<< ベルリン 8月13日〜16日 | main | NDRエルプフィルハーモニー + ウルバンスキ >>

トーンキュンストラー + 佐渡裕/齋藤有香理

0
    Schloss Grafenegg Wolkenturm 2018年8月17日 19時30分〜21時

    Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
    ソプラノ Anna Samuil
    テノール Christian Elsner
    バリトン Lucas Meachem
    少年合唱 Wiener Sängerknaben
    コーラス Wiener Singverein
    指揮 Yutaka Sado
    指揮 Yukari Saito

    Benjamin Britten (1913-1976)
    „War Requiem“ für Sopran, Tenor, Bariton, Chor, Knabenchor,
    Ensemble und Orchester op. 66 (1961/62)

    2018年グラーフェネック・フェスティバルのオープニングは
    ブリテンの戦争レクイエム。

    コンサート前の18時からライトシューレで
    シューベルトの弦楽五重奏(D956) 2. Satz Adagio を
    Atalante Quartett が演奏し
    ブッフビンダーの挨拶
    低地オーストリア州州知事のミクル・ライトナーのスピーチ
    俳優のヨゼフ・ローレンツがウィルフレッド・オーエンの詩をドイツ語で朗読
    その後、フランツ・フラニツキー、アンドレアス・コール
    メルセデス・エッヘラーとマルレーネ・ストレールヴィッツでの
    公開討論会という催物。

    2018年は、第一次世界大戦終焉の1918年と
    オーストリアがドイツ・ナチスに併合された1938年の記念の年だから。

    ブッフビンダーが
    音楽家として、平和のために何ができるか
    音楽は感情と知識で演奏するものであって
    感情だけでは良い音楽にならない
    と、淡々と語ったのが非常に印象的。

    フランツ・フラニツキーは1986年から1997年まで
    オーストリア連邦の首相で、社会党の党首だった事もある。
    私の記憶には非常に強く残っている人で
    オーストリア自由党との確執や
    ベルリンの壁崩壊後のオーストリアの舵取りを見事にした政治家だった。

    アンドレアス・コールも国民党の政治家として長く活躍した人。
    エッヘラーは緑の党でヨーロッパ議会議員の過去を持つ女優さんで
    ストレールヴィッツはフェミニストの立場で著作や映画監督として活躍。

    それぞれに、色々な立場の意見を述べて面白かったのだが
    オーストリアの政治家として初めて
    オーストリアのナチスだった過去と向き合わねばならない旨の発言をした
    フラニツキーが、1918年から1938年までの間のオーストリアについて
    あまりの経済的困窮状態で、1938年のナチスの併合を歓迎する他に
    オーストリアが当時取る道はなかっただろう、と発言したのが印象的。

    同時にエッヘラーからは
    1920年代の女性事業家が書いた本の一部が提示された。
    経済的な困窮は、何かが間違っているのではないか、という
    非常に聡明な勇気のある発言を興味深く聞いた。

    本当の討論になるためには
    あまりに時間が足りなくて、かなり残念。

    その後、本コンサートはブリテンの「戦争レクイエム」

    実は、こういう作品があるのは知っていたのだが
    ちょっと注意深く避けてまして(ごめんなさい)
    まずは宗教曲だし
    しかもレクイエムだし
    (私はヴェルディのレクイエムがむちゃくちゃ苦手なのである)
    その上、かなり長い曲で
    比較的苦手なブリテンという
    聴いておきたい、とか言う気が一切なかったんです(恥)

    舞台一杯に詰め込まれた大編成オーケストラ
    その後ろには100人以上のコーラス
    下手(しもて)には、アンサンブル
    そして、舞台下手(しもて)の観客席の横のところに
    ウィーン少年合唱団。

    手元のテキストが見えるように、という配慮か
    今回は客席も比較的明るくなっている。

    で・・・ちょっと思いがけなく感動してしまった。

    大編成オーケストラは佐渡さんが指揮して
    アンサンブルは齋藤有香理が指揮。
    ウィーン少年合唱団のところには、別の指揮者が立つ。

    齋藤有香理の指揮姿が美しい。
    キビキビした動きで優雅で明確。
    今回はアンサンブルだが
    大編成オーケストラやウィーン少年合唱団との兼ね合い
    アンサンブルで歌うバリトンとテノールとのバランスと絡みなど
    見事に決めていて
    これは、すごい指揮者が出て来たものだ。

    ほとんど3箇所に分かれていて
    しかもウィーン少年合唱団とは、かなりの距離があるので
    指揮者同士の連携が巧く行かないとずれる可能性が大きいのだが
    これが巧くハマっていて
    あの長大な曲を最初から最後まで緊張感を持って聴かせたのは素晴らしい。

    テノールは途中、ちょっと調子を崩したけれど
    最後の、ほとんどアカペラのソロの時
    上からヘリコプターの爆音が聞こえたのをものともせずに
    正確な音程で歌ったのは・・・・うわああ、やっぱりプロってすごい。

    バリトンが素晴らしかった。
    英語のテキストのクリアさもさることながら
    透明な美声で音楽の表情を
    感情に溺れることなく歌って、ちょっと唸ったわ、私。

    ウィーン楽友協会合唱団、今回は大人数で舞台に乗ったが
    もともと巧いコーラスなのだが
    今回も素晴らしい。
    オーケストラに埋もれる事なく
    ニュアンスを見事に出して
    コーラスがこの曲を引っ張っていったような印象まで与える。

    ブリテンらしい抑制の効いた音楽だが
    音楽のニュアンスの多様さに圧倒される。

    何となくエルガーのゲロンティアスの夢と雰囲気が似ていて
    この上なくドラマチックなのに
    レクイエムらしい慎ましさと敬虔さに満ち溢れていて

    ・・・ちょっと涙出てきちゃった。

    中に挟まるオーエンの詩が、これまた感動的、というより
    考えさせられる内容が文学的に詰まっていて
    特にオフェトリウムでのアブラハムの詩は
    心をぐっさり刺す。

    第一次大戦末期1918年に25歳の若さで
    終戦の7日前に戦死したオーエンの
    実体験に基づいた詩が
    ブリテンのこの上なく繊細な音楽と一緒に歌われると
    ヘンに感情的な叫びにならないだけに
    ひときわ心を打つ。

    喰わず嫌いしていてごめんなさい、と
    本気で反省して
    また機会があれば、ぜひ聴きたいと切望している私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    スポンサーサイト

    0
      • 2019.09.15 Sunday
      • -
      • 23:30
      • -
      • -
      • by スポンサードリンク

      calendar
      1234567
      891011121314
      15161718192021
      22232425262728
      2930     
      << September 2019 >>
      PR
      ★コンタクト・メイル★
      メイルはこちらへ
      ブログランキングに1クリックお願いします
      selected entries
      categories
      archives
      recent comment
      recommend
      links
      profile
      search this site.
      others
      mobile
      qrcode
      powered
      無料ブログ作成サービス JUGEM