トーンキュンストラー + ジェフリー・テート

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    Musikverein Großer Saal 2012年4月29日 16時〜18時20分

    Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
    チェロ Nicolas Altstaedt
    指揮 Jeffrey Tate

    Joseph Haydn (1732-1809)
     Konzert für Violoncello und Orchester C-Dur Hob. VIIb:I (1765)
    Anton Bruckner (1824-1896)
     Symphonie Nr. 7 E-Dur (1881-83)

    太陽燦々と輝く日曜日の午後に
    楽友協会でのオーケストラ・コンサートって、むちゃ贅沢 (*^^*)

    しかも、ハイドンとブルックナーの7番という
    むちゃ私好みの組み合わせ (^^)v

    ハイドンのチェロ協奏曲。
    ヨゼフ・ハイドンは、地味なイメージしかなかったけれど
    オーストリアに来て好きになった作曲家の一人。

    ともかく、教養が高くて要求の多そうな貴族を
    楽しませるだけに作った職人の作品だから
    当時のポピュラー音楽であって
    ヒット作を作らないと、クビになってしまう、という環境で
    あれだけの作品数をコンスタントに作曲して
    更に、オーケストラの経理だの
    オーケストラ・メンバーの人事相談までやっていたのだからスゴイ。

    演奏はピリオド奏法ではなく、モダンだけれど
    ビブラート少なめの、温かみがあって、樹の香りがする音。

    チェロの音が、けっこう面白い。
    面白いなんて失礼かもしれないけれど
    響き方をよく考えて作り込んでいる感じがする。

    カデンツァだけど・・・
    これ、ハイドンの作曲ですか? (いや、ホントにわからんのよ・・・)
    ハイドンより、もっと近代的というか
    ちょっとフラジオレットっぽい響きまで含めて
    なんか、突然、バロックの間に現代が顔を出したみたいな不思議な音。

    後半はブルックナー交響曲7番。
    最近、ブルックナー欠乏症に悩まされていた私には福音だが

      遅っ!!!!

    7番の第一主題は比較的す〜っと流れる印象があるけれど
    これが、むちゃ遅い。
    チェロの一部のアンサンブルに乱れ。
    そりゃ、あの速度では・・・・

    で、この遅さがず〜っと続く。

    最初はちょっと異様な感じに聴こえるけれど
    このテンポだと、流れは淀む代わりに
    全体が、まるで教会のオルガンを聴きつつ
    時間が、ゆっくり、ゆったりと流れて行くのが感じられる。

    第二主題は多少テンポを上げるけれど
    それでも、他の演奏と比べると、やはり遅め。

    金管のアンサンブルとユニソノでは
    思い切りオーケストラを鳴らして
    楽友協会のホールが、大聖堂のように鳴り響く。

    第2楽章もフォルテで始まって
    第3楽章のスケルツォも大音響だが
    一貫して、テンポは遅めをキープ。

    うわ〜、金管楽器のプレイヤーさんたち、お疲れ様です。

    最終楽章の出だしは、軽めで始まった・・と思ったら
    またもや、途中から、ぐわ〜んと遅くなるし・・・

    でも、あれだけ遅いテンポ設定をしながらも
    音楽が止まらず
    悠久の時を感じさせながら、ゆったりと流れていくってスゴイ。

    多少のアンサンブルの乱れとか
    金管を咆哮させている間の弦とのバランスの悪さとかはあったけれど
    全体的に聴いてみて
    現代的で理性的で、さっぱりした爽やかなブルックナーと対極にある
    でも、どっしりして、力強くて
    大きなカテドラルで、すごいモノを聴いているようなブルックナーは
    かなり聴き応えあり。

    7番じゃなくて、同じ指揮者で8番を聴いてみたい、と思わせる。

    惜しむらくは、最後の拍手が早すぎた。
    (通常、ブルックナーの交響曲って、少し沈黙があってから
     おもむろに拍手するモノなのだが
     今日は終わったとたんに、ブラボーと叫んで拍手する人がいた。
     まぁ、それだけ迫力ある音楽だったとも言える)

    ジェフリー・テートは
    先日、国立オペラ座で「バラの騎士」を指揮した時も
    かなり遅めのテンポで、上演時間が20分くらい伸びたのだが
    ある意味、堂々としたテンポで振るのが好きなのかも (^.^)

    ブルックナー欠乏症が癒えて
    ちょっと気分の良い私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。




    久し振りに、ダブル・ヘッダー、トリプル・ヘッダーをやらず
    あぁ、やっぱり、これが週末っぽいなぁ・・・
    1日1回のコンサートの方が集中できる
    (って当たり前だ!(x_x) ☆\(^^;) ぽかっ)

    ついでだが、最近、マーラー欠乏症も
    フランツ・シュミット欠乏症もあるの。
    特に、シュミットの交響曲って、数年前はかなり聴けたのに・・・(涙)


    ハムレット ウィーン劇場 2回目

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      今日は舞台に近い席から。
      スマート・フォンなので、あまりキレイには映っていませんが (^^ゞ

      Theater an der Wien 2012年4月26日 19時〜22時25分

      Hamlet
      Opéra in fünf Akten (1868)
      Musik von Ambroise Thomas
      Libretto von Michel Carré und Jules Barbier nach William Shakespeare
      指揮 Marc Minkowski
      演出 Olivier Py
      舞台 Pierre-André Weitz
      照明 Bertrand Killy

      Hamlet Stéphane Degout
      Ophélie Christine Schäfer
      Claudius Phillip Ens
      La Reine Gertrude Stella Grigorian
      Polonius Pavel Kudinov
      Laërte Frédéric Antoun
      Le Spectre Jerôme Varnier
      Horatio | Premier Fossoyeur Martijn Cornet
      Marcellus | Deuxième Fossoyeur Julien Behr
      Schauspieler Randolf Destaller, Uli Kirsch, Ingo Raabe, Daniel
                 Ruben Rüb, Pavel Strasil & Marcus Wagner

      オーケストラ Wiener Symphoniker
      コーラス Arnold Schoenberg Chor (Ltg. Erwin Ortner)

      ウィーン劇場の「ハムレット」2回目の鑑賞。
      この間の記憶が新しいうちに観るというのも一興。

      今回はロージェで、舞台にとても近い。
      オーケストラ・ピットも
      指揮者のミンコフスキーも、よく見える (^^)v

      歌手に近過ぎて、あの声量だったらウルサイかも・・・と
      懸念していたが、全然大丈夫。

      う〜ん、プロの歌手って、声が後ろまで響くのに
      近くでも「うるさく」ない、というのは、ちょっとした発見。

      オーケストラもコーラスも歌手も、大音響なのだけれど
      反って近くで聴く方がうるさくない。
      ・・・・ もしかしたら、耳慣れしただけかもしれないが。

      上演前に、劇場の人がマイク持って出てきたので
      すわ、誰がキャンセル?!とビクッとしたけれど
      誰かが風邪か何かで調子が悪い、でも歌うので
      調子悪くても勘弁してね、というアナウンスだった。

      しかも、歌手の名前をボソッと小声で呟いただけなので
      誰の調子が悪いか、結局不明。

      確かに、フィリップ・エンスの声が、ほんの少し割れた部分はあったけれど
      ちゃんと伸びて、低音まできっちり出していたし
      他の歌手で、ちょっと聴いて、あっ、不調、という人はいなかった。

      しかし、歌手が優秀なのは素晴らしい。
      優秀、というのは、声だけではなくて

      演技が抜群!!!

