ハイドン 「天地創造」

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    Die Schöpfung
    Oratorium in drei Teilen (1798)
    Musik von Joseph Haydn Hob. XXI:2

    指揮 Adam Fischer
    ソプラノ Annete Dasch
    テノール Michael Schade
    バス・バリトン Hanno Müller-Brachmann
    オーケストラ Freiburger Barockorchester
    コーラス Arnold Schoenberg Chor

    ハイドン死後200年の年も最後の1日になり
    ウィーン劇場で、フライブルク・バロック・オーケストラを
    ハイドンの第一人者、アダム・フィッシャーが振って
    アネッテ・ダッシュ、ミヒャエル・シャーデ
    ハンノ・ミュラー=ブラッハマンという歌手が揃って

    しかも一番安いチケットが12ユーロ \(^O^)/
    天井桟敷の一番脇だが、上から、けっこう舞台は見える。
    (指揮者と歌手は頭のてっぺんしか見えないが(笑))

    が・・・

        おおおっ  音響が 悪い!!!

    舞台の脇なのだが、もともとホールの残響が短く、響かない場所だし
    更に、バロック・アンサンブルだから
    プレイヤーの数もそんなに多くない上、古楽器。

    もちろんピリオド奏法。最初からあんまり響かないし
    音量が小さく、かなり乾いた音がする。

    でも、ハイドン時代って、きっとこれに近い響きだったのだろう。
    (とは言え、これ、一応「オラトリオ」だから
     残響の長い教会で演奏されるはずの曲でもあるんだよなぁ・・・)

    その上、今日は夕方から、あちこちで爆音が聴こえる。
    (ウィーンが紛争地域になったワケではなく、花火の音だが
     ともかく、ここでは戦争してるのか?! と思うくらい、ともかくうるさい)

    コンサートの最中も、時々、外からドッカーンという音が聞えてくる。
    照明器具に近いせいか、キ〜ンという微かな音も混じってくる。

    安いチケットだから仕方ない。
    外の爆音は12月31日だから仕方ない。

    でも、ハイドンの「天地創造」の楽しさは充分伝わってくる。
    光が出来て、昼と夜ができて、大地ができて
    雨や風、雷、雪が造られて
    動物が創造され、虫が大地に這って
    人間が造られ、アダムとイヴが神を讃え、愛を讃える。

    宗教色という面を考えなければ、これは、音楽による「紙芝居」だ。

    私が好きなのは
    ここに登場する神さまが、とてもステキだから。

    一つ一つ、何かを造った後に
    「おお、おお、これはヨイわい」と、ニッコリするのである。
    (いや、本当にするわけじゃないが f(^^;))

    楽園追放の前までの「お話」だから
    原罪もないし、善や悪の概念もなく、悪魔も登場せず、地獄もない。

    ハイドン時代はバロックの最盛期だったとは言え
    フランス革命の余波や、晩年はナポレオンによるヨーロッパ中での戦争など
    今のヨーロッパの平和とは比べものにならない時代だった。

    それなのに

    ハイドンの「天地創造」で語られる音楽と物語の明るさは
    人生って捨てたもんじゃないわ、と思わせる輝きに満ちている。

    アネッテ・ダッシュは声の質から言えば
    メゾ・ソプラノに近い音色を持ち、力強い。

    アダムがエバに「僕に従え」と言って
    エバが「あなたの意思が私の法律、そう神さまが造ったのよ」と答えるところなど
    あらま、そういう建前を言って、実は違うでしょ?と
    ちょっとクスッと笑ってしまいそうになった。

    シャーデの声の表情が多彩。ソット・ヴォーチェの美しさは比例がない。

    ミュラー=ブラッハマンのバスは美声。低い音まで深く響く。
    もう少しだけ表現力が深くなれば、もっと良くなるだろう。

    アダム・フィッシャーは、もちろん、あの長いオラトリオを暗記で振った。
    上から指揮の様子がよく見えて、面白かった。
    さすがハイドンの権威。よく音楽を掴んでいて
    オーケストラも、それに充分応えて
    ホールの音響の悪さは別として、楽しい2時間半になった。

    その後、A21 高速道路に出ようか、と思ったが
    丸一日、コーヒー2杯と、チョコレート3個だけしか食べていなかったので
    コンサートの後、眩暈がしそうな程、お腹が空いて
    ひよって自宅に帰って・・・

    アップの時間は変えてあるけれど
    インターネット・ラジオのオーストリア国営放送1番で
    カウント・ダウンして
    ステファン寺院のプメリングの鐘の音を聴き
    美しき青きドナウを聴きつつ、2010年に突入した。

    外はまだ爆音がスゴイ。

    2009年に行った、オペラ、コンサート、バレエ、ダンスなどの総計

          226回

    フルタイムの仕事をして、月に30〜60時間前後の残業をしながら
    (いちおう、ワタクシ、仕事もしてるんです)
    行ける「文化生活」のギリギリだろう。これ以上はお金もないし無理 (^.^)


    ご挨拶

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       ・・・ 日本では既に年が明けているのだが
      12月31日はオフィスは午前中・・・のハズだったのに
      ガタガタあって、結局、自宅に帰らないまま
      これから、ハイドンの「天地創造」に行くことになった。

      (外では夕方から、既にあちこちで花火が上がっている。
       オフィスでもバンバン音がする・・・ テラスから少し見える)

      すごい服装なんですけど f(^^;)
      黒のジーンズだし・・・
      でも、まぁ、サイドの一番悪い席だから良いわ (と勝手に納得)

      今年もご愛読、本当にありがとうございました。
      ランキングのボタンも、各記事につけよう、と思いつつ
      パスワードを失念してしまって (f^^)

