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バーミンガム市民交響楽団 + ミルガ・グラジニーテ=ティーラ

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    Musikverein Großer Saal 2018年4月4日 19時30分〜21時40分

    City of Birmingham Symphony Orchestra
    指揮 Mirga Gražinytė-Tyla
    ピアノ Rudolf Buchbinder

    Richard Wagner (1813-1883)
     Vorspiel zur Oper „Tristan und Isolde“

    Robert Schumann (1810-1856)
     Konzert für Klavier und Orchester a-Moll, op. 54

    Raminta Šerkšnytė (*1975)
     „Fires“ für Orchester

    Ludwig van Beethoven (1770-1827)
     Symphonie Nr. 5 c-Moll, op. 67

    バーミンガム市民交響楽団の音楽監督の
    ミルガ・グラジニーテ=ティーラは
    2012年にザルツブルク音楽祭の指揮者コンクールで優勝している。
    (2010年はアクハムで、2015年はロレンツォ・ヴィオティ。
     この2人は何回か指揮台で見た事がある)

    最近、女性指揮者に注目しているワタシ。
    だって、まだまだ昔ながらの偏見の多い社会に
    切り込んでいく女性たちって
    そこらの男性より、ずっと優秀・・・だと思う。

    プログラムは伝統的と言えばあまりに伝統的な名曲に加えて
    同じくリトアニアの現代作曲家 Raminta Šerkšnytė が
    バイエルン放送交響楽団の委嘱作品として作曲し
    2012年にミュンヒェンでマリス・ヤンソンスが初演した曲を持って来た。

    最初のトリスタンとイゾルデ。
    指揮姿を見ようとしたら
    前の人が身を乗り出して、何にも見えない(ちっ (ーー;))
    スカートじゃなくてズボン着用だけど
    上着はピンク系のポンチョの半袖で
    長く美しい腕がよく動いているようだ。
    (途中で見るのは諦めた)

    オーケストラのバランスが良い。
    伝統的と言えば伝統的で
    やっぱりワーグナーって
    感情に直に触れてくる、正に映画音楽だよねぇ。

    シューマンのピアノ協奏曲はブッフビンダーがソリスト。
    これはオーケストラ+指揮者は
    大御所のブッフビンダーに合わせるしかないでしょう(笑)

    淡々と叙情的に、まさにこれぞシューマンという感じ。
    最初、ちょっと調子悪いかな?というのはあったけれど
    第3楽章の軽やかさは素晴らしかった。

    シューマンのこのピアノ協奏曲
    実は第2楽章の出だしがむちゃくちゃ好き ♡

    なんか、このフレーズって
    キュートな子供が、自分の好きなものを持って
    私のところに喜び一杯に駆けて来て
    ほら、見て、見て
    ・・・・・って言われているような感じ。
    (バレエだとナターシャのイメージにぴったり(笑))

    まぁ、それはともかく
    幕間の後の Ramina Šerkšnytė の Fire という曲は
    ベートーベンの交響曲5番を意識して作曲されたとか。

    最初の Misterioso の部分は
    リゲティとスペクトル楽派とストラヴィンスキーを混ぜたような感じ。
    音響が多彩で、多重的で
    しかも音響空間の使い方が抜群に巧い。

    あんなに空間を利用した作品って
    コンピュータ作品(マイクが20箇所くらいある奴)くらいしか知らないぞ。

    ともかく曲が立体的でビックリする。
    しかも使っている手法は
    我々がよく知っているリゲティやスペクトル楽派だし
    トナールが適度に入っていて
    そこに不自然にならない程度のマイクロトナール。
    違和感がなくて、ものすごく耳に馴染む。

    後半の Con brio になるとリズミックな要素が前面に出て来て
    これも、ものすごく面白い。

    録音あったら欲しいくらいだが
    しかし、これだけ立体感のある曲は
    録音にすると平面的になっちゃうかもしれないなぁ・・・

    作曲家も会場に来ていて
    盛大な拍手を浴びていた。
    (現代作曲家でのこの喝采は珍しい)

    続いてのベートーベンの交響曲5番には

    度肝を抜かれた!!!!!!