      ハムレットならぬアムレ(聞く度に笑っちゃうが)の
      半分、現世から浮いてしまったような
      据わった目つきが凄くて
      (もちろん、カーテン・コールの時には普通の人に戻る(笑))
      悩んでいるのはわかるのだが
      そこまで精神病になる事もないだろうに・・・とか
      本気で観客に思わせるのは凄まじい。

      高所恐怖症には向かないウィーン劇場の舞台は
      前半の終わりあたりの
      ゴンザーガの王様の寸劇では
      王宮のミニチュアの上で、ぐんずほぐれつの劇を
      俳優さんがするのだが

      面積むちゃ狭い上に
      作られた階段の幅が数センチ(に見える)狭さで

      地震がある国なら、絶対に無理(断言)

      見ていても落ちそうで、かなりコワイ。

      実際、ハムレットが投げた石(に見える軽い素材)が
      上部の階段に散らばっていて

      上演後に男性コーラスの人たちが上の階段に並ぶ時に
      舞台の照明が落ちていて暗くて
      何人かが、その石(に見える軽い素材)に足元を救われて
      転びそうになったのが見えたし
      (本当に転んで下の舞台に落ちたら死ぬぞ・・・)

      歌手も、階段を上がったり降りたり
      途中で座ったり、階段を登りきった頂上から歌ったり

      高所恐怖症の観客だったら
      観ていられないかもしれない(私だって時々コワイ)

      どういう必然性があるのかは謎だが
      ハムレットと母親のダイアローグには、バスタブが使われていて
      中には、ちゃんと水(お湯?)が入っていて
      ハムレットは、もちろん完全に裸で
      段々激していく場面では
      バスタブから、すくっと立ちあがり
      母親を前に絡めて、延々と歌う。

      いや、良いんですけど
      いくら演技とは言え
      他人の男性の裸と、背中で密着しながら、よく歌えるなぁ・・・と
      ついつい、ヘンな事に感心している
      俗世まみれの卑俗な発想を持つ私は
      どうせ、芸術的ではございません(開き直り)

      4月30日(月)、5月2日と続き、5月5日が最終公演。
      まだチケットは、全カテゴリーであるみたい。
      (また行こうかしら・・・なんて考えてません!!!・・・と言いつつ(以下略))

      確かに長いオペラだけど
      後半になるにつれ、どんどん集中力が上がっていって
      見応えタップリだし

      みんなの演技がスゴイし
      男性のハダカも数か所で見られるし
      さすがに2回目になると、多少耳慣れしてきて
      美しいメロディも、あちこちで聴こえるし

      オフェリアの狂乱の場の見事なアリアは
      ルチアや夢遊病の女と同じく、ともかく、実に「魅せる」
      (シェーファーがコロラチューラをあんなに見事に歌えるなんて
       いままで知らなかったわよ)

      ジェルトリュード役のグリゴリアンの素晴らしいメゾの声にも
      惚れ惚れするし
      歌も巧いけれど、ハムレットにどっぷり浸かって
      現世を越えてしまったようなハムレット役のシュテファン・デグーの
      あの目つきと表情にも驚くばかり。

      ああ、やっぱり2回目、行って良かった \(^O^)/
      と、しみじみ思う私に
      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



      週末は突然暑くなって
      オーストリアのどこかでは30℃を越えたとか。
      久し振りに窓を磨いて、暖かい空気を寒い住居に入れる。
      冬が終わると、春を通り越して、突然、夏になる不思議なヨーロッパ(爆)

      ウィーン放送交響楽団 + コルネリウス・マイスター

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        Konzerthaus Großer Saal  2012年4月27日 19時30分〜21時30分

        ORF Radio-Symphonieorchester Wien
        ピアノ Elisabeth Leonskaja
        指揮 Cornelius Meister

        Sergej Rachmaninow (1873-1943)
          Konzert für Klavier und Orchester Nr. 2 c-moll op. 18 (1900/01)
        Bohuslav Martinů (1890-1959)
          Symphonie Nr. 4 H 305 (1945)

        ウィーン放送交響楽団のチクルスは
        楽友協会のは持っているが(取って置きの席なの (*^^*))
        コンツェルトハウスは、いつも他のコンサートとかち合うので
        数年前に返したきり。

        だが、今回のコンサートは聴き逃すわけにはいかん。
        エリザベート・レオンスカヤ狙いでもラフマニノフ狙いでもない。

        マルティヌーの交響曲が演奏される機会は滅多にないのである(断言)

        何故マルティヌーが好きかと言われても
        実はよくわからないのだが
        何年か前に、誰だこれ?と先入観も予習もなしに聴いて
        一目惚れ ・・・ いや、一耳惚れ?(笑)

        さて、マルティヌーの前にラフマニノフのピアノ協奏曲。

        レオンスカヤは、以前、誰かのリートの伴奏で(ゲルネだったかも)
        何か、途切れ途切れの、滑らかでないピアノが
        バリトンの美声と、ぜ〜んぜん合ってなくて
        がっかりした時から、あまり好き、とかいうピアニストではなかった。

        だけど・・・

        あぁ、この人、正に知性派なんだなぁ・・・

        ラフマニノフが楽譜に描いた音符全部が聴こえてくる。
        一つと言えども疎かにせず
        演奏中も、感情に任せてのめり込む事がなく
        冷徹と言ってしまっても良いほどに
        音に忠実に、正統的に、理性的に音楽を紡ぎだして行く。

        最初はオーケストラとのズレが目立ったけれど
        だんだん息があってきて
        オーケストラも知性的なピアノと共に
        抑制しつつ、端正な音を出していく。

        感情に溺れる事のないラフマニノフは
        熱血漢ロマンティストには面白みが足りないかもしれないけれど
        ああいうアプローチ、私は好きだ。

        アンコールのラフマニノフも
        音の一つ一つが際立っていて、透徹した音が素晴らしかった。

        楽しみにしていた後半のマルティヌー、交響曲4番。
        この人の交響曲は全部で6曲あるし
        それ以外にも、膨大な数の作品を発表している。

        チェコの作曲家とは言え
        フランス印象派の影響が強く、その後、スイスやアメリカで暮らし
        望郷の念はあっただろうが、チェコに帰る事はなかった。

