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国立オペラ座 カプリッチオ (9回目鑑賞記)

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    Wiener Staatsoper

    Capriccio
    Ein Konversationsstück für Musik
    Text von Clemens Krauss und Richard Strauss
    Musik von Richard Strauss

    指揮 Peter Schneider
    侯爵夫人 Renée Flemming
    侯爵(兄) Morten Frank Larsen
    フラマン Michael Schade
    オリヴィエ Adrian Eröd
    ラロッシュ Wolfgang Bankl
    クレロン Angelika Kirchschlager
    ムッシュ・トープ Peter Jelosits
    イタリア人女性歌手 Daniela Fally
    イタリア人男性歌手 Ho-yoon Chung
    若い女性ダンサー Josefine Tyler
    若い男性ダンサー Vladimir Snizek
    執事 Clemens Unterreiner
    使用人たち Franz Gruer, Martin Müller, Oleg Zalytskiy
               Wolfram Igor Derntl, Michael Wilder
               Hermann Thyringer, Wataru Sano, Konrad Huber

    今シーズンは6月に2回だけ上演されるカプリッチオ。
    来シーズンのプログラムには載っていないし
    次の上演17日は、楽友協会でビリーのオルレアンと重なるので
    先シーズンから追っかけたこの演目も、本当にこれで最後になる(涙)

    主要メンバーは同じ。
    兄侯爵が Bo Skovhus から Morten Frank Larsen に変わり
    イタリア人歌手に Daniela Fally が登場。
    指揮者は、先シーズンの Philippe Jordan から
    ベテランの Peter Schneider に代わった。

    先シーズンのベスト演目とも言われていた公演で
    熱心な読者の方は、初回を除いて8回通った記録をご存知と思う f(^^;)
    (本日の公演が10回目で、私にとっては9回目の鑑賞になる)

    舞台は美しいし、衣装もステキだし
    バロックとロココの要素に満ち満ちていながら、現代も取り入れて
    通俗になり過ぎない。

    途中のバレエのテーマも面白いし
    (赤ずきんちゃんとオオカミなのでが、赤ずきんがオオカミを手なずけてしまう)
    イタリア人テノール+ソプラノの登場も凝ってるし
    (ゴンドラに乗って出てくるの)
    音楽的には面白いのだが、舞台に何も起こらない(はずの)
    笑いの8重唱と怒りの8重唱も、きちんと、舞台をバタバタにして「見せる」

    ご存知の通り、この作品は
    最初から最後まで、音楽か文学かについての討論で
    その延長上に「オペラ」というテーマがある。

    劇や詩が好きで音楽的には全くダメな侯爵(兄)に
    詩も音楽も好き・・・というより、どちらにも決められない
    若い未亡人の侯爵夫人(妹)を廻って
    その愛を競う、作曲家と詩人。

    詩人のもと愛人だった女優に、侯爵が言い寄って
    更に、劇場支配人、プロンプター
    「高尚な文化」を理解しない、普通の人(召使いたち)も登場。

    オペラを取り巻く、すべての人たちが舞台で取り上げられ
    最初から最後まで討論を繰り広げるという
    書いちゃうと、全然ワケわからん難しそうなオペラに聞こえるけれど
    晩年のリヒャルト・シュトラウスが
    えも言われぬ美しいロココのメロディに甘く包んで
    色々なオペラの例を自由自在に使った
    一種の「オペラのパロディ」でもある。

    ルネ・フレミングの侯爵夫人は
    最初に聴いた時は、そのドイツ語の発音のひどさにひっくり返ったが
    今シーズンは、かなり直ってきた。
    まだ、時々、母音でドイツ語にないものが聞こえてくるけれど
    そこそこ、ちゃんとドイツ語らしく響くようになってきて
    これは、本人も、かなり努力して直したんだろうなぁ・・・・

    メトロポリタンで歌っていれば
    ドイツ語を知らない人がほとんどだから、発音はどうでも良いだろうが
    ここでは、こういううるさい聴衆がほとんどだからね(笑)

    音楽的にブレが全くないのが、オリヴィエ役のエロード。
    発音もクリアで正確。演技も巧く、声は通って表現力も素晴らしい。
    本当にこの人、何を歌わせても上手い、一種の天才だろう。

    表現力があるだけに、音楽的にブレが目立ったのは
    ミヒャエル・シャーデ。
    高音も決まったし、声も出ていたのだけれど
    ほんの時々、歌詞が違ったり、フレーズを変えて歌ったりする。
    それでも上手いのだが、音楽的に忠実と言い切れないのがちょっと残念。

    侯爵(兄)のフランク・ラルセンは
    ボー・スコフスとそっくり (+_+)
    演出が一緒だから、というのはあるのだけれど
    初役だからか、演技が少し硬すぎて、縮こまってしまった感じ。
    でも、発音も声量も他の歌手に負けていない。
    メイク・アップが強すぎて、いつもの「伊達男」振りがちょっと霞んだ。

    バンクルのラ・ローシュは、以前は「貫禄がない」と叩かれたが
    回を重ねるごとに巧くなって、かなり堂々としたラ・ローシュを歌ってくれた。
    だいたい、この人、最初の声から、声量がスゴイんだもん。
    ただ、声の質が、バス・バリトンに近く
    暗いバスの低音が、中音域のすごい声量に比べると、ちょっと響きが悪い。
    でも、あのラ・ローシュの聴かせどころ、長大なアリアは説得力があった。

    ちょっとアレ?と思ったのは
    イタリア女性(ソプラノ)を演じたダニエラ・ファリー。

    もともと、コロラチューラで、フィアカー・ミリーや
    ツェルビネッタを得意とする、かなり名前も売れてきたソプラノなのだが
    ほとんど声が通らない。
    最初の登場時のソプラノも埋もれてしまって聴こえず
    その後の8重唱でも、重要なセリフを言うのに、全く聴こえてこない。
    準備不足か、あるいは、この大声量メンバーと一緒に歌うとやっぱり無理なのか。
    このチョイ役、かなり重要なのに、ちょっと期待外れ。

      (ちなみに、重要なセリフというのは
       他の人がマジメに議論している中で
       「ほら、このケーキ、美味しいわよ、食べなさいよ」とテノールに奨めるセリフ。
       議論している人に対する強烈なアンチ・テーゼ(のはず)なのだ)

    アンゲリカ・キルヒシュラーガーのメゾソプラノは
    ともかく、実に色っぽく低音が響く。
    大きな声を出しているようには聴こえないのに、ものすごく通る。
    先シーズンは、他の歌手が歌っている間の耳触りな高笑いが邪魔だったが
    今回は、そこまで出しゃばる事もなく
    気の強い、色っぽい女優を巧く演じていて好感が持てる。

    最後の伯爵夫人のモノローグ。
    ドイツ語の発音云々を除いて聴いて、舞台の演技もしっかり見ると
    やっぱり、フレミングは凄い。
    あれだけ歌いっぱなしの後に、長大なモノローグ、しかも
    最後はピアニッシモで、出だしが上のラで、次のフレーズの出だしは
    恐ろしくも、ピアニッシモで上のシなのだ。
    ううう、よく、あんな音、一発でピアニッシモで当たるわ・・・
    しかも、美人だし、ゴージャスな雰囲気はあるし、カワイイし
    スタイル良いし、動きも美しいし
    あれで、もうちょっと正しいドイツ語の発音をマスターしたら無敵だわね。

    休憩なしの2時間30分。
    この難しいオペラを、この水準で上演したメンバー全員に
    心から拍手したい。
    来シーズンは消えてしまうが、また上演しないかなぁ・・・・


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      • 2019.09.15 Sunday
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