ルナ夫人 フォルクス・オーパー

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    Volksoper 2013年6月30日 19時〜21時45分


    FRAU LUNA

    Operette in zwei Akten

    Text von Heinz Bolton-Baeckers

    Musik von Paul LIncke


    指揮 Gerit Prießnitz

    演出 Peter Lund

    舞台とビデオ Sam Madwar

    衣装 Daria Kornysheva

    振付 Andrea Heil


    ルナ夫人 Birgid Steinberger

    流星王子 Mehzad Montazeri

    ステラ Regula Rosin

    テオフィル Boris Eder

    プーゼバッハ夫人 Isabel Weicken

    マリー Elvira Soukop

    フリッツ・シュテプケ David Sitka

    アウグスト・レンマーマイヤー Andreas Daum

    ヴィルヘルム・パネッケ Carlo Hartmann


    今シーズンにプレミエで来シーズンも続く

    ベルリン・オペラ「ルナ夫人」

    新聞評もそこそこ好意的で

    私の知り合いのオペレッタ・オタクの方々も

    かなり褒めていたので

    最後の最後に行って来た。


    最初がスクリーンでのビデオだが

    これが、けっこう巧く出来ていて楽しい。

    ベルリンの景色に変わって

    シュテプケの住居になるまでの変遷が、かなり凝っている。


    が・・・

    その後、残念ながら、むちゃ間延びしてしまう。

    月に行く機械を作ったと喜ぶ3人組の男のところに

    家賃払ってないじゃないか、と怒鳴り込むプーゼバッハ夫人の

    ラブストーリーが歌で語られるのだが


    はっきり言って、音楽的には、全然面白くない(すみません)


    働きもせず、金もないまま

    プーゼバッハ夫人の姪のマリーと婚約だけしている

    シュテプケの状況と

    昔、テオフィルと恋仲になったのに

    捨てられたプーゼバッハ夫人の背景の説明だけなのに

    冗長である(きっぱり)


    場面変わって月の世界。

    ここら辺はビデオと、回り舞台を巧く使って雰囲気を出している。

    テオフィルとステラ夫人のシーンや

    ルナ夫人が「退屈、退屈、退屈、私は王女様なのに」と登場して

    そこに、いつも同じラブソングで現れる流星王子が出現。


    流星王子のそのラブソングが

    本当に間が抜けていて、退屈で

    これ、もしかしたら意図的に退屈なラブソングになってるの?!


    月に到着したシュテプケ一同は

    おお、新天地だ、と喜んでいるところに

    テオフィルが現れて「ここには月人が住んでいるのだ」と宣言すると

    それでは、今、月はドイツに併合された、と宣言。


    はいはいはい、1938年のパロディですね。

    (その後、テオフィルが「住人は併合には賛成じゃなかった」というセリフのところで

     ほんの少しだけ拍手し出した(たぶん)ご老人がいたけれど

     あのね、オーストリアの歴史を知っていたら

     あそこで拍手するのは、大いなる勘違いだし、恥ずかしいよ)


    テオフィルの言葉にしても

    月の世界の貴族制にしても

    月の世界をオーストリアになぞらえている事は明白だが

    ちょっと明白過ぎて、辟易。


    前半の最後では、わ〜い、わ〜い、ベルリン万歳と

    ベルリンの人や景色(カレーヴルスト!)が入ってきて終わるのだが


    うわわ、しまった、この音楽、私の好みじゃない(涙)


    いや、舞台もキレイだし

    オーケストラの音はでっかいし

    衣装も豪華絢爛だし

    月の住民は、みんな真っ白の化粧してるし

    (コーラスで数名、化粧をサボっている奴がいた、遅刻か?)

    全身金色にして、星座の格好をして

    踊ったフォルクス・オーパーのダンサーたちはカワイイ。


    マイク着けているとは言え

    出演者は、みんな、それぞれに芸達者で

    役柄にピッタリ合っていて

    楽しい舞台には仕上がっている。


    まぁ、でも申し訳ないけれど

    音楽的には1回鑑賞すれば充分。


    オペレッタ・ファンの方には楽しい舞台だと思うので

    これは、あくまでも私の主観という事で

    オペレッタ・ファンの皆さま、怒らないでね。


    最後にプーゼバッハ夫人が

    4週間に1回会えれば良いの、というのがなかなか(ウフフ)

    そういう関係が気楽で良いな

    ・・・と、ついつい考えてしまった不埒な私に

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    ヌレエフ・ガラ 2013

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      Wiener Staatsballett 2013年6月29日 18時〜21時45分


      NUREJEW GALA 2013


      LA SYLPHIDE - Ausschnitt aus dem 2. Akt

      Maria Yakovleva, Masayu Kimoto, Alice Firenze, Andrea Némethová, Reina Sawai


      Pas de cing aus SCHWANENSEE - 1. Akt

      Eno Peci, Ioanna Avraam, Natascha Mair, Davide Dato, Dumitru Taran


      Pas de deux aus MAYERLING - 2. Akt

      Kirill Kourlaev, Irina Tsymbal


      VASLAW

      Denys Cherevychoko, Masayu Kimoto

      Prisca Zeisel, Alexandru Tcacenco, Kiyoka Hashimoto, Davide Dato

      Alice Firenze, Greig Matthews

      Ketevan Papava, Ryan Booth


      Pa de deux aus SYLVIA - 2. Akt

      Aurélie Dupont - Manuel Legris


      pas de deux DIANA UND AKTÄON

      Kiyoka Hashimoto, Mihail Sosnovschi


      Pas de deux aus DORNRÖSCHEN - 3. Akt

      Maria Yakovleva, Robert Gabdullin


      APOLLO

      Roman Lazik, Olga Esina, Nina Poláková, Ketevan Papava


      RAYMONDA - 3. Akt

      Olga Esina, Vladimir Shishov, Dagmar Kronberger, Ryan Booth

      Alice Firenze, Ioanna Avraam, Prisca Zeisel, Davide Dato

      Richard Szabó, Attila Bakó, Maracin Dempc, Tristan Ridel, Alexandru Tcacenco

      Eszter Ledán, Reina Sawai


      全国のバレエ・ファンの皆さま!!!

      年に1回、バレエ・ファンなら、これを観ずしてバレエを語るな、という

      ウィーン国立オペラ座恒例の「ヌレエフ・ガラ」

      毎年、スター勢揃い、粒よりの演目に感涙する日。


      グラフェネックのチケットも購入していたのだが

      このガラ、ずいぶん前からスタンド・バイ入れていて

      58ユーロのチケットが取れた。


      グラフェネックなんてどうせチケット余ってるだろうしと

      ほって置いたのだが(こらこら!)

      後で見たら、売り切れになっていて

      くそ、こんな事ならキャンセルして再販にかけるんだった。

      もしかしたら売れていたかもしれない(ちっ)


      まぁ、それは仕方ないとして

      今回は比較的クラシックが多い。


      最初はラ・シルフィード。

      バリ・オペラ座からのマチュー・ガニオが踊る予定が

      急なキャンセルで、木本全優クンに変わったけれど

      うわ〜い、木本クンのジェームスだ。

      揺るぎないテクニックで難しい技をピシッと決める。


      シルフィードもイリーナの回は観たが

      マリアの回は見逃したので、ワタクシ的には楽しい。


      次がお待ちかね、白鳥の湖・・・・なんだが

      舞台装置ないし、第一幕だから白鳥出て来ないし

      エノはステキだけど、別にジークフリートの役に合ってるというワケでもない。

      イオアンナと、スーパー・キュートなナターシャが踊ったからまぁ良い。


      次が、何と何と何と、マイヤーリンクの2幕目のパ・ドゥ・ドゥ。

      しかも、キリルがルドルフで、イリーナがマリア・ヴェツェラ役。


      うわ〜、実は、このサドがっかった場面、むちゃ好きなの。


      初めてルドルフの寝室に呼ばれたマリアが

      ルドルフの性欲の犠牲になろうとするところを

      死に取り付かれたルドルフにピストルを突きつけて

      その後、愛のパ・ドゥ・ドゥに入る・・・


      って

      これだけ書いても何が何やらさっぱりだろうけれど

      2人の心理的な駆け引きとか

      ルドルフのサドッ気とか、人間的な弱さとか

      マリア・ヴェツェラの変貌振りがスゴイ場面なのである。


      演技力抜群のキリルの描き出すルドルフの人間的な複雑さに

      イリーナの妖婉さが、うわ、もう、マジ、たまらん(震え)


      あの2人でマイヤーリンク踊れるじゃないか!