      (しかも、どのメイル・アドレスを入れたのだか
       パスワードを送ってくるはずなのに着かない、という
       誠に残念な事態になっている。 って、自分が悪いんですが \(__ ))

      応援して下さる読者の方々には申し訳ないのですが
      もうしばらく お待ちいただければ幸いです。

      このブログは
      「ある程度の音楽オタクで基礎は知っている」という前提のもとでの書き方をしているので
      わかんな〜い、というご意見も、時々いただくことがある。

      でも、ウィーンの音楽講演会や、美術館のガイディングなどに参加すると
      「初心者用」ではない内容にぶつかる事が多く
      「ほえ〜っ、全然わからん (-"-;)」というところから
      だったら、自分で調べてみよう、という
      楽しい楽しい 「知の冒険」 に旅立てる事が多い。

      ヘンにわかりやすいと
      反って読者の知的レベルをバカにしているような罪悪感があるので
      2010年も、このままの形で続けさせていただくつもり。
      (ただのめんどくさがり屋 (・_*)\ペチ)

      バタバタしていてお昼も食べず
      チョコレートで(クリスマスの残り)空腹をごまかしながら
      ワタクシはこれから、ハイドン・イヤーの最後を飾る
      「天地創造」に行って参ります。

      ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート 最終リハーサル

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        Wiener Philharmoniker
        指揮 George Prêtre

        プログラムについては ここ 参照のこと。

        ただ、最終リハーサルだったので
        本当にこの順番で全部を演奏したかどうかは不明。悪しからず。

        ちょっとツテがあって
        行けなくなった人の代わりだろうが、私に廻ってきた
        ニューイヤー・コンサートのゲネプロ。

        ただ、ご当人になかなか連絡が取れず
        (後で気がついたのだが、昔の電話番号に一生懸命かけていた(爆))
        15時30分からのリハーサルなのに
        15時5分に連絡がついて
        オフィスからタクシーで駆けつけて25分に会場入りした、という体たらく。

        その間に、私のすぐ横を85歳のマエストロが歩いて楽屋に入っていったが
        有名人を見て喜ぶ性格でもないので
        ともかく入ったけれど

        席がない・・・・(*_*)

        係員を捕まえて「席がないんですけど」と言ったら
        ともかく座りなさい、と、ワケわかんない事を言う。

        他の人も「席数よりたくさんチケットを出したのか?!」と喧嘩腰の人もいたが
        係員曰く「席数と同じ枚数のチケットを出しています」

        ウソだと思う (-。-) ボソッ

          というより、1枚のチケットで
          家族全員とか知り合い全部を入れた関係者が、絶対に居る(と思う。邪推だが)

        最後は「立ち見席に行って下さい」

           というワケで、立ち見席の一番前で、柵に手をかけて聴いた。

        後ろで花屋がガタガタなんかやって、喋っているし
        子供連れの家族が、チョコレートの銀紙を破って、子供に食べさせているし
        関係者(音楽家?)の知ったかぶりした若い男の子が
        連れの女の子に木管楽器の演奏の仕方を、コンサートの間中、喋って解説してるし

        あまり理想的な場所ではなかったけれど
        まぁ、こちらとしては降って湧いたようなチャンスだったし
        第一、クローク代とタクシー代以外の出費はない (要はタダなんですね、これ)

        オルガン・バルコン以外で初めて聴くウィーン・フィルの音・・・
        立ち見席の一番前の音響は悪くない。
        いつもの席より、音がずっと柔らかい。
        その分、輝くような音色は、もっと上品で洗練された色になって聴こえてくる。

        プレートル氏は・・・ 元気なおじいちゃまだ。
        後半でオーケストラに指示している時の声なんか
        ハリはあるし、メロディ・ラインを歌う声もとてもキレイ。

        まぁ、指揮棒は・・・ ご存知の通りだが(笑)

        でも、アレでヨイのである。決めるところだけ決めてしまえば
        後は勝手にオーケストラが奏でるからね。
        (というか・・・ 一回「キメ」が決まらずに、ちょっと失笑したけど (^.^))

        ウィーン・フィルで演奏されるヨハン・シュトラウス(とその仲間)の音楽は
        気味が悪くなるほど、長い、凄まじい伝統の力を、まざまざと感じさせる。

        シェーンブルン宮殿とかホーフブルク宮殿の
        観光客用にリノベーションされた、異様に大袈裟で美しい「伝統」を
        そのまま「音」で表わしているような印象。

        以前、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートでウインナー・ワルツを聴くのは
        超高級レストランで、最高のテーブル・セットと最高の料理人とウエイターとで
        世界で一番美味しい「おでん」を食べるようなものだ、と書いた事がある。

        そこらへんの居酒屋で食べる食材なのに
        ダイコンの煮含め方とか、コンニャクの切り方とか
        卵のゆで具合とお汁の染み方が、世界一、美味しいのだ。

        あんなワルツやポルカ
        他のオーケストラでは、まず、逆立ちしても無理だろう。

        だが・・・

        前半は、うわ〜、すごい、素晴らしい音だ、伝統だ!と
        ひたすら楽しんでいた私も
        後半に入って、同じようなメロディの、同じような音をずっと聴いていると

             胸やけする・・・(爆)

        「おでん」ではなく
        ザッハートルテの大きい奴、直径22センチくらいのモノを
        1個、無理やり食したような気分。
        美味しいのだけれど、あの甘さを、あの大きさで全部食べると
        さすがに雑食性のワタシも、ちとツライ。

        これは好みの問題だから
        現代音楽のコンサートを2時間聴くのが拷問だ、という人がいるのと同じく
        ウインナー・ワルツやポルカを2時間聴くのがツライ、という人がいても
        別にかまわないと思う。    文句ある?!(笑)

