イム・プルス・タンツ 国際コンテンポラリー・フェスティバル

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    昨日と同じプログラムのコンサートに

    ウキウキと出かけて

    またもや、おおおおっ!!!という感じで

    モーツァルトは半分寝ながら聴いて

    (しかし、あの単純でいて澄んだ音は何なんだ!?)

    洒脱なベートーベンの8番に

    またもや大感激して

    地下鉄を反対方向に乗ってしまい

    3駅目で気がついて

    慌てて反対側のホームに走った私だが(ただの間抜け)


    同じ感想を2回書いても

    読者の顰蹙を買いそうなので


    本日は、もっと人気のない

    コンテンポラリー・ダンスについて書く(きっぱり)


    毎年夏に行われる

    イム・プルス・タンツ

    ウィーン国際コンテンポラリー・ダンス・フェスティバルは

    今年で何と30回目になる!!!(ビックリ)


    こんなマイナーな催しが30年って

    ウィーンってどういう街??


    ・・・というのはさておいて

    (現代芸術だから、オーストリア政府からの経済的支援が

     ものすごくあるに違いないのである。

     もちろん、内情は我々の税金だ)


    さて、大枚39ユーロを叩いて

    パーフォーマンス・カードを購入。


    これ、全プロダクションにつき15%の割引が効くのだが

    だいたい安いチケットしか買わない私は

    それではペイしない・・・


    だが

    実はプログラムも無料なので

    プログラム1回チップ入れて2ユーロとすると

    20公演行けば、それだけでカバーしてしまうのである。


    いやいや(汗)20公演は行きませんが・・・


    売り出しが始まったばかりなので

    カレンダー見ながら(どうせ7月・8月はがら空き)

    せっせとチケット買って

    16公演買ったところで、計算してみて350ユーロになったので止めた。


    うう、これさえ行かなければ

    iPad mini くらい買えたのに・・・・(大汗)


    モノはコンテンポラリー・ダンスである・・・・はずなのだが

    最近、ダンスと言うよりは

    ワケのわからん現代芸術的パーフォーマンスが増えていて


    踊っているのか

    ただ動いているのか

    クネクネしているだけなのか

    それとも、ただ、そこに居るだけなのか


    よくわからんものもたくさんある(ホント)


    以前鑑賞した事のあるカンパニーは

    だいたい評価が出来ているから

    もう行かん、と決めたアーティストも当然居るわけで

    それは外す。


    しかし!!!!(怒)

    何故、怒っているかと言うと


    私の好きなケースマイケルの公演が

    何で一回だけで

    しかも7月の土曜日??!!!


    既に昨年の11月に

    7月・8月の毎週末のグラフェネック城での

    コンサート・チケット、全部買いまくったのに・・・


    7月分はどうせ最後の頃に余って

    トーンキュンストラー・オーケストラから

    チケット割引のお知らせが入ってくる事が多いが

    それまで待っている忍耐が私にはないので

    安いチケットを全部買ってしまっているのだ。


    (だいたい、11月のクリスマス資金が給料と一緒に出て

     ちょっとだけ懐は豊か・・・にならないけれど

     気が大きくなる時を狙ってチケット販売というのも(以下省略))


    いかん、グラフェネックの宣伝じゃなくて

    コンテンポラリー・ダンスの話であった。


    バレエは美しいからともかくとして

    コンテンポラリー・ダンスって何なのよ?!という方が多いと思う。


    いや、実は私にも、わかりません。

    クラシック・バレエではとても舞台向きとは言えないけれど

    それでも踊る事が好きで才能があって

    クラシックの型に嵌らない革新的な身体の動きを見せてくれる

    ・・・・というのが、本来のコンテンポラリー・ダンスなのだろうが


    露出狂の自己満足

    極端な自己表現欲の発露というか

    端的に言ってしまえば


    かなりイタいカンチガイ


    という演目も、実は非常に多い。

    (営業妨害ではございません、はい)


    ただ、カンチガイ・アーティスト(自称)も結構居るわけで

    それはそれで

    もしかしたら、私だけが「あ、カンチガイ」と思っているだけかもしれないし

    だいたい、未来に残るような芸術は

    その時代にはカンチガイとしか思われないので

    当該のアーティストは、時代の先の先を走っているのかもしれない。


    まぁ、芸術的感性に徹底的に欠けている私には

    アーティストの世界は所詮、理解できませんので

    悪しからず(あ、逃げた)


    現代音楽だって、現代美術にしても

    かなりイタいカンチガイと言うのは多いのだが

    それはそれで良いのである。


    モーツァルトやベートーベンの時代だって

    泡沫音楽家は山ほど居たに違いない。

    (優れた泡沫音楽家も居たのだろうが)


    ほとんどがイタいパーフォーマンスだったとしても

    その中のいくつかは

    ものすごく印象に残るものがある。


    今までのコンテンポラリー公演でも

    忘れがたいものが何公演かある訳で

    玉石混合というのは

    その中から、あっ!と思うものを見つけるという楽しみがある。


    どのコンサートに行っても

    どのオペラに行っても

    まずツッコミどころのない超一流か一流公演の多いウィーンで


    このイム・プルス・タンツ・コンテンポラリー・ダンス・フェスティバルと

    現代音楽のヴィーン・モデルンは

    極端に出来 好みが分かれるので

    実は、そういうワクワクがある。


    出来上がった超一流や一流も面白いけれど

    まだ、全然ダメで、でもその中にキラッと光るものがあったり

    あるいは、本当に

    今までこんなの見た事ないっ!!!という

    ショックを受けるパーフォーマンスもあるというのが


    (無理矢理)コンテンポラリーの面白さ!!!


