ウィーン交響楽団 + ロレンツォ・ヴィオッティ

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    Musikverein Großer Saal 2019年11月9日 19時30分〜21時15分

    Wiener Symphoniker
    Singverein der Gesellschaft der Musikfreunde in Wien
    指揮 Lorenzo Viotti

    Arnold Schönberg (1874-1951)
     Verklärte Nacht, op. 4
     Fassung für Streichorchester (1943)

    Giuseppe Verdi (1813-1901)
     Quattro pezzi sacri
     Vier geistliche Stücke
      Ave Maria über eine rätzelhafte Tonleiter (Scala enigmatica)
        für vierstimmigen Chor a cappella
      Stabar Mater für vierstimmigen Chor und Orchester
      Laudi alla Vergine Maria für vierstimmigen Frauenchor a cappella
      Te Deum für vierstimmigen Doppelchor, Sopran-Solo und Orchester

    コンサート開始の前に
    指揮者のロレンツォ・ヴィオッティがマイクを掴んで

     今日のコンサートの最初の曲は
     プログラムに書いてあるリヒャルト・デーメルの詩を
     必ず音楽を聴く前に読んで下さい。
     そこに描写のある、夜の雰囲気、女性の不安に満ちた心情
     告白の時の緊張感、そして、それを許して
     すべてを浄化する愛の力が
     この曲の中に凝縮されています。
     後半のヴェルディの4つの聖歌四遍も
     宗教曲ではありますが、宗教はさて置いて
     これが、音楽でなければ表せない「愛」ではないでしょうか。
     この「愛」という感情を
     今日のコンサートの音楽で
     皆さまに感じて頂ければ、こんな嬉しい事はありません。
     (意訳)

    基本的に喋る指揮者は好きじゃないし(すみません)
    更に、この「愛」の押し売り的スピーチは、ものすごく気に喰わん。

    浄夜なんて、何回も聴いているし
    リヒャルト・デーメルの詩も、それに伴い、何回も読んだけれど

    妊娠している女性が、男性にそれを告白し
    でも、その子供は貴方の子供ではない
    と正直に言っちゃうのに対し

    その子供は浄化された(これもスゴイ言い方だわね)
    と高らかに宣言して、そのまま女性とその子供を受け入れる
    という、男性の話なのだが(たぶん)

    このカップルの女性の方は
    2年後くらいに
    発○小町に

    「結婚前に受け入れてくれると言った他の男性との子供を
     主人が愛してくれません。どうしたら良いのでしょう」

    とか言うトピックを作り
    それに対して、1日で300通くらい
    「早く離婚して、貴女が独立して仕事して、子供は一人で育てましょう」
    という返事が返ってくるケースではないか。

    時代背景も社会も文化も違うので
    一概には言えないけれど
    こういう、あちこちでモテて
    しかも男性を搾取しようとするような女ってキライなの。
    (自分がモテないから・・・ぶちぶち)

    さて反感持ちながら聴いた浄夜だが

    あらら・・・何という繊細な表現を・・・(吃驚)
    シェーンベルクの後期ロマン派の美しい曲なんだけど
    表面の美しさというよりは
    自分のスピーチでは「感情」とか「愛」とか言っていたくせに
    ものすごく音色と構成に拘った演奏してるじゃないの。

    感情に流れず、必要な部分のパートを強調すると同時に
    時には、まるで室内楽のような明晰さを前面に出して
    驚くほどに理性的で(あ、こいつ、どの位、楽譜を分析した?)
    なのに、もともと持っている曲の「感情」が
    そのままダイレクトに聴衆に流れ込んでくる。

    指揮者のバイアスのかかっていない感情が
    聴衆に触れて来るというのは
    なんかこう、非常に珍しいケースではないだろうか。

    そうなんだ、この指揮者、「自分」のバイアスを見せて来ない。
    どこかの指揮者のように「俺が、俺が、俺さまが」というのがない。
    スピーチで、愛と感情を伝えたいと明確に言い切りながら
    自分は曲の分析と構築の影に徹底的に隠れている。

    面白い指揮者だと思う。
    誰でも知ってる有名人のお父ちゃんを持つと
    それを越える才能のある息子になるか
    あるいは、父親の名声というプレッシャーに押し潰されるか
    親の七光りで自然に有名になっちゃうか
    まぁ、当然、七光りはあるんだろうけれど
    割に恵まれた環境で、スクスク育って来たって印象なのに
    ちゃんとプレッシャーに耐える実力があるようだ(おお、偉そう)