        シルベスター・コンサートは10年以上前の、まだバブルが弾ける前に
        一度、キャンセルのチケットを譲ってもらって行った事があるが
        その時にも「胸やけ」を起こした記憶がある。

        あくまでも最終リハーサルで、コンサートではなかったけれど
        やっぱり、当時と同じ「胸やけ」を起こした私は
        ビジネスとして、シルベスターやニューイヤー・コンサートを扱うのはともかく
        自分で行くのは 高くて行けない やっぱり避けた方が良いのだろう。

        最後の「美しき青きドナウ」は
        誰が指揮台に立っても、見事に同じ演奏になる。

        それが「伝統の力」なのだ。偉大なるマンネリなのだ。

        ラデツキー行進曲の、観客からの手拍子。
        立ち見の場所は、平土間の一番後ろだったので
        生涯で初めて「うわ、音にも速度があるんだ・・・」と実感。

        舞台の音楽と、観客の前の方から後ろの方の手拍子に
        ものすごい時差のズレが生じて
        それまででも胸やけしていた私は
        この最後のラデツキー行進曲の手拍子で、完全に気持ち悪くなった。

        あの(ズレズレの)手拍子に惑わされる事なく
        見事に演奏できるウィーン・フィルの底力を
        まざまざと見せつけられた瞬間でもあった。


        今年の音楽まとめ その (1) かも・・・・

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          日本のクリスマスに恋人がいないと居たたまれないそうだが
          こちらのクリスマスは家族がいないと居たたまれなくて
          毎年、12月24日〜26日は、ものすご〜〜〜く寂しい思いをする
                ・・・はずだったのに

          済んでみれば、ただの3連休・・・(自爆)

          日曜日にフォルクス・オパーに行こうかなぁ、と一瞬考えたのだが
          (直前割引50%がある Bundestheater.at カード所有者だし)
          ラ・ボエームという暗いオペラ、あまり好きじゃないし
          (アリアドネだったら即、行っていただろうと思う)
          それに、外出すればおカネがかかる・・・

          ケチな女だなぁ、と言われようが
          今年、コンサート・オペラ、それに付随するプログラムやクローク代金
          加えて、CD などを買った総額が
          給料の4ヶ月分を超えている、という恐ろしい事実がある。

          食料品なんか、その8分の1くらいだもん。
          (↑ どういう食生活じゃ、というツッコミは自分でしたい(自爆))

          というワケで日曜日は家でグッタリしていたのだが
          クリスマス後の初出勤日の朝

          車のエンジンがかからない!!! (((^^;)(;^^) ))

          日本の JAF にあたる組織はこちらでは2つあって
          もちろん、私はそのうちの1つに会費を払っている。

          今年、既に1回、エンジンがかからず、ヘルプを頼んだ事があるから
          (その時はバッテリーを取り換えた)
          慌てず騒がず電話して
          技術者が来るまで約1時間。会社にも行けず自宅で待機。

          今年バッテリーを替えたばかりだからバッテリーの故障とは考えられないし
          気温が下がって・・・というのも
          2週間前のマイナス10℃の時には全然問題なかったのが
          プラス4℃で問題になるワケはないし・・・ (・_・")?

          技術者が来て、あっちを障り、こっちにスプレーかけて
          何だろ〜 と2人で首を捻った結果

          エア・フィルターの劣化 という結果がわかった。
             安くはないサービス料金払って点検したのに、何なんだ!(怒)

          そのまま工場に車を飛ばし
          約20分でエア・フィルターを替えてもらって10時半に出勤。やれやれ・・・

          さて、今年もそろそろ終わりに近づいて
          今年のコンサートやオペラの総ざらえをする季節・・・

          え〜ん (T.T)
          今年も行き過ぎて、どれがベストなんて決められないわよっ!!!

          現代音楽に関してはベストのコンサートは これ
          他にもフランソワ・ベイルの全身に絡みついてくる電子音楽とか (ここ
          オレ・ヘンリク・モエの再発見とか (ここ

          あまり「笑える」コンサートがなかった代わりに
          (2008年は大笑いがけっこうあった)
          また、新しい音響を発見するチャンスに恵まれたし
          テレビジョン・ラウンジで、
          昔の現代音楽解説テレビ番組を見られたのも、貴重な経験だった。

          で、コンサートのベストは? ・・・と言われると、本当に困る (-"-;)

          ものすごく印象的だったのが
          ベルリン・フィルとラトルのメシアンとブルックナー (ここ

          メシアンの力強さは、ベルリン・フィルだからこそ出せた感じだったし
          ブルックナー9番の第一楽章の「確信犯ずれずれ」演奏には
          椅子からずり落ちそうになった。面白い人だ、ラトルというのは・・・

          マーラーもベルリン・シュターツカペレや
          ウィーン交響楽団、グスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラに
          ORF ラジオ・シンフォニー・オーケストラと
          フィルハーモニア・ロンドンでのコンサート。
          意外に聴く機会があったなぁ、今年は。

          すごく演奏回数が少なかったのはフランツ・シュミット。
          「7つの封印の書」しか聴いていない。
          以前はけっこう頻繁に交響曲が演奏されていたのに・・・残念。

          ハイドン・イヤーという事で
          ハイドンの交響曲、オラトリオ、オペラも聴くチャンスに恵まれた。
          ハイドンの(特に後期)交響曲は、本当に面白い。
          愉快な仕掛けとイタズラ一杯である。
          地味な音楽家と思っていたら、とんでもない「茶目っ気ジジイ」だった。

