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マティアス・ヘルム + デュオ・ハザード

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    Gemäldegalerie / Akademie der bildenden Künste Wien
    2017年2月26日 11時〜12時20分

    バリトン Matthias Helm
    ギター Duo Hasard / Stephan Buchegger, Guntram Zauner

    Franz Schubert (1797-1828)
     Die schöne Müllerin D 795 op. 25

    名だたる歌手のコンサートに出掛けている私なので
    このバリトンはいったい誰だ?と思う人もいるだろう。

    オーストリアのバリトンで
    公式ウエブ・サイトは ここ

    ツィッターで私をフォローしている人は
    記憶にあるかもしれないけれど

    ブラームスの「4つの厳粛な歌」を
    現代曲にしてオーケストラにしたという作品を
    ウィーン・フィルが演奏した時に
    オリジナルを Youtube で探していて

    その中で見つけたクリップが
    あまりに巧かったので
    いったいこれ誰?と調べたのが
    この歌手だった。

    よろしければ、私が一発で参った当該の曲をどうぞ ♡



    公式サイトにこのコンサートの告知があったのだが
    会場になる造形美術アカデミーには何も記載がない。
    電話して、このコンサート、あるんですか?と確かめて
    更にメールで1枚チケットを予約した。

    チケット30ユーロというのは
    ワタクシ的には、かなり高い 😓
    でも美術館が会場だし、客席もそんなにないだろうし・・・

    で、いくら Youtube でスゴイとか思っても
    実際に聴いてみたら、声量がないとか
    これだけ歌える人が、中央舞台に飛び出して来ないのには
    何か理由があるかもしれないし。

    こんなプロモーションされていないコンサート
    集まって来るのは関係者ばかりじゃないか、と
    ちょっとドキドキしていたのだが

    会場に到着してみれば
    結構な数の人が来ていて、ほとんど空き席のない状態。
    (とは言え、窓口でダレダレさんがどうのこうのと
     料金払わずにチケットもらった人もいたから
     やっぱり半分以上は関係者だろうという疑惑はある)

    会場は造形美術アカデミー・ギャラリーのイタリア絵画の部屋。
    かなり狭いし、狭いだけに音が響く。
    最初の担当者のスピーチの時に
    うっ、これ、響き過ぎでヤバイかも、という懸念はあった。

    ギター伴奏の「美しき水車小屋の娘」と言えば
    私の世代だと、ペーター・シュライヤーを思い出す。
    楽友協会のブラームス・ホールでナマでも聴いた。
    (確かピアノとチェンバロとギターで
     続けざまにリサイタルした時だ。何年前かは忘れたが)

    今回はギター2本。
    ギターの音量は、こういう小さいホールだとキレイに聴こえる。
    が、やっぱり歌手の声がデカイ。
    響き過ぎるのだが
    だからと言って、声楽で出せる声を抑えるというのは
    大変な腹筋が必要なので(あ、話がズレる・・・)

    時々、音が飛ぶ時の音程が不安定に聴こえて来たり
    ほんの少し、下から上にポルタメントがかかったりするが
    (でもこれ、他の歌手でもよくあるので、そういう曲なのか?)

    ドイツ語は明確に聴こえてくるし
    リート内容の表情も、かなり出ている。

    Am Feierabend の、娘さんの挨拶は
    やっぱりバリトンだとちょっと無理がある(笑)

    音程が本当に不安定なのかは
    Der Jäger を聴けば一発でわかるはず。

    で、その Der Jäger が

    ドラマチック ♡ むちゃくちゃ良いっ!!!

    ナニこの人、凄いじゃないの。
    それ以前は、ちょっとぬるま湯的な緩さがあったのに
    ライバルが出現してからの劇的な変貌と
    その怒りの語り口が実にリアル。

    怒りから悲しみになり
    慟哭から諦観に至る後半の部分が
    切々と心に迫ってくる。

    若かりし頃の私は
    前半の恋にウキウキの方が好きで
    後半はちっ、軟弱者め、とか思っていたのだが
    歳取ると、後半の方が響いてくるのか(いや違うかも)

    嫉妬と怒りの部分の声量は大きいけれど
    そろそろホールの音響に耳慣れもしてくるし

    その後の、声を張り上げない悲しみの部分は
    ギターの音色と相まって
    内省的で親密で、しっとりしていて

    うわああああ、参った、参りました。
    これこそシューベルトだわ。

    ギター伴奏は2本なので
    ピアノ伴奏の取り残しの音符はない。
    ほんの少しの傷はあったけれど
    それは想定内。

    加えてドイツ語が美しい 😍
       ↑これ重要!!!

    ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウで育った私は
    ドイツ・リートの美しさというのは
    80%以上がドイツ語の美しさだと確信しているから
    これだけ美しい明確なドイツ語が聴こえてくると
    それだけでメロメロになる。

    あの Der Jäger にしてからが
    あのテンポの、どう考えても歌手苛めのドイツ語早口言葉を
    目にもつかぬ速さで、しかも一言も疎かにせずに歌い切った 👏

    シューベルト時代のホーム・コンサートというか
    (まぁ、ホーム・コンサートと言い切るには
     バリトンの声量がプロだから(笑))
    良いよね、こういう、何ともファミリー的な雰囲気 ♡

    コンサートの後、アンコール1曲あって
    外でシャンパンやオレンジ・ジュースが用意されていた。

    知り合いとかと行けば
    そこでしっかり料金のモトを取るのだが(こらっ)
    1人でシャンパン飲んでも面白くないし(イジイジ)

    朝8時からのサウナの後だし
    最近また偏頭痛がチラチラ顔を出しているので

    久し振りに造形美術アカデミーの絵画ギャラリーを廻って
    レンブラントにドキドキして
    ボッシュの祭壇画にドキドキして
    入り口のシャンパンが供されている場所に戻ったら

    まだ、ほとんどの人が残っていてシャンパン飲んでる(笑)

    更にチラッと見たら
    ギタリスト2人と歌手も混じってる(笑)

    入場券売り場に CD がある、と言うので買って
    チラッとバリトンと目があったら

    歌手の方から、こんにちは!と声をかけて握手して来た(驚愕)

    な、な、何なんですか、この気取らない雰囲気???
    (どこかのオーケストラが友の会のリハーサル後に
     やっぱりシャンパン供するけど
     私、オーケストラのメンバーに挨拶なんかされた事ないよ?)

    邪推=歌手とギタリストの知り合いばかりなのに
    知り合いではないアジア人の女性が来てるけど、これ誰?

    CD にサインしてもらって
    実はね、Youtube のブラームスで見つけたので
    ・・・と言ったら、うわ〜、そういうプロモーションの効果が
    と歌手自身が驚いていたみたい。

    でも、このマティアス・ヘルム
    またドイツ・リートのリサイタルをやるのなら
    追い掛けてみたい。
    できれば、もう少し広めのホールで
    リートに適した音響のところで。

    まだまだ知られていない
    才能豊かなドイツ・リートの歌い手を発見して
    ちょっと嬉しい私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



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