チェネレントラ ウィーン室内歌劇場

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    Kammeroper 2013年11月29日 19時〜21時40分


    LA CENERENTOLA

    Dramma giocoso in zwei Akten (1817)

    Musik von Giachino Rossini

    Libretto von Jacopo Ferretti

    Fassung von Jasmin Solfaghari & Konstantin Chudovsky


    指揮 Konstantin Chudovsky

    演出・テキスト Jasmin Solfaghari

    舞台 Mark Gläser

    衣装 Petra Reinhardt

    照明 Franz Tscheck


    アンジェリーナ Gaia Petrone

    ドン・ラミーロ Andrew Owens

    ダンディーニ Ben Conner

    ドン・マグニフィコとアリドーロ(2役) Igor Bakan

    ドン・マグニフィコとアリドーロ(声) Giulio Mastrototaro

    クロリンダ Gan-ya Ben-gur Akselrod

    ティスベ Natalia Kawałek-Plewniak

    月の精(語り手) Alexander Waechter


    オーケストラ Wiener Kammerorchester


    ウィーン劇場と一緒になった

    ウィーン室内歌劇場の新プロダクションは

    ロッシーニのラ・チェレネントラ。


    イタリア・オペラは避けているが

    ウィーン室内歌劇場のプロダクションは斬新だし

    チケットもそんなに高くない上

    劇場が小さいので

    とても雰囲気が親密なので

    ついつい1枚買ってしまった。


    さて、このプロダクション

    9歳からの子供向け、という事で

    ラ・チェレネントラなのだが、かなり中身は変えてある。


    月の精と称するオジサンが現れて

    ストーリーを解説?して行くので

    冗長なレチタティーヴォが省略されて

    とても楽しい構成になっている。


    うっふっふ、とってもある意味、コミカルなのだ。

    マンガを見ているような

    あるいは寄席に来ているような、そんな感じ。

    崇高なオペラ芸術、というよりは

    みんなで楽しもうよ、という和気あいあいの感じ。


    子供にも適したプロダクションとは言え

    やっぱり来ているのは、年配ばっかり(笑)


    始まる前に、劇場支配人が登場。


    「突然寒くなって、お風邪を召した方もいらっしゃると思います。

     私どもの歌手も、風邪にやられました。

     しかしながら、特殊な演技ですので

     歌手はそのまま舞台で演技をして

     ドン・マニフィコとアリドーロの2役は

     横に座った代理の歌手が歌います」


    出たっ!!! 口パク。


    今年2月のウィーン劇場の時のテレマコでも口パクだったが

    あれは演技助手がやったので、口は動いていなかった。


    今回は本当に歌手が口パクなので

    ちゃんと、口も歌のセリフ通りに動いていて

    ほとんど違和感がない(笑)


    急に代役に立ったイタリア人のバリトン

    グイリオ・マストロトタロ(凄い名前だ(笑))は

    ピッタリとタイミングを合わせて、素晴らしい歌唱だった。


    歌手は全員最高である(断言)

    というより、この劇場、箱が小さいので

    あんまり声量のあり過ぎる歌手ではダメなのだ。

    (それでも、みんな、かなり声量あって、張り上げるとうるさい時も(爆))


    タイトル・ロールのアンジェリーナが素晴らしい。

    アジリタ完璧、小柄だけど顔立ちがはっきりした美人で

    演技が、またむちゃくちゃコミカルで

    (ヤケになって靴を磨くところの速さがスゴイのである)

    身体の動きが美しいし、魅力的で見ていて飽きない。

    ものすご〜く、キュートである ♡♡


    ドン・ラミーロ役のテノールも秀抜。

    ちょっと鼻にかかったような声が気になるけれど

    高音は澄んでいて伸びるし、アジリタも完璧だし

    いやいや、参りました。


    ダンディーニのバリトンは

    最初、ちょっとアジリタが遅れ気味だったものの

    途中から調子を取り戻して、この人も聴かせる。


    語り手が、面白く話しつつ

    レチタティーヴォのない分

    時々、歌詞のないチェンバロが入るのだが


    ・・・チェンバロ、遊んでるけど良いんか?!

    (だって、何故、そこにワーグナーが?(爆笑))


    小さな舞台だが、舞台装置にも工夫がしてあって

    小物で魅せるし、簡素な舞台ながらそれぞれのシーンで変化がある。


    もちろん、小さな劇場なので

    横手から客席への歌手の乱入もある(笑)

    これがまた、客席と舞台をしっかり結んでくれて

    良い感じなのだ。小劇場の強みだろう。


    しかしこのプロダクション、本当に楽しいぞ。

    9歳以上の子供だったら、すごく喜ぶような気がする。

    いや、大人でも喜ぶ。

    私も、このプロダクションだったら

    もう1回観に行っても良い(カレンダーが合わないよ〜(涙))


    ただ、注意すべきは

    この劇場のクロークは小さい上に

    1人しかいないので

    コートを預けるだけで20分(!!!!)

    当然、遅れて開始(プログラムによれば2時間半の上演時間のはず)

    トイレの数も、ものすごく少ない。


    よって、席を選ぶ時に

    真ん中あたりの出入りしにくいところを買ってしまうと

    トイレも行けず、終演後のコートを出すのにも

    ものすごい時間がかかる事が予想される。


    でも、ぜひウィーン在住の方で

    ドイツ語わかる方(語りがかなり面白い)は

    行ってみて下さい。お勧めです!!!


    有名な国立オペラ座とかの大きな箱ではなくて

    こういう、小さな箱でやるオペラって

    本当に何かこう、貴族が集まって

    適当にしっちゃかめっちゃかやってます、という伝統を継ぐようで

    これこそが、オペラの楽しみじゃないかなぁ、と

    つくづく思う私に

    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    写真でもあったらアップするかなぁ、と

    サイトを見ていて

    ついつい、また

    ウィーン劇場のチケットを買ってしまったのは私です(爆)


    国立バレエ 「マノン」 6回目

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      Wiener Staatsballett 2013年11月28日 19時30分〜22時15分


      MANON

      Ballet in drei Akten

      振付 Kenneth MacMilan

      音楽 Jules Massenet

      舞台と衣装 Peter Farmer

      指揮 Peter Ernst Lassen


      マノン Olga Esina

      デグリュー Vladimir Shishov

      レスコー MIhail Sosnovschi

      ムッシュ G.M. Thomas Mayerhofer

      レスコーの愛人 Alice Firenze *

      管理人 Gabor Oberegger

      マダム Dagmar Kronberger

      乞食のボス Marcin Dempc

      娼婦たち Maria Alati, Eszter Ledán, Reina Sawai, Rui Tamai, Prisca Zeisel

      若い男性たち Leonardo Basílio, Marcin Dempc, Alexandru Tcacenco, Dumitru Taran

      年寄り Christoph Wenzel

      居酒屋の女主人 Gerit Schwenk

      召使い Eva Polacek


      オルガのマノン!!!!