          オペラは、良く知っている国立オペラ座のレパートリーは別として
          ウィーン劇場での「パルテノペ」が最高だった。 (ここ

          ウィーン劇場の演目は、「月の世界」のアホな演出を除いては
          すべて音楽的に高く、舞台も(現代演出だが)素晴らしかった。

          国立オペラ座は「音楽的に最高、演出最悪」というのが多い・・・(ため息)

          フォルクス・オパーの「ナクソス島のアリアドネ」は
          音楽的(特に歌手が怒鳴り合いになる・・・)には今一つだが
          演出としては、国立オペラ座の伝統的な舞台より、私好みかも。
          来年も行きたい演目の一つ。

          あと数日あるから
          他にも思い出しながら、少しづつ書いて行こう・・・
            そんな時間があれば、の話だけど f(^^;) 
            期待しないで待ってて下さい(弱気)


          「ゴドーを待ちながら」 ブルク劇場

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            Warten auf Godot
            Samuel Beckett
            Deutsch von Elmar Tophoven

            Wladimir : Michael Maertens
            Estragon : Ernst Stötzner
            Pozzo : Ignaz Kirchner
            Lucky : Marcus Kiepe

            演出 Matthias Harmann
            舞台 Karl-Ernst Herrmann
            衣装 Su Bühler
            照明 Peter Bandl
            ドラマツルギー Thomas Oberender

            ベケットの不条理演劇「ゴドーを待ちながら」
            名前だけは有名だから知っているけれど、観劇したのは初めて。

            ブルク劇場の4ユーロの席。天井桟敷の端だが、全然問題なし (^^)v
            乗り出せば見える。高所恐怖症向きではないが。

            ブルク劇場の2階・3階席と天井桟敷は、椅子の列の間の傾斜がかなり急なので
            前の人の頭が、次の列の腰よりもっと低くなる。
            前の人に邪魔されて舞台が見えない、という事がない。

            舞台は「額縁仕立て」で
            真ん中に白い板がかけられており、その真ん中に木(しかも枯れてる)が一本。
            この板が右に傾いだり、左に傾いたりで、かなり激しい傾斜を作る。
            板の下には、ほんの少し丸いモノ(地球か?)があり
            右手には、ゴミ箱(何の暗喩?)がひっかかっていて
            シーンによって、後ろに太陽が沈む場面、月がかかる場面がある。

            平土間や2階席の正面だったら
            全部の劇が、額縁に入った不条理な現代絵画に見えるだろう。

            さすがに天井桟敷からだと、上から見下ろす形になるので
            奥の方の太陽や月が、額縁からはみ出してしまったが(笑)

            作品そのものについては
            エライ先生方が、たくさん論文なども書いていらっしゃるようだから書かない。

            かなり不思議な世界だが
            聖書についての議論が突然入ったり
            イエス・キリストについての言及を聞くと
            もしかしたらベケットは伝統的西洋文化に反感でも抱いていたか、と思わせる。
            実存主義の成立と同じ時代に書かれた演劇である事がわかる。

            後半の第2幕になると、もう、ワケがわからなくなる。
            第1幕は「昨日」の事だったのかも定かでなく
            時間概念の混乱が起こって
            カミュの「シジフォスの神話」の世界に入ってしまう。

            演劇って面白い。
            ただの「筋」だけを追っていきたいのであれば
            台本を買って読めば良いだけなのだが
            演劇は、舞台に乗せてこそ、初めて「生きる」

            一回だけウラジミールが、この白い板から「はみ出す」場面がある。
            (セリフもなにもない)
            これが・・・ 実に印象的というか、あれ?!というか
            あんな小さな一歩だけで、世界を変えてしまえる、という
            あぁ、演劇って良いなぁ、演出って楽しそうだなぁ・・・

            さて、そのブルク劇場だが・・・・

            国立オペラ座もかなり内部は複雑だが
            ブルク劇場の複雑さというのは、それに輪をかけて複雑怪奇である。

            平土間席、2階席+3階席、天井桟敷ヘの入り口がそれぞれ違うのは良いとして
            例の有名なクリムトの壁画のあるサイドの回廊には
            平土間席と2階席+3階席の人しか行けないように(一見)なっている。

            天井桟敷の「身分違い」は、下の豪華なメイン・ロビーにも行けないのだ。

            もっとも、天井桟敷専用ロビーからは
            正面に市庁舎が見えて、両サイドからはリング通りが見えて
            クリスマス市の照明の残る華やかな市庁舎の夜間照明の美しさは素晴らしかったが。

            でも、どこかに抜け道があるに違いない・・・と、幕間の時間に冒険に行くワタシ。

            天井桟敷から下に抜けて、ミッテル・ロージェのビュッフェの横を通り
            クロークから、サイドのボックス席の横を通っていったら

            あった!!! クリムト壁画の回廊に出たぞ!!!! (^^)v

            回廊そのものは何回も見ているが
            天井桟敷から回廊への「抜け道」というか
            「行き方」を発見したのが嬉しいのである (ただのアホ)

            ただ、回廊から天井桟敷に戻るのに、また迷って
            華やかなメイン・ロビー(2階の豪華な部分である)に数回出てから
            やっと「3階席行き」の入り口を見つけ
            3階席から天井桟敷に登る階段を見つけた時にはホッとした。

            まぁ、どうしても戻れなかったら
            けっこう、2階席・3階席に空き席はあったので
            ちゃっかり座っても良かったけど、でも、この劇場、アジア顔は目立つ(爆)

            今、どうしても観たいのが
            トーマス・ベルンハルトの「イマニュエル・カント」で
            シーズン中に、まだ何回か上演される予定なので
            何とか予定をつけたいわ (^.^)


            今年最後のデート

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              何か、2日前までマイナス10℃近くまで下がっていたんじゃなかったっけ?

