Wiener Konzerthaus Großer Saal 2018年2月25日 19時30分〜22時05分
Orchestre de Paris
指揮 Daniel Harding
ビオラ Antoine Tamestit
Jörg Widmann (*1973)
Viola Concerto (2015) (EA)
Gustav Mahler (1860-1911)
Symphonie Nr. 9 (1908/09)
コンツェルトハウスのインターナショナル・オーケストラ・チクルス。
今回はパリ管弦楽団と首席指揮者のダニエル・ハーディングの客演。
ハーディングってかなり以前から、よく登場する指揮者で
1998年からのブログが消えたので記録はないが
ここに引っ越して以降でも、14の記事がある。
10年前は、線の細い、どこにでも居そうなお兄ちゃん
・・・というワタクシ的には地味な立ち位置の指揮者だったが
ちゃんと白い蝶ネクタイに燕尾服で登場(笑 昔は普通の背広にネクタイだった)
ヨルグ・ヴィットマンの作品はオーストリア初演。
この作曲家、何年か前にはグラーフェネックの
コンポーザー・イン・レジデンスもやっていたし
クラリネット繋がりなのか
どのオーケストラでも演奏される事が多くて
最初はあまり好きではなかったのだが
この作曲家、作品ごとに、ガラッと潮流を変えて来る。
悪く取れば
「この作曲家」という個性がない・・・のかもしれないが(笑)
良く解釈するなら、それだけ持っている引き出しが多いのだ。
今回のビオラ協奏曲
まず舞台のオーケストラ編成がヘン。
バイオリンとビオラの数がものすごく少ないのに
コントラバスは8台あるし
舞台上に島のように、あちこちに管が散らばって
チューバに至っては舞台の向こう側のオルガン・バルコンに
1人だけポツッと座っている。
指揮者が登場するけれど
ビオラ奏者は何処に?
と思っていたら、下手(しもて)に隠れて
楽器を叩いたりピチカートしたりのソロ。
ピチカートしながら、舞台をあちこち動いて
島になっている様々な楽器と呼応する。
うわあああ、
アントワン・タメスティって
私の微かな記憶では、ビオラがむちゃくちゃ巧い人なのに
まさか弓を持たずに最初から最後までピチカートじゃないだろうな・・・
あはは、ちゃんと途中から弓が出て来た。あ〜、良かった。
弓を持って、妙なるビオラの音(これが見事!)を響かせながら
やっぱりあちこちに移動して
それぞれの楽器とのアンサンブルを繰り広げる。
ビオラが移動するたびに
音響が少し変わるので面白い。
音の面白さで聴かせてくれる上に
舞台上のビオラ奏者の移動と
それぞれの楽器との呼応で、視覚的にも面白く鑑賞できる。
う〜ん、ヴィットマン、面白いじゃないの。
でも、ホルンの吹き口を叩かせるのは
あまり意味がなさそうだが(わっはっは、視覚的には面白い)
(4人のホルン奏者がマジメな顔して
吹き口のところを手で叩いているけれど
あまり音は聴こえません(笑))
前半約30分の演奏の後
幕間を挟んでマーラーの交響曲9番。
これ、きっとハーディングはやるだろうなぁ、と思ったが
やっぱり、とことんスコアを読み込んで
楽譜上にある、すべてのポリフォニーをクリアに出して来た。
大編成オーケストラなのに
あくまでも室内楽的なアプローチで
複雑な音楽構成を、きっちりと聴衆に提示してくる。
それだけに、こちらに伝わる情報量が半端じゃなくて
普通だったら適当にメロディ・ラインだけを聴いていれば良いのに
これは聴きながら、あっ、これも、あれも、あ〜、こっちも、と
聴こえてくるので
意外に神経を使う・・・というより
ここまでポリフォニーをクリアに聴かせると
マーラーの交響曲9番って
モロに現代音楽じゃないの・・・