      マノンのたびに喚いているような感じがするが

      先シーズンのマノンも、オルガは踊らなかったし

      今回も、この回と、12月(私は行けない(涙))に1回だけ。


      バレエ漫画から、そのまま舞台に現れたとしか思えない

      オルガの美しさというのは

      ちょっとこの世から離れているというか


      あんなに美しい人が、本当に存在しているとは・・・


      バレエ・ダンサーとして生まれついたとしか思えない細さと

      しなやかで強くて、自己主張しない筋肉に

      完璧な身体のプロポーション。

      維持していくのも大変だとは思うけれど

      生まれついた身体的な利点がなければ

      あそこまで完璧な美はあり得ない。


      無垢な娘として舞台に登場する最初のシーン。

      いやもう、出て来た時から

      悲劇のオーラをガンガン纏って


      ヒース、見て、私のこの美しい眉間の縦じわを

      (青池保子「イブの息子たち」 傑作ですっ)


      ・・・いかん、話がズレた。


      私の話もズレたが

      オーケストラも派手にズレていた前半。

      転びそうになりながら

      おっとっとっと〜 というドキドキ場面が多く


      その中で、コンサート・マスターのシュトイデさんのソロは

      もう、これも完璧。

      オルガのダンスと相まって

      ここら辺は、視覚的にも聴覚的にも、最高の贅沢。


      ウラジミールのデグリューのソロ。

      うわ、ちょっと、これ、タイヘンというか

      長い足が美しく伸びて、大きな空間を切り取り

      素晴らしいのだが、ちょっと不安定で・・・


      だって、オーケストラのテンポがむちゃ鈍いのだ。

      よくぞあのテンポで、あの求愛のダンスを踊ったものだ・・・(感心)


      縦じわの世界苦を背負ったオルガのマノンは

      デグリューとの愛のパ・ドゥ・ドゥも素敵だが


      その後、レスコーがムッシュを連れてデグリュー宅に入ってくる時から

      俄然、この「箱入り娘」は変貌する。


      ムッシュとレスコーとのパ・ドゥ・トロワで

      思わず鼻血ドバッ・・・(比喩です)

      あんな悩ましいカワイイ顔して

      あの色気は何なんです?(デグリューには色気なかったくせに(笑))


      ムッシュの持って来た、ド派手なコートは

      色々なマノンを見てきたけれど


      バッチリ着こなせたのはオルガだけ。


      (かなりド派手なコートなので

       他のダンサーだと、ちょっと滑稽になったり

       コートだけが目立ったりするのだ)


      う〜ん、オルガさま、

      貴女ほど「贅沢」が似合って

      ゴージャスな雰囲気を自然に厭味なく纏える人はいません。


      娼婦宿にムッシュと現れるマノンのシーンも

      何も無理しなくても

      豪華な貴族の愛人というのが

      ピッタリ合っている。


      デグリューの前で

      男から男に渡されていく悩ましいシーン。


      鼻血ドバッ (比喩です)


      あんなに「豪華」が似合う女性は

      デグリューなんて、最初から歯牙にもかけなきゃ良いんです(こらっ!)


      でも、デグリューのウラジミールが

      何か、ものすごく必死なんですけど(笑)


      背が高くてハンサムで

      まぁ、若い頃に比べれば、ちょっと濃いめの顔になっては来たけれど

      王子さまとかが得意だったウラジミールが

      プライドも何もかも捨てて

      ともかくマノンに追いすがる様子って


      何か、本気がかなり入ってません?(邪推)


      最後の貧乏臭くて惨めな流刑地のシーンだが

      あれだけ汚いカッコして、ばばっちくメイクして

      それでも、あんなに美しいマノンって・・・驚愕。


      デグリューが本気になってるし

      最後のパ・ドゥ・ドゥのマノンとデグリューの凄まじさって

      ちょっと筆舌に尽くしがたい。


      オルガのマノンは、あくまでも豪華で

      罪人になって、汚くなっても

      それでも、もともと豪華が似合う女だと言うのがよくわかる。


      それと同時に

      どのシーンでも、それなりのキャラクターになってしまう。

      天性の娼婦をやったマリアや

      女らしくて流されて戸惑うイリーナのマノンと違って

      オルガには、単純な一貫したキャラクターがない。


      その局面で、マノンはマノンでありながら

      理由など何もなく、自然に豹変して行くのである。

      つかみ所のない複雑な女性としてのマノンは

      どのシーンでも、実に魅力的で

      これこそ、正に魔性の女かもしれない。


      ミハイルのレスコーの酔っ払った場面もコミカルで楽しい。

      だって、ミハイルの表情って、スゴイんだもん。

      とうとう、完全に開き直ったな。たいしたもんだ。


      ムッシュ役はカミーユの方が細かい部分の演技で勝ち。

      乞食のボスは、デイヴィッドの方が自然で明るかった。

      マルシンだと、頑張ってます、というのが、まだ見える。


      最初、ギャッと心の中で悲鳴を上げたオーケストラは

      途中からアンサンブルのズレも直って

      ちょっとやけくそ気味ではあったが

      シュトイデさんの見事なバイオリン・ソロに加え

      途中のチェロのソロの美しさ

      澄んだピッコロとフルートの音色

      オーボエの素晴らしいソロなども楽しませてもらった。

      (拍手終わるか終わらないうちに

       コソコソとオーケストラ・ピットから退場して行くプレイヤー続々。

       長かったですしね(笑))


      12月のオルガのマノンは行けないので

      今シーズンのマノンはこれで終わり。

      次のバレエは12月のクルミ割り人形。


      モダン・バレエも好きだけど

      やっぱりストーリーのあるバレエって

      各ダンサーのキャラクター作りも違うし

      妄想も思い切り爆発させられるので楽しいわ

      ・・・と思っている

      睡眠不足で風邪が治らない私に

      どうぞ1クリックをお恵み下さい。







      ウィーン交響楽団 + フィリップ・ヨルダン

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        Musikverein Großer Saal  2013年11月27日 19時30分〜21時20分


        Wiener Symphoniker

        指揮 Philippe Jordan

        バス Robert Holl


        Richard Wagner (1813-1883)

           Die Meistersinger von Nürnberg

        Vorspiel zum ersten Aufzug

        Fliedermonolog des Hans Sachs

        Vorspiel zum dritten Aufzug

        Wahnmonolog des Hans Sachs

        Schlussansprache des Hans Sachs

        Robert Schumann (1810-1856)

           Symphonie Nr. 2 C-Dur, op. 61


        今シーズンからウィーン交響楽団の

        首席指揮者になったフィリップ・ヨルダンの

        今シーズン最初のコンサート。


        © Johannes Ifkovits


        なのに、私の風邪は治らない。

        気管支に痰が絡んでいるし(汚いな・・・)

        鼻炎起こしてるし

        そのせいで、ショックな事に


        耳が聴こえ難い!!!(涙)


        楽友協会のコンサート前のザワザワの音量が

        いつもより少ないのだ。あまり響かないし・・・

        鼓膜が張り付いちゃったのか(まさか)


        最初がワーグナーなのに

        こんなに音響が聴こえ難いなんて

        オーケストラに失礼だろう(涙)


        案の定、本来は豊かで派手派手しいはずの

        ワーグナーのニュールンベルクのマイスター・ジンガー序曲が

        オペラの序曲というよりは

        しっかりとコントラプンクトの様式が見える

        あっさりした交響詩に聴こえてくる・・・


        大音響で、そら見たか、よく聴けオレ様の音楽を!という

        ワーグナーっぽいイヤミったらしい魅力的な部分が聴こえて来なくて

        いや、この曲って

        よく聴くと、こんなに複雑な楽器のメロディ構成なのか


           って、そうやって感心する曲じゃないはずだ(たぶん)


        ローベルト・ホルのバスは美声である。

        それに、そっと寄り添う繊細なオーケストラの音。


           繊細??? 

             おかしい、やっぱり、私の耳がヘン。


        何か、世にも不思議なワーグナーを聴いた気分。

        いや、ワーグナーを避けて通っている私だから

        何かの誤解が入っているかもしれないけれど

        ワグネリアンには、かなり新鮮に響いたんじゃないだろうか。


        後半のシューマン、交響曲2番も

        これだけ耳に障害があると、あまり聴こえて来ないかも(涙)


        一応、聴こえては来る。

        しかも、最初のホルンの2回繰り返されたミスまで(爆)

        (cからgへのジャンプで、2回ともgを外すって、絶句)


        その分、それに続く木管がむちゃくちゃ良い音を出していたが(笑)

        金管のミスは俺たちでカバーってか?(爆笑)


        ホルンの調子が悪かったのは最初だけで

        中間部のホルンのアンサンブルは美しく聴こえてきたから許す。

        耳が聴こえない状態のくせに偉そうだが。


        しかし、このシューマンも、何と言うか

        緻密でアッサリしていて

        シューマンというよりはシューベルト的。


        各部分のメロディをクリアに刻む指揮者のタイプは

        ファビオ・ルイージもそうだったが

        ウィーン交響楽団って、その手の指揮者が好きなんだろうか?


