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トーンキュンストラー + 佐渡裕

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    Schloss Grafenegg 2017年8月26日

    Prélude Schlosshof 16時30分〜17時30分
    テノール Alexander Kaimbacher
    ピアノ Jendrik Springer

    Ernst Krenek (1900-1991)
     “Reisebuch aus den österreichischen Alpen”
     Liederzyklus für mittlere Stimme und Klavier op. 62 (1929)

    Abendkonzert Wolkenturm 19時30分〜21時30分
    Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
    ソプラノ Marlis Petersen
    指揮 Yutaka Sado

    Carl Maria von Weber (1786-1826)
     Ouvertüre zur Oper “Oberon” (1826)
    Alban Berg (1885-1935)
     Sieben frühe Lieder für Gesang und Orchester (1905-08/1928)
      Nacht - Schilflied - Die Nachtigall - Traumgekrönt - Im Zimmer
      - Liebesode - Sommertage
    Richard Strauss (1864-1949)
     “Eine Alpensinfonie” op. 64 (1911-15)

    猛暑が戻って来たとは言え、気温30℃前後で
    湿気が35%を切っていれば
    確かに暑いけれど
    頭を使う仕事とかしていなければ、全然平気だし
    晴れ上がった青空で
    もう、ああああ、ヨーロッパの夏!!!という
    (だいたい夏が短くて暗くて陰鬱な冬が長すぎる)
    野外コンサートにはうってつけの天気。

    で、すみません、本日のコンサートの勝手な印象記だが
    慣例に基づいてタイトルはオーケストラ+指揮者名にしてあるけれど
    メインの記事はプレリュードの方で (^^;;

    佐渡さんとトーンキュンストラーのファンの方は
    前半の3分の2くらいは飛ばして下さい(すみません)

    最近、プレリュードには行っていないのだが
    このプレリュードだけは逃してはならぬ、と固く決心。

    Ernst Krenek という作曲家は
    もともとチェコ系の r の上にハーチェクが付いている名前で
    日本ではクシェーネクとかクジェーネクとかクルシェネクとか読んでいるらしいが
    本人がドイツ語表記のクレネクという発音を使っていたらしい。

    ウィーンに生まれ、最終的にはアメリカ合衆国で活躍して
    それこそ、この時代の音楽様式、全てを使って作品を残した傑物で
    ウィーンの中央墓地の名誉市民のところに眠っている。

    オーストリア・アルプスの旅日記という
    20曲からなるチクルスは
    クレネクが自分で旅行した後、自分でテキストを書いて
    短期間で完成した約1時間の作品。

    様式としては、トナールに戻って(最後のエピローグは12音技法)
    シューベルトへのオマージュ的な要素が強い。

    で、このテキストも大傑作。
    いやもう、皮肉に満ちて、故郷への愛に満ちて
    どこか必ず斜に構えてクリティカルに物事を見ていて

    いや、本当にオーストリア人、特にウィーンの人たちって
    なんでこんなに屈折した愛憎感覚を自分の国に持っているんだろ?

    実はこのチクルス、私がひっくり返ったのは
    フローリアン・ベッシュが歌った時で
    その後、唯一あったツェドニクの歌った CD を入手したものの
    やっぱり、これ、ナマで聴かないと全然その良さがわからない(断言)

    今回はアレキサンダー・カイムバッハーが
    当初の予定だった Peter Sonn の代役で登場したが
    このカイムバッハーというテノール
    私、かなり何回か聴いていて、悪い印象がない、というより結構褒めている。
    (調べてみたらこのサイトに引っ越してからだけで7回)

    演技も完璧に出来るテノールなので
    ドイツ語のテキストは、これ以上ないほどハッキリと
    ディクテーションもイントネーションも完璧。

    表情は豊かだし、大袈裟にならない程度に身体も動くし
    しかも甘い声で、音程も、12音部分含めて安定感があって
    早いパッセージも見事に歌ってくれる。

    リートというよりは
    まるで一幕の演劇を鑑賞したような充実感。

    ・・・ただ、その充実感を無茶苦茶にしてくれたのが

    「鳥の鳴き声」!!!!!

    最初から、何羽もの鳥が
    ライバルが現れたと思ったのか
    お城の中庭の上をグルグル飛び回っては

    ギャー・ギャー・ギャー・ギャー・ギャー

    ・・・と、すごい音量で鳴いている中で

    ドイツ・リートを歌わせるなんて
    グラーフェネックは何を考えてるんだっ!!!!!(超怒)

    いつ鳥が大合唱するか予想がつかないので
    まるで突然鳴り出す携帯電話が30台くらいある会場で
    ドイツ・リートを聴かされる身にもなって欲しい。

    というより、あれは歌手が可哀想だった。
    (あれだけ、しかも音程のある鳥の鳴き声で
     いくらトナールとは言っても近代音楽のリートで
     内容までしっかりと伝えないと意味をなさないものを
     あの鳥の叫び声の真ん中でずっと歌ったのは凄い。
     ・・・途中で確かに「ああああ」という顔はしていたけれど
     それは実はよ〜〜〜くわかる。聴いている方にも拷問だった)

    ・・・あとでグラーフェネックにクレーム入れておこう(本気)

    この作品、音楽も素晴らしいが
    テキスト(やはりクレネクによるもの)が秀抜で感激する。
    ドイツ語の出来る方、ぜひ一度、目を通してみて下さい。
    特にお勧めは8番目の Unser Wein
    オーストリアのワイン産地のお勉強にもなります(ならんわ)
    全テキストは ここ に掲載されています。

    (4番目の Wetter の3行目で納得して苦笑できたら
     あなたもオーストリア人かもしれない・・・嬉しくないが。
     11番は、観光業に携わっていたものにはズキズキきます(笑))

    この皮肉に満ちたテキストに付けられた音楽が
    シューベルトっぽく、ドイツ・リートっぽいのに
    軽かったり、重かったり
    テキストと共に跳ねたり飛んだり
    落ち込んだり酔っ払ったりで
    ドイツ語の完璧なディクテーションに加えて
    それぞれのパッセージのブラック・ジョークを
    巧くプレゼンテーション出来る人が歌うと
    ああああ、これこそがドイツ・リートの楽しみなのよ、と悶えてしまう。

    この鳥の叫び声にずっと邪魔されながらも
    素晴らしい1時間の後は
    夕暮れから夜にかけて野外ホールでトーンキュンストラーのコンサート。

    オベロン序曲は自然の中で演奏されるにはピッタリな曲だし
    ベルクのリートで歌ったマーリス・ペーターソンも
    ドイツ語のディクションが完璧で
    しかも、キュートでチャーミングな声 ♡

    後半のアルプス交響曲は
    野外ホールなので、もう音量の上限なしで
    パーカッションとかが非常に楽しそうだった(笑)

    こういう野外音楽堂なら
    何の抑制もなく、ガンガン、音量マックスで演奏できるし
    その意味では、指揮者もオーケストラも
    実にのびのびと、大自然に囲まれて
    (まぁ、ガルミッシュ・パルテンキルヒェンほどのアルプスはないが
     ここだって見えてる山脈はアルプスのなれの果て(斜面はワイン畑))
    雄大な演奏をエネルギッシュにガンガン聴かせてくれて

    ああ、この演奏、雨天の時のホールでなくて良かった、と
    ホッと胸を撫でおろして幸せな気分になった私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。


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