日本フィルハーモニー交響楽団 + ピエタリ・インキネン

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    Musikverein Großer Saal 2019年4月8日 19時30分〜22時

    Japan Philharmonic Orchestra
    チェロ Sheku Kanneh-Mason
    指揮 Pietari Inkinen

    Einojuhani Rautavaara (1928-2016)
     In the Beginning (2015)
    Edward Elgar (1857-1934)
     Konzert für Violoncello und Orchester e-Moll op. 85 (1918-1919)
    Toru Takemitsu (1930-1996)
     Requiem für Streicher (1957)
    Jean Sibelius (1865-1957)
     Symphonie Nr. 2 D-Dur op. 43

    日本フィルハーモニー交響楽団が
    ヨーロッパ・ツアー中らしい、というニュースを見かけて
    アッと思ってチェックしたら
    楽友協会大ホールで、ジュネス主催のコンサートだった。

    慌ててジュネスでチケット購入。
    ジュネスは若い人のための文化団体だが
    チクルスの会員は、まずは90%以上が大人(年配)と思って良い。
    チクルスは比較的安い上に、プログラムが多彩なので人気がある。

    巧いオーケストラだと思う。
    アンサンブルが揃っていて、ズレがなく、見事だし
    木管・金管のソロが巧いし
    武満徹の時のビオラ首席のソロには、ちょっと涙が出そうになった。

    問題があるとすれば(おおお、偉そう・・・)
    プログラム構成だろう(たぶん)

    だって・・・
    フィンランドのエイノユハニ・ラウタヴァーラ
    英国のエドワード・エルガーに日本の武満徹
    最後の締めがフィンランドのジャン・シベリウスで
    アンコールがシベリウスの「悲しきワルツ」と
    何と2曲めのアンコールでフィンランディア。

    指揮者がフィンランド人だから
    そういう方向に行っちゃったのかもしれないけれど
    あまりにプログラムがフィンランド過ぎる!!
    (いや、文句つける筋合いじゃないが・・・)

    それに全体的に地味で、しかも長い。
    アンコールなしでも終演21時40分くらいだったし
    アンコール2曲で、ばっちり22時まで。
    こちらのオーケストラ、22時までの公演というのは滅多にない。
    (ちなみに22時を過ぎるとホールの人件費が格段にアップするから(笑))

    偶然ではあるのだが
    4月10日水曜日は、コンツェルトハウスで
    ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団が
    ロッタ・ウェンナコスキのオーストリア初演曲と
    チャイコフスキーのバイオリン協奏曲と
    シベリウスの交響曲2番を演奏するのである。
    このオーケストラがアンコールにシベリウス2曲やるなら許せるが

    国粋主義者ではないけれど
    日本のオーケストラ+フィンランド指揮者で
    ウィーンで、あまりにフィンランディアっぽいプログラムだと
    指揮者の良いように翻弄されているオーケストラ
    ・・・みたいな感じがしてしまうのは
    私の偏見と独断と、劣等感(?)の問題なので
    読者諸氏は、あまり深く考えないように。

    だいたい、最初のラウタヴァーラの曲なんて
    いや、オーケストラ巧いし
    インキネンの指揮はあくまでも音色を柔らかく引き出す繊細さはあるけれど
    このプログラムに必要だったのか?

    とは言え、最初に武満の弦楽のためのレクイエムだったら
    最初から雰囲気がど〜んとウエットになるから
    それも考えものだったのかもしれないが。

    エルガーのチェロ協奏曲のチェロのソリストが
    ちょっと見つけモノというか、ビックリ仰天。
    技術的な完璧さはもちろんあって
    それは昨今、どのソリストもみんな完璧なので
    失礼な言い方をすれば、ドングリの背比べなんだけど

    このチェリストの表現力が・・・スゴイ。
    なぜに、チェロのモチーフやメロディが
    こんなにグサグサ、直接感情に突っ込んでくるのだ?

