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ギュルツェニヒ管弦楽団 + フワンソワ=グザヴィエ・ロト

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    Wiener Konzerthaus Großer Saal 2019年2月18日 19時30分〜21時50分

    Gürzenich-Orchester Köln
    バイオリン Isabelle Faust
    指揮 François-Xavier Roth

    Felix Mendelssohn Bartholdy (1809-1847)
     Konzert für Violine und Orchester e-moll op. 64 (1844)
    Gustav Mahler (1860-1902)
     Symphonie Nr. 5 (1901-1902)

    ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団と、その音楽監督
    地味に見えるが、実はデキる係長(に見える)
    フランソワ=グザヴィエ・ロトの公演。

    しかしまぁ、またもやメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲。
    重なる時は重なるものである。

    イザベル・ファウストのバイオリン
    え??? 何だか音が極端に細い。
    あまり聴こえてこない、というより、迫力全然なくて
    音程はばっちりなのだが、ともかく細い。

    オーケストラが、このバイオリンの線の細さに合わせて
    これまた繊細な響きである。
    軽いというか、優しいというか
    メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲って
    こんなに室内楽的な曲だったっけ?

    時々、迫力のあるところもあるけれど
    全体的には、1880人収容できるような大ホールで聴くような感じではない。
    手元のオペラ・グラス(実は10倍の望遠鏡)で見たら

    イザベル・ファウスト、ほとんどノン・ビブラートで演奏してる 😨
    ほんの少しだけ、ビブラートのかかるところはあるけれど
    基本的には伸ばす音でもビブラートかけてない。

    よく見れば、オーケストラの弦のパートも
    誰もビブラート使ってない。
    あ〜、そりゃ、線の細い響きになるワケだわ。

    派手にガンガン弾く、明るい感じのメンデルスゾーンを期待していると
    肩透かしを喰らう印象で
    かなり不思議な感じの響き。
    室内楽的、貴族的、古典的で小ホール的で、すごく地味。
    大ホールでアピールする感じではない。

    よって、観客の拍手も控え目で
    かなりの人が戸惑っていたんじゃないかなぁ。

    アンコールがこれまた・・・
    これ、現代音楽だよね?
    音の飛び方が12音技法的に聴こえるし
    すごく透明感のある感じだったので
    アントン・ウェーベルンあたりかと思っていたら
    クルタークだった(全然違うじゃん!)

    年寄りの多いコンツェルトハウスで
    こういう現代音楽は、ま〜〜〜ったくウケません。

    いや、でも、このバイオリニスト
    別にウケを狙っているワケではなさそうだし
    バイオリンと自分、自分とバイオリンだけで
    世界が完結していそう。

    メンデルスゾーンのこの名曲で
    楽譜を置いて演奏したソリストも、私は初めて見た。

    休憩時間の後はマーラーの交響曲5番。
    さすがにこれはノン・ビブラートではやらんだろう(笑)

    おおお、トランペットが巧い!!!
    この曲、最初のトランペットで決まっちゃうところもあるんだけど
    これは期待できる。

    ただ・・・
    季節が季節である(1日内の気温の上下が激しい)
    みんな、風邪をひいている。
    後ろのおばあちゃまが
    第一楽章の最初の3分くらい、ずっと後ろで咳き込んでいて
    音楽に集中できるような状態ではなかったのが辛い。

    ロトの音楽作り、面白い。
    ものすごく透明度が高い。
    どの楽器のパートもクリアに響いて来て
    あの複雑怪奇なマーラーのスコアを、理論的に読み解いている印象。

    職人芸的な処理の仕方の細かさにすっかり魅了されたものの
    前半は(あちこちの咳が多すぎるのもあって)あまり集中できず
    巧いオーケストラで巧い指揮者だな、程度の「感心」だった。
    (だってね〜、ティンパニがピアニッシモでソロしている時に
     後ろの席のおばあちゃまが、思い切り鼻を噛んだら
     そりゃ、しらけるでしょ、誰でも)

    なのに・・・
    第3楽章の途中で、突然、感情を鷲掴みにされた。
    何故なのかわからないけれど
    何だか急に、感情を持っていかれてしまい
    そのまま、曲に入り込んで
    周囲の咳なんか、も〜、ど〜でも良い
    ・・・というより、咳込みが全く意識に上って来ない。

