ウィーン・フィル + ゲルギエフ(2回目)

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    Musikverein Großer Saal

    Wiener Philharmoniker
    指揮 Valery Gergiev
    バイオリン Nikolaj Znaider

    Henry Dutilleux (*1916)
        Mystère de l`instant
    Eduward Elgar (1857-1934)
        Konzert für Violine und Orchester, h-Moll, op.61
    Sergei Prokofieff (1891-1953)
        Symphonie Nr.5, B-Dur, op.100

    書いた通り
    本当は4回分のチケットを持っていたのだが
    色々な事情で2回しか行けなかった2回目のコンサートである。

    デュティーユの「瞬間の神秘」  すごいよ、これ (+_+)
    ナマ聴きは、今回で3回目だけれど
    聴けば聴くほど、ハマっていく。

    弦のグリサンドとピチカートで繰り広げられる世界は
    聴覚による、めくるめく光と色彩の嵐

    ・・・なんて
    ものすごく通俗的な表現しか思い浮かばないのがもどかしいほど
    圧倒的な世界が、脳の中で繰り広げられて
    正に、脳がマッサージされている感じ。

    最近、ウィーン・フィルのメンバーも若い人が増えて来たようで
    現代音楽が巧くなってきている。
    (というか、楽しんで弾いている人が増えてきているような気がする)

    デュティーユの曲の、光と色が弾ける感じって
    やっぱり、ナマでしか聴けないんだろうなぁ。

    (実はデュティーユのオーケストラ曲のボックス CD があるのだが
     「あの音を CD で聴いても、細かいところが潰れているのではないだろうか」
     という不安で、まだ買っていないのだ。
     60ユーロ以上する、という価格の問題もある

    弦がユラユラと揺れて蠢いて、グリサンドで上昇・下降が組み合わされて
    それに、ピチカートが、プチプチと入ってくると
    あぁ、もう、あぁ、ダメだわ、私 (´ρ`)

    これ、恍惚というか、セッ○スのエ○スターゼというか
    こういう曲で「イッちゃう」おばさんにも困ったものだ、と
    どこかで醒めている自分もいるのだけれど(笑)

      まぁ、コンサートで1人勝手にイってしまっても
      周囲は何も気がつかないだろうから、ヨイのである、うん(勝手に納得)

    エルガーのバイオリン協奏曲。今回は眠らずに聴いた (~^~)エッヘン(アホ)
    いや、あの、良い曲ですね。
    メロディックだし、音の厚みもあって、オーケストラもよく考えられているし
    うるさくならないし、伝統的だし、キレイな曲だし f(^^;)

    ツナイダーのバイオリンの音色が素晴らしい。
    カデンツァ(しかもピアニッシモ)で、あれだけホールに鳴り響くのはスゴイ。

    金髪の若いお姉ちゃんのヒステリックな金切り声にもなっていなかったし。
    (以前の記事を参照のこと)

    最後のプロコフィエフの交響曲5番。

    好みの問題でしかないのだけれど
    やっぱり、ポリフォニーをモロに出し過ぎで
    どの楽器も均等に鳴らすので、メロディ・ラインが曖昧になってしまう。

    トナールのメロディを前面に出さずに
    不協和音でくっついてくる管まで、弦と同じバランスで演奏すれば
    プロコフィエフのモダン性はよく聴こえてはくる。
    (あらま、こういう処理をしてたのね、と気がついたところ、多々あり)

    でもね〜〜〜〜 (-"-;)

    解釈の問題で好みの問題ではあろうが
    やっぱり、ある程度は、メイン・メロディになっていない部分は
    「隠し味」程度にしておいて欲しい。

    ハーブが効き過ぎて、お肉の味が全くしないステーキみたいな感じ。
    お肉の味じゃなくて、ケッパーとかローズマリーとかの苦い味がメインになってる。

    まぁ、それが「現代的」なのだろうが
    ワタクシ的には、好みじゃないっ o(-_-o)

    しかし、こういう演奏を聴いちゃうと
    ううう、スコア見たら、もっと色々発見があるんじゃないだろうか・・・

      なんて、スコアも読めないくせに
      大胆なことを夢みてしまうのは、自分ながら、なんてアホ(自爆)
      (そのうち、本当にスタディ・スコア買ってるかもしれない・・・)


    トーン・キュンストラー + オロスコ・エストラーダ(2回目)

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      Musikverein Großer Saal

      Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
      指揮 Andrés Orozco-Estrada

      Robert Schumann (1810-1856)
          Symphonie Nr.1 B-Dur, op. 38 “Frühlingssymphonie” (1841)
      Igor Strawinski (1882-1971)
          “Le sacre du printemps” (1913)

