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カメラータ・ザルツブルク + テオドール・クルレンツィス

Wiener Konzerthaus Großer Saal 2016年10月5日 19時30分〜21時40分

Camerata Salzburg
ピアノ Alexander Melnikov
指揮 Teodor Currentzis

Richard Wagner (1813-1883)
 Siegfried-Idyll (1870)
Ludwig van Beethoven (1770-1827)
 Konzert für Klavier und Orchester Nr. 1 C-Dur op. 15 (1795-98)
Felix Mendelssohn Bartholdy (1809-1847)
 Symphonie Nr. 4 A-Dur op. 90 “Italienische” (1833)

ザルツブルクのカメラータが来るというので
知り合いの絶世の美女がウィーンに来るかと思い
チケットを買ったのに
彼女は降り番で(涙)お目にかかれず一緒に飲めず残念。

プログラムの最初に
突然、指揮者のテオドール・クルレンツィスについての記述。
最もユニークで、最もエキサイティングな指揮者・・・とか書いてある。

しかも、見た目のユニークさに加えて
妥協を許さない、ずば抜けた演奏をして
聴き慣れた曲が、突然、緊張感を持った
全く違った曲に聴こえてくるのをお楽しみ下さいって

コンサート聴いてから
あははは、これ、プログラムの最初に書いておいて
良かったですね(笑)と、つくづく思った。

だって途中で抜ける人、少しだけど居たんだもん。

いや、それもわかる。
だって、本当に本当に本当に
これ、本当にあの曲?という程に

悪く言えば奇を衒う
良く言えば実に新鮮で不思議な演奏だったのだ。

ワタクシ的な好みから言うと
こういう、正統派からかけ離れたところにある演奏は
それが説得力を持って響いてくるかが好みの別れるポイントだが

ある意味、アーノンクールみたいなもので
そうか、この人はこういう演奏したかったんだ
で、それもアリだな・・・と言う
確信犯の説得力は充分にあった。

ジークフリート牧歌はワーグナーだし
今まで聴いて、いつもクソ退屈だったので(すみません)
日頃の睡眠不足を取り返すために寝よう、と思っていたら

ひえええええええっ
これ、ワーグナーの(聴き慣れた)響きと全然違う(汗)

カメラータが小編成の室内オーケストラという事はあるけれど
大規模オーケストラでダラダラ演奏されるのと全く対極的で
室内オーケストラの透明感を活かした上で
更に一部のフレーズでは演奏する楽器の数も絞って

ううう、ワーグナーの音じゃなくて
この極限まで絞ったピアニッシモの透明感は
ドビュッシーだろう・・・みたいな印象。

しかもタメが凄いし、テンポ揺らすし
ゲネラル・パウゼが長いし

こういう演奏、どこかで聴いた事がある、と思ったら
ポゴレリッチの恣意的な演奏と
ちょっと似ている感じがする(偏見です、偏見)

カメラータのメンバーは燕尾服着用で白い蝶ネクタイだが
指揮者は、ストレッチで細い足にピッタリした
黒(かグレーっぽい)のジーンズ着用。

更に上着は、どう見ても幼稚園のスモックを
後ろ前に来ているとしか・・・

袖が膨らんでるし、しかも手首で絞ったその先はフリルだし。

何故か靴だけはエナメルのピカピカ光った黒い靴を着用(笑)
とあるバイオリニストも舞台衣装はユニークだが
この指揮者の舞台衣装のユニークさはその上を行く。

髪型は後ろのうなじの剃り後も瑞々しく
左右非対称のストレート・ヘアが、坊ちゃん顔にかかって

指揮姿は常時、両足を広げてバレエのプリエ。
指揮棒は持たず、指揮台もなく
自在に動き回って的確なキューと
見事なうねりやアクセントを全身のダンスで表現。
(いや、バレエ・ダンサーじゃないんだけど
 でもあの足の細さはバレエやっても映えるかも。
 多少がに股気味だけど(笑)アンドゥオールと思えば)

ワーグナーの後
ベートーベンのピアノ協奏曲第1番。
ピアニストはアレクサンドル・メルニコフ。

ピアノの位置が、普通の協奏曲と違う!!!
指揮者と対向位置にばっちりピアニストが座る形。
古楽のチェンバロの位置だよ、あれは。

で、メルニコフがジッと指揮者を見ながら
演奏している様子は
あああ、もしかしたらこの2人、デキてる(いやいやいやいや)
という妄想が暴走する程、メルニコフの視線が・・・(以下省略)
(註 指揮者は背中からしか見えないので指揮者の視線の方向は不明)

オーケストラがベートーベンの最初の音を出したとたん
あれっ? なにこれ、同じオーケストラ????