        美しいというよりは、精密で正確。

        ケレン味がないので、素直に響いて

        ウィーン交響楽団の持ち味である明るさが出て来て

        不思議なシューマンに聴こえてくる。


        どうせ本日は耳がおかしいので

        どう聴こえてきても、もう驚かないが(開き直り)


        以前のヨルダンのベートーベンは

        快速テンポでガンガン押して、すごく新鮮だったが


        今回のシューマンはテンポに無理がない。

        というより、第3楽章なんか、遅めのテンポを取ったので

        (ここらへん、管楽器がよくあの長いフレーズについていったと感心)

        妙なる調べが天国のように、いつまでも続く感じが心に響く。

        イメージとして、シューベルトのハ長調交響曲なのだ(何の連想?!)


        耳が遠い状態なので

        大音響も大音響に感じられなかったからかもしれないが

        なんか、すごく素直に音楽的にアッサリ終わりました・・・という感じ。


        しかし、フィリップ・ヨルダン、面白いぞ。

        指揮者としては、かなり長身のハンサム男で

        悩んだような、怒っているような表情で振っていて


        時々、長い手足を縮めるところがカワイイ(こらこら)


        指揮中はほとんどニコッともしないのだが

        ほんの時たま見せる笑顔が、珍しいだけに魅力的。


        ずっとニコニコしながら振っている

        アンドリス・ネルソンスとか(ぶったれた顔もするが(笑))

        オロスコ・エストラーダとかに比べて

        異様にマジメなスイス人・・・というイメージはあるけれど


        これから、ウィーン交響楽団を指揮する機会も増えるだろうし

        色々な意味で天才的な指揮者である事は間違いないので

        これから、ウィーン交響楽団の音色が

        どう変わっていくか(あるいは全く変わらないか(爆))

        お手並み拝見、ふっふっふ。


        風邪は医者に行って

        抗生物質とかもらって飲めば、すぐに良くなるだろうと思うのだが

        あんまり強い薬は飲みたくないので

        ともかく、頑張って咳止めのお茶を大量に取って

        何とか耳の調子を週末までに治したい


        ・・・と切望中の私に

        どうぞ1クリックをお恵み下さい。



        アイコンに切実さを籠めてはいるけれど

        コンサートの後、また仕事・・・という生活に変わりはない。

        良いんですけどね、もう、ふん。

        もちろん、記事のアップ時間は変えてあります。



        Aevos Trio

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          Musikverein Gläserner Saal/Magna Auditorium 2013年11月26日 20時〜21時45分


          Aevos Trio

          ピアノ Yuumi Yamaguchi

          バイオリン Katharina Engelbrecht

          チェロ Bas Jongen


          Joseph Haydn (1732-1809)

           Trio für Klavier, Violine und Violoncello Es-Dur, Hob.XV:10

          Johannes Brahms (1833-1897)

           Trio für Klavier, Violine und Violoncello Nr.3 c-Moll, op. 101

          Dmitrij Schostakowitch (1906-1975)

           Trio für Klavier, Violine und Violoncello Nr. 1 c-Moll, op. 8

          Arno Badadjanian (1921-1983)

           Trio für Klavier, Violine und Violoncello fis-Moll


          話せば複雑だが

          以前のブログ友の関係で

          時々、コンサートでご一緒した山口友由実さんから

          今度、楽友協会でコンサートしますと言うメール。


          楽友協会の地下ホールで行われている

          Young.Musicians のチクルスで選ばれたそうだ。


          ブログ友としょうもない話をしている時に

          (喋るのは、いつも厚かましいオバサンの私だけ(笑))

          いつも横でニコニコしていた友由美さんは

          ピアニストでありながら

          様々なコンサートを聴きに足を運んでいる。


          練習ばかりしていて

          コンサートなどに絶対来ないタイプが多い音楽分野だけに

          すごいなぁ・・・といつも感心。


          さて、メールでお誘いが来た、という事は

          これは、かなりの自信があるな(笑)


          コンサートめちゃくちゃ行き巻くって

          ヘンな水準のモノだったら

          (というより、自分の好みに合わなかったら)

          感想メモと称して、とことんコキ下ろす

          私の性分は知っている筈だ(わはは)


          風邪は治らないので

          オフィスの机廻りは薬局と化し

          (アスピリン、咳止めドロップ、頭痛薬、鼻のスプレー、咳止めのお茶)

          しかも、全然仕事が終わらない状態で楽友協会の地下に駆け込む。


          まずはプログラム構成がよろしい(・・ってエラそうに(自爆))

          ハイドンからブラームス

          後半はショスタコーヴィッチに続いて

          アルメニアの作曲家 アルノ・ババジャニアンを持って来た。


          ハイドンからブラームスに入ったところで

          まずはビックリ。


          このトリオ、音楽の歴史的様式美をしっかり把握してる!!

          ハイドンのバロックの音と

          ブラームスのロマン派の音が、きちんと違うのだ。


          技術的な練習をしているだけではなくて

          ちゃんと音楽的な基礎知識を持って

          しかも、数多くのコンサートで他の演奏家たちを

          きちんと聴いて、理解している、というのは

          こういうところに自然に出てくるのか・・・スゴイ。


          ハイドンらしい、素朴な手触りと

          ブラームスの激しい、でも厚くて柔らかい手触りが素晴らしい。


          後半のショスタコーヴィッチで

          何か、ちょっと、心の中で涙ウルウルになってきた。


          作品番号8番という初期作品で

          ものすご〜く優しいメロディの部分と

          叩き付けるような激しさが

          息もつかせずに交互に繰り返される。


          後期には、はっきりと出てくる

          メランコリックな部分と、やるせなさの焦燥が

          既に作品番号8番で、こんなに色濃く現れているなんて。


          しかもこのトリオ、本当に巧いのだ。


          あのね、言ったら自慢になるけど

          ワタクシの耳は、ちょっとでもミスすると、だいたい拾ってしまうし

          弦楽器がほんの少し上がったり下がったり

          ビブラートで誤摩化しても、聴こえちゃうの。


          オーケストラとかだったら

          多少のゴマカシは大丈夫だが

          各楽器がソロになるトリオでは

          全く誤摩化しようがないのである。


          このトリオ、技術的なミスが全くない。


          バイオリンの音色に色彩と変化する手触りがあって

          高音は神経に障らず美しく延びるし


          ピアノのタッチはこれ以上ないほど美しい。

          柔らかな部分を弾いた人とは思えない激しさで

          叩き付けるような情熱がほとばしってくるし


          チェロはハイドンあたりでは、かなりおとなしかったが

          ブラームスやショスタコーヴィッチになると

          俄然、自己主張が見えてきて

          この音色が、また、柔らかで激しくてハートを直撃する。


          しかも3人のタイミングがピタッと揃って

          何か、この3人ってテレパシーの持ち主か?!


          最後のアルノ・ババジャニアンの2楽章の

          あまりにあまりに美しいメロディの部分で

          いかん・・・・涙が出てきた。


          続く最終楽章のアレグロ・ヴィヴァーチェは

          アルメニアン・ダンスのモチーフの激しい演奏が続く。

          何だろ、これ

          ものすごく心の中にグサグサ入り込んでくる。

          若い情熱が

          ババジャニアンの持つアルメニアへの郷愁と

          その激しい気質と血に共鳴しているのかもしれない。


          いかん・・・鼻水まで出てきた。


          割に斜に構えて、冷静に音楽を聴いている筈の私を

          よくも泣かせたわね?!