      はい、すみません。
      土曜日の モダン・ダンス コンサートが、あまりに、あまりに良かったので
      日曜日の午後4時のコンサートにも行く事にした。

      スキモノと言われてもかまわん (開き直り)

      シャーデのリサイタルの幕間に
      プログラム売りの若いお兄ちゃんとお喋り。

      「昨日のトーンキュンストラー、すごく良かった」
      「かなり徹底的にリハーサルをしていたよ。
       今度の首席指揮者とは、うまく行っているみたいだし」

      ううう、それを聞いたら、身体がムズムズして
      午後3時半には、楽友協会のチケット売り場に足が向いてしまった。

        だいたい、本当は19時30分からのコンツェルトハウスの
        ニーグルのリサイタルに行く予定だったのだ。
        が、金曜日にコンツェルトハウスから電話があり
        「キャンセルになりました」 はい、そうですか、ニーグルよ、お前もか(怒)

      オルガン・バルコンに座っていたら
      バルコン・ロージェの1列目に誰も座っていなくて
      (ついでに、2列目も3列目も、誰もいなかった・・・)
      席を移動して、オーケストラが見えるところに陣取る。

      本当はいけません。
      私も滅多にやらない・・・
          けど、あれだけガラガラなら、まぁ、ヨイだろう(言い訳)

      今回はオロスコ・エストラーダのダンス 指揮も見える上に
      オーケストラ全体が見える。

      オーケストラのすぐ上になるから
      オルガン・バルコンより音のバランスは悪い。
      (でも、贅沢を言ってはいけない ウン(--)(__))

      シューマンの交響曲1番の若々しい明るさ。弾けるような春への喜び。
      リズミックな処理が抜群。

      オーケストラの技量というのは、どうしてもあるので
      細かい音符の刻みが潰れたり、とかはあったけれど
      ソロもミスなしで、アンサンブルもかなり揃っていたし
      それよりも何よりも、オーケストラのメンバーが
      本当に真摯に音楽に向かっているのがわかる。

      「春の祭典」は、やっぱり見事だった。
         どんなに練習したんだろう・・・(余計なお世話・影の声)

      ソロ・パートが見事な演奏を繰り広げ
      アンサンブルもしっかり揃って
      オーケストラ全体が火の玉のように燃え上がるコンサートなんて
      滅多にお目にかかれるものではない。

      いや〜、聴いていて
      「うわぁ、コンサートって運動会だわ」

      目にも止まらぬ速さで、身体全体を使ってボウを動かすコントラバスやら
      楽器を上げたり下げたりして身体中でソロを吹くクラリネットとか
      細かい音形を完璧に吹きあげたフルートとか
      実に楽しそうに吹いているトランペットとか

      全員が一致揃って、究極の音楽に向けての「運動会」
      踊っているのは、指揮者だけではなかったのね(笑)


      ミヒャエル・シャーデ テノール・リサイタル

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        Musikverein Brahms Saal

        テノール Michael Schade
        ピアノ Malcolm Martineau

        Franz Schubert (1797-1828)

            Gott im Frühlinge, D 448
            Die Sommernacht, D 289
            Herbst, D 945
            Der Winterabend, D 928

            An die Musik, D 547
            An mein Klavier, D 342
            An die Laute, D 905
            Blondel zu Marien, D 626
            Ständchen, D 957/4
            An die Leier, D 737
            Der Musensohn, D 764

            Glaube, Hoffnungen und Liebe, D 410
            Sprache der Liebe, D 410
            Liebhaber in allen Gestalten, D 558

            Nähe des Geliebten, D 162
            An den Mond, D 259
            Du liebst mich nicht, D 756
            Lachen und weinen, D 777

            Drang in die Ferne, D 770
            An die Geliebte, D 303
            An die Entfernte, D 765
            Nacht und Träume, D 827

        3月9日予定が延期になったミヒャエル・シャーデのリサイタル。
        オール・シューベルト・プログラム。

        調子は取り戻したようで、いつもの美声 (*^^*)
        ピアニッシモに抑制が効いて、細かい部分までの処理が巧い。

        しかし、この人の表現力は、凄い。
        多少、歌詞の間違えとかもあったけど
        (いや、でも、意味合ってました(笑))
        言葉一つ一つが、考え抜かれた声で、緻密に計算されている。

        最初は季節の移り変わり。
        冬の暗い低音まで、しっかり聴かせてくれる。
        シャーデが、あんなに低い音まで美声で出せるなんて知らなかったわ。

        「音楽」をテーマにした2番目のグループは
        洒落っ気を出して、楽しく歌ってくれる。うっふっふ。楽しいじゃん。
        リズム感に少し難があるかな、と以前は思っていたが
        ミューズの子もリズムに乗って、軽く歌ってくれた。

