく繊細な音なのに、とてもクール。

                      感傷に溺れる事がなくて、スタイリッシュ。

                      それに、各パートのバランスが理想的。


                      オーボエのおじさま

                      最初から最後までソロで吹きっぱなしだが

                      この音色が、何ともまぁ

                      強い自己主張をせず

                      (ソリストとしてなかなか出来る事ではない)

                      他のオーケストラの楽器との音のバランスと兼ね合いが見事。

                      わざと音色を控え目にして

                      オーケストラと合わせる技・・・・ううう、脱帽。


                      陳銀淑の曲になったら

                      オーケストラのメンバーがワサワサ増えて

                      ものすごい大編成になった。


                      う〜ん、現代音楽って、何であんな大編成オーケストラばっかり?

                      何か、オーケストラの労働組合から

                      なるべく多いメンバーの曲を書いてくれないと困りますとか

                      言われているんだろうか?


                      木管も金管も、もちろんパーカッションもスゴイ数で

                      加えて、ハープの隣に陣取るのはマンドリンではないか。

                      (あ、良いのか、明日、マーラーの7番だし・・・)


                      ソプラノ登場。マイク着けてるけれど

                      さすがにコンツェルトハウスの音響技術者は熟練していて

                      さして違和感はない。


                      が・・・・


                      その大編成オーケストラ、何でそんなに小さい音?!


                      というより、トゥッティがほとんどなくて

                      まるで小編成のソロにソプラノが絡まる感じで

                      大オーケストラが舞台に居るとは感じられない音響。


                      え〜っとですね、例えてみれば

                      高級レストランに行って

                      一皿50ユーロ以上するようなメインを注文したら

                      直径50センチくらいある立派なお皿に

                      直径3センチくらいのメインが乗っていた

                      ・・・・という感じ(わかってくれます?くれますよね!)


                      え〜い、100人以上のオーケストラのメンバーを舞台に乗せるなら

                      少なくとも数回はトゥッティで

                      マーラーかブルックナーみたいに

                      いや、それが無理ならクセナキスでも良いから

                      一度に鳴らしてみろっ!!!


                      ・・・というのは、ただの好みである(すみません)


                      けれど、あのメンバーのあの編成で

                      実にもったいない(ケチケチした)音響・・・


                      だいたい、ワタクシ的には

                      オーケストラにマイク付きのソプラノ入った時点でアウトですし。


                      ただ、一つだけ良かった点としては

                      ラヴェルとストラヴィンスキーの間にあって

                      ものすごく似たようなミ二マム・エレメントの音響だった事。


                      後半のストラヴィンスキーもそうだけど

                      今日のコンサートのラヴェル、陳銀淑、ストラヴィンスキーって

                      音響の印象から言うと

                      ものすごくまとまっていて、一貫性があって違和感がない。


                      ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」も

                      ラヴェルと陳銀淑に音響的にとても似ていて


                      いやはや、ケント・ナガノの音のバランス感覚の素晴らしさに驚愕。

                      解像度抜群で、どのパートもちゃんと聴こえてくるのだが

                      どこかの楽器が飛び出すような事が一切ない。


                      ちゃんと情景が思い浮かぶような叙情性を保ちながら

                      純粋音楽として、無駄なタメやイヤミが一切ない。


                      この音響的な効果を知ってプログラムを組んだのであれば

                      ケント・ナガノの頭の良さも尋常じゃない。

                      (確か以前もこの人のプログラム作りの巧さには唸ったはず)


                      ペトルーシュカ後に後ろのメンバーの入れ替わりがあったので

                      さて、アンコールで何やるかな?と思ったら


                      ビゼーの「アルルの女」

                      うわ〜、バランス良いし金管巧いし、木管最高で

                      リズムにノリノリの爆発的エネルギーの演奏。


                      で、何と、何と、何と

                      アルルの女のアンコールで、音響の色を変えたな、と思ったら

                      その後、もう1曲アンコールで演奏したのが

                      ラヴェルの「ボレロ」


                      どっひゃーん


                      で、これがまた面白かった。

                      各ソロの演奏を、ケント・ナガノは自由にやらせるので

                      これが、結構、クセありのプレイヤーも居るわけで(笑)

                      うははははは、このオーケストラ、面白い。


                      この面白いオーケストラと

                      バランス感覚抜群のクレバーなケント・ナガノの指揮で

                      マーラーを聴きたかったが


                      まぁ、人間、全部を聴けるものでもないし(涙)

                      仕方ない、と諦めた私に

                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。




                      calendar
                            1
                      2345678
                      9101112131415
                      16171819202122
                      23242526272829
                      3031     
                      << March 2014 >>
                      PR
                      ★コンタクト・メイル★
                      メイルはこちらへ
                      ブログランキングに1クリックお願いします
                      selected entries
                      categories
                      archives
                      recent comment
                      recommend
                      links
                      profile
                      search this site.
                      others
                      mobile
                      qrcode
                      powered
                      無料ブログ作成サービス JUGEM