          治らない風邪とか

          睡眠不足とか

          溜まっている仕事や人間関係への不満とか

          更年期(とっくに終わってるか?!)とか


          色々な理由はくっつけられるだろうが


          若い音楽家たちが

          自分たちの創造性を活かすプログラムを作り

          その中で、協力しあい

          共鳴し合いながら

          人間の心に響く演奏を

          真摯に届けてくれて

          ものすごく密度の高い

          素晴らしい音楽の瞬間を提供してくれた、というのが

          一番の感激だったかもしれない。


          (裏を返せば、プロがサラリーマン的な演奏を聴かせるのと

           対極的な位置にある演奏とも言える)


          隣に座っていた年配の女性は

          区の公民館で演奏を聴いて

          あまりに素晴らしいのでコンタクトしたら

          今回のコンサートへのお誘いを受けた、との事。

          ファンに対する気遣いという意味でも

          山口友由美さんのお人柄の良さを物語るエピソードだと思った。


          お人柄は絶対に良いけれど

          演奏となると、ショスタコーヴィッチやババジャニアンで見せた

          あの激しさも、彼女の芸術性の一部だろうし

          愛情深く、果てしない優しさを持って奏でられたメロディも

          彼女の芸術性の一部だ。


          バイオリンも巧いし

          チェロ弾き君はまだ21歳の若さ。


          これからどんどん伸びていくトリオだと思うけれど

          どんなに売れても

          サラリーマンにならず(これ、大事)

          今日のように、真摯に観客に向き合って欲しいと


          心から成功を祝う私に

          どうぞ1クリックをお恵み下さい。




          フォルクス・オーパー バレエ「メルヘンの世界」2回目

          0

            Volksoper 2013年11月24日 18時〜20時15分


            Märchenwelt Ballett


            Das hässliche Entlein 醜いアヒルの子

            振付 Andrey Kaydanovskiy

            音楽 Modest Mussorgski “Bilder einer Ausstellung”

                    orchestriert von Maurice Ravel

            ドラマツルギー Richard Schmetterer

            舞台と衣装 Karoline Hogl

            照明 Vasil Lisichov

            ビデオ Balázs Delbó


            醜いアヒルの子 Felipe Vieira

            アヒルのお母さん Una Zubović

            七面鳥 Patrik Hullmann

            2羽のカモ Michal Beklomdžev, Keisuke Nejime

            鶏 László Benedek

            猫 Tainá Ferreira Luiz

            老女 Martin Winter

            2羽のヒヨコ Veronika Henschová, Mila Schmidt


            Tausendeine Nacht 千夜一夜物語

            振付 Vesna Orlic

            音楽 Nikolai Rimski-Korsakow “Scheherazade” op. 35

            テキスト Nicolaus Hagg

            ドラマツルギー Monica Rusu

            舞台と衣装 Alexandra Burgstaller

            照明 Wolfgang Könnyü

            ビデオ Balázs Delbó


            語り手(魔法の精) Boris Eder

            プリンセス Suzanne Kertész

            アラジン Gleb Shilov

            宰相 Oleksandr Maslyannikov

            スルタン Thomas Mayerhofer

            友人たち Ilinca Gribincea, Natalie Salazar


            指揮 Guido Mancusi

            バイオリン・ソロ Bettina Gradinger


            間違って同じ記事をダブルでアップしたワケではございません(笑)

            昨日と一つだけ違うところがあるけれど

            どこだかわかる?(いじわる)


            バイオリン・ソロが変わっただけで

            後のキャストは全員同じ。

            2日続けての公演、オーケストラもバレエ・ダンサーもお疲れさま。


            先週末から風邪ひいてしまい

            最初は喉が痛くて

            その後、鼻に来て

            それから気管支に入って来ている。


            日本の漢方と似たようなもので

            こちらは、こういう時にはハーブティ。

            薬局で咳止めのハーブティを買ってきて

            すごい量を毎日飲んでいるけれど

            まぁ、風邪だけは、ハーブティ飲もうが飲むまいが

            身体の抵抗力がウイルスをやっつけるまで待たないと無駄。


            そんな時に2回続けて同じ公演はキツイかなぁ、とは思ったが

            フォルクス・オーパー、ウチから近いし

            まぁ、良いか・・・(こらこら)


            昨日より子供の数は減って

            空席もチラチラあるし

            結構、普通の大人たちも観に来ている。


            もちろん、上演中の子供の話し声はあちこちから聞こえてくる。

            音楽が始まったら、喋っちゃダメよ、という躾はしないんかいっ!

            ・・・とか目くじら立てても仕方ない(笑)


            さて、本日のナンバー・ワン・ビックリは

            フォルクス・オーパーのオーケストラである!!!!


            昨日は「頑張りました。ひたすら頑張ったけどちょっと」

            というところが数カ所あったのに

            本日の演奏は、ほとんど完璧!!!


            ムソルグスキーの「展覧会の絵」

            最初のプロムナードの演奏が見事で

            (周囲の小声でのお喋りは続いていたけれど)

            トランペットのソロに続くトゥッティ部分も

            音楽的に丸くなって色彩が溢れてきた


            これなら、コンサートとして聴いても充分に聴けるレベル(断言)


            いや、たいしたものだ。見事なものだ。

            やっぱりプロって凄い。


            この展覧会の絵って

            日本の学校で、音楽鑑賞の時に必ず出てくる

            (と思う。私の学校時代にはあった)


            で、この音楽で、ムソルグスキーが取り上げた絵柄が浮かばないと

            音楽の成績が落ちたりなんかするのだが


            このバレエでの音楽の使い方って

            もともとの絵と全然関係ないぞ。


            でも、それが色々な場面にピッタリ合っていて

            リモージュの広場の鶏のエサ漁りなんか

            もう、これ観たら、リモージュの広場なんか思い浮かばず

            鶏とヒヨコがエサを漁っているシーンしか思い浮かばない(爆)


            後半のシェヘラザード。

            楽しいのだが

            2回目だと、ちょっと退屈・・・(すみません)

            ヘンにクラシックの要素が多いもので

            確かにアラジンのソロとか観るべきハイライトはあるのだけれど。


            音楽もステキだし

            風邪で体力が落ちている時に

            日中にオーガナイザーとのミーティングで

            雨の中を外に出ていたりしたし


            すみません、ぐっすり寝てしまいました。ごめんなさい。


            まぁ、この演目、2回観たらそれで充分かなぁ。

            追い掛けしたいのは

            「青髯公の秘密」とか「真夏の夜の夢」のような

            やっぱり、ちょっと大人向けのモダン、というのは

            あくまでも私の好みですが。


            シェヘラザードもオーケストラがとても良かった。

            ああいう、ちょっとポピュラーかかった感じの曲って

            フォルクス・オーパー・オーケストラは巧い。

            もともと、オペレッタからミュージカルまで

            レパートリー範囲は広いので

            やろうとすれば、何でも演奏しちゃう

            職人気質のオーケストラだし。


            風邪の時に大量消費するモノの

            素晴らしいクリップを見つけたので張っておく

            ・・・と話題を変える私に

            どうぞ1クリックをお恵み下さい。




            日本の技術ってスゴイよね?!




            フォルクス・オーパー バレエ「メルヘンの世界」

            0

              Volksoper 2013年11月23日 18時〜20時15分


              Märchenwelt Ballett


              Das hässliche Entlein 醜いアヒルの子

              振付 Andrey Kaydanovskiy

              音楽 Modest Mussorgski “Bilder einer Ausstellung”

                      orchestriert von Maurice Ravel

              ドラマツルギー Richard Schmetterer

              舞台と衣装 Karoline Hogl

              照明 Vasil Lisichov

              ビデオ Balázs Delbó


              醜いアヒルの子 Felipe Vieira

              アヒルのお母さん Una Zubović

              七面鳥 Patrik Hullmann

              2羽のカモ Michal Beklomdžev, Keisuke Nejime

              鶏 László Benedek

              猫 Tainá Ferreira Luiz

              老女 Martin Winter

              2羽のヒヨコ Veronika Henschová, Mila Schmidt


              Tausendeine Nacht 千夜一夜物語

              振付 Vesna Orlic

              音楽 Nikolai Rimski-Korsakow “Scheherazade” op. 35

              テキスト Nicolaus Hagg

              ドラマツルギー Monica Rusu

              舞台と衣装 Alexandra Burgstaller

              照明 Wolfgang Könnyü

              ビデオ Balázs Delbó


              語り手(魔法の精) Boris Eder

              プリンセス Suzanne Kertész

              アラジン Gleb Shilov

              宰相 Oleksandr Maslyannikov

              スルタン Thomas Mayerhofer

              友人たち Ilinca Gribincea, Natalie Salazar


              指揮 Guido Mancusi

              バイオリン・ソロ Anne Harvey-Nagl


              今回が5回目の上演だが

              ほとんどが役のデビューのキャストによる

              フォルクス・オーパーの新プロダクション

              バレエ・メルヘンの世界


              予想はついていたけれど

              フォルクス・オーパーが幼稚園と小学校に化している。

              子供のチケットは均一料金で安いので

              それに付いてくる大人の予算によって

              平土間の高い席から天井桟敷まで、全体に散らばっている。


              今回は高い席を買って(うっふっふ)