    まぁ、舞台で公演している人も

    それを観に来ている人も

    みんなアーティスト、という

    何か、仲間内で慰め合ってる、みたいな気味悪さもあるけど(爆)


    7月後半から8月前半にかけて

    ウィーンで何にもやってない!とお嘆きの皆さま

    ヘンで不思議で

    時々、何じゃそれ?とツッコミたくなる

    コンテンポラリー・パーフォーマンスも

    ぜひお忘れなく


    ・・・と一応宣伝しておく私に

    どうぞ1クリックをお恵み下さい。




    Im Puls Tanz のビデオ・クリップ・ギャラリーは ここ

    気味悪いと思う方もいらっしゃるかも・・・(笑)

    実際に鑑賞すると、そう悪くはありません(本気)



    ウィーン交響楽団 + デイヴィッド・スターン

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      Konzerthaus Großer Saal 2013年5月30日 19時30分〜21時30分


      Wiener Symphoniker

      指揮 David Stern

      ピアノ Rudolf Buchbinder


      Felix Mendelssohn Bartholdy (1756-1791)

       Ouverture "Die schöne Melusine" op. 13 (1883-35)

      Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)

       Klavierkonzert Es-Dur K 482 (1785)

      Ludwig van Beethoven (1770-1827)

       Symphonie Nr. 8 F-Dur op. 93 (1811-12)


      オーストリアの祝日でオフィスはお休み。

      まぁ、もっとも、そういう時に限って何か起こるものなのだが

      それはそれとして(笑)


      日本で不評だったらしいウィーン交響楽団。

      やっぱり指揮者の大野和士とは最後まで合わなかったようだが

      今回の指揮者はデイヴィッド・スターンって

      知らないけど、それ、誰?


      (写真は IMG Artist から拝借。

       ちょっとだけ、ビリーに似てると思う)


      偏見なしにコンサートに行ってみたら

      オーケストラの編成が小さい。

      まだ日本に残って荒稼ぎ いや音楽活動をしているメンバーも居るのだろう。


      メンデルスゾーンで、あれ?と思った。

      実にクリアな響きを出してくる。

      小編成の良さなのか

      日本で不評を買ったとは思えないアンサンブルのバランスの良さ。


      コンツェルトハウスがオルガン・バルコンまで満杯なのは

      ピアニストのルドルフ・ブフビンダーの人気なのかもしれないが

      演奏するのは、モーツァルトのピアノ協奏曲。


      いつもなら、ぐっすり熟睡の時間・・・(爆)


      が・・・・


      あれあれあれ????


      何て美しい響き。

      ちょっとやりきれない程の優しさと

      クリアなオーケストラの音に絡まってくる

      純粋に音楽的な、実に澄んだピアノの響き。


      第2楽章のあまりの美しさに陶然となってしまい

      第3楽章のフィナーレになったら、呆然・・・・


      後半部分で、ソロ楽器とピアノが絡まる部分があるのだが

      何、これ??!!!! という程

      その絡まり方が、あまりに見事で、腰が抜ける程の驚き。


      ちょっと待て

      ウィーン交響楽団って、こんな澄んだ響きで

      こんなにビアノと一緒になって

      素晴らしいアンサンブルを見せるオーケストラだったっけ?

      (すみません、侮辱に近い発言かも・・・(汗))


      ブフビンダーも快心の出来だったのだろう。

      何回も舞台に呼び出されて

      アンコールに選んだのが

      第3楽章の、例のソロ楽器との絡みから最後までのリピートだった。


      いかん、モーツァルトは睡眠導入剤の筈なのに

      何でこんなに感激してしまうんだろう・・・(大汗)


      後半はベートーベンの交響曲8番。


      テンポ速っ!!!


      すごく気持ち良い快速テンポで

      オーケストラの持ち味を活かしながら

      フォルテとピアノを思い切り強調。


      でも、これが全然重くなってない(驚愕)


      メンデルスゾーンの時と同じで

      あくまでも端正で、ウィーンのクラシックで

      ドロドロしたベートーベンではなくて


      あぁ、ベートーベンってモーツァルトの伝統を継いでいるんだなぁ・・・

      と、ものすごく納得できる演奏。


      第3楽章で(私は未だにテレーズとは聴こえません!)

      中間部にちょっとバタバタした部分があったけれど


      ウィーン古典派って、そうよ、こういう感じだったんだわ。

      本当にクラシック、という感じ。

      各部分のパートがとてもクリアで

      聴いていて、気持ち良い事、この上ない。


      またオーケストラが楽しそうに演奏していて(笑)

      ああ、もしかしたら、この指揮者、オーケストラと合うかも。


      この間のスタイリッシュだったサロネンの演奏と

      ちょっと似ているかもしれない。

      サロネンほど透徹してはいないものの(曲が違うから当たり前)

      端正な古典派に、ちょっと情熱のスパイスを

      程よく降ってみました・・・という印象。


      まだあまり有名ではないけれど

      この若そうな指揮者、かなり大物かもしれない。


      調べてみたら、1963年生まれ、この間50歳になったばかりで

      もう若いとは言えないかもしれないが

      この人も永遠の青年っぽい(笑)


      ちなみに、プログラムには書いてなかったけれど

      この指揮者、バイオリニストのアイザック・スターンの息子。

      お父さんの引きはあったとは思うけれど

      今日の演奏を聴いている限りでは

      地味だけど、ものすごい才能のある指揮者だと思う。


      こういう不思議な現象が起こるので

      コンサート通いは止められない(笑)という私に

      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



      日本は梅雨入りとの事だが

      ここも雨で、でも気温が13℃・・・寒いです、ホント(涙)


      国立バレエ ドン・キショット

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        Wiener Staatsoper 2013年5月29日 19時30分〜22時15分


        Don Quixote

        Ballett in einem Prolog und drei Akten nach Marius Petipa

        振付と演出 Rudolf Nurejew

        音楽 Ludwig Minkus

        舞台と衣装 Nicholas Georgiadis

        照明 Marc Anrochte

        指揮 Kevin Rhodes


        ドン・キホーテ Kamil Pavelka

        サンチョ・パンサ Christoph Wenzel

        ロレンツォ Franz Peter Karolyi

        キトリ Nina Poláková

        バジル Masayu Kimoto

        ガマッシュ Gabor Oberegger

        キトリの友人 Maria Alati, Eszter Ledán *

        ダンサー Prisca Zeisel *

        エスカーダ Roman Lazik

        年老いたジプシー Igor Milos

        年老いたジプシー女 Gerit Schwenk

        ジプシー Richard Szabó

        ジプシー Erika Kováčová, Rafaella Saint'Anna

        ドリアーデの女王 Olga Esina

        ドルシネア NIna Poláková

        アモール Natascha Mair *

        ドリアーデ Alice Firenze, Yuki Sento, Prisca Zeisl

        花嫁の付き添い Ioanna Avraam

        管理人 Marian Furnica

        管理人の妻 Eva Polacek


        ラッキー・セブン7回目の鑑賞で

        木本全優クンのバジル!!!!


