Theater an der Wien 2016年4月21日 19時〜21時30分
CAPRICCIO
Konversationsstück für Musik in einem Aufzug (1942)
Musik von Richard Strauss
Libretto von Stefan Zweig, Joseph Gregor, Richard Strauss,
Clemens Krauss, Hans Swarowsky
指揮 Bertrand de Billy
演出 Tatjana Gürbaca
舞台 Henrik Ahr
衣装Barbara Drosihn
照明 Stefan Bolliger
ドラマツルギー Bettina Auer
伯爵令嬢 Maria Bengtsson
伯爵 Andrè Shuen
フラマン Daniel Behle
オリヴィエ Daniel Schmutzhard
ラ・ロッシュ Lars Woldt
クレロン Tanja Ariane Baumgartner
ムシュー・トープ Erik Årman
イタリアの女性歌手 Elena Galitskaya
イタリアの男性歌手 Jörg Schneider
侍従 Christoph Seidl
ダンサー Agnes Guk
召使い Angelo Pollak, Max von Lütgendorff, Thomas David Birch
Juan Sebastián Acosta, Marcell Attila Krokovay, Richard Helm
Florian Köfler, Stefan Dolinar
音楽家 バイオリン Rémy Ballott, チェロ Jörgen Fog
チェンバロ Johannes Maria Bogner
オーケストラ Wiener Symphoniker
リヒャルト・シュトラウスの最後のオペラ「カプリッチオ」は
大袈裟に言えば私の人生を徹底的に決定してしまったオペラなので
それなりに思い入れがあって
色々とウルサイのだが
ウィーン劇場の新プロダクションの「カプリッチオ」
プレミエの時はブッフビンダーのベートーベン・ソナタに浮気して
新聞評の写真を見たとたんに
(c) APA/HERWIG PRAMMER
・・・あ、これ、イカンかも(汗)
プログラムによれば
当時は第二次世界大戦の真っ最中で
それを舞台に取り入れた・・・らしいが
階段状で上がかなり斜めになった舞台の
階段の上のところに倒れて死んでいるのはフラマンで
その下の段で死んでいるのがオリヴィエで
一番下の溝に嵌っているのがラ・ロッシュで
上では伯爵と伯爵令嬢が動いているのだが
なんだこの舞台?
違和感は最初からずっと持続する。
歌いながら靴を脱ぐ伯爵の足は血だらけだし
フラマンの頭には銃撃戦による穴から出血しているし
オリヴィエのシャツは真っ赤だし
よくわからん(悩)
ヘルメット被ったり
銃で脅かしたり
洋服とヘルメットを重ねてあちこちに置いたり
葬式の真似事しながら歌っていたり(唖然)
でももっと悲惨だったのは
バレエ・シーンで出てくる女性ダンサーで
男性からセクハラ、暴力受けまくりで
スカートは剥がされるわ
みんなのおもちゃにされるわ
最後は人形に変わるんだけど
手足を捥がれて
みんながその肉を喰らうという
カプリッチオと何の関係が???
新聞評にあった通り
舞台見ずに、目を瞑って聴いた方が良かったかもしれない。
というくらい
舞台の悲惨さと対照的に
音楽が、いや、歌手が良かったんです ♡
伯爵令嬢の Maria Bengtsson は
澄んだ力強いソプラノだが
ドイツ語がキレイだし
あの高さで、ちゃんとそれなりにドイツ語が聴こえて来る。
国立オペラ座で歌った
声はキレイだけど、あまりに酷いドイツ語だったフレミングより
ずっと良い。素晴らしい。
最後のモノローグの
あの高音で、最小限まで抑えたピアニッシモには参った。
背筋がゾクゾクした。
(ヘンな舞台装置でヘンな演技させられてたけど(笑))
Lars Woldt はフォルクス・オーパーでも
確か国立オペラ座でもワーグナーを歌っていたバスなので
すごい声量がある上に
ドイツ語がむちゃくちゃクリアで
(ほんの少しだけ、本当にセリフになりそうだった部分あり)
一語一語がバッチリ聴こえて魅力的。
現実主義のラロッシュの性格も良く出ていたけれど
演出上、ちょっと品がなくなっていて、それは残念。
声だけ聴いていれば、老練で現実的な劇場支配人にピッタリだっただろう。
フラマンのテノール、素晴らしい!!!
