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ジョセ・モンタルヴォ カルメン(ス)

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    Festspielhaus St. Pölten 2018年10月13日 19時30分〜20時50分

    José Montalvo
    Carmen(s)

    振付・舞台・ビデオ José Montalvo
    振付アシスタント Joëlle Iffrig
    フラメンコ振付アシスタント Fran Espinosa
    音楽 George Bizet
    ライブ音楽 Ji-eun Park, Kee-ryang Park, Saeid Shanbehzadeh
    衣装 Sheida Bozorgmehr
    照明・舞台 Vincent Paoli
    音響 Pipo Gomes
    ビデオ Sylvain Decay, Franck Lacourt, Clio Gavagnie
    Michel Jaen Montalvo
    ダンサー Karim Ahansal (Pépito), Rachid Aziki (ZK Flash), Eléonore Dugué,
    Serge Dupont Tsakap, Samuel Florimond (Magnum), Elisabeth Gahl,
    Rocío Garcia, Florent Gosserez (Acrow), Rosa Herrador, Chika Nakayama,
    Ji-eun Park, Kee-ryang Park, Lidia Reyes, Beatriz Santiago,
    Saeid Shanbehzadeh, Denis Sithadé Ros (Shitha)

    ダンス関係のニッチな演目を
    高い水準で提供してくれるサンクト・ペルテン州立祝祭劇場。
    今回はジョゼ・モンタルヴォの「カルメン(複数形)」

    この劇場のダンス公演
    何回分かをまとめて買うと(かなり)お得になるので
    ほとんどのダンス公演を買ってから
    後で内容をチェックしたりしているので (^^;;

    ジョゼ・モンタルヴォって、何か記憶にあるなぁ、と思って
    調べてみたら、ちゃんと2016年11月26日に行ってるわ。
    (忘れた方は こちら をどうぞ。)

    今回は、公演前、18時30分から
    モンタルヴォ自身が出てくる「踊る解説」があるとのメールが来たので
    宿題ほったらかして車を飛ばしてサンクト・ペルテンへ。

    小ホールから人が溢れていて、何人かは戻って来ているみたいなんだけど
    え〜、そんなに沢山の人が来ているわけ?と思って
    入り口が溢れかえっているホールに入ったら

    椅子は壁際にあるだけで、真ん中が空いて
    ダンス・スペースになっている。
    (そりゃ、人がはみ出す訳だ・・・)

    簡単なカルメンの解説があってから
    モンタルヴォ登場。

    ううううう、私好みのメガネ男子 ♡
    顔は丸顔じゃなくて、ちょっと長いが
    モダン・ダンサーらしいバランスの取れた体躯で
    立っているだけで、とても雰囲気がある。

    あの雰囲気をどう表したら良いんだろう。
    クラシック・ダンサーの冷たさではなくて
    何とも親しみやすい
    どこかの学校の優しい校長先生っぽい感じ?

    で、この振付師、話し出したら止まらないタイプ(爆笑)
    フランス語なので、通訳が付くのだが
    通訳に時間を与えず、どんどん喋って行くので
    通訳さんがタイヘンな事になっている(わはははは)

    まぁ、詳しい事は省略するが
    観ているだけのつもりが
    結局は最後に踊る羽目になった。
    しかし、サンクト・ペルテンのダンス公演に来る人たちって
    もちろん少しは平均年齢が低いとは言っても
    特に年配の女性たちが、異様に元気だなぁ(感心・・・)

    さて、ジョゼ・モンタルヴォの公演のタイトルは
    カルメン(ス)・・・複数形である。

    解説で劇場の担当者が話した通り
    今回のカルメンは死なない(笑)
    ホセもエスカミーリオも雄牛も死なない(笑)

    カルメンのストーリーを背景にはしているけれど
    テーマとしては
    「みんなの中のカルメン」

    フラメンコ・ダンサーとクラシック・ダンサー
    男性ダンサーはパントマイム系の人から
    ブレイク・ダンス系やヒップホップの人まで
    ほとんどアクロバット。

    ホセとエスカミーリオの話も途中で言及されるけれど
    (で、カルメンをエスカミーリオが誘惑する場面が爆笑モノだった)
    フラメンコとクラシックを取り混ぜて
    女性ダンサーが、カルメン的なものを
    様々な表現で舞台に出していって

    そこにホセとエスカミーリオが
    時にはストーリー的に
    あるいは抽象的に出現する、と言えば良いんだろうか。

    かなり抽象的表現も多かったし
    途中で仏教的な鐘まで出て来て
    あ、もちろんオリジナルのカスタネットも出て来たが
    金属製で、金属の音がして、非常に興味深い効果。

