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国立バレエ「シルヴィア」5回目

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    Wiener Staatsballett/Wiener Staatsoper 2018年11月28日 19時30分〜22時

    SYLVIA
    Ballett in drei Akten
    振付 Manuel Legris nach Louis Mérante u.a.
    ドラマツルギー・リブレット Manuel Legris, Jean-François Vazelle
    nach Jules Barbier und Baron Jacques de Reinach
    音楽 Léo Delibes
    舞台・衣装 Luisa Spinatelli
    照明 Jacques Giovanangeli
    指揮 Kevin Rhodes

    シルヴィア Kiyoka Hashimoto
    アミンタ Masayu Kimoto
    オリオン Robert Gabdullin
    エロス Richard Szabó
    ダイアナ Madison Young
    エンデュミオン Zsolt Török
    妖精 Scott McKenzie
    ナイアド Rikako Shibamoto
    2人の狩人 Ioanna Avraam, Alice Firenze
    農民の娘 Anita Manolova
    農民 Arne Vandervelde
    羊飼い Nicola Barbarossa
    ヌビアの奴隷 Natalya Butchko, Sveva Garguilo

    サターンたち Marcin Dempc, Marian Furnica, Hanno Opperman, Gaetano Signorelli
    樹の精 Nicola Barbarossa, Andrés Garcia Torres, Trevor Hayden, Géraud Wielick
    ドリアード Natalya Butchko, Sveva Gargiulo, Fiona McGee, Isabella Lucia Severi
    ナイアド Elena Bottaro*, Eszter Ledán, Anita Manolova, Xi Qu
    狩人 Elena Bottaro, Venessza Csonka, Gala Jovanovic, Oxana Kiyanenko
    Zsófia Laczkó, Eszter Ledán, Katharina Miffek, Suzan Opperman*, Xi Qu,
    Alaia Rogers-Maman, Iulia Tcaciuc, Chiara Uderzo
    ウエスタの乙女 Marie Breuilles, Laura Cislaghi*, Alene Klochkova, Flavia Soares
    農民の娘たち Emilia Baranowicz, Natalya Butschko, Fiona McGee,
    Joana Reinprecht, Isabella Lucia Severi, Oksana Timoshenko,
    Céline Janou Weder, Beata Wiedner
    農民たち Giovanni Cusin, Marat Davletshin, Trevor Hayden, Igor Milos,
    Kamil Pavelka, Tristan Ridel, James Stephens, Navrin Tunbull
    ヌビアの奴隷たち Suzan Opperman, Xi Qu, Alaia Rogers-Maman,
    Rikako Shibamoto, Chiara Uderzo, Céline Janou Weder

    Wiener Staatsballett
    Jugendkompanie der Ballettschule der Wiener Staatsoper
    Orchester der Wiener Staatsoper

    同じキャストの11月24日の公演は観られなかったのが残念だが
    橋本清香ちゃんと木本全優クンのリアルご夫婦のカップリングに
    リッチーがエロス神、ダイアナにマディソン、妖精の親玉にスコット。

    最初のシーンはマディソンとエンドュミオンのゾルト。
    いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!
    マディソンが美しい。
    美しすぎる!!!!

    衣装も似合うし、実にキュートでありながら
    その威厳は失わず
    ゾルトとのパ・ド・ドゥでも演技は疎かにせず
    体幹がしっかりしていて
    手足がのびのびと優雅に動き

    もう、そこだけ空間が違うというか
    1シーンごとに、バロック絵画を見ているような

    いや、バロック絵画じゃないな。

    ヴェネツィアの美人画
    ティツィアンの初期作品
    ジョルジョーネの女性の肖像
    ティントレットのスザンナの水浴(これ好きなんです)
    ヴェロネーゼのルチアとか

    そこらへんの、艶々の色っぽい美人画が
    そのまま舞台に出現している。

    何だったらクリムトのサロメでも構いませんが(笑)
    ベルベデーレにあるサロメはタッチがちょっと柔らか過ぎるから
    クリムトなら初期作品で
    美術史美術館の中の壁画か
    ブルク劇場のロビー天井画のイメージを思い浮かべて下さい。

    うおおおおお・・・
    いや、ケティだって良かったですよ?
    でも、鉄壁の処女の初々しさというか神々しさというか
    ケティだとどう見てもお姉さんか
    ハイスクールのハイミス女性教師(←流行遅れのバロック的表現)に見える。

    マディソンは、まさに絵画的神話の世界そのままなのである(断言)
    いやもう、あまりのキュートさ、美しさ、神々しさに目が眩んだ。

    ナターシャだってキュートだが
    あの子は小悪魔的な、自分で自分の魅力は知ってるもんね、という
    時々ドヤ顏(それでもキュートだから許す)だが
    マディソンはドヤ顏にならなくて
    憂いに満ちた美人で、足さばきも実に美しく
    あああ、もう、あのダイアナ見ただけで満足で天国の気分。

    第一幕のナイアドは梨花子ちゃん。
    ポードブラが柔らかで美しく、見栄えがする。
    とてもキュートでチャーミング。
    もともと「可愛い系」の顔立ちで
    ちょっとアイドルみたいな印象を与えるけれど
    スコットの妖精との絡みも、とても可愛らしい ♡

    スコットなんだけど
    妖精の親玉のメイクは、顏に黒の線をバリバリ書くので
    いつもの童顔の可愛いフェイスは見えない代わりに

    踊りが大きい!!!!