        バレエだけは舞台が見えない席では意味がないのだが

        今年のドン・キショットは、チケット確保にちょっと出遅れて

        安くて立てば見えるというロジェの3列目が入手できず


        かと言って、ある程度は見える32ユーロの席ばかり買っていたら

        それでなくても赤字続きなのに(以下省略)


        今回は舞台がちょっと見えない21ユーロの席。

        普通は前の人がちゃんと背もたれに背を付けていれば

        ある程度は見られる席なのだが


        今日の観客はマナーが悪い(怒)


        ちゃんと座って舞台が見える席なのに

        乗り出しているアホが、前の方にワサワサいるのだ。

        しかも若い人たちなので、上背もあって

        更に、乗り出したところに腕まで出すので

        後ろの人は、全員、身を乗り出さないと

        舞台がほとんど見えない。


        別にオペラに行き馴れてなくても良いけれど

        (だいたい、ウィーンに来たから国立オペラ座でも、という

         行き馴れていない観光客が多いのは、ここの特色だし)

        ほんのちょっとしたマナーくらいは

        身につけましょうよ。


        もっとも、この人たち

        上演中にフラッシュを盛大に炊いて

        写真撮影していたので

        もう、問題外というか・・・


        仕方がない、こういう事もある(ため息)


        さて、木本クンのバジル。

        やっぱり、ステキ ♡ ♡ ♡


        本当に身体が柔らかくて

        テクニックがしっかりしていて

        サポートも上手だし

        さすが、国立オペラ座のソリストだっ!!!


        木本全優は、良い意味でも悪い意味でもマジメでノーブルなので

        張り付いたような笑顔でマジメに踊るシーンはよく見るけれど

        ある意味、表情が固定化されていて

        ちょっとお人形っぽいところがあったのだが


        最近、ちょっと変わってきた。


        まだ、ダンスが中心ではあるけれど

        ちょっと演技を楽しんでやってるな、と思える場面がある。


        ダンスだけでは面白くない。

        こういうストーリーのあるコミカルな演目なら

        やはり、完璧に踊るだけではなく

        それなりに観客を楽しませる演技が必要になる。


        バジル役は、木本全優にとっては

        その意味では、非常に良い経験になっていると思う。


        キトリがナタリーなのだが

        これが、なかなか木本クンとのパートナーシップでハマる。

        ベテランのお姉さんにうまく誘導されている感じ。


        それにナタリーのキトリ、なかなか演技で魅せるのだ。


        ちょっとビックリしたのが

        エスカーダを踊ったローマン。


        ローマンと言えば、この上なくノーブルで

        ナヨナヨの王子さま、というイメージだったのだが


        エスカーダのソロにキレがあって

        キマっていて、いや、もう、うわうわ、カッコいいじゃん、こいつ!


        プリスカはお人形さんみたいで

        ケテヴァンのような海千山千の円熟味はないけれど

        ローマンと組むと、美男・美女で、かなり絵になる。


        う〜ん、ローマンの多面性を見ちゃったわ。

        やっぱりプリンシパルって違うわ、うん。


        アモール役のデビューになったナターシャは

        何とまぁ、実にキュート。

        ソロでは私も初めて観るダンサーだが

        ものすごくチャーミング。

        これからの注目株だわ、この子(と言える若さ)


        オーケストラがこの間に輪をかけて

        ちょっと酷かったけれど

        (弦のソロは良かったが)

        まぁ、祝日の前で早く帰りたいというのがミエミエというか

        かなり緩んだ演奏していて

        時々、ギャッと叫びそうになりながら聴いていたが


        舞台は熟れて来ているし

        群舞も揃って来ているし

        木本クンのバジルも、ローマンのエスカーダも見られたし

        (乗り出していた前の人のお陰で、かなり苦労したけど)

        楽しい舞台だった。


        明日5月30日は祝日でオフィスはお休み。

        会社には行かないけれど

        ちょっとホテルへのお届けとかあるが

        それでも、しっかり休む予定の私に

        どうぞ1クリックをお恵み下さい。



        まぁ、祝日なんだけど

        雨の予報で、最高温度が14℃とか・・・

        暑くならないのは助かるのだが

        この季節で自宅に暖房を入れなければならないというのも

        光熱費が高くなって悔しい。


        フィルハーモニア管弦楽団 + エサ・ペッカ・サロネン

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          Konzerthaus Großer Saal 2013年5月27日 19時30分〜21時30分


          Philharmonia Orchestra

          指揮 Esa-Pekka Salonen


          Witold Lutosławski (1913-1994)

           Musique funèbre für Streichorchester (1958)

          Ludwig van Beethoven (1770-1827)

           Symphonie Nr. 7 A-Dur op. 92 (1811/12)

          Igor Strawinski (1882-1971)

           La Sacre du printemps (1911-13)


          ロンドンのフィルハーモニア管弦楽団と

          首席エサ・ペッカ・サロネンの客演。


          このオーケストラ、昨年のクリスマス・シーズンに

          すごくステキな音楽付きクリスマス・カードのウエブ・サイトを

          しかも丁寧に日本語版まで作ったオーケストラだが


          自分のウエブ・サイトに、日本語バージョンまで作ってる!(驚愕)


          ・・・ただし、上記の1ページのみだが(笑)

          「下記は日本語の資源や日本に関する情報(ツア等)があります」

          って、ちょっとカワイイんですけど。


          首席指揮者のエサ・ペッカ・サロネンは永遠の青年というか

          54歳で私と同年代だが ・・・というより

          だからかもしれないけれど

          ツィッターもよく書いているし

          マックのアプリの「オーケストラ」を作ったり

          新しいコミュニケーション・ツールで

          クラシック音楽を広げて行こうという意欲に燃えた指揮者で


          やっぱり永遠の青年なのである(笑)


          最初、舞台にぎっしり並んだ弦楽の群れ。

          ヴィトルト・ルトスワフスキの埋葬音楽は

          弦の沈鬱な悲しいメロディから始まるけれど

          途中の爆発が

          かなり泣き叫びの感じになっていて


          イライラしている時に聴くと

          かなりカタルシスかもしれない。


          最後の弦全体の音響が

          非常にたくさんの音が入り交じって(和音ではない)

          何とも色のある音響の雲になっている。


          いや、しかし、このオーケストラの

          弦のアンサンブル、スゴイぞ。


          昔、同じオーケストラを同じコンツェルトハウスで聴いた時も

          鉄壁の弦のアンサンブルに呆気に取られたけれど

          数年たっても

          この弦の鉄壁のアンサンブルは健在だ。


          ベートーベンの交響曲7番。

          ありゃりゃ、確かに管が入っては来たけれど


          弦のプレイヤーの数、ルトスワフスキとほとんど同じ数での演奏?!

