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Heute Abend : Lola Blau

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    Burg Schlaining 2014年5月29日 19時30分〜21時10分


    Heute Abend : Lola Blau


    Georg Kreisler - Musical für eine Schauspielerin

    ローラ・ブラウ Carin Filipcic

    ピアノ Belush Korenyi

    ベルガー氏の声 Gideon Singer

    演出・舞台 Isabella Gregor

    技術・音響 Gerhard Pimperl

    照明デザイン Norbert Joachim

    オーディオ・デザイン Samuel Käppeli


    シュライニング春の音楽祭は既に始まっているのだが

    火曜日はオペラ座のバレエの初演だったし

    水曜日は実はむちゃくちゃ悩んで

    結局、往復300キロの時間とガソリン代で諦める羽目になった。


    今日の演目は、普段のシュライニング音楽祭には珍しい。

    クトロヴァッツとその仲間たちの出演はない。


    2011年に亡くなったオーストリアの作曲家

    ゲオルク・クライスラーの作品である。

    以前からフォルクス・テアーターでは上演されていたが

    残念ながら、題名は知っていても

    今まで鑑賞する機会がなかった。


    題名は訳せば「今宵をローラ・ブラウと」という感じか。

    ユダヤ人女優ローラ・ブラウの人生を描いて

    ブラック・ユーモアと皮肉とシリアスが混じった見事な作品。


    ともかく驚いたのは

    演技者は演技で子供から老人までなれる

    とか言う世迷い言を大笑いしていた私が

    その生きた見本を舞台の上で見てしまった事である。


    もしかして貴女のお名前は北島マヤとかおっしゃるのでは?


    舞台に登場した銀髪の老婦人が

    過去の手紙を見ながら語り始めるのだが


    電話の音を機会に

    大きなトランクの向こうに消えた女性が

    次に現れる時には


    20歳くらいの若いキャピキャピした女性になっている!(驚)


    彼氏がバーゼルに行く、というのを聞いて

    何でそんな?

    一緒には行けないわよ。

    私、舞台での役がやっとついて

    これから有名になるところなのに。

    え? ヒットラー? ヒットラーなんか何もできないでしょ?

    今、何て言った? あっ、切れちゃった・・・


    当時のウィーン社会で生きるユダヤ人たちは

    社会に溶け込んでいて

    それまで、自分がユダヤだ、なんて考えた事もなかった人も多かったらしい。


    ローラ・ブラウに待っているのは過酷な試練だが

    それがすべて歌になっていて


    うわ〜、この女優さん、歌がむちゃ巧い・・・(驚嘆)


    スイスに逃げて、そこの劇場に出演したり

    アメリカに渡ってアルコールに溺れ

    ウィーンに帰ってきて、寄席に出演して

    最後に別れた彼氏と会える直前での悲劇というのが


    苦いユーモアと

    色々な国の風刺と

    当時の社会背景と


    それが、ぜ〜〜〜〜〜んぶ、歌になっているのである。


    オーストリアの「キャバレ」(「レ」にアクセントあり)は

    長い伝統を持ち

    日本のキャバレーとは全く違うし

    強いて訳せば「寄席」なのだろうが

    ライムンドやネストロイのような

    いわゆる「歌芝居」の伝統を下地に

    ウィーン民謡から続いた美しいメロディに

    皮肉な歌詞(しかもむちゃ早口)を乗せるという

    ともかく、他に例を見ない芸術である。


    有名にならないのは

    この芸術が、ドイツ語、しかもオーストリア訛りで

    更には時代背景や、その時の社会状況を知らないと

    全く理解できないためであって


    言うなれば、内部の人たちだけが

    コソコソと楽しめる

    オーストリア秘密結社の会員さま専用の芸術なんですね。


    これは以前に書いたけれど

    オーストリア国営放送のラジオでも、長きにわたり

    日曜日の朝、グーグルホプフという「キャバレ」番組をやっていて

    35年前に留学した私は

    これを聞いて、イヤに楽しそうだが

    (しかも歌の巧さが半端でない!

     ドイツ・リートなんか何よ、というくらいの美しいオーストリア訛り)

    全然意味わからん・・・

    で、当時のカセット・テープなんかに録音して聞いていたのだが

    何せ時事ネタを徹底的に弄くるために

    すぐに古くなってしまう、という

    刹那的な芸術でもあったのだ。


    この「今宵ローラ・ブラウと」も

    同じような「語る歌」の芸術である。


    ローラ・ブラウという女性の思い出が

    若い頃の姿で語られ

    その途中で老婦人になったローラ・ブラウが登場して

    同じ人間なのに

    表情も目の色も、声まで変わるのに呆気に取られた。


    ウィーンに帰ってからの

    劇場支配人に話をしたいんだけど、という電話のやり取りは

    自分にも覚えがあるので

    涙を流して大笑い。


    支配人と話したいんだけど

    え? 何で経理部に回されたの?

    経理部じゃなくて、支配人室に繋いで下さらない?

    は? 受付? すみません、支配人と話したいんですが

    何ですって? 支配人はミーティング中?

    では待ってるわ

    あら、何でさっきの人のところに繋がれちゃったわけ?

    はぁ?支配人はもう帰りましたって???


    ・・・こういうたらい回し

    私も職業上、ものすご〜〜くやられてますから

    (特に役所関係)身に染みます。


    オーストリアに住んで30年。

    いや、こういう「キャバレ」を理解できるようになっちゃったのが

    何か嬉しいような悲しいような。


    周囲が大笑いしていて

    自分だけが笑う事ができずに

    何か、みんなに悪いような気がして

    ちょっと弱気に、はっはっは、とか小声で笑ってみたりしていた

    ん〜十年前のワタクシは何処に行ってしまったのだろう。


    往復300キロのドライブして観て来たが

    その時間と手間をかけても

    充分にペイする1時間30分だった。


    大笑いしたし、大泣きした。

    笑いと悲しみで(笑っても涙が出るの、私)

    顔がグシャグシャになって

    あぁ、化粧して来なくて良かった・・・(違!)


    明日は、ヨハネスとエディ

    イケメン・バイオリニストのクリスチャンに

    チャーミングなシンシアのビオラ

    チェリストは新顔? というメンバーで

    映画音楽特集 ♡


    今日は祝日だったけれど

    明日は朝からしっかり仕事して

    夕方、また150キロのドライブで

    中世の古城に向かう私に

    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    しかし、南高速道路を走ったのは久し振りで

    しかもかなりの雨が降っている中を

    あのカーブだらけの高速を、夜走るのは意外に怖かったです(汗)


    今日の演目の最後の方で

    オーストリアの民族衣装を来て

    モーツァルトのピアノ・ソナタで

    オーストリアの「伝統(だけ)」を皮肉った歌があって

    このピアノ・ソナタ、次に聞いたら

    きっと、あの歌詞が思い浮かんで笑ってしまうだろう(冷汗)


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