              本日の気温 プラス7℃。
              クリスマス・イブの24日の最高気温予測が14℃ (なに〜〜っ!(-"-;))

              日曜日から、また最低気温マイナス3℃という予想だが
              上がったり下がったり、寒暖計は激しい動きを示している。

              この間の「7つの封印」でナイト・ライフ終了と書いた後に
              国立オペラ座で「マクベス」を観る機会に恵まれたので、ちょっと勢いづいて

                  クリスマスにブルク劇場に行く事にした。

              12月24日は日本のお正月のようなもので
              午後から、街はゴースト・タウンと化して
              みんな、家族でお祝いするので、もちろん、劇場関係はどこもコンサートはやらない。

              まぁ、観光客向けの「クリスマス・コンサート」というのが
              ないわけではないが・・・

              12月25日のブルク劇場はベケットの「ゴドーを待ちながら」
              開演の1時間前に50%割引、というシステムがあるので
              それを狙おうと思っていたら、けっこうチケットが売れて来ていて
              アセアセ (^^;

              演劇のチケットは、コンサートやオペラほど高くはない。
              ブルク劇場のチケットは48ユーロから3ユーロまで。
              高所恐怖症の人には行けない天井桟敷のよく見える席でも10ユーロくらい。

              で、ギャラリーの端っこの席を買いました。
                  4ユーロで ・・・
                   (これなら直前割引があっても2ユーロの損で済む・・・)

              今年最後の彼氏もどきとのデート。

              「ブルク劇場の4ユーロの席を買っちゃった」
              「・・・ それって見えないんじゃないか?」

              いつもベストの席で行く金持ちと比べないでちょうだい!!! プンプン

              「たぶん、身体を乗り出せば、ちょっとだけ舞台が見えると思う
               まぁ、見えなくても別に良いでしょ」(アナタと行くワケじゃないし。ふんっ!)

              プッチーニのオペラ全集を、もどき自宅で聴きながら
              (しかも、かなりマイナーな作品を「聴かされ」ながら)

              「良いね、このオペラ全集」
              「あんまり高くなかったからね」

                 ・・・って、アマゾンで調べたら60ユーロくらいするじゃないか!
                 それで高くない、と言い切る生活レベルの奴は、ワタシはキライだっ!

              「でも、私が CD を買う時って
               コンサートで聴いて、感激してもう一度、自宅で聴きたいとか
               こんど行くコンサートの演目にあるから
               実際にナマで聴く前に、自宅で耳慣らししておこうとかで
               一番安い CD を買うだけよ」

                  え? 何か、じ〜っと私を見てる。
                   私、そんなに美人? 惚れなおした? (*^^*)



              「もしかしたら、君は、学校で一番に手を挙げて
               『先生、私、それ、知ってます!』とか言うタイプじゃなかった?」




                            (-"-;)



                    そうですけど、それが何か?!

              「ガリ勉とか学生時代に言われなかった?」

                   言われましたけど、それが何か?!

              好きな事に夢中になって何が悪い!!!!!(開き直り)

              もっともワタシの場合は
              好きな事だけめちゃくちゃ詳しくなって
              他の一般常識に属するような知識は、興味がないところは完全に欠けている。

              子供と同じような精神構造から抜けきっていないのは確かだけど
              別にいいじゃん、ほっといて。

              というワケで、次のデートは年明けの1月中旬である(笑)


              国立オペラ座 「マクベス」

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                Macbeth
                Melodramma in vier Akten
                Musik von Giuseppe Verdi
                指揮 Guillermo García Calvo
                演出 Vera Nemirova
                舞台 Johannes Leiacker
                照明 Manfred Voss
                コーラス Thomas Lang

                マクベス Simon Keenlyside
                バンクォ Stefan Kocán
                マクベス夫人 Erika Sunnegårdh
                マクダフ Dimitri Pittas
                マルコム Gergely Németi
                医師 Alfred Šramek
                刺客 Dragoljub Bajic
                伝令 Hermann Thyringer

                今週はナイト・ライフはなし・・・と
                黒のジーンズに、ノーマ・カマりの上着で出勤。
                (ただし、上着は20年モノ。
                 ボタンは数回付け替えたし、裏地も破れてる(爆))

                オフィスに突然の電話。

                「今日の夜、空いていれば、国立オペラ座の「マクベス」
                 1枚、とても良いチケットでご招待しますよ」

                    ほえ〜〜〜っ \(^O^)/

                「すご〜く、すご〜く嬉しいのですが
                 ワタクシ、今日はスゴイ格好をしていて・・・」
                「いえいえ、大丈夫です。
                 舞台は・・・ う〜ん、目を半分くらい瞑っていれば良いかもしれません」

                わっはっは、新聞評でもコテンパンにやられた「マクベス」だもんね。
                本当は12月26日の立ち見席を狙おうと思っていたが
                いや〜、思いがけないクリスマス・プレゼントをもらっちゃった。

                   ・・・念の為ですが、彼氏モドキからではございません(きっぱり)

                平土間3列目。
                オペラ・グラスも持っていかなかったのは残念だし
                前の男性がデッカイ人で、頭がずっと舞台の一部を遮っていたけれど
                それでも最高の席。普通で買えば192ユーロ。ヒエ〜〜ッ。

                この新演出「マクベス」は、もともと指揮者としてガッティが予定されていたが
                病気のため直前に降板。
                いや、正直、ガッティが振らなくて良かったかもしれない。