    いや、ビックリした。
    スコットって小柄なダンサーだから
    ソロの多い妖精の親玉だと映えないんじゃないだろうかと思ったら
    とんでもない。
    小柄な体で自由自在に動き回り
    しかもジャンプの着地のキメがばっちりで
    身体の安定感が半端じゃない。
    ・・・いつの間に、こんなに巧くなったの、このダンサー。

    清香ちゃんのシルヴィア
    技術的には完璧で、非の打ち所がない。
    美人だしスタイル抜群だし
    技術完璧で、身体のラインが美しい。

    ・・・で惜しむらくは完璧すぎて「個性」が出ない。
    ほら、ブスってそれなりに目立つけれど
    本当の美人って、あまりに全体のバランスが取れすぎていて
    全然目立たない事ってあるじゃないですか。

    それはそれで持ち味ではあるのだけれど
    アーティストとして見た場合
    あまりに完璧過ぎるのも、問題なのかなぁ・・・と
    つくづく考えてしまう。
    あまりにお人形さんみたいで作り物めいてしまうのだ。
    これはもう、アーティストの持っている個性が
    そういうモノである、という事しか出来ないので
    本人の演技力や能力や努力の問題ではない。

    う〜ん、みんなから羨ましがられるようなスタイルや顔立ちと
    才能もあって、いや、それだからこその印象なんだろうなぁ。

    木本クンは、素朴な羊飼いの役はとても合っている。
    いつもながらの優雅なダンスで
    この人も完璧にパをこなすし
    スタイルのバランスが抜群で、実に美しい。

    今回はオリオン役がローベルトで
    ローベルトも優雅な王子さまタイプなので
    ちょっとアミンタとオリオンのキャラが被った感じ。

    オリオンのローベルトは、ともかく上品なオリオンで
    ワイルドさがなくて(それも持ち味)
    いつもローベルトのこのダンス見るたびに
    マノンのデグリューを連想してしまうのはいったい何故なんだろう。
    (ワイルドというより、徹底的にM系で
     女王さまに跪いて、ひたすら愛を乞う、というダンスに見える)

    清香ちゃんと木本クンのパ・ド・ドゥは
    見事にぴったり息があって
    さすがにプリンシパル同士だなぁ、とうっとりした。
    (というより、この2人、どちらかがミスしたりしたら
     その後の家庭争議に発展してしまうような気がするので
     そりゃお互いに気が抜けないでしょう(笑))

    リッチーのエロス神は・・・・
    う〜ん (・・;)
    これはちょっとミスキャストかも。

    リッチーの身体は小柄だが均整が取れていて非常に美しい。
    演技もできるしダンスも巧いベテランのダンサーなのだが
    ダンスが、あまりにキレが良過ぎるのである。

    優雅なダンスの木本クンとローベルトの間に入ると
    リッチーのダンスのキレの良さがますます目立つので
    例えば、妖精の親玉とか
    ちょこまか動く手下のコミカルな役だったら違和感はないのだが

    どうしても神さまには見えない。
    オーラがない、と言ったら失礼なんだけど
    リッチーって巧いくせに、なんだか地味、というダンサーで
    しかも動きの速度が早い(だからキレが良い)ので
    エロス神の堂々たる威厳がないのである。
    手下の天使が神さまに化けて出てきちゃいました、とか
    パロディっぽく見えてしまうので・・・ごめんねリッチー。

    今回のキャストで、ともかく最も光っていたのは
    間違いなくマディソンである。
    輝くようなオーラを撒き散らかして
    処女なのに女神で堂々としていて
    ギリシア神話の世界を、そのまま異次元で舞台上に出した。

    他のシーンは
    はっきり言って、神話の世界でもなければ
    別次元の話でもなくて
    善かれ悪しかれ、日常次元を越えるものではなかったと思う。
    (私の友人が見事な読み替えを行なったのだが
     ここに書けないのが残念(笑))

    ダンサーの持ち味によって
    様々に解釈を変えられる演目って好きだなぁ。
    シルヴィアは今年はこれにて終演。
    次の公演は来年1月。

    12月にはペールギュントの再演があり
    その後はくるみ割り人形が続く。
    多少コンサートと重なってしまう日はあるのだが
    それでも頑張ってバレエに通うぞ、という
    思い込んだら一筋の私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



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