      何故、シーズン・プログラムに入れないのよ?!(怒)


      確かにルドルフ役は男性ダンサーの役としては最もハードだし

      演目そのものも、かなり長いしダンサーも多いし

      でも、ロンドンのロイヤル・バレエだけに独占されているのも腹が立つ。

      だいたい、この話、オーストリアの皇太子のルドルフの話だし・・・


      ルグリ監督、お願いだから、次の次のシーズンには

      マイヤーリンクを入れて下さい!!!!


      第一部の終わりのヴァスラフはジョン・ノイマイヤーの作品。

      デニスのヴァスラフも良かったけれど

      ソロを踊った木本クンがむちゃ良い。素晴らしい。


      第二部の最初の演目シルヴィアで登場したのが

      今回の大目玉、マニュエル・ルグリとオーレリ・デュポンのカップル。


      昨年は Im Puls Tanz で、ル・パルクを踊ってくれた。

      今回はノイマイヤーの作品で「シルヴィア」


      別れた男女の邂逅と心理を描く見事な作品。

      ルグリとデュポンのカップルの

      完璧な技術に裏打ちされた演技力がスゴイ。


      あそこまでリアルに踊られると

      もう口あけて見とれるしかない・・・という

      さすがパリ・オペラ座のエトワール同士。

      う〜ん・・・ これ、もう、格が違う。


      でも若手だって負けていない(きっぱり)

      次のディアナとアクテオン(ワガノワ振付)で見せた

      橋本清香嬢の実に明るいオーラと

      ミハイルの空間の大きさに目を見張る。

      舞台が明るくなったかのような華やかさ。


      続いて、眠り姫ではマリアとローベルトのカップリング。

      マリアのオーロラ姫、オキャンで明るくて本当にチャーミング。

      この間、プリンシパルになったローベルトも

      たっぷりなチャーミング・オーラを出して

      あのジャンプ続きのフロリムント王子を魅力的に踊る。


      ジョージ・バランシンのアポロでは

      ローマンの憂鬱なアポロ振りが、ノーブルで素敵。

      テレプシコレーにオルガ、ポリヒュムニアにニーナ、カリオペがケテヴァンなんて

      何と言う贅沢な配役 ♡


      第三部はヌレエフ・ガラの名にふさわしく

      ヌレエフ振付のライモンダの3幕。

      ライモンダをオルガ、そのパートナーにウラジミールという

      美男・美女のプリンシパル同士の迫力カップル(昔は夫婦(笑))

      舞台は華やかだし、見所のソロはたくさんあるし

      群舞の見事さも堪能。


      舞台のバレエ以外にも

      オーケストラ・ピットの中からは

      コンサート・マスターのホーネック氏の

      妙なるバイオリンのソロが、各所で聴こえて来たのに、いたく満足。


      ヴァスラフのピアノ・ソロのイゴールは

      ある意味、ちょっと凄過ぎて、何も言えない。

      ペダル一杯のラフマニノフ風味溢れるバッハ、普通、聴けません(笑)

      どう聴いてもバッハに聴こえないバッハというのも貴重ではある。


      このヌレエフ・ガラ、これからパリ公演でも上演されるそうなので

      パリにいらっしゃる方、お見逃しなく。


      これにてバレエの今シーズンは終わり。

      ワタシとしては

      ものすごく好きなマイヤーリンクの場面が

      キリルとイリーナのゾクゾクするようなカップルで観られたのが

      実は一番嬉しかった。


      来シーズンはマノンが10月、

      今から楽しみな懲りない私に

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      土曜日は1日ぐったり休んで

      (ちゃんと洗濯と掃除と買い物はしました!)

      少し回復して、残りは偏頭痛だけ。

      神経的にちょっと参ってはいるのだけれど

      まぁ、何とかなるでしょ、きっと(楽観主義)


      個人的な言い訳(笑)

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        カプリッチオの次の日は
        コンツェルトハウスで、リームの現代曲と
        カルミナ・ブラーナを聴く予定だったのだが

        ・・・すみません、ぶっ倒れました(汗)

        カプリッチオが22時40分に終わってから
        オフィスに行って仕事を片付けて
        自宅に夜中過ぎに帰って
        昨日の残りのリゾット食べたら
        どうも腐っていたみたいで
        (え〜い、気がつけよ、そんなもん!!!)
        でも、お腹空いていたので(何かアホ)

        その後、夜中2時過ぎからゲロゲロやって
        しかも足釣って寝られなくて
        朝7時半に起きたとたん
        トイレに走り込んで出て来られなくなっちゃって

        ああ、不覚だっ!!!

        会社に電話して1時間遅れる事を伝言して
        トイレに閉じ篭る事30分。
        その間にも吐き気もあって
        ああ、もう、ホントに情けない(涙)

        会社ですか?
        もちろん、その後、行きましたとも!!!

        溜まっている仕事が山ほどある。
        会社に着いてからも、けっこう吐き気でムカムカ。
        集中して仕事したいのに
        「何とかのお別れ会が云々」って
        仕事に関係のない内輪の話で
        しょっちゅう中断されるのは
        普通の状態ならまだしも
        フラフラで仕事している時にやられると
        非常に腹が立ったりするのは

        更年期の症状?!(汗)

        何か手伝おうか、と言ってくれるのは有り難い。
        が、手伝わせようとすると
        それについて説明して一緒にやって・・・という事になるので
        私だったら10分で済む仕事に、30分かかるのだ(涙)

        しかも応用効かないので
        同じものをお願いしても質問攻めにされて
        ますますこちらの仕事に支障が出る。

        何故か私の周りは
        黙って仕事できる人がいなくて
        これはもう運命として享受するしかないのだろうが
        黙って仕事していると
        あ、だの、ウフフだの、あら、キャ、だの
        独り言が聞こえてくるので
        その度に、何?と聞いてあげなければならない。

        ああ、もう、お願いだから黙って仕事して!

        という数時間を過ごして
        夕方4時過ぎに、辞職するスタッフの送迎会が
        派手にキッチンで行われているのを見ながら
        (少なくとも他のスタッフはパーティに行っているので
         近くから、あれ?だの、ウフフだのは聞こえて来ないので楽)
        集中して仕事していたら

        気が遠くなった(あらっ!)

