ロイヤル・コンセルトヘボウ + トゥーガン・ソヒエフ

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    Schloss Grafenegg Auditorium 2019年9月5日 19時〜21時30分

    Concertgebouworkest
    ビオラ Tabea Zimmermann
    指揮 Tugan Sokhiev

    Johannes Brahms (1833-1897)
     Variationen über ein Thema von Joseph Haydn op. 56a (1873)
    Béla Bartók (1881-1945)
     Konzert für Viola und Orchester op. posth. Sz. 120 (1945)
      (Version Tabea Zimmermann)
    Pjotr Iljitsch Tschaikowski (1840-1893)
     Symphonie Nr. 1 g-Moll op. 13 - «Winterträume» (1866/1874)

    ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団と言えば
    大昔、どこかのレコード会社が
    オーケストラのランク付けをした時に
    ベルリン・フィルもウィーン・フィルも抜いて一位に輝いたオーケストラ。

    リッカルド・シャイーの後、2015年までマリス・ヤンソンスが首席指揮者で
    ガッティが2018年まで首席だったが
    今の首席っていないの???(ウエブには掲載されてない)

    9月に入ったとたん、
    ついこの間まで日中30℃超えって
    実は夢だったのではないだろうか、という
    急激な気温の低下。

    それでも今日はまだ晴れてはいたのだが
    夕方になって風が強くなり、気温もぐっと下がり
    この程度だったら野外でやるかな〜と
    冬のコートとカシミアのストールを用意していったが

    コンサートは屋内ホールで行われる事に決定。
    わ〜い、バンザイ。
    だって、この寒さと風では
    オーケストラのメンバーが外で演奏なんて無理だわ。

    今年は暑い日が続いたので
    ずっと野外音楽堂で
    オーケストラの音が分散してしまうのに耳慣れしていたのもあるけれど

    うおおおおおお
    何と言う豪華絢爛なコンサート。

    うまい表現が出て来ないのだが
    ともかく、音量・音響ともに

    ゴージャス!!!!!

    もともとロイヤル・コンセルトヘボウって
    私にとっては「優等生オーケストラ」のイメージが強いのだが
    オーケストラ内部のバランスの良さを考えたら
    このオーケストラ、無敵だろう。

    全体のまとまり方が抜群で
    ホールの中なので音量も大きいのだが
    (野外に慣れていると、ちょっとビックリする(笑))
    響きのまろやかさが中途半端じゃなくて
    オーケストラの音を聴いているだけで
    快感の嵐(はしたない)

    こういう音響を聴いてしまうと
    やっぱり聴覚って官能と深く係わっているのではないか・・・
    (そこで、感情と係わっている、と思うのは
     感受性のある方の意見で
     ワタシの場合は、感受性が限りなくゼロに近いので
     快感と直結してしまうのだ。芸術性がないって悲しい・・・)

    さて、ブラームスのハイドンのテーマによる変奏曲。
    最初の(ハイドンではないけれど(笑))テーマの提示の
    オーボエのソロが

    これって、ブラームスの「オーボエ協奏曲」?

    いやだって、もう、むちゃくちゃ巧い。
    ウィーンのオーボエって、ちょっと控えめな音がするので
    外国のオーケストラの明るめのオーボエの音を聴くと
    ちょっとギョッとするのだけれど
    ありがちなアニメ声にもなっていないし
    こまっしゃくれた変に明るいだけの音でもないのに

    何と言う澄んだ美しい音色で
    強弱までばっちりついて
    メロディ・ラインが滑らかで
    これ、ホントにオーボエ?コールアングレじゃないのか
    ・・・とか、シロウトは考えてしまうほど。

    で、この、むちゃウマのオーボイストなのだが

    普通、これだけ音楽的に演奏できちゃって
    オーケストラのトゥッティの音の壁を通り抜けるだけの音色を持っていると
    ついつい、ほら、ボクちゃんの演奏聴いて、みたいな
    オーケストラ全体から浮くケースがあるじゃないですか。

    なのに、このオーボイスト、アンサンブルの中に溶け込んで
    自分がしゃしゃり出てはいけないところでは
    ひたすら裏方に徹して
    嬉々として他のパートの支えとしてプレイしているんですよ。

