Volksoper 2019年9月11日 10時〜12時30分
Generalprobe
CABARET
Musical in zwei Akten
Buch von Joe Masteroff nach dem Berlin-Stories
von Christopher Isherwood und dem Stück
Ich bin eine Kamera von John van Druten
Gesangstexte von Fred Ebb
Übersetzung von Robert Gilbert
Musik von John Kander
指揮 Lorenz C. Aichner
演出 Gil Mehmert
振付 Melissa King
舞台 Heike Meixner
衣装 Falk Bauer
照明 Michael Grundner
MC(司会)Ruth Brauer-Kvam
サリー・ボウルズ Bettina Mönch
クリフォード・ブラッドショー Jörn-Felix Alt
シュナイダー夫人 Dagmar Hellberg
シュルツ Robert Meyer
コスト Johanna Arrouas
エルンスト・ルードヴィッヒ Peter Lesiak
マックス Jakob Semotan
ピッコロ Matthias Trattner
キットカット・ガールス Marianne Curn, Paulina Plucinski,
Anja Štruc, Katharina Wollmann, Eva Zamostny
キットカット・ボーイス Jurriaan Bles, Martin Enenkel,
Maximilian Klakow, Kevin Perry
キットカット・バンド Andreas Wild, Julia Schreitl-Angerer
Daniel Stratzing
Orchester und Kinderkomparserie der Volksoper Wien
9月14日が初演(プレミエ)になる
フォルクス・オーパーの新プロダクション
ミュージカル「キャバレー」の
最終リハーサルがあった。
これ、関係者とかだけじゃなくて
実は一般発売されている。
その上、どの席でも一律15ユーロなので
(本公演は最安席でも15ユーロでは買えない)
ゲネラル・プローベがウエブ上で販売になると同時に
あっという間に、良いチケットは掃けてしまう。
もっとも、平日なので、行ける客層は限られている。
はい、読者ご推察の通り
一部の関係者を除けば、お達者クラブ勢揃い。
ほんとにウィーンって年配だらけなんだなぁ、と
つくづく思う。
自分もその一員になってしまったが(汗)
比較的早めにこの公演を見つけたけれど
既に平土間やロジェの1列目は
目ざとい観客に既に抑えられていて
何とかバルコンの最後の列を1枚確保。
(一律料金なので、早いもの勝ち)
総じて非常に良く出来たプロダクション。
回転舞台を上手く使って
キャバレーの舞台(全体が巨大なピアノになっている)と
下宿屋の舞台展開や繋ぎに全く無駄がない。
よって、時間のロスもないし
不自然さもない上
出演者も2つの世界を行き来している感じが巧い。
列車での移動も無駄な装置を使わずに対処しているし
シュルツの果物屋も、背景と多少の大道具だけで
リアルに表現している。
衣装も素晴らしい。
もちろん、背徳的なキャバレーの、すごい衣装もある。
(子供には見せられないわ(笑)しかも男性が着用していたりするし
半身づつ、女性のラメ・ドレスと男性用のタキシードというのもあった)
一部、特殊マスクもあり(猿の花嫁とか←つま先まであって芸が細かい)
このプロダクション、予算があったんだなぁ・・・というより
ロング・ランになるよう力を入れている、という感じか。
出演者も粒揃い。
ミュージカルだから、ほとんど歌わず、演技という役柄も多いが
それぞれの役割に非常に合ったキャスト。
MC(司会)のアクの強いキャラクターは