          (すごい人数なのである)


          ところが、これが何ともよろしい。


          弦がバッチリ揃っているので

          プレイヤーの数が多いとなりがちな暑苦しさが一切なく

          実にスッキリした音を出す。


          しかも、各パートがクッキリ、ハッキリしていて

          オーケストラ・メンバーの数は多いのに

          これでもか、という位のピアニッシモと

          爆発するフォルティッシモの対立を際立たせて


          何てオシャレでスタイリッシュなベートーベン!!!


          古典主義やピリオド奏法とも違うし

          かと言って、プレイヤーを多くしたコケオドシの

          指揮者巨匠時代の、何でもアリの演奏でもなく

          オーケストラは大きいのに

          繊細で、でも繊細過ぎず、細かい部分まで浮き彫りにした演奏。


          うわ〜、こういうアプローチ、あり?!

          かなり新鮮な響きで、目から鱗が落ちたような気分。


          そのまま続けて後半の「春の祭典」へ。


          これは、もともとオーケストラ編成は大きいから

          舞台一杯に広がった楽器の群れ。


          で、これも、各パートがスッキリ、ハッキリと聴こえてくる。

          泥臭さとか、音の厚みがほとんど感じられず

          どんなにフォルティッシモになっても、重くならない。


          人によっては野性味が足りないと受け取る人もいるかも。

          爆発はするのだけれど

          それが洗練されていて、かなりお上品(笑)


          でもこの徹底されたスタイリッシュな演奏

          私にはベートーベンと同じく

          かなり新鮮に聴こえる。


          神秘感も何もあったもんじゃないし

          普通、この曲を聴く時の熱さも全く感じないけれど


          音響として聴くのであれば

          色彩感に溢れて

          まるでスコアを見ているような気分になるのに

          しっかりアンサンブルは隅までキッチリ揃っているという

          なかなか普通では聴けない演奏が

          かなり楽しかった。


          エサ・ペッカ・サロネンって

          見た目も永遠の青年だけど

          作る音楽も永遠の青年だわ、と

          ヘンな事に感心している私に

          どうぞ1クリックをお恵み下さい。



          トーンキュンストラー + ミハイル・ユロフスキ

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            例によって、ダブルです。

            時系列でお読みになりたい場合は こちら からどうぞ。


            Musikverein Großer Saal 2013年5月26日 16時〜18時


            Tonkünstler-Orchester Niederösterreich

            指揮 Michail Jurowski

            バイオリン Vadim Gluzman


            Michail Glinka (1804-1857)

             Ouvertüre zur Oper "Ruslan und Ludmilla" (1842)

            Pjotr Iljitsch Tschaikowski (1840-1893)

             Konzert für Violine und Orchester D-Dur op. 35 (1878)

            Modest Mussorgskij (1819-1881)

             Bilder einer Ausstellung (1874)

              Instrumentierung Maurice Ravel


            トーンキュンストラーの定期は

            おなじみのミハイル・ユロフスキを迎えての

            オール・ロシアン・プログラム。


            お父さんユロフスキは、まだ杖をついての登場だが

            指揮台に立ってしまえば

            その巨体をゆらゆらさせながら

            クルクル変わる表情と

            前から見ると、しっかり振っている指揮棒で

            オーケストラを自由自在に掌握し

            プレイヤーをその気にさせて音楽させていくのはスゴイ。


            このオーケストラとパパ・ユロフスキの相性が良いんだろうなぁ。

            (なぜお父さんかと言えば

             ご存知の通り、息子のウラディミールは

             ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者だから。

             確か、その下の弟も指揮者になったような気がする)


            最初のグリンカの「ルスランとリュドミラ序曲」は

            何かの名曲アワーか、ライト・クラシックで

            どこかで絶対に聴いた事のある曲だが


            最初から大音響のノリノリノリの演奏。


            いや、そりゃ大音響だよ。

            チェロだけで10本使って大編成だもん。

            ちょっと音の焦点がボケて、音響の透明さには欠けたけれど

            派手で豪華な、楽しい響きは

            昔っぽいロシアの素朴な感じが出ていて、楽しい。


            チャイコフスキーのバイオリン協奏曲のソリスト

            ウクライナ生まれ、今年40歳になるバイオリニスト。


            まぁ、今の時代、バイオリンのソリストで出てくる人は

            テクニックに関しては、超一流でなければ

            舞台にも乗れないので

            このチャイコフスキーのバイオリン協奏曲も

            テクニック的には完璧。


            ちょっとだけ、ウエットな部分が垣間見えるところが

            洗練され過ぎていなくて良いと思うか

            泥臭いと感じるかは、人の好みだが


            でもそのウエットさがイヤミに聴こえないのは好感が持てる。


            ただ、ワタクシ、午前中にヒラリー・ハーン聴いちゃってるので(汗)

            巧いとは思うけれど

            一生懸命弾いてるな、という感じは受けても

            それ以上はちょっと・・・ごめんなさい、以下省略。


            後半はムソルグスキーの展覧会の絵。


            最初のプロムナードから、速めのテンポを取って

            割にアッサリと始まったけれど


            パパ・ユロフスキの、コロコロ変わる表情を見ているだけで

            むちゃ楽しい。


            (指揮者の表情を見るという悪癖は

             これだから止められないのである)


            パパ・ユロフスキの入場・退場を見ている限り

            シリアスな指揮者に見えるのに

            (で、本当にシリアスで真面目なのよ、一応)

            音楽に入って表情が出始めると

            ど、ど、ど、どうしちゃったの?という


            楽しいな、楽しいな、ほらほら、楽しいな


            という子供のような表情になるのだ、このおじいちゃまは!!!