        この交響曲4番は、1945年の第二次世界大戦が終わった年に作曲されたもの。
        明るさと希望に満ちた名曲 (*^^*)

        指揮者のコルネリウス・マイスター
        この複雑で音符の多い曲を、暗譜で振ってる・・・(+_+)

        本当に音符が多い感じで
        メロディのフラグメントが、あちこちで繋がり
        複雑な様相を見せながら、爆発する事がなく
        柔らかに、軽やかに、音がホールを跳ねまわる。

        フランス印象派の影響も強いのはよくわかるけれど
        マルティヌーの作品って
        (ここから先は、ただのシロウトの独断・偏見です)

        チェコ語の響きが聴こえてくる。

        スラブ系言語のチェコ語は
        2年前に、チラッと齧ってみたのだが
        子音が多いのは確かなのだけれど
        その子音が、ゲルマン系言語に比べて、非常に柔らかいのだ。

        ゲルマン系言語のように
        舌を固く保持して、はっきり、くっきりと子音を発音するのではなく
        柔らかくして発音した方がチェコ語的に響く。
        (だから、ドイツ語にない、ニャとかニュとかいう発音もある)

        もちろん、これは、ド素人が勝手に妄想している事ではあるけれど
        フランス語の柔らかさではなく
        (フランス語は決して柔らかくない)
        チェコ語の子音の柔軟さが
        音楽の中に意図される事なく滲み出ている・・・というか

        ともかく、すご〜〜〜く私好みの音響 v(^^)v

        指揮者はしっかり曲を把握しているし
        それに応えるオーケストラが、また優秀で(感嘆)

        寝不足続きの金曜日に
        マルティヌーで寝なきゃ上等、とか思っていたけれど
        居眠りどころの騒ぎではなく
        舞台から降ってくる(いや天井桟敷だから上がってくるのか?(笑))
        柔らかいパステル色の音響の洪水に
        我を忘れる、恍惚の40分だった。

        ウィーン放送交響楽団がコンツェルトハウスで演奏する
        来シーズンのチクルスは
        冒険的というか、何でもありで、食指が動いて仕方がないのだが
        また楽友協会のコンサートとバッティングする日が多いし(涙)

        10月11日には、ジョン・ケージの4分33秒も演奏しますよ(笑)
        11月5日の、ガンダー、ノイヴィルトと
        リゲティ(ロンターノとアトモスフェア!!!)は
        ウィーン・モデルン現代音楽祭の一環だろうから、逃せないし
        12月12日には、マルティヌーの交響曲6番がナマで聴ける \(^O^)/

        2月22日はランランのピアノで
        ガーシュインのラプソディ・イン・ブルーが予定されているが
        その前がラヴェルのボレロで、その後が「英雄の生涯」って
        ヘンなプログラム(笑)
        ・・・と笑っている私に
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        「ハムレット」 ウィーン劇場 1回目

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          Theater an der Wien 2012年4月26日 19時〜22時25分

          Hamlet
          Opéra in fünf Akten (1868)
          Musik von Ambroise Thomas
          Libretto von Michel Carré und Jules Barbier nach William Shakespeare
          指揮 Marc Minkowski
          演出 Olivier Py
          舞台 Pierre-André Weitz
          照明 Bertrand Killy

          Hamlet Stéphane Degout
          Ophélie Christine Schäfer
          Claudius Phillip Ens La Reine
          Gertrude Stella Grigorian
          Polonius Pavel Kudinov
          Laërte Frédéric Antoun
          Le Spectre Jerôme Varnier
          Horatio | Premier Fossoyeur Martijn Cornet
          Marcellus | Deuxième Fossoyeur Julien Behr
          Schauspieler Randolf Destaller, Uli Kirsch, Ingo Raabe, Daniel
                     Ruben Rüb, Pavel Strasil & Marcus Wagner

          オーケストラ Wiener Symphoniker
          コーラス Arnold Schoenberg Chor (Ltg. Erwin Ortner)

          アンブローズ・トマのオペラ「ハムレット」
          ウィーン劇場のプロダクションって、まず外れはないので
          内容だの何だの見ずに、ともかくチケットを買ってしまうのだが

          最終リハーサル後に発表になった上演時間を見て

           (*_*)

          19時〜22時40分ですって???(涙)
          長いっ!!! o(><;)(;><)o

          まぁ、実際は22時25分に終わったし、面白かったから良いか (^^)v

          「ハムレット」は確かにオペラ向きの題材ではある。
          筋は、どんな人でも知っていると思うので書かないが
          簡単に要約してしまえば

            判断力のなさは悲劇を招く

               ・・・ただそれだけである(極論)

          (いや、ワタシ、感受性ゼロで運動能力なしで
           頭も性格も悪いが、判断だけは早いので
           おっと、このコンサート行こうとか、目先考えずにチケット買うのは早い
              ・・・って自慢にならん!!! (゜゜☆\(--メ)ポカッ)

          舞台は暗い灰色で、全部が階段になっているが
          この階段がエレメントになっていて
          それぞれのシーンで、様々な組み合わせになる。

          でも、そのエレメント
          押して、動かしているのがスタッフ(笑) 人力作戦か(爆笑)
          上から見ていると、よくわかる。
          力仕事だと思うけれど
          石のように見える舞台装置が、実は軽い素材で作られている事もわかる。

          アンブロワーズ・トマのオペラなんて初めて観た。
          (弟子のマスネのオペラは頻繁にオペラ座で上演されるのに)
          さすがのロマン派的大作で、ドラマティックで

           音が大きい!!!

          ウィーン交響楽団はオーケストラ・ピットで
          すごい音響で演奏しているし
          コーラスも大人数でガンガン歌うし
          その大音響に負けじと、歌手の声量も凄まじい。

          ウィーン劇場という小さな箱よりも
          国立オペラ座あたりで上演した方が良いかも。

          前半は、オーケストラも歌手も、力一杯、音量一杯で
          ちょっと辟易したけれど
          後半になってから、俄然、全体のバランスが取れてきて
          長いオペラだったのに、見どころ、聴きどころ一杯で夢中になった。

          いつも思うのだが
          ウィーン劇場って、何でこんなに歌手が良いわけ?