                とりあえず、ヴェルディのオペラだし、マクベスだし
                何とか、筋そのものは、完全に変えてはいない ・・・ が ・・・

                あれは、どうやって観賞しても「マクベス」に見えません。

                殺し屋集団が、刑事コロンボのような格好で
                赤い風船持って、サンタクロースのトナカイのような赤鼻を付けているし

                魔女の踊りのシーンは
                黒のキャミソールにバスローブ、頭にはタオルを巻いて

                    ヴェルディでやるラジオ体操

                  いや、意外に合っていて驚いた。私も自宅であの音楽でやろうかしら(本気)

                だいたい、キーンリサイドが全然カッコ良くないっ!!!
                カーテンコールの時は、いつものようなチャーミングな 好青年 好中年だったから
                あれは役作りの関係だろうが
                何か、感情的で薄汚れていて(衣装も)何か、ちょっとガッカリ。

                ただ、音楽的には凄かった。
                ヴェルディのドラマティックな音をオーケストラも充分に出していたし
                キーンリサイドの声は響くし、ドラマティックだし
                演技も巧い・・・というか、巧すぎて、薄汚れて見えたんだけど(逆効果)

                マクベス夫人の Erika Sunnegårdh は金髪のスウェーデン・アメリカ人で
                スマートだし、ヒステリックなマクベス夫人の演技も巧く
                (キャミソール着て絵になるスタイルでないと、あの演出では無理)
                声もかなり出ていて、迫力あり。

                バンクォの Stefan Kocán は声量が凄いだけに、ちょっと耳触りになる事も。

                今回の演出では、最後に「マクベスの死」の場面があるのだが
                キーンリサイド、かわいそうに、横向きで床に横たわったまま
                あのアリアを歌わされるのだ・・・

                床の埃を吸いこんでいそうで、ハラハラする。かわいそうに・・・

                あの体勢での発声は、かなり難しい。
                顔が床を向いているのに、あそこまで響かせた、というのはたいしたものだ。

                最初のスコットランド王の登場場面でも
                スコットランド民族衣装(もちろんスカート)で登場する人物たちが
                スコットランド・ダンスをバグパイプを持って踊るので
                いや、もう、モロにコミックの世界そのまま。大笑いできる。アホらしい。

                対するマクベスは、最初はテロリストのごとき衣装で
                それから脱いで、背広にネクタイになり
                殺人後は、マクベス夫人に脱がされて
                このクソ寒い(外はマイナス8℃)時期に、舞台上のシャワーに突っ込まれてしまう。

                ああああ・・・
                ちょっとね、これは、新聞評のように、かなり問題が・・・

                まぁ、こちらも、ちょっと「問題」の衣装で行ったのだし
                ご招待でプログラム(しかも出演者表だけ)しか買わなかったから
                文句を言う理由はない。

                演出以外の音楽に関しては、抜群の出来で、素晴らしい。
                指揮者の García Calvo ものすごく熱の入った指揮振りで
                あんなに最初から最後まで力いっぱい振って、身体は大丈夫?(笑)

                片目を瞑る・・・のではなくて、舞台が全く見えない席だったら
                もう一回くらい行っても良いかな〜 (笑)


                ウィーン・フィル + ニコラウス・アーノンクール 2回目

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                  Wiener Philharmoniker
                  Wiener Singverein (Leitung Johannes Prinz)
                  指揮 Nikolaus Harnoncourt

                  テノール(ヨハネ) Michael Schade
                  バス(主の声) Robert Holl
                  ソプラノ Dorothea Röschmann
                  アルト Elisabeth Kulman
                  テノール Werner Güra
                  バス Florian Boesch
                  オルガン Robert Kovács

                  Franz Schmidt (1874-1939)
                          Das Buch mit sieben Siegeln

                  土曜日の午後に聴いたコンサート、日曜日の11時から2回目の観賞。
                  ああ、贅沢 (*^^*)

                  フランツ・シュミットの作品は
                  伝統的な手法を使いながら、その「使い方」そのものが革新的で
                  聴いていると、トナールの伝統に則って、目新しさはないのに
                  その表現力やオーケストレーションの素晴らしさに驚く。

                  ヨハネの黙示録に題材を取った「7つの封印の書」は
                  交響曲と並んで、演奏される機会が比較的多いものの一つ。

                  ドイツ語のテキストに、言葉のリズムを生かして
                  更に、意味論的な内包を、オーケストラの音楽にて表現しており
                  テキストを見ながら聴くと
                  情景が音楽で表わされるところの処理など、見事である。

                     まぁ、極端な事を言えば、劇伴・・・ですかね(爆)

                  ヨハネが神に会い(ここで神さまが1回目の登場)
                  ドアが開いて、宝石のごとく輝く王座に虹がかかって
                  そこに24名の、王冠を被った老人がいて
                  王座の前にクリスタルのように輝く海が表れ
                  そこに獅子(マルコ)、牛(ルカ)、人間(マタイ)、ワシ(ヨハネ)が登場。

                  で、7つの封印の書を渡されるのだが
                  誰が封印を破るのか・・・

                  と、そこに現れた犠牲の羊(イエス・キリスト)が
                  封印を破っていくのである。

                  コンピュータ・ゲームみたいなものですね(極論)
                  ただし、7つの封印の書を手にするまで、40分ほどかかるが(笑)

                  封印を解くたびに、色々な色の馬が表れて
                  赤い馬は戦争の悲劇を(闘う男性たちと、平和を乞う女性のコーラスの絡みがすごい)
                  黒い馬は、餓えやペストによる死を連れてくる。
                  (餓えて泣きながら死ぬ子供たちや
                   戦争の後、死体の山の中で生き残った2人の兵士たちの会話)