        後半の Liebhaber in allen Gestalten は
        魚になりたい、金になりたい
        でもなれない。僕は僕だから、そのまま受け入れてよ
        ・・・というのを、ユーモア交えて、演技まで入って
        聴衆からクスクス笑いがでる。

        やっぱり、この人の表現力って、基本的にオペラなのだ。

        でも、オペラちっくに大袈裟になり過ぎる事もなく
        あくまでも、シューベルトの節操を保ったのは、見事。

        Du liebst mich nicht では
        途中で、「愛してもらえない苛立ち」を激しく表現。
        あれ以上やったら DV オトコになるところ(笑)

        歌を潰すことなく、あくまでも影になりながら
        すごい表現力を見せてくれたピアニストのマルティヌー。
        (何回か伴奏で聴いたが、すごい人だ、この人)

        通常、アンコールというのは
        最後に客を「ノセる」ために派手に歌うはずだが
        シャーデが選んだのは、ガニメードと
        美しき水車小屋の娘から Der Neugierige

        両方とも、声を張り上げることなく
        特に、Der Neugierige は、もう、本当にピアニッシモで
        恋人に対する優しい愛情を余すところなく表現してくれて

           オバサンは胸が痛い・・・(自爆)

        シューベルトは苦手なので
        (音楽の表現力は凄まじいと思うが
         あのビーダーマイヤーの質素な暗さがイヤなんです)
        この間のシューマンのように
        子宮にズンズン響く、という事はなかったけれど
        美声と、見事な表現力(含ピアニスト)を楽しませてもらった。

        今度はシューマンを歌ってくれないかなぁ・・・
        リヒャルト・シュトラウスとかフーゴ・ヴォルフでも良いけれど。

        テノールのマーラーというのは合わなさそうだから
        マーラーはバリトンに任せてもかまいません(笑)


        トーンキュンストラー + オロスコ・エストラーダ

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          Musikverein Großer Saal

          Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
          指揮 Andrés Orozco-Estrada

          Robert Schumann (1810-1856)
              Symphonie Nr.1 B-Dur, op. 38 “Frühlingssymphonie” (1841)
          Igor Strawinski (1882-1971)
              “Le sacre du printemps” (1913)

          本日はダブル・コンサートの日である。

          15時30分からのウィーン・フィルの定期が18時に終わり
          (長かった・・・・)
          簡単に食事してから、19時30分のトーンキュンストラーのコンサートへ。

          最初は行くつもりはなかったのだけれど
          プログラムのテーマが「春」   実にワタクシ好み (*^^*)

          今シーズンから、やんちゃ坊主ジェルヴィの後任になったオロスコ・エストラーダは
          まだ、30歳そこそこの若いコロンビア出身の指揮者。

          今月号の楽友協会の雑誌にインタビューが載っていて
          非常に好感が持てる。
          威張らず、謙虚で、思いあがりがなくて、なかなかよろしい。

          (ついでだから言っちゃうが
           ウィーン放送交響楽団の首席になるコルネリウス・マイスターが
           オーストリア・ラジオ放送局のインタビューを受けたものがあるが
           (ORF のウェブ・サイトにまだあるはず)
           これが、もう、言いたくないが、実に「鼻持ちならん若造」で・・・
           以下省略。興味ある人は ORF のサイトで探してみて下さい)

          シューマンの交響曲1番「春」

          うわ〜、なんて素直で元気 \(^O^)/

          指揮の動きが柔軟で大きく、指示もはっきりしていて
          エストラーダが、どういう音楽を作りたいか
          指揮振りを見ていると、よくわかる(ような気がする)

          オーケストラのアンサンブルに多少揃っていないところがあって
          まだ「発展途上」という感じはするけれど
          全体的に、イヤミのない仕上りになっていて
          エストラーダの「頭の中の音楽」が、私の理想と、とても近い。
           (テンポや表情のつけ方の好みが、似ているんだと思う)

          後半の「春の祭典」
          大編成のオーケストラで、その変拍子と言い、ソロと言い
          大変な難曲なのだが・・・

          いや、トーンキュンストラー、本気出したら、出来るんじゃん!!!(^^)v

          ・・・というより
          実は、エストラーダの美しい指揮姿に見とれてしまって
          あんまり「音楽そのもの」にアプローチしていなかった f(^^;)

          ファビオ・ルイージでも時々思うけれど
          あそこまで動いてしまうと、あれは、もう、指揮というより

              モダン・ダンス

          もちろん、動き過ぎて、多少、無駄に見える事がないわけではないが
          あれだけ、身体の動きが音楽と一体化すると
          聴覚より視覚が強すぎて
          指揮者が身体で表現している音楽の方が
          実際の音より強い印象で入ってきてしまう。