          ハムレット・・・じゃなくて、フランス語だからアムレと読むらしいバリトンは
          最初から最後まで、ほとんど出ずっぱりだが
          美声で声量あって、コントロールも効いていて
          軟弱で暗くて、判断力がなくて悩むだけのアムレ役にぴったり。

          恋人のオフィーリア・・・じゃなくて、フランス語だからオフェリを歌ったのは
          クリスティーネ・シェーファー。

          最初は役どころとして、あまり冴えないのだが
          後半の狂乱の場での、あの長大なアリアの素晴らしさは
          も〜、人間の声とは思えません(きっぱり)

          オペラの定型として
          コロラチューラ・ソプラノが、死ぬ、死ぬ、死ぬと叫んで
          10分くらい(元気一杯に)歌って叫びまくって倒れて

          観客としては、ああ、やっと死んだ、とブラボー・コールに盛大な拍手。

          ところがどっこい

          倒れて、男性の俳優さんたちに運ばれて
          舞台の中央に横たえられた「死体」のはずのオフェリが

          また、むっくりと起きて、アリアの続きを歌う。

               ・・・ちょっと驚きます、はい (^.^)

          ジェルトリュード役のステラ・グリゴリアンの迫力が
          これまた際立っている。

          声量と美声(低音から高音まで、むちゃ厚みあって滑らか)に加えて
          愛人と結託して夫を殺す悪人という面と
          アムレの母親として悩む面と
          色々な人間的要素が絡まって
          カレイドスコープのように出てくる人間を演じきっていて見事。

          クロード役のバス、フィリップ・エンスの低音も抜群。
          低い音が好きな私は、もうメロメロ。
          悪人だろうが、何だろうが
          こんな美しい声を持った人なら (以下省略 興奮し過ぎ(自爆))

          素晴らしい作品だ、と聞いたので
          本当は1回しか行かない予定だったのだが
          もう1回行く事にしてチケットを買って
          昨日の前半では、あ、こりゃいかんかも・・・と思ったけれど
          後半からは、俄然
          ああああ、もう1回分のチケットを確保しておいて良かった!!!と確信。

          ちょっと色々と事情があって
          睡眠不足が続いているのだが
          それでも、こういう公演を見られて嬉しい、と喜ぶ私に

          どうぞ1クリックをお恵み下さい。



          カメラ持っていかないから
          スマート・フォンで、ちょっと雰囲気だけ・・・ f(^^;)
          ミンコフスキー、お棺の上に座ってるし (爆)





          ウィーン交響楽団 + クリストフ・ポッペン 2回目

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            Konzerthaus Großer Saal 2012年4月25日 19時30分〜21時20分

            Wiener Symphoniker
            指揮 Christoph Poppen
            ソプラノ Juliane Banse

            Felix Mendelssohn-Bartholdy (1809-1847)
             Ouverture “Die Hebriden” (“Die Fingalshöhle”) op. 26
            Charles Koechlin (1867-1950)
             Quatre Poèmes d`Ddmond Haraucourt op. 7 (1890-95/1894-97)
             Vers la Plage lointaine (Nocturne)
             (Nr. 2 der Deux Poèmes symphoniques op. 43) (1898-1909/1916)
             Déclin d`amour (Nr.1 der Poèmes d`Automne op. 13) (1894)
            Antonín Dvořak (1841-1904)
             Symphonie Nr. 8 G-Dur, op. 88 (1889)

            ワタクシは、この恐ろしい話だけは記事にしたくなかった・・・・
                 ツィッターでフォローしている人にはバレているが。

            2回目のウィーン交響楽団のコンサートはチクルスではなく
            一般公演である。

            よって、あっ、フレミングがキャンセルした
            25日の夜が空いちゃった、という私でも
            ギャラリー15列目の8番という
            夢のような席が入手できた訳で
            如何にチケットが売れていなかったか、想像がつくというものだ。

            (註 ギャラリー15列目の7番・8番は
               前に座席がないので、舞台が全部見える最後部の席である。
               もちろん、一番安いカテゴリー (^^)v
               よって、チクルスでは奪い合いになるので、まず入手は不可能)

            ギャラリーの最後部というのは、実は音響はむちゃくちゃ良い。
            後ろが壁で、天井が低くなっていて、音が反響しやすいのである。

            メンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」
            昨日と同じく、クセのない素直な音で
            素直なメンデルスゾーンの素直な旋律が楽しめる。

            ちょっと素直過ぎて
            数日前のコンサートの毒から立ち直っていない私には
            ちと物足りないくらいだが
            メンデルスゾーンの音楽というのは、きっと、そういうもので、それが正しい。

            さて、不思議な響きのシャルル・ケックラン。
            2回目になると、やっと少し耳慣れしてきて
            フランスでもなく、ドイツでもなく
            トナールなんだけど、トナールっぽくない、という
            奇妙な音楽も、多少興味深く聴ける。

            バンセはドラマティック・ソプラノで、声量があって
            オーケストラのトゥッティの壁を破って、ちゃんと声が響いてくる。

            ただ、フランス語の歌詞なので(どうせ私にはわからない(爆))
            歌詞を発音する関係上、発声の際に、声が内に籠ってしまう事があって
            イタリア語とかドイツ語に比べて
            歌い声が、ちょっと不安定に聴こえてしまうのは、仕方がない。
            フランス語が悪い(違!)

            ところが・・・

            1曲目が終わった時点で・・・・ 拍手 (*_*)

            周囲の人が注意するかな、と思ったら
                周囲の人も巻き込まれて、全員、拍手 (*_*)(*_*)

                  私の左右の人も拍手 (*_*)(*_*)(*_*)

            前半は全部で4曲歌ったのだが

                その度に拍手 (*_*)(*_*)(*_*)(*_*)

            ・・・昨日は、ちゃんと4曲歌い終わるまで、みんな静かだったぞ!!!
            (昨日のコンサートはチクルスだった)

            まぁ、それはそれとして \(・_\) (/_・)/

            このケックランという作曲家のオーケストラ技法の見事さに圧倒される。
            リゲティの「音の雲」まではいかないけれど(時代が違う)
            実に繊細な響きを、様々な楽器の特徴を使い分けている。

            これ、オーケストラと指揮者には楽しいかも・・・ ( '_')ジッ

            後半、ドボルジャークの交響曲8番。

            早めのテンポで、くっきりとメロディ・ラインを出して
            とても明確な第1楽章が終わった後

                拍手 (*_*)(*_*)(*_*)(*_*)(*_*)

            しかも、かなり盛大な拍手。
            誰も止めない(普通は、誰かがシッ!と怒る)

            どこの田舎のコンサートだよ?!

            この上なく優雅な第2楽章のアダージョ。
            低弦の響きが厚くて
            途中の管楽器のアンサンブルが、サラッとしているのに哀愁が漂う。
            でも、ヘンにウエットにならず
            かなり早目のテンポ設定で、しかもインテンポ。

            あくまでも、あっさり目の、くどくない音楽になっていて
            あまり胸に響いてくる、という感じではなく
            感情を排して、わりに「純粋な音楽」という印象で響くあたり
            やっぱり現代音楽が好きな指揮者、と言う感じ。

            終わったとたんに

              また拍手 (*_*)(*_*)(*_*)(*_*)(*_*)(*_*)

            有名な第3楽章の最初のメロディ
            オーケストラ怒ってるし(笑)

            いや、本当に怒っているかはともかくとして
            何か、昨日より、ほんの少しだけ力の入り方が大きいんですが f(^^;)

            第3楽章から第4楽章はアタッカで入ったので
            拍手はなしで、輝かしいトランペットが華やかに響きわたる。

            ・・・けど、トランペットからだんだん低音になっていくところで
            音、違ってますけど・・・(爆) (最後の低音が、全然違ってた)
            (ソロを終えたトランペットが苦笑してたな・・・)

            職人オーケストラだから
            どんなに聴衆が アホ 慣れていなくても
            そこそこのプライドで、ちゃんとした演奏を聴かせてくれる筈・・・だと思うのだが
            フォルティッシモのトゥッティの音が
            クリアに響かず、団子になってるし(コンツェルトハウスで団子は珍しい)

            それって、もしかして、ちょっとヤケクソでしょうか???