例のモノローグ(だからヘンな演技をさせられていて可哀相だったが)も
語り口が見事で、声も美しく
いったい、ウィーン劇場っていうのは
どこでこういう優秀な歌手を見つけてくるんだろう。
オリヴィエも美声で魅力的なんだけど
演出上、あんまり良い役作りになっていなくて
伯爵令嬢はフラマンには抱きつくくせに
オリヴィエには微妙な距離を空けているので
ああ演出家はオペラでは音楽が優先ですか(偏見)
伯爵が意外に良くて、ちょっと驚いた。
(演出+ヘンな演技で、多少エキセントリックな性格になっていたが)
マジメなバリトンで、やっぱりドイツ語はあくまでクッキリ。
目立つ役ではないのだが、重要な役なので、巧いと嬉しい。
クレロンだが・・・
クレロンのメゾソプラノって
誰でもああいう歌い方をするのかね?
私の頭に刷り込まれている CD でも
オペラ座のキルヒシュレーガーでも
今回の歌手でも
あまりに歌い方、歌声とニュアンスが似ていて
なんだろ、この役って
歌手の個性は出ないような楽譜になってるのかしら?(まさか)
イタリア人歌手登場の場面では
まるでお人形のような演技で登場するが
テノールもソプラノも優秀 ♡
イタリア・オペラ的テノールとソプラノで
パロディ風味たっぷりの熱唱。
オーケストラは、うううううううう・・・
ごめんなさい、ウィーン交響楽団、巧いんですよ
でも
できればビリーと長かった
ウィーン放送交響楽団の方が良かったような気がする。
みんな頑張っているし
必死になってるのは、よくわかる。
だってビリーのテンポって、かなり速めだったのに
最後の最後、モノローグの後のインストルメンタル部分は
遅いテンポ設定で
オーケストラの皆さまも、2時間30分
休みなしに弾き続けて
そろそろトイレも行きたいだろうし
早く帰りたいという意識もあるところに
あのテンポじゃ
多少、弦がズレるのも仕方ない(勝手に納得)
多少のズレはあったものの
(召使い6人コーラスの最初のところは
聴いている方がちょっと冷汗だった)
ビリーが巧くつじつま合わせて行ったので不自然にならなかった。
音楽的には抜群のご機嫌な出来だっただけに
あの演出はね〜(苦悩)
それまでは血だらけの戦争状態の兵士さんたち、というのが
ムッシュ・トープは
何故か山高帽の紳士で登場するし
(ムッシュ・トープこそ地下の住人だから
あんなにお洒落な上下の灰色のブランド品に見える背広ではヘン)
これからウィーン劇場でこの演目をご覧になる方は
舞台はあまり見ない方が良いかもしれない。
私が購入しているチケットは
どちらにせよ、舞台はほとんど見えない席なので
後2回の鑑賞は、舞台観ずに、音楽だけに集中できそう(笑)
本日も安い席だったのだが
色々と偶然が重なって(非常にラッキーだったのである)
とても良い席で
舞台もオーケストラも見えたので
演出や舞台のスゴさもしっかり観たから
あとは、あの素晴らしい音楽に集中しようっと。
しかし、ワタクシ的には
カプリッチオは
第二次世界大戦末期に
老人2人が田舎に閉じ篭って
戦争という現実から
ひたすら現実逃避するために作曲したオペラ、という印象なので
無理やり戦争にくっ付ける事もなかったんじゃないか
・・・という気がして仕方がない私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。
CAPRICCIO
Konversationsstück für Musik in einem Aufzug (1942)
Musik von Richard Strauss
Libretto von Stefan Zweig, Joseph Gregor, Richard Strauss,
Clemens Krauss, Hans Swarowsky
指揮 Bertrand de Billy
演出 Tatjana Gürbaca
舞台 Henrik Ahr
衣装Barbara Drosihn
