Musikverein Großer Saal 2014年1月31日 19時30分〜21時50分
Bruckner Orchester Linz
指揮 Dennis Russel Davies
ピアノ Sergej Redkin
Igor Stravinsky (1882-1971)
Symphonies d’instruments a vent
Arvo Pärt (*1935)
Silhouette. Hommage à Gustave Eiffel
für Streichorchester und Schlagzeug (2009, ÖEA)
Sinfonie Nr. 4 für Streichorchester, Harfe, Pauken und Schlagzeug
“Los Angeles”
Sergej Rachmaninov (1882-1971)
Konzert für Klavier und Orchester Nr. 3 d-Moll, op. 30
実は行く気はなかったのだが
プログラム見たら、アルヴォ・ペルトの演奏がある。
ジュネス主催のコンサートだったので
比較的安くチケットを入手できたのもラッキー。
(うまくハマればジュネスのコンサートは空き席もかなりある)
ストラヴィンスキーの小曲は
管楽器だけのアンサンブル。
(すみません、舞台見えないので楽器の数とかは不明です)
プログラムによれば、2年前に逝去したドビュッシーにちなんで
作曲されたものだそうだが
ストラヴィンスキー自身が
情熱的な炎とかダイナミックとかではなく
均一的な楽器のグループが
宗教的な短い歌を紡いでいくものである
・・・そうだ(翻訳に責任は持ちません(笑))
でも、これ、面白い。
ストラヴィンスキーらしい土着のロシアのメロディのエレメントが
次から次に現れて有機的に結びついて
その間に、あ、これ、ドビュッシーの音色だ、という
管だけなのに不思議にパステル色の響きがする要素が出てくる。
マジメなレクイエムっぽい曲なのだろうが
ストラヴィンスキーの曲って
何で、いつも
作曲家自身が「ほら、面白いだろ?」と
ニコニコしながら出てくるような気がするんだろう?
(同じような作曲家に、ヨゼフ・ハイドンという人もいる)
アルヴォ・ベルトの最初の曲
ギュスターヴ・エッフェルへのオマージュ「シルエット」は
オーストリア初演となる曲で
言わずと知れたパリのエッフェル塔の建築家にちなむ。
2009年にパリ管弦楽団の首席就任を祝って
同じエストニア出身の指揮者パーヴォ・ヤルヴィのために作曲されたもの。
構成が面白い。
確かに良く聴いていると
様々な要素が組み合わされて
エッフェル塔のような鉄骨構造に似た構成美が聴こえて来る。
続く交響曲4番は
ロサンジェルスという副題がついているが
これは2007年にロサンジェルス交響楽団の委嘱で作曲されたからという理由。
実際は、2013年12月にやっと釈放された
ミハイル・ホドルコフスキーに捧げられた曲。
ホドルコフスキーを始め
ロシアで不当に逮捕・拘束されている囚人たちに
手を差し伸べたかった、とのこと。
この曲、えらく暗くて・・・
最初から最後まで、ずっと短調のメロディが
泣いて、泣いて、また泣いて(特に第2楽章)
アルヴォ・ペルトらしい繊細さや
透明感、無色の響きに欠けるところはないけれど
あまりにメランコリックで、ちょっと辟易。
曲のストーリーはよく見えるのだ。
しかも、ちゃんとバリエーションあって
ドラマティックな盛り上げ方もするのだけれど
最後のカタルシスがなくて
ただただ、ベッタリと泣き崩れている感じ。
アルヴォ・ペルト自身も同席。
もうそろそろ80歳近いお歳だが、まだまだお元気そうで良かった。
後半はラフマニノフのピアノ協奏曲3番。
う〜ん、3番・・・・
どうせなら、有名な2番でドッカンと盛り上げれば良かったのに
前半の短調のペルトに併せてラフマニノフも短調だよ・・・
出てきたピアニストはラフマニノフと同じセルゲイという名前で
1991年生まれの今年23歳。
ヒョロっと背が高くて、腕が長くて痩せていて
ちょっと頼りない感じのロシア人ピアニストだが
とっても、とっても、と〜〜〜ってもカワイイ。
(すみません、私、メガネに弱いんです)
写真はマリイインスキーの公式サイトから拝借。
プログラムに記載されていたのと同じ写真です。
これが、ちょっと楽しくて・・・
この若いピアニストのテクニックはスゴイ。
指は長いし、腕は長いし、身体が柔らかくて
オクターブの連打の見事な速度に
どんな高度な技術も楽々と弾きこなす。
体重なさそうだけど指の力はスゴイ。
力強く弾こうとする余り
ペダルの多用が目立って
一部の音色にほんの少しの濁りがあったのは残念だが。
子供の頃から、ピアノ好き、ホントに好き、とっても好き
・・・というタイプだったのが、よく見える。
このピアニストのセンスの良さは
アンコールで爆発した。
超絶技巧ながら、ジャズっぽい洒落た曲を
サラッと弾いて、見事。
う〜ん、実に充実した楽しいコンサートの時間だった。
超有名どころのオーケストラなら
どんな曲でも、優等生で演奏してしまうので
プログラムの妙とかの魅力はあまりないのだが
ブルックナー・オーケストラ、やるじゃん。
指揮のデニス・ラッセル・デイヴィスの指揮振りも
とても明確で気持ちが良くて
これぞ、音楽の楽しみ ♡
来週は学校の冬休みで
コンサートも一斉にお休みになってしまうが
その前の最後のコンサートが
こんなに楽しい時間で、とても嬉しかった私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。
ウィーンの夜はマイナス2℃。
やっぱり寒い。
でも、それよりも何よりも
私はウィーンに帰ってから、まだ太陽を全然見てません(涙)