    こういうプロ意識のある人って・・・好き ♡

    楽しみにしていたバルトークのビオラ協奏曲。
    これ、実はバルトークはフラグメントを残しただけで
    曲は完成していない。
    (依頼を受けて、途中で何もなければ
     4週間から6週間で完成する、と言っていたのだが
     2週間後に亡くなってしまった、と曲目解説の人は言っていた)

    様々な音楽家がフラグメントから曲を作っているのだが
    ドイツのビオラ奏者のタベア・ツィンマーマンも
    フラグメントを徹底的に読み込んで
    自分のバージョンを作った。

    これがもう絶品・・・
    ビオラの音色の深さ、ニュアンス、美しさ
    加えてタベア・ツィンマーマンの超絶技巧で
    煌めくビオラの音。

    ご存知、ビオラはオーケストラの中では
    ダントツにバカにされる楽器なんだけど
    (だいたい、ビオラ・ジョークというカテゴリーがある位だし)
    タベア・ツィンマーマンのビオラの音の多彩さ
    豊かさ、音の艶やかさは
    聴いていて、ほとんど体感的な快感に直結する。

    あ〜、もう、このビオラを聴くだけでも
    このコンサートに来て良かった。

    アンコールにクルタークのソロ曲。
    これがまた、むちゃくちゃチャーミング。

    後半はチャイコフスキーの交響曲1番。
    この(あまり演奏されないけれど)チャーミングな曲では
    オーケストラの音の良さを最大限に活かし切って
    豊かな音色で、丁寧に語られるロシアの冬。

    冬なんて、これから暗くて寒くて
    太陽なんか出て来ない季節がやってくると思うと
    陰鬱になるのだけれど
    ロシア人はまた違うのかもしれない。
    (だいたい、あの国は冬しかないだろう、きっと ←偏見)

    民謡のメロディを多用しているが
    これがまた、ものすごく丁寧に
    ちょっとアクがあるくらいにロシア的なウエットさで
    様々な楽器で演奏されるのだが

    例のオーボイストはまたむちゃウマだし
    クラリネットもファゴットもフルートも
    すごく良い味を出しているし
    ホルンのアンサンブル見事だし

    加えて、オーケストラのビオラ・パートが、これまた巧い。
    バイオリンのアンサンブルも鉄壁なのに
    ベルリン・フィルみたいな男性的なところがないし
    ウィーン・フィルのノーブルな弦ともまた違って
    言い方が悪いけれど、やっぱり「優等生」

    民謡的な部分の歌わせ方が見事だったのは
    ソヒエフの好みによるものだろうか。
    優等生オーケストラなんだけど
    ちょっとした泥臭さを感じさせるまでにテンポと落として
    何とも素朴な感じが出ていて
    聴いていると、ほっこりしてしまう。

    乗せるところはリズミックに乗せまくって
    聴衆を大いに乗せて
    いやまぁ、気持ちの良い演奏だったし
    オーケストラの音色の良さを
    とことん楽しませてもらった気分。

    そうよ、そうなのよ
    これがオーケストラの音を聴く醍醐味なんだわ。
    夏中、ずっとオートバイの爆音とか
    コオロギの合唱付きで聴いていたので
    この楽しみを忘れていたわ。

    アンコールにプロコフィエフの交響曲1番からガボット。
    ソヒエフは、この曲を
    ほとんどデフォルメして演奏させていて
    これがプログラムに載っていたら
    何じゃこれ?と思った可能性があるけれど
    アンコールとしてチャーミングに演奏されたので
    これもとても楽しかった。

    グラーフェネック音楽祭も
    これが最後の週。
    ウィーンでは、既に9月の音楽シーズンが始まっているのだが
    私にとっては、このグラーフェネック音楽祭が終わると
    やっとまたウィーンのシーズンが始まるような感じ。

    明日は地元のトーンキュンストラーとヒメノのコンサートで
    土曜日は行けないけれど
    日曜日にウィーン・フィルとオロスコ=エストラーダで
    プロムスと同じプログラムでのコンサートが最終公演となる。

    今年のグラーフェネック通いもあと2回と思うと
    時の経つのは早い・・・と
    つくづく思っている私に
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