          でも、名演だったと思う。

          鳴り終わらない拍手に、何回も出たり入ったりしていたが
          最後に「僕、ご飯食べなくちゃ」というジェスチャーをして
          舞台を去ったのも、うっふっふ、カワイイじゃん (^_-)---☆Wink


          ウィーン・フィル + ゲルギエフ (1回目)

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            Musikverein Großer Saal

            Wiener Philharmoniker
            指揮 Valery Gergiev
            バイオリン Nikolaj Znaider

            Henry Dutilleux (*1916)
                    Mystère de l`instant
            Eduward Elgar (1857-1934)
                    Konzert für Violine und Orchester, h-Moll, op.61
            Sergei Prokofieff (1891-1953)
                    Symphonie Nr.5, B-Dur, op.100

            アンリ・デュティユーの「瞬間の神秘」は
            ウィーン放送交響楽団とビリーで聴いたことがある (ここ

            弦が良いと、この曲、やっぱり、すごく引き立つ。
            光と色彩の饗宴で
            現代音楽なのに、理性より、ずっと強く感性に訴えかけてくる。

            エルガーのバイオリン協奏曲では

                                   気持ち良く寝ました(自爆)

            ツナイダーが弾いたバイオリンは1741年のグアルネリで
            フリッツ・クライスラーが所有していたものだそうだが

            いや〜、このバイオリンの音、気持ち良い (*^^*)
              (で、寝ちゃったんだけど f(^^;))

            だいたい、バイオリンが嫌いなのは
            ソプラノの若い金髪のお姉ちゃんが
            ヒステリックに叫びまくっているイメージを喚起するからなのだが

            ツナイダーのバイオリンから出てくる音色は
            あくまでも滑らかで柔らかく
            高音でもヒステリックになるところがないし
            ダブル・ボーゲンも透明感があって、素直に耳に入ってくる。

            私のお目当ては、プロコフィエフの交響曲5番。
            以前、ウィーン交響楽団とサラステで、ナマ聴きしたことがある。
            ヒマな方 読みたい方は ここ です)

            最初から比較的速めのアッサリした解釈だが
            オーケストラが、めちゃくちゃ鳴る!!!!

            いや、ちょっと、鳴り過ぎて、楽友協会ではウルサイ ~l(-"-;)l~
            でも、管のソロも充分に鳴っていたし、迫力もあった。

            が・・・ 好みの問題なのだけれど

            ポリフォニーを明確に出し過ぎて、メインのメロディ・ラインが消えて
            ちょっとバタバタした感じだったなぁ。

            その分、プロコフィエフの現代性は前面に出てはいたのだけれど
            もう少し、ほんの少し、メロディックに歌ってくれた方が
            ワタクシ的には気に入ったかも・・・(注文の多い奴だ (x_x) ☆\(^^;) ぽかっ)

            このコンサート、28日のチケットは友人Aに譲り
            30日のチケットは友人Bに行ってもらい
            31日の夜の定期公演で、もう一度行く予定。

            今度はエルガーで寝ないようにしなければ・・・
            感想も変わるだろうから(シロウトですし)
            またその時に・・・ (^-^)/~~


            ウィーン放送交響楽団 + コルネリウス・マイスター

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              Konzerthaus Großer Saal

              ORF Radio Symphonie Orchester
              指揮 Cornelius Meister
              ピアノ Ivo Pogorelich

              Alban Berg (1885-1935)
                  Passacaglia für Orchester (1913)
                      Fragment, aus dem Particell 
                      arrangiert von Christian von Borries (1999) 初演
              Peter Iljitsch Tschaikowsky (1840-1893)
                  Klavierkonzert Nr.1 b-moll, op.23 (1874/75)
              Alexander Zemlinsky (1872-1942)
                  “Die Seejungfrau” Phantasie für Orchester (1902/03)

              来シーズンからウィーン放送交響楽団の首席指揮者となる
              コルネリウス・マイスターのコンツェルトハウス・デビュー公演。

              コルネリウス・マイスターについては後で書くとして

              チャイコフスキーのピアノ協奏曲1番。
              ピアニスト イヴォ・ポゴレリッチ

              あちこちから、ポゴレリッチが「妖怪かたつむり」だと言う話を聞いてはいたものの
              いや、もう、やっぱり・・・・ 絶句・・・

                 リアル・のだめ・オジサン版の登場!!!