            (今年68歳だから、おじいちゃまで良いと思う)


            こんなカワイイ表情で指揮されたら

            オーケストラのプレイヤーたちだって楽しく演奏しちゃうだろう。

            (独断・偏見入ってます)


            ソロの金管の音は輝かしくてステキだったし

            オーケストラ全員が、ノリノリで

            実に楽しそうに

            (苦労しているのかもしれないけれど

             それを全く感じさせずに)

            クライマックスまで突っ走っていった。


            トーンキュンストラーのコンサートって

            本当に「音楽って楽しいんだよ〜、ほらほらほら」という

            しかつめらしく、難しい顔をして

            シリアスにコンサートを批評家的な耳でクリティカルに楽しむというのと

            完全に反対方向からのアプローチが出来るので

            な〜んにも考えずに

            え〜い、こっちも楽しんじゃえ!


            意外にこういう「楽しいクラシック」というのは

            ウィーンにないので

            その意味では貴重なオーケストラだと思う。


            マエストロ・パパ・ユロフスキ、また来てね。


            お腹の出た巨体も

            オーケストラに向かって示される表情も

            チャーミングなマエストロにメロメロだった私に

            どうぞ1クリックをお恵み下さい。




            ウィーン・フィル + サカリ・オラモ

            0

              Konzerthaus Großer Saal 2013年5月26日 11時〜13時


              Wiener Philharmoniker

              指揮 Sakari Oramo

              バイオリン Hilary Hahn


              Witold Lutosławski (1913-1994)

               Variations symphonisques (1936-38)

              Jean Sibelius (1865-1957)

               Konzert für Violine und Orchester d-moll, op. 47 (1903-04/05)

              Per Nørgård (*1932)

               Symphonie Nr. 8 (2011)


              ウィーン・フィルのコンツェルトハウスでのコンサート。

              ポスターには、大きな文字で

              まずは


              ヒラリー・ハーン


              と書いてあって

              その下に


              ウィーン・フィル


              とあり

              そして更にその下に小さな文字で

              指揮者のサカリ・オラモの名前が出ていた(大笑)


              まぁ、ヒラリー・ハーンが今回のメインであって

              さすがウィーン・フィルでも、サカリ・オラモの指揮で

              しかも、こんなにマイナーな北欧プログラムでは

              なかなか客を呼べないだろう。


              最初のルトワフスキーの作品が意外に面白かった。

              短い曲だが、現代音楽というよりは

              かなりトナールなメロディのバリエーション。


              たぶん、メインになるシベリウスのバイオリン協奏曲。

              ヒラリー・ハーンのバイオリン

              どこにも力みがなくて、すごく自然で楽器が歌う。


              バイオリンの良し悪しなんて

              全くわからないシロウトだけど

              とても美しい。


              後半のペア・ノアゴーの作品は

              オーストリアでは初演で

              この演奏は CD にもなるらしい。


              プログラムによれば、無限セリエを使った曲なんだそうだが


              ・・・よくわからん(爆)


              現代音楽キライという訳ではないのだけれど

              何かダラダラと続くだけで

              どうも退屈である(すみません)


              世の中にあってもなくてもどちらでも良いものがあるとしたら

              こういう音楽かなぁ・・・と言う(すみません)


              北欧系の音楽はあまりウィーンで演奏される機会はないし

              ウィーン・フィルも、いつも古典だけではなくて

              こういう変わった曲を初演するのに対して

              プレイヤーも、かなり楽しそうだったので

              その意味では面白いコンサートと言えないワケではなかったけれど


              やっぱり、音楽って所詮は主観だし好みの問題なので

              素晴らしいという人もたくさん居るのだろう、きっと。


              Youtube 探していたら

              ヘルシンキ・フィルと演奏したクリップがあったので

              ご興味のある方は こちら をどうぞ。

              (私の趣味ではなかったのでお勧めできませんが(笑))


              でも、まぁ、美しい音響の部分がないワケでもないか、と

              無理矢理思う私に

              どうぞ1クリックをお恵み下さい。




              相変わらず5月とは思えない程寒い・・・


              国立バレエ「ドン・キショット」

              0

                Wiener Staatsoper 2013年5月25日 19時30分〜22時15分


                Don Quixote

                Ballett in einem Prolog und drei Akten nach Marius Petipa

                振付と演出 Rudolf Nurejew

                音楽 Ludwig Minkus

                舞台と衣装 Nicholas Georgiadis

                照明 Marc Anrochte

                指揮 Kevin Rhodes


                ドン・キホーテ Kamil Pavelka *

                サンチョ・パンサ Christoph Wenzel

                ロレンツォ Franz Peter Karolyi

                キトリ Maria Yakovleva

                バジル Vladimir Shishov

                ガマッシュ Dumitru Taran

                キトリの友人 Maria Alati, Ioanna Avraam

                ダンサー Ketevan Papava

                エスカーダ Eno Peci

                年老いたジプシー Igor Milos

                年老いたジプシー女 Gerit Schwenk

                ジプシー Mihail Sosnovschi

                ジプシー Erika Kováčová

                ドリアーデの女王 Olga Esina

                ドルシネア Maria Yakovleva

                アモール Kiyoka Hashimoto

                ドリアーデ Alice Firenze, Yuki Sento, Prisca Zeisl *

                花嫁の付き添い Princa Zeisl *

                管理人 Marian Furnica *

                管理人の妻 Eva Polacek


                久し振りのドン・キショットは

                今回が15回目の上演。

                (ちなみに、私はこれが6回目の鑑賞になる)


                ウラジミールがバジルだったら

                相手役はリュドミラかと思いきや

                リュドミラは怪我したそうで、マリアとの組み合わせ。


                ウラジミールとリュドミラのカップリングは

                ここ で鑑賞したが

                ちょっとあの時は、う〜ん・・・という感じだった。


                マリアはデニスと初演を踊っている。

                (初演は2011年3月1日、うわ、もう2年前になるのね?!)