                  第1部の最後では、大地震が起こるのだが

                  シュミットさん、地震って、もしかして、経験した事ないでしょ?(笑)
                  何故か、この部分の音楽だけが、地震というより
                  ただの嵐でしょ? という感じになっている(迫力はあるんだけど (^.^))

                  後半でマリアが表れ、天使ミカエルと竜が戦って
                  天使がトロンボーンを吹いて登場する。
                  (でも、この部分、バス・トロンボーンだよ?
                   天使のイメージと、何か、全然合わないのだが
                   それは、まぁ、文化の違い・・・という事で f(^^;))

                  で、罪だの永遠だのがコーラスで歌われた後
                  また神さまが登場して
                  ハレルヤになって、最後にヨハネが締めくくる(最初のメロディ登場)

                  いや〜、このハレルヤが素晴らしいのだ!!!
                  弦楽器でタカタカタカタカと上昇音階が演奏されて
                  そこにコーラスが力いっぱい「ハレルヤ」と入ると
                  クリスチャンではない私でも、おおおおおおおおっ! とついつい感激してしまう。

                  ヨハネ役のミヒャエル・シャーデは
                  声は細いけれど、何とも繊細で表現が細かく
                  やっぱり・・・ 美声だわ、チャーミングだわ、す・て・き (*^^*)

                  神さまを歌ったローベルト・ホルは、言う事なし。
                  たった3か所の出番だが、深くて威厳があって、本当に神さまみたい。

                  他の歌手もすごく揃っていて見事。

                  特記すべきは、コーラスの良さ。
                  戦士と女性の絡み、時々入る神賛美の歌の明るさ
                  地震で破壊された土地や、天使のラッパで地獄が見える様などを
                  充分に表現し尽くした後での
                  あの、力いっぱいのハレルヤ・・・ ううう、すごく良い。

                  もちろん、ウィーン・フィルは巧い。
                  あの弦の柔らかで揃った音は、他のオーケストラにはないものだし
                  管楽器のソロも、目が点になる位、巧かった。
                  オルガン・ソロも抜群。

                  褒めてばかりだけれど
                  咳が多くて気になった土曜日と違い
                  日曜日は、ピアニッシモの部分でも、ほとんど咳する人がいなくて
                  聴いていた人たちを、本当に集中させられる名演だったと思う。


                  ウィーン交響楽団 + フィリップ・ヨルダン 2回目

                  0

                    Wiener Symphoniker
                    指揮 Philippe Jordan
                    ピアノ Christian Zacharias

                    Johannes Brahms (1833-1997)
                            Konzert für Klavier und Orchester Nr.1 d-Moll op.15 (1854-1857)
                    Igor Strawinsky (1882-1971)
                            Le Sacre du Printemps (1911-1913)

                    夜は、金曜日に聴いたプログラムの2回目の観賞。
                    ああ、贅沢 (*^^*)

                    ウィーン・フィルの響きとは違うけれど
                    ウィーン交響楽団って、やっぱりヨイなぁ・・・(贔屓なの、ワタシ)

                    立てばフィリップ・ヨルダンは見えたはずだが
                    金曜日に、ずっと指揮者を見ていたし
                    今度は、指揮者もオーケストラも、何も見ずに
                    ともかく、聴覚だけに意識を集中させて聴く事にする。

                    ブラームス、ピアノとオーケストラの掛け合いが巧い。
                    ピアニストも指揮者としての経験があって
                    フィリップ・ヨルダン自身も、ピアニストとしても活躍している・・・

                    という理由だけではないと思うが
                    あの、ブラームス初期作品の、めちゃくちゃ複雑な絡みを
                    よくぞ、あそこまで完璧に・・・ (感心)

                    ウィーン交響楽団の弦は、ウィーン・フィルのような金色の輝きはないけれど
                    でも、近代曲に向いた、無駄のない音を出す。
                    管は言う事なしの名人揃い。

                    この間、書いた通り
                    ブラームスの包み込むような厚い音を
                    情熱的に、時々、ドキッとする程ロマンティックに歌い上げた。

                    後半の「春の祭典」 

                         ・・・ やっぱり巧いよ、このオーケストラ(きっぱり)

                    ドキドキする程、魅惑的な音に
                    複雑なリズムを正確に刻み
                    野性的な、荒々しい、そして不思議な世界に飛んでいく
                    ストラヴィンスキーを、完全に手中にしている。

                    パーカッションの、腹の底に響くド〜ンという響きに
                    弦が纏わりつき、管が踊り
                    最初から最後まで、一瞬たりとも途切れる事のない集中力で
                    完璧に演奏された「春の祭典」で
                    今年のコンサート・ライフは終わりを告げた。

                    ・・・いちおう、まだ、12月31日の「天地創造」は残ってるけど f(^^;)


                    ジョン・ノイマイヤー クリスマス・オラトリオ (モダン・バレエ)

                    0

                      Wiener Philharmoniker
                      Wiener Singverein (Leitung Johannes Prinz)
                      指揮 Nikolaus Harnoncourt
                      テノール(ヨハネ) Michael Schade
                      バス(主の声) Robert Holl
                      ソプラノ Dorothea Röschmann
                      アルト Elisabeth Kulman
                      テノール Werner Güra
                      バス Florian Boesch
                      オルガン Robert Kovács

                      Franz Schmidt (1874-1939)
                              Das Buch mit sieben Siegeln

                      *****

                      Weihnachtsoratorium

                      Ballett von John Neumeier
                      Musik von Johann Sebastian Bach BWV 248 (1734) Teile I-III
                      指揮 Erwin Ortner
                      オーケストラ Wiener Kammerorchester
                      コーラス Arnold Schoenberg Chor
                      エファンゲリスト(テノール) Christoph Prégardien
                      ソプラノ Sunhae Im
                      アルト Marie-Claude Chappuis
                      バス Hanno Müller-Brachmann
                      ハンブルク・バレエ
                      Lloyd Riggins,  JoëlleBoulogne, Peter Dingle, Carsten Jung
                      Silvia Azzoni, Alexandre Riabko