        瞬間睡眠というか、ポッと意識が抜けてしまう状態になって
        あ、こりゃいかん、と
        後ろの床のところで横になって

        これにて限界を越えました・・・状態に突入。

        さすがの私も、その後、コンツェルトハウスに行くだけの気力も体力もなく
        昔、そういう状態で行って
        マーラーの8番を、冷汗かきながら聴いていた悪夢が蘇ったので
        そのまま帰って、すぐにベッドに直行。

        情けない(涙)

        偏頭痛の薬も、飲むと吐きそうだったので飲めなかったのだが
        何とか土曜日の朝は回復して
        残ったのは右目の奥の堪え難い痛みだけなので
        何とかなりそうである。
        (午前中にチーフから「大丈夫か」と電話かかって来たけど(笑))

        そこでぶっ倒れたりキレたりする勇気があれば良いんだけど・・・

        いや、ちょっとこの間
        キレてすごい事になった同僚のケースがあったので
        ああいうふうにキレられたら
        気分が良いだろうなぁ、と一瞬、非常に羨ましく思ったのも確か。

        さて、私は、いつ、どこでキレるでしょう?(笑)

        今週末は音楽シーズンの最後。
        来週からは何もないので
        少し集中して残業できるかも
        (残業すると一人なので、周囲に気を使う必要がない上
         電話もかかってこないので楽なのである)

        とキレかけ寸前でも仕事しちゃうという
        このブログの読者には
        想像もつかない私に
        どうぞ1クリックをお恵み下さい。


        そりゃ、このブログだけ読んでいれば
        仕事もせずに、コンサートやらバレエに通って
        ウホウホと楽しい毎日を過ごしている
        有閑夫人みたいな印象だろうなぁ(笑)
        実は結構、苦労してます(爆笑)

        さよならカプリッチオ 3回目(12回目)

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          Wiener Staatsoper 2013年6月27日 20時〜22時40分


          Richard Strauss

          Capriccio

          Konversationsstück für Musik

          Text von Richard Strauss und Clemens Krauss


          指揮 Christoph Eschenbach

          舞台・演出・照明 Marco Arturo Marelli

          衣装 Dagmar Niefind

          振付 Lukas Gaudernak


          侯爵夫人 Renée Flemming
          侯爵(兄) Bo Skovhus
          フラマン Michael Schade
          オリヴィエ Markus Eiche
          ラロッシュ Kurt Rydl
          クレロン Angelika Kirchschlager
          ムッシュ・トープ Michael Roider
          イタリア人女性歌手 Íride Martínez
          イタリア人男性歌手 Benjamin Bruns
          若い女性ダンサー Josefine Tyler
          若い男性ダンサー Samuel Colombét
          執事 Clemens Unterreiner
          使用人たち Wolram Igor Derntl, Michael Wilder, Martin Müller, Johannes Gisser, Jens Musger, Oleg Zalytskiy, Burkhard Höft, Konrad Huber

          トリオ Daniel Froschauer, Raphael Flieder, Kristin Okerlund


          集中型上演なので、3回とも出演者は全く同じ。

          12回目のカプリッチオは、来シーズンはまたプログラムから消えるので

          しばらくの間、またさようならである(涙)


          同じ出演者の同じ演目を何回観る気? と

          呆れている読者もいらっしゃるとは思うのだが


          いや、あのね、これが面白いんです

          (悪趣味と言うなら言え)


          今回はやっぱり11ユーロの席だったけれど

          チラッとオーケストラが見えて、チラッと指揮者が見える。


          最初の弦楽6重奏だけど

          うわわわわ、エッシェンバッハの指揮だと

          何処で出るべきか、さ〜っぱりわからん(爆)


          奏者たちは、と言うと

          ひたすらコンサート・マスターを見てるし

          誰も指揮者見てない(ような気がする)


          エッシェンバッハは、ここぞ、という時には

          舞台の歌手に指示を与えているので

          まぁ、それはたいしたもんだ、という気はするけれど

          その分、オーケストラに対するキューがほとんどなくて


          あぁ、前の2回の公演で

          木管・金管がけっこうズレズレで入ったりした原因はこれね。


          ・・・と勝手に納得(するなよ、そんなもん)


          オリヴィエのマルクス・アイヒェは

          最初の舞台なので熱心に学んだのがちゃんとわかって

          前からの出演者より、音楽的には安定しているのだが


          最初に聴衆にウケる

          Er komponiert mich  (俺を作曲する気だ!)というところが

          何と今日は、歌ではなくて、セリフに近くなってる!!!


          エロードが同じような現象を起こして

          最初はちゃんと歌っていたのに

          だんだん、セリフっぽくなってきたのが気に食わなかったのだが


          マルクス・アイヒェ、お前もか!!!???


          あのセリフがウケるのが楽しいのはわかるんだけど

          でも、こちらとしては、やっぱりあの部分は

          「歌って」欲しいし

          歌っても、ちゃんと内容は聴こえるようになっているのだから

          音符無視して、セリフにする事はないのに(涙)


          3回で終わったから良かったものの

          後3回あったら、あの部分、完全に「セリフ化」していただろう。

          そういう悲惨な事になる前に終わってくれて良かったかも。


          今日、むちゃくちゃ驚いたのは

          クルト・ライドル(かリードル?と読むのか)のラロッシュ役。


          最初の場面では、まだ不安定さが出ていて

          あぁ、また今日も、途中でトチ狂った音程になるか

          下の声域があまり聴こえず、ドイツ語も不明確か・・・と

          覚悟していたら


          進むに連れて調子を上げてきて

          低音は響くは、大声量は響くわ

          音もちゃんと合ってるし、入るタイミングも逃がさず


          例の長大なモノローグの素晴らしさと言ったら・・・


          もともと声の質も、見た目も

          今までのラロッシュ役より、数段、役に合っていたので

          あれだけ、堂々と老練でちょっと俗物のラロッシュを歌い上げてくれたら


          私、ものすごく満足 ♡


          あと3回あったら、どんなに良くなっていた事か・・・

          さっきと言ってる事が違うが(呆)


          先シーズンと演出は同じだが

          イタリア人男女歌手の場面が更に強力になっていて

          ちょっとやり過ぎ?と思わないでもないが

          イタリア・オペラをひたすらパロディにしておちょくったところは評価する。


          ただ、イタリア人女性歌手を歌ったイリデ・マルティネスが

          声は澄んでいて高音は美しいのに

          いかんせん、声量が全然他の歌手と合ってなくて

          声が埋もれてしまう。


          バタバタのオクテットの時に

          男性歌手に「ガエターノ、このトルテ美味いよ、食べちゃいなよ」というセリフ、

          先シーズンは、ちゃんと聴こえていた。

          このマルティネスは、オクテットの時に

          舞台の一番前に出てきて、このシーンを歌うのだが


          全然、声が聴こえて来ないんですけど。


          ベンジャミン・ブルンスのテノールは素晴らしい。

          イタリア・オペラおちょくりシーンで

          自分でナイフを身体に刺して、死ぬところも

          ちゃんと白目剥いて倒れる上に

          ソプラノ歌手が、嘆いている途中で

          またもや、むっくり起き上がって高音を歌うところなんか


          あぁ、イタリア・オペラってそうだよね。

          (死んだか、と思うと、まだ生きてるというのが・・・)

          (ついでだが、先シーズンまで、最後のあの高音は歌っていなかった。

           というより、あの音をあの声で出す歌手がいなかったからかな)


          テンポは少しアップになってきたけれど

          アップ・テンポに逆らっているのが

          ミヒャエル・シャーデのフラマンである。


          今日なんか、オーケストラより遅くて

          オーケストラが待ってたもん(笑)


          マドレーヌ告白場面のあの長いソロも

          そんなにゆっくり歌わんでも・・・というテンポ。


          美しい声をじっくり聴くには良いけれど

          やっぱり、ちょっと間延びするよ、あれは。


          最後のシーンも、ゆっくりだが

          これはフレミングが、あのテンポで息継ぎせずに

          しかも見事なピアニッシモで歌い通してしまうので

          違和感はないし、素晴らしい。


          今日の安席の隣のおばあちゃまも

          何回か観ていらっしゃる様子だが

          「フレミングのドイツ語ってヘンよね」(笑)


          確かにドイツ語の発音にヘンな癖があって

          しかも、どうもこの「ヘン」さは

          他の歌手にも伝染するようなのである。


          以前、エロードが、フレミングの発音を真似た時には

          あ、イヤミやってる、と思ったものだが

          今日、他の出演者も、ヘンな癖が時々出そうになっていて


          ありゃ、これ、もしかしたら伝染病なのか・・・

          (註 いつでもどこでも自分のペースのシャーデのみ例外)


