Musikverein Großer Saal 2014年2月28日 19時30分〜21時50分
Münchner Philharmoniker
指揮 Lorin Maazel
Jean Sibelius (1865-1957)
Valse triste, op. 44/1
Robert Schumann (1810-1856)
Symphonie Nr. 4 d-Moll, op. 120
Richard Strauss (1864-1949)
Eine Alpensymphonie, op. 64
マゼールとミュンヒェン・フィル2日目。
いや、もう、プログラムを見ただけで
何ですかこれ?
アウェイのオーケストラってサービス精神一杯というか
普通だったら、アタッカの交響曲や交響詩を1回で2曲も演奏しないだろう。
更に加えてシベリウスの小品まで・・・
悲しきワルツは、遅めのテンポ。
充分に充分にピアニッシモのピチカートで歌わせて
美しいけれどやるせない。
途中で誰かが連れて来た子供が泣き出して
(あああ、だから子供はあまり連れてこない方が・・・)
いや、悲しいしやるせないのはわかるけれど
泣きたいのはこっちです(ってちょっと違うか)
シューマンの交響曲4番。
私は好きだったはずなんだけど
これも遅めのテンポで
その分、最初の低弦はとても響く。
けれど、音楽の流れがスムーズに続かず
それぞれのテーマの最初のアクセントが
叩き付けるような強さで
そこでブチッと切れるような不安定さがあって
好みなんだけど、これ、私、あまり好きじゃない(すみません)
それに、今聴いて思ったんだけど
生意気だが、この曲、構成もメロディも
そんなに優れていないような印象。
(おおおお、天下のシューマンさまに何と言う事を!)
同じような繰り返しが多くて、何となく飽きてくる。
・・・睡眠不足と疲れがあるかもしれない。
後半は、これまたアタッカで長いアルペン交響曲。
夜中の描写が実に不気味。
トロンボーンやチューバなど
低音の金貨楽器の音が柔らかくて美しくて
うわわわ、やっぱりスゴイ。
その分、夜明けが目立つが
美しい、というよりは、かなり壮大な景色が見える。
マゼールがひたすら鳴らすのだが
ショスタコーヴィッチとは違って
ううううううう、うるさいっ!という気分にならないのは
オーケストレーションの問題なんだろうなぁ。
アルペン交響曲を聴いていると
オーケストラと指揮者によっては
アナタがた、アルプスの山歩きした事ないでしょ
と言いたくなる事があるけれど
このオーケストラのメンバーも指揮者も
たぶん、アルプスの山歩きをしている(と思う)
途中のカウベルや、鳥の鳴き声が
かなりリアルで、いや、良いな、こういうローカルな感じ。
私は立って指揮者を見ていたのだが
周囲の、ジモッティではない人たちが
立てば何か見えるだろう、と立ったり座ったりするのが邪魔。
しかも、前の列の女性、時々、自分のIPhoneを出して
録画してますけど?!
(音は出なかったから良いけれど
楽友協会の撮影許可って、8000ユーロくらいするんですが)
アルペン交響曲はご存知の通り
途中でむちゃくちゃ盛り上がった後に
嵐が来て、嵐が終わって
リヒャルト・シュトラウス特有の
最後は盛り下がって終わる、という曲なのだが
真ん中あたりの盛り上がったところで
周囲の客が
あっ、もう終わりかな
という感じで数人立ち上がって指揮者を見ようとしているのが
とっても邪魔!!!(怒)
まだ半分くらいですよ・・・と教えてあげたいけれど
そういうワケにもいかんし。
優秀な金管は、途中でほんの少しへばっていたけれど
ホルンもトランペットもトロンボーンもチューバも
音がクリアで澄んでいて、メロディが滑らかで
輝かしい音色を聴かせてくれて、素晴らしい。
低弦も温かみのある音色。
バイオリンの音色はかなり先鋭的で、時々尖るが
きっとそれは、そういう持ち味。
木管の鳥や、小動物の動きも素晴らしい。
前半に出てくる、舞台裏からのトランペットに
弦が絡むところが、私はと〜っても好きなのだが
(だって、むちゃカッコいいんだもん)
これも立体的に、美しく聴かせてくれて、とても満足。
マゼールの特徴なのかオーケストラなのかわからないけれど
昨日のシベリウスもそうだったが
このオーケストラと指揮者
重量級の作品を大音響で演奏すると
音に重みがあって、力強くて
こけ脅し・・・と言っては失礼だが
聴いている方を、かなり圧倒する。
アルペン交響曲はウィーン・フィルとティーレマンで
ゲネプロをザルツブルクで聴いたのが最後だと思うのだが
ウィーン・フィルの音色より
ずっとローカルで強くて
力任せ(笑)で、熱くて、みんな真剣でノリノリ。
ミュンヒェン・フィルは何回か聴いているけれど
マゼールとの相性は、かなり良いんじゃないか、という印象。
最近はブーレーズもプレートルもキャンセルが続いているし
大御所アバドは亡くなってしまうし
でも、80代の指揮者の活躍は
やはり年輪が見えて、深みがあって面白い。
マエストロ・マゼール、元気でご活躍下さい、と
心から思った私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。