            でも、相変わらず、木管・金管の巧さは
            このオーケストラの持ち味で、素晴らしい。
            目立たないけれど、ホルンの名人芸は、もう完璧というか・・・
            フルートも、あれだけ吹きっぱなしで
            あの完璧な音色とパッセージが出るなんて、感嘆する。

            多少、アンサンブルに乱れがあっても
            むちゃくちゃ早いテンポに乗って、ノリノリで
            最後まで突っ走った。

            普通、2回コンサートがあると
            1回目より2回目の方が演奏が良いケースが多いのだが

            今回は、まさか観客のせいとは思わないけれど
            昨日の1回目の方が、まとまっていたような気がする。

            全体的に、かなり、というか、ものすごくアッサリ系で
            粘りがなくて、元気で
            ヘンな思い入れがないだけ、音響を純粋に楽しめる、という音楽だった。

            それはそれで、楽しいなぁ、という感じで
            スキップしながらコンサート会場を出た私に
            どうぞ1クリックをお恵み下さい。




            ランキングの順位がどんどん下がっているけれど
            まぁ、趣味で個人のただの感想記だし ( ( ¨)( ‥)( ..)( __)  イジイジ)
            イグーデスマン&ジューが面白いビデオを貼ってくれたので下でご紹介。
            1971年の若いアンドレ・プレヴィンのとぼけ振りをお楽しみ下さい。
            (あのマジメな指揮者が・・・ (*_*)(*_*)(*_*))
            英語が苦手なので、私にも数パーセントしかわからないけれど
            それでも、むちゃ笑えます (^^)v







            ウィーン交響楽団 + クリストフ・ポッペン 1回目

            0
              Konzerthaus Großer Saal 2012年4月24日 19時30分〜21時20分

              Wiener Symphoniker
              指揮 Christoph Poppen
              ソプラノ Juliane Banse

              Felix Mendelssohn-Bartholdy (1809-1847)
                Ouverture “Die Hebriden” (“Die Fingalshöhle”) op. 26
              Charles Koechlin (1867-1950)
                Quatre Poèmes d`Ddmond Haraucourt op. 7 (1890-95/1894-97)
                Vers la Plage lointaine (Nocturne)
                (Nr. 2 der Deux Poèmes symphoniques op. 43) (1898-1909/1916)
                Déclin d`amour (Nr.1 der Poèmes d`Automne op. 13) (1894)
              Antonín Dvořak (1841-1904)
                Symphonie Nr. 8 G-Dur, op. 88 (1889)

              久し振りのコンツェルトハウス(の安い席(笑))
              滅多に演奏されないシャルル・ケックランのリートを
              ジュリアンネ・バンセが歌うという事と

              お初にお目にかかるドイツの指揮者 クリストフ・ポッペンが
              写真を見たら
              ちょっと、ウチの会社の社長と、非常に似た感じ (*^^*)
              どういう顔か見たい、という方は、公式ページのギャラリーをどうぞ

                 別にそれが理由ではないが
                      (-_-;)ホントカ・・・オイ


              最近、楽友協会でのコンサートが多かったせいで
              コンツェルトハウスの音響は、何となく乾いた感じがする。

              でも、本来は、これが理想的なコンサート・ホールだ。
              楽友協会ホールは、場合によっては響き過ぎて大仰な感じになる。

              メンデルスゾーンのフィンガルの洞窟、すごくアッサリした感じに響く。
              おどろおどろしいところがなくて
              テンポに乗って、美しい風景画を見ている感じ。

              シャルル・ケックランは
              時代的には、モーリス・ラヴェルやクロード・ドビュッシーと同時期で
              オーケストレーションに強く
              ガブリエレ・フォーレが自分のアシスタントにしたという作曲家。

              多作で230近くの作品を残しているが
              残念ながら、現在では演奏される機会は非常に少ない。

              というより、私、こんな作曲家が居る事自体、知らなかったんですが f(^^;)

              歌詞がフランス語だし
              一応、プログラムに対訳はついているけれど

              私、ど〜しても「詩」というものが理解できない(自爆)

              (例えば「美しき水車小屋の娘」とか
               「詩人の恋」とか、ある程度具体的なストーリーがあれば別だが
               シェーンベルクの「架空庭園の書」なんかも聴いたけれど
               ドイツ語なのに、さ〜っぱり言われている事がわからん・・・)

              よって、詩の内容は別として

              不思議な音楽言語を持った曲。

              ドビュッシーとも、フォーレとも、ラヴェルとも違うし
              当時のフランス印象派の曲に
              ちょっとリヒャルト・ワーグナーのトリスタン和音をかまして
              基本的にはトナールなのだが、時々、それが不安定に揺れる。

              いや、これ、耳慣れしないと楽しむのは無理だろ?!

              後半のドボルジャーク、交響曲8番。
              どこにも無理のない、元気で華やかな音がする。

              管楽器に名人が多いと、この曲は映える。
              ヘンに派手なところはないけれど
              音楽として、とても美しい。

              指揮者のポッペンは、どちらかと言えば現代音楽の専門家のようだが
              ドボルジャークの音を一つ一つ、丁寧に拾って
              コンツェルトハウスの、ちょっとドライな音響空間の中に
              たくさんの色の音を泳がせているような感じ。

              明日4月25日の、ルネ・フレミングのリサイタルが
              本日、中止になって、12月11日にずれ込むという連絡があったので
              明日は、同じコンサートに、もう一度行く事に決定 (^^)v

              コンツェルトハウスの天井桟敷で安い席もあったし
              マルティン・グルービンガーのコンサート変更で返したチケットの商品券もあったので
              2ユーロで済んだのはありがたい。

              同じコンサートを何回か聴く、という
              この上ない贅沢な楽しみを満喫するアホな私に
              どうぞ1クリックをお恵み下さい。



              明日のチケット買った後
              ラジオ・クルトゥーアハウスで、マルティヌーの説明会が
              25日にあったのを思い出して、ああああっ!! (((--;)(;--) ))
              仕方がない。マルティヌーは説明なしで、金曜日に挑戦だっ!