だってワーグナーと音が全く違うじゃないか。
ベートーベン的な鋭いアクセントがキレの良い硬質な音で響いて
元気で活き活きしていて
小規模オーケストラというのもあるけれど
割に古楽に近い乾いた音響で
でも、容赦のない大音響で攻めてくる。

うははははは、確かにこれも聴いた事のない響きになってるわ。
この間のウィーン・フィルとブッフビンダーの演奏が
我々聴衆には馴染みの深い正統派の解釈だとすると

こちらはヤンチャ坊主の若いベートーベンが
暴れまくっているような印象がある。

ピアノの面白い位置もあるけれど
更にピアノの蓋が完全に取り去られているので
小規模オーケストラの中から
ピアノの音がクリアに響いてくるのだが

オーケストラとピアノのバランスが絶妙にステキ。
ピアニストが無理やり力一杯に叩いてるという感じはないのに
一つ一つの音が明確に、しかもオーケストラに絡まって
こういう素晴らしいバランスを聴かされると
どんなに目新しい不思議な解釈でも
圧倒的な説得力を持つのだ。

メルニコフのピアノは
自分が自分が、というところがなくて
きちんと自己主張をしながらも
オーケストラという様々な楽器の集合体と
あくまでもアンサンブルとして絡まってくるのが凄い。

ペダルを多用せず
第2楽章の音色など
どちらかと言えば古楽的な柔らかい
モダン・ピアノとは思えないセピア色を出していて実に魅力的。

度肝を抜かれて、あれあれあれと思いつつ終わった前半の後
後半のメンデルスゾーンのイタリア。

オーケストラの音色はベートーベンと良く似ていて
弦はほとんどビブラートを使わず
乾いた感じの樹に近い音色。

大編成オーケストラでビブラート多用のメンデルスゾーンと全く違う。
でも、その古楽器に近い音色で演奏されるイタリア交響曲が
ちゃんと大音響を出しながらも
そこから受け取る透明感が凄い。

テンポは比較的伝統的な設定を使っていて
タメとかほとんどなくて
疾走しつつ
その中で各パートがクッキリと浮かんで来る。

エネルギーの溢れるイタリアだけど
大編成オーケストラほどの広大感にはやはり欠ける。

大編成オーケストラのモダンな我々が聴き慣れたイタリアより
メンデルスゾーン時代の
舗装されていない道路を馬車で走っているようなイメージ。

だから第3楽章の、波の間を船が行き交う様が
現代の客船じゃなくて
昔の帆船が呼応し合っている様子が目に浮かぶ。

最終楽章は超高速ですっ飛ばし
これはちょっと力だけで押し切った印象が強かった。

確かに、いつもの「イタリア」とは全く違うテイスト。
この演奏が CD になったら聴くか、と言われたら
これは録音では正直あまり聴きたくない。
侮辱でも批判でもないのだが
ああいう、古楽器的臨場感のある演奏って
メンデルスゾーン時代と同じように
ナマでしか聴けない、というのが正しいような気がする。

この変わったユニークな指揮者は
来年1月にウィーン交響楽団に登場。
その後、3月と4月には手持ちの MusicAeterna と客演が予定されている。

才能ある若い指揮者は多いけれど
このテオドール・クルレンツィスは
才能というよりは、一種の鬼才だろう。
ともかくユニークな人で
ユニーク過ぎて、まだ消化し切れていないから
来年のコンサートが楽しみ ♡

チケット売り出し初日をカレンダーにメモしている私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。



で、いったいこの指揮者、どういう音楽作り?と興味を持った方のために
ソニーから出ているコパチンスカヤとの視聴版のクリップを貼っておく。



かなり不思議な音だと思う(笑)
サワリだけなのでちょっと残念。

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  • 2017.04.29 Saturday
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