          あと3回くらい上演してくれたら

          また色々な変化が出たんだろうなぁ。


          せっかく、やっとピッタリのラロッシュが入って来たのに

          これでまた、当分、おさらばかと思うと

          ちょっと悲しい私に

          どうぞ1クリックをお恵み下さい。



          ウィーン交響楽団 + エリアフ・インバル

          0

            Musikverein Großer Saal 2013年6月25日 19時30分〜21時40分


            Wiener Symphoniker

            バイオリン 五嶋みどり

            指揮 Eliahu Inbal


            Ludwig van Beethoven (1770-1827)

             Ouvertüre zur Schauspielmusik "Egmont" op. 84 (1810)

            Benjamin Britten (1913-1976)

             Konzert für Violine und Orchester d-moll op. 15 (1939)

            Béla Bartók (1881-1945)

             Konzert für Orchester Sz 116 (1943)


            ウィーン交響楽団シーズン最後は

            自主公演でジュネスの主催。

            楽友協会主催ではないので見逃していたのだが

            お客さまからの依頼があったので

            ついでに一番安い席をゲット。


            エグムント序曲の出だしから

            やっぱり音がモダンで硬めの印象(でも悪くない)

            (エグムントで印象的なのは、ウィーン・フィルとティーレマンで

             その時のイメージがどうしても強過ぎて、比べてしまうのである)

            インバルがグイグイ引っ張っていくので

            かなり締まった感じ。


            ほうほう、これは楽しみ。


            五嶋みどりのバイオリンで演奏されたのが

            私が苦手とするブリテンなのだが


            あら、この曲、結構イイ ♡


            繊細というか、何となく懐かしい風味があって

            何で懐かしいんだろう、と考えて考えて

            最後の楽章で

            おお、これはプロコフィエフかショスタコーヴィッチなんじゃないか

            ・・・という妄想の世界に突入。


            五嶋みどりのバイオリンは、あくまでも繊細。

            バイオリンの音色って、よくわからんけれど

            歌うというよりは正確で、ちょっと平坦な印象。


            何回かのカーテンコールに応えて演奏した

            バッハのパルティータだったが


              演奏が長い!!!!


            いや、あれ、普通アンコールに演奏する曲の長さじゃないと思う。

            でも、ブリテンと比べると、音の響きが格段に良いし

            超絶的な技巧を、まぁ、簡単そうに次から次へ

            楽々と弾きこなして行って


            ブリテンよりバッハの方が合ってる・・・・ような気がする。


            私が楽しみにしていたのは

            当然、後半のバルトーク、オーケストラのための協奏曲。


            オーケストラの腕の見せ所だし

            それは、もうウィーン交響楽団というのは

            良い指揮者さえ居て、楽団員がノレば

            とんでもない名人芸が出るオーケストラだし


            うわ、金管巧っ!!!


            またもや、各パートをクリアに、という

            最近の傾向が非常に強く出て

            主旋律が埋もれて、それ以外のパートが全部聴こえてくるという

            良く言えば、スコアを見ているような透明感のある演奏。


            それに、これはインバルの腕かもしれないが

            不思議にもオーケストラの音響が立体的で

            音響空間がとても大きい。


            音が団子になって潰れる事がなく

            不思議な3次元を描いてホールに響いて行くのは

            こういうオーケストレーションが面白い曲だと

            とても効果的で、カッコいい。


            シーズン最後のコンサートに

            何か、ものすごく楽しいモノを聴いちゃった ♡


            詳細は省略するが

            周囲の環境が最悪だったにもかかわらず

            各パートがしっかり聴こえるバルトークに夢中になってしまい

            周囲はどうでも良くなったくらい集中してしまった私に

            どうぞ1クリックをお恵み下さい。




            あぁ、もうこれにてオーケストラも最後(涙)

            あ、いえ、まだ今週はナイト・ライフは続きます。


            カプリッチオ 2回目(11回目)

            0

              Wiener Staatsoper 2013年6月24日 20時〜22時45分


              Richard Strauss

              Capriccio

              Konversationsstück für Musik

              Text von Richard Strauss und Clemens Krauss


              指揮 Christoph Eschenbach

              舞台・演出・照明 Marco Arturo Marelli

              衣装 Dagmar Niefind

              振付 Lukas Gaudernak


              侯爵夫人 Renée Flemming
              侯爵(兄) Bo Skovhus
              フラマン Michael Schade
              オリヴィエ Markus Eiche
              ラロッシュ Kurt Rydl
              クレロン Angelika Kirchschlager
              ムッシュ・トープ Michael Roider
              イタリア人女性歌手 Íride Martínez
              イタリア人男性歌手 Benjamin Bruns
              若い女性ダンサー Josefine Tyler
              若い男性ダンサー Samuel Colombét
              執事 Clemens Unterreiner
              使用人たち Wolram Igor Derntl, Michael Wilder, Martin Müller, Johannes Gisser, Jens Musger, Oleg Zalytskiy, Burkhard Höft, Konrad Huber

              トリオ Daniel Froschauer, Raphael Flieder, Kristin Okerlund


              カプリッチオ今シーズンの2回目。

              スタンド・バイでちょっとだけ舞台の見える席をゲット。

              30ユーロだが(私にとっては高いのである(笑))

              まぁ、1回くらいは舞台も(ちょっとだけで良いから)見たい。


              日刊新聞プレッセでは

              カタツムリ・テンポのカプリッチオと書かれていたけれど

              確かにエッシェンバッハの指揮振りは、遅い。


              よって、今回は、その遅いテンポに

              歌手の反乱、オーケストラの反乱が加わって

              結構面白い事になった。


              マドレーヌ役のルネ・フレミングだが

              ドイツ語の発音に難があるとは言え

              こうやって、波瀾万丈の舞台を聴いていると

              唯一と言って良いほど、フレミングの確かさが目立つ。


              上手下手はともかく

              完全に音楽とドイツ語が入っているので

              音符外しが一つもない上

              どんなテンポでも、オーケストラと全く外さずに

              余裕綽々でついていく。


              特に最後のモノローグを、あのテンポで振られて

              息継ぎなしにフレーズをピアニッシモで楽々と歌いきるというのは


              人間技とは思えん!!!


              どこかに小型酸素タンクでも隠し持っているか

              一部の木管奏者みたいに

              息を吸いながら歌えるとか(まさか)


              あの完璧に「入った」マドレーヌ役は

              好き嫌いは別として、ともかく、スゴイ、と唸る他ない。


              フラマンのシャーデも安定している。

              シャーデは時々、セリフでズルをする傾向があるが

              (意味が同じ言葉と間違えちゃうのである(笑))

              甘い張りのある声で魅了。


              さすがに、オペラの舞台では

              リートで使うような魅力的なソット・ヴォーチェは無理だが。


              それに、あの「ゆっくり」テンポに

              しっかりついていったどころか

              時々オーケストラよりゆっくりになったのには驚いた。


              音楽的にブレのないマルクス・アイヒェのオリヴィエも良い。

              今日は Er komponiert mich (俺を作曲する気だ!)というセリフも

              ばっちり聴こえて、客席が湧いたし


              かと言って、エロードみたいに

              ウケ狙いで音符から外れる事もなく

              非常にマジメで情熱的で比較的理知的なオリヴィエ。


              まぁ、クレロンとの絡みの部分では

              キルヒシュラーガーの強い個性とセリフで

              海千山千のクレロンには10年早いわ、という

              アホな男になっていたが。


              註 ご存知とは思うけれど

              クレロンとオリヴィエは昔の恋人同士。

              クレロンも悪女で、戸惑っているオリヴィエに


               この間の台本は完成してくれたの?