    (しかもエルガーのチェロ協奏曲なんて
     暗くて地味で短調でセンチメンタルで
     テンポ遅いし、ノリがないし、私は普通、好きじゃない(断言))

    またそのチェロのソロに合わせるオーケストラが巧くて
    指揮者が良いのか
    オーケストラのメンバーの耳が良いのか
    ともかく、チェロのソロにピッタリ合わせてくる妙技。
    アンサンブル揃っていて、あまり揺れがないので
    時々、あまりに揃いすぎで平坦に聴こえてくる事はあるが
    (ウィーンのバラバラなオーケストラの音に耳が慣れすぎかも(笑))
    チェロの表現力があまりに凄すぎて
    エモーショナル過ぎて(良い意味で)
    数多い有名なチェリスト聴いているけれど
    何だか不思議な才能を見つけた、っていう感じ。

    後半にチェリストとその彼女らしき若い美人が
    フレムデン・ロージェに入って来たのには驚いたが。
    (ダイレクター・ロジェは、出演者であっても
     ネクタイしてないと入れてくれないのである。
     伝統的ウィーンの不思議な習慣の一つ。
     現在の支配人アンギャンの趣味かもしれないが。
     当のチェリストの舞台衣装は派手な刺繍入りのシャツだった。)

    後半のシベリウス、交響曲2番。
    うううううう・・・・

    いや、演奏は抜群なの。
    どのアンサンブル取っても
    例の2楽章のリズムのスゴイところも
    ファゴットやフルートや
    トランペット(これはすごかった)のソロや
    ホルンの美しさや
    オーボエのソロや
    いや、列記しても意味ないけれど
    インキネンの、割に恣意的に動かすテンポにばっちり着いて
    まぁ、何て巧いオーケストラ、というのはあるんだけど

    シベリウスって楽友協会ホールの音響と合わない!!!(悲鳴)

    ブラームス時代に、音響なんて全く考えず
    音楽の神殿を作るのだ、と張り切ったテオフィル・ハンゼンの建物は
    確かに世界で最も音響の良いホールとは言われるけれど
    それは、せいぜいブラームスの時代までの音楽に言える事である(断言)

    ショスタコーヴィッチとかマーラーとか
    楽友協会の大ホールで聴いたら、時々、拷問になる(ホントです)

    が・・・
    まさかシベリウスよ、お前もか(愕然)

    楽友協会の音響云々の話ではなくて
    もしかしたらバルコン正面とかギャラリーとかの
    ちょっとお高い価格の席なら良かったのかもしれないが
    超貧民席はオーケストラにむちゃくちゃ近いのだ。

    いやもう、バランスが悪くてバラバラに聴こえて来る(涙)
    これは、席が悪いとしか言いようがない。

    こういう曲って、コンツェルトハウスのあのデッドな音響の方が
    ずっと映えるんじゃないだろうか。
    水曜日がちょっと楽しみである。
    (それでヘンに聴こえてくるようなら、私の頭がおかしい)

    シベリウスの悲しきワルツは美しかった。
    あくまでも繊細な指揮に乗って奏でられる
    ウィーンのワルツとは全く違う雰囲気の
    透明感のある素晴らしい演奏。

    ぞろぞろ帰りかけている客に向かって
    あともう1曲、と演奏し出したのが
    フィンランディアだったので椅子からずり落ちそうになったが
    まぁ、このオーケストラ、金管の華やかさもスゴイじゃないの。

    ぐわ〜〜〜んと盛り上げる曲なので
    華やかにホールに鳴り響き
    残った聴衆も大喜びではあった。
    (けど、私の隣の人は、アンコール何?って声を掛けて来たから
     この曲を知っているジモッティは少ないと思う)

    日フィルは明日はまたドイツに移動して
    夜にコンサートがある模様。
    移動が多くて大変だと思うのだが
    健康に気をつけてヨーロッパ演奏旅行を楽しんで欲しい。

    というワケで
    下手くそなオーケストラだったら記事を書かないぞ、と思っていたが
    かなり満足して、23時頃に帰宅した私に
    (だって郊外に住んでいるから、小1時間かかるんです(涙))
    どうぞ1クリックをお恵み下さい。



    追記 日フィルのサイトを見ていたら
    今回のヨーロッパ公演についての音楽ジャーナリスト氏の記載があり
    インキネンが故郷フィンランドへの錦を飾る的な意味合いもあるらしい。
    オーストリアと日本も今年国交150年なんですけどね(苦笑)
    ↑フィンランドに負けた(負け惜しみ)

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