              ギャラリーだが1列目でしっかり鑑賞。


              最初は現役ダンサーのカイダノフスキーによる

              醜いアヒルの子。


              これですぐに

              真澄、一緒に踊ろうぜ

              レオン、でもリリアナとセルゲイエフ先生が

              ・・・という連想をした人は、かなりのオタクです(忘れて下さい(爆))


              オーケストラ・ボックスが満員で

              いったい、モダン・ダンスで何やるつもり?と思ったら

              しっかりムソルグスキーの「展覧会の絵」


              各ソロパート、むちゃくちゃ頑張っている。

              (頑張っている頑張りがしっかり聴こえてくる(笑))

              フォルクス・オーパーのオーケストラには

              ちょっと酷かな、と思わないでもなかったが

              多少ヨレヨレになりそうになりながらも

              頑張って踏ん張ったオーケストラ、よくやった。


              真澄とレオンとリリアナとは全く関係なく

              筋立ても違っているけれど


              アヒルのお母さんの焦り方がカワイイし

              生まれたばかりのヒヨコが

              本当に振付の妙でヒヨコに見える。


              ヒヨコを連れての公園デビュー(笑)のシーンでは

              鶏のお父さんたちも居るけれど、これも鶏ってすぐわかる。


              カモのシーンも気に入った。

              衣装と振付で、本当に野鴨に見えるのである。

              もちろん、その後の猫も七面鳥も、結構リアル。


              醜いアヒルの子が

              アヒルの家族から追われ

              野鴨と一緒に行動しようとして野鴨は漁師の的になって死に

              猫や七面鳥にも迷惑をかけて

              自己嫌悪に陥るところのソロが、身につまされる(かわいそうだ!)


              白鳥一族が暴走族というか、不良というか

              あまり共感持てない、パッパラパーの連中だったのは意外だが。


              後半は、千夜一夜のシェヘラザードを

              アラジンと魔法のランプの物語をアレンジして

              大ヒット作、カルミナ・ブラーナを振り付けたオルリックの作品。


              最初にランプの精が出てきて、お話。

              メイクがスゴイけれど、表情豊かで面白いコミカルな役。

              愛し合っているアラジンとプリンセスのシーンから

              かなりクラシックの要素が入って

              舞台がキレイ。


              衣装も照明も舞台装置も

              おとぎ話ではあるけれど、とても美しくて

              大人にも子供にも見やすい。


              ランプの精は途中で平土間に乱入(笑)

              天井桟敷だけど1列目だったので身を乗り出すと見られる。

              平土間の子供たちは大喜び。


              プリンセス役のバレエ・ダンサー

              美人で、しかも、ヘンに痩せ過ぎていない感じで

              女性的な官能があって、すごく良い感じ。


              スルタン役は、むちゃくちゃ背が高くて、舞台映えする。

              おおおおっ、と圧倒されていたら

              国立バレエ団のベテラン・キャラクター・ダンサーだった。

              出てくるだけで、すごい存在感。やっぱり違うなぁ。


              オーケストラは、またもやフル・オーケストラで頑張っている。

              時々、よれっ、となりそうになるし

              ズルッとずれそうになるけれど

              シェヘラザードのソロは素晴らしかったし

              みんな、一生懸命、頑張った。


              大人も子供も夢中になってしまい

              アラジンとプリンセスがハッピー・エンドになると

              オーケストラ、まだ妙なるバイオリン・ソロと演奏しているのに

              大拍手が出てしまって

              オーケストラの音なんか、全然聴こえて来ない。


              オーケストラの皆さま、演奏しにくかったでしょうね。

              でも、それだけ、子供たちが夢中になっていた、という証拠。


              モダン好きも、クラシック・ファンも

              全部楽しめる公演になっていて

              周囲の子供たちが音楽始まっても喋っていたり

              音楽の途中で拍手が出てしまうのさえ気にしなければ

              楽しく観るにはお勧め。


              ついでに、これから檜舞台に誰がのし上がってくるか

              ・・・なんて、若いダンサーの品定めもできます(笑)


              というイヤな観客の私に

              どうぞ1クリックをお恵み下さい。




              イドメネオ ウィーン劇場

              0

                Theater an der Wien 2013年11月22日 19時〜22時20分


                IDOMENEO

                Dramma per musica in drei Akten (1781)

                Musik von Wolfgang Amadeus Mozart

                Libretto von Gianbattista Varesco


                指揮 René Jacobs

                演出 Damiano Michieletto

                舞台 Paolo Fantin

                衣装 Carla Teti

                照明 Alessandro Careletti

                ビデオ Rocafilm


                イドメネオ Richard Croft

                イダマンテ Gaëlle Arquez

                イリア Sophie Karthäuser

                エレットラ Marlis Petersen

                アルバーチェ Julien Behr

                海神の宮殿の神官 Mirko Guardagnini

                海神の声 Luca Tittoto


                Freiburger Barockorchester

                Arnold Schoenberg Chor


                問題は睡眠不足に加えて

                もともと、モーツァルトの曲を聴くと

                反射的に寝てしまう、という体質にある。


                何でまた、そんな私が

                ウィーン劇場のイドメネオのチケットなんか買っちゃったかと言うと

                サイトを見ていたら

                下から3番目の45ユーロの席が、一席だけポツンとあった、という理由。

                (何か、最後に1枚残っている状態って

                 何でも良いけど、買い占めたくなるじゃありませんか(自爆))


                さすがに、というか

                天井桟敷の2列目の脇なのだが

                これは見やすい。

                他の45ユーロの席より、ずっと良い。

                ただ、かなり高い位置にあるので

                舞台を真上から見下ろすような感覚。


                でも、今回は舞台がかなり奥まで作られていたので

                見下ろす席は大正解。


                その代わり、床が全部見えて

                何と、この床が、ばばっちい砂と泥なのである。


                しかも、ボロ靴があちこちに散らばっていて

                オペラが進むに連れ

                テーブルや椅子は倒れるわ

                トランクはあちこちに散らばるわ

                俳優さんが血だらけになってイドメネオにくっついてきて

                マットレスやら衣装やらが、どんどん真っ赤っかになっていくわ


                そういう、汚い部分が、すべて明確に見える席であった。


                プロダクションは日本の二期会との共同制作らしいので

                日本でも同じ演出で上演されたのかもしれない。


                音楽的には完璧(半分以上寝落ちしていたが(爆))

                オーケストラの音色が素晴らしい(半分以上寝ていたが)


                完璧なアンサンブルによるクリアな音色に加えて

                実にドラマチックなルネ・ヤコブスの音楽作りで

                モーツァルトの音楽って、こんなに劇的だったっけ?という感じ。


                で、いつもの通り、ウィーン劇場に出演する歌手は

                見た目が良くて、声が良くて、演技ができて・・・という

                トップ・レベルが揃うので

                レチタティーヴォもアリアも素晴らしい(半分寝ていたが)


                私の記憶が正しければ

                イドメネオをウィーン劇場で観るのは、3回目である。


                最初は現代的な舞台装置で

                衣装はギリシア的で、イドメネオをミヒャエル・シャーデが歌って

                天井桟敷の一番奥の席で

                非常に気持ち良く寝た(こらこらっ!)

                時々、ドラマティックになるところで、ちょっと目が覚めたりして

                ものすごく気持ちのよいオペラ鑑賞だったので


                その後、数ヶ月は

                疲れてコンサートに行く時には

                え〜い、今日はイドメネオ方式だ(最初から寝るつもり ←こらっ!)


