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クラウス・パイマンはズボンを買って私と食事に行く

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    Akademietheater 2014年5月2日 20時〜22時


    Thomas Bernhard

    “Claus Peymann kauft sich eine Hose und geht mit mir essen”


    Hermann Beil

    Claus Peymann

    Maria Happel


    舞台 Karl-Ernst Herrmann

    衣装 Wicke Naujoks


    彼氏モドキが大嫌いで

    私が大好きなのは

    リヒャルト・シュトラウスやグスタフ・マーラーやブルックナーだけではなく

    作家のトーマス・ベルンハルトという人もいる。


    58歳の若さで亡くなったが、今、生きていれば83歳。


    ガラでもないのにドイツ語演劇観なくちゃ、と

    劇場通いを始めた頃に

    シラーとかレッシングとかゲーテの作品を見て


    ワタクシのドイツ語理解力って

    何か大問題があるんじゃないだろうか?

    (だって、最初から最後まで

     話されているドイツ語が、全く理解できない)


    悩んでいた時にトーマス・ベルンハルトの演劇を観たら

    あれ?あれれ?あれれれれ?


    ドイツ語わかるぞ・・・


    だいたい、私が大学で専攻したのは言語学であって

    文学ではなかった。(ブンガク嫌いだったので意図的なものである)

    よって、ご年配の偉い大学教授さまたちが絶賛する

    いわゆる「(古典的)ドイツ文学」というものには

    全く触れて来なかった(自慢にならん)


    ドイツ語がわかるというだけでハマった訳ではないが

    トーマス・ベルンハルトの

    オーストリアや演劇に対する憎悪に満ちた愛

    ブラック・ユーモアとも言いにく暗い厭世観や

    容赦なく人をバカにする(しかも実名で)態度とか

    オーストリア人はみんなナチスでアホだ、という

    極端だが、もしかしたらそうだったのかも、と思わせる内容に

    一時期、どっぷり浸かって

    トーマス・ベルンハルトの作品が上演されると聞くと

    せっせと通っていた時期がある。


    ご存知の通り

    死後は自分の作品はオーストリアで上演してはならぬ、と

    遺言を残した人だから

    (版権を持っている家族が無視しているが(笑))

    上演の機会は、さほど多くはない。


    前置きが長くなってしまったが

    「クラウス・パイマンはズボンを買って私と食事に行く」

    という長い題名のついたこの作品は

    トーマス・ベルンハルトの最後の作品で

    「クラウス・パイマンはボッフムの劇場を去り、ブルク劇場に行く」

    「クラウス・パイマンはズボンを買って私と食事に行く」

    「ズルツ・ヴィーゼのクラウス・パイマンとヘルマン・バイル」

    という3部から成り、全体を通すと1時間30分ほどの作品。


    で、クラウス・パイマンって誰だ?

    ・・・という事は、ここで書かなくても良いかとも思ったが

    私のこの独り言日記の読者は

    音楽関係の方が多いから、知らない人もいるかも・・・


    1979年からドイツのボッフムの劇場のダイレクターとして活躍し

    ベルンハルト以外にも

    ペーター・ハントケやエルフリーデ・イェリネックの作品を積極的に上演。


    1986年から1999年にかけて

    ウィーンのブルク劇場のダイレクターとして

    ともかく、スキャンダルと物議を醸し出した。


    ベルンハルトの「英雄広場」の初演の大事件とか

    (実名バンバン出てくるので

     招待された政治家たちが席を蹴って帰っちゃって

     次の朝の新聞は第一面で大騒ぎだった)

    ブルク劇場の俳優さんたちの抵抗とかも色々。

    (労働契約の変更とか、ドイツ人の俳優を多用したとかエトセトラ)


    「パイマン時代」というのは、良くも悪くも

    オーストリアで一番ダイナミックな演劇の時代だったと思う。


    この3部作、実はかなり以前から興味を持っていて

    オーストリア国営放送が作っている

    ブルク劇場の DVD シリーズで

    マルティン・シュヴァプとキルステン・デーネの出演版は持っている。

    (ちなみに、この2人が初演時のキャストでもある)


    が、今回はうっふっふっふっふ。

    クラウス・パイマン、まさに登場人物=本人と

    ドラマツルグのヘルマン・バイルが登場。

    (ヘルマン・バイルは第一部では秘書、第二部ではベルンハルトを演じるが

     第三部では、そのまま自分自身を演じている)


    マリア・ハッペルはト書き、という感じで

    途中の説明とか間の手を入れる。

    (これは以前の演出では登場していない)


    何回か上演されていたのだが

    時間が合わなかったり

    チケットが売り切れだったりと

    なかなか観るチャンスがなかったので

    ものすごく嬉しい。


    チケットが3ユーロ75セントだったのに

    ちゃんとしっかり舞台が見える席だったのも嬉しい。


    この作品、ともかく面白い。

    DVD でも涙が出るほど大笑いしたが

    実際に観てみると、涙ボロボロになる程、大笑いできる。


    舞台装置がまた凝っていて(初演とは違う)

    遥か向こうに、ボッフムの教会のミニチュアから

    大観覧車、ブルク劇場(しかもちゃんと「ハムレット」の垂れ幕まで)

    あのミニチュア、むちゃカワイイ。


    パイマンは、第二部と第三部では

    台本を手にして、見ながら演技していたが

    かなり自然だったので、それもアリかな・・・


    ヘルマン・バイルはドラマツルグであって

    俳優ではないので

    DVD で同じ役をやっていたキルステン・デーネに比べると

    演技にキレはないけれど

    まぁ、第三部では、ご本人さまですし(笑)


    当時、ベルンハルトやパイマンに敵対していた

    政治家や文化人の名前が、ガンガン実名で出てくる。


    ついでに、今、ご存知の通り

    ブルク劇場で大スキャンダルがあるわけで


    パイマンがそれに絡んだ

    たぶん、80%くらい本気のアドリブを叫んだ時は

    観客は大笑いで拍手まで出た。


    ブラック・ユーモアに包まれた

    内部ではドロドロした憎悪愛はあるけれど

    同時に、細かい部分に拘った不条理な部分も多い。


    この面白さは、観てみないとわからないので

    (読者の皆さま、ごめんなさい)

    書きようがないし

    オーストリアの事をある程度理解してわかっている人でないと

    ベルンハルトが、とことんバカにしている

    オーストリアへの皮肉も理解し難いと思う。


    キルステン・デーネとマルティン・シュヴァブがやった時(DVD) ほどの

    恐ろしさとか迫力はなくなっていて

    多少皮肉が入った、割に無害な感じの作品になっていたのは

    ホッとするような、ちょっと物足りないような感じだが


    それでも、やっとトーマス・ベルンハルトの演劇鑑賞の記録を

    1作品(しかもずっと憧れていた作品)伸ばせたのが嬉しい私に

    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    ところで、例のスキャンダル作品「英雄広場」は

    ブルク劇場ではなく

    ヨゼフシュタット劇場で

    違う演出、違う舞台装置で観劇する事ができた。

    やっぱり、長く時間を置くと

    DVD で観た初演の時より、毒は薄れている感じ。

    (それも DVD 持ってるのかよ?・・・はい、持ってるんです(汗))


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