照明 Stefan Bolliger
ドラマツルギー Bettina Auer
伯爵令嬢 Maria Bengtsson
伯爵 Andrè Shuen
フラマン Daniel Behle
オリヴィエ Daniel Schmutzhard
ラ・ロッシュ Lars Woldt
クレロン Tanja Ariane Baumgartner
ムシュー・トープ Erik Årman
イタリアの女性歌手 Elena Galitskaya
イタリアの男性歌手 Jörg Schneider
侍従 Christoph Seidl
ダンサー Agnes Guk
召使い Angelo Pollak, Max von Lütgendorff, Thomas David Birch
Juan Sebastián Acosta, Marcell Attila Krokovay, Richard Helm
Florian Köfler, Stefan Dolinar
音楽家 バイオリン Rémy Ballott, チェロ Jörgen Fog
チェンバロ Johannes Maria Bogner
オーケストラ Wiener Symphoniker
リヒャルト・シュトラウスの最後のオペラ「カプリッチオ」は
大袈裟に言えば私の人生を徹底的に決定してしまったオペラなので
それなりに思い入れがあって
色々とウルサイのだが
ウィーン劇場の新プロダクションの「カプリッチオ」
プレミエの時はブッフビンダーのベートーベン・ソナタに浮気して
新聞評の写真を見たとたんに
(c) APA/HERWIG PRAMMER
・・・あ、これ、イカンかも(汗)
プログラムによれば
当時は第二次世界大戦の真っ最中で
それを舞台に取り入れた・・・らしいが
階段状で上がかなり斜めになった舞台の
階段の上のところに倒れて死んでいるのはフラマンで
その下の段で死んでいるのがオリヴィエで
一番下の溝に嵌っているのがラ・ロッシュで
上では伯爵と伯爵令嬢が動いているのだが
なんだこの舞台?
違和感は最初からずっと持続する。
歌いながら靴を脱ぐ伯爵の足は血だらけだし
フラマンの頭には銃撃戦による穴から出血しているし
オリヴィエのシャツは真っ赤だし
よくわからん(悩)
ヘルメット被ったり
銃で脅かしたり
洋服とヘルメットを重ねてあちこちに置いたり
葬式の真似事しながら歌っていたり(唖然)
でももっと悲惨だったのは
バレエ・シーンで出てくる女性ダンサーで
男性からセクハラ、暴力受けまくりで
スカートは剥がされるわ
みんなのおもちゃにされるわ
最後は人形に変わるんだけど
手足を捥がれて
みんながその肉を喰らうという
カプリッチオと何の関係が???
新聞評にあった通り
舞台見ずに、目を瞑って聴いた方が良かったかもしれない。
というくらい
舞台の悲惨さと対照的に
音楽が、いや、歌手が良かったんです ♡
伯爵令嬢の Maria Bengtsson は
澄んだ力強いソプラノだが
ドイツ語がキレイだし
あの高さで、ちゃんとそれなりにドイツ語が聴こえて来る。
国立オペラ座で歌った
声はキレイだけど、あまりに酷いドイツ語だったフレミングより
ずっと良い。素晴らしい。
最後のモノローグの
あの高音で、最小限まで抑えたピアニッシモには参った。
背筋がゾクゾクした。
(ヘンな舞台装置でヘンな演技させられてたけど(笑))
Lars Woldt はフォルクス・オーパーでも
確か国立オペラ座でもワーグナーを歌っていたバスなので
すごい声量がある上に
ドイツ語がむちゃくちゃクリアで
(ほんの少しだけ、本当にセリフになりそうだった部分あり)
一語一語がバッチリ聴こえて魅力的。
現実主義のラロッシュの性格も良く出ていたけれど
演出上、ちょっと品がなくなっていて、それは残念。
声だけ聴いていれば、老練で現実的な劇場支配人にピッタリだっただろう。
フラマンのテノール、素晴らしい!!!