    後半はヴェルディの聖歌四遍で
    宗教曲は苦手だし
    更にヴェルディだし(レクイエムは何回聴いても好きになれずに諦めた)
    えい、もう、どうなっても良いわ、という
    やけっぱち気分で残っていたのだが

    ああああああああああ
    すみません、はしたなくも・・・

    最初のアヴェ・マリア、アカペラの曲だが
    読者の皆さまはご存知の通り
    ヴェルディの「謎の音階」を使った曲。
    上昇音階が c-des-e-fis-gis-ais-h-c(kl.2/ü.2/gr.2/gr.2/gr.2/kl.2/kl.2)
    下降音階が c-h-ais-gis-f-e-des-c (kl.2/kl.2/gr.2/ü.2/kl.2/ü.2/kl.2)
    (すみません、カッコの中は私のメモなので無視して下さい)
    同じテトラコードが一つもない。

    バルトークやメシアンの音階分析とは違って
    ヴェルディだから、この音階を誰にもわかるように使って
    ワケわからん調性で作曲したのではなくて
    上記の音階が転調の時に顔を出すので
    まるで現代音楽かのような謎の雰囲気を醸し出すのである。

    ・・・というより、この曲、アカペラだよ?
    楽友協会合唱団って、どこまで優秀なの???
    これ歌うなら、少なくとも何人かは絶対音感がないと無理だわ。

    オーケストラ付きスタバート・マーテル。
    恨み辛みのオペラの出だしみたいに暗い色調で
    むちゃくちゃドラマチック!!!

    というより、ラテン語の歌詞を見ていたのだが
    ヴェルディ、ちゃんとラテン語歌詞の意味につけて
    音楽を作っている。
    (当たり前と言えば当たり前だが
     それまでラテン語全く知らなかったので
     ドイツ語の歌詞だけ見ていて、それに典礼文ってどれでも似てるし)

    ラテン語始めて、まだ1ヶ月。
    当然の事ながら、圧倒的に語彙力がないので意味はわからないが
    時々、ポコッとわかる人称代名詞とか
    いわゆる英語の be 動詞の変化とか
    誰でも知っている videre の過去形三人称単数直説法とか
    fac と出てくると、これは facere の単数命令形だよね、とか
    たまに出てくる単語がわかると、おおおおおっ、という感じで

    音楽わかりたくて音楽学を学んでいるのに
    ラテン語始めたら、急に宗教曲が聴けるようになったというのは
    ちょっと、あまりにあまりじゃないかこれは。

    スタバート・マーテルを、こんなに楽しんで聴いたのは
    初めての体験かもしれない(いいのかそれで・・・)

    3曲目は、テキスト見てあれ?と思ったのだが
    これはイタリア語の歌詞である(似てるけど(笑))

    最後の Te Deum 圧巻。
    veneratur とか出てくると、あ、デポネンシアだ、とか思うのは
    まぁ、万年中二病なので許して下さい。
    どこまでもドラマチックで
    教会の響きを充分に使った圧倒的なコーラスと
    オペラのようなドラマチックなオーケストラの混合で
    最後はソプラノが平土間からのソロを聴かせるという趣向。

    ヴェルディの「宗教曲」と思うからイケナイのであって
    これは最初から「オペラ」と思って聴いた方が良いのだが

    ともかく、人の感情の中心部をゴリゴリ掴んで
    ひたすら揺すぶられている感じで

    愛とかいうものはわからないし
    感激云々というものとも、また違うような気分でもあるのだが
    ともかく、感情をワシワシと揺すぶられたのは間違いない。

    ヴィオッティ、良いじゃないの。
    最初の代役でのウィーン交響楽団のデビューの時から
    こいつ、タダモノじゃないぞ、という印象はあったので
    ラハフ・シャニが客演指揮者になった時には
    ロレンツォ・ヴィオッティの方が良いぞ、と思ったくらいだが

    ラハフ・シャニはメータの後継でイスラエル・フィルに行く事だし
    このヴィオッティ、ウィーン交響楽団として
    押さえておいて損になる人じゃないぞ(と強く思う)

    コンサート後に外でポスターを見たら
    同じプログラムで、今日と明日になっていて

    こんなに素晴らしいコンサートなら
    明日も行きたいなぁ、でも、きっと現代音楽が入ってるだろう、と
    自分のカレンダー見たら
    しっかり明日のコンサートのチケットもあった(笑)という私に
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    ただ、1日目の印象があまりに良いと
    2回目に聴くと、あらま、という可能性もあるので
    ちょっと心配ではある・・・

    帰宅してから、ばっちりラーメンを食べて
    真夜中過ぎたが、これから発表の準備原稿を
    もう、今日は徹夜しても絶対に仕上げる!!!!!

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