美しいはずの第1楽章からポリフォニーの連続。
第2楽章の噛み付くような皮肉も
容赦ない不協和音で
美しいというよりは、もっとずっとモダンな響き。
第3楽章の爆発的なエネルギーも
抑制された透明さのなかで、ばっちり響いてくる。
が、マーラーの交響曲9番の白眉は
最終楽章でしょう(きっぱり)
私はこの最終楽章だけは、スコアを手にする事にしている。
でないと、いつ終わるのか
全くわからなくなって自分が不安なの(すみません)
ただ、スコアを見ていると
あの圧倒的な和声の美しさを
手放しで感情だけで聴くのが出来ないのが残念。
(それでもスコア見ながら時々悶絶していたが)
隣のおばさんの靴が軋むのが、むちゃくちゃ邪魔・・・
(だったら足を動かさなければ良いのに
けっこう煩雑に動かすので、隣からキシキシ音がする(涙))
でも、もう、こういうのは仕方ないの。
年配の多いコンサートながら
最後のスコアの1ページについては
ほとんど咳き込みもなく
隣の靴の軋みだけで、あの長い5分を堪能。
いやああああ、良いわ、良いわ、やっぱり。
恐ろしくエモーションを抑え込んで
冷徹なまでにスコアの音をそのまま提示した感じの
透き通った演奏で
感情に溺れないという意味での
現代音楽的側面がバッチリ出て
なのに、マーラーのこの曲の持つ情緒は
冷徹さの合間からにじみ出てくるようで
あああ、こういう演奏、すごく好き ♡
ここまで徹底的にモダンにやってしまうと
好みは分かれそうだが。
コンサート終わったのが22時過ぎで
マーラーの交響曲9番って、そんなに長かったっけ?
それだけ、時間の経つのがアッという間で
呆気に取られていた私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。
雪はなくて晴天なのだが
その分、最高温度マイナス6℃、最低温度マイナス13℃とか
むちゃくちゃな事になってます(笑)
風さえなければ、寒いのはそんなに苦にならないんですが f^_^;)
Orchestre de Paris
指揮 Daniel Harding
ビオラ Antoine Tamestit
Jörg Widmann (*1973)
Viola Concerto (2015) (EA)
Gustav Mahler (1860-1911)
Symphonie Nr. 9 (1908/09)
コンツェルトハウスのインターナショナル・オーケストラ・チクルス。
今回はパリ管弦楽団と首席指揮者のダニエル・ハーディングの客演。
ハーディングってかなり以前から、よく登場する指揮者で
1998年からのブログが消えたので記録はないが
ここに引っ越して以降でも、14の記事がある。
10年前は、線の細い、どこにでも居そうなお兄ちゃん
・・・というワタクシ的には地味な立ち位置の指揮者だったが
ちゃんと白い蝶ネクタイに燕尾服で登場(笑 昔は普通の背広にネクタイだった)
ヨルグ・ヴィットマンの作品はオーストリア初演。
この作曲家、何年か前にはグラーフェネックの
コンポーザー・イン・レジデンスもやっていたし
クラリネット繋がりなのか
どのオーケストラでも演奏される事が多くて
最初はあまり好きではなかったのだが
この作曲家、作品ごとに、ガラッと潮流を変えて来る。
悪く取れば
「この作曲家」という個性がない・・・のかもしれないが(笑)
良く解釈するなら、それだけ持っている引き出しが多いのだ。
今回のビオラ協奏曲
まず舞台のオーケストラ編成がヘン。
バイオリンとビオラの数がものすごく少ないのに
コントラバスは8台あるし
舞台上に島のように、あちこちに管が散らばって
チューバに至っては舞台の向こう側のオルガン・バルコンに
1人だけポツッと座っている。
指揮者が登場するけれど
ビオラ奏者は何処に?