                      ウィーンは雪が続いて、かなり積もった。
                      東京なら、とっくに交通麻痺になっているような状態である。

                      車は自宅近くの路上で雪に埋もれされておいて
                      こういう日は市電・地下鉄がベスト。

                      15時30分から楽友協会でウィーン・フィルとアーノンクールによる
                      フランツ・シュミットのオラトリオ「7つの封印の書」
                      その後、19時30分からウィーン劇場で
                      バッハの「クリスマス・オラトリオ」
                      ジョン・ノイマイヤーの振付によるハンブルク・バレエの客演公演。

                      宗教曲苦手なのに、続けて2つオラトリオを聴いて
                      ちょっと、今、ゲゲゲの気分(自爆)

                      7つの封印の書は明日、日曜日11時からのコンサートにも行くので
                      感想は改めて書くつもりだが
                      アーノンクールはオーケストラをめちゃくちゃ鳴らして、すごい迫力。
                      シャーデのヨハネは、声量を抑えて
                      (シャーデは、あのガタイなのに、意外に声量はない)
                      その代わり、細部の表情がものすごく繊細で、言葉が音楽になっていたし
                      ローベルト・ホルの神さまの声は、深くて威厳があって素晴らしい。

                      さて、夜の公演。

                      ジョン・ノイマイヤー+ハンブルク・バレエが来れば絶対に行く私としては
                      2年前に同じ演目を観たけれど、今回ももちろん行く。
                      3回同じ公演をするので、できれば全部行きたかったが、時間もお金もない。

                      このクリスマス・オラトリオの振付、ものすごく不思議な世界。
                      念の為だが、単純にマリアが身籠って、子供を産んでバンザイ、という振付ではない。

                      「羊飼い役」は、クリスマス・ツリーを持って現れるのに
                      周囲の社会からはじかれ、バカにされ、足蹴にされる。

                      ヨゼフとマリアらしきフィギュアも出てくるが
                      貧乏ったらしくて、特にヨゼフが人間的に悩むところなど
                      実に現世っぽくって、自分に重ね合わせて同情しちゃう(こらこら!)

                      惨めったらしいヨゼフとマリアの対照として
                      真っ白な天使が能天気に踊ったりする。これは明るくてチャーミング。

                      羊飼いは最後に人助けをしようとして失敗?して
                      でも、そこから立ち直っちゃって(あらま?)
                      突然、元気になって、ものすごく長い時間、ずっと踊り続ける(これはスゴイ)
                      で、羊飼い役は他の男性に引き継がれてしまう、という不思議な展開をする。

                      しかし、ノイマイヤーの振付って
                      男性のソロが抜群だなぁ・・・
                      スローの部分の「男性のカタチ」が見事に決まる。
                      (それに比べると、女性の振付は、何となく気が抜けているような気がする)

                      色々な暗喩が隠されていて
                      それはノイマイヤーが意図したものかはともかく
                      観客に様々な疑問点を投げかけ、妄想を抱かせる。
                      (通り一遍に誰でもわかるモノより、こういう現代芸術って好き (*^^*))

                      宗教臭さは、バレエの中には直接には表現されないのだが
                      キリスト教の偽善を笑っているように受け取れる部分もあるし
                      (ただのワタクシの妄想です)
                      でも、それは、もしかしたら、ディッキンズのクリスマス・キャロルのように
                      素直に、貧しい者は幸せになる、と受け取った方が良いのかもしれない。
                      (そうとは思えないが・・・・ でも、そうなのかも・・・・)

                      音楽が秀抜。テノールの Christoph Prégardien は技術・表現力ともに抜群。
                      バスが時々、技術的に弱い部分が聴こえたけれど(確かに難しい)
                      コーラスもソリストも、そしてオーケストラも
                      バレエの添え物ではない、独立した役割を果たしていて、満足。

                      苦手な宗教曲だが
                      宗教曲と思わずに、ヨーロッパの歴史上の「おとぎ話」と思って
                      音楽的に楽しむだけにすれば、何とか耐えられる。

                      クリスチャンの方々、ごめんなさい。
                      ワタクシは異教徒ですので、どうぞお許しあれ。

                      宗教の暗喩があったとしても直接的には出てこない
                      こういうモダン・バレエになってしまうと
                      それはそれで、視覚的にとても楽しい。
                      隠された意味を探りながら(観賞中に頭から数個のクエスチョン・マークが出る)
                      あれは何なのであろう?と考えながら観るのも興味が尽きない。

                      ただ、あくまでも「抽象画」みたいなものだから
                      ずっと考えていなければならないし
                      (それが正しい観賞法なのかは別として)
                      その意味では、ちょっと疲れる。
                      以前のノイマイヤーの「ベニスに死す」の方が
                      ストーリーがわかりやすいだけに、感情移入が簡単で疲れなかった。

                      というワケで疲れた・・・

                      この分で行くと、ホワイト・クリスマスになりそうなのだが
                      雪は全然ロマンティックじゃない!!!
                      雪だるま状になった車の群れから、自分の車を探し出して
                      雪かき、というより、車本体が出てくるまで、マイナス7℃くらいの寒い中
                      一人で雪と戦わなければならないのだ(あれは、本当に戦闘状態である!)

                      明日の朝は何とかして、車本体を掘り出す予定 (^^)v
                      うかうかしていると、本当に埋もれてしまうのだ。

                       


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