               ちょうど良いところで中断になっちゃったわね


              ・・・なんて、思わせぶりなセリフを言っておいて

              オリヴィエが未練たらしく話しかけてくると


               ねぇ、わかってるの?

               私たちの間には過去しかないのよ?


              それに対してオリヴィエが


               美しい過去がね


              とやると


               派手に爆発して終わったけどね


                (あくまでも意訳です)


              ・・・ここら辺のやりとりが

              バレエと舞台上のトリオの妙なる音楽とともに

              舞台の端っこで、さりげなく演じられるのだ。

              このシーン、ものすごく好き ♡


              キルヒシュラーガーのクレロンは

              役としては得な役で

              言葉を重視する女優の役に

              リヒャルト・シュトラウスは一番美しいメロディを

              惜しげもなくふんだんに使っている。


              難しい歌の多いなかで

              クレロン役って、音楽的には一番楽だと思う。


              前のシーズンのような、出しゃばり感が少し薄くなって

              海千山千で、自分の魅力をよく知って

              それを充分に活用している強い女のイメージが前面に出ている。

              あの感じだと、あまり反感は持たなくて済む (好みの問題ですが)


              で、ラロッシュ役のクルト・リードル(と読むのか、ライドルか?)だが

              オックスとか、無口な女のオジサン役で何回も聴いた事があって

              ラロッシュ役のイメージには、一番近い。


              今までの配役だと、最初のハヴラータは巧かったけれど

              ちょっとまだ、あの老練な感じは出ず


              バンクルは、声量はむちゃくちゃある上に

              ドイツ語の発音が非常にクリアだったのだが

              いかんせん、声の質が若過ぎて

              どうしても、あの、ラロッシュの重量級のアクが出なかった。


              それに比べると、リードルのラロッシュは

              声のイメージは、もろにラロッシュなのである。


              が・・・


              ドイツ語が聴こえにくい部分が多少あるし

              音符に忠実に歌っておらず

              更には、今日は途中で音程がトチ狂った部分があったかと思ったら

              オクテットの後のバタバタしたところで

              入りそびれて、1フレーズすっ飛ばした。


              確かにあのオクテット、演出のせいもあって

              イタリア人のソプラノとテノールの最後の部分が

              ちょっと長くなっていて


              加えて、美声のブルンスが

              楽譜にない高音の C を、しかも延ばして歌っちゃうので


              それにオーケストラが被さって

              次のフレーズを演奏してしまうと

              入りそびれるのも仕方ないが。

              (指揮者、いったい何してる?(怒))


              イメージがピッタリ合うだけに

              音楽的にまだ充分こなれていないのが何とも残念。


              声量もバッチリあるのだけれど

              低音が今ひとつ響いて来ない・・・というより

              低い音になると、ドイツ語が聴こえて来ないし

              時々、音を外してしまうので

              聴いていて、ちょっとヒヤヒヤする。


              プレミエからずっと執事役を努めている

              クレメンス・ウンターライナーが素晴らしい。


              この人、本当に音感が抜群で

              (たぶん、絶対音感の持ち主だろう)

              ちょい役なのだが、声はなめらかで音を絶対に外さないし

              (最終場面では、出だしにオーケストラが入らない、かなり面倒な部分がある)

              役作りがしっかりしているので

              あの面々の中で、唯一「まとも」な執事が生きてくる。


              間奏曲の前には、ホルン・ソロ2名が

              むちゃくちゃ神経質になっていて

              (オーケストラ・ボックス見えました)

              はっはっは、今日もカメラ入ってるしね、と思っていたら


              第一ホルンが突然反乱(笑)


              指揮者の振ってるテンポと違うぞ、それ早過ぎ(汗)


              いや、指揮者のテンポが遅過ぎるのはわかる。

              あのテンポでホルンのソロは人間技ではないのもわかる。


              でも、ズレてるぞ、と思ったら

              次に入ったクラリネットが指揮者テンポで演奏しだし

              弦が、やっぱり指揮者テンポで入ってきたので

              ホルン奏者も諦めて、指揮者テンポに合わせたけれど


              日本では「根回し」って言葉があるんだよ!!!


              と声を大にして教えてあげたくなった(本気)


              まぁ、舞台上では、クレロンのキルヒシュラーガーも

              一回だけ反乱したし

              (そりゃ、あの最後の長いフレーズ

               エッシェンバッハのテンポじゃ無理!)

              今日のオーケストラ、途中でもテンポが合わず

              かなりズレズレでヒヤヒヤしたところもあったので

              (結構、みんな巧く誤摩化してはいたけど

               明らかにヘン・・・というのも何回か(笑))


              3回目がどうなるか、今から楽しみ(こらこら)


              すみません、イヤな聴衆で。


              先日まで、頭の中でずっと

              ドン・キショットの音楽が鳴っていたのだが

              今日は朝から、ずっと頭の中でカプリッチオが鳴っていた私に

              どうぞ1クリックをお恵み下さい。



              先週は34℃まで気温が上がったのに

              今日は雨で13℃。信じられない気温差に病欠のスタッフも多い。




              ウィーン交響楽団 + ケント・ナガノ

              0

                Konzerthaus Großer Saal 2013年6月21日 19時30分〜22時

                Konzerthaus Großer Saal 2013年6月22日 19時30分〜22時


                Arnold Schönberg (1874-1951)

                "Gurre-Lieder"


                Waldemar : Jay Hunter Morris (Tenor)

                Tove : Angela Denoke (Sopran)

                Waldtaube : Mihoko Fujimura (Mozzosopran)

                Bauer : Albert Dohmen (Bariton)

                Klaus-Narr : Kurt Azesberger (Tenor)

                Sprecherin : Sunnyi Mellis


                Wiener Singakademie (Einstudierung : Heinz Ferlesch)

                Orfeó Català

                Cor de Cambra del Palau de la Música Catalana

                (Einstudierung : Josef Vila i Casañas)

                Herren des Chores des Slowakischen Nationaltheaters

                (Einstudierung : Pavol Procházka)


                Wiener Symphoniker

                指揮 Kent Nagano


                コンツェルトハウスのウィーン交響楽団チクルスの最後の公演と

                次の日のチケットを買って、2回行ってきた。


                本当は2回分書くつもりだったのだが

                いや、あの、その、いつもの通り、忙しくて(以下省略)


                プログラムには「終演21時45分 休憩なし」と記載があり

                初日は、最初から、たぶん、200人近いコーラスが舞台に上がり

                (舞台に上がりきれず、オルガンの後ろのバルコンと

                 脇のロジェの1つ目までコーラスのメンバーが入った)

                大規模オーケストラと相まって

                ものすごい舞台。


                オーケストラだって

                ちょっと見たところ、ホルンが11名

                フルート・ピッコロ舞台が7名

                トランペットだって8人くらい居て

                コンツェルトハウスの広い舞台がビッシリ。


                で、初日だが

                前の日に4時間ほどしか寝てなかったし

                前半が眠くて眠くて・・・(自爆)


                前半のオーケストレーションは

                フランス風味が強くて、かなり伝統的な味わい。

                ワーグナーとツェムリンスキーとマーラーを混ぜたような感じ(笑)