目の周り真っ黒の、これまた強烈なメイクが活きている。
この役、歌ったり(かなり高いキーまで)踊ったり
大きな手の道具で舞台の巨大ピアノを弾いたり
動きが激しい役だが
歌は巧いし表現力が凄いし
役柄に要求される演技を完璧にこなして
その上、舞台上での存在感もすごい。
全体を引き締める役として
共感できる役どころではないのに強烈。
マイヤーのシュッツは
・・・あぁ、これをやりたかったのね(笑)
ちょっと控え目で、恥ずかしがり屋の
中年の果物屋さんのご主人。
ドイツ生まれ、ドイツ育ちで
自分がユダヤ人という意識はあまりないタイプ。
下宿屋のシュナイダー夫人は
見た目、実にパッとしない
そこらへんの中流階級のオバサンだが
この人、歌はむちゃくちゃ上手。
ナチスの脅威が迫ってくる時代に
政治のことなんか、別に関係ないし
そこまで酷くはならないだろう、と
楽観していて、最後に突然逮捕して連行されるという
政治意識は大事です(断言)
高校生が政治について、昼休みに話していると
それは適切ではない、とか言い出す大臣が居る国は
果たして大丈夫なんだろうか。
中年(老年?)の恋は大いに結構だが
自分がゴリゴリの独身主義者なので
「恋人で良いじゃない」というシュナイダー夫人に対して
愛があれば結婚すべき、という主張はわからん。
(しかも、僕がユダヤ人だから、という理由づけをするなんて
ちょっと卑怯だわ、うん。すみません偏見で)
しかも、それに対してクリフォードが
結婚すれば、あなたは独りじゃない、とか言うセリフ
本当に止めてくれ。どの時代の道徳観なんだよ。
(1966年の道徳観である。現代は変化している!)
キャバレー場面に登場するキットカットの男女が
踊れて歌えて
あの退廃的でエロチックな衣装を見事に着こなして
(男性ダンサーのカンカン!!!)
バレエ・ダンサーではないけれど
ダンスとして見ると、見事なシーンがたくさんあった。
ただ、このプロダクションで一番光っていて
強烈な個性と、舞台上の存在感で
このプロダクションの芸術的水準を
ぐっと引き上げていたのは
サリー・ボールス役のベッティーナ・メンヒ!!!!!!
この歌手、「ローマで起こった奇妙な出来事」の中でも
存在感、スタイルの良さ、演技力、歌唱力で
ピッカピカに光っていて
アクセルでも、むちゃくちゃチャーミングな女優役を
飛び散るオーラで圧倒的に演じたが
このプロダクションでも
特に後半になってから見せるオーラの凄まじさは
歌の表現力と相まって
ほとんど、この人の一人舞台みたいな印象まで引き起こす。
もちろん、こんな優秀な出演者が居て
それでも他の出演者が見劣りしない、というのは
そこまで優秀なキャストを揃えた、という証拠。
全体的に実によく出来たプロダクションではあるのだが
ストーリーが暗い。
前半の終わりがナチスの登場で
ナチスの十文字が舞台上に一杯出て来て終わると
観客の雰囲気もやっぱり暗くなるし
最後も別れのシーンで、しんみりと終わるので
愉快に、あ〜気持ち良かった、という
カタルシスは全くない。
こういう作品、まさか子供に見せる訳にはいかないから
(だいたい衣装が背徳的である)
大人を狙ったプロダクションなのだろう。
まぁ、普通に結婚して家庭作って
年配になってから、二人で仲良くミュージカルを観に行くという
普通の年配ご夫婦なら
しんみりして
そう言えば、うちの親たち(戦中世代)が
この時代の話をしていたよね、と話題に出来るのかもしれない。
という訳で
音楽的には抜群で
歌手も舞台も衣装も
ベストに近い状態で揃えた優秀なプロダクションなので
ミュージカル好きな人には良いと思う。
しかしミュージカルって
観て楽しくて、ウキウキ気分で帰宅するものと思っていたら
そうでもないものもあるんだわ、と
今更ながら考えてしまった私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。
個人的な問題なのだが
だいたい、恋愛モノって私は一般的にダメなのよ。
恋する中年とか、よくわからんし(反対はしません)
どちらかと言えば
彼氏を捨てて