    後ろのビデオも工夫がされていて
    いや、ビデオ投影って、昨今、結構使われているから
    また独りよがりのプロダクションかと思いきや

    そうだ、ジョゼ・モンタルヴォって
    絶対に独りよがりの作品を作らない人だったんだ。

    観客が居て、観客とのコミュニケーションも作品の一部。
    如何に、受容側を作品に取り込んでしまって
    受動的だけではなく能動的に楽しませるか、という事が
    いつも念頭にあるのだろう。
    (だから作品解説の時間に、観客と踊っちゃったりするのである。
     親しみ易い印象を残すのは、それが原因か・・・)

    ビデオに雄牛が出てくるのだが
    女性ダンサーが呼んでいるのに雄牛が退場してしまい(ビデオです)
    女性ダンサーが観客に呼び掛けて
    観客一同、揃って雄牛を呼び戻す、なんていうシーンも。

    ホセとエスカミーリオの喧嘩がまた爆笑もので
    まずは普通に二人で喧嘩(もちろんダンスです)

    次に「ではダンスで・・・」と
    同じ振付を、2人離れたところでやるのだが
    ぐんずほぐれつの上になり下になりのシーンを
    2人別れてやったらどうなるか、想像してみて下さい(あ〜、笑える)

    カルメンとミカエラの喧嘩シーンは
    ビデオで喧嘩して
    そこにダンサーが声と手打ち(平手打ちの音がする)で参加。
    ビデオと振りが呼応して、かなりリアルな感じになった。

    ダンサーが、それぞれ、カルメンをどう思うか、という
    インタビューに答えて
    そのビデオと同時に、舞台で踊るシーンも。

    ただのエンターテイメントのダンスとして観ても
    バリエーションが多く、動きが鮮やかで
    フラメンコにクラシックにヒップホップが
    同じ床で繰り広げられていても、全く違和感がない。

    それどころか、様々なダンス形式が
    それぞれにお互いを補って
    バリエーションの豊かさ(しかも統一感あり)に圧倒される。

    「カルメン」に象徴されるメンタリティは数多くあるだろうが
    ダンサーたちのインタビューでは
    やはり「自由」が強調されていた。

    自分のセクシャリティに対して自由でありたい
    社会の規範に縛られず、自由を制限されるくらいなら殺されたい
    ・・・そういうところが芸術家としてのダンサーには魅力らしい。

    あ〜、う〜ん・・・(悩)
    「自由」という概念は、かなり難しいのでは・・・

    「カルメン」については
    1学期目の講義で、オペラについて集中的に取り上げた教授がいて
    ビゼーのオペラとその成立、含まれるモチーフと
    その後のカルメンの受容史については学ぶ機会があったけれど

    実は「カルメン」について
    最も挑発的な発言をしたのは
    1年前の私の声楽の先生(女性)で

    カルメンの育った環境を考えてみて。
    子供の頃から虐待されて
    美しいという事を理由に
    何回レイプされたと思う?

    この視点、今まで確かに誰も言及しなかった事が不思議。
    自分の美しさを鼻にかけて
    男性を翻弄するカルメン、というイメージが強いけれど
    カルメンの子供時代って、我々が想像する悲惨さを
    遥かに越えた陰惨さだっただろう。

    強い女性、とか、自分の意志を貫く女性とか
    男性を自分のために利用する女性として
    本能のままに生きて
    自分のセクシャリティも本能に従って解放し
    自由を愛したカルメン・・・という美しい解釈は
    それを考えると、かなり理想論だなぁ、と、つくづく思う。

    カルチャー・スタディ的に研究するのであれば
    また別の視点が必要だし
    自由という概念からアプローチするのなら
    社会学的・歴史学的観点から
    人間の権利に至る法律概念まで包括しなければならないだろうし
    あ〜、もう、毒されているから
    自分でもワケがわからん。

    モンタルヴォのこの作品の中心にあるのは
    「みんなの中のカルメン」で
    振付師やダンサーや
    あるいは来ている観客たちが
    自分の中のカルメンを発見しよう、という意図だと思うのだが

    この問題、考えれば考える程、複雑になって来るので
    そんなに簡単に「結論」として出してはいけない、と
    自分の中でガンガン警告を鳴らしている理性を横に蹴っ飛ばして

    ともかく、モンタルヴォが振付師として
    ダンサーと共に、カルメン像を
    今までと違う視点から観客に提示した
    というところだけ理解した・・・事にしよう、うん。

    ウィーンではワールド・バレエ・ガラがあって
    世界中からクラシック・ダンサーが集まって
    パーフォーマンスしていたらしい。
    けれどシーズン前に、サンクト・ペルテンでの
    ダンス公演のチケット、まとめて買っちゃったから・・・

    それでも、この公演、観て良かったのは確かなので
    ダンスを楽しみながらも
    考える機会を与えてくれた関係者全員に感謝したい気分の私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


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      • 2019.11.20 Wednesday
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