              チャイコフスキーのピアノ協奏曲は、名曲アワーで、誰でも知っているはずだが
              全く知らない曲にしか聴こえない。

              完全に未知で、予想のつかないところに突然現れるアクセント。
              あんなアクセントの付け方は、普通のピアニストではできない。

              異様なテンポの遅さ。
              途中で何度も止まりそうになる。

              オーケストラは合わせるのにアタフタしていて
              おおお、ずれた、きゃっ、崩壊寸前・・・という場所が何回あったか。

              ピアノとオーケストラの音楽が、全く違ったものに聴こえる。
              2つの違う曲を継ぎ接ぎしたみたい。

              オーケストラだけの部分になると、みんな安心して演奏しているのだが
              ピアノが入ったとたん、オーケストラのメンバーが委縮するのがわかる。

                 「こいつ、また何をやりだすだろう・・・
                     合わせられるのかしらん・・・」

              という不安が聴衆にまで伝わってくる。

              その位、異様なチャイコフスキーなのだ。

              ただ、その異様さを取りはらってみると
              この人のピアノの強さは異常である。

              ピアノ、というより、ここはピアノフォルテか、ハンマークラヴィーアと言いたいくらい
              あの楽器から、思いもかけない、というより
              聴いた事のないような音色を、悠々と弾き出してくる。

              こういう強いピアニストは、ブロンフマンとかマイセンベルクがいるが
              ポゴレリッチは、ブロンフマンより強いかもしれない。

              考えられないほど長い第1楽章が終わった後
              客席から大きなブーイングが入る。ためらいがちの拍手も入る。

                ・・・その気持ちはわかる。

              周囲で席を立って退場する人がいなかったのが不思議なくらい。
              (咳とため息は客席からずいぶん聞こえたが(笑)
               途中、オーケストラのメンバーも居心地悪そうにため息ついてたし)

              第2楽章は、そこそこ(まぁ、もともと緩徐楽章だしね)だったが
              これも、カデンツァ(ではないがピアノ・ソロ部分)が・・・遅い。

              現代音楽のフラグメントを聴いているような気分で
              どうしてもチャイコフスキーに聴こえない。

              最終楽章が、今度はめちゃくちゃ速いテンポ。
              ううう、オーケストラ、かわいそう。
              何とかギリギリでソロ楽器もついて行ってはいたが
              抒情性のカケラも見えず、ブツブツのボコボコで、これも現代音楽に聴こえる。

              これがポゴレリッチの個性だとしたら
              何という、突出した個性の持ち主なのだろう。
              一種の天才ではあろうが、これは賛否がはっきり分かれそう。

              聴き慣れた曲から、異様な世界を引き出した、という意味では
              眠くもならず、ものすごい集中力で聴かせてもらったけれど
              オーケストラと一緒ではなく
              この人の、リサイタルを聴いてみたい!!!
              あの異様な世界に、どっぷり浸かった空間が、如何に粘っこくなるか
              コワイもの見たさ(聴きたさ)で、ものすごく興味がある。

              さて、ポゴレリッチはさておいて
              今回、お披露目公演となった指揮者のコルネリウス・マイスター。

                   「目立ちたがり屋」 (きっぱり)

              まだ音楽には、それほど出てはいないけれど
              まず、アルバン・ベルクの曲の前に
              指揮台でマイクを持って解説するな!!!!

              フラグメントからの編曲の初演だとしても
              そんな事はプログラムに書いてある!!!(怒)

              更に、後半のツェムリンスキーに至っては
              演奏の前に、「人魚姫」の話なんかするな!!!!!!!!!(超怒)

              人魚姫など、普通の教育を受けた人なら、全員知っているし
              第一、そんなアホな解説がなくても
              ツェムリンスキーの曲は、人魚姫のお話を最初から最後まで
              見事に描き出しているのだ。

              指揮者の話なんか、コンサートで聞きたくないわっ!!!
              言葉で語るのではなく、音楽に語らせろ!!!!!!!
              それが君らの仕事だろうが!!!!(激怒)

              ツェムリンスキーの「人魚姫」は、長く楽譜が紛失していたが
              アメリカで偶然に見つかった後
              ウィーン交響楽団が、何回かコンサートで取り上げている。

              チャイコフスキーのパクリか、と思える部分が結構あって
              こっちの方が、余程、チャイコフスキーらしく響いたのはご愛敬。

              まぁ、言ってみれば、わかりやすいプログラム音楽なので
              指揮者の技量が試される、という曲ではないし
              ピアノ協奏曲とは打って変わって、オーケストラも、のびのび演奏していたから
              これは、まあまあ、合格点としよう。

              ウィーン・フィルを袖にして、このコンサートに行って良かった。
              良かった、かどうかは、よくわからんが
              ともかく、めちゃくちゃ印象的なコンサートであったのは確かである。