                マリアのキトリ、最高に合ってる。

                小柄でピリッとした感じのお転婆娘になっていて

                バジルとのやり取りの演技も魅力的。


                小柄なマリアと、上背のあるウラジミールだが

                マリアがポワントで立っても、ウラジミールの方が背が高いので

                これはバレエとして見ると、かなり絵になる図柄。


                ウラジミールのバジルは

                もともと、ウラジミール自身が背の高いハンサムな「モテ男」なので

                むちゃカッコいいし、合ってるし

                以前よりは締まったし(一時、かなりお肉が着いていた時期が・・・)

                演技というよりは、あのモテっぷりは


                地じゃないのか?(笑)


                まぁ、ちょっと歳取っちゃったので

                以前みたいな「イイ青年」というより

                ちょっと、チョイ悪中年になりかけてはいるんだけど(笑)


                あの大柄な身体でのジャンプは迫力がある。

                しかも、ジャンプむちゃ高いし。

                回転技は時々芯がズレそうで、ちょっと不安定さを感じさせるが

                舞台に飛び出すと、すごい存在感があって

                演技力もあるし

                最近は、王子さまだけではなく

                ちょっとコミカルな役どころも巧くこなすようになったので

                ちょっとオジンだが、魅力的なバジルになってる。うふうふ。


                ドルイーデのオルガは

                いつもながら圧倒的。

                アモールの橋本さんもチャーミングだし

                ドルネシア姫のマリアと

                アモールの橋本さんと

                ドルイーデの女王のオルガが3人で踊るところは

                ため息が出るくらいステキ。


                失礼ながら、その3人の中で

                やっぱり、立っていてそこに居るだけで雰囲気が出るのは

                どうやってもオルガなのだ。


                これは、もう、どうしようもない。

                あんなに人間離れした、お人形さんのような美しさは

                滅多にあるものじゃないし。


                ちょい役では

                ジプシーのミハイルの安定感が素晴らしい。

                役柄にも合ってるし、あの運動能力はスゴイわ、うん。


                エノのエスカーダはモロ・シリアスで切れるようなダンスだし

                ケテヴァンの海千山千の(笑)情熱的なジプシー女には脱帽。


                しかしこれ、本当に楽しい舞台だな。

                音楽もそこそこ楽しくて

                確かにバレエ音楽で深みとかはないけれど

                ジゼルみたいにブンチャッチャじゃなくて

                すごくキレイなバイオリンのソロとかもある。

                (今日はシュトイデさんのソロだったらしい)


                第三幕の結婚式のデュエットとソロは

                キトリとバジルに取っては最後の見せ所で

                最後に疲労が溜まった後の40キロ地点からのマラソンのようなものだが

                さすがにベテラン2人の耐久力の素晴らしさ。


                デュエットでの完璧なバランスと

                高いジャンプに、トリプルを数回入れたマリアのピルエットには

                客席からも大きな拍手が湧いた。ホントに凄かった。


                音楽速めのテンポで

                時々ダンサーは大変だったと思うけれど

                また、何回か、この楽しい舞台を鑑賞できる機会があるのは

                ファンとしては嬉しい限り。


                5月29日は木本全優クンがバジルを踊るし

                6月3日は橋本清香嬢がキトリになる。


                他のコンサートが入っていて行けない日もあるのだけれど

                できるだけ、また追いかける予定の私に

                どうぞ1クリックをお恵み下さい。





                カントリ・ミュージック マウリシオ・カーゲル

                0

                  Konzerthaus Berio Saal 2013年5月24日 19時30分〜20時45分


                  Mauricio Kagel (1931-2008)

                  Kantrimiusik

                  Pastrale in Blumen

                  für Stimmen und Instrumente (1973-75)


                  ソプラノ Ursula Langmayr

                  メゾソプラノ Anna Clare Hauf

                  テノール Richard Klein


                  Kabinetttheater

                  Michaela Mahrhauser Christian Schlechter, Walter Kukla

                  Julia Reichert, Maxe Mackinger, Jasmin Hoffmann, Burgis Paier

                  演出 Thomas Reichert


                  PHACE

                  Walter Seebacher, Peter Travnik, Christoph Zeilinger

                  Ivana Pristasova, Mathilda Hoursiangou

                  Gunter Schneider, Samuel Toro Pérez, Christina Bauer

                  指揮 Simeon Pironkoff


                  地上の大ホールではカメラータ・ザルツブルクが

                  人気沸騰のパーカッショニスト、マルティン・グルービンガーと

                  ヒナステーラやアストル・ピアソラをガンガン演奏している筈だが

                  私は混雑を避けて地下のホールに潜る。


                  もともとこのチケット

                  昨年のウィーン・モデルン現代音楽祭で

                  中止になったコンサートのお詫びの一環として

                  (何が起こったか読みたい方は こちら をどうぞ)

                  CD のプレゼントに加えて

                  コンサート(もちろん現代音楽)のチケットを1回無料という中で

                  何とかカレンダーの空いている日を見つけたものだから

                  チケットはタダである。


                  1時間ちょっとのパーフォーマンスなので

                  終わったら、隣のホールのカメラータに潜り込もうかと

                  けしからん事も考えたのだが

                  この1時間ちょっとが


                  あまりに面白過ぎる!!!!!


                  コンサート後に友人と会うまで

                  ちょっとコーヒーハウスでピッツァとか食べつつ

                  アップしてしまおう。


                  マウリシオ・カーゲルは現代音楽の中でも

                  有名な人なので、敢えてここでは書かない。

                  ご興味のある方はウィキペディアででも調べて下さい。


                  さて、この「カントリー・ミュージック」

                  題名の Kantrimiusik は、私の綴り間違いではなく

                  本当にそのまま Kantrimiusik なの(カワイイ!!!)


                  色々と斬新な試みをしてくれる

                  カビネット・シアターとの共同作品。


                  ベリオ・ホールなので舞台は小さいが

                  向かって左手にピアノ、バイオリン、チューバ、クラリネットとトランペット

                  右手にギタリスト2名が、大小のギターとバンジョー

                  ついでに何故か太鼓まで置いてあるところに座り


                  その後ろに黒い紙芝居用みたいな舞台装置。

                  窓が3つあって、ここで歌手とカビネット・シアターのパーフォーマンス。


                  これが、むちゃくちゃ傑作!!!!!!!


                  歌手が上半身だけで窓のところに登場して

                  下の部分の装置をパタンと開けると

                  下半身が描かれていて、これが面白い。

                  スペインの民族衣装のフラメンコだったり

                  イギリスっぽい上流階級の男性が馬に乗っていたり

                  で、上流階級のご夫人はブルドック抱えて出てくる。

                  (紙で作ったものだが、これ、尻尾が動くんです(笑))


                  途中で真ん中の窓が開くと

                  そこに本当に紙芝居のように

                  紙で作った木が立ったり、教会が立ったり

                  ついでに犬が出てきて、カエルが登場して、鶏が出てきて

                  どんどん田舎の景色になって行く。


                  アメリカン・カーボーイみたいな音楽にくっついて

                  男女3人の歌手が真ん中の窓から出てくる時は

                  馬のミニチュアみたいなのに乗って出てくるし


                  歌い終わると全員でタバコを吸って退場し

                  その煙が残っている間に

                  修道僧がミサで使う香炉を持って(あれも煙が出る)

                  ウロウロしだした時には

                  観ている人全員が吹き出した。


                  最後のシーンは地球儀が廻って

                  この地球儀にオーストリアの旗が立っていて(これもカワイイ!!!)