                次に鑑賞したのは、たぶん、夏のオペラで

                これは、原色多用のおとぎ話のような演出。


                海神のシーンに、魚やら、エビとかカニとか

                そんなものばかり出てきて

                イドメネオ役を歌ったクルト・シュトライトが

                遭難の場面で洋服を脱ぎ出して

                どんどん脱いでいくので、パンツまで脱いだらどうしよう・・・


                ・・・って、何で音楽とかじゃなくて

                ヘンな事ばかり記憶にあるんだろう???(バカだから)


                今回の演出だが

                舞台はババッチイ(一面が砂である。歩き難そう)

                衣装は現代衣装で、男性は背広。

                エレットラが舞台で、派手な衣装を脱いだり着たりというシーンもある。

                (もちろん下はボディ・スーツを着ているが、かなり色っぽい)

                泥にまみれたり、血だらけになったりもする。


                私がオペラを苦手とするのは

                その荒唐無稽な筋立てが気に喰わないからなのだが

                イドメネオにしたって

                海神に捧げると約束した犠牲が自分の息子だったと悩んでいるが


                もともと、自分が助かったら

                最初に会った人を殺して捧げます


                ・・・という発想が間違っとるぞ!(怒)


                息子に、それを話したら

                それでは殺して下さい、と悲愴な覚悟をして

                そこに飛び出してきた恋人のイリアが

                イダマンテを殺すなら、私を身代わりに


                と書くと、普通なら30秒くらいで終わるはずだが

                これが、延々延々延々と続くのである。

                そりゃ、観客にしてみれば、涙を誘う場面ではあるけれど

                現代のテンポにしてみたら、冗長過ぎる。


                で、延々延々延々と3人で

                誰が殺される、いや、私が、いや、君はダメだ、僕が

                ・・・・とやっていたら

                突然、海神が現れて

                誰も殺さんで良いぞ・・・・


                それまでのやり取りは何だったの?!

                ちょっと居たたまれないではないか。


                重病を告知され、あと数ヶ月の命です、と言われて

                悩んで、周囲も巻き込んで大騒ぎした後に

                あ、それ、間違いでした・・・という感じの肩すかし。


                まぁ、そこまでは良いとしても

                何故か、その後

                イドメネオが倒れ

                (息子に殺されたのか、自分で倒れたのか

                 イリアかエレットラに殺されたのかは寝落ちしていたので不明)

                私の目が覚めて舞台を見た時は

                横たわって、イダマンテに身体に砂をかけられていたから

                あれは、きっと死んでいる(すみません、見てなくて)


                それで終わりか、と思っていたら

                それから、まだ延々とインストルメンタルの音楽が続いて

                え〜い、このオペラ、いったい何時終わるんだよ!?


                舞台の前に座っていたイリアが唸り出して

                (イリアは途中から腹が出てくる。

                 イダマンテと結婚もしてないのに、やっちゃってたのか?!)

                イダマンテとアルバーチェが、マットレス持ってきて

                タオル持ってきて


                愕然・・・


                まさか、モーツァルトのオペラの舞台で

                他人の出産シーンを観るとは思わなかった。

                (ちゃんと、それなりの女性の悲鳴も・・・すごく生々しい)


                隣の中年女性なんか、ずっと大笑いしてるし(そりゃそうだ)


                小道具係さん、お疲れさま。

                よくぞ、あの血塗れの赤ちゃん、わからないように隠してましたね。


                ある意味、確かにドラマティック(音楽含む)なのだが

                なんか、ちょっとリアル過ぎて辟易。


                3時間20分(幕間1回を含む)の長いオペラで

                モーツァルト好きな向きには、堪能できると思う。

                音楽的には完璧である(たぶん)


                やっぱりモーツァルトは避けておこう、と

                改めて決心を新たにした私に

                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                来週からはもう寝落ちしないように

                努力しよう・・・・(努力だけかいっ!)


                Tanzperspektiven 国立バレエ

                0

                  Wiener Staatsballett 2013年11月21日 19時30分〜21時50分


                  TANZPERSPEKTIVEN


                  A Million Kisses to my Skin (David Dawson)

                  Musik : Johann Sebastian Bach, Klavierkonzert Nr. 1 d-Moll BWV 1052

                  Klavier : Shino Takizawa

                  Prisca Zeisel, Robert Gabdullin*, Natascha Mair, Denys Cherevychko

                  Ioanna Avraam, Richard Szabó, Maria Yakovleva, Kiyoka Hashimoto, Alice Firenze


                  Eventide (Helen Pickett)

                  Musik : Philipp Glass, Ravi Shankar, Jan Garbarek, Anouar Brahem, Shaukat Hussain

                  Emila Baranowicz, Ketevan Papava, Nina Poláková, Rui Tamai

                  Ryan Booth, András Lucács, Eno Peci, Mihail Sosnovschi*


                  Vers un pays sage (Jean-Christophe Maillot)

                  Musik : John Adams

                  Olga Esina - Roman Lazik

                  Kiyoka Hashimoto, Emila Baranowicz - Greig Matthews

                  Ketevan Papava - Andrey Kadanowskiy

                  Reina Sawai - András Ludács

                  Prisca Zeisel - Géraud Wielick

                  Clara Soley - Trevor Hayden


                  Windspiele (Patrick de Bana)

                  Musik : Peter Ilijitsch Tschaikovsky, Konzert für Violine und Orchester D-Dur op. 35

                  1. Satz

                  Violine : Albena Danailova

                  Kiril Kourlaev

                  Erika Kovácová, Rafaella Saint’Anna, Richard Szabó

                  Marcin Dempc, Dumitru Taran, Alexandru Tcacenco, Géraud Wielick


                  指揮 Markus Lehtinen


                  クリーブランド管弦楽団にソッポ向いて

                  本日は、結構良い席で、久し振りのバレエ鑑賞。


                  3回目だと思うけれど、よく覚えてない(すみません)


                  モダン・バレエ公演とは言え

                  それまでは、比較的クラシックっぽいモノも入れていたルグリは

                  この演目では、最初から最後までモダンで通した。


                  ただ、かなり良く見える良い席なのに

                  私の昨日の睡眠時間は3時間である(←自業自得)

                  上演前から眠いの眠くないの

                  目を開けているだけで大変な努力を要する状態。


                  最初は何とか耐えた(耐えるんかいっ!)

                  バッハのピアノ協奏曲に乗って

                  ダンサーたちが舞台で音符のように跳ね回る♪

                  マリアのソロから始まって

                  ローベルトとデニーズが舞台に登場。


                  おおおお、ローベルトって、この役、デビューとは・・・

                  でも、なんか、すごくカッコいい。

                  橋本清香さんも切れるような鋭いダンスで魅了する。


                  で、とうとうピンに出てきた

                  スーパー・キュートなナターシャ・マイヤー。


                  学校を卒業したばかりだが

                  舞台に出ると、そこだけに目が引きつけられるキュートさ。

                  可愛いし、反射神経、運動神経抜群で、ダンスも巧いし身体も柔らかいし

                  ともかく、まだ若いという要素はあるにせよ

                  むちゃくちゃカワイイ ♡


                  志野さんのピアノも見事。

                  ちゃんとバッハになっているし

                  音がきちんと一つ一つクリアに聴こえてきて

                  しかも、アンサンブルと調和していて

                  厚かましいところが一つもない。


                  バレエ観たり、音楽聴いたりしていると思うのだが

                  バレエ・ダンサーたちとか

                  プロの音楽家の人たちとか

                  人間の根本的な生物学的必要性の全くない分野で

                  ものすごい努力して

                  場合によっては自己犠牲まで敢えてして

                  ミューズの神に自分を捧げているわけで


                  芸術は呪いである、とは常々の私の持ち論だが

                  すごいなぁ、といつも思う。


                  (まぁ、旅行業界なんていうものも

                   人間に完全に不要な一分野ですから(笑))


                  Eventide はラヴィ・シャンカルとフィリップ・グラスの音楽で

                  これはテープ(良かったね、ウィーン・フィル(笑))


                  この演目もミハイルが初登場。あらビックリ。


                  ところで、この演目の途中でソロを踊った男の子は誰?!