                王様とその愛人のラブソングが延々と続く。

                ヴァルデマー役のテノールは、声はかなり出る。

                初日はドイツ語の発音がちょっと気になったけれど

                声に表情があるし

                初日の後半で見せた疲れは、2日目では見せず

                最後まで見事に歌いきった。


                対するトーヴェはアンゲラ・デノケで

                高音は美しく伸びる。

                多少セーブしていたのか

                表現を主体にしたのか

                声量でオーケストラを圧倒する事はせずに

                溶け込んだアンサンブルを聴かせてくれた。


                その分、ちょっと物足りない感じはしたが。


                2日にわたって圧倒的だったのは

                藤村実穂子さんのメゾソプラノ。


                美声だし、声量あるし

                しかも、ドイツ語が非常に美しく

                本来のドイツ語の意味に沿った歌唱表現力が見事。


                もちろん役の違いはあるけれど

                デノケより、ずっと印象的。


                ところで、初日だが

                プログラムには休憩なしの記載があって

                コーラスも全員舞台上に集合していて

                第一部が終わった後

                何人かが拍手したのを、周囲の人が押さえたのにもかかわらず


                指揮者がお辞儀したので

                当然、観客全員が拍手し出す。


                オーケストラが起立して

                歌手が出てきて、拍手を受けて

                そしたら、会場の照明がついて


                そのまま流れとして休憩に突入(吃驚)


                前半、ずっと座っていたコーラス

                出番なしで退場(笑)


                2日目は劇場の人が出てきて

                「本日は第一部の後に休憩があります」とアナウンス。

                コーラスも前半は舞台に現れなかった。

                (そりゃそうだ、初日はかわいそうだった)


                後半は、特に第3部は、前半とは全く違うオーケストレーションで

                ヴァルデマールの悲しみの歌はともかくとして

                農民の歌に続く、道化師の歌が、新鮮でむちゃ面白い。


                男性コーラスは、いったい何人いるの?と言うくらいデカイ。

                ウィーンの合唱団だけで足りず

                何故かスペインからアマチュアとプロ

                お隣のブラティスラヴァから、歌劇場合唱団を借りてきた。


                ブラティスラヴァからだったら、日帰りできますし(笑)

                (片道60キロ、1時間ほど。日本で言えば通勤圏(大笑))


                あれだけの人数の男性合唱団が歌うと

                かなり迫力あって良いかんじ ♡


                「夏風の荒々しい狩」のシュプレッヒ・シュティメの部分は楽しい。

                もちろん女優さんがマイクでやったのだが

                いやいや、喋っている方も楽しそうである。


                道化師とシュプレッヒ・シュティメの

                斬新な部分が終わって

                「太陽を見よ」のコーラスに入ると


                まぁ、これは大音響で聴衆を圧倒する、という

                よくある手法というか

                現代だったら、ロックでもこういう感じ?(笑)


                まぁ、華やかに盛り上がるので、確かにウケるのだが

                マーラーほどの圧倒的な感動は・・・あまりない(すみません)


                しかし、あの大人数の大音響の曲は

                やっぱりコンツェルトハウスだからこそ上演が可能だ。

                楽友協会でやったら、目も当てられない。

                というより、まず舞台に乗らないだろうが。


                指揮者のケント・ナガノは

                あれだけの大人数のオーケストラとコーラスを

                完全に把握していて

                的確な指示をするし、キューも正確で

                見ていて非常に気持ちが良い。


                奇を衒ったり、自分だけが目立とうとかしたら

                あの人数のオーケストラと合唱団、ソリストを掌握できない。

                ああ、この人、オペラにも馴れてるな・・・

                オーケストラ・ピットでの技術が

                存分に活かされていた舞台だった。


                あれだけ大掛かりになると

                そうそう回数は上演できないだろうけれど

                また機会があったら、ぜひ聴きたい、と思う私に

                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                ものすごい暑さも土曜日には一段落。
                来週はちょっと寒くなりそう(笑)
                気温の上下が激しくて、身体がついていきません。


                カプリッチオ 国立オペラ座

                0

                  Wiener Staatsoper 2013年6月20日 20時〜22時45分


                  Richard Strauss

                  Capriccio

                  Konversationsstück für Musik

                  Text von Richard Strauss und Clemens Krauss


                  指揮 Christoph Eschenbach (国立オペラ座デビュー公演)

                  舞台・演出・照明 Marco Arturo Marelli

                  衣装 Dagmar Niefind

                  振付 Lukas Gaudernak


                  侯爵夫人 Renée Flemming
                  侯爵(兄) Bo Skovhus
                  フラマン Michael Schade
                  オリヴィエ Markus Eiche *
                  ラロッシュ Kurt Rydl *
                  クレロン Angelika Kirchschlager
                  ムッシュ・トープ Michael Roider *
                  イタリア人女性歌手 Íride Martínez *
                  イタリア人男性歌手 Benjamin Bruns *
                  若い女性ダンサー Josefine Tyler
                  若い男性ダンサー Samuel Colombét
                  執事 Clemens Unterreiner
                  使用人たち Wolram Igor Derntl, Michael Wilder, Martin Müller, Johannes Gisser
                  Jens Musger, Oleg Zalytskiy, Burkhard Höft, Konrad Huber

                  トリオ Daniel Froschauer, Raphael Flieder, Kristin Okerlund


                  私だって忘れていたが

                  カプリッチオの鑑賞は、今回で10回目。

                  で、国立オペラ座としては12回目の公演なので

                  ほとんど行ってる計算である(笑)


                  今回は何と指揮者にクリストフ・エッシェンバッハが登場。

                  国立オペラ座デビュー。


                  ・・・エッシェンバッハってオペラなんか振れたっけ?

                  (って失礼な!)

                  コンサートでは、よくお目にかかっているけれど

                  オペラのオーケストラ・ピットに入ったのは見た事がない。


                  こっそり「隠れロマンチスト」と呼んでいるが

                  確かにこの人、外見と中身が全然違う(断言)


                  外見はスキンヘッドで、コワモテのお兄ちゃんだが

                  中身は、かなりの女型というか

                  ともかく、ロマンティックで、オーケストラを歌わせて

                  ちょっとメランコリックなところまで出現する。


                  既に序曲から、大袈裟な程、甘さが出てきて

                  私の好みとしては

                  あそこまでウエットに響かせなくても、と思ったくらい。

                  弦楽器が最初から泣き節で、ちょっと参った。


                  キャストとしては

                  フレミング、スコフス、シャーデとキルヒシュラーガーは持ち越し。


                  エロードがずっと歌っていたオリバーが、マルクス・アイヒェに変わり

                  ラローシュ役をクルト・ライドル

                  ムッシュ・トープがヨイシッツからミヒャエル・ロイダーになった。


                  さすがに10回目で高い席は買えない上に

                  シーズン開始すぐにスタンド・バイをかけていたので

                  席は非常に悪く(11ユーロですから(笑))

                  どうやっても舞台は見えないけれど

                  演出は知ってるから、まぁ、それはどうでも良い(かもしれない)


                  最初の頃はフレミングのドイツ語が上手くないっ!と

                  よく憤慨していたけれど

                  まぁ、多少の難はあるにしても

                  あの声の素晴らしさで、ちょっとした発音の不器用さは許そう。


                  リヒャルト・シュトラウスのソプラノ苛めに負けず

                  最後のモノローグまで(しかも高音ピアニッシモ)ちゃんと歌える歌手は

                  かなり少ないだろう。

                  (イソコフスキーがレパートリーにしないかなぁ。メルベスでも良いが)


                  席が悪いので、残念ながら音の響きもあまり良くない。

                  (ロジェは荷物を置いたり出入りが楽なのは良いのだが

                   1列目のむちゃ高い席と2列目以降では音響が全く違うのだ)


                  スコフスの侯爵は、もう馴れたもので

                  ドイツ語もキレイだし

                  (そりゃ、あの役で聞き取れないドイツ語だったら悲惨だ)

                  コミカルな演技もバッチリ。


                  ミヒャエル・シャーデの甘い声は

                  声量はあまりないけれど

                  (前に出てくれば、かなりの声量で聴こえる)

                  ソネットなんかのソロでは

                  もう、ウットリというか


                  あんな甘いテノール聴いて

                  心を動かされないマドレーヌは何なんだ!

                  (あ、いえ、個人的な感想で(呆))


                  でも、オリバー役のマルクス・アイヒェが

                  実は見事に良かったのである!!!