              ピッツバーク交響楽団 + ホーネック 第二回目

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                Musikverein Großer Saal

                Pittsburgh Symphony Orchestra
                指揮 Manfred Honeck
                バイオリン Anne-Sophie Mutter

                Johannes Brahms (1833-1897)
                    Konzert für Violine und Orchester D-Dur, op.77
                Gustav Mahler (1860-1911)
                    Symphonie Nr.1, D-Dur

                ピッツバーク交響楽団2日目のチケットは、数週間前から売り切れ。

                何で (・_・")?と思っていたら
                バイオリンにアンネ・ソフィー・ムッターが出るからだわ。

                            バイオリン、わかりませんから無視・・・
                                   あしからず (ごめんなさい)

                オーケストラは、昨日よりニュアンスが出てきて(私が耳慣れしたかな?)
                でも、やっぱりヨーロッパのオーケストラと比べると
                音に厚みが欠けているような感じがする。

                でも、マジメなオーケストラだ。
                熱心で(幕間の練習がうるさいが(笑))素直で、ヘンな自分たちの思い込みがない。

                マーラーの1番は、指揮者のホーネックがプログラムに「解説」を2ページ書いている。
                これが、なかなか面白く
                ホーネックのマーラーへのアプローチがよくわかる。

                    あの「解説」がなかったら
                       ちょっと、いや、かなりギョッとするマーラーだったんだもん。

                指揮者として活躍したグスタフ・マーラーが
                スコアにものすごい量の、指揮者への指示を入れているのは有名な話。

                ホーネック曰く

                「書かれた事ではなく、書かれていない事がある。
                 特に、当時のボヘミアの小さな村の大騒ぎをパロディにしている章がある。
                 きっと、当時の人たちには、卑属で低俗な音楽に聴こえたのだろう。
                 ウィーン・フィルが初演を拒んだのも
                 神聖な交響曲を茶化すものだったのが原因なのではないだろうか。
                 当時のオーケストラなら、この、ほとんど卑猥な音楽を
                 どうやって演奏するのか、もとからわかっていたに違いない」
                     (適当に内容だけ意訳。文責ナシ)

                ほとんど聴こえないくらいのピアニッシモから始まり
                アゴーギクというよりは、ものすごいテンポの揺らし方。
                (あんた、プレートルか、とか突っ込みたくなったりして(笑))

                「私にとって、2楽章は、ただのワルツやレンドラーではない」
                と書かれた通り
                本当に村の祭り、しかも、かなり酔っ払いがいるような
                「低俗な祭り」のハチャメチャなワルツで、これもテンポ揺らしが凄い。

                我々の世代だと「ちんどん屋」を思い出す。
                若い方は知らないだろうが、私の子供の頃は、ちんどん屋が本当に街にいたのだ。
                調子外れの楽器で、りズミックで低俗で、懐かしいような
                でも、何か秘密に満ちた、矛盾した大人の世界が
                ちんどん屋の音楽にはあったのだ。

                ううう、マーラーも、こういうのを子供の頃に聴きながら育ったのかもしれない。
                (違う、と言う主張、ごもっとも。でも、何となく雰囲気として捕えて下さい)

                あれは、ホーネックのマーラーだなぁ、と思わせるくらい
                今まで聴いたマーラーの1番と違う。
                あそこまでの解釈をするのなら
                固定観念が入っているヨーロッパのオーケストラではなく
                素直に指揮者に従うアメリカのオーケストラでないと、無理だったかもしれない。

                聴いている方も、並はずれた集中力を要求される解釈だった。
                ああ、こういうアプローチもありか・・・と
                納得できるし、ホーネックの言いたい事もよくわかる。

                しっかりした主張を持ち
                指揮法も明確で、リズムの取り方の技術も抜群だし
                以前、ホーネックの指揮を見た時は、あまり感激するところもなかったのだが
                経験を積んだからか、この人、かなり良い方向に伸びてきていると思う。

                アンコールの2曲目はリヒャルト・シュトラウスの「バラの騎士」
                良いか悪いかは別として
                どうやって聴いても、ハリウッドの映画音楽にしか聴こえない(笑)
                  でも、あれが持ち味だろうと思う。

                3曲目はポルカを演奏していたようだが
                仕事のトラブルがあって、慌ててグループのところに走った私は
                聴きそこねた f(^^;) ・・・・ その後も真夜中過ぎまで仕事 (笑)


                ピッツバーク交響楽団 + ホーネック 第一回目公演

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                  Musikverein Großer Saal

                  Pittsburgh Symphony Orchestra
                  指揮 Manfred Honeck
                  ピアノ Emanuel Ax