              バイエルン放送交響楽団 + アンドリス・ネルソンス

              0
                Musikverein Großer Saal 2012年4月22日 19時30分〜21時40分

                Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
                指揮 Andrís Nelsons
                ピアノ Hélène Grimaud

                Ludwig van Beethoven (1770-1827)
                   Konzert fü Klavier und Orchester Nr. 5 Es-Dur, Op. 73
                Béla Bartók (1881-1945)
                   Konzert für Orchester, Sz 116

                バイエルン放送交響楽団が、やんちゃ坊主のネルソンスと客演。
                最近、ネルソンスの指揮を見る機会が多いな。
                (この間はバーミンガム市交響楽団だった → おヒマな方は ここ )

                今回はエレーヌ・グリモーのピアノで
                ベートーベンのピアノ協奏曲5番。

                いや〜、実はこの曲、子供時代にむちゃくちゃ好きで (^^ゞ
                弾けるワケがないのだけれど
                (私はチェルニーの100番も無理です(恥))
                生まれて初めてオーケストラのポケット・スコアを買ったのが、この曲だった。

                ピアノ譜の方が、オーケストラ・スコアより高かったから、という
                単純な理由なんだけど(自爆)

                グリモーは今までにも何回か聴くチャンスがあって
                でも、ほら、ソリストとか、あんまり興味がなくて(すみません)
                女性にしては、結構、重いタッチのピアノを弾く人、というイメージ。

                上から見ていて
                あぁ、あれだけ手が大きくて、腕が長くて
                自由自在に動いたら、気持ち良いだろ〜な〜
                しかもスタイル良いし美人だし、若いし
                (42歳だけど、若く見える)
                髪の毛キレイだし

                ・・・・何だか、音楽とは全く関係のない事ばかり(爆)

                アゴーギクはピアノの方が揺れ幅が大きい。
                ネルソンス率いるオーケストラは、かなりインテンポで安定している。
                ピアノの音が自由自在で
                オーケストラの中に埋もれているところから
                だんだん、際立って行くところなど
                ちょっと背筋がゾクゾクする位、魅力的。

                第2楽章のオーケストラの音色が
                ちょっと曇った感じでソフトな手触りでステキ・・・

                裾の長い黒いシャツで
                いつもの通り、指揮台で元気良く踊るネルソンスだが
                第1楽章で踊りすぎたのか、汗だくになって
                ハンカチ持ってなくて
                第2楽章で、汗が目に入ったみたいで
                一生懸命、拭っていたのはご愛敬。

                後半は、バルトークの「オーケストラのための協奏曲」
                結構、ウィーンで演奏される機会が多い。
                各楽器がソロとして目立って
                奏者のやる気を引き起こす曲なのかもしれない(邪推)

                ネルソンスの元気なダンスは健在。
                元気過ぎて、曲の哀愁とか、そういうモノは一切ないけれど

                でも、音のテクスチャーが細かくて
                各パートが全部、クリアに聴こえてくるのに
                トゥッティになると、また違った色が聴こえてくる。

                そう言えば、この間のバーミンガム市交響楽団の時の
                ドビュッシーとラヴェルでも
                音響処理が巧くなったなぁ、という印象があった。

                バルトークの名曲に含まれた
                複雑な音色の絡みが、解き明かされて
                明確に再構築されていくのが、よくわかる。

                晩年のバルトークの望郷の念とか、やりきれなさとかは
                全然、感じるところがなかったのだけれど
                音響的な面からのアプローチとしては、見事なもので

                まるで、現代音楽のような
                めくるめく音色の手触りを、充分に楽しませてもらえる演奏だった。

                各ソロも巧い。
                金管の輝くような音色で高らかに演奏されるファンファーレ
                ビオラの、いわく言い難い柔らかい音
                フルートの妙なる音色に、切り出すようなピッコロ
                リズミックに跳ねるようなファゴットなど

                放送交響楽団って、その職業上、現代音楽の演奏にも慣れていて
                そういうオーケストラが、こういう曲を演奏すると
                むちゃむちゃ巧い。

                アンコール曲で
                またもや、ネルソンスが跳ねて踊ってを繰り広げてくれた(笑)

                この指揮者も強い個性を持つ人だけれど
                指揮姿を見たり、その音楽を聴いている限りでは
                音楽に対する、底なしの愛情を感じるだけである。
                (もう、好きで好きで、好きでたまりません、という感じ。
                 アンコール曲では、またもや、ヤッ!とか叫んで振ってたもん)

                その無邪気な「お子ちゃま」振りが好きではない、という人もいるだろうが
                あの天真爛漫さは、わざと自分をプロデュースするためにしているのではなくて
                この人、本当に、底の底から無邪気で明るいのではないか
                と、音楽を聴いていると、ついつい思わせられてしまうところが
                どうしても憎めないのだ。

                その分、まだ深みとか哀愁とかの感情からは
                全くかけ離れた
                音楽の喜びに満ちた
                そして、最近は、音の色や手触りを充分に考慮した音響を聴かせてくれる。

                良い意味で、どんどん「発達」している指揮者だろう。
                これからの活躍も見逃せない (^^)v

                激太りからは、少しダイエットしたみたいだけど
                今度は、髪の毛の生え際が、どんどん後退している・・・
                でも、まだまだ若さタップリの活きの良いネルソンスを
                可愛いなぁ、と思うオバサンの私に
                どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                イースターも終わって、本当は春のはずなのに
                まだまだ寒い。朝夕は10℃を切っている・・・


                国立オペラ座 「バラの騎士」 2回目

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                   Staatsoper 2012年4月21日 18時30分〜22時50分

                  DER ROSENKAVALIER
                  Richard Strauss
                  指揮 Jeffrey Tate

                  元帥夫人 Nina Stemme
                  レルヒェナウ男爵オックス Kurt Rydl
                  オクタヴィアン Elīna Garanča
                  ファン・ファーニナル Franz Grundheber
                  ゾフィー Miah Persson
                  侍女マリアンネ Simina Ivan
                  ヴァルツァッチ Michael Roider
                  アニーナ Janina Baechle
                  警察署長 Wolfgang Bankl

                  同じ演出で348回目の上演 (^^)
                  この間は、ちょっと、え?という感じだったので
                  2回目はどうなるだろう、とドキドキしながら行った。



                  終演後に、前に移動して
                  スマート・フォンで撮ってみたけれど
                  やっぱりダメだわ。わっはっは。まぁ、ちょっと気分で・・・・ (^^ゞ

                  しかし、実に長いオペラではある。
                  しかも、音楽はむちゃ複雑。

                  先回はエリーナ・ガランチャの産休復活第1回で
                  声が飛ばない、と不満タラタラだったが
                  今回は格段に良くなっていて、一安心 (^。^;)ホッ

                  ニーナ・シュテメの声は、低音が非常に響く。
                  よって、ガランチャとの掛け合い部分では
                  ガランチャの声の方が細かったりするので
                  舞台を見ずに聴くと
                  (いや、あの、安い席だから舞台見えないんだけど(^^ゞ)
                  時々、どちらが歌っているか判断できず、混乱する。

                  チラッと舞台が見えた部分から、無理やり感想を言えば

                  やっぱりエリーナ・ガランチャって、オクタヴィアンにぴったり!!!