                  まだ個性としては強烈ではないけれど

                  声は出るし、ドイツ語も明確だし

                  エロードほどの癖はないけれど

                  オリバー役を真面目に歌い上げている。


                  以前からのメンバーが

                  音楽的にちょっと崩れる部分を見せていたのに対し


                  今回がオリバー役のデビューとなるアイヒェは

                  隅から隅まで、手抜きのない歌唱で

                  音楽的には、崩れが見えないだけに、最も安定していた。


                  ラローシュのクルト・ライドルは

                  あの老獪な役にはピッタリ合う。

                  けれど、声に多少のムラがあって

                  聴こえてくる部分と、聴こえない(あるいは誤摩化している)部分との差が激しい。


                  ただ、シロウトの無謀と誹られるのを覚悟で言えば

                  あれは、オーケストラ(というか指揮者?)もちょっと悪い。

                  テンポの取り方が

                  あっ、あの歌詞のセリフでそのテンポは無理、という部分が

                  かなりあった(ような気がする)


                  しかもエッシェンバッハ、舞台みて振ってるし。

                  (う〜ん、歌手を指揮棒で引率しようとしても、それちょっと無理かも・・・)


                  ところで、私が注目していたのは

                  イタリア人歌手を歌った、ベンジャミン・ブルンスである。


                  この歌手、昔、ビリー・バッドのチョイ役で

                  うわ〜〜〜っ、何だこのテノールの美声は!!!!と

                  一人で大騒ぎしていた注目株。


                  今回のイタリア人歌手の役での歌唱は


                  お見事!!!!(最大限の賛辞←しかも本気)


                  声は伸びるし甘い。柔らかくてビロードみたい。

                  私の目、いや、耳に狂いはなかった、うん(勝手に納得)


                  それに比べるとイタリア人女性歌手は

                  ちょっと、何じゃあれ? という出来だったが(失礼)


                  使用人たちのコーラスが意外に上手くて驚いた。

                  ちゃんとセリフもハッキリ聴こえてくるし(それ、むちゃ大事)

                  しっかり皮肉が効いて素晴らしいシーンとなった。


                  今日の公演は

                  テレビが入っていたのか

                  あるいは DVD 収録なのか

                  大型カメラがあちこちで活躍していたので

                  みんな張り切っていたのかもしれないが

                  (それにしては、オーケストラと歌手のズレがかなり・・・)


                  間奏曲の演奏が見事。

                  よしよし、ホルンのソロ、良くやった。


                  あのエッシェンバッハのゆっくりしたテンポで

                  息継ぎがタイヘンだったのは伝わって来たが

                  それでも、ミスなしで演奏し通したのは素晴らしい。


                  (滅多にミスなし間奏曲は聴けないのである(爆))


                  モノローグの後の最後の部分を

                  ロマンティックに、実にゆっくりと、引っ張って引っ張って

                  プログラムには終演22時30分と書いてあったけれど

                  しっかり22時45分までかかって終わり。


                  まだちょっと熟れていなくて

                  バタバタしている感じは残っているけれど

                  歌手にハズレはないし

                  役デビューのアイヒェとライドルも良かったし

                  外の気温が23時近くても、28℃あった事はさて置いて

                  オペラの後にまた仕事しにオフィスに帰った事もさて置いて


                  やっぱり良いわ〜、カプリッチオ ♡


                  もちろん、これから続く公演2回のチケットも

                  しっかり押さえている、カプリッチオ・フリークの私に

                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  ウィーンは現在、サハラ砂漠のごとく暑い(ホント)

                  記事アップの時間は変えてあります。今、午前3時、4時間寝て仕事(笑)


                  国立バレエ 「ドン・キショット」 最終公演

                  0

                    6月19日に
                    今シーズン最後の国立バレエ団の「ドン・キショット」を見にいった後

                    ザルツブルクから来ている
                    絶世の美女と、真夜中過ぎまでワイン飲んで喋っていたので
                    (註 最近、絶世の美女は時間がなくてアップしていないが
                       絶世の美男子が、楽しい記事をアップしている)

                    感想記書いている時間がなくて

                    ごめんなさい!!!

                    何とか頑張って後でアップします。

                    ローベルトがバジル役のデビュー。
                    フォルクス・オーパーの「ル・コンクール」で
                    ぶっ飛んだアメリカ人審査員役を踊っていたガラが
                    ジプシー女の役でデビュー
                    スーパー・キュートなアモール
                    テンポがこの間と全然違っていたので
                    ズレズレになったオーケストラ
                    シュトイデさんと新人チェリストの妙なるソロなど
                    見応えのある公演だった (^^)v

                    ではまた・・・・
                    (20日の夜はカプリッチオなのだが
                     これ、22時30分までで休憩なし。
                     自宅帰ったら、たぶん、真夜中・・・)

                    では下記が正式の記事です ♡

                    Wiener Staatsoper 2013年6月19日 19時〜21時45分


                    Don Quixote

                    Ballett in einem Prolog und drei Akten nach Marius Petipa

                    振付と演出 Rudolf Nurejew

                    音楽 Ludwig Minkus

                    舞台と衣装 Nicholas Georgiadis

                    照明 Marc Anrochte

                    指揮 Kevin Rhodes


                    ドン・キホーテ Kamil Pavelka

                    サンチョ・パンサ Christoph Wenzel

                    ロレンツォ Gabor Oberegger

                    キトリ Nina Poláková

                    バジル Robert Gabdullin *

                    ガマッシュ Jaimy van Overeen *

                    キトリの友人 Eszter Ledán, Reina Sawai

                    ダンサー Gala Jovanovic *

                    エスカーダ Roman Lazik

                    年老いたジプシー Igor Milos

                    年老いたジプシー女 Gerit Schwenk

                    ジプシー Davide Dato

                    ジプシー Iliana Chivarova, Flavia Soares

                    ドリアーデの女王 Olga Esina

                    ドルシネア Nina Poláková

                    アモール Natascha Mair

                    ドリアーデ Ioanna Avraam, Alice Firenze, Prisca Zeisel

                    花嫁の付き添い Ioanna Avraam

                    管理人 Marian Furnica

                    管理人の妻 Eva Polacek


                    9回目の鑑賞になるドン・キショット、

                    今シーズンの最終公演。


                    いやいや、9回観ると

                    さすがに音楽覚えてしまうというか

                    ずっと、あの楽しい音楽が

                    ポコポコと頭の中に鳴っている。

                    バレエ音楽としては、かなり出来の良い音楽だと思う。


                    さて、21回目の上演で役デビューが何人かいて

                    バジル役のデビューが、ローベルト。

                    読者ご存知の通り

                    ロシア人だが、ちょっとアジア系の顔をしていて

                    何か、韓流スターみたいなトキメキを感じさせるタイプ。


                    しかし、バレエ・ダンサーって

                    何で踊っている時に

                    あの「張り付いたような歯を見せる笑顔」になるんだろう?


                    大変な運動量でキツイと思うけれど

                    それを見せないための仮面ではあろうが

                    仮面みたいな笑顔って、時々、ちょっと痛々しい。


                    でも、ローベルトは演技もしっかりする。

                    第1幕の、キトリとの喧嘩のシーンなんか

                    うわ、何だかものすごくリアルに怒ってるぞ、という

                    実に豊かな表情を見せるのだ。


                    踊ってる時も仮面じゃなくてナマの表情の方が良いのに

                    ・・・というのはシロウトの勝手な思い込み。


                    アジア系のくせに(こらこら)あの表情の豊かさは素晴らしい。


                    第1幕が、ダンサーとしてはギリギリのところ、という印象があって

                    最後まで持つかしら?と、ちょっと心配になったけれど


                    ローベルトのソロの部分は

                    かなりテンポを落としてオーケストラが演奏していた。


                    で、テンポこの間と違い過ぎて

                    オーケストラが時々、ズレまくってたけど(笑)


                    不思議な事に、ローベルトは2幕目からどんどん調子を上げて

                    (ああ、若いってスゴイかも・・・)

                    最後のコミカルな演技を

                    実に楽しそうにこなして


                    最終シーンの、あの超人間的なデュエットとソロを

                    余裕綽々で、実に優雅に完璧に踊ってくれたのには

                    目が点になった。


                    後で聞いたら、この舞台の後

                    ローベルトはプリンシパルになったとの事。

                    公式ニュースにも載ってる。

                    おめでとう!!!!