自分のキャリアを積もうとするサリー・ボウルスに共感する(自爆)
Generalprobe
CABARET
Musical in zwei Akten
Buch von Joe Masteroff nach dem Berlin-Stories
von Christopher Isherwood und dem Stück
Ich bin eine Kamera von John van Druten
Gesangstexte von Fred Ebb
Übersetzung von Robert Gilbert
Musik von John Kander
指揮 Lorenz C. Aichner
演出 Gil Mehmert
振付 Melissa King
舞台 Heike Meixner
衣装 Falk Bauer
照明 Michael Grundner
MC(司会)Ruth Brauer-Kvam
サリー・ボウルズ Bettina Mönch
クリフォード・ブラッドショー Jörn-Felix Alt
シュナイダー夫人 Dagmar Hellberg
シュルツ Robert Meyer
コスト Johanna Arrouas
エルンスト・ルードヴィッヒ Peter Lesiak
マックス Jakob Semotan
ピッコロ Matthias Trattner
キットカット・ガールス Marianne Curn, Paulina Plucinski,
Anja Štruc, Katharina Wollmann, Eva Zamostny
キットカット・ボーイス Jurriaan Bles, Martin Enenkel,
Maximilian Klakow, Kevin Perry
キットカット・バンド Andreas Wild, Julia Schreitl-Angerer
Daniel Stratzing
Orchester und Kinderkomparserie der Volksoper Wien
9月14日が初演(プレミエ)になる
フォルクス・オーパーの新プロダクション
ミュージカル「キャバレー」の
最終リハーサルがあった。
これ、関係者とかだけじゃなくて
実は一般発売されている。
その上、どの席でも一律15ユーロなので
(本公演は最安席でも15ユーロでは買えない)
ゲネラル・プローベがウエブ上で販売になると同時に
あっという間に、良いチケットは掃けてしまう。
もっとも、平日なので、行ける客層は限られている。
はい、読者ご推察の通り
一部の関係者を除けば、お達者クラブ勢揃い。
ほんとにウィーンって年配だらけなんだなぁ、と
つくづく思う。
自分もその一員になってしまったが(汗)
比較的早めにこの公演を見つけたけれど
既に平土間やロジェの1列目は
目ざとい観客に既に抑えられていて
何とかバルコンの最後の列を1枚確保。
(一律料金なので、早いもの勝ち)
総じて非常に良く出来たプロダクション。
回転舞台を上手く使って
キャバレーの舞台(全体が巨大なピアノになっている)と
下宿屋の舞台展開や繋ぎに全く無駄がない。
よって、時間のロスもないし
不自然さもない上
出演者も2つの世界を行き来している感じが巧い。
列車での移動も無駄な装置を使わずに対処しているし
シュルツの果物屋も、背景と多少の大道具だけで
リアルに表現している。
衣装も素晴らしい。
もちろん、背徳的なキャバレーの、すごい衣装もある。
(子供には見せられないわ(笑)しかも男性が着用していたりするし
半身づつ、女性のラメ・ドレスと男性用のタキシードというのもあった)
一部、特殊マスクもあり(猿の花嫁とか←つま先まであって芸が細かい)
このプロダクション、予算があったんだなぁ・・・というより
ロング・ランになるよう力を入れている、という感じか。
出演者も粒揃い。
ミュージカルだから、ほとんど歌わず、演技という役柄も多いが
それぞれの役割に非常に合ったキャスト。
MC(司会)のアクの強いキャラクターは