例のモノローグ(だからヘンな演技をさせられていて可哀相だったが)も
語り口が見事で、声も美しく
いったい、ウィーン劇場っていうのは
どこでこういう優秀な歌手を見つけてくるんだろう。
オリヴィエも美声で魅力的なんだけど
演出上、あんまり良い役作りになっていなくて
伯爵令嬢はフラマンには抱きつくくせに
オリヴィエには微妙な距離を空けているので
ああ演出家はオペラでは音楽が優先ですか(偏見)
伯爵が意外に良くて、ちょっと驚いた。
(演出+ヘンな演技で、多少エキセントリックな性格になっていたが)
マジメなバリトンで、やっぱりドイツ語はあくまでクッキリ。
目立つ役ではないのだが、重要な役なので、巧いと嬉しい。
クレロンだが・・・
クレロンのメゾソプラノって
誰でもああいう歌い方をするのかね?
私の頭に刷り込まれている CD でも
オペラ座のキルヒシュレーガーでも
今回の歌手でも
あまりに歌い方、歌声とニュアンスが似ていて
なんだろ、この役って
歌手の個性は出ないような楽譜になってるのかしら?(まさか)
イタリア人歌手登場の場面では
まるでお人形のような演技で登場するが
テノールもソプラノも優秀 ♡
イタリア・オペラ的テノールとソプラノで
パロディ風味たっぷりの熱唱。
オーケストラは、うううううううう・・・
ごめんなさい、ウィーン交響楽団、巧いんですよ
でも
できればビリーと長かった
ウィーン放送交響楽団の方が良かったような気がする。
みんな頑張っているし
必死になってるのは、よくわかる。
だってビリーのテンポって、かなり速めだったのに
最後の最後、モノローグの後のインストルメンタル部分は
遅いテンポ設定で
オーケストラの皆さまも、2時間30分
休みなしに弾き続けて
そろそろトイレも行きたいだろうし
早く帰りたいという意識もあるところに
あのテンポじゃ
多少、弦がズレるのも仕方ない(勝手に納得)
多少のズレはあったものの
(召使い6人コーラスの最初のところは
聴いている方がちょっと冷汗だった)
ビリーが巧くつじつま合わせて行ったので不自然にならなかった。
音楽的には抜群のご機嫌な出来だっただけに
あの演出はね〜(苦悩)
それまでは血だらけの戦争状態の兵士さんたち、というのが
ムッシュ・トープは
何故か山高帽の紳士で登場するし
(ムッシュ・トープこそ地下の住人だから
あんなにお洒落な上下の灰色のブランド品に見える背広ではヘン)
これからウィーン劇場でこの演目をご覧になる方は
舞台はあまり見ない方が良いかもしれない。
私が購入しているチケットは
どちらにせよ、舞台はほとんど見えない席なので
後2回の鑑賞は、舞台観ずに、音楽だけに集中できそう(笑)
本日も安い席だったのだが
色々と偶然が重なって(非常にラッキーだったのである)
とても良い席で
舞台もオーケストラも見えたので
演出や舞台のスゴさもしっかり観たから
あとは、あの素晴らしい音楽に集中しようっと。
しかし、ワタクシ的には
カプリッチオは
第二次世界大戦末期に
老人2人が田舎に閉じ篭って
戦争という現実から
ひたすら現実逃避するために作曲したオペラ、という印象なので
無理やり戦争にくっ付ける事もなかったんじゃないか
・・・という気がして仕方がない私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。