と思っていたら、下手(しもて)に隠れて
楽器を叩いたりピチカートしたりのソロ。
ピチカートしながら、舞台をあちこち動いて
島になっている様々な楽器と呼応する。
うわあああ、
アントワン・タメスティって
私の微かな記憶では、ビオラがむちゃくちゃ巧い人なのに
まさか弓を持たずに最初から最後までピチカートじゃないだろうな・・・
あはは、ちゃんと途中から弓が出て来た。あ〜、良かった。
弓を持って、妙なるビオラの音(これが見事!)を響かせながら
やっぱりあちこちに移動して
それぞれの楽器とのアンサンブルを繰り広げる。
ビオラが移動するたびに
音響が少し変わるので面白い。
音の面白さで聴かせてくれる上に
舞台上のビオラ奏者の移動と
それぞれの楽器との呼応で、視覚的にも面白く鑑賞できる。
う〜ん、ヴィットマン、面白いじゃないの。
でも、ホルンの吹き口を叩かせるのは
あまり意味がなさそうだが(わっはっは、視覚的には面白い)
(4人のホルン奏者がマジメな顔して
吹き口のところを手で叩いているけれど
あまり音は聴こえません(笑))
前半約30分の演奏の後
幕間を挟んでマーラーの交響曲9番。
これ、きっとハーディングはやるだろうなぁ、と思ったが
やっぱり、とことんスコアを読み込んで
楽譜上にある、すべてのポリフォニーをクリアに出して来た。
大編成オーケストラなのに
あくまでも室内楽的なアプローチで
複雑な音楽構成を、きっちりと聴衆に提示してくる。
それだけに、こちらに伝わる情報量が半端じゃなくて
普通だったら適当にメロディ・ラインだけを聴いていれば良いのに
これは聴きながら、あっ、これも、あれも、あ〜、こっちも、と
聴こえてくるので
意外に神経を使う・・・というより
ここまでポリフォニーをクリアに聴かせると
マーラーの交響曲9番って
モロに現代音楽じゃないの・・・
美しいはずの第1楽章からポリフォニーの連続。
第2楽章の噛み付くような皮肉も
容赦ない不協和音で
美しいというよりは、もっとずっとモダンな響き。
第3楽章の爆発的なエネルギーも
抑制された透明さのなかで、ばっちり響いてくる。
が、マーラーの交響曲9番の白眉は
最終楽章でしょう(きっぱり)
私はこの最終楽章だけは、スコアを手にする事にしている。
でないと、いつ終わるのか
全くわからなくなって自分が不安なの(すみません)
ただ、スコアを見ていると
あの圧倒的な和声の美しさを
手放しで感情だけで聴くのが出来ないのが残念。
(それでもスコア見ながら時々悶絶していたが)
隣のおばさんの靴が軋むのが、むちゃくちゃ邪魔・・・
(だったら足を動かさなければ良いのに
けっこう煩雑に動かすので、隣からキシキシ音がする(涙))
でも、もう、こういうのは仕方ないの。
年配の多いコンサートながら
最後のスコアの1ページについては
ほとんど咳き込みもなく
隣の靴の軋みだけで、あの長い5分を堪能。
いやああああ、良いわ、良いわ、やっぱり。
恐ろしくエモーションを抑え込んで
冷徹なまでにスコアの音をそのまま提示した感じの
透き通った演奏で
感情に溺れないという意味での
現代音楽的側面がバッチリ出て
なのに、マーラーのこの曲の持つ情緒は
冷徹さの合間からにじみ出てくるようで
あああ、こういう演奏、すごく好き ♡
ここまで徹底的にモダンにやってしまうと
好みは分かれそうだが。
コンサート終わったのが22時過ぎで
マーラーの交響曲9番って、そんなに長かったっけ?
それだけ、時間の経つのがアッという間で
呆気に取られていた私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。
雪はなくて晴天なのだが
その分、最高温度マイナス6℃、最低温度マイナス13℃とか
むちゃくちゃな事になってます(笑)
風さえなければ、寒いのはそんなに苦にならないんですが f^_^;)