                  民族衣装を着た男女が花に水やりながら歌ったり

                  また紙芝居で、農家が出てきて

                  牛が子供を生んで、最後は・・・落とし物までする、という懲りよう。


                  その間に影絵芝居もあって

                  歌っている歌手の下を、紙で作った担架が通ったり

                  救急車が(ちゃんと青いランプまで点滅させて)通ったり

                  (あれは、悲しみの歌だろう、というのが音楽とシーンでよくわかる)


                  カーゲルの音楽そのものは

                  色々な国からのカントリー・ミュージックを取り入れているので

                  何となくわかって、でも、やっぱり現代音楽で

                  その絶妙な混ざり具合が、とっても楽しい。


                  途中、テープで自然の音が入る部分もあるのだけれど

                  それが、紙芝居によく合っていて、いや、もう、めちゃ笑える。

                  (もちろん客席からも笑い声が出ていた)


                  あれはあれだな、観ている方も楽しいが


                  やっている方はもっと楽しいに違いない!!!(断言)


                  特にカビネット・シアターの演出や舞台装置は

                  絶対に楽しかっただろう。

                  遊び心満杯で、観ているこちらも、何かなごんでしまう。 


                  演奏しているプレイヤーたちは至極シリアスなんだが(笑)


                  指揮者が倒れる、というような指示はなかったものの

                  ゲネラル・パウゼで、腕を振り回せ、という指示はあって

                  それは至極シリアスな指揮者が聴衆の方を向いて

                  至極マジメに読み上げて

                  その後、プレイヤーたちが音を立てずに

                  演奏の真似をしている間に

                  ひたすら腕を振り回していた。お疲れさまです(笑)


                  小ホールで

                  現代音楽大好きという聴衆だけの中で

                  みんな、親密に楽しく上演された、という感じは


                  昔のバロック時代の貴族の宮殿の中でのオペラ

                  ・・・の現代版かもしれない。


                  カビネット・シアター、昔から面白い事を色々していたので

                  注目はしていたのだが

                  もっと行くべきだなぁ

                  ・・・でも、時間もないし金もない(涙)

                  と、つくづくウィーンの音楽生活の多様さに

                  ちょっと嬉しい悲鳴をあげている私に

                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  マティアス・ゲルネ + クリストフ・エッシェンバッハ

                  0

                    Musikverein Großer Saal 2013年5月23日 19時30分〜21時


                    バリトン Matthias Goerne

                    ピアノ Christoph Eschenbach


                    Franz Schubert (1797-1828)

                     Winterreise, D 911


                    2009年6月にコンツェルトハウスで予定されていた

                    マティアス・ゲルネのシューベルト3大歌曲集のリーダー・アーベントは

                    結局、全公演キャンセルになって

                    私が持っていた美しき水車小屋の娘はダヴィスリムが

                    冬の旅はフローリアン・ベッシュが歌った事は

                    このブログにも書いた。


                    そのゲルネが、今度は楽友協会の大ホールで

                    シューベルトの3大歌曲集を歌う。


                    コンツェルトハウスのモーツァルト・ホールから

                    楽友協会の大ホールって、どんだけ出世したんだか(勘違い)


                    以前、ウィーン・フィルの指揮者として

                    2011年10月の定期公演で

                    子供の不思議な角笛を共演した

                    クリストフ・エッシェンバッハのピアノで

                    今回は「冬の旅」


                    「美しき水車小屋の娘」も歌ったのだが

                    これ、何かとかち合って行けなかったし

                    「白鳥の歌」は国立バレエの「ドン・キショット」とかち合っているので行かない。


                    マティアス・ゲルネは数年前から

                    ウィーンやグラフェネックで、できる限り追いかけては来た。


                    あの頭頂の立派なハゲがすごく好き・・・と言うのもあるけれど

                    ともかく、このバリトン、声量はあるし、美声なんだもん。


                    でも、その美声で

                    コンツェルトハウスでシューマンの

                    「女の愛と生涯」を歌われた日には、ちょっと気持ち悪くなったが(笑)


                    でも、最近、何か、声がどんどん低くなっていってるし

                    エッシェンバッハとウィーン・フィルの時のマーラーは

                    倍音たっぷりの美声だけは聴こえるけれど

                    ドイツ語が、ま〜〜〜ったくわからない、という状態。


                    今回の「冬の旅」


                    音楽的には細かい部分まできっちりと積み上げられていて

                    弱音の美しさも

                    え、この人、こんなところまで歌えるの?という高音も

                    完璧に歌われている。


                    ・・・ スゴイ


                    なのに、ドイツ語の歌詞が

                    ごにょごにょごにょとしか聞こえてこない!!!!


                    単語の一つ一つを、もう少し、くっきりと発音しましょうっ!!!!

                    子音が柔らか過ぎるとか言うのではなくて

                    母音の発音から問題があるのだ、たぶん。


                    だって、アイスと聞こえてくるところが

                    ハイスと聴こえてきたりするし

                    (意味が全く違う!!! 聞いててヘンな気分になる)

                    単語の最初は良くても、後半部分が、グズッと崩れて

                    何を言っているんだか、さっぱりわからない部分ばっかり。


                    声が美声だし

                    明るい部分、暗い部分(ほとんどが暗いけれど)