                  背は高いし、美人だし、肌がキレイで
                  ソプラノと並んでも、背が高いから、ズボン役がハマる。

                  第2幕なんか、陶器のお人形さんみたいで、ため息が出る。
                  マリアンデルも、実にカワイイし
                  オックスが見ていない時に、チラッと男性っぽい仕草が出る演技も細かい。

                  クルト・リードル(ライドル? どう読むの?)のオックス男爵は
                  声は出るわ、演技は巧いわ
                  時々、アドリブを挟みながら、余裕綽々で、貫禄があって見事。

                  (知り合いからの話だが
                   この人、前の日も、ボリス・ゴドゥノフに出演していたそうだ。
                   2日連続だよ、う〜ん、さすがにプロ・・・・)

                  脇役も揃っていて
                  いつもの面々だが、アニーナ役のジャニーナ・ベッヘレの美声は見事。
                  これだけの声を持っていれば
                  スタイルさえ合えば、この人も間違いなくオクタヴィアンを歌えるだろうが(以下省略)

                  オペラって、やっぱり見た目も大事だし(自爆)

                  ソフィー役のミア・ペルソンは、役がこなれてきて
                  可愛い声で、キレイに歌ってくれた (^^)v

                  舞台は見えないけれど
                  オーケストラ・ピットは一部が見えるので

                  演奏していない木管の男性たちが
                  舞台を見上げて、得も言われぬ顔で
                  うっとり陶酔していたのが見えて
                  ちょっと微笑ましい(笑)
                  (でも、ちゃんと演奏するところになると
                   顔つきがプロに戻って、しっかり演奏している (^^))

                  オペラは、やっぱり舞台が見える席が良いなぁ・・・とは思いつつ
                  今回はスタンド・バイで入れたために
                  席を選ぶ余裕もなかったので、仕方がない。

                  来年1月には、元帥夫人をデノケが
                  オクタヴィアンをホーツェール、オックスをペーター・ローズが歌う予定。
                  ・・・このキャストも行きたいな ( ̄。 ̄)

                  それまでに破産しなければ・・・の話だが(笑)

                  って笑いごとじゃないかも、と真剣に考えている私に
                  どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                  ガランチャのバラの騎士は、今シーズンはこれにてお終い。
                  アンナ・ネトレプコがレパートリーをどんどん広げているのに
                  ガランチャは、反ってレパートリーを縮小して
                  同じ役ばかり歌っているけれど
                  それはそれで、一つのやり方であろう。


                  ウィーン・フィル + ティーレマン 2回目

                  0
                    Musikverein Großer Saal 2012年4月21日 15時〜17時20分

                    Wiener Philharmoniker
                    指揮 Christian Thielemann
                    バイオリン Rainer Küchl

                    Robert Schumann (1810-1856)
                      Ouvertüre, Scherzo und Finale, E-Dur, op. 52
                      Symphonie Nr. 1, B-Dur, op. 38 “Frühlings-Symphonie”
                      Fantasie für Violine und Orchester, a-Moll, op. 131
                      Symphonie Nr. 4, d-Moll, op. 120

                    昨日より、1番のアンサンブルは揃ってはいるけれど
                    最初の作品番号52番から
                    いつものウィーン・フィルの柔らかな音ではなく
                    男性的でダイナミックな音が響くのは
                    やはり、指揮者のせい・・・なのだろう。

                    圧倒的な個性であり
                    以前も書いたけれど
                    理性的なアプローチが主流になっている現代で
                    多少なりとも建前とかが残っている指揮者が
                    絶対にやらないだろう事を
                    恥ずかし気もなく、堂々とやってしまうという意味で
                    ティーレマンという指揮者は、正にカリスマであろう。

                    私の知り合いが、フルトヴェングラーに例えていたけれど

                    フルトヴェングラーという指揮者の崇拝者は
                    フルトヴェングラーのベートーベンとか
                    フルトヴェングラーのシューマン、という言い方をする。

                    そのうち
                    ティーレマンのベートーベンとか
                    ティーレマンのシューマンなどの言い方が普通になったりして(笑)

                    指揮者、というよりは、解釈者の個性が
                    作品の個性を遥かに超えてしまう、という事実。

                    しかも、あれだけ俺サマ至上主義の人間性が
                    音楽に明確に現れてしまうという不思議な現象。

                    それに熱狂する聴き手がいるのは、紛れもない事実だし
                    あのカリスマ性と時代錯誤の音楽解釈は
                    ある意味、狂信的な信奉者を作る事は間違いないし

                    あの音楽に熱狂できる聴き手は
                    非常に幸せなのだと思う。

                    感受性がゼロに限りなく近い、音楽ド素人の私は
                    あそこまで個性的で恣意的な音楽を聴かされると
                    ちょっと辟易してしまうのだが
                    それは、あくまでも主観、好みの問題。

                    音楽の供給が飽和状態になっている現代において
                    楽譜に忠実に
                    作曲家の意図をその中から汲みながら
                    楽譜に書かれた事を、そのまま音楽にしていくだけでは
                    きっと、我々聴衆も満足しない、という悲しい事実がある。

                    音楽においても、過剰供給の中で
                    スター・システムという商業主義が欠かせないのは
                    仕方がない事だろう。

                    本来は、音楽を聴きに行く、のであって
                    特定のオーケストラとか、特定の指揮者を聴きに行く訳ではないのに
                    コンサートのポスターで一番大きく書かれているのが
                    オーケストラ名だったり、指揮者名で
                    曲目は、その下に、小さな字で書いてあるというのは
                    何だか、ヘン・・・・と思う。

                    昨日、比較的マトモに聴こえた交響曲4番も
                    テンポや強弱で、不思議な部分がたくさんあるのだが

                    でも、ティーレマンのクセというのはあって
                    あ、ここで伸ばすだろうなぁ、とか
                    あ、ここで、これを強調するだろうなぁ、とか

                    だんだん、そのテクニックが見え透いてくると
                    最初に聴いた時の驚きがなくなってきて
                    その奇抜さが、指揮者の個性の発露でしかなくなってしまうので
                    上っ面を撫でただけ、というか
                    派手な演奏なのだけれど、その中に
                    「俺サマ」以外に何が見えるか、というと、何も見えない。

                    現代のスター・システムに乗り
                    たぶん、昔の「大指揮者時代」を知っていて
                    それに憧れる層には
                    あれだけ、自分のやる事に迷いがなくて
                    堂々と好き勝手に演奏しているカリスマは
                    強烈な魅力を発散するだろうと思う。

                    私は別にそれに批判をしようとか
                    そんな大それた意図は持っていないので
                    好きな人は好き、嫌いな人は嫌い・・・というので
                    別に良いと思う。