                  いや、もしかしたら、次の演目だったかもしれないが

                  (何せ眠気で朦朧としていたので記憶が定かでない)

                  むちゃくちゃ体格が良くて

                  背が高くて(ミハイルより高い!)

                  しかも、筋肉隆々の

                  まるでバレエ・ダンサーというよりは

                  スポーツで体操してませんでした? という体型の

                  すごくステキな男の子が踊ったのだ!!! ♡♡♡


                  眠くても、あのソロだけは目がテンになって

                  立派な筋肉の動きが

                  特に、ガタイがでかいだけに

                  舞台のソロがむちゃくちゃ映えるのである。


                  う〜ん、あのソロ場面を思い返してみると

                  もしかしたら、次の演目だったかもしれない。


                  Vers un pays sage は、ジョン・アダムスの音楽でテープ演奏だが

                  この演目、何か、ものすごく好き ♫


                  音楽も好きだけど

                  ダンサーの動きが

                  まるで


                  道路標識とか

                  歩く記号学というか

                  動く象形文字という感じで


                  シュイナールが、本に描かれた記号を

                  身体で表現する、というのをやっていたけれど

                  印象としては、それに非常に近い。


                  象形文字が舞台のあちこちに書かれて動き

                  それが道路標識や

                  動く記号に見えてくる、という不思議さって


                  同時に、表現される身体の動き=記号が

                  我々観客に訴えてくる力も非常に強い。


                  その上、この舞台、本当にシンプルなのに

                  照明が巧いんですよ〜〜〜!!!

                  本当にさりげなく、白から青、黄色、ピンク、赤と変わっていって

                  それが、あまりに音楽とダンスに合い過ぎていて

                  照明の変化にほとんど気がつかないくらい(それは鈍感なワタシだけ(爆))


                  オルガとローマンのカップルは

                  このダンスには理想的。

                  (ウラジミールじゃ生臭くなりそう(笑))

                  しかし、オルガ、また目が大きくなった・・・と言う事は

                  顔の肉が落ちてない?(うるさい客である)


                  最後の Windspiele はキリルがメイン

                  ・・・なんですが


                  もう眠さが最高潮に達してしまい

                  でも、寝ても聴こえてくるのは

                  ウィーン・フィルのコンサート・ミストレス

                  ダナイローヴァさんのソロによるチャイコフスキーのバイオリン協奏曲。


                  うはうはうは

                  舞台のダンスは寝落ちして観なくても

                  このダナイローヴァ女史のソロを聴くだけでも

                  これは行く価値がある。


                  ・・・というより

                  ウィーン・フィルのメンバーで

                  (まぁ、日本公演に行かなかった居残り組だが

                   結構優秀なメンバーも残っていたし)

                  ダナイローヴァ女史のソロで

                  チャイコフスキーのバイオリン協奏曲を

                  しかもモダン・バレエと一緒に聴ける、というのは


                  世の中にこんな贅沢な事ってあるんだろうか?


                  先シーズンのソロが誰だったかは言わないが

                  (ってブログにしっかり書いてあるけど(笑))

                  ダナイローヴァ女史のバイオリンは

                  まず、技術的に巧い。

                  むちゃくちゃ巧い。


                  でも、それだけではなくて

                  あくまでも自然で

                  困難なテクニックを、まるで「こんなの当たり前よ」みたいな

                  力を感じさせない優しさで弾いてしまうのである。


                  滝澤志野さんのピアノもそうだったけれど

                  ダナイローヴァ女史のバイオリンも

                  決して、声高に自己主張をしない。


                  あくまでもオーケストラに寄り添い

                  バレエ・ダンサーに寄り添って

                  でも、妥協ではなく、主張するところはきちんと持つ。


                  こういうのって

                  アンサンブルの妙を習得している人でないと出来ないだろうなぁ。

                  そこらへんの技術だけのソリストには無理だわ(断言)


                  さて、睡眠不足で

                  しかも風邪のひき始めで(たぶん)

                  まあ、色々とあるので(笑)

                  今日はここまで(読者ホッ)という私に

                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。





                  クリーブランド管弦楽団 + ヴェルザー=メスト

                  0

                    Musikverein Großer Saal 2013年11月20日


                    The Cleveland Orchestra

                    指揮 Franz Welser-Möst


                    Ludwig van Beethoven (1770-1827)

                     Symphonie Nr. 3 Es-Dur, op. 55 “Eroica”

                    Wolfgang Rihm (*1952)

                     Verwandling 5. Musik für Orchester (2013) Uraufführung

                    Dmitrij Schostakowitch (1906-1975)

                     Symphonie Nr. 6 h-Moll, op. 54


                    フランツ・ヴェルザー=メスト率いる

                    クリーブランド・オーケストラの客演。

                    今回は11月20日・21日・22日と続けて

                    ベートーベン+ショスタコーヴィッチのプログラム。


                    今日のチケットは、もともとチクルスで持っていたのだが

                    21日・22日も同じプログラムだろう、とタカを括っていたら

                    違うプログラムだったのに気が付いたのだが、時遅し。


                    よって、今回はこのプログラムだけ聴きに行く。

                    4番+8番、5番+10番の組み合わせは諦める。

                    (というより、私はショスタコーヴィッチの10番を

                     楽友協会で演奏するのは、聴きたくない)


                    ベートーベンとショスタコーヴィッチを選んだ理由については

                    プログラムに指揮者自身のコメントがある。


                    両方とも、時代に逆らって、自由を渇望した作曲家だから

                    ・・・・とか何とか書いてあったが

                    しっかり読んでない(ごめんなさい)

                     

                    さてベートーベンの「エロイカ」

                    最初のダン・ダンというのが

                    むちゃ強い上に、ひたすら速い。

                    続く音楽も、テンポが異様に速い。


                    うわわわわ

                    タメもないし、ひたすら速いテンポなのに

                    フレーズの中での膨らみがあって、表情は豊か。


                    第一、あのテンポ設定で

                    何でオーケストラが一糸も乱れぬアンサンブルを演奏できるのだ?!


                    叩き付けるような激しさで

                    オーケストラの音色が輝くような明るさ。

                    ヘタクソだったら

                    ただただ、単に乱暴なベートーベンになりそうな感じだが

                    完璧なアンサンブルで

                    乱暴というよりは

                    迫力に満ちた、力強い、力強過ぎる・・・


                    さすがアメリカのオーケストラだ(謎発言)


                    しかしこの演奏、むちゃ熱いのだが

                    フランツ・ヴェルザー=メストって

                    こんな情熱的な音楽作りする人だったっけ?


                    疲れていたので、前半は指揮姿は見ずに

                    ひたすら音楽に集中したのだが

                    エネルギッシュでアップテンポで

                    情熱的で熱くて明るくて力強くて

                    聴き慣れている筈のエロイカが

                    えらく新鮮に聴こえてくる。


                    ちょっとティーレマンっぽいかも(笑)

                    ただ、タメはないしテンポ速くてアッサリしてるけれど。


                    最初から最後まで

                    叩き付けるようなベートーベンで

                    フィナーレの最後で更にテンポ・アップしたのには

                    椅子からずり落ちそうになった。


                    後半の最初はヴォルフガング・リームの初演作品。


                    これが素晴らしい曲!!!

