やっとシーズンが始まって
日曜日のダブル・コンサート。
午前中の1回目のコンサート記事は こちら
Musikverein Großer Saal 2013年9月29日 16時〜18時15分
Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
ピアノ Rudolf Buchbinder
指揮 Andrés Orozco-Estrada
Kurt Schwertsik (*1935)
"Musik : Leicht flüchtig" Sinfonia in Drei Teilen op. 110 (2013)
Sergej Rachmaninow (1873-1943)
Rhapsodie über ein Thema von Paganini für Klavier und Orchester op. 43 (1934)
Richard Strauss (1864-1949)
Ein Heldenleben op. 40 (1899)
トーンキュンストラー・オーケストラのシーズン・オープニング。
最初のクルト・シュヴァーツィクの曲は
トーンキュンストラーのこのシーズン・オープニングのために作曲されたもので
昨日のサンクト・ペルテンが世界初演だったもの。
Schwertsik の読み方は謎だが
ナクソスでは、シュヴァーツィクとなっているので真似する。
異議のある方はナクソス・ジャパンにどうぞ(笑)
シュヴァーツィックは、もともとトーンキュンストラーでホルンを吹いていて
その後、ウィーン交響楽団でも演奏していた。
1958年にフリードリヒ・チェルハと共に
現代音楽アンサンブル ディ・ライエを設立。
もちろん、最初はアヴァンギャルドだが
基本的にこの人の曲はトナールで
何とも不思議でユーモアに満ちていて面白い。
今回の曲も面白い・・・以外に何て言ったら良いんだろう。
プログラムには、結構難しい事が書いてあったけれど
聴いていて、とても楽しいのである。
ストラヴィンスキーかプロコフィエフの現代版という感じかなぁ。
バレエ音楽にしても使えそう。
エストラーダの指揮振りは、ますます美しい。
トーンキュンストラーでのシーズンを何回かやって
ウィーン・フィルも他のオーケストラも振って
テクニックも、自分の音楽性も
だんだん確立してきて
ステキな指揮者になりつつあるのに
今回が最後のシーズンというのは、とても寂しい。
エストラーダがウィーンで見られるチャンスは
今シーズンの終わる来年の6月までなのだ(涙)
グラフェネック音楽祭では、いつも見かけるピアニスト
ルドルフ・ブフビンダーは
グラフェネックではトーンキュンストラーとも演奏しているけれど
定期演奏会に登場するのは初めてだとか。
ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲。
ブフビンダーのピアノが強い。
男性的で圧倒的な音量で
オーケストラが大音響で鳴らしても
ピアノの音がくっきりと浮かび上がって来る。
何とまぁ、ゴージャスな響き。
豪華絢爛、原色絵巻
ロマンティックで、打ち上げ花火みたい。
トーンキュンストラーの音も良く出ている。
夏は野外音楽堂でしか聴いていなかったからかもしれないけれど
楽友協会ホールで聴くと、音の重層的な厚みが、よく出ている。
後半の英雄の生涯も
最初からエストラーダは音量を上げて攻めてくる。
かなり勇壮な感じが全面に出ていて
確かに「英雄」の生涯だから
かなり大袈裟でも、ものすごく納得する。
午前中に大オーケストラでも室内楽、みたいなコンサートを聴いた後で
大オーケストラが、そのまま大オーケストラで
ガンガン弾いて、ガンガン音を出して
これでもか!という位に鳴らす演奏を聴くと
何か、むちゃ楽しい(こらこら)
その分、繊細さとか細やかさは、あまりなくて(笑)
コンサート・マスターのソロも
巧くて素晴らしいけれど
オーケストラの音色と合わせるように強く
ロマンティックさとか、女性の弱さではなく
意外に気の強い恋人ではあった。
それに呼応するオーケストラの英雄の方が可愛かったな、うふふ。
シーズン・オープニングに派手な曲を
どっか〜んとやっちゃえ、という
指揮者とオーケストラの気概が伝わってきて
ものすごく豪華絢爛な響きを
最初から最後まで、これでもか、と言う程、堪能させてもらった。
あんまり良かったので
来週、もう一回ある同じプログラムのコンサートのチケットを
自宅で急いで購入。
(立ち見席買って、オルガン・バルコンに潜り込むという方法もあるが
やっぱり、ズルはせずに、ちゃんと買って入ってこそ
音楽ファンと言えるのである。うん。)
ウィーン・フィルとかウィーン交響楽団とかに比べると
地味な印象のあるトーンキュンストラー・オーケストラだが
冷静な職人集団とは、ちょっと一味違って
気分が乗り出すと、とんでもない音を出してくるのが
このオーケストラの強みというか、面白いところ。
来週から、やっと本格的なシーズンが始まる。
シーズン開始のオーケストラの大張り切りなコンサートを聴けるって
やっぱり幸せだなぁ ♫ ♡
仕事上は、色々と大問題を抱えつつも
オーケストラの音を聴くと幸せになってしまう私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。