                  Ludwig van Beethoven (1770-1827)
                      Konzert für Klavier und Orchester Nr.5 Es-Dur, op.73
                  Dmitrij Schostakowitsch (1906-1975)
                      Symphonie Nr.5, d-Moll, op.47

                  アメリカのピッツバーク交響管弦楽団の公演は
                  ウィーンっ子にとっては、ウィーン・フィル出身の指揮者
                  マンフレッド・ホーネックの凱旋公演みたいな感じだろう。

                  しかし・・・
                  アメリカのオーケストラって、コンサート前と幕間がウルサイ。
                  金管は吹きまくるわ、弦から管から、みんな舞台上で練習している。

                  ここは君らのリハーサル会場ではないぞ!!!(怒)

                  ベートーベンのピアノ協奏曲5番。
                  うわ、オーケストラの音が明るい・・・というか
                  失礼だけど、ニュアンスに欠けていて、ともかく元気で能天気(ごめん)

                  エマニュエル・アックスのピアノが、かなりニュアンスが深いので
                  何だかアンバランスだし
                  フォルティッシモで弦も管も、時々音が割れているし
                  弦のアンサンブルも微妙に揃っていない事がある。

                  ううううん・・・・ きっと、ワタクシが疲れているのであろう。

                  後半のショスタコーヴィッチは、ベートーベンよりも まし 良かった。
                  ソロも決まったし、全体的に良い仕上がり。

                  ただ、個人的な好みとして
                  フォルティッシモを最初からガンガン鳴らすので
                  本当の盛り上がりになった時に、それ以上行かないという
                  一種のもどかしさが拭えない。

                  面白かったのはスケルツォの3拍子で
                  これは、ホーネックのウィーンらしさを
                  オーケストラが一生懸命に表現しようとしていて
                  結構、80% くらいは(苦労しながら)成功していたこと。

                  アメリカのオーケストラって、もともと持っているリズムが違うんだろうなぁ。

                  そのリズムの違いが顕著に現れたのが
                  最後の最後に演奏されたアンコール曲。

                  途中に管(見えなかったけど、音色から言うとクラリネット?)の即興があって
                  そこに、ショスタコーヴィッチのメロディをさりげなく入れるところなんて
                  いや〜ん、このオーケストラ、カワイイじゃん(笑)

                  オーケストラの持っている音色は
                  かなりヨーロッパのオーケストラとは違って
                  明るいというか、深みがない感じだし
                  全体のバランスも、まだしっくりしていないところがあったけれど

                  これはきっと、私が3日間コンサートにも行かず
                  更に、25日に、めちゃくちゃ腹の立つ事が次々あって
                  イライラしていた体調にもよる。

                  コンサート後に楽友協会の横に
                  バスが12台くらい停車しているのを見て
                  あああ、このグループ、手配をウチがしていたら
                  かなりのビジネスになったんだろうなぁ
                  どこの旅行会社が手配したんだろう・・・
                     なんて考えるのは、やっぱり旅行業界が本業なのです (^.^)


                  グラーツのお菓子屋さん

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                    昨日、グラーツの古い友人と会って
                    アスパラガスを昼食に取った後

                    「美味しいスイーツのお店に行きましょう」

                    という事で連れて行ってもらったのが

                    フランコヴィッチ

                    旧市街の通りから、ちょっと入ったところで
                    まぁ、確かにわかり難いところかもしれない。

                    お店はデリカテッセンとケーキ屋さんが一緒になっている。
                    ケーキ屋さんの方は

                    おおおおおおっ!!!! (☆o☆)

                    ウィーンにはないようなムース系のケーキが多い。
                    薄く焼いたスポンジ(しかも模様付き!)の中に
                    ムースやフルーツをどっさり入れて作ったケーキ。

                    しかも、レギュラーの大きさに加えて
                    ミニ・タイプがある (((^^)(^^) ))

                    このミニ・タイプのものは、1個で2ユーロ以下のお値段。
                    (もっとも、大きさから言えば割高なのかもしれないが)
                    いくつか取って、色々な味を試す事もできる。

                    同じようなタイプのパティセリーは
                    ザルツブルクにフィンガーロースがある。
                    (ここは、どうも、自分のウエブ・サイトがない。
                     ザルツブルク Wiki では ここ に記載がある(ドイツ語))

                    フィンガーロースの小さめケーキも美味しいけれど
                    実は、ちょっと色が毒々しい感じがして
                    今ひとつ、あの派手さが苦手なのだが

                    このグラーツのフランコヴィッチのスイーツは
                    派手さはないが上品だし、細かい部分の処理が
                    日本の繊細さに近いものを持っていて、好感が持てる。