                    それだけのバレエを踊ったよ、キミは。うんうん。


                    ニーナのキトリも余裕たっぷりで安定した踊り。

                    ローマンのエスカーダは、ともかくカッコいい。


                    ジプシー役のデビューとなったガラ・ジョヴァノヴィッチは

                    フォルクス・オーパーのル・コンクールで

                    アメリカ人審査員を踊ったダンサー。


                    ル・コンクールの時から

                    とても明るい、メリハリの効いた踊りをする魅力的なダンサーだな、と思っていたが

                    とうとう国立オペラ座に上がってきた。

                    ジプシーの役にはピッタリで

                    かなり、こまっしゃくれたチャーミングなジプシー。


                    エスカーダを手玉に取ってるぞ、こいつ(笑)


                    アモールのナターシャは、この間観て

                    きゃ〜〜〜っ、スーパー・チャーミング!!!と思ったけれど

                    今回観ても、やっぱり、めちゃくちゃ超チャーミング。

                    本当にカワイイ。人形みたいにカワイイ。

                    世界苦に悩むオルガと一緒に踊っても

                    個性として、全く負けていない。


                    うわ、この子、どこまで伸びるだろう?


                    しかし楽しいプロダクションだ。

                    今回はチケット確保にちょっと遅れを取って

                    まぁ、観られなくても良いや、という感じで席取りしたのだが

                    (よって、あまり良い席は確保できなかった(涙))


                    財布がかなり軽くなろうが

                    仕事が溜まって身動き取れなくなろうが

                    睡眠不足でクラクラしようが


                    行って良かった!!!!


                    と思う懲りない私に

                    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                    ゲオルク・ニーグル 「美しき水車小屋の娘」

                    0

                      Konzerthaus Mozart Saal 2013年6月17日 19時30分〜21時


                      バリトン Georg Nigl

                      ピアノ Gérard Wyss


                      Franz Schubert (1797-1828)

                       Die schöne Müllerin D 795


                      またもや、美しき水車小屋の娘か・・・と

                      読者諸氏は思うかもしれないけれど

                      聴き込んでいる曲だからこそ

                      様々な歌手の表現を楽しめる、というのもある(断言)


                      オーストリア人バリトンのゲオルク・ニーグルのリサイタル。

                      ニーグルのリートの夕べを最後に聴いたのは

                      2010年11月だった (おヒマな方は ここ


                      舞台を見ると

                      ピアノがピアノじゃない。

                      いや、ピアノなのだが

                      いつもの黒いスタインウェイとか

                      ベーゼンドルファーじゃなくて

                      茶色で小粒な

                      一応、グランド・ピアノの形はしているけれど

                      プログラムに書いてある通り

                      ハンマークラヴィーアなのだ。


                      よって、出てくる音も面白い。

                      面白いというより

                      何だか、ものすごく懐かしい。

                      昔々、子供の頃に

                      アップライト・ピアノで叩いたような

                      そんな感じの不思議な音色。


                      シューベルト時代って、こういうピアノだったんだなぁ、と

                      今さらながらに、何となく納得。


                      コンサートの前に支配人が出てきて

                      歌手の調子があまり良くないので

                      楽譜を前に置いて歌います、と、ごめんなさい宣言があったが

                      別にドイツ・リートを全部暗譜して歌わなくても

                      (まぁ、プロだったら、こういうスタンダードな曲は、とは思うが)

                      暗譜はしているのだから

                      時々、気休め、というような形であれば

                      反対はしない。


                      ニーグルの声は、バリトンというよりはテノールに近い。

                      中音域をそのまま発声すると、テノールの響きに近い。

                      もっとも、高い音は、ちゃんと音程として当ててはいるが

                      フラジオレットみたいな音で出していたから

                      高音をフォルテで出せ、と言ったら

                      崩れてしまうタイプかもしれないが。


                      太いバリトンで「美しき水車小屋の娘」を歌われると

                      何となく抵抗のある私も

                      ニーグルのテノールっぽい響きの声なら違和感がない。


                      (だって、やっぱりあのテの弱々しい男の歌は

                       ぶっとい声のバリトンとかバスが歌ったら

                       瑞々しさがなくなってしまうような気がする。

                       反対に「詩人の恋」はテノールじゃなくて

                       バリトンかバス向けだと思う。まぁ、好みの問題ですが)


                      テノールに近い細めの声なのだが

                      低音は太く響かせて

                      うわ、この人の声って

                      本当に自由自在に表情が出る。


                      シューベルトなので、大袈裟な表現は意図的に避けて

                      淡々と歌うのだが

                      狩人や、憎々しい緑、なんて歌う時に

                      チラッと抑えきれない情念が出て来るのは凄い。


                      しかも「狩人」の前の

                      「娘さん」が出現する例の

                      Es kommt ein Regen, Ade !  ich geh nach Haus

                      が、他の歌手と全く違う表現で


                      たいていの歌手は、唯一出てくるこの台詞を

                      非常にチャーミングに歌うのだが


                      ニーグルの歌った「娘」は

                      何か、すごく気が強そう(で、ちょっとコワイ)


                      これが「狩人」を前にしての伏線だったら

                      たいしたものだ。


                      リートを歌う歌手は

                      ピアニッシモが美しくないと私は許せないのだが

                      ニーグルのソット・ヴォーチェは素晴らしい。


                      甘くて甘くて(声の質が!)

                      それを、シューベルトらしい

                      アッサリとした諦観の表現で甘い声を出すので

                      甘くなりすぎず

                      よって、聴いていてゲッソリする甘さではないので

                      ものすごく美味なのだ(って言ってる事わかりませんが(爆))


                      以前聴いた時は息継ぎが気になったけれど

                      今回は長いボーゲンをしっかり余裕たっぷりに歌ってくれて

                      メロディのぶち切れがなくて、大満足。


                      シューベルト時代のハンマークラヴィーアで

                      当時歌われた時には

                      こんな上手に歌う歌手はいなかったと思うけれど(笑)


                      懐かしいハンマークラヴィーアの硬めの音と相まって

                      大満足の「美しき水車小屋の娘」

                      終わるのがもったいないくらいで

                      うわ〜、もっとその声、聴かせておくれ!!!


                      アンコールは Wanderers Nachtlied と

                      あまり知られていない Abschied と言う曲で

                      これも、めちゃくちゃ美味だった。


                      あまりリサイタルを行わない歌手で

                      次はベルリンで細川俊夫の「班女」に出演し

                      (あああああっ、見に行きたいっ!!!)

                      6月終わりのコンツェルトハウスの

                      「カルミナ・ブラーナ」にも出演予定。

                      10月はマドリッドでリームのオペラに出る。


                      そんなスゴイ予定の中を

                      スタンダードな「美しき水車小屋の娘」を

                      あのレベルで歌いこなすのだから、たいしたものだ(脱帽)


                      しかしドイツ・リートの夕べ、しかもコンツェルトハウスの小ホールだと

                      ホールが完全に老人ホームに化すのは何故だろう・・・と

                      不思議に思う私に

                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                      突然夏がやってきて

                      本日の気温は32℃まで上がった。

                      ・・・・つい数日前まで、10℃くらいじゃなかったっけ?(涙)


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