目の周り真っ黒の、これまた強烈なメイクが活きている。
この役、歌ったり(かなり高いキーまで)踊ったり
大きな手の道具で舞台の巨大ピアノを弾いたり
動きが激しい役だが
歌は巧いし表現力が凄いし
役柄に要求される演技を完璧にこなして
その上、舞台上での存在感もすごい。
全体を引き締める役として
共感できる役どころではないのに強烈。
マイヤーのシュッツは
・・・あぁ、これをやりたかったのね(笑)
ちょっと控え目で、恥ずかしがり屋の
中年の果物屋さんのご主人。
ドイツ生まれ、ドイツ育ちで
自分がユダヤ人という意識はあまりないタイプ。
下宿屋のシュナイダー夫人は
見た目、実にパッとしない
そこらへんの中流階級のオバサンだが
この人、歌はむちゃくちゃ上手。
ナチスの脅威が迫ってくる時代に
政治のことなんか、別に関係ないし
そこまで酷くはならないだろう、と
楽観していて、最後に突然逮捕して連行されるという
政治意識は大事です(断言)
高校生が政治について、昼休みに話していると
それは適切ではない、とか言い出す大臣が居る国は
果たして大丈夫なんだろうか。
中年(老年?)の恋は大いに結構だが
自分がゴリゴリの独身主義者なので
「恋人で良いじゃない」というシュナイダー夫人に対して
愛があれば結婚すべき、という主張はわからん。
(しかも、僕がユダヤ人だから、という理由づけをするなんて
ちょっと卑怯だわ、うん。すみません偏見で)
しかも、それに対してクリフォードが
結婚すれば、あなたは独りじゃない、とか言うセリフ
本当に止めてくれ。どの時代の道徳観なんだよ。
(1966年の道徳観である。現代は変化している!)
キャバレー場面に登場するキットカットの男女が
踊れて歌えて
あの退廃的でエロチックな衣装を見事に着こなして
(男性ダンサーのカンカン!!!)
バレエ・ダンサーではないけれど
ダンスとして見ると、見事なシーンがたくさんあった。
ただ、このプロダクションで一番光っていて
強烈な個性と、舞台上の存在感で
このプロダクションの芸術的水準を
ぐっと引き上げていたのは
サリー・ボールス役のベッティーナ・メンヒ!!!!!!
この歌手、「ローマで起こった奇妙な出来事」の中でも
存在感、スタイルの良さ、演技力、歌唱力で
ピッカピカに光っていて
アクセルでも、むちゃくちゃチャーミングな女優役を
飛び散るオーラで圧倒的に演じたが
このプロダクションでも
特に後半になってから見せるオーラの凄まじさは
歌の表現力と相まって
ほとんど、この人の一人舞台みたいな印象まで引き起こす。
もちろん、こんな優秀な出演者が居て
それでも他の出演者が見劣りしない、というのは
そこまで優秀なキャストを揃えた、という証拠。
全体的に実によく出来たプロダクションではあるのだが
ストーリーが暗い。
前半の終わりがナチスの登場で
ナチスの十文字が舞台上に一杯出て来て終わると
観客の雰囲気もやっぱり暗くなるし
最後も別れのシーンで、しんみりと終わるので
愉快に、あ〜気持ち良かった、という
カタルシスは全くない。
こういう作品、まさか子供に見せる訳にはいかないから
(だいたい衣装が背徳的である)
大人を狙ったプロダクションなのだろう。
まぁ、普通に結婚して家庭作って
年配になってから、二人で仲良くミュージカルを観に行くという
普通の年配ご夫婦なら
しんみりして
そう言えば、うちの親たち(戦中世代)が
この時代の話をしていたよね、と話題に出来るのかもしれない。
という訳で
音楽的には抜群で
歌手も舞台も衣装も
ベストに近い状態で揃えた優秀なプロダクションなので
ミュージカル好きな人には良いと思う。
しかしミュージカルって
観て楽しくて、ウキウキ気分で帰宅するものと思っていたら
そうでもないものもあるんだわ、と
今更ながら考えてしまった私に
どうぞ1クリックをお恵み下さい。
個人的な問題なのだが
だいたい、恋愛モノって私は一般的にダメなのよ。
恋する中年とか、よくわからんし(反対はしません)
どちらかと言えば
彼氏を捨てて
自分のキャリアを積もうとするサリー・ボウルスに共感する(自爆)