Theater an der Wien 2012年2月24日 19時〜21時50分
Telemaco
Dramma per musica in zwei Akten (1765)
Musik von Christoph Willibald Gluck
Libretto von Marco Coltellini
指揮 René Jacobs
演出 Torsten Fischer
舞台 Vasilis Triantafillopoulos, Herbert Schäfer
照明 Diego Leetz
ドラマツルギー Herbert Schäfer
ウリッセ Rainer Trost
テレマコ David DQ Lee
メリオーネ Anett Fritsch
アステリア Valentina Farcas
ツィルチェ Alexandriana Pendatchanska
ペネロペ・預言者(俳優) Anna Franziska Spna
オーケストラ Akademie für alte Musik Berlin
コーラス Arnold Schoenberg Chor
初演鑑賞記は
ここ2回行く予定は全くなかったのだが
今年の演目のチケットを買っていなかったかと焦って
入手した後で、ありゃ、これ2回目か・・・・という大ボケ。
ウィーン劇場のドアのところに張り紙。
本日はベジュン・メータの病気のため
David DQ Lee がテレマコ役を歌う事になりました
へっ???
まぁ、歌手の風邪というのは、よくあるのだけれど
まさか初演の酷評で落ち込んだワケではないだろうな。
会場に入るとオーケストラが音だしをしている。
初演の時は、ホルンがマーラーの交響曲5番のフレーズを吹いていたし
今日はフルートが、牧神の午後への前奏曲をピアニッシモでこっそり練習している。
おいおい、キミたち、バロック・オーケストラじゃなかったんかい?!
いやいや、お茶目なオーケストラ (^O^)
開演前に立つ劇場支配人、もちろん歌手の変更を伝えるためだが
何と、今日は、それだけではなかった。
ベジュン・メータは重い風邪のため、歌も演技もできません。
テレマコという珍しい、ほとんど上演されないオペラの
カウンター・テノールを見つけるために、私どもは最大限の努力をして
シュヴェツィンゲンの音楽祭でテレマコを歌ったカウンター・テノールのリー氏に
昨日、夜の8時に連絡がつきました。
まぁ、その、あの、シュヴェッツィンゲン音楽祭のテレマコは
私どものテレマコと全く同じ・・・というワケではないのですが
リー氏は、本日、朝5時に起きて、最初のフライトでウィーンに到着しました。
すぐにルネ・ヤコブスと打ち合わせをし、オーケストラとリハーサルをしたのですが
今回の私どものテレマコのプロダクションは、大変、大規模なものです。
今までに全くなかった形式を使っております
よって、リー氏はオーケストラ・ボックスに入ってもらい
テレマコ役は、演技を熟知している演出助手にやってもらう事にしました。
ひえ〜、口パクですか?! (*_*)
以前、フォルクス・オパーの「3つのオレンジへの恋」の時も
口パクがあったけれど、あれは、歌手は舞台袖で歌っていた。
で、今回の歌い手はオーケストラ・ピットである。
舞台の上に乗るより、ずっと音が抑えられてしまうだろうし
舞台は見られないし、何とまぁ、タイヘンな役目を引き受けたものだ。
結果的には、すべて良し。
思いがけない代役で、しかもオーケストラ・ピットだったにもかかわらず
舞台上の歌手とのアンサンブルが
全く破たんせず、バランス良く聴こえて来たのは、ルネ・ヤコブスの腕か。
さて、初日の公演はワタクシ的には絶賛だったし
ブラボー・コールが飛び交ったものの
プレッセのシンコヴィッツは、むちゃ辛辣な酷評を書いていて
もちろん、それに踊らされた・・・かもしれないけれど
確かに、舞台は素晴らしい。
舞台装置も(批評では「ブレゲンツ音楽祭に使えそう」・・・あっはっは確かに)
回転盤と鏡と照明とで、シンプルに、でも大がかりで美しい。
歌手も最高だし(今日の DG リー氏だって、かなり良かった!!!!)
まぁ、演出助手氏は、さすがに歌詞までは覚えていなかったらしく
口は半開きにしたまま、表情がない(そりゃ無理だわ)
できれば、ちょっと、オーケストラ・ピットから歌が聴こえる時には
少なくとも「歌ってます、本当は」くらいの演技はして欲しかった。
・・・が、ご本人にしてみれば
まさか、自分が指導した演技を
自分自身で舞台でやる事になるとは、想像もつかなかっただろう(笑)
ツィルチェ役の Alexandriana Pendatchanska は
ますます劇的表現の力を増して
決して「美声」のメゾではないのに、ともかく圧倒される。
Rainer Trost は、ますますマッチョ振りを発揮しているし
Anett Fritsch の美声と声量には、惚れ惚れする。
ただ、シンコヴィッツが書いている通り
これ、グルックの作品の中では、どちらかと言えば、駄作(断言)
コロコロ転がるバロック風のアリアが少ないと言うよりは
何だか、何もかもが中途半端で
アリアも、結構、投げやりというか
適当に耳当たりの良いメロディをくっつけちゃえ、という感じで
最後が終わったんだか、何なんだか、よ〜わからん。
(強いて言えば、ウィーン版モーツァルトのドン・ジョバンニのような心地悪さ)
ハプスブルクのヨゼフの結婚式のために作曲されたオペラだと言うが
結婚式のオペラに、不倫の話かいっ!!!???
第1回目の鑑賞で、舞台装置や歌手、オーケストラの見事さに打たれたけれど
最初に感激した部分の印象が弱くなってみると
確かに、音楽的に見て、う〜ん (-"-;) というオペラなのだ。
バロック・オペラの復興は、とても喜ばしい事ではあるのだけど
このオペラを上演するのであれば
以前、上演された素晴らしい出来のイフジェニーあたりを
もう1度、上演してくれた方が嬉しかったかもしれない。
バロック・オペラも玉石混合であって
え〜い、てきと〜に作っちゃえ、という作品があっても不思議はないし
(第一、当時は音楽は、かなり贅沢な消費の対象だった)
グルック自身も、250年後に、この作品が上演されるなんて
思ってもみなかったに違いない(と断言する)
でも、初演時に書いた通り
舞台装置・演出・歌手・オーケストラともに
素晴らしいプロダクションになっている事は間違いがないので
まぁ、1回くらいは観に行っても、損はないと思う(急に弱気)
同演目の2回観は、最初の印象が残るだけに
色々な別の側面が聴こえてきて、それが面白い・・・と
それなりに納得している私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。
ウィーンも急に暖かくなってきて、ともかく眠い。
前半の途中から、音楽聴きながら、ぐっすり眠っていた。
よって、本日は、愛してるだの忘れないだのの
ウリッセのたわごとは聴かずにすんだ(ってそんな問題じゃないが・・・)