                    トナールとアトナールを行き交いながら

                    見事なオーケストレーションで

                    途中の引き継ぎのような沈黙入りのソロで

                    第1部から、第4部か5部まである。


                    その章ごとに、音の色や手触りが変わる。

                    目まぐるしい色彩感の変化に唖然とする。


                    ただ、沈黙の中に木管だけが

                    時々、音を鳴らす、という、すごく良いシーンに

                    声を出してゲホゲホ、とやった人には興ざめ。


                    まぁ、私の前の中年男性も

                    隣の女性に喋ってたけど

                    気に入らないんだったら、出て行って下さって良いので

                    演奏中に音を立てたり、喋ったりするの、止めてクダサイ。


                    ショスタコーヴィッチの交響曲6番。

                    ラルゴの第1楽章は、ワタクシ的には、ひたすら悲しい

                    憂鬱で陰鬱で、抑圧された感じがする音楽なのに


                    これだけ「美しく」演奏されてしまうと

                    悲惨だとか、辛さだとかが、全然感じられない。


                    当時のソビエトの状況を知らないアメリカ人だからな

                    ・・・・なんて言ってしまうのは簡単だが

                    メストも、そんなに政治背景を音楽に持ち込もうとはしていないと思う。


                    メロディが美しく、アンサンブルが透明で

                    悲しい気分になる前に、その美しさにボーッとしてしまう。


                    続く第2楽章のアレグロと

                    アタッカで続けたプレストだが


                    第1楽章に対比してコミカル・・・とかプログラムには書いてあったが

                    コミカルどころか

                    前半と同じく、すごいアップテンポで(!)

                    前半と同じように、叩き付けるような演奏なので


                    喜びとか、ユーモアとかを通り越して

                    妙なる美しさで表現される

                    たまらないイライラ感・・・・


                    焦燥感というか

                    開き直りというか

                    自暴自棄というか(笑)


                    で、やっぱり一部の音響を

                    むちゃくちゃ鳴らすので、耳が痛くなるくらい。


                    6番でこの大音響を敢えて楽友協会で出すのであれば

                    10番のチケットは買わなくて正解だと確信。


                    ヴェルザー=メストの指揮振りにはあまり変化はなくて

                    本当にこの人、木で作った人形がカクカク動いているような印象。


                    第2楽章を演奏する前に

                    指揮する形で姿勢がピッタリ止まって

                    客席のザワザワが収まるまで

                    微動たりともしなかった体力とバランスには驚く。

                    (いや、そこ、驚くべきところではないけど(爆))


                    それに表情ないし、ちょっと、いや、かなりコワイ。

                    でも、そんな不思議なタクト技法から出てくる音楽が

                    あんなに情熱的になる、というのも奇跡。


                    オーケストラと指揮者の間の

                    揺るぎない信頼関係があるのだろう。


                    しかし、このオーケストラも巧い。

                    ヨーロピアンのような、ちょっと緩んだところが一切なくて

                    ひたすら明確で正確。


                    ああいうベートーベンは

                    ヨーロッパのオーケストラでは聴けないだろうし

                    リームの初演曲のオーケストレーションの素晴らしさも

                    技術力を持ったオーケストラと

                    完璧主義のヴェルザー=メストならではの演奏だったし


                    ショスタコーヴィッチも、ものすごい迫力であった。


                    こんな素晴らしい演奏を聴かせてくれるんだったら

                    21日・22日もチケット狙えば良かったなぁ・・・(涙)

                    (でも、こんなに情熱的に演奏されたら

                     全部聴いたら、辟易するかもしれない ← ルサンチマン)


                    疲れて、打ちのめされて、まぁ、仕事上は色々あるけれど

                    それでも、このコンサート、行って良かった。


                    プログラムによれば、12月6日の19時30分から

                    このコンサート、オーストリア・ラジオ第1番で放映されるらしい。

                    後でオン・デマンドで、もう一度聴きたい

                    ・・・と思うようなコンサートは少ないので(笑)

                    とても、とても良かった、と感激している私に

                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


                    ・・・アップの時間は変えてあるけれど

                    仕事があり過ぎて、ほとんど徹夜状態・・・(涙)



                    ロッテルダム管弦楽団 + ミハイル・タタルニコフ

                    0

                      Konzerthaus Großer Saal 2013年11月18日 19時30分〜21時50分


                      Rotterdam Philharmonic Orchestra

                      指揮 Mikhail Tatarnikov

                      ピアノ Nikolai Lugansky


                      Sergej Rachmaninoff (1873-1943)

                       Symphonie Nr. 2 e-moll op. 27 (1906/07)

                       Klavierkonzert Nr. 3 d-moll op. 30 (1909)


                      ロッテルダム管弦楽団は

                      本当はヤニック・ネゼ=セガンとウィーンに来る予定だったのに

                      病気のためキャンセル。


                      その後にサンクト・ペテルスブルクに行くからなのか

                      何故かサンクト・ペテルスブルクのミハイロフスキー劇場の首席が

                      今回の指揮者で登場。


                      ハンサムなので許す(ってそういう問題ではないが(爆))



                      指揮者変更だし、知らない指揮者だし

                      曲がラフマニノフだし

                      もう行くの止めて残業しようかと思ったが


                      結果・・・・ 行って良かった ♡♡♡


                      ハンサムな指揮者が見られた、というワケではなくて

                      (だいたい席が天井桟敷だし、指揮者って後ろ姿しか見えないし)

                      ラフマニノフの交響曲2番も

                      ピアノ協奏曲、しかもあまり有名でない方の3番が

                      むちゃくちゃ良かったのである。


                      ロッテルダム管弦楽団と言えば

                      以前にウィーンの楽友協会に来た時には

                      ネゼ=セガンのスピードについて行けず

                      崩壊寸前だった思い出があるので

                      あまり期待していなかったのだが。


                      コンサートの前に会った添乗員さんが

                      オーケストラのメンバー、飛行機に乗ってましたよ、と言っていたので

                      お昼にウィーンに到着して

                      午後でリハーサルやって、夜のコンサート、という予定であろう。


                      ほとんどリハーサルの時間が取れなかっただろうに

                      いや、もう、なにこれ、このアンサンブルと豊かな音の響き方は?


                      ラフマニノフの全集は CD で持っているが(全集マニア)

                      これも以前、交響曲1番を、クソつまらん演奏で聴いてしまってから

                      ちょっと苦手意識が強かったのだが


                      うわっ、2番良いじゃん。


                      美しいメロディが、これでもか、これでもか、と

                      連続攻撃で

                      豪華絢爛ハリウッドの世界というか

                      ロマンティックでドラマチックな恋愛映画の音楽というか

                      ちょっと間違えたら

                      シリアスでマジメな音楽ファンには

                      気恥ずかしいような

                      ポピュラーな美しさの極限。


                      あれだけ、ロマンティックなメロディを散りばめたら

                      チャイコフスキーなんてあっち行け、の世界だなぁ(違!)


                      まろやかに響き渡るポピュラー音楽コンサート(違!)


                      後半のピアノ協奏曲だが、これも比較的マイナーだけど

                      このピアニスト、すごいぞ。



                      音の粒が立っていて

                      最初、ラフマニノフじゃなくて

                      バッハを聴いているかと錯覚したくらい。


                      あの細かい音形の一つ一つを打ち鳴らしていく技術には

                      唖然とするばかり。


                      ペダルを使い過ぎないので音も澄んでいて

                      それなのに、オーケストラの響きに埋もれず

                      際立ってピアノの音が響くと言う


                      こいつ、タダモノじゃない・・・


                      グローバル化によって

                      地域限定だった天才が

                      どんどん世界に進出すると同時に

                      テクニックそのものの水準も、どんどん上がっていっているので


                      一昔前のピアニストは太刀打ちできない技術を持った人ばかりが

                      世界の檜舞台に上がってくる。

                      テクニックが完璧なのは

                      もう当然の当然という風潮があって

                      最高の技術が前提ではあるのだが


                      技術だけではなく

                      オーケストラとの絡みも巧いの、この人。


                      これも、最後になればなるほど

                      ハリウッドの世界に限りなく近づいてくる曲だが

                      最初から最後まで

                      ひたすら楽しく、安心して

                      甘いメロディに乗って心が揺れるなんて


                      ものすごい贅沢なんじゃないだろうか、うん。


                      ネゼ=セガンの指揮より

                      サンクト・ペテルスブルクのハンサム指揮者の活躍が

                      何だか、とっても楽しかった私に

                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                      明日の朝、早い時間にアポイントメントがあるのに

                      その後、またオフィスに行って

                      真夜中過ぎまで仕事していたのはワタクシです。

                      この生活、何とかならんのかなぁ(涙)




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