    音楽性ゼロ、感受性ゼロの私は
    音楽がいったん頭に入ってしまえば
    別に実際に聴かなくても、とか思ってしまう大雑把な人間なのだが
    この演奏を聴いていると
    あ〜、やっぱり音楽は頭の中とかスコアじゃなくて
    音響として実現してこその芸術品なのだ、と
    その立体感に捕らえられてしまった、という感じ。

    曲の作りが巧みなのだろうが
    あのワルツのウィーン的な部分に
    卑属な音まで、しっかり強調して入れていて
    ウィーンっぽい貴族的雰囲気の表面の中に
    かすかに苦さと皮肉がにじむのだ。

    続くアダージェットなのだが
    だいたい、私は感情のない人間なので
    アダージェットの時間を測ることを唯一の楽しみにしていて
    あの、甘ったるい、感傷的な、恥ずかしいまでの
    キッチュなメロディは、ああああ、と思いながら聴いているのが普通なのだが

    アダージェットでも咳は会場から絶え間なく聞こえては来るものの
    なんだ、この美しさは。
    丁寧に丁寧に、大袈裟にならず、ハッタリも効かせず
    ただただ、音の事実を音響として
    最高の透明感を持って観客に伝えていく。

    最後の方になって、ロトはテンポをグッと落とした。
    なのに、曲の緊張感が途切れることがなく
    まるで「永遠」というものが実体化して舞台に乗っているかのような
    時間感覚を失っていくような不思議な気分になってしまう。

    この演奏に捕らえられてしまったせいで
    アダージェットの時間を測るのを、すっかり失念してしまった(汗)

    続く最終楽章も、第3楽章と同じく
    ただの爆発的エネルギーだけではない苦さを含んで
    オーケストラのバランスが抜群で
    音楽そのものもダイナミックにうねる。

    実はギュルツェニヒ管弦楽団は
    マーラーのこの交響曲を、作曲家自身の指揮で初演したオーケストラでもある。
    その意味では、オーケストラのメンバーも
    この曲は俺たちのもの、という矜持があるのかもしれない。
    弦も美しいけれど
    木管も金管も、めちゃくちゃ巧くて
    オーケストラのバランスが良いので
    トランペットやホルンだけではなく
    トロンボーンやチューバの低音もばっちり響いてきて
    時々、腹の底にど〜んと響く感じで、身体全体に響きが伝わる。

    マーラーの交響曲5番という
    聴き慣れた、ある意味、手垢付きの名曲を
    こんなに楽しんで聴けるとは思ってもみなかった。

    演奏後にコンサート・マスターの譜面台を見たら
    何だかもう1枚、楽譜があるように見えるので
    もしかしたらアンコールやるかも?と思っていたら

    ロトが指揮台からこちらに向かって
    美しいドイツ語で、何か言ってる。
    天井桟敷までは聞こえないので
    天井桟敷の年配の人たちが
    何言ってるの?とお喋りし出すので、ますます聞こえないのだが

    マーラーは指揮者としてビゼーをよく知っていて
    ビゼーのアダージェットがあまりに美しいので
    このアダージェットを作曲したようです。
    今日はドイツ音楽だけだったので
    これからフランス音楽を演奏します。

    ・・・というような内容(天井桟敷で聞こえた部分のみ)らしい。

    マーラーがビゼーのアダージェットに触発されて
    アダージェットを作曲した、というのは初耳だし
    これは例証が必要なので、事実かどうかは不明だが

    ビゼーのアルルの女からのアダージェット。
    うわああああ、これも美しい。
    確かに、こうやって続けて聴くと
    この2つのアダージェット、似たところがあるかもしれない。

    いや〜、何だか名曲アワーで
    ここまで感激しちゃって良いんだろうか。

    しかし指揮者って一般的に、すごい語学力だなぁ。
    ほとんどの指揮者ってドイツ語も流暢に話すし
    まぁ、職業柄、そういうものなのかもしれないが。

    いや、言語能力に関しては
    日本人の場合は、日本語に英語、プラス、もう1ヶ国語くらいで
    少なくとも私はギリギリなのだが
    大学生や大学の講師クラスでも
    ドイツ語・英語・ラテン語・フランス語・イタリア語程度は
    普通に出来て当然、みたいな感じだしなぁ(遠い目)

    コンツェルトハウスの前に停まっていたトラックだが
    有名オーケストラだと、自分たちの専用の楽器トラックを持っていて
    オーケストラのロゴがど〜んと入っているケースが多いのだが

    このオーケストラのトラックには
    大きく DHL ドイツ郵便局 と描いてあって

    ちょっと微笑ましい気分になった私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


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      • 2019.06.18 Tuesday
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