    ええええええええっ!!!!
    これ、ありですかっ!!!!!!!

    こういう手垢のついた名曲は
    普通に演奏しても、誰も感心しないので(笑)
    色々な指揮者とオーケストラが
    色々と仕掛けをして来るのはよくわかるけれど

    最初からものすごい超スピードで
    フェルマータ完全無視。
    更に、その後の19小節目からの3小節を
    ・・・えっ?アッチェルランドしてる??? (O_O)

    帰宅してからベーレンライターのスコアを見てみたら
    ベートーベンは1817年に二分音符=108のメトロノーム表示をしている
    との但し書きがあって

    いや、二分音符=108は絶対に無理だろうが
    四分音符=108くらいの速さで演奏してるよ、このオーケストラ。

    で、もっと面白いのが
    普通はこの曲、最初のモチーフの タタタ・ターン というのが
    繰り返し現われてテーマとして処理されている・・・と
    少なくとも小学校だか中学校だかで習うのだが
    ミルガ・グラジニーテ=ティーラは
    このタタタ・ターンを中心に持って来ないのである。

    木管に時々現れるメロディ・ラインを全面的に強調して
    (普通はタタタ・ターンに気を取られて聴衆は聴いていない)
    その上に耳にもつかぬ速さで演奏されるタタタ・ターン。

    木管のメロディ・ラインが
    太い電線のように曲に通っていて
    その上を、タタタ・ターンという
    小さな閃光を伴う爆発が(小だったり大だったり)続いている感じ。

    だから聴いていると、かなり不安定である。
    アンサンブルは揃っているのだろうが
    多少とっちらかった感じで
    普段のベートーベンに見えて(聴こえて)来る
    曲の構築が見えて来ない(メロディ・ラインがメインだから)
    よって、音響そのものも、整理がついていない感じで
    バランスが悪く、音の粗い印象が目立って透明感がない。

    ・・・というより、これ、そういうのが
    指揮者の意図なのかもしれない。

    この第1楽章で度肝を抜かれてしまい
    第2楽章以降の印象が残ってない(こらっ!)

    全曲を通じて扱われるタタタ・ターンが
    曲の後ろにこっそり隠れて
    (時々、俺、ここに居るぞ!と顔を出す)
    普段、後ろに引っ込んでいるメロディが前に出てきた感じ。

    奇妙なベートーベンは数多く聴いて来たけれど
    ミルガ・グラジニーテ=ティーラのこのベートーベン
    今までの奇妙さの中でも、1、2を争うんじゃないかなぁ。

    古典曲の解釈って
    昨今、いったいどこまで行ってしまうんだろう???

    良い悪いというのはカント的に言えば好みの問題なので
    これを好きというか嫌いと言うか、人によって極端に分かれそう。
    ワタクシ的には、もう1回くらい聴いてみたいな、と思わせる。
    まだ消化できていない感じがするのだが
    あれを消化しちゃったら
    人生観が変わるような気がしないでもない。

    アンコールにこれまたものすごく面白い曲を持って来て
    (現代音楽っぽいけど民謡の要素がむちゃ入ってる)
    指揮台の上で、まるで鞠のように跳ねるわ踊るわ
    すごいリズム感の持ち主だわ、この人。

    オーケストラのメンバーを褒め称えるのに
    オーケストラの真ん中に跳ね回って入って
    破顔したくしゃくしゃの笑顔で
    長い腕をリズミカルに振り回すのがチャーミング。

    チャーミングだけじゃ生きて行けない世界で
    これだけの実力があったら
    これから、どんどん出てくるだろう。

    古典曲のこの人の解釈も
    もっと聴いてみたいし
    現代曲の時のオーケストラの扱いが見事だったので
    そういう作品も聴いてみたい、と思わせる
    実力派のチャーミングな指揮者。

    次から次に若い才能が世に出て来て
    まぁ、この人たちが巨匠と呼ばれる歳までは生きていないけれど
    これから、活躍していくに連れ
    どういう音楽的ビックリを提供してくれるのか
    考えるだけでワクワクして来る私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



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      • 2019.11.20 Wednesday
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