                    所詮は主観の問題ですし f(^^;)

                    クリスティアン・ティーレマンのナマ演奏については
                    DVD になったベートーベン・チクルスの追い駆けもやったけれど
                    ミュンヒェン・フィルやウィーン・フィルと数年前に演奏した
                    ブルックナーは、非常に高く評価している。

                    チラッと演奏したワーグナーも、すごく良かった。
                    (これも、やりたい放題だったのは同じだが
                     たぶん、ワーグナーは、ティーレマンのやりたい放題を内包しているのだ)
                    去年のリヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲も素晴らしかった。

                    あの、強烈な個性がピッタリくる曲というのは
                    だから、いくつもある。

                    というワケで
                    この記事は、ティーレマンの悪口ではございませんので
                    崇拝者の方、夜道で私をグッサリ刺す必要はございません m(__)m

                    でも、ちょっと夜道に怯える私に(笑)
                    どうぞ1クリックをお恵み下さいませ。



                    この後、国立オペラ座で
                    シュテメ、ガランチャ、ライドル、ペルソンの
                    「バラの騎士」2回目鑑賞。
                    記事はまた後で・・・



                    ウィーン・フィル + ティーレマン 1回目

                    0
                      Musikverein Großer Saal 2012年4月20日 19時30分〜21時40分

                      Wiener Philharmoniker
                      指揮 Christian Thielemann
                      バイオリン Rainer Küchl

                      Robert Schumann (1810-1856)
                         Ouvertüre, Scherzo und Finale, E-Dur, op. 52
                         Symphonie Nr. 1, B-Dur, op. 38 “Frühlings-Symphonie”
                         Fantasie für Violine und Orchester, a-Moll, op. 131
                         Symphonie Nr. 4, d-Moll, op. 120

                      ウィーン・フィルのソワレ公演。
                      何故か知り合いが、みんな集まって、あちこちの席で鑑賞。
                      私は、全く何も見えない席なので
                      一応、スコアは持ってきたけれど、まぁ音に集中しよう。

                      (-"-;)

                      (-"-;)

                      (-"-;)

                      最初の序曲、スケルツォ、フィナーレは初めて聴く曲だから
                      何も書かないけれど
                      その後の、シューマンの交響曲1番。

                       ・・・ 唖然 (-"-;)

                      オーケストラの音の色が全く違うし
                      非常に男性的というか、ガリガリ、力任せというか
                      いや、好意的に言うならエネルギッシュで厚みがあるというか

                      これ、どこのドイツのオーケストラ? というのは
                      あまりに失礼かもしれないけれど
                      どう聴いても、いつものウィーン・フィルの音には聴こえない。

                      指揮者は、もう、やりたい放題というか

                      テンポは恣意的に、異様に速くなったり、遅くなったり
                      楽譜にはリタルダンドもアッチェレランドも、何もないところで
                      目まぐるしく速度が変わるし

                      もちろん音量もガンガン変わる。
                      そんなところにアクセント、普通ないでしょ?という箇所も多く

                      シューマンの交響曲をテーマにした
                      クリスティアン・ティーレマンの作品・・・にしか聴こえない。

                      あまりにあまりに揺れ動く表現に
                      一部、オーケストラのアンサンブルは乱れるし
                      何だか、何なんだ、この「春」は・・・ (-"-;)

                      音の厚みはあるし、莫大なエネルギーを浴びせられるような感じで
                      もちろん、好みの問題があるだろうが
                      あまりに大時代的で
                      ハリウッドの大金をかけた映画の音楽を聴いているような気分。

                      後半のファンタジーは
                      ウィーン・フィルのコンサート・マスター、キュッヘル氏のソロ。

                      端正なソロで、それに合わせてオーケストラも
                      いつもの上品さをちょっと取り戻している。

                      それに釣られたのか、それとも、私が耳慣れしたのか
                      交響曲4番は、比較的マトモには聴こえてきたけれど・・・

                      シューマンの交響曲を、弄る試みは
                      ラトルと古楽器オーケストラでのピリオド奏法とか
                      その対極に位置する、シャイーの振った、マーラー編曲のシューマンとか
                      色々とあるけれど

                      マーラー編曲シューマンよりも
                      ティーレマンのシューマンは、もっと凄い音がする。

                      シューマンという作曲家よりも
                      ティーレマンという指揮者の個性の方が圧倒的に強いのだ。
                      音楽に秘められた作曲家の意図ではなく
                      指揮者自身が、自分という存在を表現するために
                      音楽という触媒を使っている・・・という感じか。

                      その意味では、ティーレマンという指揮者は
                      ものすごいカリスマには違いない。

                      大仰で、この上なくドラマティックな表現は
                      まるでパロディのように、時々、失笑を禁じ得ない位だが

                      その中に秘められた麻薬の、この上なく甘美な毒は
                      それなりの層を魅了して止まないだろう。

                      楽譜に忠実に、作曲家の時代を考慮して
                      あくまでも理性的に音楽を追うという潮流が大きいなかで

                      一人だけ、その時代の潮流に全く逆らって
                      俺サマ個性を表現するためだけに、音楽を奏でる人がいる。

                      それが良いか悪いかは
                      主観的な判断でしかないから
                      その圧倒的な個性に魅了されて
                      熱心な崇拝者になる人も多いだろうし

                      あまりの毒々しい個性と
                      音楽そのものが内包する表現を無視した強烈な表現に
                      辟易する人もいるだろう(たぶん)

                      こういう個性に圧倒される人は
                      極端に崇拝者になるケースも多いので
                      ここで、こういう事を書くと
                      そのうち、ティーレマン・ファンに
                      グッサリと夜道で刺されるかもしれない(笑)

                      音楽の好みは、あくまでも主観である。
                      納豆が好きな人も、全く食べられない人もいるのと同じなので
                      私が、ティーレマンの音楽表現に耐えられないのは
                      私の好みが、ティーレマンが目指す音楽表現からかけ離れているからである。

                      じゃぁ、聴きに行かなければ良いじゃん、という
                      当然の意見があるだろうけれど

                      ある意味、あの、ダントツな個性は
                      アクの強い、非常に印象的な音楽を聴かせてくれるので
                      ついつい、怖いモノ見たさ、いや、聴きたさで行ってしまうのだ。

                      その意味では、人気抜群なのも、何となく理解できる。
                      好きではないけれど、圧倒的なカリスマ個性・・・

                      あの強烈な個性で、ワーグナーを演奏すると
                      確かに聴き応えがあるだろうなぁ・・・と思いつつ
                      実は、同じプログラム、明日も行っちゃうんだもんね、という私に
                      どうぞ1クリックをお恵み下さい。



                      投稿日時は変更してある。
                      実はこの後、ヲタクが集まって大騒ぎしたのである。
                      もちろん、その中には、ティーレマン大好き、という人もいた (^O^)
                      個人の好みだから、それで全くかまいません、ホント。


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