                    2階は雑貨ショップになっていて
                    カワイイものが1階のショーウインドウにも飾られている。

                    チョコレートもなかなか・・・

                    詰め合わせになっているものは
                    一つ一つのチョコの値段を、クソマジメに計算しているらしく
                    同じ大きさの詰め合わせでも、値段が微妙に違う(笑)

                    友人は自宅へのお土産用に
                    ミニタイプのケーキをいくつか購入していたが
                    お店の人が
                    「帰る時まで冷蔵庫で預かってあげるから、忘れないでね」
                    という気遣いをしたのが印象的。

                    もちろん、我々はコーヒーを頼んで
                    私はレギュラー・タイプの梨のムース(甘さがさっぱりしていて美味)
                    ミニタイプでちょっと試させてもらった中では
                    チョコレート・ムースの小さな四角のケーキが
                    甘すぎず、本当にカカオの味がしっかりしていて抜群だった。

                    生菓子だから、ウィーンに持って帰れなかったのが残念 (T.T)

                    それに、こういう記事って、やっぱり写真があった方が良いなぁ。
                    これから、デジタル・カメラも持って行こうかなぁ・・・ (← 面倒なの ( ;^^)ヘ..)


                    グラーツ・オペラ座 モダン・バレエ Nomaden

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                      Oper Graz

                      NOMADEN
                      Tanzstück von Darrel Toulon
                      Musik von Johann Sebastian Bach

                      様々な国からの女性ダンサー8名と男性ダンサー9名でのモダン・バレエ。
                      ここでグラーツのオペラ座に行った時
                      パンフレットを見て、どうしても観賞したい (☆o☆) と
                      週末のカレンダーとニラメッコして、やっと実現 (^^)v

                      題名の Nomaden は「遊牧民」という意味。
                      昔は民族として移動していたけれど
                      現代の「ビジネス遊牧民」はコンピュータ一つで世界中を独りで遊牧する(らしい)

                      開演前から、木のベンチに、ビジネス・スーツを着たダンサーが
                      キャリーバッグを持って座っている。
                      ダンサーはマイクを装着している。

                      その後、何だかバタバタ。
                      飛行機が飛ばないのか、テロなのか
                      様々なダンサーが、色々な言語で、何だかんだ言ったり叫んだり。
                      木のベンチもあちこちに移動する。

                      その中に、パニックに陥った人間の(色々と異なった)反応が描き出される。

                      群舞での動きの間に、Air で日本人ダンサーのカップルのソロ。
                      身体が柔らかくて、スローで不思議なカタチを描き出して印象的。

                      前半の最後は、天井が落っこちてくる・・・という
                      テロなのか、世界の終末か、ともかく、そういうモノを暗示。

                      後半の最初は、戦争後?のボロボロ衣装で、後ろには煙がたって
                      苦しんでもがいて死ぬ人がいたりして
                                   何か、わかりやすいベタな設定。

                      音楽はバッハのカンタータを使って
                      最後にソプラノ独唱で、それなりの「救い」を提示するところも
                      ちょっとベタベタかも・・・

                      ただし、あんまり通俗になり過ぎないようにか
                      金髪美人のダンサーの動きは不安も表していて、2重の意味を持たせてはいる。

                      モダン・バレエで社会性のあるメッセージを伝えようとすると
                      やっぱり、こうなっちゃうんですね(がっかり)

                      いや、別に文句をつけてるワケではありませんが
                      (・・・ってつけてるじゃん(自爆))

                      ダンスのフォーメーションはよく考えられていて
                      ソロもなかなかだし
                      ちゃんと男性の上半身もハダカで見せてくれるし
                      モダン・バレエとしては、それなりの見どころがたくさんあって
                      よく出来た作品だし、観ていて退屈はしない。

                      もう1回か2回、観賞したら、もっとよくわかったかも・・・
                      (でも、これが今シーズン最後の上演である。11回目の公演だった)

                      お客様の入りは70%というところか。
                      当日券売り場で買っていた人も多かった。
                      終わってからのブラボー・コールと
                      平土間のスタンディング・オベーションは
                      ウィーンのモダン・バレエでは絶対に見られない光景だろう。

                      グラーツの人って、ヘンなモノが意外に好きかもしれない。
                      (現代芸術祭「シュタイヤーマルクの秋」っていうのもあるし・・・)

                      往復約400キロの距離を高速道路を走ったのだが
                      連休の1日目とあって、道路は空いていたし
                      (金曜日の夕方は、すごい混雑だった)
                      グラーツで他に楽しい事も色々あったので(その話は後日)
                      行って良かった・・・・ また行こう(こらこら!)


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