                    高音・低音に強音・弱音と

                    音楽的にはうっとりするだけに

                    あのドイツ語のゴニョゴニョは、ヘンに気になってしまう。


                    音楽と言葉が同じ価値を持つ(はずの)ドイツ・リートで

                    音楽的・音響的には素晴らしい出来上がりなのに

                    言葉という側面から見ると

                    なんじゃそれ?という

                    何語なんだかワケわからないタモリ語でやられると


                    感激して良いんだか

                    呆れて良いんだか


                    実はワタクシにはよくわからない。


                    バリトンというよりバスに近い深い声は

                    冬の旅の暗さには(音楽として聴けば)バッチリで

                    それでなくても、今年の5月のこの寒さには参っているのに

                    ますます寒々しい気分に突き落としてくれて


                    最後の辻音楽師なんて

                    もう、もう、もう、その暗さと言ったら

                    恐るべき落ち込みまで、聴いている者を引っ張っていってくれた訳で

                    終わった後、かなり長い沈黙の時間はあったけれど

                    私は、気持ち悪い不明瞭なドイツ語と

                    音楽的水準の高さのギャップに

                    腰が抜けていて、呆然としていた。


                    でも、良かったんだろうなぁ、きっと。

                    私は、もともと言葉からドイツ・リートに入ったので

                    やっぱり、聴きながら

                    ある程度は内容のわかるドイツ語を語ってくれないとイヤなのだ。

                    ミヒャエル・シャーデみたいに

                    同じような意味のドイツ語単語を勝手に変えて歌ってくれても

                    それはそれで、意味さえわかれば、まぁ、満足なのである。


                    1回しか行けないからと

                    ギャラリー1列目、大枚40ユーロの贅沢な席を買ったので

                    音響は抜群だったのだが

                    (あのバリトンは身体を揺らす上に

                     声が正面に出るタイプなので

                     バルコン・ロジェだと声の方向で聴こえ方がかなり違うだろうと

                     正面のギャラリーで大正解だった)

                    そんな理由で、ちょっと不満が残っている私に

                    どうぞ1クリックをお恵み下さい




                    今日のリサイタルもかなり席が空いていたが

                    土曜日の「白鳥の歌」も、まだ安い席が

                    かなり空いている。

                    いやいやいや、いかん、いかん、

                    ドン・キショットのチケットは

                    バレエで舞台が見えないとバカみたいなので

                    結構高い席を買ってあるのだ!!!!

                    ・・・・・ううう、身体が2つ欲しいっ!!!!(涙)

                    ついでに財布も2つ欲しい・・・


                    オルランド カンマー・オーパー

                    0
                      Kammeroper 2013年5月21日 19時〜21時45分

                      Orlando

                      Opera seria in drei Akten (1733)
                      Musik von Georg Friedrich Händel

                      指揮         Rubén Dubrovsky
                      演出         Stefania Panighini
                      舞台・衣裳     Federica Parolini

                      Orlando     Rupert Enticknap
                      Angelica     Çigdem Soyarslan
                      Medoro         Gaia Petrone
                      Dorinda     Anna Maria Sarra
                      Zoroastro     Igor Bakan

                      オーケストラ Bach Consort Wien

                      ウィーン劇場の催し物の一環として上演されている
                      カンマー・オーパー(室内歌劇場)でのヘンデルのオペラ「オルランド」

                      大昔、ウィーン劇場がオペラ・ハウスとしてオープンした頃に
                      アーノンクールが指揮して、観に行った事がある。
                      記憶に残っているのは

                      プログラム見たら、19時開演22時45分終演となっていてひっくり返った事
                      (最後の方は空腹で倒れそうだった(笑))
                      演出が原色使いで、童話か漫画みたいでコミカルだった事

                      ・・・くらいである(呆)

                      今回の上演は21時45分までで、少しバージョンとしては短い。

                      カンマー・オーパーは本当にその名(室内歌劇場)の通り
                      とても小さな劇場で
                      取った席は28ユーロで後方だったが
                      前が空いていて、しかも客席に傾斜があるので
                      舞台が目の前に見える。

                      10倍の望遠鏡、いや、オペラ・グラスだと
                      歌手の顔が拡大されて見えてしまう(爆)

                      さて、この「オルランド」というオペラ
                      筋は、もう箸にも棒にもひっかからないアホらしさで
                      ワケがわからん。
                      (当時としては、何か意味があったのかもしれないし
                       深読みすれば色々と出てくるのだろうが)

                      貴族がヒマを持て余していたバロック時代のオペラだから
                      朝7時半に起きて8時に通勤して、9時から18時30分まで目一杯仕事して
                      急いで地下鉄でオペラに駆け付けて
                      21時45分に終演後に、またオフィスに戻って真夜中過ぎまで仕事して
                      ・・・という貧民には向かない。

                      内容云々はともかくとして
                      おとぎ話なので、アリアがいっぱい出てきて
                      これが、もう、底抜けに楽しいバロック音楽 (^^)v

                      オルランドは、もちろんカウンター・テノール。
                      男声として唯一出てくるのがゾロアスター(魔法使い)
                      普通だったら、高音が神経に障るハズなのに
                      これ、めちゃくちゃ楽しい。

                      演出は現代的・・・というより、現代のお伽話で
                      原色を多用して
                      出演者は、みんなパンクである!!!!

                         

                        
                      (写真は公式サイトから拝借。
                       クリックで大きくなります)

                      歌手がみんな若いので
                      (ゾロアスターだけが中年)
                      このパンクの格好が似合って、実にカッコイイ。

                      スタイル良いし、動きは素早いし
                      (客席に乱入してくるシーンあり!
                       目の前を、フルメイクのパンクが通ると
                       ちょっとドキドキする(笑))
                      アジリタはさすがバロック歌手だから完璧。

                      劇場が小さいから、声を張り上げる必要がない。
                      (ついついノッて声を張り上げる歌手もいたけど)

                      小さい舞台だけど、小道具に凝って
                      舞台装置も工夫が凝らされていて
                      大規模な変換はないけれど、充分に楽しめる。

                      やっぱり、バロック・オペラって
                      こういう小劇場で観るべきものだ(断言)
                      国立オペラ座のような大規模のマス対象の劇場で
                      大声を張り上げないと聴こえないようなところで
                      あんな細かいアジリタ歌うなんて、まず無理。

                      オーケストラがまた良いの。
                      こんな優秀な古楽器アンサンブルがウィーンにあるんですね。
                      音はあくまでも透明で、パートもくっきり聴こえるし
                      リズムに乗っての演奏は、音楽の歓び、という感じ。

                      スター歌手とかで釣るのではなくて
                      こじんまりした劇場で
                      若い人たちが、みんな手作りして良いものを上演しよう、という感じが
                      聴いている方にストレートに伝わってくる。

                      大規模劇場より
                      こういう親密な感じの劇場の方が楽しいなぁ、と
                      しみじみ思った私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                      若い人たちの活躍を目の前で見ると
                      ついつい嬉しくなっちゃうのは、やっぱり歳取った証拠かも(自爆)


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